ダナハー

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ダナハー・コーポレーション: Danaher Corporation)は、ライフサイエンス・医療診断機器などの分野における工業製品メーカーを保有する株式会社アメリカ合衆国ワシントンD.C.に本社を置き、多数の企業を統括している。ニューヨーク証券取引所上場企業(NYSEDHR)。従業員数は約8万人、2021年の収益は294.5億米ドル。

沿革[編集]

1969年マサチューセッツ州の不動産投資会社DMG, Inc.として、スティーブ・レイルズとミッチェル・レイルズ(Mitchell Rales)により設立された[1]1978年Diversified Mortgage Investors, Inc.への改名を経て、ミッチェル・レイルズは1984年に現在の社名(モンタナ州西部を流れるサウス・フォーク・フラットヘッド川の支流の名前から採られた)に変更したのち、経営状態の悪い製造業者を買収し立て直すほうが、不動産事業より大きい利益を出せると判断し、製造業者の買収を軸とした企業形態へと舵をきった[2]

1986年に継続改善を主眼とした経営手法をダナハー・ビジネス・システム(DBS)と名付け、1988年にはトヨタ自動車の自主研グループの設立メンバーであった岩田良樹を招いたことを契機に、日本企業のKaizen(カイゼン)の手法を導入、日本の品質管理活動をもとにして、アメリカ流の方法で技術革新、市場開拓・売上向上、リーダーシップ開発に対する取り組みを拡大させた[2]。以降のダナハーは買収による規模の拡大を続けてきたが、新しく買収した企業にはその都度DBSが展開され、カイゼンが不可欠な行動規範として定められている[3]

現在のダナハーは、ライフサイエンス・医療診断機器などの環境関連事業をカバーし、北米を中心としつつ、西ヨーロッパや新興国など幅広い地域で売上を増加させている[4]

主な保有企業[編集]

カッコ内は各企業の本部所在国。なお日本では、以下のうち、ベックマン・コールター、ハック、ライカマイクロシステムズ、ノーベルバイオケア、ポール・コーポレーション、ビデオジェット、エックスライト、エスコグラフィックス が日本法人を持ち、事業を展開している。

  • ALLTEC/FOBA [1](ドイツ)
  • AVT(イスラエル)
  • ベックマン・コールター(アメリカ合衆国)
  • Cepheid(アメリカ合衆国)
  • ChemTreat(アメリカ合衆国)
  • ESKO Graphics(ベルギー)
  • ハック(アメリカ合衆国)
  • HemoCue(スウェーデン)
  • Implant Direct(アメリカ合衆国)
  • Integrated DNA Technologies(アメリカ合衆国)
  • KaVo Kerr(アメリカ合衆国)
  • Laetus GmbH (ドイツ)
  • Leica Biosystems (ドイツ)
  • ライカマイクロシステムズ (ドイツ)
  • LINX (イギリス)
  • McCrometer(アメリカ合衆国)
  • Molecular Devices(アメリカ合衆国)
  • ノーベルバイオケア(スイス)
  • Ormco(アメリカ合衆国)
  • ポール・コーポレーション(アメリカ合衆国)
  • Pantone(アメリカ合衆国)
  • Phenomenex(アメリカ合衆国)
  • Radiometer(デンマーク)
  • SCIEX(アメリカ合衆国)
  • Trojan Technologies(アメリカ合衆国)
  • ビデオジェット(アメリカ合衆国)
  • エックスライト(アメリカ合衆国)

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ The Danahar story” (英語). Danaher Corporation. 2019年5月25日閲覧。
  2. ^ a b ダナハーはどのように成長を実現したのか” (PDF). プライスウォーターハウスクーパース. 2019年5月25日閲覧。
  3. ^ 行動規範” (PDF). Danaher Corporation. 2019年5月25日閲覧。
  4. ^ 2018 Annual Report” (PDF) (英語). Danaher Corporation. 2019年5月25日閲覧。

外部リンク[編集]