ドナルド・トランプ

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ドナルド・トランプ
Donald Trump
Donald Trump by Gage Skidmore 10.jpg
アリゾナ州フェニックスにて 2016年8月31日撮影

任期 2017年1月20日(就任予定) –
副大統領 マイク・ペンス

出生 1946年6月14日(70歳)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
ニューヨーク州の旗 ニューヨーク州 ニューヨーク市の旗 ニューヨーク市 クイーンズ区の旗 クイーンズ区
政党 共和党 (2012年 - 現在、2009年 - 2011年、1987年 - 1999年)[1]
過去の所属:
民主党 (2001年 - 2009年[1]、1987年以前[2])
アメリカ合衆国改革党(1999年 - 2001年)[1]
配偶者 イヴァナ1977年 - 1992年
マーラ英語版1993年 - 1999年
メラニア2005年 - 現在)
子女 ドナルド・トランプ・ジュニア
イヴァンカ・トランプ
エリック・トランプ
ティファニー
バロン英語版
署名 Donald Trump Signature.svg
ドナルド・トランプ
Donald Trump
住居 ニューヨーク市マンハッタントランプ・タワー
フロリダ州パームビーチ、マー・アー・ラゴ
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身校 ペンシルベニア大学
職業
活動期間 1968年 -
給料 増加2億5,000万ドル
純資産 増加45億ドル(『フォーブス2015年10月)[3]
身長 191 cm (6 ft 3 in)
宗教 長老派教会
フレッド・トランプ英語版(父)
フレデリック・トランプ(祖父)
親戚 マリアン・トランプ・バリー英語版(姉)、ジャレッド・クシュナー(娘婿)
公式サイト 公式サイト
ドナルド・トランプ (@realDonaldTrump) - Twitter

ドナルド・ジョン・トランプDonald John Trump1946年6月14日 - )は、アメリカ合衆国実業家。第45代アメリカ合衆国大統領(予定)。不動産会社トランプ・オーガナイゼーションの会長兼社長で、カジノ・ホテル運営会社トランプ・エンターテイメント・リゾーツの設立者である[4]

略歴[編集]

生粋のニューヨーカーであり、父のフレッド・トランプ英語版もニューヨーク市の不動産開発業者。 父フレッドは不動産開発事業に対するトランプの関心を育て、トランプはペンシルベニア大学ウォートン・スクール在学中から、父フレッドの経営する不動産会社「エリザベス・トランプ・アンド・サン」を手伝い[5]、1968年に正式に社員になった。

1971年には父フレッドから同社の経営権を与えられ、社名を現行の「トランプ・オーガナイゼーション」に改めた。以来トランプは、ホテル、カジノ、ゴルフコースその他の不動産を建設し、その多くに自らの名前を冠している。 NBCリアリティ番組アプレンティス」への出演はトランプの知名度を更に高め、3回の結婚歴はタブロイド紙で広く報じられた。

2015年6月16日、2016年アメリカ合衆国大統領選挙共和党から出馬することを発表。トランプの初期キャンペーンは大々的にメディア注目を浴び、広く一般の支持を集めた[6]。2015年6月以来、共和党の世論調査では継続してトップの支持率を保っている[7][8][9]メキシコ系やヒスパニック系の不法移民に関する発言は、外国人嫌悪と取られることから共和党主流派の方針と決定的に相反するという指摘も受けており[10]ワシントン・ポストエコノミストニューヨーク・タイムズウォール・ストリート・ジャーナルハフィントン・ポストなどのメディアからは大きな批判を浴びた。

その一方で、ヒスパニックへの愛を表明し、マンハッタンのトランプ・タワーで各分野のラティーノ指導者らと会談を持ち、マイノリティの声に耳を傾けてもいる[11]。また、親しい黒人女優のオマロサ・マニゴールトとともにミシガン州デトロイトを訪れ、黒人有権者らとセルフィしたり、赤ちゃんを抱っこしたり、一緒に踊ったりし、差別されてきた人たちのことを理解しているとアピール。さらに、共和党はリンカーンであり、誰も排除されない国、労働者の党を目指すと宣言。有権者からの支持を増やすことに繋がった。2016年7月、トランプはマイク・ペンスインディアナ州知事)を副大統領候補に指名した。

2016年11月8日、2016年アメリカ合衆国大統領選挙本投票が行われ、民主党ヒラリー・クリントン候補を破り第45代アメリカ合衆国大統領に当選した。得票数ではヒラリーがトランプを上回っていたが、選挙人獲得数ではトランプがヒラリーを上回っており、トランプの勝利確定した。殆どのメディアは、ヒラリー・クリントン候補が勝利すると予想していたため、大方の予想は外れた。得票数で対立候補を下回った候補が選挙人獲得数により大統領に指名されるのは、ジョージ・W・ブッシュアル・ゴアを破った2000年アメリカ合衆国大統領選挙以来16年ぶりとなる。

プロフィール[編集]

生い立ち[編集]

18歳の頃

トランプは裕福な家庭の第四子として生まれた。父のフレッド・トランプ英語版は、1885年ドイツラインラント=プファルツ州カルシュタットドイツ語版からアメリカに移民して渡米したドイツ人フレデリック・トランプの子で、ニューヨーク州クイーンズ区の不動産デベロッパー。母のメアリー・アンは、スコットランドルイス島生まれで1930年にアメリカに渡った慈善家・主婦。トランプの両親は1936年に結婚し、5人兄妹をもうけた。

少年期のトランプは、クイーンズ区ジャマイカ・エステートのミッドランド・パークハイウェイ沿いで育って暮らし、13歳までは父が運営委員を務めるフォレスト・ヒルズ地区の学校に通っていたが、素行不良のためニューヨーク・ミリタリー・アカデミー英語版(陸軍幼年学校の1つ)に転入させられた[12]

1964年からブロンクス区フォーダム大学に2年通ったのち、不動産の専門学科があった数少ない大学であるペンシルベニア大学の経営学部(ウォートン・スクール)に転校し、1968年に経済学士号(BS (ECon))を取得して卒業した[13][14]。卒業後に父親が経営するエリザベス・トランプ・アンド・サンに入社して、仕事を通じて不動産管理や投資などの知識を身につける。

不動産王[編集]

トランプ・ホテル・ラスベガス
トランプ・タワー(シカゴ)
トランプ・タワー(NY)
ゴルフコース

1970年代からオフィスビル開発やホテルカジノ経営などに乗り出し、1980年代には、ロナルド・レーガン政権下における景況感の回復を背景に大成功を収め、アメリカの不動産王と呼ばれることになる。

自己顕示欲が旺盛であると言われ、各種メディアに積極的に露出するだけでなく、自らが開発・運営する不動産に「トランプ・タワー」、「トランプ・プラザ」、「トランプ・マリーナ」、「トランプ・タージマハール」など、自分の名前を冠している。

トランプ・タワー[編集]

トランプ・タワー」は、1983年に、ニューヨーク五番街(ミッドタウン・マンハッタンの目抜き通りである)に建設された。80年代のトランプの代表作として知られ、高級アパートメントとショッピングモール、オフィスエリアを擁する複合施設である。80年代にはスピルバーグマイク・タイソンといったセレブが入居しており、現在もNYヤンキースデレク・ジーターや、ハリソン・フォードビヨンセなどの有名人が住む。ミス・ティーンUSAミスUSAミス・ユニバースの優勝者が共同生活していることでも有名である。

転落とカムバック[編集]

トランプ・シャトルのボーイング727-200型機

1980年代後半には、当時経営不振に陥っていた大手航空会社イースタン航空のニューヨーク発(ラガーディア空港)のシャトル便路線網を買収して、自らの名を冠した「トランプ・シャトル」を興すなど他異業種への展開を進めたものの、 88年から89年にかけて巨額の債務を抱え、 91年にカジノが、92年にホテルが倒産した。 94年にこれらの資産を売って借金を減らし、遊覧船事業と飛行機事業から撤退、マンハッタンに所有する物件も多数を中国企業に売却した。現在も中国の銀行やゴールドマン・サックスなどから多額の借金を抱えている[15]

危機を切り抜けると、90年代後半から好景気を背景に復活を成し遂げ、著名な経済誌「フォーブス」が選ぶアメリカのトップ企業400社に再びランクインし、マンハッタンに新たな高級アパートメントを多数建設する他、ラスベガスアトランティック・シティなどアメリカ中に多数のホテルやカジノをオープンするなど、再び「アメリカの不動産王」としての地位を取り戻した。

サブプライム問題[編集]

2007年後半に起こったいわゆる「サブプライム問題」以降の不況を受け、社債の利子の支払い不能に陥るなど経営難に陥っていた「トランプ・プラザ」、「トランプ・マリーナ」、「トランプ・タージマハール」を経営するトランプ・エンターテイメント・リゾーツ社が、2009年2月17日連邦倒産法第11章の適用を申請した。

同社の創業者でもあるトランプはこれに先立ち、同社の取締役会に対して「同社の株式をすべて購入する」との申し出を行ったが拒否されたことを不服として同社の取締役を辞職した。2010年9月9日、「グラウンド・ゼロ」近くにイスラム教の文化センターが計画されている問題で、センター予定地を価格の25%上乗せで買い取りたいと申し出た。

オバマに対する発言[編集]

ハワイ州が発行したバラク・オバマ大統領の簡易な出生証明書("Certification of Live Birth")に疑問を呈し、 2011年、オバマは実際はハワイではなくアフリカ(ケニア)生まれで大統領の資格はないのではないかという国籍陰謀論を蒸し返し、注目を集めた[16]

ABCニュースに出演したトランプはカメラの前に自身の出生証明書を掲げ、オバマにも同じことをするように要求した。 「アフリカ生まれ」との疑惑を払拭するため、オバマは出生証明の原本をメディアに公開し、改めてハワイ生まれであるという事実を証明した。これについてトランプは、「バラク・オバマの出生情報を提出させることに成功した」と自画自賛した[17]

これには、一部から人種差別だという反発とボイコット運動が起こり、グルーポンが「アプレンティス」(後述)のサイトから広告を引き上げる騒ぎとなった[18]

同年4月末、トランプは年一回開かれるホワイトハウス記者クラブ主催の晩餐会に出席したが、ここでオバマは「この問題を取り上げていた人は、かねてからの問題に安心して取り組むことができるようになったのではないでしょうか」と、トランプら陰謀論を唱えた人々をジョークで皮肉った[19]

同月の世論調査では、トランプは、大統領選における共和党の候補として、アーカンソー州前知事マイク・ハッカビーと並んで、2位の支持率を獲得した(1位はマサチューセッツ州元知事ミット・ロムニー[20]。 2012年2月2日、共和党大統領候補として、ミット・ロムニーを支持すると表明した [21]

同年5月16日、共和党の予備選挙への不出馬を表明したが、最後に付け加える形で、のちの大統領選に、再び「(政治)見習いのセレブ(Celebrity Apprentice)」として出馬する予定であるとも述べた[22]

2015年9月18日には、自身の集会で、自身の支持者がオバマをムスリムと決めつけたときに否定しなかったことで再び非難を浴びた[23]

2016年8月10日には、フォートローダーデールの集会において、オバマと対抗馬のヒラリー・クリントンをイスラム過激派組織ISIL(イスラム国)の共同創設者であるとの持論を展開。翌11日のCNBCでのインタビューにおいて「私は事実を言ってるだけ」と述べた。しかし民主党のチャーリー・ウィルソンやオバマ陣営の外交問題顧問を務めたズビグネフ・ブレジンスキーらが、冷戦下のイスラム系反共武装集団に政治的支援を与えていたとしても、創設したとまでは言い難い。クリントン陣営は、「的外れな主張」であり、「トランプが米国を見下していることを示す新たな例」であるとの声明を発表した[24]。一方で民主党の側もロシア悪玉論を振りかざしている[25]

2016年8月19日には、洪水の被害に見舞われたルイジアナ州のバトンルージュを訪問。トラックいっぱいに詰め込まれた支援物資(子供向け玩具、衣類、おしめ、水、食料など)を運び、荷下ろしも手伝った。そして「大丈夫さ。状況は良くなる」などと被災者を励ました。その一方で、大統領就任以来300回目となるゴルフプレーに興じていたオバマ[26]に対し、「大統領はゴルフをせずに、早くルイジアナを訪れるべきだった。遅すぎる」と批判するのも忘れなかった。

2016年9月16日、トランプはワシントンで記者会見を開き、「オバマ大統領は米国生まれ。以上」と短い声明を読み上げ、オバマがアメリカ合衆国生まれであることを渋々認めたが、謝罪はしなかった[27]

民主党候補者への言動[編集]

かねてよりチェロキー族を先祖に持つエリザベス・ウォーレン上院議員を「ポカホンタス」と蔑称で呼ぶなど、SNS上で民主党関係者や共和党の対抗馬などへの挑発を続けてきたトランプであるが、ヒラリー・クリントンと最後まで予備選を争ったバーニー・サンダース候補が民主党党大会においてクリントン支持を表明するとTwitterにおいて、サンダースがやってきたことは全て無駄だったと挑発。サンダースは、「Never tweet.」(二度とツイートするな)と投稿した。オバマがクリントン支持を表明したことについて誰もオバマの続投を望んでいないとツイートすると、クリントンは「Delete your account.」(アカウントを削除しなさい)と短く返し話題を呼んだ[28]

2016年8月10日、銃規制の強化をクリントンが主張していることについて、「銃を所持する権利を支持する人なら何かできるだろう」と発言し、支持者に暗殺を示唆したものとして波紋が広がった。トランプの選挙対策本部は、支持者に投票を呼びかけたものであると釈明に追われた[29][30]アメリカ合衆国シークレットサービスは、トランプ陣営に対して事情聴取を複数回行ったことを明らかにした[31]

一方のトランプは、肺炎と診断された民主党候補ヒラリー・クリントンの回復を願うと表明。トランプ陣営の職員らにも、クリントンの病状に配慮し、 この件に関するソーシャルメディア上の投稿を控えるよう指示している[32]

女性蔑視発言[編集]

2016年10月8日ワシントン・ポストは、2005年にトランプがテレビドラマ『デイズ・オブ・アワ・ライブス』の収録に向かうバスの中で、バラエティ番組『アクセス・ハリウッド英語版』の司会者ビリー・ブッシュ英語版と、結婚直後であったにもかかわらず、「私は魅力的で美しい女性に磁石のように引き寄せられ、キスを始めてしまう」と既婚女性と性的関係を持とうとしたことを発言し、猥談を繰り広げる動画を公表した[33]

ポール・ライアン下院議長は、気分が悪くなるとしてトランプの演説会への参加を取りやめ、ラインス・プリーバス共和党全国委員長も非難する声明を発表。さらには、ジェーソン・チェイフェッツ英語版下院議員が、共和党の議員として初めてトランプ支持を撤回するなど、批判の広がりを受けたトランプは「気分を害した人がいたら謝罪する」と傍若無人の問題発言を繰り返すトランプが、自らの発言について謝罪を行う初の事態に追い込まれた[34][35][36]10月10日までに共和党に所属する連邦議会議員、州知事331人のうち少なくとも160人がトランプを批判し、うち32人はトランプに選挙戦からの撤退を要求した[37]

アメリカ大統領候補[編集]

出馬表明会見[編集]

支援者集会で話すトランプ

2015年6月16日には、トランプ・タワーの会見場で、2016年アメリカ合衆国大統領選挙共和党から出馬することを表明した[38]

この出馬表明の場でトランプは「メキシコ(政府)がメキシコの人を送ってくるときは、メキシコのベストな人は送ってこない。メキシコは問題が沢山ある人を送ってきて、彼ら(問題が沢山あるメキシコ人)は問題を我々のところに持ち込む。彼らはドラッグを持ちこむ。彼らは犯罪を持ちこむ。彼らは強姦犯だ。そして、いくらかは多分良い人だ!国境警備隊と話したら我々の直面していることを話してくれた。」と破天荒な発言し、大きな反発を招いた。

アメリカではヒスパニック(中南米)系住民が増加の一途をたどっており、2050年には国民の3人に1人はヒスパニックになると予想されている。このヒスパニックの反感を買う発言はトランプ自身の首を締めるものと言われた。

米スペイン語放送最大手でヒスパニック向けのテレビ番組を放送しているユニビジョンは、トランプが共同事業者として参加しているMUO(ミス・ユニバース機構)との提携関係を解消し、「ミス・ユニバース」関連の放送を今後一切行わないと発表した。

米放送メディア大手NBCも「ミス・ユニバース」の放送を打ち切ると発表し、「ミスUSA」の放送も打ち切り、自社番組「アプレンティス」からトランプを降板させ、トランプ抜きで放送を続けると発表した。

トランプは同時に「私はメキシコにもメキシコ人にも敬意を抱いているし好きだよ」(I have great respect for Mexico and love their people and their people's great spirit.)とも言ったが、米大手百貨店メイシーズもトランプ・ブランドを撤去すると発表した。

男子ゴルフのメジャー大会優勝者で争われるPGAグランドスラムを開催する米プロゴルフ協会(PGA)は、10月の大会をトランプが所有するロサンゼルスのコースで行う予定だったが、別の場所にすると発表した[39]

同月、トランプはケーブルテレビのインタビューで、大統領に当選すれば、投資家のカール・アイカーン財務長官に、実業家のジャック・ウェルチや投資家のヘンリー・クラビスを政策ブレーンに起用すると発言した。アイカーンは「突然のことで驚いた」[40]「嬉しいが、この提案に応じられるほど私は早起きしていない」と一旦は辞退したものの[41]、後に受諾を表明した[42]。 カール・アイカーンはトランプのためにスーパーPACを組織するなど大統領選を支援し、支持を呼びかけている[43]。アイカーンはタイム・ワーナーの大株主であったが、2006年2月7日にラザードとタイム・ワーナー解体を主導したことが343ページの企画書公開により明らかとなった。そのタイム・ワーナーは2016年10月現在、AT&Tが買収する見込みである。

11月、ヒスパニック系の著名な知識人67名が、「数百万の死者を出すことに繋がった異民族に対する歴史的運動を想起させる」危険なヘイトスピーチであるとの非難声明を発表した[44]

出馬表明後[編集]

遊説で使っている自家用のボーイング757-200「トランプ・フォース・ワン」

2015年12月には、ムスリム系夫妻がカリフォルニア州サンバーナディーノ郡で福祉施設を銃撃し14人を殺害した事件の後、「当局が(テロの)全容を把握するまで当面の間ムスリムの入国を完全に禁止するよう」提案した。メディアはこれを「ムスリム入国禁止発言」と伝え、世界的に波紋が広がり、イスラム世界はトランプ・ブランドの商品を回収するなど激しく反発した[45][46]

この発言を巡っては、アラブの大富豪として知られるサウジアラビアアルワリード・ビン・タラール王子が「おまえは共和党だけでなく全米の恥だ。おまえは決して勝てないから大統領選から撤退しろ」“You are a disgrace not only to the GOP but to all America. Withdraw from the U.S presidential race as you will never win."[47]と、Twitterで攻撃して話題になった。

これに対してトランプは「まぬけ王子のアルワリード・タラルの望みは、我がアメリカの政治家をパパのお金で操縦することだ。私が当選したら出来ないがね。」“Dopey Prince Alwaleed Talal wants to control our U.S. politicians with daddy’s money. Can’t do it when I get elected."[48]とツイートし返して注目を集めた[49]

その後も様々な「問題発言」が取り上げられていたが、2016年3月当時も、共和党の指名候補争いでトップの支持率を保っていた[50]

2016年1月19日、2008年大統領選挙で共和党の副大統領候補だったサラ・ペイリンアラスカ州知事から支持を表明された[51]

2月27日、大統領選挙から撤退したニュージャージー州知事クリス・クリスティから共和党指名争いにおける支持を得る[52]

3月2日、スーパー・チューズデーの日、共和党の安全保障専門家たちが「トランプの大統領就任を阻止するために精力的に取り組むと誓う」とする連名の公開書簡を発表した[53][54]。この書簡にはロバート・ゼーリック世界銀行総裁マイケル・チャートフ国土安全保障長官ドブ・ザケイム会計検査担当国防次官など120人以上が署名している[55][53]

トランプ人気の強さが明らかになるに連れて、トランプの集会を訪れる抗議者も増えている。 特にシカゴで予定されていた3月11日の選挙集会では、移民に関する発言に反発した黒人やヒスパニック系の反トランプ派数百人が現れ、会場となっていたアリーナの5区画を占拠した。既に会場にはトランプの演説を聞くために8500~1万人の聴衆が集まっていたが、抗議者と支持者の間で殴り合いも起き、トランプ陣営は「安全上の懸念」を理由として集会の中止を発表した[56][57]

同日、4日に共和党指名争いから撤退した元神経外科医のベン・カーソンから大統領候補としての支持を受けた[58]

メディア報道[編集]

2016年大統領選における米国の新聞・雑誌の支持動向

候補 日刊紙 週刊紙 雑誌 学生新聞 国際報道機関 合計
ヒラリー・クリントン 226 121 13 53 10 425
支持なし 55 12 0 4 0 70
ドナルド・トランプ以外 6 1 4 3 4 18
ドナルド・トランプ 8 4 0 0 0 12
ゲーリー・ジョンソン 6 0 0 0 0 6
エヴァン・マクマリン 1 0 0 0 0 1
ヒラリー・クリントン以外 1 0 0 0 0 1

トランプは他の候補よりも少ない資金で指名争いをリードすることで、資金力だけでは勝てないことを印象づけた。

ルビオ、ヒラリー、ジェブ・ブッシュらがウォール街から大口の献金を得ていることと対照的に[59]、トランプは献金を募らずに自弁による選挙活動を続けており、同陣営が使った28億円(2500万ドル)という費用はあらゆる共和党候補よりも少ない。

16年2月時点で、共和党の各候補が1票を獲得するために投じた費用は、ジェブ・ブッシュが14万円(1320ドル)、ルビオが3万円(260ドル)、テッド・クルーズが2万6千円(233ドル)、トランプが6800円(60ドル)である[60]

有権者1人あたりに投じた金額は、ジェブ・ブッシュ6万円(551ドル)、ルビオ3400円(30ドル)に対して、トランプは340円(3ドル)である[61]

またトランプに対するネガティブ広告は週ごとに増し、2月末までに費やされたトランプ封じのネガティブキャンペーン予算は76億円(6700万ドル)に上る。各候補は対トランプ予算を3億円以上用意しており、フロリダの予備選投票ではトランプ阻止のために7億9千万円(700万ドル)が使われた。

16年3月上旬には共和党のテレビCMの半数はトランプ降ろしを狙うものになり、対トランプのネガティブCMは6万件に達し、「弾幕」や「嵐」と呼ばれるほど増えた。

また欧米メディアは、一様にトランプに否定的な反応を見せている[62]。米国の政治専門紙ザ・ヒルの調査によると2016年10月までに米国の発行部数上位100紙のうち民主党候補のクリントンを支持した新聞が17紙あったのに対し、トランプ支持を打ち出した新聞は1紙も存在しなかった[63]。女性蔑視発言によるトランプの失速が明らかになって以降、トランプ批判に踏み切りクリントン支持を打ち出すメディアは急増しており、歴代大統領に関する資料を収集するカリフォルニア大学サンタバーバラ校のプロジェクトが同じく上位100紙を対象に行った調査では、クリントン支持33紙、ジョンソン支持3紙、トランプ支持は0紙であった[64]。ジョンソン支持を打ち出した3紙は元来、共和党寄りの論調の新聞である。

エコノミストは、「トランプのアメリカ - なぜトランプ氏は危険なのか」という題の社説を掲載、トランプの政策の変遷や政党遍歴、ポピュリズムや外交政策を批判した[65]
ニューズウィークは、トランプについてアドルフ・ヒトラーと同じデマゴーグであり、自画自賛が激しく、傲慢で具体性もないのに詭弁を弄して民衆の支持を集める人物であるとする記事を掲載した[66][出典無効]
ハフィントン・ポストは、2015年にはトランプの選挙運動を「見せ物」(sideshow)に過ぎないとして、政治欄で扱わずエンタメ欄[67]に掲載していたが、12月7日、アリアナ・ハフィントン(ハフィントンポスト創設者で社長、編集長)がトランプを「トランプの発言は初めから醜かった(ugly)」「トランプは女性蔑視主義者だ」「トランプは人種差別主義者」「トランプの好きにはさせない」「彼の発言は面白くない。不快で危険だ。」と非難し、再び政治面で扱う決定をしたと発表した[68][69]
共和党系保守紙ナショナル・レビュー英語版は、ドナルド・トランプとテッド・クルーズの2人を共和党への脅威として辛辣に批判し続けており、2016年には「反トランプ」特集を組んだ[70]
タブロイド紙デイリーニューズの黒人記者は、トランプが2度離婚していること、牧師に罪を告解した経験がないこと、人種差別的とされる発言が多いことなどを挙げ、キリスト教徒のふりをしている紛い物であると批判した。トランプへの支持を表明したジェリー・ファルウェル(米バージニア州のリバティ大学学長)に対しても「南部の保守的な白人キリスト教徒はいつも人種差別的である」とした上で、トランプのことをファルウェルのような保守派のキリスト教徒に愛される人間ではないとした[71]
ニューヨーク・タイムズは、1月30日、民主党のヒラリー・クリントンを「近代史上、最も能力の高い大統領候補」と称賛する一方で、共和党トランプを「経験もなければ、安全保障や世界規模の貿易について学習することへの興味もない」と評した[72][73]
ウォール・ストリート・ジャーナルは2月22日の社説で、トランプ支持を見直さなければ得体の知れないものに真っ逆さまに飛び込むことになると訴えかけ、民主党が党内の社会主義者(バーニー・サンダース)を「甘やかさなかったように」、共和党支持者も反トランプ票を1人の対抗馬に集めることが望まれるとした[74]
ワシントン・ポストは2月25日の社説でトランプの大統領就任阻止を訴えた。トランプが1100万人に上る不法移民を強制送還すると発言した点に触れて、「スターリン政権かポル・ポト政権以来のスケールの強制措置」であると批判、「良心ある共和党指導者がトランプ氏を支援できないと表明し、指名阻止のためにできることをする時だ」と訴えた[75][76]。10月13日には、トランプについて「偏見に満ち、無知で、嘘つきで、自己中心的で、執念深く、狭量で、女性蔑視で、財政面で無頓着。民主主義を軽蔑し、米国の敵に心を奪われている」と強く批判した上で、「根気があり、困難にめげず、決然とし、しかも賢明」なクリントンへの支持を表明した[64]
キリスト教有力紙クリスチャン・ポスト英語版は、トランプを「ミソジニスト(女性差別主義者)であり、なおかつ遊び人である」として、「女性と少数派を貶めている」と批判、トランプを落選させるよう有権者に呼びかけた[77]
フォーリン・ポリシー英語版には、軍にテロ容疑者の家族、疑わしい市民に対する拷問を命じるとするトランプの発言に反対する50人の共同声明が掲載された。彼らは「我々の知る有力な法律家は皆それらを違法だと考えている」として、トランプに違法な命令を出すような約束をやめるように呼びかけた。また米国の大統領が戦争犯罪を行うよう命令しても米軍は法的職業上の義務として拒絶するとした[78]
フィナンシャル・タイムズは、トランプがウィスコンシン州の予備選で敗北すると、投票者がようやくトランプの欠点に気がつき始めたのかもしれないというかすかな希望が見えたとし、有権者に共和党の大多数がトランプに反対する流れに今から続いても決して遅くはないと呼びかけた[79]。トランプ当選後には、アメリカ国民は「自爆テロ犯を政府に送り込んだ」とし、米国の民主主義は南北戦争以来、150年間経験したことのない試練に直面するとして、改めてトランプを酷評した[80]
ガーディアンはトランプ当選を受けて、左派系論壇の重鎮として知られるジョナサン・フリードマン英語版による社説を掲載。トランプの「醜い」選挙キャンペーンやトランプを当選させたアメリカ国民を厳しく批判した[81]
ボストン・グローブは、2016年4月10日、「共和党はトランプを阻止せよ」と題する社説とともに「トランプ大統領」の統治下を想定した架空の記事を掲載してトランプが掲げる1100万人の移民強制送還などの政策を批判した[82]
米国最大手紙USAトゥデイは、2016年9月29日、行き当たりばったりで人種偏見的思想を持つトランプを、確定申告もしない嘘つきであるとして、「米国が大統領に求める性格、知識、堅実さ、誠実さを欠く」トランプは大統領に相応しくないと論評した。政治的中立を謳う同紙が大統領に対する支持・不支持を明確にするのは1982年の創業以来初のことである[83]
老舗雑誌アトランティック英語版もトランプを「主要な政党の候補者としては、大統領選挙史上、最も不適格だ」として政治的中立の立場を52年ぶりに取りやめ、クリントン支持を表明した[84]
長年共和党支持を打ち出してきたテキサス州の最大手紙ダラス・モーニングニューズは、トランプを「党のほぼ全ての理想と相いれない。党員でも保守主義者でもない」と批判し、「大統領になる資格はなく、投票に値しない」として不支持を表明。第二次世界大戦後初めて民主党候補であるクリントンの支持を表明した[85]
アリゾナ州の最大手紙アリゾナ・リパブリックも、創刊時の紙名が「リパブリカン」(共和党員)である共和党支持の新聞であるが、トランプを「保守でもなく、大統領になるべきでもない」として1980年の創刊以来初めて民主党候補を推薦した[86]
その他、共和党寄りの論調で知られる新聞では、ヒューストン・クロニクルテキサス州)が史上2回目、シンシナティ・インクワイアラー英語版オハイオ州)が100年ぶり、サンディエゴ・ユニオン・トリビューン英語版カリフォルニア州)が創刊以来初めて民主党支持を打ち出した他、リッチモンド・タイムズ・ディスパッチ英語版バージニア州)、ニューハンプシャー・ユニオン・リーダー英語版ニューハンプシャー州)、デトロイト・ニュース英語版ミシガン州)のように第3の候補とされるリバタリアン党ゲーリー・ジョンソン元ニューメキシコ州知事を支持する新聞もある[86]
激戦区フロリダ州タンパベイ・タイムズなどもクリントン支持を明らかにしている[64]

このようなメディアの逆風と、少ない選挙資金で指名争いの首位を保ってきた逆説的な状況については、マスコミ誌上でも多くの分析があり[87]、全体としては主流政治家への不満の他、支持者の見識不足と結論づける論調が多いが、非常に少数の意見としては米大手シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)のエドワード・ルトワックによる見解などもある[88][89]

なお、トランプ陣営は自身に対して批判したメディアの取材を拒否し、ワシントン・タイムズ、ハフィントン・ポスト、バズフィードデイリー・ビースト英語版ユニビジョンフュージョンマザー・ジョーンズ英語版ポリティコ、ナショナル・レビューなど多くの報道機関の記者から記者証を取り上げたり、トランプの選挙対策本部長コーリー・ルワンドウスキ(後に解任)が質問しようとした女性記者の腕を掴むなどの強硬策に打って出ている[90]

数少ないメディアによる支持表明の例としては、ニューヨーク・ポストがあり、日韓核武装論やメキシコ国境への万里の長城建設といった政策を「新人らしいミス」と一蹴しつつも、「不完全だが、可能性に満ちている」として支持を表明している[91]

日本語メディアの反応[編集]

アメリカ大統領選挙は世界中の政治や経済の秩序に大きな影響を与えるため世界中のメディアが注目しており[92]、アメリカの同盟国として最大の経済力を持つ日本でも新聞各紙はトランプの躍進について社説で論評している。

発行部数が世界最大の日刊紙、読売新聞は、3月3日の社説で、トランプが中国・日本・メキシコなどを打ち負かすと発言したり、偉大な米国を取り戻すといった「単純なスローガン」の繰り返し[93]によって危うい大衆扇動をしていると評し、トランプを支持する動きを「反知性主義」と断じた[94]
朝日新聞は、トランプが「米国と世界を覆う難題」に冷静に取りくまず「社会の分断」を煽ってきたと言い、トランプは国民の鬱屈する心情に「扇動的」に訴えかけており、「自由主義の旗手を自負する大国」の指導者に相応しくないとした。また米国の強みは流入する移民とともに成長することであるとした上で、米国では白人が着実に減っている反面、中南米系とアジア系が増えているのだから「人種的な意識があるならば時代錯誤である」として、米国民に「移民を排し、外国を責め、国を閉じ」ても何も解決しないので「グローバル」で優秀な指導者を選ぶように期待するとした[95]
毎日新聞は、トランプがメキシコとの国境に壁を作って移民を締め出し、イスラム教徒の入国も禁じる訴えをしていると紹介したうえで、世界がこのような発言で息苦しくなっているとし、共和党にそれでよいのかと疑問を投げかけ、トランプには、「暴言や下品なパフォーマンス」を慎むべきだとした[96]
中日新聞は、「移民やイスラム教徒に対する無用の憎悪をあおり喝采を浴び」る「ポピュリストの手法」によるトランプの躍進に世界の憂慮が深まっていると指摘した[97]
日本経済新聞は、トランプが支持を集める背景を理解すべきとした上で、トランプが「人種差別的な発言」を繰り返しているとした。またトランプの「極端な主張」は必ずしも保守主義を体現しておらず、そのような主張に共鳴する支持者の姿を見ると、歯止めがきかなくなった「大衆迎合主義の危うさ」を感じるとし[98]、米国社会の分裂がトランプや他の候補の政策によって高まれば日本が不満の捌け口にされる恐れもあると指摘した[99]
産経新聞は、『トランプ現象 「痛快だから」では済まぬ』と題する記事を掲載。トランプの政治姿勢について「貿易で日本、中国、メキシコを打ち負かすと連呼」していて、「日米同盟の意義」を理解していない、「有無を言わせず通商紛争を仕掛けるかのような」内向きで独善的な姿勢であるとして、トランプの躍進に不安を覚えるとした。他方、トランプの対立候補には、トランプを支持する人たちが抱えている政治や社会への不満を克服する手法や政策を提示するよう求めた[100]

共和党予備選での勝利[編集]

2016年5月3日、インディアナ州予備選で勝利し共和党の大統領候補指名獲得に必要な代議員1237人の確保がほぼ確実となった。

これを受け、ライバル候補のテッド・クルーズおよびジョン・ケーシックが予備選からの撤退を表明[101][102]。他の候補者がすべて選挙戦から撤退し、予備選に残っている候補者はトランプのみとなったため、この時点でトランプの大統領候補指名獲得が事実上確定した。

2016年7月の共和党予備選挙で正式に大統領候補に指名された。

一般投票[編集]

2016年11月8日(アメリカ東部時間)執行のアメリカ合衆国大統領選挙一般投票で、民主党指名候補のヒラリー・クリントンリバタリアン党指名候補のゲーリー・ジョンソン、アメリカ緑の党指名候補のジル・スタインを相手に接戦の末、全米で過半数の270人以上の選挙人を獲得した。

12月19日の選挙人による投票で、過半数の270人以上の選挙人が、トランプ氏に投票した場合、当選者となり、バラク・オバマの後任として、2017年1月20日に第45代アメリカ合衆国大統領に就任する[103]。就任時は70歳7カ月で、1981年1月に69歳で初就任したロナルド・レーガンを上回り、歴代の最高齢で就任する大統領になる[104]

当選後[編集]

閣僚の人選は、副大統領候補のマイク・ペンスが2016年11月11日に組閣責任者となり、指揮することになった。同月15日にカール・アイカーンツイッターで語ったところによると、財務長官にユダヤ系投資家として知られる元ゴールドマン・サックス幹部のスティーヴン・マヌーチン氏、商務長官にはイェール大学卒の投資家ウィルバー・ロス氏が起用される[105]

アメリカ合衆国大統領[編集]

大統領就任式[編集]

(選挙人による投票で当選した場合)

政見[編集]

選挙キャンペーンロゴ・Make America Great Again(白バージョン)
選挙キャンペーンロゴ・Make America Great Again(青バージョン
選挙キャンペーンキャップ・Make America Great Again(白バージョン)
選挙キャンペーンキャップ・Make America Great Again(赤バージョン)

1987年以前と2001年~2009年にかけては民主党員であり、同党のクリントン元大統領夫妻に過去10回[106]に亘って献金もしている。また1999年~2001年までの間、アメリカ合衆国改革党にも所属していた。2000年の大統領選には同党から立候補しようとしたが結局断念。2016年の大統領選では共和党から出馬しているが、アメリカ改革党の支持も得ている。

トランプの政策的主張は共和党の主流派とは大きく異なっており、政見について敵対する勢力からは大衆迎合主義(ポピュリズム)であると揶揄されることも多い。

トランプをポピュリストとする1人でロイター通信のコラムニスト、ビル・シュナイダー(英語)によれば、ポピュリストとしてのトランプには右翼ポピュリストの特徴と左翼ポピュリストの特徴が両方あるという[107]

シュナイダーによれば、ポピュリストにも右翼と左翼の区別があり、左翼ポピュリストはウォール街と「富を独占する1%の富裕層」を攻撃するが[108]、右翼ポピュリストはリベラルの俗物ぶりとエゴの大きさを批判し、高学歴者がキリスト教の伝統的価値を破壊することを批判する[109]

そしてドナルド・トランプはそれが合体しており、自分自身が富裕層であるのにウォール街を愛しておらず、右派のように移民、少数派、女性を攻撃するばかりか、左派のようにヘッジファンド嫌いであり、ウォール街の側も、反トランプの広告に何百万ドルも使って、トランプの勝利を阻もうとしているという[107]

こうしたトランプの主張の支持者は、ニューヨーク・タイムズによれば「高校を出ていない白人」「農業や製造業といった古い産業の底辺」であり[110]ウォール・ストリート・ジャーナルによれば「高卒の白人、特に男」「下流労働者で非民主的な思想の持ち主」だという。また支持者に移民はほとんど居ないと言われている。しかし一部の合法な移民からは支持されているという[111]

外交[編集]

反共主義や自由化、民主化を掲げて介入するジョージ・W・ブッシュ元大統領をはじめとする共和党ネオコンや、ヒラリー・クリントンなどの民主党のタカ派とはトランプは一線を画していると見られており、外国の事に関与するよりも国内問題に集中して取り組むべきだというモンロー主義孤立主義)により近いという見方もある。トランプの古くからの親友[112]で長年アドバイザーだったロジャー・ストーンリチャード・ニクソンの崇拝者であり、トランプには輸入課徴金の採用[113]やニクソンの演説の引用[114]など保護主義的で国益重視だったニクソンの影響があるともされている[112]。ニクソンの腹心だったヘンリー・キッシンジャーを「非常に尊敬してる」として度々助言を仰いでいる[115][116]

トランプは自らの外交方針について「私は孤立主義者ではないが、’’米国が第一’’だ(I’m “America First.” )」「我々はあらゆる国と親しくするが、いかなる国に対しても付け入る隙を与えない」と要約している[117][118][119][120][121][122]

ときに米国のリベラル・保守派の双方が非難している他国の指導者を支持するかのような発言が見られ、1990年にインタビューの中で、崩壊前年のソビエト連邦天安門事件直後の中国について語った箇所は、トランプが共和党候補者でタカ派であるにも関わらず、共和党右派からも批判されている。

インタビュアーがソビエト連邦の情勢をどう見るか尋ねると、トランプは「ピケが多発しており、今すぐにも革命が起こる。ロシアはリーダーシップを失って混乱している。がっちりした手を講じないゴルバチョフ大統領(当時)に問題があるのだろう。」と答えた。

この前年(89年)に起きた中国の天安門事件を念頭において「がっちりした手とは中国のような対応?」とインタビュアーが質問すると「中国は学生たちを一掃した。彼らは悪いやつで恐ろしい。だが、彼らは我々に力の強さを見せつけた。一方の我々の国は、弱くなっている」とコメントした[123]

また、「ソビエト連邦は転覆すると予言しておく。ゴルバチョフが極端な弱さを示しているからだ。突然いたるところで騒乱がおきて、究極的には暴力革命に繋がるだろう。ゴルバチョフは素敵なリーダー扱いされており今後も国際的な信用を増していくだろうが、それは彼がソ連を破壊しているからだ。」とゴルバチョフの改革がソ連を脆弱化させているという認識を示した。

この発言は、右派ナショナル・レビューの共和党とイラク戦争を支持する編集幹部から、「(ソ連や中国の強権政治について)こんな発言をする人間だからプーチンを褒めても驚くには値しない」「自由や民主主義や人権に背を向ける民主党のように、共和党まで落ちてしまうのか。」「私は残忍で殺人的で卑怯な中国政府を吹き飛ばしたかった!」と非難されている[123]

この発言はCNNで行われたテレビ討論会でも追及され、その際にも天安門で起きたことを支持していないと強調した上で、中国政府が「暴動」を押さえ込んだという表現を使ったことで[124]、天安門事件でリーダー格だった王丹[125]魏京生[126]ウイグル人ウーアルカイシ[127]といった著名な中国民主化運動家から「まるで中国共産党の指導者」「中国共産党による抑圧に反対する者への侮辱だ」「アメリカの価値観の敵」として抗議を受けている。

ロシアや中国とは小さくない問題を抱えてるとしながらも、「敵対関係になってはならず、共通の利益を見いだすべきだ」と発言している[128]

対ロシア[編集]

2015年9月にはシリアで空爆を続けるロシア軍について「ロシアはアメリカに敬意を払っていないが、もしイスラム国を攻撃したいのならロシアに好きにさせればいい。イスラム国を排除させるのだ。我々もイスラム国を排除したいのだから気にすることなどない」と発言。ロシアが主導権を握ることを容認する考えを示した[129]。2016年7月には「イスラム国に対抗して、我々がロシアや中国などと一緒になってイスラム国がもたらす地獄と混乱を一掃すれば素晴らしいだろう?」[130]と発言している。

当時はソ連だった80年代からロシアや他の旧ソ連構成国[131]でもビジネスを行っている経験上、ロシアとも関係を深めるべきであると発言しており[132]、「米ロがもっと協力すれば、テロを根絶し世界平和を再構築することができると常に感じている。貿易のみならず、あらゆる恩恵が相互の信頼関係からもたらされる」と述べている。

トランプはウラジミール・プーチンを「内外で尊敬されている人物」「オバマと違って少なくともリーダーだ」と称賛しており、プーチン大統領もトランプを「トランプ氏には才能がある」と評価している[133]。ただし、トランプは「ロシアとは関係はよくなると思うが、もしかしたらそうでもないかもしれない。私をプーチン大統領が褒めたといっても、これは交渉の助けにならない」とも発言している[134]

トランプ陣営が制作した選挙宣伝用ビデオの中で、ナレーションがロシアを「最強の敵」と表現したことについては、ロシアの大統領報道官ドミトリー・ペスコフは「ロシアを悪魔のように扱っている」と批判した[135]

また、国際空域で米軍機へのロシア軍戦闘機の接近が相次ぐことに関連して、オバマはロシアに弱腰であるとして、「ロシアの戦闘機が米国機に接近しても、外交が役に立たないなら、それらを撃墜する必要がある」とも明言している[136]

民主党のメール流出事件については「ロシアや中国といった我々の友人はハッキングの地獄に突き落としたのだ」[137]「ロシアにはさらにメールを見つけてもらいたい」「ロシアと中国、或いは他の国がメールを持っているなら、正直に言う、彼らは私に見せてほしい」[138][139]と発言している。

大統領選勝利後は電話会談でプーチン大統領に対して「強固で永続的な関係を築きたい」と述べたとする声明を発表した[140]

対中東[編集]

これまでの中東政策には否定的であり、イラク戦争にも反対してきた。

CNN番組の中では、次のように述べた[141]

わかるだろ、あなたがサダム・フセインを好きかしらないが、彼はテロリストを殺していた。テロリストにとってイラクは楽しい場所ではなかった。ところが今や、イラクは「テロリズムのハーバード大学」(Harvard of terrorism)だ[142]
数年前のイラクを見たらわかる。彼(サダム)が良いやつだったと言うつもりはない。彼はおそろしい奴だったが、今よりもマシだった。
“ If you look at Iraq from years ago, I'm not saying he (Saddam) was a nice guy. He was a horrible guy but it's better than it is now,
人々は頭を刎ね飛ばされたり、溺れさせられたりしている。今この時、彼らの状態は、かつてなく最低で、サダム・フセインやカダフィの時代より悪い。
“ People are getting their heads chopped off. They're being drowned. Right now it's far worse than ever [than it was] under Saddam Hussein or Gaddafi,
何が起こったか見てくれ。リビヤは大惨事だ。大災害だ。イラクも大災害。シリアも大災害。中東まるごと大災害だ。全部、ヒラリーとオバマの時代に吹き飛んでしまった。
“ look what happened. Libya is a catastrophe. Libya is a disaster. Iraq is a disaster. Syria is a disaster. The whole Middle East. It all blew up around Hillary Clinton and around Obama. It blew up.

一方で、2002年ラジオの中では、「あなたならイラクに侵攻する?」と問われて「するだろうね(Yeah I guess so)」と答えていたので、かつてはイラク戦争を支持していたのではないかという指摘もある[143]。トランプはこの件について、「私は開戦する前から反対派になり、2003年からはっきりと反対しているのだから意味がない」と主張した。

イラン核合意については破棄を「私の最優先事項」[144]と訴えている[145]

サウジアラビアについては「守りたいが、彼らはいくら負担してくれるんだ?」と発言した[146]

エジプトについては、「親イスラエルだったホスニ・ムバラク政権を倒してムスリム同胞団を助けた」とオバマの外交政策を批判している[147]

イスラエルを「アメリカの最も信頼できる友」としており、「我々は100%、イスラエルのために戦う。1000%戦う。永遠に戦う」[148]や「イスラエルはユダヤ人の国家であり、永遠にユダヤ人国家として存在することをパレスチナは受け入れなければならない」[149]などと表明するなど、明確にイスラエル寄りの姿勢を示している。

1983年ユダヤ民族基金英語版から米国とイスラエルの関係への貢献を称えられて表彰されており[150]2004年ニューヨーク五番街で行われたイスラエルを応援するパレードでグランドマーシャルを務めたり[151]、「Jewish Voice」というメディアから、ユダヤ人の孫の祖父であることをどう感じるかと聞かれて、「私はユダヤ人の孫だけでなくユダヤの娘(イヴァンカ)もいて、とても光栄に思います」[152]と答えており、父[153]や兄[154]など家族もともにユダヤ人コミュニティとの繋がりは深い[155]

2016年7月に行われた共和党大会では、採択された政策綱領で同盟国イスラエルとの関係強化が掲げられ、パレスチナに言及した二国家解決案の削除などがされたことから「史上最も親イスラエル的な綱領」と称賛した[156]。大統領選の際もイスラエルで前例のない規模の在外投票を呼びかけるキャンペーンを行った[157]。また、ヨルダン川西岸地区でのイスラエルの入植活動を支持しており[158]、自らが掲げるメキシコとの間の壁建設も自身の著書でイスラエル西岸地区の分離壁を参考にしてるとしている[159]

父フレッドの友人[160]でもあったイスラエル首相のベンヤミン・ネタニヤフとは旧知の仲であり[161]、大統領選に出馬する前の2013年にも再選キャンペーンに「本当に偉大な首相だ」と応援する36秒のビデオメッセージを寄せていた[162]。ただし、ネタニヤフ首相も、イスラム教徒を入国禁止にするというトランプの発言に関しては、発言の数時間後には「イスラエルはあらゆる宗教を尊重する」と表明するなど距離を置き、トランプは予定していたイスラエル訪問を「余計なプレッシャーをかけたくないので大統領になってからする」と延期した[163]。2016年9月25日にトランプはネタニヤフ首相との会談を果たし、イラン核合意やイスラエルへの軍事支援を話し合った他、エルサレムをイスラエルの首都として承認することやパレスチナにイスラエルをユダヤ人国家として受け入れさせることで一致した[164]。大統領選の勝利の際もネタニヤフは「トランプはイスラエルの真の友人」と祝福するビデオメッセージを寄せ[165]、トランプも早急な首脳会談を希望してネタニヤフを米国に招待した[161]

対アジア[編集]

アジア太平洋での海洋安全保障については、2015年9月3日にラジオで司会者から「中国日本フィリピンの船を沈めたら、どう対応するか」と聞かれたときは、「相手に考えを知られたくないから答えない」「『これをする』『ここを攻撃する』と言ってしまうのがオバマ大統領の問題。」と明言しなかった[166]。また、「中国の行動をきっかけに米国が第三次世界大戦を始めるとは考えない」「中国をよく理解している」「中国とは良いビジネスを重ねてきた」として「米国は中国に対して貿易上の影響力を持っている。圧力をかけて譲歩を引き出すことができる」とし[167]尖閣諸島を中国が占領した場合も「答えたくない」としている[168]

また、2016年2月25日テキサス州でのテレビ討論会では「日本、韓国ドイツ、など全ての同盟国を守ることはできない」とし「もっとお金を払わせたいんだ」と、在日・在韓米軍の駐留費用の負担増を求める考えを示した。

3月10日フロリダ州では、社会保障の財源について司会者から聞かれると、「狂気じみた北朝鮮が何かするたびに米国は艦船を派遣するが、事実上、米国が得るものは何もない」と話し、アジア地域を含む在外米軍の駐留経費を削減する可能性に言及した。

3月21日、ワシントン・ポストによるインタビューにおいて[169]、人件費を除いた日韓の米軍駐留経費のうち、50%を日韓が負担していることを指摘された際、「50%? なぜ100%ではないのか?」と答え、海外に基地を有することで米国は利益を得ているかと問われた際には、「個人的にはそう思わない」「米国はかつての地位にはないと思う。米国は大変強く、大変豊かな国だったと思うが、今は貧しい」とした上で、それにも関わらず巨額の予算を自国のためではなく外国の防衛のために投じていると述べた[169][168][170]

3月26日のニューヨーク・タイムズのインタビューの中で[117]、記者から「日本は世界のどの国よりも多額の駐留支援金を払っている」と指摘されると、「払っているが、依然我々が負担しているコストよりも遥かに少ない」と反論し、「米国には日韓の防衛のために巨額の資金を費やす余裕はない」と主張した。その上で、日韓が駐留経費の負担額を大幅に増額しないのであれば、「喜んでそうするわけではないが」、在日・在韓米軍の撤退も辞さないと明言した。更に、NATOや日米等の防衛条約について「非常に不公平」であるとして、再交渉する意向を表明した。

更に、同インタビューの中で、「米国がこのまま弱体化を続けるなら、私が議論するかどうかとは無関係に、日韓は核兵器の保有を望むようになるだろう」「日本が北朝鮮の核の脅威にさらされた場合に、日本が核兵器を保有することは米国にとってそんなに悪いことではないだろう」と述べると共に、記者の「(北朝鮮が何をしでかすかわからないから)日本が自分たち自身の核兵器を必要とするのも分かるし、日本は米国に頼るばかりではいられない…(というわけか)」との発言に対して「本当にその通りだと思っている。特に、北朝鮮の脅威があるから。北朝鮮は日本に対して非常に攻撃的だ。北朝鮮は中国とイラン以外のどの国に対しても攻撃的なんだ」と答え、日韓の核武装に反対しない考えを示唆した [117][118][171]

中国日本に対しては、大統領選出馬表明会見の際にも「中国、メキシコ、日本、その他多くの場所から、仕事を取り返す。私は我々の仕事を取り返し、我々にお金を取り返す」(I’ll bring back our jobs from China, from Mexico, from Japan, from so many places. I’ll bring back our jobs, and I’ll bring back our money.)と言及がある。

この会見では、特に中国への対抗姿勢を鮮明にしており、「中国との貿易交渉で彼らに勝ったことがありますか?。彼らは我々を殺そうとしてるが、私は彼らにいつも勝つ」( When was the last time anybody saw us beating, let's say, China in a trade deal? They kill us. I beat China all the time.)「私は中国が好きです。私はちょうど中国の誰かに1500万ドルでアパートを売りました。私が彼らを嫌うと思いますか?」( I like China. I sell apartments for— I just sold an apartment for $15 million to somebody from China. Am I supposed to dislike them?)「私は中国のことは大好きです。中国から世界で最大の銀行(中国工商銀行)がやってきたが、米国本部がどこにあるか知っていますか?このビルの中ですよ。トランプ・タワーです。だから中国は大好きですよ」( I love China. The biggest bank in the world is from China. You know where their United States headquarters is located?. In this building, in Trump Tower. In this building, in Trump Tower. I love China.)「みんなは私に中国が嫌いなんですかと聞きます。違います、私は彼らが大好きです。だが彼らの指導者たちは我々の指導者たちよりも遥かに賢く、これでは我々は持ちこたえれません」( People say, “Oh, you don't like China?” No, I love them. But their leaders are much smarter than our leaders, and we can't sustain ourself with that.)と発言している[172]。一方でかねてから中国とのビジネス上の関係を強調しており[173][174]、2016年7月29日の演説では「中国は偉大だ。中国が好きだ。われわれは中国とビジネスをするべきだ。もっとうまくやっていけるはずだ」と発言し[175]、大統領選勝利後は電話会談で習近平中国国家主席に対して「中国は偉大で重要な国であり、米国との互恵関係を実現できる」と語ったと報じられ[176]、トランプ側も声明で祝電に感謝して「今後両国は最も強固な関係を築きたい」と述べたと発表した[177][178]

トランプの対中国姿勢を批判する者は、トランプが中国に8社もの合弁会社を所有[179]してその提携先には中国共産党の幹部が経営する国有企業[180]もあることや、トランプが中国の国営銀行に多額の債務を抱えてること[15]、トランプがシカゴのトランプ・インターナショナル・ホテル・アンド・タワーなどで中国の鉄鋼を使用し[181][182]、新ビル建設工事にあたって中国人投資家へ出資を募って彼らに向けて迅速にビザが発行される政府プログラムの利用を勧めていたことを取り上げ「安全保障を損ないかねない」と批判したり[183]、トランプブランドの商品の産地がメイド・イン・チャイナやメイド・イン・メキシコであることを問題視し「全製品をアメリカで生産せよ」と非難するなどしている[184]。 これに対しトランプは、中国やメキシコの通貨が安くなっているためにアメリカブランドがアメリカで生産できなくなってしまっているなどの説明を行っている。

日本については、出馬当時から中国やメキシコと並べ、「米国から雇用を奪った国」として責めたてるなど、「ジャパンバッシング」の急先鋒であり、「日本人と日本企業の競争力は尊敬しているが、好意は抱かない」と発言したこともある[185]。出馬会見では、「彼ら(日本)は、百万台以上の日本車を送ってくるが、我々はどうだ?最後にシボレーを東京で見たのはいつだ?存在しませんよ。彼らは我々をいつも打ち負かしてきた」と発言している[186]。また、日本が米国産牛肉の輸入に課してるものと同率の関税を日本からの自動車輸入に課すべきとしている[187]

1987年から日本をライバル視した言動で知られ、1988年には「日本は我々を愚か者に見せようとしている。日本が同盟国なら我々は敵と直面したくない」、1989年ロックフェラー・センター三菱地所に買収された際は「ニューヨークを吸い尽す日本を止めなくてはならない」、1993年にも日本が全面的な市場開放をしなければ日本製品をボイコットすべきなどと発言していた[188]

為替政策についても批判しており、たびたび「日本の度重なる円安誘導のせいで、友達は高いキャタピラーではなく、コマツトラクターを購入した」[189]、「日本の安倍は(米経済を)殺す者だ、やつは凄い。地獄の円安でアメリカが日本と競争できないようにした」(Abe from Japan, who's a killer, he's great. He's already knocking the hell out of the yen[190][191]などと発言している。ウォールストリート・ジャーナルは「確かに円安は日本の輸出の助けとなっているが、日銀の金融緩和政策は内需拡大とインフレ目標実現のためで、輸出促進のためではない。それに、コマツは米国内で何千もの雇用を創出している」と指摘するなど、論理の粗雑さが指摘されている[192]

日米安保条約についても、アメリカ防衛の義務を日本が負っておらずアメリカが日本を防衛する義務を負っていることに不満があると見られる。1990年には「日本は石油の7割近くを湾岸地域に依存しているが、その活動は米軍が守っている。日本は米軍に守られて石油を持ち帰ってアメリカの自動車メーカーを叩きのめしている」「日本の優れた技術者はビデオデッキや車を作り、アメリカの優れた技術者はミサイルを作って日本を守っている。日本にコストを弁償させるべきじゃないか」と発言。

大統領選挙出馬後には、

“If somebody attacks Japan, we have to immediately go and start World War III, OK? If we get attacked, Japan doesn't have to help us.”
(「もし誰かが日本を攻撃したら私たちは即座に第3次世界大戦を始める、OK?だが、我々が攻撃を受けたら日本は私たちを助けなくてもいいんだ。」)
“If Japan gets attacked, we have to immediately go to their aid, if we get attacked, Japan doesn’t have to help us.”“That’s a fair deal?”
(「もし日本が攻撃されたら私たちは直ちに救援に行かなくてはならない。もし私たちが攻撃を受けたら日本は私たちを助けなくてもいい。」「この取引は公平なのか?」)

との発言が伝えられている[193][194]

移民対策[編集]

中米からの不法移民の取り締まりに積極的な姿勢を示している。シリア難民の受け入れにも反対している。

アメリカ国内に住む不法移民について強制退去させると言っており、アメリカ生まれの不法移民の子供にアメリカの市民権が与えられるという規定を廃止するとも述べた。1100万人に上る不法移民を退去させることは莫大な費用が掛かるし、差別的であると批判を受けながらも、退去させることは実現可能で人道的だとの考えを表明している。

大統領選の出馬会見でも、メキシコからやってくる不法入国者たちが麻薬と犯罪を持ち込んでいるとの見解を述べ、メキシコとの国境沿いに「万里の長城」の様な国境の壁を造り、(注・CNNの試算では数十億ドルになるという)その建設費をメキシコに払わせると発言した[195]

国境線に壁が必要だという主張についてメキシコ大統領報道官のエドゥアルド・サンチェスはブルームバーグの電話インタビューで「それはもちろん間違っている」「そういう考えはメキシコが果たしている役割をものすごく無視していて、そんなことを主張する候補者の無責任さを示すものだ」とコメントしており、その費用をメキシコに負わせるという発言に対しても「トランプの発言には米国の現実についての知識の巨大な欠如が反映されている」「アメリカにいるメキシコ人は熱意を持って働いている。彼らは仕事をよくやっている」として[196]、負担に応じない方針を示しているが、トランプは現在まで撤回していない。

イスラム教徒について一部のセキュリティ会社が発表した調査結果(アメリカ人を攻撃することをジハードの一部として正当化できると回答した割合が25%に上る)などを引用し、「ムスリムのアメリカへの憎しみは我々の理解を超えている」と何度も主張しており[197][198]、ムスリム系夫妻が14人を銃撃し殺害する事件が起きると、イスラム教徒の入国を禁止するように提案したり[199]、一部のモスクを閉鎖させてムスリムを監視すべきと提案している[200]

内政[編集]

司法制度[編集]

死刑制度[編集]

トランプは、死刑を支持する死刑制度存続派である。以下の事件に関する言動では抗議デモも受けた。

1989年4月19日、夜のセントラル・パークで、10代のストリートギャングが人々を襲った。夜9時ころから30人以上の黒人ヒスパニックの少年たちがパークの来園者を襲い始めた。

襲撃者たちはタクシーを石で破壊し、サイクリングコースで数台の自転車を襲った。人々が逃げ出すと歩行中の男性に襲いかかり、金品を奪って意識不明になるまで殴った。通りがかった教師はひどく殴打され、何度も蹴られた。ランニングコースにいた2人の男性も意識を失うまで鉄パイプと棍棒で殴られた。駆けつけた警官は、血の海だったと証言した。被害者たちは意識が戻ると、4、5人の黒人の若者に襲われたと証言した。通報を受けて急行したニューヨーク市警は、少年たちを逮捕しながらパーク内の見回りを始めた。

同じ頃、パーク内のランニングコースでも、ジョギング中の28歳の白人女性Aが何者かに襲われてレイプされ、肛門を犯されるなどの暴行を受けた。女性は発見時、縛り上げられ、口枷をされ、裸で、血液の75%を失う深刻な頭部外傷を負い、血まみれで泥の中に埋もれていた。女性は奇跡的に生きていたが、12日間昏睡状態にあり、深刻な障害が残った。

Aが発見される前、パーク内を見回っているパトカーの車内でリヤシートに座っていた少年が、出し抜けに「俺は殺人(murder)はしていない」と言い出した。「だが誰がやったか知ってる。あいつら2人だ」と2人の名前をあげた。その隣に座っている少年も同調して「あいつがやった」と繰り返した。

Aが20日未明に発見されると、警察は逮捕した少年たちから14歳から16歳の黒人4人とヒスパニック1人の計5人を、Aへの暴行、強姦、殺人未遂の被疑者とした。5人ともパークでの襲撃に参加しており、うち2人は前述のパトカーで仲間から犯人と名指しされた少年だった。

5人は通行人を襲ったことは認めたものの強姦については否認し、目撃しただけで関与はしていないと供述した。5人の一人は「女を犯していた1人はフードを被ったプエルトリコ系(ヒスパニック)の少年だった」と供述し、一人は「レイプはしていない。俺は胸を触っただけだ」と供述した。

メディアがこの事件を報じると、トランプは「犯人たちの死刑」と「ニューヨークでの死刑の復活」を求め、8万5000ドルを投じて新聞4紙に「死刑を取り戻せ!」という全面広告を掲載した。また当時のエドワード・コッチ市長が「憎しみや恨みを私たちの心から取り去らないといけません」と発言したことにも反論し「私はそうは思わない。私はこれらの強盗・殺人犯たちを憎しみたい。犯人たちが苦しむことを望む。社会を攻撃する者たちには、攻撃を始める時が人権の終わる時だと教えるべきだ。」と主張した。 5人側を防御する弁護士は、この意見広告について「5人を公然と侮辱している」と抗議した。

ニューヨーク市警は5人に苛烈な取り調べを加え、Aへの暴行も自白させた(後に虚偽の自白と判明する)。陪審員による裁判は少年たちに懲役6年から13年を宣告した。5人は二審でも有罪になり服役した。

しかし2002年、この5人のぬれぎぬを晴らす出来事がおきた。連続強姦や殺人罪で服役していたヒスパニックの男性B(5人とは別人)が司法取引で強姦罪の免責と引き換えに、Aに乱暴した真犯人は自分だと告白した。Bの告白には信ぴょう性があり、DNA鑑定によっても裏付けられ、さらにBは1人でレイプしたと証言したため、5人の元少年たちは無実だったことが明らかになった。

5人の元少年たちは釈放されるとトランプに謝罪を求めた。元少年たちの弁護士は「ドナルド・トランプは社会に対して、また若者たち(被告)とその家族に対して、本当の謝罪をするべきだ」とコメントした。トランプは「謝罪しない。彼らは刑事に自白した。後になってからやっていないと言い出したが信じない」と拒否した。人権団体はデモ集会を行って、参加者たちはトランプ・タワーの前で「トランプのとんま!(Trump is a chump!)」「人種差別主義者」と声をあげた[201]

5人の元少年たちは人種差別、悪意訴追、精神的苦痛を理由としてニューヨーク市に2500万ドルの賠償を求めて訴えた。市側は、元少年たちを起訴に持ち込んだことには相当な理由があったとして応じず、市側の法律家も自分たちが勝つと感じていた。しかし裁判は10年間に及び、2013年ビル・デブラシオが「私が市長になればこの問題を解決する」と宣言し、新市長に就任すると、2014年5月に、元少年たちに解決金として4100万ドル(約46億円)を支払う決定をした。

トランプはこの決着を批判し「これは恥だ」「彼ら(ニューヨーク市を訴えた5人)は天使のような人間ではない」「4000万ドルはニューヨーク市の納税者にとっては大金だ。この受け取り手は大声で笑っているに決まっている」「決着はしたが潔白という意味ではない」「この司法制度は問題だらけで、この問題に費やされた時間とエネルギーはとんでもない」などと発言した[202]

無実が証明された5人の少年の内の1人は「トランプはあいかわらず憎しみに満ちた人間だ。トランプが大統領になることなど想像も出来ない」とコメントした[203]

なお5人の元少年たちはニューヨーク市から4100万ドル(46億円)を受け取るとニューヨーク州に対しても5200万ドル(約58億円)を求めて2014年12月に提訴している。

警官の黒人容疑者への対応[編集]

2014年にニューヨークの路上で、違法タバコを所持していた黒人男性が、彼を販売容疑で逮捕しようとした警官たちにねじ伏せられて窒息死する事件が起きた。

この黒人男性は1980年以来、重窃盗罪暴行、公務執行妨害、タバコの違法販売など、軽微な罪も含めて数多くの逮捕歴があり[204][205]、事件当時は3件の違反(無免許運転マリファナ所持、身分詐称)で逮捕されており、2000ドルを払って仮釈放されていた[206]

警官たちは男性を囲むと、1人の白人警官が男性の後ろから男性の右腕をつかみ、続けて男性の首に腕を回して絞めあげ、男性を路面に引き倒した。この警官は男性を腹ばいに倒し、その頭を路面におしつけるまでの約15秒間にわたって、男性の首を絞め続けた[207]。男性がうつ伏せに転倒する際に「息ができない(I can't breath)」と絞りだすように言うと、警官の腕は声を出せる程度に緩んだ。男性は首に腕をまわされて抑えこまれた状態で「息ができない」と繰り返し訴えつづけたが、警官たちは彼にうつ伏せの姿勢を取らせ続けた。

男性が意識を失うと警官たちは彼を解放して仰向けに寝かせ、7分後に救急車が到着したが、男性は1時間後に病院で死亡した。

背後から首を絞めた白人警官は前年(13年)にも黒人容疑者の服を脱がせて所持品検査を行ったことで行政訴訟を起こされていた。現場にいた黒人の女性巡査部長は「犯人は横たわっている時は深刻な状態には見えなかったし、それ以上悪くなるようにも見えなかった」と証言した[208]

男性は体重150kgを超える肥満体心臓疾患糖尿病睡眠時無呼吸症候群、重度の喘息など多数の疾患を患っており、

男性の死因については、ニューヨーク市の検死官が「首を絞められたことと胸部が圧迫されたこと、うつ伏せ姿勢による窒息」「他者の意図的な行為による死」と断定した一方で[209]、ニューヨーク市警の労働組合は「男性は意識を失っていたが救急車が到着するまで呼吸をしており、死亡は元々の健康状態の極端な悪さによるもの」と主張した。

白人警官は殺人罪で起訴されたが、大陪審は不起訴とした。

リベラル派市民や黒人を中心に人種差別との声が沸き起こり、男性の遺族は警察を訴え、ニューヨーク市警は590万ドル(約6.6億円)を支払って和解した。

この事件に関して「警官によって28時間ごとに1人の黒人が殺されている」「戦争のようだ」などと抗議運動をしていた『黒人の命も大切だ英語版[210]』が2015年11月、トランプの集会で抗議を行うと[211]、トランプは批判を展開し「面倒を起こそうとしてるんだと思う」と述べた。

また白人や警官によって殺される黒人よりも黒人によって殺される市民の方がはるかに多いとして画像をツイートしたが、この画像には信頼性がなく、非難を浴びた。

トランプが引用した画像は、出典を「サンフランシスコ 犯罪統計局 2015年度データ」としているが、サンフランシスコ市は年次報告書の発行を2014年で終了しており、2015年の統計は公表されていなかった。また14年以前も、加害者・被害者の人種ごとの内訳は掲載していなかった。

また各数字も、実在するFBIの14年度の全米統計データと見比べてあまりに差が大きく、信頼できないものと考えられた。実際のFBIの2014年度の全米統計では、①「黒人(B)が加害者になって、白人被害者(W)を殺害した数」は全殺人の15%である一方、②「白人(W)が加害者になって、黒人被害者(B)を殺害した件数」は7%である。

ところがトランプが引用した画像は、15年のサンフランシスコについて①を81%、②を2%としていた。 サンフランシスコ市警察の広報は新聞の取材に対して「(トランプがツイートした画像は)我々が公表したデータではない。どこから来た情報か分からない。」と答えた[212]

人工妊娠中絶についての見解[編集]

自らを人工妊娠中絶反対派と位置づけており、原則として妊娠後期(米国では一般的に満20週以降)では中絶(abortion)を認めるべきではないとする。認めるべき場合としては、強姦被害による場合と、近親姦による場合、母体の健康に問題がある場合を挙げる。

2016年3月、トークショーの司会者から、中絶手術を禁止した場合に違法な手術は罰するべきかと問われて、「there has to be some form of punishment (for the woman)((女性に対して)何らかの罰を設けるべきだろう)」と答えた[213]

  • 司会者:中絶に対して原則的には罰を与えるべきだと思いますか?イエスかノーかで答えてください。
トランプ:何らかの罰を設けるべきだろう。
司会者:女性に対してですか?
トランプ:はい。[214]

この発言に関して世界中のメディアが

ドナルド・トランプ氏が「妊娠中絶を受けた女性は刑罰の対象にすべきだ」と発言
中絶手術を受けた女性は処罰されるべきだと発言した[215]

と報じ、中絶反対派からも激しい非難を受けた[216][217]

日本のマスコミも

トランプ氏は、人工妊娠中絶を行った女性は罰せられるべきだと発言[218]
妊娠中絶手術を受けた女性は「処罰されるべきだ」と発言[219]

と批判した。

トランプはこの件については同日中に再説明し「もし議会が中絶を違法化し、あるいはいずれかの州が連邦法の下で禁止し、連邦裁判所がこの法律(中絶を禁じる法律)を合憲とする場合には、医師あるいはどんな人物であれ、この違法行為を妊婦に行った者(堕胎施術者)は、法的責任を問われる。この時、胎内の命を奪われた妊婦は被害者である。」として「私の立場はロナルド・レーガンと同じ立場で、例外を認めるプロライフだ[220]。」とした。

中絶を巡る問題に関しては、この件についての多数の報道があった後、有利とされていたウィスコンシン州で敗北したことで、フレームアップされたこの「発言」が、選挙戦に致命的なダメージを与えたという分析も出ている[221]

ただトランプは、刑罰化を積極的に望む姿勢を示したわけではなかった。激しく非難された発言は、後期中絶の違法化を巡るやりとりの中での返答だが、トランプは司会者から「違法に堕胎するものが現れれば罰するのか?」と質問されて、そのたびに「これは非常に難しい問題なんだ」「他の候補者よりも緩やかな考えだ」「広い例外を認める禁止派(プロライフ)だ」と濁している。また、この返答を受けた司会者が「ではどのような刑を課すのか」などと矢継ぎ早に畳み掛けると、その際にもトランプは「分からない」と3度繰り返し「カトリックと同様の見地から対応するつもり」「これについては今後、決定する」と続けており、強固な考えを持っていないことも示唆している。

なお、妊娠後期の胎児についての中絶の禁止自体は、共和党の候補者に共通する考えであり、米国外では日本などが採用している[222]。しかし、日本の刑法で第212条から216条に規定されている堕胎罪の場合は、犯罪の主体が女性に限定されないため、批判されたトランプの当初の主張とは異なる。

トランプは17年前には、中絶の問題は妊婦と担当医に委ねるべきと述べていた[223]

  • トランプ:私は完全にプロチョイスだ。中絶のことは嫌悪している。嫌いだ。胎児の殺害を意味する全てを嫌っている。私は人々がこの話題で言い争うのを聞くだけで、身のすくむ思いがする。しかし、そうであっても選ぶ自由を認めるべきなのだと思う。それに……あるいはニューヨークの人々の物の捉え方には、他の地域の人々とは少し変わっている部分がある。そして知ってのように、私はニューヨーク生まれの人間だ。この町で大きくなって、働いて、ニューヨークシティで形作られた。なんにせよ、プロチョイスを強く支持している。だが堕胎も嫌悪している
司会者:ではトランプ大統領は堕胎を禁止しますか?
トランプ:いいえ、自分はどの点でもプロチョイスだ。しかし、嫌いなんだ[224]
  • 自分は全面的に「中絶の自由」を支持する。「中絶の自由」を嫌悪しているし、「中絶の自由」など口にするのも嫌だ。そして自分が「中絶の自由」の支持者だと言うことを恥ずかしいとも感じる。だが支持する他ないように思われるから「中絶の自由」の支持者だ[225]

現在「例外を認めるプロライフ」としていることについて、1999年の見解から立場を変えたことを批判しているマスコミもある[226]

財政、税制、貿易、医療[編集]

財政面では、社会保障のための積極財政政策を唱える。

税制面では、法人税と個人の最高税率を引き下げて経済活動を促すと共に、年収5万ドル(約570万円)以下の夫婦世帯および年収2万5000ドル(約280万円)以下の単身者に対しては所得税を免除して国民の間の格差も是正するとしている。

経済格差については過去に拡大を止めるために民主党のバーニー・サンダース上院議員と同じく富裕層への課税を提唱したことがあり、政策スタンスはリベラルや民主党左派に近いとされた。また、ドッド=フランク・ウォール街改革・消費者保護法の廃止を掲げ[227]、ウォール街への課税や租税回避対策とインバージョン規制を行うなどとしている。

これらの政策は中流の保護と低所得者の保護を含んでおり、共和党主流派の小さな政府民営化・資産再配分の否定(自由主義・リバタリアニズム)と相容れないため、共和党や米財界から社会主義や隠れリベラルという批判を受けており、エスタブリッシュメント層からはポピュリズムや反市場・反企業と糾弾されている[228]

グローバリズム拡散による単一市場に対しては否定的であり、保護貿易主義的とされる。TPPにも反対である。

医療保険改革では、PPACA、通称オバマケアに対して廃止を明言していたが[229]、2016年大統領選挙後のオバマとの会談では全廃にせず一部を維持することを示唆した[230]。トランプは自らのプランをサンダースが訴える単一支払者制度ではないとたびたび表明しており [231]、 オバマケアに反対している [232][233]。トランプ陣営のスポークスマンは、「ユニバーサルかつ、自由市場に基づいて選択の幅を提供する社会主義的ではない制度」を用意するとコメントしている[234]

メディアへの露出[編集]

自己顕示欲が旺盛で、テレビドラマ「スピン・シティ」や映画「ホームアローン2」、「トゥー・ウィークス・ノーティス」などのほか、さらにはセサミストリートマペットアニメーションザ・シンプソンズ」に至るまで、様々な媒体に様々な形で積極的に出演しており、この様な活動を通じて自らのホテルやカジノへの集客を図るだけでなく、自己顕示欲を満たすことも兼ねていると言われている。

アプレンティス[編集]

2004年に放映が開始されたNBCテレビリアリティ番組アプレンティス(The Apprentice)」に、主演兼プロデューサーとして参加し、トランプの関連企業の役員の椅子を懸けて番組内で丁稚奉公を行う番組参加者(公募による関係者以外)を、「お前はクビだYou're fired)」(本当はビンス・マクマホンが元祖であり、ビンスの場合は原語では同じYou're firedだが、日本語では「貴様はクビだ」と表示される)の決め台詞で斬り落とす姿が人気を博し、同番組はリアリティ番組として空前の人気を誇るだけでなく、トランプの発する決め台詞が流行語となった。

WWE[編集]

2007年4月1日、アメリカのプロレス団体のWWEが主催したWrestlemania23において、「Battle of the Billionaires(億万長者対決)」と題されたトランプとビンスそれぞれの代理レスラー(トランプの代理はボビー・ラシュリー、ビンスの代理はウマガ)の試合が行われた。

アメリカではそれぞれがかつらとの噂があり、その噂を皮肉った対決で、敗者は頭を剃ることになるルールであった。特別レフェリーの"ストーン・コールド"・スティーブ・オースチンの助けもあり、トランプ側が勝利し、その場でトランプがビンスの髪の毛を刈った。[235]ちなみに、試合後にトランプもオースチンから必殺技のストーンコールド・スタナーを浴びている。 2009年6月にはアングルとして、マクマホンからRAWを買収してオーナーに就任。翌週の放送は番組史上初のCM無し放送や観客の入場料全額払い戻しを実行するが、その日のうちにマクマホンが売却した倍額で買い戻し、オーナーアングルは1回限りで終了した。2013年WWE殿堂入り。[236]

私生活[編集]

トランプは祖父と兄をアルコール依存症に由来する合併症で失っている。 兄は酒とタバコに触れないように言い、トランプはその言いつけ通り、酒、タバコのどちらも一切摂取せず、コーヒーさえ飲まないという。 子どもたちにも酒、タバコ、ドラッグを摂取しないように勧めてきた。 その理由についてABCニュースの出演時には「本当に輝いていた優秀な人たちが人生を台無しにするのを沢山見てきたため」としている。

宗教は長老派教会(プレステビリアン)のプロテスタントとしている。積極的な活動はしていないが、好きな本を聖書としている。ユダヤ教との結びつきも強い。2016年の選挙ではギリシャ正教のアメリカ人主教から祝福を受けた。

家族[編集]

トランプ家

父のフレッド・トランプ英語版は、ニューヨークを中心に事業を展開していた不動産開発者。 トランプが自ら語るところによれば、父の手伝いは5歳からしていたという。

姉のマリアン・トランプ・バリー英語版は、連邦高等裁判所の裁判官

フレッド・トランプについては、21歳の頃、KKKに加名していた可能性があると報じられた。それによれば、1927年のニューヨーク・タイムズの記事に、クイーンズ地区KKKが約1000人で騒々しいデモ行進を行い、取り締まり中の約100人の警官と乱闘に発展したという記事があり、警官が負傷し、7名の逮捕者が出た。7人の内の一人が、ドナルド・トランプの父親のフレッドと同姓同名だった。 当時の記事によれば、フレッド・トランプという21歳の男性は起訴されずに釈放された。この男性の住所は、クイーンズ区ジャマイカ・エステートと記載されていた。ジャマイカ・エステートはドナルド・トランプの父が住んでいた地区である。

当時KKKは合法の結社で、若き日のハリー・トルーマン(後に第33代大統領になる)も、選挙での支援を得るために一時加入したことがあるほど党勢が強く、600万人の党員がおり、州知事も輩出していた。

トランプはこの報道について、英紙デーリー・メールのインタビューで「くだらない」と否定。「父に逮捕歴はないし、その事件とも無関係だ。そんなことはまったくなかった。ばかげている」と語っている[237]

なおフォーク歌手のウディ・ガスリーは、フレッドに家を借りていた事があり、ガスリーによるとフレッドは人種差別的な行動を取っていたとし、賃貸エージェントによると、黒人に家を貸さないように指示していたと言う[238]

イヴァンカ
Tifanny, Barron, and Melania Trump at the RNC
バロン

娘のイヴァンカは、三児の母。主婦業、母親業、モデル業をこなす傍ら、相続人としてトランプ・オーガナイゼーションの副社長も務め、父ドナルドの選挙活動にも出馬会見や集会で前座を務めるなど活発に参加している。産経新聞によると「クールで最高に行儀がよい」ことから米メディアから「秘密兵器」と呼ばれているという[239]。夫と同じユダヤ教に改宗している[240][241][242]

ドナルドは3度結婚しており、1977年チェコスロバキア出身のイヴァナ・ゼルチコヴァ(イヴァナ・トランプ)と結婚し、1992年に離婚。夫妻の間には、二男一女(ドナルド・トランプ・ジュニアイヴァンカエリック)。

1993年に、女優のマーラ英語版再婚。マーラとの間にティファニーが生まれる。マーラとは、1999年6月8日に離婚する。

3度めの結婚は、2005年1月22日で、相手は24歳年下のスロベニア出身のモデルメラニア・クナウス。翌2006年3月20日メラニアとの間に男児バロン英語版が生まれる。

金銭[編集]

2009年11月、経済誌フォーブス誌が「アメリカのテレビ界で最も稼いでいる男性」のランキングを発表し、2008年6月から2009年6月までの収入が5,000万ドル(日本円で約45億円)で2位にランクインした。

このランキングの上位にランキングされた男性出演者のほとんどが事業なども手掛けていて、トランプは自身の名前をネクタイやウォッカなどの商品に使わせており、講演や著書の印税などの収入もある[243][244]

その他[編集]

  • 非合法の白人至上主義団体KKKの元幹部デービッド・デュークが、トランプの支持を表明して、「移民問題に強く、メディアの嘘を暴いて、白人社会を発展に導く候補だ」と発言した。この件について、CNNのインタビュー番組で司会者が「デューク氏に支持されることを拒否するか」と尋ねると、トランプは「私はデュークという男を知らない。一度も会ったことがないし、何も知らない」「あなたは私の知りもしないグループについて私に糾弾させようと思うべきではない」「白人至上主義者のことは何も知らない」、「どの団体のことを言っているのか分からない」と言うだけではっきりと拒絶しなかった[245]。しかし、過去の会見でトランプが「デービッド・デュークが私を支持した?そうか、私は拒否する。よいね?」と記者に答えたこととの矛盾が批判された[246]。後に自らがつけていたイヤホンの性能が原因であると釈明した[247]
  • トランプの支持者がジェブ・ブッシュを嘲る加工画像を作ってトランプのツイッター宛に送ったとき、トランプはいつものように面白がってリツイートしたが、後からそのユーザーがネオナチのメンバーだったことが判明した。ブッシュ陣営の広報は「政敵をナチス呼ばわりすると自分にも戻ってくる法則。トランプはジェブをナチ呼ばわりしていたが、彼のアンチ・ジェブのリツイートの中にはナチのアカウントがある」と、からかった[248]
  • 2005年当時、911テロで崩壊した旧ワールドトレードセンターの跡地計画について、モニュメント性の高い建築を作る案よりも、911テロで崩壊した旧ワールドトレードセンターよりも更に大きな「ツインタワーⅡ」として再建しようと語っている[249]
  • 2011年6月1日、サラ・ペイリンとニューヨークのピザ屋で同席し、ともに朝食をとる。この際、どういうわけかプラスチックのフォークとナイフで食べるトランプの姿が注目され、2日、トランプはYouTube上でこの件について説明をした[要出典]
  • 2011年4月に入り、上記のオバマ大統領出生地論を話題に出したことで、瞬くまにアメリカ主要メディアの注目を浴び、この一件は日本のメディアでも取り上げられた。また、ABCの朝の番組グッド・モーニング・アメリカの司会者ジョージ・ステファノプロスとのインタビューで、ジョージに対し「George, Next question George」と次の質問を要求[250]するさまが、同じABC系のトーク番組で取り上げられるなど、ニュース、バラエティとジャンルを問わずに話題になった。
  • 2016年カナダの島、ケープブレトン島では、ドナルド・トランプが大統領に就任した場合には米国人を「政治難民」として受け入れる用意があるとして、キャンペーンを行った[252]
  • ノーベル平和賞にノミネートされたことがある。個人として推薦された228人の候補者の1人になったとのこと[253]。推薦した人物はノーベル平和賞委員会から候補を推薦するように依頼されたアメリカ人と見られる[254]。推薦の理由は「力のイデオロギーを通じて平和を精力的に追求している」ことという。通常はノーベル平和賞委員会から受賞に相応しい人を推薦するように依頼される有識者は数千人に上る。受賞の可能性はほぼ無いと考えられているが、万一トランプが大統領に当選してノーベル賞も受賞すれば、米国大統領は2代続けてノーベル平和賞を受賞することになる。
  • カツラ疑惑を払しょくすることができず、そのため2015年9月には、子供に髪の毛を引っ張らせてカツラ疑惑を払しょくしたが、ハリウッドのスタイリストらはいまだカツラか自毛かで論争が続ているとAFP通信が伝えた。また、実際前妻との離婚理由は、増毛に失敗して植毛せざるをえなくなったことが原因とする報道もあるが、本人の過激な発言が先行したため、かつら疑惑は陰に追いやられており、いまだ真相は不明なままである。[255][256][257]
  • 借金について、 " A small loan of one million dollars"(百万ドル(1ドル100円換算で1億円)のちっぽけな借金)と表現したことがある。[258][259]
  • 大統領選で共和党の正式大統領候補者となったとことで、ツイッター上で「ヒスパニック愛してる」など、人種差別的なイメージの払しょくを語る傾向が出だしている。[260]
  • 「我が国で何が起こっているかを見てほしい。人々が警察を冷酷に殺すような状態で、どのように我々は人に何かを教えることが出来るのか」と述べ、他の国のふるまいを矯正しようとする前に米国は自らを秩序のもとに置かねばならないとする考えを示した[261]

社会現象[編集]

  • 2016年のヒラリークリントンと争った大統領選挙において、彼女が当選するだろうと言われていたが、トランプが優勢と報じられると株式などの市場は大混乱に陥り、一時市場は最低価格にまで値を下げ、翌日は急上昇した。
  • 次期大統領と決定後の米国各地でヒラリー支持派らの大規模のデモが発生し、レディガガ等の有名セレブ達から怒りの声がSNSやマスコミを通して伝えられ、トランプ・タワー等では厳重警備が行われている。
  • 一時、カナダへ移住するためのサイトが米国の移民を中心にアクセスが大殺到したため、サーバーダウンが発生した[262]

トランプ支持の主な著名人[編集]

受賞歴[編集]

ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームのトランプの星
アメリカ海兵隊総司令官賞を受け取るトランプ = センパー・フィデリス・ガラにて2015年4月撮影
  • ゲーミング殿堂(1995年)[267]
  • ハリウッド・ウォーク・オブ・フェーム(2007年)
  • ニューヨーク・ライド殿堂(2010年)[268]
  • ロバート・ゴードン大学(イギリス・スコットランド)名誉経営学博士号(2010年)[269]しかし、2015年12月9日に学位剥奪。理由は、トランプが「大学の特質・価値観と完全に相容れない数多くの発言をしたため」[270]
  • リバティ大学(アメリカ・ヴァージニア州)名誉経営学博士号(2012年)[271]
  • WWE殿堂(2013年)
  • 共和党サラソータ支部(フロリダ州)年間最優秀政治家(2012年、2015年)[272][273]
  • フロリダ州ドラール市の鍵(キー・トゥ・ザ・シティ)(2015年)[274][275]
  • アメリカ海兵隊総司令官リーダーシップ賞(2015年)、アメリカ海兵隊法執行機関[276]
  • ニュージャージー・ボクシング殿堂(2015年11月12日)[277]

著書[編集]

トランプには以下の著書がある。

  • Trump: The Art of the Deal (1987), ISBN 978-0-345-47917-4
    トニー・シュウォーツ共著、相原真理子訳『トランプ自伝―不動産王にビジネスを学ぶ』早川書房、1988年/〔文庫版〕筑摩書房、2008年
  • Trump: Surviving at the Top (1990), ISBN 978-0-394-57597-1
  • Trump: The Art of Survival (1991), ISBN 978-0-446-36209-2
  • Trump: The Art of the Comeback (1997), co-written with Kate Bohner, ISBN 978-0-8129-2964-5
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  • Trump: Think Like a Billionaire: Everything You Need to Know About Success, Real Estate, and Life (2004), ISBN 978-0-345-48140-5
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    ロバート・キヨサキ共著、白根美保子、井上純子訳『あなたに金持ちになってほしい』筑摩書房、2008年
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    峯村利哉訳『大富豪トランプのでっかく考えて、でっかく儲けろ』徳間書店、2008年
  • Trump: The Best Real Estate Advice I Ever Received: 100 Top Experts Share Their Strategies (2007), ISBN 978-1-4016-0255-0
  • Trump 101: The Way to Success (2007), ISBN 978-0-470-04710-1
  • Trump Never Give Up: How I Turned My Biggest Challenges into Success (2008), ISBN 978-0-470-19084-5
  • Think Like A Champion: An Informal Education in Business and Life (2009), ISBN 978-0-7624-3856-3
    月谷真紀訳『明日の成功者たちへ』PHP研究所、2010年/〔改題〕『トランプ思考――知られざる逆転の成功哲学』PHP研究所、2016年
  • Midas Touch: Why Some Entrepreneurs Get Rich-And Why Most Don't (2011), co-written with Robert Kiyosaki, ISBN 1-61268-095-X
    ロバート・キヨサキ共著、白根美保子訳『黄金を生み出すミダスタッチ――成功する起業家になるための5つの教え』筑摩書房、2012年
  • Time to Get Tough: Making America No. 1 Again (2011), ISBN 978-1-59698-773-9
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関連項目[編集]

脚注[編集]

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  224. ^ I hate the concept of abortion. I hate it. I hate everything it stands for. I cringe when I listen to people debating the subject. But you still I just believe in choice. And, again, it may be a little bit of a New York background, because there is some different attitude in different parts of the country. And, you know, I was raised in New York, and grew up and work and everything else in New York City. But I am strongly for choice, and yet I hate the concept of abortion.”NBC“Meet The Press,” 10/24/99
  225. ^ I hate it and I hate saying it. And I'm almost ashamed to say that I'm pro-choice, but I am pro-choice because I think we have no choice.
  226. ^ 以上の過去の発言は“Trump's Flip-Flop On Abortion,” National Journal, 2/15/11
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参考文献[編集]

外部リンク[編集]

公職
先代:
バラク・オバマ
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国大統領
第45代:2017 - (就任予定)
次代:
党職
先代:
ミット・ロムニー
アメリカ合衆国大統領選挙
共和党立候補者

2016
次代: