個人情報

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個人情報とは、個人に関わる情報である。英語ではPersonally identifiable information (PII)もしくはsensitive personal information (SPI),[1][2][3]と呼ばれる。

定義[編集]

アメリカ国立標準技術研究所(NIST)が発行するコンピュータセキュリティ関連のガイドラインである[4]SP800シリーズの一つ、SP800-122では、個人情報を以下のように定義している:

組織(agency)によって保全されるれている個人に関する任意の情報で、以下のものを含む
1. 個人の身元を識別したり追跡したりするのに使うことができる任意の情報。たとえば名前、社会保障番号、誕生日や誕生した場所、母親の旧姓、生体情報
2. 個人にリンクされているかリンクすることができる他の任意の情報。たとえば医療、教育、財政、および雇用に関する情報。 — NIST SP800-122

一方個人情報保護法では以下のように定義している:

「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。 — 個人情報保護法第2条1項

JIS Q 15001:2006(3.1章)でもカッコ内も含め、個人情報保護法とほぼ同一の定義をしているが、JIS Q 15001では個人情報保護法と違い個人情報を生存する個人に関する情報であるという制限がなく、死者のデータも個人情報に含まれる[5]

これら3つのどの定義においても、たとえ一見して個人を識別できなくとも他の情報と合わせれば個人の識別が可能になるものも個人情報である。

しかし経団連では、「携帯電話番号は、利用者が求めれば即日変更でき、かつ別の利用者が再利用できる。個人を特定できるとはいえない」[6]とし、携帯電話の番号は個人情報に含まれないと主張している。

プライバシー[編集]

プライバシーの意味として最もポピュラーな理論の一つ[7]は、ウェスティン教授(William L. Prosser)が1967年の著書「プライバシーと自由」で述べた「自己に関する情報に対するコントロールという権利」[8][9]というものである。日本の憲法学においてもこの考えをベースとした自己情報コントロール権がプライバシーの権利の解釈の最有力になっている[10]

この節の参考文献:

組織、領域別の状態[編集]

行政機関[編集]

市町村役場・税務署・警察署のような行政機関には、本籍・住所・家族構成・所得など、極めて重要な個人情報が大量に存在する。

2013年(平成25年)の調査報告書によると、個人情報漏洩のおよそ44%が行政機関経由である[11]

個人情報が大量に存在するので、個人情報の管理と漏洩の防止を徹底する必要性が高い。

なお、かつての住民基本台帳については、第三者により、なおかつ本人の同意も得ずに閲覧も可能であった。住民基本台帳の閲覧制度を使用する者は、便利屋名簿業者などグレーゾーンな者がほとんどで、窓口で「閲覧」の対象となった情報を、人海戦術の「手書き」で書き写すことで間接的に行政機関から持ち出し、データベースに記録することでダイレクトメール発信などの営利目的で利用されるなどの状況が発生したことや、一部で犯罪目的の使用があったことから、住民基本台帳法の改正が行われ、閲覧が制限されるようになっている。

近年では、外部の民間企業への業務委託(外注、アウトソーシング)がなされる場合も増加しており、その場合には、地方国家公務員法に基づく守秘義務が適用できないため、外注先での安全管理が図られるよう、発注者が監督することを委託契約で定める行政機関も多くなっている。

国家試験国家資格の合格者や、自己破産した者などは、官報都道府県などの公報で公表される。

民間企業[編集]

民間企業の場合、

  • 事業活動に伴う過程で収集される個人情報
  • 在籍する社員および家族の個人情報
    • 入社時に身元保証書などを記載させることで収集される。
  • 求人や会社説明会などに対して応募してきた人の個人情報

がある。

事業活動に伴う場合、直接個人を対象とする事業(特に金融機関電話会社自動車販売など取引に対して個人情報の提示を求められる業態)では、大量の個人情報を持っている。また、職業紹介事業者(いわゆる人材バンク)や派遣会社においては、紹介や派遣をされる人の個人情報を持っている。

それ以外の場合、データの収集は、通信販売のほか、メンバーズカードやポイントカードなどの作成時、懸賞クイズ、景品プレゼントなどで行われることが多い。また各種の名簿を売買する名簿屋も、個人情報をデータベース化し、販売することで業や収入として成り立ち、生活している。

教育機関[編集]

上記の個人情報の他に、生徒の健康診断のデータ、成績、進路希望調査などを扱っている。卒業後も一定期間、書類を保管しなければならない。

かつてはクラスごとに各生徒の緊急連絡網を作っていたが、個人情報保護法の施行後は緊急連絡網を作ることに消極的になっており、代わりに保護者の携帯電話への電子メールなどが使われる場合が多くなった。未成年者の保護のため高校以下では稀だが、大学大学院生では研究室のホームページに半ば強制的に名前などを掲載される場合がある。

個人情報保護法では、大学その他の学術研究を目的とする機関若しくは団体又はそれらに属する者が、学術研究の用に供する目的であるときは、個人情報取扱事業者の義務の適用を受けない(50条)。

家庭[編集]

家庭の場合、ゴミとして出した郵便物が何者かによって収集された場合、少なくとも住所と氏名が流出する(探偵が用いる情報収集法の一つで、ゴミ漁りという)。

郵便物によっては、クレジットカード番号や銀行口座番号なども併せて流出し、犯罪の被害に遭う危険性が高まる。このため、郵便物をシュレッダーで裁断後にゴミとして出す家庭が増えている。また、最近は企業側で個人を特定する文字列(口座番号、クレジットカード番号など)の一部を伏せ字にしている。

インターネット[編集]

検索技術の発達により、インターネットで容易に個人情報が収集できるようになった。氏名をサーチエンジンFacebookなどで検索すると、その個人の詳細な属性が取得できることがある(同姓同名の、意図しない別人の個人情報が収集される可能性もある)。

なお、サーチエンジンは個人情報保護法の対象外となる。また、インターネットが世界的なネットワークであることから、国際的な個人情報の流出の場合の対処が難しいことや、ウィニーシェアなどのファイル交換ネットワークの内部で流出が止まらないケースがあることが問題視されている。

特定手法

風景写真やスナップ写真など、一つ一つが個人情報ではない複数の断片的な情報を組み合わせて個人情報を特定できてしまう場合もある。例えばデジカメスマートフォンで撮影された写真にはExifが組み込まれており、ここには撮影日時や撮影場所などが記録されているため、特定が容易である。
また撮影位置が記録されていない写真から、撮影場所を特定する手法もある。風景写真の場合は、窓ガラスボンネットなどに反射して映り込んだ物体を調べたり、背景に映りこんだ建物(ビル、店舗の看板など)やの配置や標高といった極僅かな情報をヒントに(Google Earthやストリートビューなどで)同じ風景になるよう位置関係と方角を合わせて、撮影された場所を特定する手法がある[12]
いずれも特定されにくくするためには、写真からExifを削除するか、個人情報になり得るものは一切公開しない事が必要である。

その他[編集]

国際大学GLOCOM教授の青柳武彦はその著書で、“個人識別情報は本来社会的に共有されるものであり、秘匿すべき対象ではない、たとえば氏名・住所を隠すのでは、郵便も届かなくなる、その一方、現行法では、個人情報を悪用や名誉毀損から十分守ることはできない、能動的な保護が必要である”と唱える[13]

脚注[編集]

  1. ^ Management of Data Breaches Involving Sensitive Personal Information (SPI)”. Va.gov. Washington, DC: Department OF Veterans Affairs (2012年1月6日). 2015年5月25日閲覧。
  2. ^ Stevens, Gina (2012年4月10日). “Data Security Breach Notification Laws”. fas.org. 2015年5月25日閲覧。
  3. ^ Greene, Sari Stern (2014). Security Program and Policies: Principles and Practices. Indianapolis, IN, US: Pearson IT Certification. p. 349. ISBN 9780789751676. OCLC 897789345. https://books.google.com/books?id=UbwiAwAAQBAJ&pg=PA349&lpg=PA349&dq=%22Sensitive+Personal+Information%22+SPI+%22Personally+identifiable+information%22&source=bl&ots=J9qIzMKebf&sig=Bdxa9ct4X4_2tmz44jmGCna3ZrE&hl=en&sa=X&ei=PaljVZfkJcvjoASh_4KYDA&ved=0CFQQ6AEwCA#v=onepage&q=%22Sensitive%20Personal%20Information%22%20SPI%20%22Personally%20identifiable%20information%22&f=false 2015年5月25日閲覧。. 
  4. ^ NIST SP800シリーズ NRIセキュア。2016年9月1日閲覧
  5. ^ JIS Q 15001:2006をベースにした個人情報保護マネジメントシステム実施のためのガイドライン-第2版- (pdf) p28 日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)
  6. ^ 「携帯電話番号は個人情報に当たらない」、新経連に真意を聞いた (2/5)
  7. ^ Solove 2008, p. 24.
  8. ^ プライバシーの権利 2004, p. 50.
  9. ^ 情報プライバシー権 2013, p. 239.
  10. ^ 情報プライバシー権 2013, p. 243.
  11. ^ 「2013年情報セキュリティインシデントに関する調査報告~個人情報漏えい編~」[1]
  12. ^ TwitterやInstagramにアップされた写真から撮影場所を特定する方法
  13. ^ 青柳『情報化時代のプライバシー研究』エヌティティ出版

関連項目[編集]