ユーロクリア

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ユーロクリア(EURO-CLEAR)は、ベルギーブリュッセルにある国際決済機関。2002年に英決済機関のen:CREST (securities depository)を買収して以来、国際決済機関はユーロクリアとクリアストリームの2社だけとなっている。

沿革[編集]

1968年設立当時から2000年の終わりまでずっと、ベルギーのエスタブリッシュメント人脈を通じてモルガン・ギャランティ・トラストとJPモルガン・アンド・カンパニーが支配してきた。2013年現在の株主は、ユーザーでもある約200の金融機関で構成されている[1]。1973年、クリアストリームの前身であるセデルと共に国際銀行間通信協会を設立した。2001年からはグループのユーロクリアバンクに事業を移した。同年、仏決済機関シコバム[2]を買収。2002年、英決済機関クレストを買収[3]。2007年、フランス支社は株式と債権で分かれていた証券決済プラットフォームを一本化[4]

2012年、欧州中央銀行が新たに構築した単一の取引決済プラットフォーム(TARGET2-Securities)を発足させる計画に、交渉の末[5]、イギリスとスウェーデンを除く各国の決済機関と共に参加を表明した[6]。2013年、モスクワ取引所が開かれ、ロシア連邦金融市場庁は預託機関を決済機関として認めた。モスクワ取引所の預託機関(National Settlement Depository)は、ユーロクリアバンクとクリアストリームに接続した[1]

2014年7月6日、アルゼンチンの債務再編後の新債券を保有する複数のファンドが、ユーロクリアとバンク・オブ・ニューヨーク・メロンを相手取り受託者としての職務不履行でベルギーの裁判所に提訴した[7]。アルゼンチン政府は、デフォルトした債権のうちの民間保有分について2005年と2010年に債務額を大幅にカットする形で債務交換を強行し、9割以上の債務を再編していた。債務再編条件が受け入れられず、債務交換に応じなかった債権者はホールドアウト債権者という。政府は彼らの一部から全額返済を求める訴訟を起こされ、米裁判所からNMLキャピタル等原告らへの満額支払を命じられた[8][9][10]。政府は3日、債務支払の仲介役であるメロンとユーロクリアに債務再編に応じた新債券保有者への支払を求めていた[11]。利払いの原資を預託された金融機関などは裁判所の判断を仰いだ[12]。16日、クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル大統領は、新債券保有者への支払の意思を表明するとともに、原告側を交渉に応じないと非難し、デフォルトにはあたらないことを主張した[11]。8月、アルゼンチン政府は合衆国政府を国際司法裁判所に訴えた[13]。原告は翌年2月に協議再開を申し入れた[14]。3月、ニューヨーク連邦地方裁判所はシティバンクに新債券利払いを許可する一方、ユーロクリアには利払い差し止めを命令した[15]

国際証券集中保管機関[編集]

国際決済機関と書いたが、日銀は直訳で国際証券集中保管機関と呼称している。別に有価証券を現物で保管しているわけではない。ここで各国の証券などがオンラインで決済されている。このオンラインシステムに参加できるのは、第一に決済機関と書いてきた各国の証券集中保管機関やコルレス銀行などの、システムそのものを稼動させる経済主体である。第二に、その便益を受ける一般の証券会社銀行である。

国際決済機関をシステムのハブにすると、参加国の証券プール全体での担保管理サービスを提供できるようになる。もともとシステムの稼動は寡占市場であるのに、ハブを設けることでシステムに付加価値が生まれる。

ハブのあるシステムはヨーロッパなどでクリアストリームと共に形成されてきたのであるが、ユーロクリアは今度アジアへ進出するに際し、自分は直接のハブを担わず、決済記録がどこに残るのかよく分からないハブを新たに設けて、そこへ各国決済機関同士を接続させようと考えている[16]

また、各金融機関の支店が決済の当事者になっても、接続している本店のコードと責任でシステムを利用するという便宜を建前に、匿名の口座が開発されていた。その数は、2000年当時の専門家の情報と計算によれば、ユーロクリアが管理する7000の口座に対して3000であった。代理人コナー・リースンは同年8月29日に「匿名クライアント」の数と混同して数を150と答えていたが、12月6日のインタビューで説明の誤りを丁重に詫びた[17]

脚注[編集]

  1. ^ a b 金融先物取引業協会 会報 No.96 平成25年3月
  2. ^ 1949年にフランスの無記名株式の受寄機関として設立され、1998年になってフランス銀行から国債などの証券決済業務を引き継いだ。
  3. ^ 1996年7月にイングランド銀行が中心となって設立された。イギリスでは、日本と同様、商品毎に決済システムが分立していたが、国債、短期金融商品についても1999年にCRESTに統合された。
  4. ^ 野村総合研究所 ユーロクリア・フランスがプラットフォームを一本化 2007年12月
  5. ^ 野村総合研究所 2015年に延期された欧州T2Sの実現 2011年12月号
  6. ^ ロイター ECBの決済プラットフォーム、ユーロ圏の大半の決済機関が参加表明 2012年7月4日 14:31 JST
  7. ^ Bloomberg アルゼンチンのユーロ建て債保有者がユーロクリアなどを提訴 2014/7/7 11:46 JST
  8. ^ 国際通貨研究所 蓄積した歪みの是正を迫られるアルゼンチン p.8.
  9. ^ 外務省 アルゼンチン共和国基礎データ 13.経済概要
  10. ^ RUFO条項は、ホールドアウト債権者に過去の債務再編時よりも良い条件を提示することを禁じている。
    ロイター アルゼンチン債務問題で協議、一部債権者は支払命令停止要請 2014年7月30日 13:33 JST
  11. ^ a b 在アルゼンチン日本国大使館 2014年7月アルゼンチンの経済情勢 2014年8月作成
  12. ^ ロイター アルゼンチン債務問題、米地裁が銀行などからの申立を22日審理へ 2014年7月17日 8:01 JST
  13. ^ 在アルゼンチン日本国大使館 2014年8月アルゼンチンの経済情勢 2014年9月作成
  14. ^ ロイター アルゼンチン、ホールドアウト債権者からの協議再開要請を検討 2015年2月20日 15:46 JST
  15. ^ 在アルゼンチン日本国大使館 2015年3月アルゼンチンの経済情勢 2015年4月作成
  16. ^ 日銀 決済インフラを巡る国際的な潮流とわが国への含意 2012年5月 HKMA/Euroclear(汎アジアCSDアライアンス)
  17. ^ エルネスト・バックス ドゥニ・ロベール 『マネーロンダリングの代理人 暴かれた巨大決済会社の暗部』 徳間書店 2002年 pp.179-180.

外部リンク[編集]