ヨルダン川西岸地区

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ヨルダン川西岸地区
الضفة الغربية
יהודה ושומרון
ヨルダン川西岸地区
中心都市ラマッラー(2012年)
位置
ヨルダン川西岸地区の位置
ヨルダン川西岸地区
(パレスチナ自治区での位置)
ヨルダン川西岸地区の位置
ヨルダン川西岸地区の主要都市
歴史
ヨルダンの占領 1948年
ヨルダンへの併合 1950年4月24日
イスラエルの占領 1967年6月10日
行政
自治政府 パレスチナの旗 パレスチナ
地区 ヨルダン川西岸地区
中心都市 ラマッラー
最大都市 ラマッラー
地理
面積  
  総面積 5,660 km2
    陸上面積 5,640 km2
    水面面積 220 km2
    水面面積比率  3.7 %
標高 N/A m
人口動態 (2016年7月現在)
人口 2,697,687 人 (パレスチナ人のみ)
  人口密度 476.6 人/km2
その他
等時帯 世界標準時UTC+2
  夏時間 夏時間UTC+3
ISOコード PS(地区には割り当てなし)
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ヨルダン川西岸地区(ヨルダンがわせいがんちく、アラビア語: الضفة الغربيةaḍ-Ḍiffah l-Ġarbiyyahヘブライ語: הגדה המערביתHaGadah HaMa'aravit)は、ヨルダンイスラエルの間に存在し、現在パレスチナ国パレスチナ自治区)の一部を形成するヨルダン川より西部の地域のこと。欧米などでは単にウェストバンク(West Bank, 西岸の意)と表現される事が多い[1]

地区の面積は5,660km2(後述する3つの区分に分けられる)で、その中に約270万人(2016年[2])のパレスチナ人と約40万人のユダヤ人(2014年、東エルサレムを除いた入植地の人口[3])がいる。

概説[編集]

1948年第一次中東戦争後半に、ヨルダンによって占領され、1950年には、ヨルダンから東エルサレムを含む地域を併合という形にされた。同地区は1967年までヨルダンの一部を構成していたが(国際的には認められていなかった)、1967年第三次中東戦争イスラエル軍によって占領される。ヨルダンは1994年領有権を放棄した。現在、同地区はイスラエル軍とパレスチナ政府によって統治されている。

一部の人々、とくにイスラエル人の入植と東エルサレムの併合(ひいては本項の地域も含めた古代ユダヤ人国家の再統一)を支持する人々は、「ユダヤ・サマリア」と呼ぶことを好む。またフランス語などのロマンス諸語では、いわゆるトランスヨルダン(ヨルダン川の向こう側、すなわち現在のヨルダン)と対比してシスヨルダン(ヨルダン川のこちら側)と呼ばれる。

ヨルダン川西岸地区は、国際連合からイスラエル占領地として考えられるが、一部のイスラエル人や他の様々なグループは「占領された」よりも「議論される」地域という用語を好んで使用する。ヨルダン川西岸地区にはパレスチナ人(アラブ人)やユダヤ人および他の少数民族グループが居住している。同地区に暮らす大多数のアラブ人は、第一次中東戦争でイスラエルから避難したパレスチナ難民あるいはその直接の子孫である。

統治者による区分[編集]

赤 - パレスチナ政府管轄(A地区およびB地区)
黄色 - イスラエル政府の統治下(本土およびC地区)

2010年現在、ヨルダン川西岸地区は統治者によって、3分されている。

  1. A地区…パレスチナ政府が行政権、警察権共に実権を握る地区。2000年現在で面積の17.2%[4][5]
  2. B地区…パレスチナ政府が行政権、イスラエル軍が警察権の実権を握る地区(警察権は、パレスチナ政府と共同の地区も含む)。2000年現在で面積の23.8%
  3. C地区…イスラエル軍が行政権、軍事権共に実権を握る地区。2000年現在で面積の59%

現在でもヨルダン川西岸地区の主な統治者はイスラエルであり、また、C地区はA地区、B地区を包囲し、さらに細かく分断するように配置されている[6]。イスラエルが容易にパレスチナ人の交通を封鎖できるようになっている。

さらに、C地区でのパレスチナ人の日常生活は大幅に制限されており、家屋・学校などの建築、井戸掘り、道路敷設など全てイスラエル軍の許可が必要となる[7]。特に住居建設の許可が下りる事はほとんどなく、イスラエル軍は「違法」を理由にパレスチナ人住居を破壊し、罰金を取り立てている。国連によると、2010年だけで少なくとも198の建造物が破壊され、300人近くのパレスチナ人が強制的に排除された[8]

イスラエル[編集]

イスラエルの「分離壁」(エルサレム、2016年)
ヨルダン川西岸地区のユダヤ人入植地(黒三角、2007年)

イスラエルの行政上の区画はユダヤ・サマリア地区である。前述したように、ヨルダン川西岸地区の6割(2000年時点)はイスラエルの統治下にある。また、他のパレスチナ政府管轄下(AおよびB地区)についてもイスラエルは網の目のように包囲しており、与える影響は大きい。

C地区とは別にユダヤ人入植地英語版と呼ばれるものが存在する。これは、マアレ・アドゥンミームを始めとするユダヤ人による入植地(イスラエル(国籍の)人の移住地)であり、そのほとんどはC地区に点在している(2014年の地図 (PDF))。入植地は政府主導の大規模なものもあれば、入植者が勝手に作ったものもある(イスラエル政府は事実上容認)。入植者には2014年時点で40万人ほどのユダヤ人が住んでいるとされる[3]。そして、その入植地およびヨルダン川西岸地区を取り囲むように建設されたのが「分離壁」である。イスラエル政府の名目上の説明は「自爆テロの防止」であるが、分離壁の一部は1949年停戦ライン(通称グリーンライン。ヨルダン川西岸地区とイスラエルの境界線)を超えて西岸地区内に入り込んでおり、入植地の事実上の領土化やパレスチナ人の生活を分断している。

イスラエルによるヨルダン川西岸地区の強硬的な実効支配については国際的な非難が行われており、2016年12月23日の国連安保理では、イスラエルのパレスチナ占領地への入植活動を「法的な正当性がなく国際法に違反する」とし「東エルサレムを含む占領地でのすべての入植活動を迅速かつ完全に中止するよう求める」決議が採択され、賛成14票、反対1票で可決されている。イスラエルの友好国であるアメリカは同様の決議に対ししばしば拒否権を行使していたが、今回は棄権するという異例の事態となった[9]。実質的にイスラエルとの境界線となっている分離壁には2004年に国際司法裁判所が「イスラエル政府の分離壁の建設を国際法に反し、パレスチナ人の民族自決を損なうものとして不当な差別に該当し、違法である」という勧告的意見を出し[10]国際連合総会でも建設に対する非難決議がなされている[11]

パレスチナ[編集]

パレスチナの県(灰色の部分は統治外)

パレスチナ人による自治政府の管轄下はヨルダン川西岸地区の約4割ほどであり、そのうちパレスチナ政府が完全に支配下に置いているのは2割にも満たない(2000年)。その管轄区もイスラエルの実効支配地域および分離壁によって分断されており、多くが地区西部に点在する形となっている。

パレスチナ政府がヨルダン川西岸地区に(名目上)設置している行政区画(県、Governorate)は以下の通り。ただし、イスラエル統治下を含んでいる。

東エルサレムの取り扱い[編集]

東エルサレムの現状は、論争の的となっている。東エルサレムは、ヨルダン川西岸地区を形成する一部であるが、イスラエルは東エルサレム併合を宣言しているため、イスラエルはヨルダン川西岸地区の一部としては考えていない。しかしながら、併合は、現在国際的に認められていない。

なお、日本国政府はパレスチナ国を承認していないため、日本の地図では、イスラエルとヨルダン間の領土抗争地・未確定領域と扱われることがある(ただし、1994年に結ばれたイスラエルとヨルダンの平和条約ではヨルダンは同地を放棄している為、正確には「イスラエルとヨルダン間の領土抗争地」ではない。「イスラエルの領有権未確定地域」「イスラエルとパレスチナ自治政府との係争地」である。)。

いずれの場合も、その政治的・文化的・人道的な重要性から、ヨルダン川西岸地区とは別個に取り扱われることが多い。一例としてオスロ合意は、他のパレスチナ領域と別個の問題として東エルサレムを取り扱う。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ West Bank、と頭文字を大文字表記して固有名詞扱いにすることで、ヨルダン川西岸地区を特に指す言葉となっている
  2. ^ West Bank”. 中央情報局 (2017年1月12日). 2017年2月22日閲覧。
  3. ^ a b “[Housing-minister-sees-50-percent-more-settlers-in-West-Bank-by-2019-352501 HOUSING MINISTER SEES 50% MORE SETTLERS IN WEST BANK BY 2019]”. エルサレム・ポスト (2014年5月16日). 2017年2月22日閲覧。
  4. ^ 特集:アパルトヘイト・ウォール(隔離壁/分離壁):イスラエル:パレスチナ情報センター
  5. ^ ただし、ユダヤ人入植地及びイスラエル軍基地として占領されている面積は、ここでは含んでいない
  6. ^ ヨルダン川西岸
  7. ^ 児玉千佳子 フィールド・エッセイ 第14回 児玉千佳子さん UNDPパレスチナ人支援プログラム プログラム・アナリスト
  8. ^ アムネスティ・インターナショナル イスラエル/被占領パレスチナ地域 : 西岸地区のパレスチナ人家屋の破壊を増大させるイスラエル
  9. ^ イスラエル入植非難決議を採択 米が拒否権行使せず”. 日本経済新聞 (2016年12月24日). 2017年2月22日閲覧。
  10. ^ Legal consequences of the construction of a wall in the occupied Palestinan Territory, para 88 Archived 2010年7月6日, at the Wayback Machine. (英文、フランス語文)
  11. ^ U.N. votes 150-6 against West Bank barrier, CNN.com

外部リンク[編集]