デジタル通貨

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デジタル通貨(デジタルつうか、: Digital currency: 数字貨幣)もしくはデジタル貨幣(デジタルかへい)、デジタルマネーdigital money)、電子マネーelectronic money)とは、デジタルな形で利用可能な(電子的、エレクトロニクス的な形で利用可能な)通貨のことである。[1]

概説[編集]

物理的通貨と同様に、通貨としての性質を持つ。伝統的な貨幣と同様、これらの通貨は物理的なやサービスの購入に充てることができるが、オンラインゲーム内やソーシャルネットワーク内など、特定のコミュニティ内のみに利用が限られることもある[2]

種類

デジタル通貨にはさまざまな種類、形態がある。

デジタル通貨は、供給がある一箇所により集中管理されるタイプ(集中管理型)もあれば、様々な供給源から供給されるタイプ(分散型)もある。

デジタル通貨は、例えば、プリペイドカードその他の機器に記録された「残高」としても実現されうる。他にも、コンピュータネットワークインターネット上でやりとりされる「」として実現される「ネットワーク貨幣」の形をとることもある。民間銀行その他の金融機関に対する、「預金などの請求権」であることもある[3]。例えば、仮想通貨暗号通貨も挙げられる[4]

#種類

長所や短所

国境を越えた所有権の移転は、従来型の物理的通貨でも可能であるが、デジタル通貨でもそれが可能である。ただしデジタル通貨は国境を越えた所有権の移転が「瞬時に」可能である、という特徴(長所)がある。逆に言うと、盗まれる場合は国境を越えて一瞬にして盗まれてしまう、という欠点・短所がある。

確かさ、という観点からは、中央管理型の電子マネーのデータを管理しているサーバ上で何らかの事故などでデータが消えてしまったり、あるいは自身の所有するPCやスマホ内にある電子マネーに関するデータが何かの事故で消えてしまったり、パスワードをどうしても思い出せない、などという事態が起きたりすると、自身がたしかに所有していたはずの通貨がまるで「幻(まぼろし)」のように消えてしまい、二度と再現できない、ということも起きうる。

デジタル通貨の一種の仮想通貨については、(かつてのオランダのチューリップ・バブル(チューリップ相場)の時のチューリップ球根のように)投機目的でデジタル通貨を購入する人が出てきたわけだが、あぶく(バブル)のような利益を手にして喜ぶ人がいた一方で、大損をして苦しむ人も出てきている。

歴史[編集]

1983年デイビット・ショーン英語版による「デジタルキャッシュ」というアイデアを紹介する論文が発表された[5]。1990年、彼は電子キャッシュ会社である DigiCash をアムステルダムに設立し、研究を通じて得たアイデアを商業化した[6]。この会社は1998年に倒産した[7][8]。1999年、ショーンは会社を離れた。

デジタル通貨の創始時期は1990年代のドットコムバブル期に遡る。最初期のもののひとつとして1996年に設立された、金を裏付けにしていた E-gold英語版 が挙げられる。

1997年、コカ・コーラは「モバイル支払い」により購入のできる自動販売機を投入した[9]

その後、1998年にPayPal が発足した[10]

他にも、2006年に設立された Liberty Reserve英語版 が知られている。これは、利用者にドルまたはユーロと Liberty Reserve ドルおよび Liberty Reserve ユーロとの自由な交換を、1% の手数料とともに提供するものだった。このサービスは「中央管理型」で、資金洗浄に利用されているとの悪評がたち、アメリカ合衆国政府による閉鎖を余儀なくされた[11]e-gold英語版 などその他のシステムも後を追ったが、犯罪者によって利用され、2005年にアメリカ合衆国当局から捜査を受けるなどの事件があった。

2005年初頭には、「Qコイン」もしくは「QQコイン」という、テンセントQQのメッセージプラットホーム上で通用した商品ベースのデジタル通貨が登場した。Qコインは投機による人民元の不安定化の影響を受けていた中国において有効に利用された[12]

2008~2009年ころにはビットコインの登場したことで、暗号通貨タイプのデジタル通貨に対して期待を持つ人が増え、デジタル通貨を利用する人が増えた。

比較[編集]

デジタル通貨と仮想通貨[編集]

欧州中央銀行の2015年2月の報告書 "Virtual currency schemes – a further analysis" によると、仮想通貨は中央銀行や金融機関、電子マネー機関の発行によらない価値の電子的表現であり、状況によって貨幣の代用となりうるものである。2012年10月の先行報告書では、仮想通貨は規制を受けないデジタル貨幣の一種で、通常は開発者が発行し特定の仮想コミュニティの参加者間で通用するものとされていた。

国際決済銀行の2015年11月の報告書、"Digital currencies" によればデジタル通貨は電子的に表現される資産の一種であり一定の貨幣的特徴を持つものとされる。デジタル通貨はソブリン通貨建てとされ、現金への償還責任は発行者が負うものとされる場合がある。この場合、デジタル通貨は電子マネーを意味する。独自の単位を持つデジタル通貨や発行が分散化もしくは自動化されている通貨は仮想通貨と考えられる。

したがって、ビットコインはデジタル通貨である一方一種の仮想通貨でもあることになる。 ビットコインや類似のデジタル通貨は暗号アルゴリズムに立脚しており、これらの種類の仮想通貨は暗号通貨とも呼ばれる。

デジタル通貨と伝統的通貨[編集]

ほとんどの伝統的マネーサプライはコンピュータ上で管理される預金通貨である。これをデジタル通貨とみなすことも可能である。社会が加速度的にキャッシュレス化していることは全ての通貨がデジタル化(電子化)されつつあるが目にそうは見えないだけだと言うこともできる[13]

種類[編集]

中央管理型[編集]

PayPal, eCash, ウェブマネーPayoneer英語版, cashU英語版,Hub Culture英語版Ven英語版 など、多くのシステムで、電子通貨[要説明]は直接エンドユーザーに販売される。第三者のデジタル通貨交換所英語版を介して販売される場合もある。Mペサのシステムはアフリカ、インド、アフガニスタン、東欧において携帯電話による取引に用いられている。LETSCommunity Exchange System英語版 など一部の地域通貨は電子取引に用いられる。

モバイルデジタルウォレット[編集]

多くの電子マネーシステムでは支払いの簡便性と、被支払人に取引中に自分の電子ウォレットが侵害されないという安心を与えるため、非接触型決済が採用されている。

  • 1994年、モンデックスナショナル・ウエストミンスター銀行スウィンドン住民に「電子サイフ」を提供した。
  •  2005年頃、テレフォニカビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行スペインでタクシーやプリペイド式電話向けに Mobipay と呼ばれる携帯電話SMS機能を利用した銀行口座と紐付けされた賦課型の支払いシステムを立ち上げた[14]
  • 2010年1月、Venmo は友人間でコーヒー一杯などの少額支払いや飲食店での割り勘などに使えるSMSを利用したモバイル決済システムを立ち上げた[15]。大学生などに人気となるが、セキュリティ上の問題も抱えていた[16]。銀行口座やクレジッドカード・デビットカードに紐付けが可能で、セキュリティが突破された際の被害額を制限するために定額をロードしておくことも可能だった。クレジットカードおよび非大手のデビットカードの場合は3%の手数料が発生した[17]
  • 2011年9月19日、Google ウォレットがアメリカ合衆国内限定でリリースされた。携帯電話に自分のクレジットカード・デビットカードを全てまとめることができた[18]
  • 2012年、テレフォニカ傘下のO2 (アイルランド)英語版通行料の支払いをチャージ済の携帯電話もしくはプリペイドカードで行える Easytrip を立ち上げた[19]
  • 同時に、O2 (イギリス) は O2 Wallet[20] を発表した。このシステムは一般的銀行口座もしくはカードからチャージを行い、参加小売主が 'money messages' と呼ばれる技術で引き去るものだった。2014年に閉鎖。
  • 2014年9月9日、iPhone 6 発表イベントにおいて Apple Pay がアナウンスされた。2014年10月に iPhone6 および Apple Watch のアップデートの形でリリースされた。Google ウォレットとよく似ているが、Apple のデバイスに限られる[21]
  • GNU Taler はオープンソースソフトウェアとして開発中の匿名電子決済システムである。

分散型[編集]

暗号通貨は、デジタル署名と取引記録を分散型ピアツーピアネットワーク上でチェイニングしていく、暗号理論に立脚した一種のトークンである。

そのいくつかにおいては、Proof-of-work 形式で通貨の発行と管理が行われている[22][23][24][25]

暗号通貨は電子マネーの分散型管理を可能とした。以下にそのようなシステムを挙げる。

  • ビットコイン: 暗号理論に基くピアツーピア電子マネーシステム。
  • ライトコイン: 元はビットコインのプロトコルに基いていた、ビットコインの非効率性を改善するために開発されたと称しているシステム。
  • ドージコイン: 作者がより広かれた民主主義を指向してライトコインから派生したシステム。
  • Ripple: 信頼ネットワークに基くマネーシステム。
  • Nxt英語版: アプリケーションおよび金融サービスを構築するための柔軟なシステムとして作られる。
  • Monero: 2014年に作成された、プライバシーと分散性、スケーラビリティを重視したオープンソース暗号通貨。

仮想通貨[編集]

2012年、欧州中央銀行は仮想通貨を「規制を受けず、開発者が発行し、通常は開発者によって管理され、特定の仮想共同体の構成員間で通用するデジタル貨幣」と定義した。2013年、アメリカ合衆国財務省はより簡潔に「特定の環境においては取引の媒介として通貨のように作用するものの、実際の通貨としての属性を全て備えないもの」と定義した。仮想通貨が備えない重要な性質は、これらの定義によれば法貨としての地位である。

法律[編集]

2001年から、欧州連合では電子マネー指令英語版を施行している。2009年修正版では、 "on the taking up, pursuit and prudential supervision of the business of electronic money institutions" とされる[26]。EUにおける電子マネーの実態については疑問が呈されており、2007年のEU指令、決済サービス指令英語版に関連して決済機関と電子マネー機関とを統合する声があがっている。このような統合は、電子マネーに預金通貨と同様の性質があることを意味する可能性がある。

アメリカ合衆国では、電子マネーは卸売取引については統一商事法典条項4A、消費者取引については電子資金移動法英語版により管理される。提供者の責任と消費者の義務については Regulation E により規制される[27][28]

規制[編集]

仮想通貨は中央銀行、金融規制機関、財務当局、統計当局への課題を提起している。

アメリカ合衆国財務省による指導[編集]

2013年3月20日、金融犯罪取締ネットワークは合衆国銀行秘密法英語版が個人による仮想通貨の作成、取引、送金に対してどのように適用されるべきかの指導を行なった[29]

アメリカ合衆国証券取引委員会による指導[編集]

2014年5月、合衆国証券取引委員会は「ビットコインその他の仮想通貨の危険性について警告」を発した[30]

ニューヨーク州による規制[編集]

2014年6月、ニューヨーク州金融監督局英語版は仮想通貨に対するこれまでで最も包括的な規制案を提出した。これは一般に BitLicense英語版 と呼ばれる[31]。 合衆国規制当局とは異り、ビットコイン支持者や金融産業従事者の意見がパブリックヒアリングにより集められ、2014年10月21日まで変更のためのコメント期間が設けられた。監督局広報が公表した案では「…消費者保護と違法行為の摘発の間に適切なバランスを保つことを追求した…」“... sought to strike an appropriate balance that helps protect consumers and root out illegal activity"[32] とする。 より確立された制度を求める少数派からの批判や、中国のビットコイン取引所からの「合衆国外への広汎すぎる適用」への批判などを受けた[33]

公共機関による採用[編集]

2016現在、24を超える国が分散型元帳技術 (DLT) に投資を行っており、総額は14億ドルにのぼる。加えて、90を超える中央銀行が DLT に関する議論に取り組んでおり、中央銀行によるデジタル通貨の発行の示唆も行われている[34]

香港[編集]

  • 八達通
    • 1997年に香港の公共交通機関向けの電子財布として立ち上げられ、大量決済向け非接触スマートカードとして最も成功し、成熟した実装となった。たった5年後には八達通カードの取引の25パーセントは交通とは関係のないものとなり、160以上の商店で採用された[35]

イギリス[編集]

  • オイスターカード
    • ロンドン市内の公共交通機関で使用されるオイスターカードは賦課方式クレジット、トラベルカードおよびバス・トラム定期券をまとめられるスマートカードである。バス、地下鉄、トラム、DLR、オーバーグラウンドおよびロンドン内のナショナル・レールの一部で通用する[36]

日本[編集]

オランダ[編集]

  • Chipknip英語版
    • オランダで利用されている電子キャッシュシステムで、オランダの銀行が発行した全てのATMカードに Chipknip チャージ機でチャージ可能な値を備えている。銀行口座の無い人向けにプリペイド式 Chipknip カードもオランダの各所で販売されている。2015年1月1日現在、Chipknip による支払いはもうできない[38]

ベルギー[編集]

カナダ[編集]

カナダ銀行はブロックチェーンを用いた独自通貨作成の可能性について調査を行った[40]。 カナダ銀行は国内の5大銀行とブロックチェーンコンサルティング企業 R3 をとりまとめ、Project Jasper と呼ばれるプロジェクトを立ち上げた。2016年に行われたシミュレーションでは、中央銀行が CAD-Coin をイーサリアムに類似のブロックチェーンに発行した[41]。銀行は CAD-Coin を毎日主口座の締めの送金に用いる。

中国[編集]

中国人民銀行の副行長范一飛中国語版は、次のように書いた。「デジタル通貨への環境は整っている。運用コストの削減および効率の向上ができ、幅広い新たな応用が可能となる」 "the conditions are ripe for digital currencies, which can reduce operating costs, increase efficiency and enable a wide range of new applications." 彼によれば、中央銀行が私的デジタル通貨を監督し、同時に独自の法定デジタル通貨を開発することにより最大限状況を活かすことができるという[42]

デンマーク[編集]

デンマーク政府は国家的に「キャッシュレス」経済を目指すため、特定のリテーラーへの依存から脱することを提唱している[43]。デンマーク商工会議所がその動きを指示している[44]。デンマークの人口の3分の1が送金用スマートフォンアプリケーションのMobilePayを利用している。

エクアドル[編集]

エクアドル国民議会は政府に電子通貨を用いた決済を行う許可を与え、国家的なデジタル通貨の作成を提案した。議会の議決分には、「電子マネーは経済を刺激するだろう。そしてそれは当座預金口座や貯金口座、クレジットカードを持たないより多くのエクアドル国民を引き付ける可能性がある。電子通貨はエクアドル中央銀行の資産による裏付けを受けることになるだろう」"Electronic money will stimulate the economy; it will be possible to attract more Ecuadorian citizens, especially those who do not have checking or savings accounts and credit cards alone. The electronic currency will be backed by the assets of the Central Bank of Ecuador," とある[45]。2015年12月、システマ・デ・ディネロ・エレクトロニコ(電子マネーシステム)が立ち上げられ、エクアドルは電子決済システムを運営する初めての国家となった[46]

ドイツ[編集]

ドイツ連邦銀行はブロックチェーン技術に基く証券決済と中央管理型デジタルコインの振替の機能プロトタイプを試験中である[47][48]

オランダ[編集]

オランダ中央銀行は "DNBCoin" ビットコインベースの仮想通貨を試験中である[49]

ロシア[編集]

政府管理下のロシア貯蓄銀行は電子決済サービス Yandex.Money英語版 と、同名のデジタル通貨を所有している[50]

韓国[編集]

韓国はブロックチェーンを用いた国家的デジタル通貨を計画している[51]。大韓民国金融委員会の議長 Yim Jong-yong は、委員会が「デジタル通貨の普及に対する体系的基礎を用意する」"Lay the systemic groundwork for the spread of digital currency" と述べた。韓国は既に2020年までに硬貨を廃止することを発表している[52]

スウェーデン[編集]

スウェーデンは、2017年中盤までに全ての紙幣とほとんどの硬貨を置き換える作業を進めている。しかし、スウェーデン・クローナの新紙幣と新硬貨は2007年のピーク、一人当り 12,494 クローナの、およそ半分ほどしか流通しないと予想されている。スウェーデン国立銀行は中央銀行としてデジタル通貨を「現金を置き換える目的ではなく、補う目的で」"not to replace cash, but to act as complement to it." 発行するための議論を始める計画を行っている[53]。副行長 Cecilia Skingsley は、スウェーデンでは現金が加速度的に使われなくなりつづけるだろうと述べ、また特に地方では現金を得るのが容易な一方、それを銀行口座に預金することが現状とても難しいとしている。「e-クローナ」を発行するという決定は全く行われていない。「最初の疑問は、e-クローナを口座に記帳するべきなのか、そうでなければ、おおまかにいって現金のように口座から独立に存在可能な何らかの形のデジタルにやりとり可能な単位をとるべきなのかということである」 "The first question is whether e-krona should be booked in accounts or whether the ekrona should be some form of digitally transferable unit that does not need an underlying account structure, roughly like cash." と述べている。 また、「もう一つ重要な疑問は、国立銀行が e-クローナを直接民衆に向けて発行すべきなのか、現在の紙幣や硬貨と同じように銀行を通じて発行すべきなのかということである」 "Another important question is whether the Riksbank should issue e-krona directly to the general public or go via the banks, as we do now with banknotes and coins." とも述べている。さらに、利子率を正にするべきなのか、負にするべきなのか、ゼロにするべきなのかという疑問もある。

スイス[編集]

2016年、地方政府として初めてデジタル通貨による公共料金の支払いを受け容れた。ツークでは試験的に、かつツークを未来技術先進地域とする試みとして200スイスフランまでの少額決済手段としてビットコインが追加された。リスク低減のため、当局はビットコインの受取後、即時スイスの通貨に変換する[54]。 スイスの国営鉄道、スイス連邦鉄道は券売機でビットコインを販売している[55]

イギリス[編集]

イギリス政府の主任科学顧問は首相および議会に対しブロックチェーンベースのデジタル通貨の利用を検討するよう助言した[56]。 イギリスの中央銀行である、イングランド銀行のチーフエコノミストは紙幣の廃止を提言している。イングランド銀行はまた、ビットコインに興味を示しており[57]、2016年、中央銀行がデジタル通貨を発行することの意味を調査する多年度研究計画を開始した。イングランド銀行はこの主題についていくつかの研究論文を発表している。分散型元帳上でデジタル通貨を発行することによる経済的利点により、国内の経済生産高を3パーセント向上させることができるとの示唆もある。イングランド銀行は、次期基幹ソフトウェアインフラストラクチャーは分散型元帳と互換性をもつことが望ましいとしている。

ウクライナ[編集]

ウクライナ国立銀行はブロックチェーンベースの国家的暗号通貨の発行・流通・供給システムの作成を検討している[58]。ブロックチェーンは「キャッシュレス経済」と呼ばれる国家プロジェクトの一部となるだろうことも発表されている。

ハードデジタル通貨とソフトデジタル通貨[編集]

「ハード電子通貨」とは、紛争解決や払い戻しに関する機能を持たないものを指す。言い換えれば、非可逆な取引のみをサポートするという意味で現金と似ている。合法的過失によるものか、不正利用によるものか、小売主の商品供給失敗によるものかを問わず、取引の取消は不可能ではなくとも困難である。このような設定には、決済に関する紛争解決のしくみを持たないことにより電子通貨システムの運営コストが大幅に削減できるという利点がある。加えて、電子通貨取引が瞬時に確定し、受取人が資金を即時利用可能となる。これは、ハード電子通貨の利用はより現金取引と類似することを意味する。例としてビットコインKlickEx英語版, ウェスタンユニオンが挙げられる。

「ソフト電子通貨」とは、例えば詐欺や紛争に際して決済の取消を容認するものである。取消可能な決済方法では一般的に72時間以上の「清算時間」が設けられる。例として、PayPalクレジットカードが挙げられる。ハードな通貨を第三者機関やエスクローサービスを利用することにより「ソフト化」することもできる。

批判[編集]

既存のデジタル通貨の多くはいまだ普及に至っておらず、その利用や取引には困難が伴う。一般的には銀行はデジタル通貨を取り扱わない[59]。暗号通貨はボラティリティが非常に高い[60]上、風説の流布の可能性もはらんでいる[61]ため、極端に高リスクであるという懸念もある。いくつかの国の規制当局は使用に対して警告を発しており、利用者を断念させるための実効的な規制に乗り出したろころもある[62]。非暗号通貨は全て中央管理型である。この場合、政府によりいつでも閉鎖および廃止の危険性がある[63]。より匿名的な通貨の場合は、作成者の意図に関らず犯罪者にとってより魅力的となってしまう。フォーブス記者の Tim Worstall はビットコインの価値は大部分が投機的取引によるものであるとしている[64] 。ビットコインはまた、SHA-256ベースの proof of work システムがエネルギー的に非効率だという批判も受けている[65]

関連項目[編集]

出典[編集]

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