ブロックチェーン

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ブロックチェインの形成。主鎖(黒)は、起源ブロック(緑色)から現在のブロックまでの最長の一連のブロックで構成されている。孤児ブロック(紫色)は、主鎖の外側に存在する。

ブロックチェーン(英語:blockchain)はブロックと呼ばれる順序付けられたレコードの連続的に増加するリストを持つ分散データベースである。各ブロックには、タイムスタンプと前のブロックへのリンクが含まれている。設計上、ブロックチェーンは本質的にデータの改ざんに抵抗する。一度記録すると、ブロック内のデータを遡及的に変更することはできない。ブロックチェーンデータベースはP2Pネットワークと分散型タイムスタンプサーバーの使用により自律的に管理される。ブロックチェーンは、「オープンな分散型の元帳」であり、2者間の取引を効率的かつ検証可能な方法で記録することができる[要出典]

元来、暗号通貨ビットコイン」の中核技術としてサトシ・ナカモト (Satoshi Nakamoto) によって2009年に提唱された技術だが、改ざん困難な記録の方式として通貨以外への応用もある[1]ブロックチェインとも[2][3]

ブロックチェーンは設計上安全であり、ビザンチン耐故障性の高い分散コンピューティングシステムの一例である[要出典]したがって、分散した合意をブロックチェーンで達成することができる[要出典]これにより、ブロックチェーンはイベント、医療記録、その他のレコード管理活動、アイデンティティ管理、トランザクション処理、およびデータの出所を証明するなどの用途に適している[要出典]

仕組み[編集]

ブロックチェーンは、「ブロック」と呼ばれるデータの単位を一定時間ごとに生成し、鎖(チェーン)のように連結していくことによりデータを保管するデータベースである[3]。あるブロックチェーンに参加する者のうち、プルーフ・オブ・ワーク英語版と呼ばれる、計算に時間のかかる値を最初に計算した者が、次のブロックを生成することができる[1](Proof-of-stake など別の手法もある[1])。あるブロックの内容は直前のブロックのハッシュ値に依存するため、いったんチェーンに追加されたブロックを改竄することは(それ以降のブロックを全て破棄しない限り)できない[4]


説明[編集]

ブロックチェーンは安全なオンライントランザクションを容易にする。ブロックチェーンは、登録された取引を遡及的に変更することができないように、多くのコンピュータ間で取引を記録する分散型デジタル元帳である。これにより、参加者は安価な方法でトランザクションを検証し監査することができる。トランザクションは集合的な自己利益によって動かされる大規模なコラボレーションによって認証される。その結果、参加者のデータセキュリティに関する不確実性はほとんどない堅牢なワークフローとなる。ブロックチェーンを使用することにより、デジタル資産から無限の再現性という特性が取り除かれる。それは、価値の各単位が一度だけ移転されたことを確認し、長期にわたる二重支出(Double Spending)の問題を解決する。ブロックチェーンは価値交換プロトコルとして記述されている。このブロックチェーンに基づく価値交換は、従来のシステムよりも迅速かつ安全に、より安価に完了することができる。ブロックチェーンは、オファーと受け入れ(Offer and acceptance)を強制するレコードを提供するため、タイトル権を割り当てることができる。技術的な観点からは、ブロックチェーンは別のハッシュチェーン内のハッシュチェーンである。

ブロックチェーンデータベースは、トランザクションとブロックの2種類のレコードで構成されている。ブロックは、ハッシュされ、Merkleツリーにエンコードされた有効なトランザクションのバッチを保持する。各ブロックは、ブロックチェーン内の先行ブロックのハッシュを含み、その2つをリンクする。この形式の異型は以前はGitなどで使用されていたが、それだけではブロックチェーンとしての資格を得るには十分ではない。連結されたブロックはチェーンを形成する。この反復プロセスは、前のブロックの完全性を、元の起点ブロックまですべて確認する。いくつかのブロックチェーンは、5秒ごとに新しいブロックを高頻度で作成する。ブロックチェーン時代においては、これを高さ(height)が増すと言っている。ブロックは複数の層に分割されて構成されている。

場合によっては、別々のブロックを同時に検証して、一時的なフォーク(分岐)が作成されることもある。セキュアなハッシュベースの履歴に加えて、ブロックチェーンには、異なるバージョンの履歴をスコア付けするための特定のアルゴリズムがあり、より高い値を持つものが他のものよりも選択されるようになっている。チェーンに含めるために選択されていないブロックは、孤児ブロックと呼ばれる。データベースを支えているピアは、常に同じバージョンの履歴を保持しているわけではなく、現在認知しているデータベースの最高スコアバージョンを保持している。ピアが高いスコアリングバージョン(通常は新しいブロックが1つ追加された古いバージョン)を受け取るたびに、ピアは自分のデータベースを拡張または上書きし、他のピアに改善を再送する。特定のエントリーがヒストリーの最高のバージョンに永遠に残るという絶対的な保証はない。しかし、ブロックチェーンは通常、古いブロックに新しいブロックのスコアを追加するために作成され、古いブロックを上書きするのではなく新しいブロックで拡張するインセンティブがあるため、より多くのブロックが構築されるとエントリが上書きされる確率は指数関数的に下がる。その結果、最終的には非常に低くなる。たとえば、Proof-of-work(作業証明)システムを使用しているブロックチェーンでは、最も累積的な作業実績を持つチェーンは、ネットワークによって常に有効なものと見なされる。実際には、十分なレベルの計算を示すことができる多くの方法が存在する。ブロックチェイン内では、従来の分離された並列方法ではなく、計算が(複数のコンピューターで)重複して実行される。

ブロックチェーンは、関連する情報を抽出するためにソフトウェアによって解析される。

応用[編集]

ブロックチェーンは、銀行などの信頼できる「第三者」がトランザクションを完了する必要性を排除することによってトランザクションの検証に必要なコストを削減する。 同技術はまた、ネットワーキングのコストを下げるので、いくつかの応用を可能にする[要出典]。ブロックチェーンの主な用途は、ビットコインなどの暗号通貨を作成することである。 カナダ、中国、イングランド、ヨーロッパ、スウェーデン、シンガポール、南アフリカなどの中央銀行が、ブロックチェーンに基づく暗号通貨の発行について研究している[5]が、それまではこれまでに実現していない[要出典]

オルタナティブブロックチェーン[編集]

Altchainsとも呼ばれるオルタナティブブロックチェーンは、ビットコイン技術に基づいた概念やコードを利用している。 この用語は、ビットコインのメインチェーンを除くすべてのブロックチェーンを包含する。 ビットコインと比較して、これらのデザインは一般にブロックチェーン設計に機能を追加する。 Altchainsは他のデジタル通貨を含むソリューションを提供できるが、これらの設計で使用されるトークンは常にそうであるとは限らない。 Altchainsはパフォーマンス、匿名性、ストレージ、スマートコントラクトなどのアプリケーションをターゲットにしている。 金融アプリケーションに重点を置くことから始めて、ブロックチェーン技術は仲介者を排除する分散アプリケーションや共同組織などの活動にまで拡大されている。

R3[編集]

R3 は2014年ごろに設立された分散台帳技術のコンソーシアム・開発企業である[6][7]Corda と呼ばれるプラットフォームを構築している[8]。そのコードベースのCordaはブロックチェーンではないが、ブロックチェーン技術にインスパイアされた分散台帳技術としている。Cordaは後述のハイパーレッジャー・プロジェクトへ申請されており、受理されればハイパーレッジャーの一プロジェクトとなる。

ハイパーレジャー[編集]

Linux Foundationによるブロックチェーンを共同開発するプロジェクト。金融機関以外にも様々な業界の多数の大企業が参加している。主に3つのインキュベーションプロジェクトを開発している。

懸念[編集]

ブロックチェーンは安全性が理論上保証されているが、分散システムであるためソフトウェアのバグ等により不具合が生じた場合に責任をとって対処する中央の管理者が存在しないことが懸念点として挙げられる[9]

スマートコントラクト英語版へブロックチェーンを応用する場合は、スマートコントラクトの実装の自由度を高めるほど安全性を保証しにくくなる[10]

香港金融管理局はブロックチェーン技術は匿名性を利用して違法な取引や資金洗浄に援用されるリスクがあると2016年11月に報告した[11]

経済への影響[編集]

カナダ、中国、イングランド、ヨーロッパ、スウェーデン、シンガポール、南アフリカなどの中央銀行が、ブロックチェーンに基づく暗号通貨の発行について研究している[12]

2016年の日本の経済産業省の推定によれば、ブロックチェーンの市場規模は67兆円に及ぶとされる[13][14]

日本株式市場への影響[編集]

2015年12月から2016年1月にかけて、インフォテリア株式会社の報道発表(2015年12月4日)[15]を皮切りに、さくらインターネット株式会社(同12月16日)[16]株式会社アイリッジ(同12月17日)[17]株式会社ロックオン(同12月28日)[18]株式会社オウケイウェイブ(2016年1月6日)[19]など、ブロックチェーンに関する業務提携を報道発表した上場企業の株式が軒並みストップ高を記録する現象が発生した。さくらインターネット株式会社の株式にいたっては1ヶ月間で5.5倍も上昇した[20]

通貨以外への応用[編集]

ブロックチェーンの用途として検討されているものとして、ビットコインなどの暗号通貨の他[21]に、スマートコントラクト英語版との組み合わせによる取引の自動化[22]、財やサービスの取引や権利の記録への適用などがある[21]。仮想通貨以外の応用はブロックチェーン2.0と呼ばれる[1][23]

フィンテックをふくむ多様な情報技術にブロックチェーンは利用される。新興諸国を対象に電子政府を超越したビットネイション構想が提出されており[24]、現に南アフリカ共和国ではスマートメーターにブロックチェーンが適用されている。マン島は2016年8月8日モノのインターネットに対する応用を試験すると公表している[25]

2016年9月29日、ユーロクリアPaxos がロンドン貴金属市場協会でブロックチェーンを稼動させるために提携関係となったことが分かった[26]。ロンドン貴金属市場協会は、2010年に金取引データが非公開になったり(HSBC#沿革)、協会内部のシルバー・フィックスで価格操作が行われた疑いによる訴訟が提起されたり(ドイツ銀行#概説)した。ユーロクリアはゴールド・フィックスとシルバー・フィックスの両方に参加するJPモルガンと同じモルガングループであり、また顧客に匿名口座を開設している。

啓蒙活動[編集]

日本で2016年4月25日に、34社が参画してブロックチェーン推進協会(BCCC)が発足[27](同年6月29日には会員企業数61社[28]、2016年8月に加盟企業数80社[29])し、同年4月27日に28社が参画して日本ブロックチェーン協会(JBA)が発足した[30](2017年1月の時点で会員企業数76社[31])。

日本ブロックチェーン協会は2016年10月、「ブロックチェーンの定義」として、プルーフ・オブ・ワークの特徴など[32]、ビットコインにおけるブロックチェーンを意識した「狭義の定義」と、前者を踏襲し、ブロックチェーンのコンポーネント技術に言及した「広義の定義」の2項目を提唱した[33][34][35][37]。JBAは、この定義に関する議論、および公開に至った背景として、「ブロックチェーン」という語の濫用・誤用を挙げている[33][35]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d 荒牧 裕一 ブロックチェーンアルゴリズムの分類と問題点 京都聖母女学院短期大学研究紀要 46, 14-20, 2017-01-16
  2. ^ 岡田仁志, 高橋郁夫, 山崎重一郎『仮想通貨: 技術・法律・制度』5章
  3. ^ a b 山崎重一郎 ブロックチェイン技術の仕組みと可能性 2016年 インターネット白書2016
  4. ^ 斉藤 賢爾 ビットコインにおけるトランザクション、その展性と影響 2014-05-16 WIDE Technical-Report in 2014
  5. ^ Farzam Ehsani Blockchain in Finance: From Buzzword to Watchword in 2016 December 20, 2016 at 13:00 GMT
  6. ^ Stan Higgins. “Inside R3CEV's Plot to Bring Distributed Ledgers to Wall Street”. CoinDesk英語版. 2016年4月28日閲覧。
  7. ^ Nathaniel Popper (2015年8月31日). “Bitcoin Technology Piques Interest on Wall St.”. The New York Times. 2016年4月28日閲覧。
  8. ^ “Introducing R3 Corda™: A Distributed Ledger Designed for Financial Services” (プレスリリース), R3, (2016年4月5日), https://r3cev.com/blog/2016/4/4/introducing-r3-corda-a-distributed-ledger-designed-for-financial-services 2016年10月20日閲覧。 
  9. ^ 第6回 世界の金融機関が注目する 仮想通貨・ブロックチェーン技術 : FinTechが切り拓く新しい金融サービスのかたち : 三菱総合研究所 篠田徹、木田幹久、山野高将、本田えり子、高橋淳一、鵜戸口志郎 2016年12月7日
  10. ^ ブロックチェーン導入における課題とその対応について 2016年8月23日株式会社NTTデータ赤羽喜治
  11. ^ Hong Kong Central Bank Flags Blockchain Money-Laundering Risk by Darren Boey (Bloomberg) 2016年11月11日 16:00 JST
  12. ^ Farzam Ehsani Blockchain in Finance: From Buzzword to Watchword in 2016 December 20, 2016 at 13:00 GMT
  13. ^ 「ブロックチェーン、市場規模67兆円」日本経済新聞2016/8/15 2:00[1]
  14. ^ 阿久津良和 スマートコントラクトで67兆円規模に広がるブロックチェーンの世界 - BCCC発表会2016/08/10
  15. ^ インフォテリアと国内唯一のプライベート・ブロックチェーン技術を有するフィンテック企業テックビューロが事業提携” (2015年12月4日). 2016年4月28日閲覧。
  16. ^ さくらインターネットとテックビューロ、ブロックチェーンの実証実験環境「mijinクラウドチェーンβ」を金融機関やITエンジニア向けに無料提供” (2015年12月16日). 2016年4月28日閲覧。
  17. ^ テックビューロ株式会社との事業提携に関するお知らせ”. 2016年4月28日閲覧。
  18. ^ 株式会社ロックオンとテックビューロ株式会社がブロックチェーン技術を応用したEC用受注エンジンの実証実験を開始” (2015年12月28日). 2016年4月28日閲覧。
  19. ^ OKWAVEとテックビューロが事業提携し、ブロックチェーン技術による知財販売の決済やユーザー認証、サポートキューを共同開発”. 2016年4月28日閲覧。
  20. ^ フィンテック株 期待先行の売買」、『日経ヴェリタス』2016年1月17日号、 15頁。
  21. ^ a b 野村総合研究所 平成27年度 我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査)報告書 平成28年3月 23ページ
  22. ^ 北原真由美 スマートコントラクトがもたらす金融サービスの変化 2016年11月 野村総合研究所
  23. ^ 岩下直行 中央銀行から見たブロックチェーン技術の可能性とリスク 2016.11.16 IBM Blockchain Summit 2016
  24. ^ 日本デジタルマネー協会 BITCOIN2.0概況 2015.05.08 p.63.
  25. ^ マン島政府、IoTに向けたブロックチェーンの実証実験へ”. Coin Portal (2016年8月11日). 2016年10月30日閲覧。
  26. ^ Euroclear and Paxos launch blockchain for gold settlement in London Bullion Market”. Yahoo (2016年9月29日). 2016年11月16日閲覧。
  27. ^ “国内初のブロックチェーン業界団体『ブロックチェーン推進協会 – BCCC』を設立”. (2016年4月25日). http://bccc.global/ja/articles/1.html 
  28. ^ “ブロックチェーン推進協会(BCCC)」加盟企業数が61社になりました” (プレスリリース), ブロックチェーン推進協会, (2016年6月30日), http://bccc.global/ja/articles/297.html 
  29. ^ 『ブロックチェーン推進協会(BCCC)』加盟企業数が80社に 2016年8月17日 ブロックチェーン推進協会
  30. ^ 井口裕右 (2016年4月29日). “「日本ブロックチェーン協会」が発足--28社が参画、行政も“次の一手”に期待”. CNET Japan. 2016年12月20日閲覧。
  31. ^ 新規入会会員のお知らせ、及び会員種別変更のお知らせ Posted 2017年1月26日 JBA
  32. ^ プルーフ・オブ・ワークはコイン偽造を防ぐための仕組みである。偽造は正規のコインよりも仕事量が増えることを利用している。
  33. ^ a b 「ブロックチェーンの定義」を公開しました”. JBA (2016年10月3日). 2016年12月20日閲覧。
  34. ^ 大石哲之 (2016年10月3日). “「ブロックチェーンの定義」を公開しました”. 2016年12月20日閲覧。
  35. ^ a b 日本ブロックチェーン協会(JBA)が「ブロックチェーン」を定義”. ビットコインニュース (2016年10月4日). 2016年12月20日閲覧。
  36. ^ a b 日本ブロックチェーン協会 「ブロックチェーンの定義」を公開しました 2016年10月3日
  37. ^ 日本ブロックチェーン協会による狭義のブロックチェーンとは、「ビザンチン障害を含む不特定多数のノードを用い、時間の経過とともにその時点の合意が覆る確率が0へ収束するプロトコル、またはその実装」をさす[36]。同団体による広義のブロックチェーンとは、「電子署名ハッシュポインタを使用し改竄検出が容易なデータ構造を持ち、且つ、当該データをネットワーク上に分散する多数のノードに保持させることで、高可用性及びデータ同一性等を実現する技術」をさす。[36]

参照文献[編集]

  • アンドレアス・M・アントノプロス 『ビットコインとブロックチェーン:暗号通貨を支える技術』 今井 崇也、鳩貝 淳一郎訳、エヌティティ出版、2016年7月14日ISBN 978-4757103672

関連項目[編集]

外部リンク[編集]