ブッキング・ホールディングス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
ブッキング・ホールディングス
Booking Holdings Inc.
Logo of Booking Holdings Inc,(lock up, stacked with Brands, full color).PNG
種類 公開会社
市場情報
NASDAQ BKNG
本社所在地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
06854
コネチカット州 ノーウォーク, Connecticut Avenue 800
北緯41度05分35秒 西経73度27分14秒 / 北緯41.09306度 西経73.45389度 / 41.09306; -73.45389座標: 北緯41度05分35秒 西経73度27分14秒 / 北緯41.09306度 西経73.45389度 / 41.09306; -73.45389
設立 1998年7月30日(デラウェア州会社法に基づく設立)[1]
1997年7月18日LLCとしての設立)[1]
業種 サービス業
代表者 ジェフェリー・ボイド (会長)
グレン・フォーゲル (CEO)
資本金 増加 US$ 11.261 billion(2017年)[2]
売上高 増加 US$ 12.681 billion(2017年)[2]
営業利益 増加 US$ 4.538 billion(2017年)[2]
純利益 増加 US$ 2.341 billion(2017年)[2]
総資産 増加 US$ 25.451 billion(2017年)[2]
従業員数 約22,900人(2017年)[2]
決算期 12月31日
主要子会社 ブッキングドットコム
Priceline.com
KAYAK
アゴダ
レンタルカーズドットコム
オープンテーブル
外部リンク Booking Holdings(英語)
テンプレートを表示

ブッキング・ホールディングス: Booking Holdings Inc.NASDAQ: BKNG)は、本拠地をアメリカ合衆国コネチカット州ノーウォークに置き、世界各地で旅行に関連するオンラインサービスを提供する6つの企業を統括する株式会社。世界最大の売上高を持つオンライン旅行会社Online Travel Agency, OTA)であり、特に宿泊予約の分野で世界最大の販売数を有する[3]2018年2月、プライスライン・グループより改称した[4]

沿革[編集]

創業期[編集]

1997年、コネチカット州出身の起業家であるジェイ・スコット・ウォーカー(Jay S. Walker)を中心に、プライスラインドットコム(Priceline.com Inc.)が設立された[5]1999年3月にNASDAQに上場し、創業期からオンライン旅行業を軸に積極的な事業拡大を行うが(後述)、ウォーカーは2000年取締役会を降り[5]2001年から2002年にかけては、インターネット・バブル崩壊の影響を受け、一時事業を縮小した。

事業構造の転換と国際展開[編集]

2002年11月、ジェフェリー・ボイド(Jeffery Boyd)がCEOに着任[6]2004年9月、イギリスのオンライン旅行会社であったActivehotels.comを傘下に加えたことを契機に[7]、海外事業への進出を本格化する。特に2005年7月にオランダのOTAであるBookingsを買収し[8]2006年BookingsActivehotels.comを統合しブッキングドットコムとなったのちは[9]、米国外での売上が大きく伸び、2007年には、グループ総体で米国内の売上を逆転するに至った[10]。2000年代当時、エクスペディア・グループなど他の米国OTAの関心は、旅行者がOTAに料金を支払うマーチャント・モデルに集中しており、旅行者がホテル等に直接料金を支払うエージェンシー・モデルにはほとんど関心がなかったが、プライスラインは他OTAが注目していなかったエージェンシー・モデルにも着目し併用、大幅に売上を伸ばすことに成功した[11]

ブッキングドットコムに加えて、東南アジアのOTAであるアゴダを買収したプライスラインは、ホテル等の宿泊施設のオンライン予約における世界最大の企業グループへと変貌した[3]。一方インターネット・バブル期まで販売の中心であった航空券は、各国の航空会社によるコミッションカットへのシフトを受け、メタサーチKAYAKへ大半を移行、この結果、予約取扱の多くは宿泊施設とレンタカーに集中することになった[2]

2013年1月、ジェフェリー・ボイドは会長職に就き[12][6]2014年1月から、マイクロソフト日本法人元社長であり、その後ブッキングドットコムのCEOとなったダレン・ヒューストンがCEOを務めた[13]。2014年3月まで、プライスラインドットコムの傘下に各子会社を持つ形態を取っていたが、同年4月、グループとしての商号をプライスライン・グループ(The Priceline Group Inc.)に改称、同傘下にプライスラインドットコムを含む各子会社を置く形態に変更した[14]

2014年以降、中国最大のOTAであるシートリップに出資し提携関係を強化[15]2017年10月、旅行予約も取り扱う中国有数のeコマース企業Meituan-Dianping (美団点評)に、テンセントセコイア・キャピタルと共同出資した[16]民泊は、ブッキングドットコムの中ですでに取扱っているが[17]、日本市場は法律面で未整備のため、法整備後に検討すると説明している[18]。2017年1月にブッキングドットコム・アゴダ買収の主導者であったグレン・フォーゲルがCEOとなった[19]。2017年7月、イギリスに本拠を置くメタサーチ大手のMomondo Groupの買収を完了、KAYAKの傘下企業とした[20]

近年の展開[編集]

2018年2月、ブッキングドットコムが最大の事業となった実情に合わせる形で、社名をブッキング・ホールディングスへと変更した[4]

2011年に売上高で競合のエクスペディア・グループを抜いて以降[21]、世界1位を維持し[2]、宿泊施設の販売室数(Room Nights)に関しても、2010年以降、同グループを上回り続けている[22](2017年通年で6億7310万室、エクスペディア・グループは3億1210万室[2])。また時価総額もオンライン旅行会社として世界1位であり[23]、取扱額(Gross Bookings)では2位に留まるものの、EBITDAなど多くの財務指標でエクスペディア・グループを上回り続けており、市場価値を重視した経営が特徴となっている[24]。傘下に収めたグループ各社の運営は基本的に独立して行う方針が取られ[25][5]、エージェンシー・モデルのブッキングドットコム、マーチャント・モデルのアゴダなど、各社固有のサービスを継続させている点が運営上の特色となっている[26]

売上構成は、オランダ拠点の子会社が全体の約75%、米国拠点の子会社が約13%、その他(シンガポール・イギリス等)の子会社が約12%となっている(2017年)[2]。エクスペディア・グループが売上の過半数を米国内需要に拠るのとは対照的に、ブッキング・ホールディングスのビジネスの多くは米国外の需要に基づいている(2017年では約89%が米国外)[2]

構成企業[編集]

順序は公式サイト内の表示に従っている。

ブッキングドットコム[編集]

2005年にグループ参加。世界各国の宿泊施設予約を扱う。現在、売上におけるグループの中核企業となっている。

プライスラインドットコム[編集]

Priceline.comのロゴ

2014年3月まで、グループの親企業に位置していたが、同年4月以降は、グループ内の一企業としての位置付けとなった[14]1998年にウェブサイト「Priceline.com」を開設、オンライン旅行業に参入した。1998年8月、利用者側が航空券の予約の際に値段を決める「逆オークションモデル」をビジネスモデル特許として成立させ、同システムが全米のほとんどの航空会社に採用されたことを契機に知られるようになった。ITバブル崩壊後は、航空券に加え、ホテルレンタカー、またそれらを組み合わせたパッケージ商品やクルーズなど、対象商品を拡大、また、逆オークションモデル以外に普通のネットサービスを併用することで、不況を克服した[10]。航空券の逆オークションは2016年9月に廃止されたが[27]、ホテルやレンタカーの逆オークションは現在も行われている。2016年6月以降、プライスラインドットコムのCEOはBrett Kellerが務めている[28]ウィリアム・シャトナーが同社のイメージ俳優として起用されており、2013年からはケイリー・クオコが加わり、ウェブサイトおよびアプリ内にも登場している[29]。本社は、ブッキング・ホールディングス本社と同じ場所に置かれている[30]

グループ企業中唯一、ウェブサイトは日本語未対応となっている。2000年に、ソフトバンク・イーコマースとの合弁で日本にも進出する計画があったが[31]、インターネットバブル崩壊の余波によって提携が打ち切られ、業務を開始する前に合弁会社は解散した[32]

カヤック(KAYAK)[編集]

2013年にグループ参加。航空券・宿泊施設・レンタカーのメタサーチを運営する。MomondoCheapflightsなどのメタサーチもグループに持つ。

アゴダ[編集]

2007年にグループ参加。アジアを中心とする宿泊施設予約を扱う。

レンタルカーズドットコム[編集]

2010年にトラベルジグソー(Travel Jigsaw Ltd.)がグループ参加。レンタルカーズドットコムのブランド名で、世界各国のレンタカー予約を扱う。

オープンテーブル[編集]

2014年にグループ参加。アメリカを中心とするレストランの予約を扱う。

脚注[編集]

  1. ^ a b Investor FAQs” (英語). Booking Holdings Inc.. 2018年2月23日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k ANNUAL REPORT 2017 (PDF)” (英語). Booking Holdings Inc. (2018年2月27日). 2018年2月28日閲覧。
  3. ^ a b Airbnb’s Growth Doesn’t Scare Priceline at All” (英語). Skift (2015年7月1日). 2016年4月29日閲覧。
  4. ^ a b The Priceline Group Inc. (NASDAQ: PCLN) Announces Name Change to Booking Holdings Inc.” (英語). PR Newswire (2018年2月21日). 2018年2月23日閲覧。
  5. ^ a b c History” (英語). Booking Holdings Inc.. 2018年2月23日閲覧。
  6. ^ a b “Jeffery H. Boyd:Excecutive Profile&Biography” (英語). ビジネスウィーク. http://www.bloomberg.com/research/stocks/people/person.asp?personId=231187&ticker=PCLN 2015年3月1日閲覧。 
  7. ^ Priceline.com Acquires Active Hotels, a Leading Internet Hotel Reservation Service in Europe” (英語). Booking Holdings Inc. (2004年9月21日). 2018年2月24日閲覧。
  8. ^ U.S. Internet Travel Company Priceline.com Acquires Bookings B.V. Online Hotel Reservation Service” (英語). Booking Holdings Inc. (2005年7月14日). 2018年2月24日閲覧。
  9. ^ Active Hotels becomes Booking.com” (英語). TravelMole (2006年11月27日). 2015年1月10日閲覧。
  10. ^ a b 東洋経済オンライン 株価2倍!ホテル予約プライスラインの秘密”. 東洋経済新報社 (2013年12月5日). 2015年12月20日閲覧。
  11. ^ Priceline, online travel history and complacency” (英語). Tnooz (2012年1月31日). 2016年6月5日閲覧。
  12. ^ “プライスライン、7-9月期は40%増益-会長職とCEO職を分離”. ウォール・ストリート・ジャーナル. (2013年11月3日). http://jp.wsj.com/articles/SB10001424052702304218104579184562475826246 2015年1月10日閲覧。 
  13. ^ “プライスライン、訪日市場拡大に意欲-日本人向けサービス強化も”. トラベルビジョン. (2015年5月10日). http://travelvision.jp/news/detail.php?id=67121 2015年7月4日閲覧。 
  14. ^ a b Priceline.com Incorporated Announces Corporate Name Change” (英語). Booking Holdings Inc. (2014年4月1日). 2018年2月23日閲覧。
  15. ^ 米プライスライン、中国同業大手シートリップと資本・業務提携へ”. モーニングスター (2014年8月8日). 2015年12月20日閲覧。
  16. ^ Priceline Invests $450 Million in Chinese E-Commerce Giant Meituan-Dianping” (英語). Skift (2017年10月19日). 2017年10月20日閲覧。
  17. ^ 世界2大OTA「プライスライン」副社長に聞く、ブッキング・ドットコムの戦略 - 民泊からタビナカ事業まで”. トラベルボイス (2015年11月25日). 2015年12月27日閲覧。
  18. ^ 世界三大メガOTA 日本法人トップ座談会 (PDF)”. 観光経済新聞 (2016年1月1日). 2015年12月27日閲覧。
  19. ^ The Priceline Group Names Glenn Fogel CEO” (英語). PR Newswire (2016年12月15日). 2017年1月10日閲覧。
  20. ^ The Priceline Group Completes the Acquisition of Momondo Group” (英語). PR Newswire (2017年7月24日). 2017年8月6日閲覧。
  21. ^ Arrows Pointing South For Priceline.com Post-Earnings” (英語). Seeking Alpha (2012年5月9日). 2017年9月18日閲覧。
  22. ^ Interview: Expedia’s Comeback CEO on What It Will Take To Win” (英語). Skift (2015年3月9日). 2015年12月20日閲覧。
  23. ^ The Worlds 15 Largest Travel Companies of 2014” (英語). Skift (2014年7月28日). 2015年12月20日閲覧。
  24. ^ What is driving Priceline’s Success in the past 5 years?” (英語). ハーバード・ビジネス・スクール (2012年11月2日). 2015年5月30日閲覧。
  25. ^ 世界2大オンライン旅行会社「プライスライン・グループ」社の副社長に聞く、日本展開からモバイル対応まで”. トラベルボイス (2015年7月1日). 2017年9月18日閲覧。
  26. ^ 週刊トラベルジャーナル』2012年7月16日号「特集 躍進するプライスライン 時価総額2.6兆円のOTA」
  27. ^ Priceline Eliminates 'Name Your Own Price' for Airline Tickets” (英語). Travel Pulse (2016年9月7日). 2017年3月27日閲覧。
  28. ^ Brett Keller Named Interim Chief Executive Officer of Priceline.com, a Subsidiary Unit of The Priceline Group” (英語). Booking Holdings Inc. (2016年6月3日). 2018年2月23日閲覧。
  29. ^ Will Kaley Cuoco Add A 'Big Bang' To Shatner's Priceline 'Negotiator' Campaign?” (英語). フォーブス (2013年1月10日). 2015年4月1日閲覧。
  30. ^ Contact and Locations” (英語). Booking Holdings Inc.. 2018年2月23日閲覧。
  31. ^ Priceline.com Announces Expansion to Japan in Alliance With SOFTBANK” (英語). Booking Holdings Inc. (2000年7月31日). 2018年2月24日閲覧。
  32. ^ “ソフトバンク・イーコマース、米Priceline.comとの交渉を打ち切り、新会社解散へ”. INTERNET Watch. (2000年12月8日). http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2000/1208/price.htm 2015年2月28日閲覧。 

外部リンク[編集]

ビジネスデータ