プロライフ

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プロライフ: pro-life)は、生命を尊重する立場のことをいう。狭義では、生命の誕生を受胎を契機とするため、人工妊娠中絶殺人とみなしている[1]。ただし状況次第では人工妊娠中絶を認める考え方もあれば[2]、自然流産乳児幼児の死と同様に扱う考えも存在する[3]

プロライフの立場では、女性が選択する権利は性行為をしたときにすでに行使されたのであり、いのちは無条件で尊く、胎児を殺す権利はないと主張される[4]

定義[編集]

歴史[編集]

正統的なキリスト教会は、初代教会から一貫して人工妊娠中絶を殺人とみなし、これに反対してきた[5][6]。ごく初期のころから教会は、人工妊娠中絶の罪に罰を与えた[7]

アメリカ合衆国では1973年に判決が出されたロー対ウェイド事件を契機に中絶論争が全米で繰り広げられてきた[注 1][8]1998年1月29日にはアラバマ州バーミンガム妊娠中絶クリニック英語版にて仕掛けられた爆弾が爆発し、2名の死傷者が出るなど、その時点で7名の死亡者が発表されている[8]。ジェンダー研究者の緒方房子は他にも8割の週に人工妊娠中絶が処置できる機関が存在しないことやプロチョイスを支持するクリントン政権下でも州で中絶禁止法が施行されたことなどを踏まえて、合衆国では過剰なまでに人工妊娠中絶が政治問題になっていると指摘している[8]

日本においては1949年優生保護法改定で「経済的理由」による中絶が認められるようになってから人工妊娠中絶が激増した。日本人はアメリカ軍アメリカ映画、テレビで見たアメリカ中産階級の豊かな生活を模倣するために、胎児を出産すると生活水準が低下すると考え「経済的理由」に中絶したといわれる[9]

教皇ヨハネ・パウロ2世1995年に出した回勅いのちの福音』は、いのちの福音がイエス・キリストの教えの中核であり、神の永遠の律法は「殺してはならない」と命じていると教える。ヨハネ・パウロ2世はその中で、人工妊娠中絶は殺人であり、人工妊娠中絶と安楽死は「文化」であるとして反対した。1917年教会法典は、中絶の罪に対し教会の宣告を待たずに自動的に破門になる伴事的破門制裁を定めているが、改定された教会法典でも、この規定は有効であり、中絶した者と手助けした者が破門されることを確認している[7]

2009年11月、正教会カトリック教会福音派の指導者が「マンハッタン宣言」に署名した。この宣言は、人間の生命の神聖、結婚の尊厳、良心信仰自由を宣言し、人工妊娠中絶と性的、またそれを容認する勢力を退けている。この中で、2000年にわたって神のことばを宣言し、弱者を助けてきたクリスチャンの働きがあることを表明している[10]

2019年頃から発生した新型コロナウイルス感染症の世界的流行に際し、COVID-19ワクチンが開発された[11]ロサンゼルス郡公衆衛生局によると、このワクチンのうちいくつかの種類では中絶された胎児の組織を開発に用いている[12]。ただし、ファイザーモデルナのワクチンは開発にこれらの組織を用いていない[13]。また、プロライフ政策組織のシャーロット・ロジェ・インスティテュート(The Charlotte Lozier Institute)は、これらのワクチンの使用が倫理的に問題ないと判断を下している[13]

脚注[編集]

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注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ 劔陽子, 山本美江子, 大河内二郎, 松田晋哉「アメリカ合衆国における人工妊娠中絶と10代の望まない妊娠対策 : わが国における人工妊娠中絶と10代の望まない妊娠対策と対比して」『日本公衆衛生雑誌』第49巻第10号、日本公衆衛生学会、2002年10月、 1117-1127頁、 doi:10.11236/jph.49.10_1117ISSN 05461766NAID 10010337158
  2. ^ 西山隆行「アメリカで中絶問題が政治争点化する理由」『Wedge』2019年5月29日、2頁。
  3. ^ Symons, Xavier (2019年5月26日). “Is spontaneous abortion a problem for pro-life advocates?”. 2021年2月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年2月25日閲覧。
  4. ^ 辻岡健象『小さな鼓動のメッセージ』いのちのことば社[要ページ番号]
  5. ^ マイケル・J・ゴーマン『初代教会と中絶』すぐ書房[要ページ番号]
  6. ^ 『現代カトリック事典』エンデルレ書店[要ページ番号]
  7. ^ a b ヨハネ・パウロ2世『いのちの福音』Evangelium Vitae「第三章:殺してはならない」
  8. ^ a b c 緒方 1999, p. 154.
  9. ^ 山田昌弘『少子化社会日本』p.76
  10. ^ The Manhattan Declaration
  11. ^ 厚生労働省開発状況について」2021年8月2日のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月2日閲覧。
  12. ^ ロサンゼルス郡公衆衛生局 2021, p. 1.
  13. ^ a b ロサンゼルス郡公衆衛生局 2021, p. 2.

関連項目[編集]

参考文献[編集]