高速道路
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高速道路(こうそくどうろ、日本における英語表記はExpressway)とは迅速な交通移動を達成することを主目的にした道路であり主に自動車が高速かつ安全に走行できるような構造になっている。国や地域の道路網の中で基幹的な役割を担うことが多い。
概要[編集]
高速道路とは交差点をなくすなどの出入り口・合流箇所制限の実施や、上下分離することで高速走行を可能とした道路のことである。国や地域によって名称や規格などは異なっている。高速道路の役割としては国や地域の道路網の中核を担う役割を担っている。また、平行して走る一般道路の渋滞緩和の効果もある。具体的な安全実現の例として一般道路とは出入口によって隔てることで歩行者や高速での移動が不可能な小型車両の進入を防ぐなどの工夫が挙げられる。
世界で最初に高速道路が建設された国は1924年のイタリアで、次いでアメリカと続き、その後世界各国で高速道路が建設された[1]。
高速道路の名称は、世界各国で異なっている。ドイツ・オーストリアは「アウトバーン」、アメリカ・オーストラリアは「フリーウェイ」、カナダは「トランスカナダハイウェイ」、フランスは「オートルート」、イギリスは「モーターウェイ」、イタリアは「アウトストラーダ」と呼んでおり、日本では俗に「ハイウェイ」と呼ばれることもある[1]。
日本[編集]
日本では高速自動車国道と広義の自動車専用道路(都市高速道路なども含む)とを指して「高速道路」と位置付けている[2]。
建設・運営に関しては国土交通大臣が内閣決議を経て予告・告知を行う義務を有する。
大都市圏内の移動を目的とする高速道路は都市高速道路と呼ばれる。都市高速道路では用地取得などに制約が多く、都市間を結ぶ道路と比較すると線形が悪く速度規制も厳しい場合が多い。都市高速道路の役割としては都市間を結ぶ道路とは異なり、通勤・通学や買い物などの日常的な利用が多いとされている。
路面に関しては特殊な溝や凹凸加工を施して音を出す、意図的に粗い路面にすることで居眠り運転や通行が許可された範囲を逸脱する通行への警告を示す等の対策が施されていることもある。(ランブルストリップス、高輝度レーンマーク(商標:バイブラライン)など)
アメリカ合衆国[編集]
アメリカにおいては1956年(昭和31年)に承認した連邦補助高速道路法により州間高速道路網が整備された。各州間高速道路にはそれぞれ個別の路線番号が付加されており、州間高速道路XX号線 (IH-XX; Interstate Highway XX) もしくは単に州間道XX号線 (I-XX; Interstate XX) と表記される。
ドイツ連邦共和国[編集]
ドイツには自転車専用の高速道路がある。道路には信号機や凹凸がない。現在開通しているのはデュイスブルク、ボーフム、ハム等ドイツ西部の10都市と4大学を結ぶ計画の道路(100 km以上)のうち5 kmで、同道路の大部分は線路(現在不使用)に沿って建設される予定。この他にも2つの自転車用高速道路が計画されている他、2つの自転車用高速道路が「実現可能性の調査」が行われている[3]。
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歴史[編集]
1908年にアメリカにおいて世界初の自動車専用道路とされるロング・アイランド・モーター・パークウェイ(Long Island Motor Parkway)がニューヨークで開通している。1920年代に入ると、ニューヨークのパークウェイはニューヨークのマスタービルダーと呼ばれるロバート・モーゼスによって広い範囲へと拡大が進められた。モーゼスはパークウェイを、アメリカ合衆国を自動車指向社会へと発展させるための道具であり、混雑の激しい都市地域からロング・アイランドの開発途上地域へと人口を分散させるための手段であると位置づけ、積極的な拡大方策を採った。
初期の高速道路は軍事目的の側面が強かった(アウトバーンは滑走路としても使うことが検討された)が、次第に経済発展の目的が強くなっていった。
ドイツでは、1932年にアウトバーンのボン - ケルン線が初開通し、1933年にアドルフ・ヒトラーが政権につくと、第一次世界大戦で自動車が活躍したことを背景に、アウトバーンの建設計画が推し進められ、第二次世界大戦前までに3859キロメートル (km) の高速道路網を完成させていった[4]。アメリカでは、1940年にペンシルベニア州のペンシルベニア・ターンパイク開通を皮切りに高速道路時代に入り、目覚ましい発展をみせていくこととなった[4]。また、世界では道路先進国でありながら、高速道路では一歩後れを取っていたイギリスでは、本格的な高速道路建設が始められたのは1957年以降のことであった[4]。
一方で、日本の道路事情は欧米諸国に大きく遅れをとっていたが、戦後の高度経済成長期にあたる1963年(昭和38年)7月16日に、日本初となる高速自動車国道として、名神高速道路の栗東IC - 尼崎ICが開通した[4]。
幾何構造[編集]
高速道路は高速走行を容易にするため、設計上カーブの曲率や勾配(アップダウン)を緩和した線形としている。また、対向車線の自動車との衝突をさけるために中央分離帯が設けられることもある。故障した場合に停車できるために路肩のスペースも広く設けられている場合が多い。
高速道路は原則として信号機や交差点を極力設けないなど他の道路とは独立しており、他の道路や鉄道とは立体交差されている。高速道路への流入は交差点を用いず、インターチェンジ(IC)を用いる。また信号機も使用しない。特に高速道路同士での交差は、ジャンクション(JCT)と呼ばれる。
そのため高架や盛土などの構造物を建設して、その上に作られる場合もある。山間部のような地形では、トンネルも多用される。
高速道路では駐停車ができないので、パーキングエリア(PA)やサービスエリア(SA)といった休憩スペースやガソリンスタンドなどが設けられている[5]。サービスエリアなどでは駐車し、休憩や食事などが行えるほか、地域のおみやげものなどが購入できる[5]。
- 多様なインターチェンジの見取り図
交通運用[編集]
高速道路の管理はその高速道路によって様々であり、事業主体も異なる。ただ全体的に見た傾向では、政府の管理下にあるものが多い。
開発途上国においては建設費の財源として世界銀行や政府開発援助による融資を受けて、公共事業として行われることが多々ある(日本においても名神高速道路などが世界銀行の融資によって整備された[6])。
高速道路は出入り口制限されているために料金を徴収する場合がある。料金については日本のように有料だったものを低価格化している場合もあれば、ドイツのように長年無料だったものが料金徴収を始めたケースもあるなど様々である。有料の場合ではITSの導入の一環としてや料金徴収所での渋滞を緩和するために無線通信による自動料金収受システム(ETCなど)の導入が進んでいる。
料金[編集]
有料の場合と無料の場合がある。ドイツなどでのアウトバーン、イギリスなどでのモーターウェイでは基本的に無料である。またアメリカやオーストラリアのフリーウェイも基本的に無料である。
フランスのオートルートも「道路は無料」という原則に基づくものであるが、高速道路法によって許可会社(SEMなど)が有料で道路を建設できるとされたため、事実上有料制が採られている。ただし、公共性の観点から無料であるべき道路や機能上重要な路線、いわゆる都市内高速道路や港湾道路、国境近郊の道路は無料である。
ポーランドのアウトストラーダも原則無料である。それに対し、イタリアのアウトストラーダは有料である。
日本では地方の路線などで一部無料の場合があるが、一般に有料である。民主党は高速道路無料化をマニフェストで提唱し、2010年度には高速道路無料化社会実験を一部路線で実施した。
高速道路の事故[編集]
高速道路は一般道路と比較すると線形などの条件が良好で、交差点なども少ないため交錯する危険性も少ないことから一般道より走りやすく事故の発生率そのものは低い[7]。しかし、高速走行下での事故となるために死亡事故などの重大事故となりやすいといった問題がある。
事故原因の一例として高速道路では直線区間が長く続く状況下に由来する催眠現象がある。現象の影響により運転者には眠気を催す、或いは現実感の喪失等といった症状が認められ、結果として交通事故につながる要因となり得る。
事故防止策として日本では直線道路が建設が可能な地形であっても意図的にカーブ部分を造る等の対策をとる場合がある[8]。これは道路の直線を減らして連続する緩やかなカーブを作ることによって風景に変化を持たせ、ドライバーの集中力を持続させる効果を狙うものである[8]。また過剰な速度での通行を抑制する目的がある。 日本の高速道路の多くの区間は、こうした緩やかなカーブを連続させてあることが多く、純粋な直線区間は少ない。こうした設計手法は、高速道路の先進地であるドイツのアウトバーンの技術が導入されている[8]。
世界の高速道路[編集]
各国の高速道路[編集]
アジア[編集]
米州[編集]
欧州[編集]
大洋州[編集]
アフリカ[編集]
国家間をまたぐ高速道路[編集]
- 欧州自動車道路(ヨーロッパ)
- アジアハイウェイ(アジア)
- パンアメリカンハイウェイ(南北アメリカ)
- トランスアフリカンハイウェイ(アフリカ)
経済効果[編集]
2000年代後半にリーマン・ショックや米国発の世界的金融危機が勃発して以来、実質金利がゼロに近いような記録的状況が5年以上継続している。この状況は主な先進国の国債金利のみならず社債にもあてはまることである。ノーベル賞経済学者であるロバート・シラーも述べるように、長期の実質金利が低い状況においては政府はお金を借りて新しい高速道路などを建造するべきであり、それは健全な投資である[9]。現実に2015年5月の時点で米国の30年インフレ連動債の利率は0.86%であり、他の多くの国でも似たような状況である。経済成長の観点から言えば、1929年以降で米国の経済成長率が最も高かったのは1950年代と1960年代であって、この時期には大規模な高速道路網の構築に多額の政府支出がなされた[9]。
脚注[編集]
- ^ a b 浅井建爾 2015, p. 88.
- ^ “交通の方法に関する教則”. www.npa.go.jp. 2020年6月5日閲覧。
- ^ “ドイツ初、自転車用の高速道路が開通”. フランス通信社. (2016年1月4日) 2018年2月4日閲覧。
- ^ a b c d 浅井建爾 2001, pp. 56–57.
- ^ a b “サービスエリアとパーキングエリアの違いって何?(ドライブまめ知識)”. ネクスコ東日本. 2021年2月11日閲覧。
- ^ 昭和毎日:名神高速道路が部分開通 - 毎日jp(毎日新聞)
- ^ 【伊東大厚のトラフィック計量学】高速道路と交通事故
- ^ a b c 浅井建爾 2001, p. 72.
- ^ a b Is the fear factor holding back US government spendingR.J. Shiller, The Guardian, Business, 19 May 2015
参考文献[編集]
- 浅井建爾『道と路がわかる辞典』日本実業出版社、2001年11月10日、初版。ISBN 4-534-03315-X。
- 浅井建爾『日本の道路がわかる辞典』日本実業出版社、2015年10月10日、初版。ISBN 978-4-534-05318-3。