コーチ

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コーチ(英語:coach)とは、スポーツにおいて選手にその技術などを訓練・指導する人のことである。コーチャー(英語:coacher)は、英語圏でもあまり用いられなくなっている。

由来[ソースを編集]

「コーチ」という語は、ハンガリーコチ(Kocs)という町で農閑期の収入源として作られた四輪馬車・コーチ(kocsi)に由来する。世界初のサスペンション付きの馬車だったことから欧州で広く人気を集め、以後「コーチ」は欧州の各言語で馬車の代名詞となった。欧米では今日でも綴りや発音こそ異なるものの、鉄道車両バスなどを含めて、馬車に替わる乗り物が広く「コーチ」の名で呼称されている。

歴史[ソースを編集]

19世紀ごろのオクスフォード大学で、家庭教師チューター tutor)を指すスラングに、このコーチ(coach)の語が用いられたことが、英語のコーチ(coach)に指導の意味が派生した契機となっている。スラングとされたのは、当時のイギリスの教育では枝むちが用いられていたためだが、「(人や荷物を)馬車で運ぶ」ことになぞらえて、名詞として指導指導員を指す正規の意味となっていった。また、「馬車で旅行する」という自動詞から「(家庭教師のもとで)勉強する/訓練する」という意味も生まれた。

コーチの動名詞形であるコーチング(coaching)は、馬の愛好家を中心に、riding horse などの語法に代わる乗馬四輪車両を牽引しない馬の疾駆)の俗語としても用いられるようになったが[1]、一方でアメリカ英語ではコーチをスポーツの指導の意味でも使うようになり、それが訳されることなく外来語として日本でも使用されるようになった。しかし、世界共通語ではなく、大陸欧州などの非英語圏では、もっぱらトレーナー(trainer)と語源を同じくする語が使用されている。その場合、トレーナーが日本語の監督を意味していることもある。

日本[ソースを編集]

スポーツ用語としてのコーチという言葉は、日本では20世紀の初頭ごろから使われ始めたとみられる。文献上での初見は、1921年に出版された「新しき用語の泉」で、『野球の用語で、走塁者を指揮し声援すること』として解説されている[2]。ただし、1906年4月16日付の東京日日新聞では『毎日々々コーチャーたるメリー氏は……』とあることから[2]、コーチャーという言葉の方が先に定着したことが窺える。

1930年に出版された婦女界社の「結婚心得帖」には、指導する立場の者が必ずしも信用の置けない例として、『家庭教師や水泳教師、さては庭球のコーチャーなどにも、相当仮面を被ってゐる者があります』とあることから[2]、この頃にはすでに野球以外の外来スポーツにも使用領域が広がっていたものの、コーチ(指導)とコーチャー(指導員)が明確に使い分けられ、いまだコーチャーの用法の方が主流を占めていたとみられる。

競技別[ソースを編集]

野球[ソースを編集]

庭球[ソースを編集]

サッカー[ソースを編集]

役割[ソースを編集]

試合・大会[ソースを編集]

試合や大会、コンテストなどで、戦略戦術を実施するよう指導、指示したり、必要な際には選手交代などを行う。多くのコーチは過去に同じスポーツを選手として経験している場合が多い。

監督・経営[ソースを編集]

いくつかのプロスポーツでは、英語のヘッドコーチ監督またはゼネラルマネージャーと訳される。この場合のヘッドコーチには選手の採用や契約交渉、トレードや解雇などを決める権限がある場合も多い。

トレーニング[ソースを編集]

学校スポーツ、部活動などでは特に、コーチは選手に対し、技量やルール、戦術などを教え実行できるように訓練する。

スタッフ[ソースを編集]

大きなチーム、スポーツ組織では、コーチ部門にも多くのスタッフがいて、コーチをサポートする。ヘッドコーチの下に何人かのコーチがいて、特有の部門を受け持つ場合もある(野球のピッチング・コーチなど)。

脚注[ソースを編集]

  1. ^ 日本の乗馬クラブや馬の牧場などでも用いられている。例:ベーシカル・コーチング・スクール(ただし、コーチング・スクールは和製英語であり、英語としては通じない)。
  2. ^ a b c 日本国語大辞典(第二版)「コーチ」、小学館

関連項目[ソースを編集]