モノのインターネット

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モノのインターネット英語: Internet of Things, IoT)とは、様々な「モノ(物)」がインターネットに接続され(単に繋がるだけではなく、モノがインターネットのように繋がる[1])、情報交換することにより相互に制御する仕組みである[2][3]。それによる社会の実現も指す[4]。「物のインターネット」と表記された例もある[5][6]

語義[編集]

この用語は1999年にケビン・アシュトン英語版が初めて使ったとされ、当初はRFIDによる商品管理システムをインターネットに例えたものであったが、スマートフォンクラウドコンピューティングが広まり、この環境全体を表現する概念として転用された[7][8][9]

ゼネラル・エレクトリックなど米国勢が中心の「インダストリアルインターネット」、ドイツ政府による「インダストリー4.0」というデジタル化政策もある[10]。ドイツのインダストリー4.0には医療機器大手シーメンスやソフトウェア大手SAPが中心になっているが、2016年にはゼネラル・エレクトリックがSAPと提携、シーメンスが米IBMと提携を始め、規格の国際標準化を見据えた勢力争いが激化している。[11][12][13] こうした海外勢に対抗し、日本では日立製作所三菱重工IHINTTなどがそれぞれ研究開発と実用化に取り組んでいる。[14][15]

IDCでは「IP接続による通信を、人の介在なしにローカルまたはグローバルに行うことができる識別可能なエッジデバイスからなるネットワークのネットワーク」と定義している[16]

従来型ソリューションとの違いは、汎用ハードウェアとオープンなSDx (Software Defined) により、市民開発が可能になったことという[17]。また、IoTデバイスそのものよりかは、その先の効用・効果を生むことが重要となる[18]

IoTデバイス[編集]

ここでいう「モノ(物)」をIoTデバイスという[19]スマートデバイスのようにIPアドレスを持つものや、IPアドレスを持つセンサーから検知可能なRFIDタグを付けた商品(コンピュータを組込まない二次元コードも含まれる)[20]、IPアドレスを持った機器に格納されたコンテンツのことである[21]マシンツーマシンスマートメーターは良い例である[22]

「第1段階:見える化」「第2段階:制御」「第3段階:最適化・効率改善の自動化」の段階がある[23]。複数のフェーズがあり、IoT-Iではモノ・人工物、IoT-IIでは人・生物、IoT-IIIではデータ・プロセス、IoT-IVではあらゆるモノが接続される[24]

ユビキタスネットワークの後継[編集]

IoTはユビキタスネットワークの後継といえる[25]国際電気通信連合 (ITU) は2015年に、ユビキタスネットワークやIoTの起源となったオープンアーキテクチャTRONを提唱したとして、坂村健に150周年賞を与えている[26]

ユビキタス以外にも「パーヴェイシヴ・コンピューティング」(Pervasive computing)、「サイバー・フィジカル・システム」、「マシン・トゥー・マシン」と様々な言葉を包括している[27]ビッグデータ人工知能シェアリングエコノミーも関連しており、坂村健は「アグリゲート・コンピューティング」を提唱している[28]。「Internet of Everything」「Analytics of Everything」[29]「Smart Everything」ともいう[30][31][32]。また、循環型経済(サーキュラー・エコノミー)とも結びついている[33]

坂村は、IoTがビッグデータを生成してフィンテックの基盤の1つとなるとし、Web2.0に準えてフィンテックを「経済2.0」とし、「社会2.0」には、「経済2.0」が必須となり、その先には社会を自動運転できる、とする[34]

法律による定義[編集]

2016年4月20日に成立した法律[35]により改正された特定通信・放送開発事業実施円滑化法の附則では「インターネット・オブ・シングスの実現」を「インターネットに多様かつ多数の物が接続され、及びそれらの物から送信され、又はそれらの物に送信される大量の情報の円滑な流通が国民生活及び経済活動の基盤となる社会の実現」として定義した。総務省は新番号割り当てのため、2017年1月1日付で省令を改正した。「020」の次が「0」または「4」を除く、8000万の番号がIoTのために使えるようになる。

通信方式[編集]

IoTを実現するために様々な通信方式が提案されている。

主な通信方式は次の通り。

伝送距離が100m-数10kmのものはLPWA(Low Power Wide Area)と呼ばれる。

名称 国際標準 帯域幅 周波数 最大

伝送レート

採用中の主な企業 伝送距離
物理層/MAC IP層
SIGFOX 独自 920MHz 100bps シグフォックス、テレフォニカ、ドイツテレコム、KDDI 50km
LoRa LoRaAlliance独自 125kHz 920MHz 50kbps SKT、Orange、セムテック、IBM、シスコシステムズ、仏ブイグ・テレコム、蘭KPN、ソフトバンク 5km
NB-IoT 3GPP Release13 200kHz licensed 100kbps エリクソン、華為、インテル、ボーダフォン、中国移動、docomo、ソフトバンク 数km
Wi-Fi HaLow IEEE 802.11ah 1MHz 920MHz 4.5Mbps 1000m
Wi-SUN IEEE 802.14.4/e/g 6LoWPAN 920MHz 1Mbps 東京電力、NICT 1000m
ZigBee IEEE 802.15.4 2.4GHz
Thread IEEE 802.15.4 6LoWPAN 2.4GHz google, Samsung, ARM,Qualcomm
EnOcean 独自 920Mhz
Z-Wave ITU-T G9959 920MHz 200kbps 50m
BLE IEEE 802.15.1 2.4Ghz 1Mbps 100m
Bluetooth5 125Kbps 400m
2Mbps 100m

主な商用製品・サービス[編集]

企業のIoT導入を支援する取り組みとして、複数の大手ITベンダーからIoT関連サービスやプラットフォームが発表されている。主なプラットフォームにはパブリッククラウド大手の米Amazon Web Serviceが提供する「AWS IoT」やビジネスソフトウェア大手の独SAPの「SAP Leonardo」、電機メーカー大手の米ゼネラル・エレクトリックの「Predix」などがある。[36][37][38][39]

日系ベンダーではファナックの「FIELD system」や日立製作所の「Lumada」などがある。[40][39]

関連用語[編集]

IoTアーキテクト
様々なIoTシステムのデータセンターへの潜在的な影響を把握する責任を負うシステムアーキテクトのこと。IoTアーキテクトはビジネス部門と協力し、ビジネス部門のクローズドループIoTソリューションが中央のIoTアーキテクチャと互換性を持っているか、あるいは広く普及したプロトコルやデータ構造を使用していることを保証する役割を担う。[41]

脚注[編集]

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  1. ^ 世界初!「物流xオープンデータ」の活用の未来
  2. ^ IoT 【 Internet of Things 】 モノのインターネット
  3. ^ モノのインターネット(Internet of Things:IoT)とは
  4. ^ IoTはこれからのビジネスをどう変える?
  5. ^ 落合秀也、江崎浩『インプレス標準教科書シリーズ スマートグリッド対応IEEE1888プロトコル教科書』インプレスジャパン、2012年。viiページ。
  6. ^ デジタル大辞泉における「物のインターネット」。
  7. ^ Kevin Ashton: That 'Internet of Things' Thing. In: RFID Journal, 22 July 2009. Retrieved 8 April 2011.
  8. ^ 村井純氏が語るIoTの衝撃、デジタルファブリケーションは社会に何をもたらすか
  9. ^ 「モノのインターネット」--定義はどこまで拡散するのか
  10. ^ 2015年5月28日、NHK放送『クローズアップ現代』「新・産業革命?“モノのインターネット”の行方」
  11. ^ GEデジタルとSAP、産業IoT(IIoT)分野で提携
  12. ^ 独シーメンス、IoTで米IBM「ワトソン」と連携
  13. ^ SAPの壮大なIoT戦略--センサからERP、そしてビジネスネットワークまで
  14. ^ 重工各社、IoTやAI活用のサービス対応急ぐ GEなど海外勢との受注競争で不可欠に
  15. ^ IoTプラットフォーム「Lumada」は日立の最終兵器になるか
  16. ^ 国内IoT市場におけるソフトウェア/サービス向け支出割合は2020年に6割に――IDCが予測
  17. ^ NTTPCコミュニケーションズ 代表取締役社長 前沢孝夫氏(前編):人はIoTツールが欲しいのではない、目的が達成できることが不可欠だ
  18. ^ NTTPCコミュニケーションズ 代表取締役社長 前沢孝夫氏(後編):量が質に転化するIoTのパラダイムシフトで、企業の力が試される
  19. ^ すべてを支配するチップ?IoT、そしてハードウェアの偉大な新時代
  20. ^ モノとインターネットの融合で新しい製品やサービスが出現
  21. ^ モノのインターネットで何がどう変わるのか 「IoT」とは何か、今さら聞けない基本中の基本
  22. ^ スマートメーターは“IoTの起爆剤”になれる? ―電力自由化で進む、新たな未来―
  23. ^ IoTスペシャリストを目指そう(1)
  24. ^ IoEが拓く未来 “あらゆるモノ”の解析が生む新しい価値
  25. ^ 結局「IoT」で何ができるようになるのか
  26. ^ ITU marks 150th anniversary with global celebrations, Newsroom, ITU, 2015-05-18.
  27. ^ 特別インタビュー 坂村 健氏/東京大学大学院 情報学環教授
  28. ^ IoTの未来とは? 坂村健・東大教授に聞く
  29. ^ 9の事例から読み解く、「豊かさ」のためのビッグデータ
  30. ^ 津田建二の技術解説コラム【入門編】:半導体の基礎知識(4)――IoTを定義しよう
  31. ^ IoTは「サービスのモノ化」と考えたほうがわかりやすい
  32. ^ 日本では中々理解されないモノのインターネット(IOT)の本質
  33. ^ 「循環型経済モデル」がビジネスの新しい地平を切り拓く
  34. ^ AIによる「社会を自動運転」可能 フィンテックがSFを現実にする 東京大学教授・坂村健
  35. ^ 国立研究開発法人情報通信研究機構法及び特定通信・放送開発事業実施円滑化法の一部を改正する等の法律(平成28年法律第32号)
  36. ^ IoT導入を支援するコンサルティングサービスを発表
  37. ^ IoTのアイデアをすぐに具現化--SAPがIoT製品群の短期導入プログラム
  38. ^ 「IoTプラットフォーム」の覇権競争 – その分類と注目プレイヤー10選
  39. ^ a b 世界最強メーカーGEのIoTプラットフォーム「Predix」
  40. ^ 日立はLumadaの実力を世界に示せるか
  41. ^ ITインフラとオペレーションに影響を与える10大技術トレンド

関連項目[編集]