多国籍企業

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多国籍企業(たこくせききぎょう、英語: multinational corporation, MNC)とは、活動拠点を一つの国家だけに限らず複数の国にわたって世界的に活動している大規模な企業のことである。

定義[編集]

国際経済に対する独占力を表す概念であるから[1]、規模にも着目し単純な空洞化と区別する。

上記の他、製造業に限定したり、親会社の出資比率を25%も要求したりする定義もある。

実際に多国籍企業とされているものは、サービス業であったり、投信を利用し直接の出資比率を下げたりしている。

概要[編集]

多国籍企業が国際問題となった明確な端緒というものは存在しない。多国籍企業に関する学術研究は、したがってイギリス東インド会社までさかのぼって行われることもあった[2]。個別の多国籍企業史を時系列に整理して一冊に圧縮するような冒険も敢行された[3]。しかし、多国籍企業が東インド会社の17世紀から延々と議論されてきたというわけではない。多国籍企業は、「国際関係が高度に緊密化した現代資本主義のもとにおける、巨大独占企業の一般的な存在形態」として問題視された[1]。「国際関係が高度に緊密化した現代資本主義」とは何を指すのか、出典の著者は究明していない。この点を考える手がかりを示す。まず、(1)多国籍企業に関する研究文献の氾濫は1960年代後半以後に顕著である[4]。また、(2)国連が多国籍企業を定義した意味の一つは、1974年12月に国連総会で採択された「諸国家の経済権利義務憲章」にある[5]。そして同じころ、(3)イギリスの製薬産業の3/4がメルク・アンド・カンパニーエフ・ホフマン・ラ・ロシュといった外資の支配下にあると指摘されている[6]。(2)(3)は英米両国が同時に機関化された時代である。そして(1)はセカンダリー・バンキング商戦でシティの敗北がほぼ決定し、ユーロクリアが設立されてLIBORがロンドンに上陸した時期であった。そしてそのときこそ、機関投資家が分散化する国際金融市場の趨勢を決したのであった。「国際関係が高度に緊密化した現代資本主義」とは、実際において機関化経済である。機関投資家の資金が津波となって公社債や多国籍企業に押し寄せていた。そこが問題だったのである。日本ではロッキード事件が起こって贈賄が世論に叩かれたが、しかしロッキード社は在外生産活動が乏しく多国籍企業とはいい難いともいわれている[1]。企業というよりも、兵器産業と贈賄活動が「多国籍」、つまりグローバル化していたのであって、そういう要らぬ金あまりが問題だったのである。機関投資家によって世界経済はトリクルダウン理論とは正反対の方向に突き進んでいた。そこにグローバルな独占性が存在した。この大衆貯蓄を人質にとったマネーゲームは、世界金融危機を経てなお継続している。

歴史[編集]

機関化された企業は次節からいくらでも探すことができる。そこであえてその歴史は、問題意識から離れて簡単に書く。

1215年のマグナ・カルタは敵性資産の保護を規定した。これがドーバー海峡に多国籍企業が生まれる必要条件となった。

陸では帝国郵便がゆっくりと発達した。新大陸の発見により郵便の利用は活発化した。

各国が東インド会社を設立してゆく時期にマーチャント・バンク(merchant bank)が登場した。

19世紀の多国籍企業といえば、デビアスに、ケーブル・アンド・ワイヤレスアメリカの生保各社である。

戦間期の主役はゼネラル・エレクトリックIG・ファルベンインドゥストリーであり、世界史の要素である。

石油メジャー各社は大変息が長く、それこそ機関化まで経営はダイナミックである。筆者は詳細を述べる気がない。

多国籍企業の機関化は所有の国際化であって、1980年代以降証券化と相互補完のうえ急進した。そしてリストラも機関化をともなうのである。それは随時、公営多国籍企業の民営化された経験によって速やかに行われる。

著名な多国籍企業 - 産業分野別[編集]

公企業や地域に偏りのあるものも紹介している。4大会計事務所も有名。防衛ではブラックウォーターUSA

電力[編集]

ドイツ
フランス
イタリア
スウェーデン


コンツェルン(多業種)[編集]

フランス
スイス
イタリア
ベルギー
スリランカ
香港
アメリカ合衆国
スペイン
オーストリア
ロシア


銀行・証券・保険・ファンド・金融[編集]

国際銀行間通信協会ならびに国際決済機関のクリアストリームユーロクリアも企業体である。ファンド・オブ・ファンズミューチュアル・ファンドヘッジファンドトラスト化している。プライベート・エクイティ・ファンドは凡そ以下の企業体に属する。

アメリカ合衆国
イギリス
カナダ
フランス
ドイツ
イタリア
ロシア
オーストリア
オランダ
スイス
日本
中国
香港
シンガポール
タイ


航空機・武器・軍事製品の製造[編集]

アメリカ合衆国
カナダ
ブラジル
イギリス
フランス
イタリア
スウェーデン


自動車の製造[編集]

アメリカ合衆国
フランス
イタリア
ドイツ
スペイン
チェコ
ロシア
スウェーデン
日本
韓国
中国
マレーシア
インド
イラン


電気光学製品の製造[編集]

アメリカ合衆国


イギリス
フランス
ドイツ
オランダ
スイス
スウェーデン
フィンランド


日本


韓国

中国

台湾


コンピュータ・ソフトの製造[編集]

アメリカ合衆国
フランス
ドイツ
イギリス
カナダ
アイルランド
日本
韓国
中国
台湾
インド


機械製品の製造[編集]

アメリカ合衆国
イギリス
フランス
ドイツ
スイス
リヒテンシュタイン
スウェーデン
ノルウェー
日本
韓国


鉄鋼・金属[編集]

アメリカ合衆国
カナダ
イギリス
ドイツ
インド
ブラジル
日本
韓国
中国
その他


化学製品の製造[編集]

アメリカ合衆国
イギリス
フランス
イタリア
ドイツ
オランダ
ベルギー
日本
韓国


医薬品・バイオ製品の製造[編集]

アメリカ合衆国
イギリス
アイルランド
  • シャイアー アイルランドの旗
オーストラリア
フランス
ドイツ
スイス
デンマーク
ベルギー
イスラエル
日本


健康・生活用品の製造[編集]

アメリカ合衆国
イギリス
フランス
ドイツ
日本
その他


食品・飲料の製造[編集]

アメリカ合衆国
イギリス
フランス
イタリア
オランダ
ベルギー
スイス
デンマーク
日本
タイ
その他


スポーツ用品の製造[編集]

アメリカ合衆国
イギリス
フランス
イタリア
ドイツ
フィンランド
日本


アパレルの製造[編集]

アメリカ合衆国
イギリス
フランス
イタリア
日本


エネルギー資源の開発生産[編集]

オランダ
アメリカ合衆国
メキシコ
ブラジル
ベネズエラ
イギリス
イタリア
フランス
ロシア
ノルウェー
日本
中国
マレーシア
サウジアラビア


その他製造[編集]

アメリカ合衆国
デンマーク
日本


商社[編集]

アメリカ合衆国
香港


日本


小売[編集]

アメリカ合衆国
イギリス
フランス
ドイツ
スペイン
スウェーデン
日本
その他


外食[編集]

アメリカ合衆国


日本


ホテル・リゾート[編集]

アメリカ合衆国
フランス
香港
アラブ首長国連邦


建設・不動産[編集]

ゼネコンは日本特有の形態。セメントメジャーにラファージュホルシムイタルチェメンティ

日本


教育[編集]

アメリカ合衆国
日本

旅客輸送[編集]

アメリカ合衆国
カナダ
メキシコ
ブラジル
イギリス
フランス
イタリア
ドイツ
オーストラリア
ニュージーランド
スペイン
オランダ
ロシア
フィンランド
日本
韓国
中国
香港
台湾
マレーシア
シンガポール
タイ
フィリピン
インドネシア
アラブ首長国連邦
トルコ
エジプト
その他


貨物輸送[編集]

アメリカ合衆国
イギリス
  • P&O(ペニシュラ&オリエンタル汽船) イギリスの旗
フランス
ドイツ
デンマーク
日本
韓国


電気通信[編集]

アメリカ合衆国
イギリス
ノルウェー
スウェーデン
日本
中国


新聞・放送・出版・情報メディア[編集]

アメリカ合衆国
イギリス
フランス
ドイツ
日本
カタール
その他


世界の諸国の企業の統計の出典[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c 佐藤定幸 「多国籍企業と現代資本主義の危機」 エコノミスト 1976年3月29日号 16-22頁
  2. ^ M.Z.Brooke and H.L.Remmers, The Strategy of Multinational Enterprise, London, 1970, pp.1-2.
  3. ^ Mira Wilkins, The Emergence of Multinational Enterprise, Harvard University press, 1970.
  4. ^ 嵯峨壮一郎 『多国籍企業 その規制と国有化』 青木書店 1981年 6頁
  5. ^ 憲章の内容は次の文献で確認できる。福田博 『多国籍企業の行動指針』 時事通信社 1976年 272-3頁
  6. ^ C.レヴィンソン 『ある産業支配 多国籍製薬産業の内幕』 日本経済新聞社 1975年 188-9頁

関連項目[編集]

外部リンク[編集]