アキテーヌ級駆逐艦

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アキテーヌ級駆逐艦
FREMM Provence - Lorient 2014-08 b.JPG
艦級概観
艦種 駆逐艦
艦名
就役期間 2013年 - 就役中
前級 ジョルジュ・レイグ級 (対潜型)
フォルバン級 (防空型)
次級 (最新)
性能諸元
排水量 基準:5,200 t
満載:6,100 t
全長 142.00 m
全幅 19.40 m
吃水 5.4 m
機関 CODLOG方式
ディーゼル発電機 4基
電動機 2基
LM2500 T4ガスタービンエンジン (47,000 shp) 1基
スクリュープロペラ 2軸
アジマススラスター 1基
速力 最大27ノット
航続距離 6,000海里 (15kt巡航時)
乗員 108名
兵装 62口径76mm単装速射砲 1基
90口径20mm単装機銃 2基
シルヴァーA43 VLS
(8セル; アスター15短SAM
2基
シルヴァーA70 VLS
(8セル; MdCN SLCM用)
2基
エグゾセMM40 SSM 4連装発射機 2基
連装魚雷発射管 (MU90用) 2基
艦載機 NFH90 哨戒ヘリコプター 1機
C4I SETIS戦術情報処理装置
レーダー ヘラクレス 多機能型 1基
NA-25XP 砲射撃指揮用 1基
スキャンター2001 航海用 1基
ソナー TMS-4110CL 艦首装備式 1基
UMS-4229 曳航式 1基
電子戦
対抗手段
電波探知妨害装置
NGDS 12連装デコイ発射機 2基
SLAT 対魚雷システム

アキテーヌ級駆逐艦フランス語: Frégates classe Aquitaine)は、フランス海軍が運用する駆逐艦の艦級。仏伊共同で進められてきた多任務フリゲート(FREMM)計画に基づいて、フランス海軍向けとして設計・建造されたものである。

来歴[編集]

当初の計画では、対潜型FASM: Frégate d'Action Anti-Sous-Marin)8隻、対地攻撃型(FAVT: Frégate d'Action Vers la Terre)9隻の計17隻の建造が予定されていたが、ミサイル駆逐艦として建造が進められていたフォルバン級駆逐艦のうちカサール級駆逐艦の更新分が本級に振り替えられて、防空型2隻が追加された。2013年現在では、対潜型9隻と防空型2隻が建造される計画とされている。まず対潜型8隻が2005年11月16日に発注され、これらは2003年度から2008年度の計画に盛り込まれた[1]

なお、この防空型は対地攻撃能力も備えているとされており、また船体構造を一部変更した拡大型であるFREMM-ERとして建造される可能性もある[2]

設計[編集]

本級は、レーダー・光波・音波などあらゆる領域についてシグネチャーの低減を企図したステルス艦として設計されている。レーダー断面積(RCS)低減のため、船体外壁には7〜11度の傾斜が付されており、搭載艇などは開閉式のシャッターによって覆われている。これは、先行して配備された、より小型のステルス艦であるラファイエット級フリゲートでも採用された手法であるが、本級ではさらにRCSは低減された[2]

また主機関をCODLOG方式としたことも、水中放射雑音の低減によるステルス性の向上に役だっている。本級では、巡航時(15ノット以下)にはディーゼル・エレクトリック方式による電気推進で、高速時にはフィアット-ゼネラル・エレクトリックLM2500 T4ガスタービンエンジンによる機械駆動で推進器を駆動する方式とされている。また、艦橋直下の艦底には、曳船の支援なしで出入港できるようアジマススラスターが設置されているが、これは非常推進器としても使用可能であり、6〜7ノットでの航行が可能である[2]

装備[編集]

C4ISR[編集]

本級はシステム艦として統合されており、その中核となる戦術情報処理装置としてはSETIS(Ship Enhanced Tactical Information System)が採用されている[3]。メインセンサーとなるのはSバンドの回転型多機能レーダーであるヘラクレスで、これは艦橋構造物上方に設置されている。なお、防空型においては、空中線部を4面固定式としたシー・ファイア500型に変更する計画がある。また電子攻撃を受けている場合や電波管制(EMCON)状況を想定した電子光学センサーとして、回転式のヴァンピールや固定式のアルテミスも装備されている[1][2]

水測機器としては、5キロヘルツ級の低周波ソナーであるTMS-4110CLをバウ・ソナーとして装備するほか、艦尾からは曳航式のUMS-4229 CAPTASを展開できる[1][2]

武器システム[編集]

艦橋構造物直前の前甲板には、本級の武器システムの中核となるシルヴァーVLS 4基(計32セル)が装備されている。このうち2基(16セル)は底が比較的浅いA43型で、アスター15個艦防空ミサイルの運用に用いられる。一方、残り2基は底が深いA70型で、以前はSCALPナヴァルと称されていたMdCN巡航ミサイルの運用に用いられる。また防空型においては、これらは全て、アスター30艦隊防空ミサイルの運用を想定したA50型に変更される計画である[1]

なお、対水上火力としてはエグゾセMM40(ブロック2または3)艦対艦ミサイルが採用されており、これは4連装発射機2基に収容されて、後檣直前の中部甲板両舷に搭載しているが、ステルス性保持のため、排気口以外は外壁内に隠されている[1]

主砲としては、フォルバン級と同じオート・メラーラ社製コンパット76mm単装速射砲が、VLS直前の艦首甲板に設置されている。砲射撃指揮装置としてはNA-25XPが採用されており、レドームに収容されてヘラクレス直前の艦橋構造物上に設置されている[1]

同型艦一覧[編集]

フランス[編集]

形式 艦番号 艦名 建造所 起工 進水 就役
対潜 D 650 アキテーヌ
Aquitaine
DCNS 2007年
12月
2010年
4月29日
2015年
12月2日
D 652 プロヴァンス
Provence
2010年
12月
2013年
9月18日
2016年
6月9日
D 653 ラングドック
Languedoc
2011年 2014年
7月12日
2017年
7月4日
D 654 オーヴェルニュ
Auvergne
2012年
8月
2015年
9月2日
2018年
2月14日
D 655 ブルターニュ
Bretagne
2013年 2016年
9月16日
2018年
予定
D 651 ノルマンディー
Normandie
2014年 2018年
2月1日
2019年
予定
対空 アルザス
Alsace
2016年 2021年
予定
ロレイン
Lorraine
2022年
予定

2015年2月13日、フランス国防省は建造中の2番艦「ノルマンディー」(D651)をエジプト海軍に売却することを決定した[4]。これにより、「ノルマンディー」は艦名を「タヒヤ・ミスル」に改名した。

モロッコ[編集]

モロッコ海軍の
「701 ムハンマド6世」
形式 艦番号 艦名 建造所 起工 進水 就役
対潜 701 ムハンマド6世
Mohamed VI
DCNS 2008年 2011年
9月14日
2014年
1月30日


エジプト[編集]

エジプト海軍の
「FFG-1001 タヒヤ・ミスル」
形式 艦番号(佛) 艦番号(埃) 艦名(佛) 艦名(埃) 建造所 起工 進水 就役
対潜 D 651 FFG-1001 ノルマンディー
Normandie
タヒヤ・ミスル
Tahya Misr
DCNS 2009年 2012年
10月18日
2016年
3月17日


参考文献[編集]

  1. ^ a b c d e f Eric Wertheim (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. pp. 204-205. ISBN 978-1591149545. 
  2. ^ a b c d e 多田智彦「アキテーヌ級FF (特集 世界の新型水上戦闘艦)」、『世界の艦船』第782号、海人社、2013年8月、 77-103頁、 NAID 40019721131
  3. ^ DCNS (2012年10月). “FREMM Aquitaine - DCNS (PDF)” (英語). 2012年11月19日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2014年6月10日閲覧。
  4. ^ Cession de la FREMM Normandie à l’Égypte - フランス国防省公式サイト、2015年2月13日