アメリカ合衆国大統領就任式

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2005年の就任式

アメリカ合衆国大統領就任式(アメリカがっしゅうこくだいとうりょうしゅうにんしき、United States presidential inauguration)は、次期大統領 (President-elect) によるアメリカ合衆国大統領職への就任宣誓を中心とする式典。

就任宣誓[編集]

1937年以降は、アメリカ合衆国憲法修正第20条により、大統領選挙一般投票翌年の1月20日正午(アメリカ東部標準時)より新大統領の任期は開始されるが、憲法第2条第1節8項により、アメリカ合衆国大統領はその職務を執行する前に

私は合衆国大統領の職務を忠実に遂行し、全力を尽して合衆国憲法を維持、保護、擁護することを厳粛に誓う(もしくは確約する)。
“I do solemnly swear (or affirm) that I will faithfully execute the Office of President of the United States, and will to the best of my Ability, preserve, protect and defend the Constitution of the United States. So help me God.”

との宣誓(oath)、または確約(affirmation)をする義務がある。明文上の規定はないが、冒頭は「私、[宣誓者のフルネーム]は~」(例:I, Donald John Trump do solemnly swear, ~)とはじめ、宣誓の場合は最後に「So help me God.」(神よ照覧あれ。)と付け加えるのが慣例。大統領就任式は新大統領の就任を国内外に宣明する式典であるとともに、式典のハイライトである就任宣誓は法的手続きでもある。通常の法的手続きとしての宣誓は、介添人が宣誓者に「~と厳粛に宣誓するか?」と問い、宣誓者が「する。」(I do.)とのみ短く答える形がアメリカでは一般的だが、大統領および副大統領の宣誓は、介添人が先に述べた言葉を宣誓者が区切りごとに復唱し、全文を宣誓者自身が読み上げる形となる。宣誓者と介添人は対面して共に右手を上げ、宣誓者は左手を配偶者などが持ち支える聖書の上に置く。

大統領の宣誓は首都ワシントンD.C.アメリカ合衆国議会議事堂前で、新大統領の任期開始時刻と合わせて行われる。就任式当日は祝日となる。

大統領の宣誓に先立って行われる副大統領の宣誓については憲法に直接の規定はないが、憲法第6条3項で大統領以外の行政官に対して憲法擁護宣誓が義務付けられており、具体的な宣誓文は法律で定められている[1]ため、これに従って行われる。 文面は次の通り。

私、[名前]は、合衆国憲法を国外と国内のすべての敵から擁護・防衛し、真の信義と忠誠を(憲法に対して)抱き、この義務を一切の心理留保や逃避の意図なく自由(な意志の下)に引き受け、私が就こうとする職責を良好にかつ信義をもって履行することを、厳粛に誓う(または確約する)。神よ照覧あれ。
“I, AB, do solemnly swear (or affirm) that I will support and defend the Constitution of the United States against all enemies, foreign and domestic; that I will bear true faith and allegiance to the same; that I take this obligation freely, without any mental reservation or purpose of evasion; and that I will well and faithfully discharge the duties of the office on which I am about to enter. So help me God.”

なお、20日が日曜日の場合は同日正午までに新たな正副大統領が内々に一旦宣誓して職務を開始し、式典は翌21日に繰り延べ、式典の場でも再度宣誓を行う。

式典の歴史[編集]

初代大統領のジョージ・ワシントンの就任式は1789年4月30日に、当時ニューヨークにあった連邦議会(連邦公会堂)のバルコニーで行われた。その後は大統領選の4ヵ月後の3月に、主に連邦議会両院いずれかの本会議場で行われるようになった。1817年からは屋外で行われるようにもなった。1901年から2013年に至るまでは、連邦議会の就任式両院合同委員会が主催し、基本的に議事堂前を会場としている[2]。上院議員が委員長となるが、委員長と新大統領の政党は必ずしも一致せず、また必ずしも上院多数派から委員長が出るわけでもない。なお戦時中の1945年に限ってはホワイトハウス前を会場としている。また1985年は記録的な寒気[3]に襲われたため、直前になって議会議事堂のロタンダ(中央のドーム)内に会場が移された。

就任式は開催1ヶ月前から設営されており、直前になると警備がさらに強化される。また、世界各国からメディア・記者が取材するため、全米テレビネットワークでは就任式の模様も同時放送されている。

ただし大統領の死亡や辞任によって副大統領が昇格する場合は大掛かりな式典は行われない。1963年ケネディ大統領暗殺事件直後では、当時副大統領だったリンドン・ジョンソンダラスからワシントンへ戻る副大統領専用機の機内で、大統領就任宣誓がただちに非公開で行われた。リチャード・ニクソンの大統領辞任に伴うジェラルド・フォードの昇格の際は、宣誓と就任演説がホワイトハウス内の広間 East Room で行われた。

式典の流れ[編集]

式典は正午より少し前から行われ、先立って聖職者による祈祷や音楽演奏などがあり、次期副大統領の宣誓が行われる。次期副大統領の宣誓時点ではまだ職位は移っていないが、宣誓後にはファンファーレ4回と、副大統領に捧げられる曲である Hail, Columbiaが演奏される。そして正午、新大統領が合衆国最高裁判所長官の面前で宣誓すると、ファンファーレ4回に引き続いて大統領の到着を示す曲である Hail to the Chief が演奏され、元首に対する礼遇として21発の礼砲が撃たれる。新大統領は引き続き就任演説を行う。その後、祝賀昼食会で就任を祝った後、最初の公務である議会での書類の署名。つづいて議事堂からペンシルベニア通りホワイトハウスまでパレードを行い、式典が終了する。パレードではジミー・カーターの大統領就任式から、途中で車を降りて徒歩で移動するのが慣例となっている。

なお就任式の夜には祝賀晩餐会舞踏会が開かれ大統領夫妻が踊りを披露するのが慣例。

有名な就任演説[編集]

  • フランクリン・ルーズベルト(第32代)「我々が唯一恐れるべきなのは、恐れそのものである。」(“The only thing we have to fear is fear itself.” )
  • ジョン・F・ケネディ(第35代)「国家が諸君のために何をなすかを問うな。諸君が国家のために何をなせるかを問え。」”Ask not what your country can do for you - ask what you can do for your country. ”

脚注[編集]

  1. ^ 合衆国法典第5編第3331条 5 U.S. Code § 3331 - Oath of office | LII / Legal Information Institute
  2. ^ The Joint Congressional Committee on Inaugural Ceremonies (JCCIC)
  3. ^ 正午の気温が7(約-14)。なお当日2期目の就任式を挙げたロナルド・レーガンの1期目の就任式は55℉(約13℃)と記録的な陽気の日であった。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]