ベイジアンネットワーク

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ベイジアンネットワーク: Bayesian network)は、因果関係を確率により記述するグラフィカルモデルの1つで、複雑な因果関係の推論を有向グラフ構造により表すとともに、個々の変数の関係を条件つき確率で表す確率推論のモデルである。

人工知能の分野では、ベイジアンネットワークを確率推論アルゴリズムとして1980年頃から研究が進められ、既に長い研究と実用化の歴史がある。

特徴[編集]

因果的な特徴を有向グラフ(矢印を用いたリンク)によるネットワークとして表し、その上で確率推論を行うことで、複雑でかつ不確実な事象の起こりやすさやその可能性を予測することができる。これまで蓄積された情報をもとに、起こりうる確率をそれぞれの場合について求め、それらを起こる経路に従って計算することで、複雑な経路を伴った因果関係の発生確率を定量的に表すことが可能となる。ベイジアンネットワークでは、経路については、循環するような経路は扱わず、非循環有向グラフ[1]のみを扱うことができる。

有向グラフを用いずに無向グラフで表現する方法は、マルコフネットワーク英語版[2]と呼ばれる。

ベイジアンネットワークにて全ての問題が解けるという訳ではなく、解けない問題の例も提示されているが、今後の基礎的研究により少しずつ適用範囲は拡がるものと予想される。

モデルの簡単な例[編集]

確率変数A、B、Cの間の条件付依存性をA→C、B→Cと表し、リンクの元となる親ノードをAやB、リンクの先にくる子ノードをCとする時、Aが起こる確率をP(A)、Aが既に起こったときにCとなる条件付確率をP(C|A)のように表すこととすると、Cが起こりうる確率は、P(A,B,C)=P(C|A,B)P(A)P(B)となる。

色々な因果関係に対し、グラフ上の各ノードに対応する確率変数として表現する方法やルールが定められている。複雑な系においても、各ノードにおける条件付確率表やベイズの定理等を用いながら、それぞれの確率を計算でき、確率的な依存関係をモデル化できる。

応用例[編集]

医者の診断[3]、イメージ認識[4]、言語認識[5]、選択アルゴリズム[6]など、1980年代から各種の応用例が報告されている。

脚注[編集]

  1. ^ : directed acyclic graph
  2. ^ : Markov network
  3. ^ シュピーゲルハルター他、1989年
  4. ^ Booker、Hota、1986年
  5. ^ Charniak、Goldman、1989年
  6. ^ ハンソン、マイヤー、1989年

関連項目[編集]