新型コロナウイルス感染症 (2019年)

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この記事の項目名の英語名である「COVID-19」には以下のような表記揺れがあります。
  • コヴィッド19
  • コビッド19
2019年新型コロナウイルス感染症
Symptoms of coronavirus disease 2019.svg
2019年新型コロナウイルス感染症の症状
症候学 発熱疲労空咳息切れ
原因 SARSコロナウイルス2 (SARS-CoV-2)
診断法 PCR法LAMP法抗原検査
新型コロナウイルスの構造
  赤い突起はスパイクタンパク(S)[1]
  灰色の被膜はエンベロープ。主成分は脂質でアルコールや石鹸で破壊できる[1]
  黄色の付着物はエンベロープタンパク[1]
  オレンジの付着物は膜タンパク質
[1]

2019年に発生した新型コロナウイルス感染症(しんがたコロナウイルスかんせんしょう、国際正式名称:COVID-19[2])は、SARSコロナウイルス2 (SARS-CoV-2) [注 1]ヒト感染することによって発症する気道感染症ウイルス性の広義の感冒の一種[3])である[4]

症状はさまざまであり、軽度から重症まで多岐にわたる[5]。一般的な症状には、頭痛、嗅覚や味覚の消失、鼻閉および鼻漏、咳、筋肉痛咽頭痛発熱下痢呼吸困難がある[6]。多くの場合、無症状または風邪様症状を伴う軽症で自然治癒するが、重症では急性呼吸窮迫症候群敗血症多臓器不全を伴う[4][7]

ほとんどの患者(81%)は軽度から中等(軽度の肺炎まで)の症状であり、14%は重度(呼吸困難、低酸素症X線写真で肺の50%以上が映る)となり、5%は致命的(呼吸不全ショック、多臓器不全)となる[8]。ウイルスに感染した人の少なくとも3分の1は、どの時点でも目立った症状を発症しない[9][10][11][12]

日本においては、2020年時点では単に新型コロナウイルス感染症と呼ばれ[13]感染症法に基づいて強制入院などの措置を取ることができる指定感染症(二類感染症相当)に指定された[13]ほか、新型インフルエンザ等対策特別措置法上も期限付きで新型インフルエンザ等とみなされ、日本国政府緊急事態宣言を発令できるようになった[14]

2019年12月に中華人民共和国湖北省武漢市で初めて検出された新興感染症で、一般に武漢市から世界各地に感染が拡大パンデミック)したと考えられているが[15][3]、スペインのバルセロナ大学の公告を発表によると2019年3月採取の廃水から新型コロナ検出[16]イタリアの国立がん研究所の研究によると2019年9月に採取した同国での肺がん検査受診者の血液中から新型コロナウイルスの抗体が検出されており、武漢市で報告される前から、世界中にウイルスが広まっていた可能性が、2020年3月時点で指摘されている[17]

名称[編集]

2020年1月9日、世界保健機関 (World Health Organization; WHO) は2019年12月8日に中華人民共和国湖北省武漢市で発生した肺炎の集団発症が新型コロナウイルス(原文では “novel (or new) coronavirus”)によるものであるとする声明[18]を出した。この時点では、同声明を翻訳した日本の厚生労働省検疫所は「新しいコロナウイルス」ないし「武漢肺炎」(原文は “pneumonia in Wuhan”)と訳している[19]

同年2月1日、「新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令」の執行により[13][20]、法令において「新型コロナウイルス感染症」と定められた。厚生労働省[21]日本感染症学会[22]もこれに準じている。

同年2月11日、WHOがCOVID-19(コヴィッド ナインティーン[23]またはコビッド ナインティーン[24])と命名した[25]COVIDとは “corona-virus disease”(コロナウイルス疾患)の略称で、19は最初にウイルスが発見された2019年を表している[26]。英語では “coronavirus disease 2019[27][26][28][29][30] または単に “coronavirus disease[2] とも表記される。

WHOは、ヒトに感染する新たな感染症やウイルスの名称に、地域・人名・動物・食品名、特定の文化や産業名を含めないと規定しており[31][32][33][34]、この命名について、固有の地名や国名などと関連付けることで起こる、特定の集団へのスティグマを防ぐよう考慮したと説明した[35]。日本においては「新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)」と併記される場合もある[36][37][38][39][40][41]

台湾中華民国) の衛生福利部疾病管制署では、COVID-19は法令公式名称において「厳重特殊伝染性肺炎」と定められた、簡称として「武漢肺炎」の呼称を公的文書で使用しているほか[42]香港韓国、日本などの一部報道においても「武漢肺炎」の表記が用いられている[43][44][45][46]

病理[編集]

SARSコロナウイルス2 (SARS-CoV-2) に感染することによって発症する[3]

感染経路[編集]

COVID-19感染経路

感染経路としては、ウイルスが付着した手で鼻や目や口を触ることによる接触感染と、くしゃみによる飛沫感染がある[3]

空気感染(airborne transmission)は、特に屋内のハイリスク環境であった場合に起こりえるとされ[47]、レストラン、合唱団、ジム、ナイトクラブ、オフィス、宗教施設など、混雑している場所や換気が少ない場合にリスクが高い[48]

宿主細胞受容体[編集]

SARS-CoV-2は、SARSコロナウイルスと同じく宿主細胞のアンジオテンシン変換酵素II (ACE2) 受容体に結合して感染するとみられている[49]。ヒトACE2とSARS-CoV-2のスパイクタンパク質の受容体結合ドメインとが、相互作用する様子をシミュレーションした動画が公開されている[50][51]

ACE2受容体は気管支・肺・心臓・腎臓・消化器などに発現している[52]Human Protein Atlas英語版によればACE2受容体はや腎臓に多く発現している[53]。また、中国での研究によればACE2受容体は舌の上皮細胞にも多く発現しているとされる[54]

通常、ACE2受容体は刺激されるとアンジオテンシンIIを分解することで血圧上昇のためのレニン・アンジオテンシン系 (RA系)を阻害するが、このRA系阻害作用は臓器の保護に重要な可能性がある[55][56][57]。SARSコロナウイルスではマウスでの動物実験においてACE2受容体の発現を減少させるとされ[58]、新型コロナウイルス感染症の患者の血漿においてもアンジオテンシンIIが高いレベルにあるという情報がある[59]。そのため、新型コロナウイルス感染症の治療においてRA系の阻害が提案されている[59][60]

高血圧患者は新型コロナウイルス感染症で重症化しやすいとされる[61]

症状と徴候[編集]

症状[62] %
発熱 87.9
空咳 67.7
倦怠感・だるさ 38.1
33.4
嗅覚障害味覚障害[63] 30 - 66
息切れ 18.6
筋肉痛関節痛 14.8
のどの痛み 13.9
頭痛 13.6
悪寒 11.4
吐き気・嘔吐 5.0
鼻づまり 4.8
下痢 3.7 - 31[64]
喀血 0.9
結膜充血 0.8

潜伏期間[編集]

潜伏期間は 1日から14日間とされ[15]世界保健機関 (WHO) は平均値を 5から6日、アメリカ疾病予防管理センター (CDC) は中央値を 4日から5日としている[65][66]

ある感染者の発症(1次症例)から2次感染者の発症(2次症例)までの「発症間隔」は、SARSの 5.3日から19日に対して、本症は 3.5日から5.9日と見られており、潜伏期間に感染能力をもつ可能性が指摘されている[67]

当ウイルスに感染していても病気の症状が現れない者がおり、無症状病原体保有者と言う[15]。無症状病原体保有者は、その保有する当ウイルスを他者に感染させる可能性がある[68]

初期症状[編集]

症状は特異的ではなく、症状のないもの(無症候性)から重症の肺炎、死亡まで幅広い。典型的な症状・徴候としては発熱、空咳、疲労、喀痰、息切れ、咽頭痛、頭痛、下痢などがある(表参照)[15][62]くしゃみ鼻水のどの痛みなどの上気道症状は少ない[69]。WHOの進藤奈邦子シニアアドバイザーは、この病気は下気道に親和性が強く、排ウイルスのピークは発症日から3日から4日後くらいと報告している[70]

初期症状はインフルエンザ普通感冒と似ており、発症早期の段階では鑑別が困難である[3][7][71]。感染から潜伏期間(1から14日間)を経た後に、微熱発熱や呼吸器症状、倦怠感が約1週間続く。2020年1月25日時点での中国では、初期症状は、肺炎に特有の発熱や咳だけとは限らず、下痢吐き気頭痛や全身のだるさなど、消化器系神経系の症状の場合もあり、早期の診断を難しくしていると伝えられた[72]。また、特に発症早期の場合は発熱が必ずしも現れるわけではないため、発熱検知装置だけで検出できない可能性がある[73]

進行症状[編集]

原因については解明がまたれているが、二次的な細菌性肺炎も存在し、感染後1週間から2週間以内に発症した肺炎はウイルス性のものが多いと見られている[74]。急性進行及び他疾患併発によると考えられているが、重症化すると急性呼吸窮迫症候群 (ARDS) や急性肺障害 (ALI) などを起こし[75]体外式膜型人工肺適応となる場合が多い[76]

嗅覚喪失[編集]

2020年6月のシステマティックレビューでは、嗅覚障害の有病率は29%から54%であった[77]。一方で、ペンシルベニア大学Smell Identification Test法による2020年8月の研究では、患者の96%に何らかの嗅覚障害があり、18%では完全に喪失していた[78] 。別の2020年6月のシステマティックレビューでは、嗅覚減退症の有病率は4%から55%と報告された[5]。2020年7月の欧州CDCの報告では、嗅覚喪失の有病率は約70%としている[6]

嗅覚や味覚の攪乱は、若い患者に多く確認され、おそらくこれが原因で合併症のリスクが低くなっている[77]

味覚消失[編集]

一部の人々はCOVID-19により、一時的に食物の味の変化(味覚障害または味覚消失)を経験する[77][78]ケメセシスの変化も報告されており、辛味などの化学的に引き起こされた感覚も失われることがある。2021年1月の時点では、味覚およびケメセシスについての症状のメカニズムはまだ理解されていない[78]

2020年6月のシステマティックレビューでは、味覚障害の有病率は24%から54%であった[77]。別の2020年の6月のシステマティックレビューは、味覚減退の有病率は1%から8%と報告された[5]。2020年7月の欧州CDC報告では、味覚障害の有病率は約54%であるとしている[6]

急性呼吸器疾患[編集]

主症状は2020年1月21日判明分で、40℃程度の高熱 (98%) 、乾いた (76%) 、息切れ (55%) などである[79]。他に、全身倦怠感、吐き気、筋肉痛などを催すと報告されている[70]。顕著な合併症肺炎である。

2月20日までの WHO と中国の専門家による調査では、典型的な症状・徴候として発熱 (87.9%)、咳 (67.7%)、疲労 (38.1%)、痰 (33.4%)、息切れ (18.6%)、のどの痛み (13.9%)、頭痛 (13.6%)、筋肉痛・関節痛 (14.8%)、悪寒 (11.4%) などが報告されている[80]

他のコロナウイルス科ウイルス感染症[注 2]との鑑別は外観所見上からは難しい。ただし、発熱せずに死亡した患者もいるので、発熱検知装置だけで検出できない可能性もある。また、無症候キャリアが感染能を持つ可能性もある。

入院患者では呼吸困難や胸の圧迫感も多い。また、入院時のバイタルサインは比較的安定している[81]

合併症[編集]

約1週間の初期症状期に回復しない場合は、高熱・気管支炎肺炎の初期症状などが併発してくる。重症例では、呼吸不全が起こる。また、血液に乗ってウイルスが体内に拡散され、肝不全腎不全心不全脳炎もしくは中枢神経系感染、多臓器不全、全身の著しい内臓の機能低下を招く敗血症などを引き起こすことが確認されている[82][83][84]

中国本土ではウイルス性脳炎や髄膜炎疑い症例が報告されており、日本では2020年3月7日に山梨県髄膜炎の発症が初めて報告された[85]。髄膜炎徴候患者の髄液を採取してPCR検査したところ陽性だった[85]

鑑別診断[編集]

他のウイルス性気道感染症、細菌性肺炎などとの鑑別は、症状や身体所見からは難しい。レントゲン画像または肺CT画像による鑑別が可能な場合がある。病変は中国の81症例中、無症候の時期の病変は、片側性、multifocal(多発斑状)、すりガラス状陰影が優位であり、発症後1週間以内では両側性やすりガラス状陰影が卓越、びまん性が優位となる。発症後1週間を越えるとコンソリデーションや混在病変が優位となる[86]

病変は末梢に分布しやすく、リング状陰影(reversed halo sign)は特徴的である。胸水やリンパ節腫脹は少ない[86]

免疫抑制下では易感染でありニューモシスチス肺炎との鑑別が重要である[87]

検査[編集]

COVID-19臨床検査には、ウイルスの存在を検出する方法と、抗体を検出する方法がある。ウイルスのウイルスの存在診断にはPCR検査法があり、日本ではSARSコロナウイルス2 (SARS-CoV-2) の遺伝子領域から、オープンリーディングフレーム (ORF) 1aとスパイクタンパク質を検出する2-step RT-PCR 法(2ステップ逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法)またはリアルタイム one-step RT-PCR 法(TaqMan プローブ法)が使用される[88]。これらの検査は臨床検査技師が行なっている。その他に補助的な検査として、血液検査や胸部X線撮影コンピュータ断層撮影を用いた画像検査を用いる。

また、LAMP法や抗原検査も使われている[89]

管理[編集]

ここではガイドラインで勧告された療法のみを掲載する。治験中のものはCOVID-19に対する薬剤研究およびCOVID-19に対する薬剤転用研究を参照

COVID-19に対する特定の効果的な治療法や治療法は存在しない[90][91]。そのためマネジメントは対症療法、輸液療法、酸素支持、体位管理などであり、必要に応じて臓器を守るために医薬品や医療機器を使用する[92][93][94]

COVID-19のほとんどは軽度であり、その場合の支持療法には、症状緩和(発熱、体の痛み、咳)のためのパラセタモールまたはNSAIDなどの薬物療法、水分の適切な摂取、休息、および鼻呼吸などがある[95][91][96][97]。 適切な衛生管理と健康的な食事も推奨される[98]。米国CDCは、ウイルスを持っていると疑われる人は自宅で自主隔離し、マスクを着用することを推奨している[99]

より重症の場合は、病院での治療が必要になりうる。酸素レベルが低い患者にはデキサメタゾンが強く推奨され、死亡リスクを減少させることができる[70][100][101]。 呼吸支援が必要となれば、非侵襲的換気、そして最終的には人工呼吸器を付けて集中治療室への入室が必要になる場合もある[102]体外式膜型人工肺(ECMO)は呼吸不全の問題に対処するために使用されることもあるが、その利益はまだ検討中である[103][104]

いくつかの実験的治療法が臨床試験で活発に研究されている[90]ヒドロキシクロロキンロピナビル/リトナビルなどは、パンデミックの初期には有望であると考えられていたが、その後の研究では効果がなく、有害でさえあることが分かってきた[90][105][102] 。多くの研究がなされているが、いまだ早期治療を推奨するのに十分な質の高い証拠は存在しない[105][102]

2020年7月現在、日本で認可されている治療薬はレムデシビルデキサメタゾンの2種類である[3]

レムデシビル[編集]

抗ウイルス薬レムデシビルは、現在米国FDAによって承認されている唯一の薬剤である[102] 。日本では特例承認制度により、5月7日に正式に新型コロナウイルスへの治療薬として承認された[3]

しかし人工呼吸器を付けた患者には推奨されず、WHOも有効性の根拠が限られるとして推奨していない[106][90]

デキサメタゾン[編集]

ステロイド系抗炎症薬デキサメタゾンが、2020年6月にイギリスで新型コロナに感染した重症患者の死亡率を下げるとの研究結果が報告された。

米国ガイドラインでは人工呼吸器を要する患者に推奨される[102]。日本ガイドラインでも承認されている[3]

禁忌薬[編集]

3月17日、WHOの報道官は、本ウイルス感染の疑いがある場合、医師の助言なしに抗炎症薬「イブプロフェン」を服用しないよう注意を促した。抗炎症作用の少ない「アセトアミノフェン」服用が望ましいとしていたが[107]、3月20日に「通常の副作用以外に、症状を悪化させるという報告はなかった」ことから「控えることを求める勧告はしない」とし、先の発表を事実上撤回した[108]。そのため、3月20日時点において禁忌薬に指定されている薬品は存在しない。ただし、ロキソニンなどのNSAIDSはサイトカインストームを起こし肺炎の可能性を上げるリスクは肯定もされていないが否定もされていない状況であるため、可能なら使わないほうが無難といえる。一般的な副作用を防ぐという観点も含め、解熱剤としての第一選択はアセトアミノフェンをと考えるのが現時点では妥当なところである(もちろん副作用のためアセトアミノフェンが使えない患者も存在する)。

治療薬候補[編集]

創薬は、以下の二面戦略で進めらている。

  1. 過去のSARSMERSエボラ出血熱、エイズウイルス (HIV) などのウイルスに有効であった既存の薬剤や、実際のMERSやこのSARS-CoV-2に、試験管レベルで有効な薬剤を網羅的に探索する研究(スクリーニング)などで候補薬剤を探して、転用(適応拡大)する。COVID-19での臨床研究が個々に進める。 →COVID-19に対する薬剤転用研究
  2. 新技術を頼りに、かつてないスピードでワクチン抗体医薬その他の新薬を開発する。→COVID-19に対する薬剤研究

厚生労働省ガイドラインにおいて記載の、日本国内で入手できる薬剤の適応外使用で、国内において治験または特定臨床研究が実施されている薬剤は、以下の通りである[3]

  1. トシリズマブ中外製薬のアクテムラ)
  2. ファビピラビル富士フイルム富山化学の 抗インフルエンザ薬アビガン)
  3. アジスロマイシンファイザーのジスロマック)
  4. イベルメクチンMSD製造・マルホ販売の駆虫薬ストロメクトール)
  5. サリルマブサノフィ製造販売・旭化成ファーマ発売のケブザラ)
  6. シクレソニド帝人ファーマのオルベスコ)
  7. ナファモスタットメシル酸塩(日医工のフサン)
  8. ネルフィナビルメシル酸塩(日本たばこ産業のビラセプト)[注 3]
  9. バリシチニブ

予防[編集]

感染管理が主な予防となる[110]。予防に適した薬剤は存在せず、米国ガイドラインでは臨床試験ではない限り、予防目的で薬剤を服用することのないよう勧告している[110]。ウイルス暴露後であっても同様である[110]

英国政府ガイドラインでは、すべての医療施設において、医療従事者と患者(障害とならないのであれば)は、フェイスマスクを使用する必要があり、さらに社会的距離手指衛生も必要であるとされている[111]

手洗い[編集]

咳やくしゃみをした後には、徹底的な手洗いが必要である[112] 。WHOは石鹸と水で頻繁に手を洗うことを推奨してており、少なくとも20秒間を要し、特にトイレに行った後、手が目に見えて汚れているとき、食事をする前、鼻をかんだ後には必要となる[113]

CDCは、石鹸と水にすぐにアクセスできない場合に限って、アルコール手指消毒剤(濃度60%以上)を使用することを推奨している。手指消毒剤が入手困難なエリアでは、WHOは現地生産可能なエタノールまたはイソプロパノールの消毒剤を推奨している。過酸化水素はアルコールに混入する細菌胞子の除去のために添付されており、手の無菌操作のための物質ではない[114]

防護具 (PPE)[編集]

個人用防護具(personal protective equipment, PPE)[111]
1.保護衣(ガウンエプロン)を着用
2.マスクN95マスクサージカルマスク)を着用
3.ゴーグルフェイスシールドを着用
4.手袋グローブを着用
この他、帽子(キャップ)・シューカバーなど。[111]

飛沫感染や接触感染を防ぐために個人用防護具(personal protective equipment,PPE)が各種ある[111]。保護衣(ガウンエプロン)、マスクN95マスクサージカルマスク)、ゴーグルフェイスシールド手袋、帽子(キャップ)、シューカバーなど。

これらはメーカーや勧告においての指示がない限り、一回のみで使い捨てる必要がある[111]。感染リスクのある場合は、適切な廃棄が求められる[111]

社会的距離[編集]

社会的距離(物理的距離)とは、個人間の密接な接触を最小限に抑えることによって、病気の蔓延を遅らせることを目的とした感染管理行動である。現在、多くの政府が、発生の影響を受けた地域において、社会的距離の拡大を義務付けまたは推奨している[115]

世界各国で感染拡大を抑えるために外出を制限する都市封鎖(ロックダウン)政策が取られた。

自己隔離[編集]

COVID-19と診断された人や感染が疑われる人には、自宅での自己隔離が推奨されている。各国の保健機関は、適切な自己隔離を行うための詳細な指示を出している[116] 。 多くの政府は、全人口に対して自己隔離を義務付けまたは推奨している。リスクの高いグループの人々に対しては、最大限の自己隔離指示が出されている[117]

ワクチン[編集]

大規模なプラセボ対照試験では、2回のワクチン投与により、COVID-19の予防に94%から95%有効であることが示されている[110]

致死率[編集]

初期の報告では重症化率が32%、死亡率が15%と高いものであったが[69]、症例の集積に伴い、現在では重症化率、死亡率はそれより低いことが判明している。WHOからの報告では軽症から中等症例が約80%、重症例が13.8%、重篤例が6.1%とされている[62]。死者の多くは、高血圧糖尿病、免疫系を損なう心血管疾患など、他の疾患を併せ持っていた[118]。また、免疫系の過剰反応であるサイトカインストームによる重篤化するケースもある[119]。死亡に至った初期症例によると、疾病の判明から死亡までの中央値は14日であり、6日から41日までの幅があった[120]

感染致死率は、2020年12月のシステマティックレビューメタアナリシスによれば、フランス、オランダ、ニュージーランド、ポルトガルなどでは0.5-1%、オーストラリア、イングランド、リトアニア、スペインでは1-2%、イタリアでは2%以上であった[121]。 さらにこの研究では、致死率の違いは、集団の年齢構成および年齢別感染率に起因することが発見されている。

致命率についてのメタ回帰推定値は、子供と若い成人では非常に低い(10歳で0.002%、25歳で0.01%)のだが、55歳では0.4%、65歳で1.4%、 75歳、85歳で15%となった[121] 。これらの結果は、WHOが発行した2020年12月のレポートにおいても強調された[122]

予後[編集]

脳損傷[編集]

米国シカゴの大規模な医療センターの医師は、COVID-19患者の40%以上が最初に神経学的症状を示し、30%以上が認知障害を持っていたことを発見した。COVID-19感染を生き延びた人々に、長期的な神経学的影響があるかもしれないことを示唆している。COVID-19の多くの生存者に脳損傷が発生し、広範囲に及ぶ認知、行動、心理的問題を引き起こす可能性があるという証拠が増えている[123]

後遺症[編集]

COVID-19の後遺症(「Long COVID」とも呼ばれる)として、陰性後も倦怠感、関節痛など体の痛み、息切れ、集中力の低下、運動不能、頭痛睡眠障害、神経疾患、抜毛、味覚障害などの症状が残るケースが報告されており、調査が行われている[124]。研究では、COVID-19から「回復」した人の50%以上が、3か月後も何らかの症状に悩まされ続けていることがわかった[125]。罹患による重度の炎症反応、血栓性微小血管症、静脈血栓塞栓症、それらに伴う酸素欠乏よる後遺症として、肺や心臓、脳、腎臓、血管系など多くの臓器や器官系に長期的な損傷が引き起こされる場合があると考えられている[126]

患者回復後のウイルス陽転化現象[編集]

中国武漢の病院で、PCR検査により診断されたCOVID-19患者に対して、PCRと血液、血清の診断の詳細を調べる研究があった。39例中15例が、治療後も腸管や血液にウイルスを有していた。また、同病院の16例の研究で、0日目に口腔サンプルが陰性でも、5日目に肛門サンプルが陽性化したのが4例あり、また血清検査では、治療直後陰性が治療5日後に検査すると、陽転化するものが多かった[127]

一方、PCR検査で陽性反応が出て入院し、その後の検査で陰性となり症状も落ち着いたため退院したが、最初の発症から2週間以上経過して、再びPCR検査で陽性となったケースも出てきており、潜伏していたウイルスの再活性化か、変異ウイルスの再感染の可能性が指摘されている[128][129][130][131]

その後、ワクチンの治験等による研究によって、PCR検査だけではその方法や精度に問題があり、他の検出方法も併用しないと再陽性となる場合があること、スクリーニングによっては陰性となる場合や陽性となる場合、つまり疑陽性となる場合が存在することが明らかになっている。反対に言えば、疑陰性となる場合もあり、この事が再陽性化を生じていると考えられている。変異株による再感染については、管理された環境である病院内での感染はありえず(当然の事であるが、院内衛生基準を守っていない場合もありえる)、市中内での感染と考えられる。

罹患した主な著名人[編集]

動物の感染例[編集]

コウモリ由来のコロナウイルスと考えられているほか、ヒトに感染した後、数十種の動物に感染や試験が行われた[132][133][134]

  • 研究室の研究では、フェレット、猫、ゴールデンハムスターは感染後に同種で感染を広める可能性があり、犬は感染後に他の犬種への感染は確認されていない。マウス、ブタ、ニワトリ、アヒルでの感染はない。
  • ペットのイヌやネコ。飼い主などのヒトから感染する。犬同士は感染しないが、猫同士は感染しあい、幼猫 (ヨウミョウ) は特に脆弱で死亡のリスクがある。感染した猫は、鼻や気管でウイルスが増殖し、肺では増殖が見られなかったが、肺において4週間経過後も無症候で炎症が残った[135]
  • ライオンや虎などがアメリカニューヨーク市内の動物園で感染した。乾いた咳、喘鳴、食欲不振などの症状を示した後、数日で回復した。
  • ゴリラ2頭が感染したと発表された。2021年1月に、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンディエゴ動物園において確認された。大型類人猿への感染は初めてであり、無症状のスタッフからの感染が指摘されている。鼻詰まりや咳の症状が確認された[136]
  • ミンクの感染がオランダ、デンマーク、スペイン、アメリカなどにある皮革工場で確認された。感染したミンクは劇的に症状が悪化し翌日には死亡する。これにより約1万匹が死亡している。ミンクから人間へ感染したという事例が発生している。この人間へ再感染した中に変異株 Cluster 5英語版が報告されている。この変異株は、ヒトがコロナウイルスに対して持っていた抗体と反応し難く開発中のコロナウイルス対策ワクチンでは効果が薄い可能性が示唆されている。
人への感染
通常飼育している環境下では、ペットなどの動物から人への感染は、ほぼ起きないと考えられている。その理由として、ペットの保有してるウイルスの量や人への感染経路が無いからだとされている。その一方、大量に飼育しているミンクの農場で人への感染が報告されていることから、多頭飼いなどの条件によっては人間への感染も考えられる[137]

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ 原因ウイルス名に「SARS」を冠しているが、2002年から2003年にかけて流行した重症急性呼吸器症候群 (SARS) を引き起こすウイルスではない。この名称は、単にSARSコロナウイルス (SARS-CoV) との系統関係に由来している。
  2. ^ SARS, MERSほか
  3. ^ プロテアーゼ阻害剤で、HIV治療薬。2019年4月、HIV治療ガイドラインにおいて、本剤が積極的に変更を考慮すべき旧来の薬剤に位置付けられたことから、HIV感染症治療薬としての役割は終息したものと考え、本剤の希少疾病用医薬品製造販売中止届の手続きを行った[109]

出典[編集]

  1. ^ a b c d 板倉龍「猛威を振るう「新型コロナウイルス」」ニュートン2020年4月号
  2. ^ a b 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とその原因となるウイルスの命名について”. WHO (2020年5月7日). 2020年8月10日閲覧。
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参考文献[編集]

臨床ガイドライン

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

国際機関・政府機関

各種学会

分類
外部リソース