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コンクリート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
コンクリートを使った構造物高速道路阪神高速道路
コンクリートブロック

コンクリート(混凝土、: concrete)は、広義には骨材を結合剤(セメント石灰石膏アスファルト硫黄プラスチックなどを利用)によって固めた複合材料の総称[1]。結合剤の種類によりセメントコンクリート、アスファルトコンクリートレジンコンクリートなどという[1]。狭義には結合剤にセメントを用い、骨材をセメントペースト(セメントに水を加えたペースト)で固めた複合材料(セメントコンクリート)をいう[1]

に次いで世界で2番目に多く使用される物質[2]で、最も広く用いられる建築材料[3]、さらに世界で最も製造されている素材である[4]

概要

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コンクリート製のモノレールの軌道(画面右手から奥へ伸びる。米国シアトル

砂利などをセメントで固めた物で建築土木工事材料として多く利用される。コンクリートは鋼材とともに現代の建築土木工事には不可欠な構造材料である[1]強度と価格の面や施工の安易さから、一般に最も広範に使用されている建築資材の一つであり、建築物道路ダム高架橋トンネル港湾設備と用途は幅広い。

骨材を乾燥したポルトランドセメント・水と混合すると、流動性のスラリーを形成し、これを打設・成形できる。セメントは「水和」と呼ばれる過程で水と反応し[5]、数時間後に硬化して、材料を結合する堅牢な石状の固体を形成する[6]。この硬化までの時間により、コンクリートは型枠に打設できるだけでなく、各種の工具仕上げ・加工を施すことも可能となる。水和反応は発熱反応であるため、周囲温度は凝結・硬化に要する時間に大きな影響を及ぼす。しばしばポゾラン英語版高性能減水剤英語版などの混和材料が加えられ、フレッシュコンクリートの物性の改善、硬化時間の遅延・促進、あるいは硬化体の性質の調整が行われる。多くの構造用コンクリートは、引張強度を付与するために鉄筋などの補強材を内部に埋設して打設され、鉄筋コンクリートとなる。

19世紀初頭にポルトランドセメントが発明される以前は、石灰パッティなどの石灰系結合材が一般に用いられた。現在流通するコンクリートの圧倒的多数はポルトランドセメントを用いて製造されるが、アルミン酸カルシウムセメント英語版アルミン酸カルシウムも参照)など他の水硬性セメントを用いる場合もある[7]。また、セメントを結合材としない多様なコンクリートも存在し、例えば道路舗装に多用される歴青アスファルト)を結合材とするアスファルトコンクリートや、ポリマーを結合材とするポリマーコンクリート英語版などがある。

コンクリートはモルタルと区別される[8]。コンクリート自体が建築材料であり、粗骨材(大粒)と細骨材(小粒)の双方を含むのに対し、モルタルは細骨材のみを含み、煉瓦タイル、その他の組積材を結合する接着材として主に用いられる[9]。コンクリートやセメントに関連する材料としてグラウトがある。グラウトは粗骨材を含まず、通常は流し込み可能(またはチキソトロピック)で、既に設置された組積部材間や粗骨材間の隙間を充填するために用いられる。コンクリートの製造や補修の一部手法では、グラウトを隙間に圧送して一体化した固まりを形成する。

コンクリートは圧縮力には耐えられるが引張力には弱いため、コンクリートを単体で使うより、コンクリートの中に鉄筋を入れた鉄筋コンクリートとして使われることが多い。コンクリートと同じ熱膨張率を持つ鉄筋を入れることで引張力を鉄筋が受け持ち、どちらの力にも十分な強度を持たせることができる。

また、鉄筋コンクリートに鉄骨を埋め込んだ鉄骨鉄筋コンクリートや、鉄骨鉄筋コンクリートの鉄骨を鋼管に置き換えた鋼管コンクリート、あらかじめ圧縮力をかけておくことによって大きな引張力が作用しても軽減できるプレストレスト・コンクリート、生コンクリートに合成樹脂繊維を混ぜ込んで強度・延性を増した繊維補強コンクリートも用いられる。

名称

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現在は英語単語のカタカナ表記である「コンクリート」との表記を用いるのが一般的である。コンクリート(concrete)という語は、ラテン語の「concretus」(「固められた」「凝集した」の意)に由来し[10]、これは「concrescere」(「con-」(共に)+「crescere」(成長する))の完了受動分詞である。

日本語圏では広井勇の発案であるとされる「混凝土」(コン・クリー・ト)という音訳表記も以前は広く用いられ、このまま「コンクリート」と読まれた。この漢字表記は、中国語圏では現在でも最も一般的なコンクリートの名称として用いられている。省略してコンクリCOCONとも読み書きされる。

別名ベトン: béton: Beton: beton)。

凝固する以前の状態はフレッシュコンクリートと言われる(生コンクリートまたは省略して生コンとも)。

歴史

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古代

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ギリシアティリンス王宮には、紀元前1400〜1200年頃に遡るコンクリート床が見つかっている[11][12]。紀元前800年頃には、クレタ島キプロスなどのギリシアで石灰モルタルが使用された。アッシリアのジェルワン水道渠(紀元前688年)では防水性コンクリートが用いられた[13]。コンクリートは多くの古代構造物の建設に使用された[14]

ユカタン半島ウシュマル遺跡(西暦850–925年頃)のマヤのコンクリートについては、ジョン・ロイド・スティーヴンズの『ユカタン旅行記』に言及がある。「屋根は平らで、セメントで覆われていた」「床もセメントで、場所によっては硬かったが、長い年月の風化で割れ、今では足元で崩れ落ちる」「しかし壁全体は堅固で、大きな石が岩とほとんど同じ硬さのモルタルに埋め込まれていた」と記されている。

紀元前4世紀以降、シリア南部からヨルダン北部のオアシス群を支配したナバテアの商人たちは、コンクリート様材料の小規模生産を先駆けて行った。彼らは紀元前700年頃までに自己硬化性をもつ水硬性石灰を見出し、家屋、コンクリート床、地下防水貯水槽の建設に用いるモルタルを焼成するための窯を築いた。これらの貯水槽は砂漠環境での繁栄を可能にしたため存在が秘匿され、構造物の一部は今日まで残存している[15]

古代エジプト時代および後のローマ時代には、石灰に火山灰を加えることで混合物が水中でも凝結することが発見され、いわゆるポゾラン反応が知られるようになった[16]

古典期

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ローマのパンテオンの外観。現在も鉄筋などの補強のないものとしては、世界最大のコンクリート製ドームである[17]。
ローマのパンテオンの外観。現在も鉄筋などの補強のないものとしては、世界最大のコンクリート製ドームである[17]
ローマ近郊の墓で、ローマン・コンクリートがむき出しになっている様子。現代のコンクリート建築とは対照的に、ローマではコンクリート壁をレンガなどで覆っていた。
ローマ近郊の墓で、ローマン・コンクリートがむき出しになっている様子。現代のコンクリート建築とは対照的に、ローマではコンクリート壁をレンガなどで覆っていた。
パンテオンのドーム内観。格間付きのドームは、仮設足場上の型枠にコンクリートを打設して施工された
ローマ特有のアーチに露出したローマン・コンクリート。現代のコンクリート構造と異なり、ローマ建築のコンクリートは通常、煉瓦や石材で被覆された

古代ローマでは紀元前300年から西暦476年までの間、コンクリートが広範に用いられた[18]帝政期ローマン・コンクリートは、生石灰ポッツォラーナ軽石などの骨材から成っていた[19]ローマ建築におけるローマン・コンクリートの広汎な使用は、建築史ローマ建築革命英語版と呼ばれる画期であり、石材や煉瓦に縛られていた建築手法からの解放をもたらし、ローマ工学英語版の進歩は構造の複雑さ・規模の両面で革新的な設計を可能にした[20]ローマコロッセオは主としてコンクリートで建設され、パンテオンは世界最大の無筋コンクリートドームを有する[21]

ローマ人が用いたコンクリートは、それ自体が新奇かつ革命的な材料であった。アーチヴォールトドームの形に打設されると、石材や煉瓦による同種構造を悩ませた内力や応力から比較的自由な、剛体的な塊へと速やかに硬化した。[22]

現代の試験によればローマン・コンクリートの圧縮強度は現代のポルトランドセメント系コンクリートに匹敵するが(約200 kg/cm2 [20 MPa; 2,800 psi])[23]、補強材を欠くため引張強度は現代の鉄筋コンクリートより大幅に低く、利用方法も異なっていた。

現代の構造用コンクリートは、次の2点でローマン・コンクリートと重要な相違がある[24]

  • 流動的かつ均質であり、手作業で骨材と混ぜながら層状に積み重ねる必要がなく、一気に型枠に流し込んで成形できること(ローマの実務では骨材に瓦礫が用いられることが多かった)。
  • 鉄筋による一体的な補強が引張に対する大きな強度を与えるのに対し、ローマン・コンクリートは結合力にのみ依存して引張に抵抗していたこと。

ローマン・コンクリート構造物は長期耐久性に優れるが、これはコンクリート配合中の火山砕屑岩および火山灰の存在に起因することが示されている。コンクリート形成過程で複雑なカルシウム・アルミノシリケート水和物であるストレートリング石が結晶化し[25]、同種のカルシウム–アルミニウム–シリケート水和物と結合することで、現代コンクリートに比べて高い破壊抵抗性が付与される[26]。さらに、ローマン・コンクリートは海水による侵食に対して現代コンクリートより顕著に高い耐性を示し、前述の火山砕屑岩が海水と反応して時間とともにアルミノトバモライト英語版結晶を形成する[27][28]。また、製造時に高温混合を行って最終製品中にライムクラストを形成させることで自己修復性コンクリート英語版として活用できる可能性が示唆されている[29][30]

古代ローマにおいてはコンクリートが広範に使用されたため、多くの構造物が現代まで残存している。ローマのカラカラ浴場はその一例である。南フランスの壮麗なポン・デュ・ガールをはじめとする多くの水道橋は芯部のコンクリートを煉瓦や石材の外装が覆っており、パンテオンのドームも同様である。

中世

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西ローマ帝国の滅亡英語版後、生石灰およびポッツォラーナの使用は大幅に減少した。生石灰作成時の窯温度の低さ、ポッツォラーナの不足、ならびに混合不良が、コンクリートおよびモルタルの品質低下をもたらした。

11世紀以降、教会城郭建設における石材使用の増加に伴い、モルタル需要が拡大し、12世紀には、粉砕やふるい分けの改善によってコンクリートやモルタルの品質は向上した。中世の石灰モルタルおよびコンクリートは非水硬性であり、ハーティングと呼ばれる組積造の結束および建物基礎に用いられた。バルトロマエウス・アングリクス英語版は『事物の性質について』(1240年)でモルタルの製法を記述しており、「生石灰は焼かれた石であり、これに砂と水を混ぜ合わせることでセメントが作られる」と記される。14世紀にはモルタルの品質は古典期並みまで向上したが、ポッツォラーナが再び一般的に添加されるようになったのは17世紀以降であった[31]。著名なコンクリート建築であるミディ運河が建設されたのは1670年のことである[32]

産業革命以降

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イングランドデヴォンスミートンズタワー英語版
プリマス・ホー英語版に移築され記念塔になっているスミートンズタワー

近代コンクリート利用の最大の前進の一つは、イングランドデヴォンで英国人技師ジョン・スミートンが1756年から1759年にかけて建設したスミートンズタワー英語版である。これは第3代エディストーン灯台英語版であり、小石や粉砕れんがを骨材とし、コンクリートに水硬性石灰を先駆的に用いた[33]

ポルトランドセメントの製造法は、1824年にイングランドでジョゼフ・アスプディンが開発し特許を取得した[34]。名称は、ポルトランドセメントがドーセットポートランド島で採掘されるポートランド石に類似することからアスプディンによって命名された。息子のウィリアム・アスプディン英語版が1840年代に改良を進め、現代的ポルトランドセメントの開発者として評価された[35]

鉄筋コンクリートは1849年にジョゼフ・モニエが発明し[36]、フランソワ・コワニェが1853年に初の鉄筋コンクリート造住宅を建設した[37]。初の鉄筋コンクリート橋は、1875年にモニエが設計・建設した[38]

プレストレストコンクリートおよびポストテンションコンクリートは、フランスの構造・土木技師ウジェーヌ・フレシネ英語版が発明した。部材または構造を、製作時もしくは製作後に緊張材で圧縮し、使用時に生じる引張力に抗するよう強化する技術である。フレシネは1928年10月2日に特許を取得した[39]

近年、環境問題が重視されてきていることから、コンクリートの成分に再生素材を使うことが多くなっている。例えば石炭を燃焼する火力発電所がだすフライアッシュなどである(フライアッシュコンクリートは水和熱の発生の緩和(そのためマスコンクリート英語版[注釈 1]に多く用いられる)、アルカリ骨材反応の防止効果もある。またフライアッシュを混和材として用いることはワーカビリティ向上に繋がる)。これにより、採石量を減らすとともに産業廃棄物の埋め立て量も減るという効果がある。

古代ローマや古代エジプトでも、コンクリートの素材に様々な添加物が使用されていた。彼らは火山灰を添加すると水によって固まる性質が生じることを発見した。また、ローマ人はを混ぜると固まるときにひびが入りにくくなることや、を混ぜると凍結に強くなることを知っていた[40]

現代の研究者も、コンクリートになんらかの素材を添加することで、強度や電気伝導性を高めるなど、コンクリートの性質を改善する実験をおこなっている。

戦場においてテロリストの脅威に対抗する目的でコンクリートの障壁が利用される事があり、コンクリートは現代の戦場で最も効果的な兵器であるとする意見がある[41]

第二次世界大戦以前の日本では、コンクリートは健康に悪いものとする風評が立った。1932年(昭和7年)、都新聞白木屋火災の教訓として女性にズロースを履くよう訴える記事を掲載したが、記事中に「ズロースを履いていないと、混凝土(コンクリート)から呼ぶ湿気で一種独特の疾病に冒され妊娠率の低下は避けられない」とする記述も見られた[42]

材料

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コンクリートは、セメント系結合材(典型的にはポルトランドセメントペースト)やアスファルトからなるマトリックス(母材)と、骨材(岩塊・砂利・砂等)から成る人工の複合材料である。結合材は骨材を接着して人工の礫岩状凝集体を形成する[43]。結合材の配合と骨材の種類により多様なコンクリートが存在し、強度や密度、化学的・熱的抵抗性がそれぞれ異なる。

建設用骨材は、一般に粗砂利石灰岩花崗岩などの砕石といった粗骨材に、砂などの細骨材を加えたもので構成される。

セメントペーストは、最も普及している結合材である。セメント系結合材の場合、乾燥セメント粉末と骨材に水を加えると、半流動状のスラリー(ペースト)が生成し、通常は型枠に流し込んで成形される。コンクリートは「水和」と呼ばれる化学過程によって固化・硬化する。水はセメントと反応して他の成分を結合し、堅牢な石状材料を形成する。

フライアッシュスラグなどは、セメント粉に予め混合されたり現場で混合されたりし、結合材の一部となることがある[44]。フライアッシュとスラグは、フレッシュコンクリートの性質や耐久性などの一部特性を改善することがある[44]。結合材としてセメント以外を用いることも可能で、最も一般的な代替はアスファルトであり、アスファルトコンクリートの結合材として用いられる。

混和材料は、硬化速度や材料特性を変化させるために添加される。鉱物系混和材料には石炭火力発電の副産物であるフライアッシュ、製鉄の副産物である高炉スラグ微粉末英語版、電気アーク炉の副産物であるシリカフューム英語版等が含まれる。

ポルトランドセメントコンクリートを用いる構造物には、通常、鋼材による補強が施される。これは、この種のコンクリートが高い圧縮強度を有する一方で、引張強度が低いためである。したがって、一般に引張に強い鉄筋等で補強される。

以上のような配合設計は、建設される構造物の種類、コンクリートの練混ぜ・運搬方法、ならびに打設方法に依存する。

セメント

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袋詰めセメント数トン。日産1万トンのセメントキルンの約2分間の生産量に相当

ポルトランドセメントは、最も一般的に用いられるセメントの一種であり、コンクリート、モルタル、多様な漆喰の基本材料である[45]アライト英語版ベライト英語版などのケイ酸カルシウムアルミネート英語版カルシウムアルミノフェライト英語版といった水と反応する化合物の混合物から成る。ポルトランドセメントおよび類似材料は、石灰石(カルシウム源)と粘土または頁岩(ケイ素アルミニウム源)をセメントキルン焼成し、得られたクリンカー石膏硫酸塩源)とともに粉砕して製造される。

コンクリート原料の中でセメントは最もエネルギー集約的であり、セメントキルンは極めて大型で複雑、粉じん発生性の高い産業設備である。高度に効率化された複雑なキルンであっても、1トンのクリンカーを製造しセメントに粉砕するには、3.3〜3.6ギガジュールのエネルギーを要する。多くのキルンは処理困難な廃棄物を燃料とすることができ、最も一般的なのは使用済みタイヤである。非常に高い温度とその温度での長い滞留時間により、セメントキルンは利用が難しい燃料であっても効率的かつ完全に燃焼させ得る[46]。ポルトランドセメントにおけるカルシウムシリケートやアルミネートなどの主要5成分の比率は、重量比でそれぞれ概ね5〜50%の範囲にある。

水和

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セメント系材料に水を加えると、水和反応によりセメントペーストが形成される。セメントペーストは骨材を接着し、その空隙を充填し、流動性を高める[47]

エイブラムスの法則英語版が示すように、水セメント比が小さいほど、より高強度で耐久的なコンクリートとなり、大きいほどスランプが大きい流動性の高いコンクリートとなる[48]。セメントの水和は多くの併行反応から成り、ケイ酸塩・アルミネート成分の重合反応と、砂・砂利の結合を通じて固体塊を形成する[49]。一例として、トリカルシウムシリケート(アライト)の水和は次のように表される。

  • 標準表記:Ca₃SiO₅ + H₂O → CaO・SiO₂・H₂O(ゲル)+ Ca(OH)₂ + 熱
  • 平衡式:2 Ca₃SiO₅ + 7 H₂O → 3 CaO・2 SiO₂・4 H₂O(ゲル)+ 3 Ca(OH)₂ + 熱(C‑S‑H 中の CaO・SiO₂・H₂O の比は可変)[49]

セメントの水和(養生)は不可逆である[50]

骨材

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砕石骨材

細骨材および粗骨材は、コンクリート配合の大部分を占める。主として砂利砕石が用いられる。建設解体掘削由来の再生骨材は、天然骨材の代替として使用が増加しており、空冷高炉スラグや炉底灰英語版を含む各種の人工骨材の使用も認められている[51]

骨材の粒径のばらつきは必要とされる結合材量を規定する。粒径が均一な骨材は間隙が大きくなる一方、小粒の骨材を加えるとこれらの間隙が充填される傾向にある。結合材は骨材間の間隙を満たすと同時に骨材表面を被覆・接着する必要があり、一般に配合中で最も高価な成分である。このため、骨材の粒度にばらつきを持たせることはコンクリートのコスト低減につながる[52]。骨材はほぼ常に結合材よりも強いため、その使用がコンクリートの強度を損なうことはない。

締固め後、振動の影響による骨材の再配列はしばしば不均質を生み、強度の勾配をもたらすことがある[53]

装飾目的では、珪岩、小粒の川砂利、砕ガラスなどを表面に散布して、いわゆる洗い出し仕上げとすることがあり、美観設計において人気がある。

混和材料

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混和材料は、粉末または液体の形でコンクリートに添加され、通常の配合では得られない特性を付与する材料である。混和材料は「コンクリート練混ぜの最中に添加される」ものと定義される[54]。一般的な使用では、混和材料の添加量はセメント質量の5%未満であり、計量・練混ぜ時に添加される[55]。代表的な混和材料の種類[56]は以下のとおりである。

  • AE剤:微細な気泡を導入して凍結・融解に対する風化耐久性を高める。一方で、空気量1%の増加は圧縮強度を約5%低下させるというトレードオフがある[57]。混練過程で過剰な空気が捕捉された場合は、消泡剤で気泡の凝集・上昇・消散を促す。
  • 接着増強剤:旧コンクリートと新コンクリートの付着を確保するために用いる。一般に高い耐熱範囲と耐食性をもつポリマー系。
  • 防錆剤:コンクリート中の鋼材の腐食を抑制。
  • 防水剤:透水性を低下させる目的でバッチング時に添加されることが多い。未水和セメント粒子と水に反応して不溶性の針状結晶を生成し、毛細管孔や微細ひび割れを充填して水や水系汚染物の経路を遮断する。水への継続的曝露で結晶化が進行するため、自己止水が期待できる。
  • 顔料:美観上の目的で着色。
  • 減水剤(可塑剤):フレッシュコンクリートのワーカビリティ(打設のしやすさ)を高め、締固め労力を低減する。代表例はリグニンスルホン酸塩。水量を減らしても同等の施工性を維持できるため減水剤と呼ばれる。強度・耐久性の改善に資する。
  • 高性能減水剤英語版:従来型より副作用が少なく、より大きな流動性向上を可能にする。水量を15〜30%低減しつつワーカビリティを高め、圧縮強度の向上に寄与。
  • ポンピング助剤:ポンプ圧送性の向上、ペーストの増粘、分離・ブリーディングの抑制。

鉱物混和材と混合セメント

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セメントの構成成分:
化学・物理特性の比較[注釈 2][59][60][61]
性質 ポルトランド
セメント
珪質[注釈 3]
フライアッシュ
石灰質[注釈 4]
フライアッシュ
スラグセメント英語版 シリカフューム英語版
質量比(%)
SiO2 21.9 52 35 35 85–97
Al2O3 6.9 23 18 12
Fe2O3 3 11 6 1
CaO 63 5 21 40 < 1
MgO 2.5
SO3 1.7
比表面積(m2/kg)[注釈 5] 370 420 420 400 15,000
– 30,000
比重 3.15 2.38 2.65 2.94 2.22
一般用途 主結合材 セメント代替 セメント代替 セメント代替 性能改善剤
  1. ^ 質量・体積の大きいコンクリートで、ダムや橋桁などの大規模な構造物に用いられる。
  2. ^ 値は概略
  3. ^ ASTM C618 Class F
  4. ^ ASTM C618 Class C
  5. ^ シリカフュームの比表面積は窒素吸着法(BET)による。その他は空気透過法(ブレーン法)。

ポゾラン英語版反応性または潜在水硬性を有する無機微粉末は、コンクリートの特性を改善する鉱物混和材料や[55]、ポルトランドセメントの代替としての混合セメントに用いられる[62]。石灰石粉、フライアッシュ、高炉スラグなどの有用なポゾラン活性英語版材料を取り入れた製品の研究・実用化が進んでおり、セメントが世界の温室効果ガス排出の約5〜10%を占めるとされる状況において[63]、その環境影響を低減するうえで重要性が増している。代替材料の使用はコスト低減、性能向上、廃棄物の再資源化にも資し、とりわけ原材料採取・廃棄物発生・埋立の環境影響が増大している建設業におけるサーキュラーエコノミーの観点から重要である。

代表例:

  • フライアッシュ:石炭火力発電の副産物で、ポルトランドセメントの部分代替(質量比で最大60%程度)に用いられる。性状は燃焼した石炭の種類に依存し、一般に珪質フライアッシュはポゾラン性、石灰質フライアッシュは潜在水硬性を示す[64]
  • シリカフューム英語版ケイ素およびフェロシリコン合金製造の副産物。フライアッシュに類似するが粒径は約100分の1と極めて微細で、比表面積が大きくポゾラン反応が速い。高強度・高耐久コンクリートの実現に寄与する一方、一般にワーカビリティ確保のため高性能減水剤を要する[65]
  • 高反応性メタカオリン英語版(HRM):シリカフューム使用コンクリートに匹敵する強度・耐久性を与える。シリカフュームが通常濃灰〜黒色であるのに対し、HRMは明るい白色で、意匠コンクリートで外観が重視される場合に好まれる。
  • カーボンナノファイバー英語版:圧縮強度とヤング率を高め、ひずみ監視・損傷評価・健全性モニタリングに必要な電気的特性の改善にも寄与する。高い引張強度と高い導電性により、機械的・電気的特性および自己モニタリング挙動に利点を有する[66]
  • 炭素系添加材による導電化:コンクリートを導電化し、融氷・防氷(デアイシング)目的に用いる試みがある[67]
  • 使用済み紙おむつの再生利用:日本の北九州市立大学の研究によれば、洗浄・乾燥した再生紙おむつ混合物を用いることで、埋立量の削減とコンクリート生産における砂使用量の低減に資する可能性が示された。新しいおむつ–セメント複合材の強度・耐久性を検証するため、インドネシアにモデル住宅が建設された[68]

製造

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コンクリート工場英語版でサイロからコンクリートミキサー車へ投入する様子
アラバマバーミングハムのコンクリート練混ぜ工場(1936年)

コンクリートの生産は、水・骨材・セメント・各種添加材を混合し、コンクリートを製造する工程を指す。コンクリート生産においては時間が重要で、材料を混合した後は硬化が進行する前に所定位置へ投入・成形しなければならない。現代では多くが工業的な大規模施設であるコンクリート工場英語版で行われ、通常は型枠内に打設して、硬化して形状を自立できるようになるまで保持する方法が用いられる。

コンクリート工場には主にレディーミックス工場とセントラルミックス工場の2種がある。前者は固体成分のみを混合し、後者は同様に混合したうえで水を添加する。セントラルミックスは品質の精密な制御が可能であるが、水和が工場で開始するため、使用現場に近接して設置する必要がある。

工場は、セメントなど各種材料の大容量ホッパ、骨材や水の貯蔵設備、各種混和材料の添加機構、個々の材料を計量・搬送・練混ぜする機械、そして混合コンクリートを払い出す設備(多くはコンクリートミキサー車への積込み)から構成される。

現場練りコンクリートは、ごく少量か逆に非常に大量のコンクリートを必要とする場合に現場で混合されて作られる。ごく少量のコンクリートを必要とする場合は手作業や小型のミキサで練られ、非常に大量のコンクリートを必要とする場合は建設現場内にバッチャープラントと同様の、サイトプラントと呼ばれる施設を建設して行う。

現場練りコンクリートの調製にあたっては、設計者から施工者に対してコンクリート材料の混合比を指示されることがある。設計者などによって仕様書などで行われるこれら混合比の指示を示方(しほう)といい、指示された配合割合を示方配合(しほうはいごう)という。

施工

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現代のコンクリートは通常、高粘性の流動体として調製され、型枠へ流し込む。これを打設と呼ぶ。型枠は形状を規定する容器であり、スリップフォーム工法英語版などさまざまな工法に合わせて準備される。別法として、工場でプレキャストコンクリート製品を製造することもある。

打設後は、期待する特性を得るために適切に養生する必要がある。打設の中断により、先に置かれたコンクリートが次のバッチを重ねる前に凝結を始めると、両者の間にコールドジョイントと呼ばれる水平な脆弱面が形成される[69]。こうした打設・養生段階における各種要因は、製品の品質に影響を与える。

型枠組み

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かぶり厚の図

コンクリートは固まるまでの形状を保つために型枠と呼ばれる仮設備を組んでおき、打込み後、硬化するまでの所定時間を型枠内で養生する必要がある。型枠組みは大規模になると「型枠工事」と呼ばれる。型枠は一般に「せき板」と呼ばれるコンクリートに接する板状部品とそれを直接支える「リブ」から構成され、これらの他にも型枠の支えとなる「横ばた」「縦ばた」が加わり、大規模な型枠ではこれに「根太」「大引」「支柱」といった支保工が加わる。せき板の内面には完成時にコンクリートが剥がれ易くするために油や樹脂が塗られる。せき板には合板が用いられることが多いが、アルミニウム、ステンレス、樹脂、紙、コンクリートが使われることもある。特殊なものでは、穴の空いたせき板の内面に布を張ることで余分な水や気泡が抜けるようにしたものや、あらかじめタイルをせき板の内面に貼り付けておくことで、後のタイル貼り作業を省くものもある。コンクリート壁などの施工では、Pコンや木コンと呼ばれる小さな部品とセパレータという金属棒で、両面のせき板の間隔を固定する方法が多く用いられる[70]

打込み

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コンクリートの型枠への打設(打込み)の際には、コンクリートの均一性の確保と初期欠陥の防止が求められる。均一性の確保とは比重の異なる材料が分離することを防ぐことであり、そのためには常に攪拌しておき、打込み時に激しく落とさず打込み後も横移動させないようにすることである。

締固め

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打込みの直後には十分な締固めを行い、未充填(空洞)、気泡、豆板(ジャンカ)、コールドジョイントなどが起きないようにする。締固め作業では、内部振動機や木づちによって内側や外側から適度な振動を与えることで、コンクリートを流動化させ、打込み時に行き渡らなかった隅々にまで流れるようにしながら、同時に、内部に含まれる空気の泡や余分な水分を浮かび上がらせる。十分な締固めを行うために、打込み時には40-50cm程の厚みまでの層状に積み重ねるようにして、厚みがある施工では打込みと締固めを何度も繰り返すことになる[注釈 1][注釈 2][70]

締固めが不足すると未充填箇所を生じてしまい、過剰な加振によって材料分離を生じることもある。さらに、凝固後に表面に多量の気泡状の孔を生じ強度や美観を損ねることになる。また、十分なかぶり(建築用語では「かぶり厚さ」)の確保が必要である。かぶりとは、鉄筋からコンクリート表面までの最短距離を指す。

仕上げ

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ある程度凝結が進んだ段階で、美観的な意味や表面密度を高めて水密性を含む耐久性を高めるためにも、コンクリートの表面を平滑に仕上げる仕上げ作業が行われる。一般的には、スコップや鋤簾(じょれん)で荒均し(あらならし)を行い、木ゴテを使って凹凸を修正する。最後に金ゴテやエンジン式のトロウェル、バイブレータなどで仕上げを行う[70]

経験や作業員が足りないと水勾配が取れないどころか平坦にすらならない仕上がりになる。またコンクリート強度を上げすぎたり季節(夏場は凝固が早く進む)により仕上げが難しくなる。充填漏れや仕上げのしやすさから一概に「コンクリートは高強度がいい」と言えない点がある。

養生

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コンクリートの凝結が適切に進むように保護する期間。一般的には散水養生が広く行われ表面乾燥と全体の熱を取る事で急速凝固を防ぐ事を目的とする。仕上げ後3~5時間ほどから行い1日数回、数日間水道ホースにて散水を行う。夏場は温度上昇が激しい為表面を流水するほど多く掛ける、型枠に散水し熱を下げるのもよい。しかし、表面の熱を急速に奪うとコンクリート内部との温度差により温度ひび割れが生じるため注意が必要である。むしろ、保温養生として散水あるいは湛水する場合も多い。

湿ったマットで表面を覆う湿潤養生を行う場合もある。大規模な施工では、内部の熱を逃がすための冷却管を使用することがあり、寒冷地での施工では氷点下となって内部の水が氷結・膨張するのを防ぐために保温することもある[70]

湿潤養生の期間として、土木学会は一般的なコンクリートで5日間、早強セメントの場合で3日間を示している。

管理された打継面

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コンクリートは材料を混合した時点から凝結による固化が始まるため、その施工は迅速に行われなければならない。特に一度、打込み作業が始まった作業箇所ではコンクリートの層を短時間に積み上げてゆく事が求められるが、常にこの作業が無制限に続けられるとは限らず、時として計画的に作業は中断されることがある。このような場合に、次回の作業再開時に障害なく連続し繋がるように作られる面が「管理された打継面」であり、この管理された打継面を作るには、表面に浮いてくる余分なブリーディング水をレイタンスと呼ばれる不純物と共に洗い流して粗骨材を露出させておく方法や、一度固まった後でその表面を物理的に剥ぎ取ってレイタンスなどが含まれる表面層を取り去って粗骨材を露出させる方法がある。このような管理を行わずに固まったコンクリート面に次の打込み作業を行う打継ぎだけでは、コールドジョイントによる強度不足が生じる可能性が高い[70]

施工者の経験や技術によって、完成した製品の強度や仕上げの美しさに大きな違いが生じる。打放しコンクリート建築物では、常に外気・水・日光、そして視線に晒されるので、業者の慎重な選定が必要となる。

耐久性

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耐用年数

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コンクリート構造物の供用年数は壁の厚さに比例しており、ヨーロッパ中世及び近世時代の城壁や太平洋戦争時の配筋も無い壁の厚さ2メートルを越える建築物は未だ現役である。しかし日本の旧建築基準で建築された壁厚0.31メートル程度の建造物は普通50-60年程度といわれており、高度経済成長期に大量に建設された構造物の維持・管理が21世紀の日本の大きな課題となる。

建設省が1998年にまとめた「建設省総合技術開発プロジェクト」の報告書によると、セメントに混入する水を50%以下まで減らし、鉄筋のかぶり厚を十分に取り、収縮や凍結を抑制する添加剤を加えることで、500年以上といった半永久的な耐久性を確保することが可能である。ただ、こうした施工を行うと工期が延びてコストも増大するため、そこまでの耐久性を想定して鉄筋コンクリート構造物を建設することは少ない。

変状種類

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複合的要因による劣化事象

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  1. 中性化
  2. 塩害
  3. アルカリ骨材反応アルカリシリカ反応アルカリ炭酸塩反応アルカリシリケート反応
  4. 凍害
  5. 化学的腐食
  6. 疲労
  7. 風化老化
  8. 火災

劣化要因

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コンクリートはメンテナンスフリーの材料と称される時代があったが、実際には様々な原因によって劣化を生じる。以下に主な劣化機構を挙げる。

  • 荷重の増大と設計
    1. 社会的ニーズに伴い、重量や頻度などの疲労荷重が増大した
    2. 地震波浪などの外力の解明が、かつては不十分であった
    3. 構造物設計時に過度に経済性を追求した
    4. 許容応力度の変化に象徴されるように、蓄積技術に変化が生じた
  • 建築環境の影響
    1. 凍結防止剤、海水などに含まれる塩化物によって、塩化物イオンが鉄筋コンクリート中の鋼材を腐食させる(塩害
    2. 二酸化炭素によって、コンクリートがアルカリから中性化し、鉄筋コンクリート中の鋼材の不動態被膜が失われる
    3. 温度湿度の変化によって伸縮し、コンクリートにひび割れが入る
    4. 酸性雨によって、セメント水和物の化学変化による軟化や破壊が起こる
    5. その他、社会変化
  • 材料の品質と選択
    1. アルカリ骨材反応によってある反応性物質が膨張し、コンクリートにひび割れを生じる
    2. セメントの品質
    3. 海産骨材の不適切な使用(洗浄の不十分な海砂を細骨材として用いるなど)により、塩化物イオンが大量にコンクリート中に含まれる
  • 人員(現場作業員)の質
    実際に施工する人員の工法にたいする無知、怠慢によるもの。

検査

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施工時に行う検査

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工事規模により必要性があれば受入検査として、要求品質の適合性確認として一般的にスランプ試験、空気量試験、塩化物量試験、後日試験の強度試験用の供試体の採取を行う。

小規模工事の場合、これら受入検査を割愛し、JIS適合性の確認のみの場合もある。

単位水量試験

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耐久性能等の確認のために使用される試験方法で、打設されるコンクリートの水量を具体的数値にする検査。水セメント比により強度が決定される性質上、使用される水量が打設前に分かれば強度低下の危険性を従来より、より安全に回避することを目的として策定された。

現時点では一本化された試験方法が無く、様々な試験方法が立案されている(電子レンジ法、RI法、エアメーター法等)どれも一長一短があり、なおかつ同一試料で別々の試験を行った場合、違う数値となることもある、標準化を模索中の試験法である。

非破壊検査

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非破壊検査には外観検査と内部検査とがある。

  • 外観検査は、目視や写真ビデオの撮影による外観の検査である。
  • 内部検査は、超音波X線赤外線などを利用した内部の状態の検査である。

維持管理計画

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初期点検、劣化予測、要求性能の評価・判定、対策、点検、記録をする必要がある。

特殊なコンクリート

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コンクリート自体が特殊なもの

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一般的なコンクリート(普通コンクリート)以外に、以下のように特殊な目的に用いられるコンクリートがある。

高強度コンクリート
高層建築や大スパン建築の実現のために開発された、普通コンクリートよりも強度の高いコンクリート。高強度コンクリートは設計基準強度は36N/mm2~、超高強度コンクリートでは60N/mm2超のものもある。超高層マンションの増加に寄与している。
硬化時に内部の気泡を減少させて密度を高めているが、近年地震時などの火災熱により内部の水分が気化膨張して破裂する「爆裂」の危険が指摘され(通常のコンクリートは気泡が水分の逃げ道となる)、2000年頃よりポリオレフィン系の繊維などを混入して高温時に水分の逃げ道を生じさせる対策が行われている。
遮蔽コンクリート
などの比重の大きな金属や高密度の骨材を用いるなどの方法で、放射線遮蔽機能を持たせたコンクリート。放射性廃棄物の容器、原子力施設の一部、核シェルターなどに用いられる。なお、コンクリート自体もガンマ線中性子線等の遮蔽能力を有するが、遮蔽コンクリートはそれを更に強化したものである。重量コンクリートとも呼ばれる。
軽量コンクリート
軽量骨材などを用いて普通コンクリートよりも密度を軽くしたコンクリート。普通コンクリートよりは強度が劣るとされる。強度をさほど必要とせず、重量を節減したいシンダーコンクリートなどの箇所に用いる。超軽量コンクリートの中には比重1.0以下で水に浮くようなものも開発されており、住宅の外壁材や防音材などに使用されている。ヘーベル板、パワーボード、ALCなどの名称で流通している。
緑化コンクリート
直接植栽のできるコンクリートであり、屋上緑化や壁面緑化、河川の護岸工事等に用いられる。粗骨材の間に空隙を持たせ、根・空気・水が通るようになっている。
水密コンクリート
高い水密性を求められるプール、水槽等に使用されるコンクリートである。

補強コンクリート

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コンクリートと他の(通常、引っ張り強度が高い)素材との複合材料。コンクリート自体は普通であることが多い。

補強材で骨組みを作る鉄筋コンクリートが代表的だが、他に、混合するもの、塗布するもの、貼り付けるものなどもある。

鉄筋コンクリート
竹筋コンクリート
コンクリート充填鋼管構造 (CFT)
繊維補強コンクリート (FRC)
合成繊維、スチール繊維、炭素繊維、ガラス繊維などを混入等したコンクリート。
スチール繊維補強コンクリート (SFRC)
太さ0.5mm、長さ30mm程度の鋼繊維を混入するもので、コンクリートとの付着性もよく、靭性も得られる。また耐摩耗性や耐熱性にも優れているので路盤によく用いられている。
ガラス繊維補強コンクリート (GFRC, GRC)
セメントモルタルを耐アルカリガラス繊維で補強したもので、曲げ強度、衝撃強度、靭性にすぐれ、自由な形状とする事が出来るため、外装パネルによく用いられている。
炭素繊維補強コンクリート (CFRC)
直径15μの炭素繊維を混入するが、高価なため使用実績は少ない。

日本の生コンクリート

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  • 2009年に全国生コンクリート協同組合が公表した、2008年の日本の生コンクリートの生産量は約1億m3。ピークであった1990年の1億9800万m3からほぼ半減している。
  • 生コンクリートの発注は、余裕を持って多めにされて現場に納品されるため、最低でもその1割ほどは余剰分となり「利用されず」持ち戻される。その余ったコンクリートを残コン・戻りコンといわれる。
  • 残コンの殆どは生コンクリート工場に戻され、再利用もされずにそのまま産業廃棄物として処理される。その量を全国で足し合わせると,年間 150~200万m3にも及ぶ。

脚注

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注釈

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  1. ^ 締固め作業での過剰な振動は、材料の分離を招いてコンクリートの均一性が損なわれるので、避けられなければならない。
  2. ^ コールドジョイントが起きないようにするために、打ち重ねの層は2-2.5時間以上の間をあけないように計画的な作業管理が求められ、それ以上の時間間隔があく場合には「管理された打継面」にする。

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  • 『コンクリートのはなし〈1〉』藤原忠司・宮川豊章・長谷川寿夫・河井 徹、技報堂出版、1993年 ISBN 9784765543873
  • 『コンクリートのはなし〈2〉』藤原忠司・宮川豊章・長谷川寿夫・河井 徹、技報堂出版、1993年 ISBN 9784765543880
  • 『良いコンクリートの原点―単位水量の管理』吉兼 亨、セメントジャーナル社ISBN 9784915849244
  • 『良いコンクリートを打つための要点 改訂第5版』土木施工管理技術研究会、ISBN 9784886150653
  • 『わかりやすいセメントとコンクリートの知識』山田順治・有泉 昌、鹿島出版会ISBN 9784306020924
  • 『仕事がひろがるコンクリートの話』安藤哲也著・種田匡延編集、セメントジャーナル社、ISBN 9784915849480
  • 『コンクリートものがたり―コンクリートの文化史』山田順治、文一総合出版ISBN 9784829911228
  • 『新世代コンクリートー 高流動、高強度コンクリートなど』安藤哲也、セメントジャーナル社、ISBN 9784915849046
  • 『コンクリートハンドブツク』吉田徳次郎、養賢堂、1949年 ASIN B000JBJXA8

関連項目

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外部リンク

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