Web3

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Web3(ウェブスリー)、[1] またはWeb3.0とは、パブリック型のブロックチェーンを基盤としたインターネットの概念である[2]

この言葉は2014年に暗号通貨イーサリアムの共同創設者であるギャビン・ウッドによって作られたもので、このアイデアは2020年と2021年に暗号通貨に熱狂する者や大型IT企業、ベンチャーキャピタルから関心を集めた[2][3]

背景[編集]

「Web 1.0」と「Web 2.0」は、インターネットの歴史の中で、さまざまな技術やフォーマットを経て進化してきた時代を指す。Web1.0は、おおよそ1991年から2004年までの、インターネットユーザーの大半がコンテンツの消費者であり、ほとんどのウェブサイトが静的ウェブページであった時代を指す[4][5] 。 Web2.0は、「プラットフォームとしてのWeb」という考え方に基づいており[6]、ユーザーが作成したコンテンツをSNSブログウィキなどのサービスにアップロードすることを基本としていた[7]。Web2.0は、一般的に2004年頃に始まり、現在まで続いていると考えられている[6][8][2]

Web3は、1999年にティム・バーナーズ=リーによって作られた「Web3.0」とも呼ばれているセマンティック・ウェブの概念とは区別される[9]。 通常「Web3」として知られている分散型の概念に言及しているライターの中には、「Web3.0」という用語を使用している者もおり、両者の概念は混同されている[10][11]。さらに、Web3のビジョンの中にはセマンティック・ウェブに関連するアイデアが盛り込まれているものもある[12][13]

歴史[編集]

「Web3」、具体的には「Web 3.0」という言葉は、2014年にイーサリアムの共同創設者であるギャビン・ウッドによって作られた[1]。特に2021年の終わり頃にかけて、暗号通貨に熱狂する者からの関心や、著名な技術者や企業からの投資が主な要因となって、関心が高まった[2][3]。ベンチャーキャピタルであるアンドリーセン・ホロウィッツの幹部は、2021年10月にワシントンD.C.に赴き、政策立案者が取り組んできたインターネット規制に関する問題の解決策となる可能性があるとして、このアイデアを後押しした[14]

概念[編集]

Web3は分散化のアイデアを中心に展開されており、支持者はしばしば、ウェブのデータやコンテンツの大部分がかなり少数の企業グループ(しばしばビッグ・テックと呼ばれる)に集中しているWeb2.0と対比させている[2]

Web3の具体的なビジョンは様々だが、いずれも様々な暗号通貨やNFTなどのブロックチェーン技術を基幹としている[2]ブルームバーグは、Web3を「オンラインで行うほとんどすべてのことの内部構造に、トークンの形で金融資産を組み込む」アイデアだと説明している[15]。一部のビジョンは、分散型自律組織(DAO)のコンセプトに基づいている(DAOs)[16]分散型金融(DeFi)は、銀行や政府の関与なしにユーザーが通貨を交換するという、もう1つの重要な概念であり[2]自己主権型のアイデンティティは、OAuthのような認証システムに頼らずに、ユーザーが自分自身を識別することを可能にする[17]

社会の反応[編集]

一部の技術者やジャーナリストは、Web3を、少数の「ビッグ・テック」企業にWebが過度に集中していることへの懸念に対する解決策となる可能性があると述べている[2][14]。また、Web3は、従来のWeb2.0プラットフォームで可能な以上に、データのセキュリティ、スケーラビリティプライバシーを向上させることができると表明している者もいる[13]RedditDiscordをはじめとするいくつかの企業は、2021年後半に自社のプラットフォームにWeb3の技術を組み込むことを検討していると報じられていた[2][18]。しかし、Discordはその後、ユーザーからの激しい反発を受けて、Web3の技術を組み込む予定はないと発表した[19]。ブルームバーグは、懐疑的な人々がこのアイデアについて「ニッチなアプリケーション(その多くは暗号資産トレーダーを対象としたツール)以外での使用を証明するには長い道のりである」と述べている[15]

一部の法学者は分散型ウェブを規制することの難しさに懸念を示し、サイバー犯罪、オンラインでの嫌がらせ、ヘイトスピーチ児童虐待画像の拡散などを防ぐことが難しくなるのではないかと表明している[12]。Web3に対する他の批判者の中には、このコンセプトを暗号通貨バブルの一部であると見なしたり、過剰に宣伝されたり有害であると見なされるブロックチェーンベースのトレンド、特にNFTの延長線上にあると見なしたりする人もいる。批評家の中には、暗号通貨やNFTの環境への影響について懸念を示す人もいる。また、Web3とその関連技術が無限連鎖講であるという確信を示す人もいる[3]。DiscordのCEOであるJason Citronは、2021年11月にWeb3の自社プラットフォームへの統合を検討しているのではないかと示唆するスクリーンショットをツイートした[18]。これにより、NFTへの嫌悪感から有料会員を解約する者や、このような変更により、暗号関連のDiscordサーバーで既に経験しているような詐欺スパムの量が増えるのではないかという懸念を示す者もいた[19]

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ a b Edelman, Gilad. “What Is Web3, Anyway?” (英語). Wired. ISSN 1059-1028. https://www.wired.com/story/web3-gavin-wood-interview/ 2021年12月3日閲覧。 
  2. ^ a b c d e f g h i Mak, Aaron (2021年11月9日). “What Is Web3 and Why Are All the Crypto People Suddenly Talking About It?” (英語). Slate. 2021年11月9日閲覧。
  3. ^ a b c Read, Max (2021年10月24日). “Why Your Group Chat Could Be Worth Millions” (英語). Intelligencer. 2021年11月9日閲覧。
  4. ^ Cormode, Graham; Krishnamurthy, Balachander (June 2, 2008). “Key differences between Web 1.0 and Web 2.0”. First Monday 13 (6). October 25, 2012時点におけるアーカイブ。. エラー: |archivedate=を指定した場合、|archiveurl=の指定が必要です。. https://firstmonday.org/ojs/index.php/fm/article/view/2125/1972 2021年11月9日閲覧。. 
  5. ^ Carter, Jamie (2015年4月18日). “Back to basics: is Web 1.0 making a comeback?” (英語). TechRadar. 2021年12月12日閲覧。
  6. ^ a b Hosch, William L. (7 September 2017). "Web 2.0". Encyclopedia Britannica. 2021年11月9日閲覧
  7. ^ Hosch, William L. (2017年9月7日). “Web 2.0” (英語). Encyclopedia Britannica. 2021年12月12日閲覧。
  8. ^ O'Reilly, Tim (2005年11月30日). “What Is Web 2.0”. O'Reilly. 2021年11月9日閲覧。
  9. ^ Shannon, Victoria (2006年5月23日). “A 'more revolutionary' Web”. International Herald Tribune. https://www.nytimes.com/2006/05/23/technology/23iht-web.html 2021年11月9日閲覧。 
  10. ^ Alford, Harry (2021年9月16日). “Crypto's networked collaboration will drive Web 3.0” (英語). TechCrunch. 2021年11月9日閲覧。
  11. ^ Khoshafian, Setrag (2021年3月12日). “Can the Real Web 3.0 Please Stand Up?” (英語). RTInsights. 2021年11月9日閲覧。
  12. ^ a b Harbinja, Edina (2019年3月11日). “Web 3.0: the decentralised web promises to make the internet free again” (英語). The Conversation. 2021年11月9日閲覧。
  13. ^ a b Zarrin, Javad; Wen Phang, Hao; Babu Saheer, Lakshmi; Zarrin, Bahram (May 15, 2021). “Blockchain for decentralization of internet: prospects, trends, and challenges” (英語). Cluster Computing 24 (4): 2841–2866. doi:10.1007/s10586-021-03301-8. ISSN 1573-7543. PMC 8122205. PMID 34025209. https://doi.org/10.1007/s10586-021-03301-8. 
  14. ^ a b Feiner, Lauren (2021年10月13日). “Prominent Silicon Valley VC firm Andreessen Horowitz embarks on major crypto policy push in Washington” (英語). CNBC. 2021年11月9日閲覧。
  15. ^ a b Kharif, Olga (2021年12月10日). “What You Need to Know About Web3, Crypto’s Attempt to Reinvent the Internet”. Bloomberg. 2021年12月12日閲覧。
  16. ^ Roose, Kevin (2021年11月5日). “Crypto Is Cool. Now Get on the Yacht.” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/2021/11/05/technology/nft-nyc-metaverse.html 2021年11月9日閲覧。 
  17. ^ Meunier, Thibault (2021年10月1日). “Web3 — A vision for a decentralized web” (英語). The Cloudflare Blog. Cloudflare. 2021年11月9日閲覧。
  18. ^ a b Hatmaker, Taylor (2021年11月9日). “NFTs and crypto wallets could be in Discord's future” (英語). TechCrunch. 2021年11月9日閲覧。
  19. ^ a b Hatmaker, Taylor (2021年11月10日). “Discord pushes pause on exploring crypto and NFTs amidst user backlash” (英語). TechCrunch. 2021年11月12日閲覧。