バーニー・サンダース

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
バーナード・"バーニー"・サンダース
Bernard "Bernie" Sanders
Bernie Sanders.jpg
2013年9月
生年月日 1941年9月8日(74歳)
出生地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 ニューヨーク州ニューヨーク
出身校 シカゴ大学
前職 大工
映画製作者
作家
研究者
所属政党 無所属(1979-2015)
民主党(2015-)
進歩党(提携)
リバティユニオン党(1971-1979)
称号 B.A.
配偶者 ジェーン・オメアラ・ドリスコル
サイン Bernie Sanders signature.svg
公式サイト Senator Bernie Sanders of Vermont

選挙区 バーモント州
パトリック・リーヒと共同
在任期間 2007年1月3日 -
前任者 ジム・ジェフォーズ

選挙区 バーモント州大選挙区
在任期間 1991年1月3日 - 2007年1月3日

在任期間 1981年 - 1989年
テンプレートを表示

バーナード・"バーニー"・サンダース英語: Bernard "Bernie" Sanders1941年9月8日 - )は、アメリカ合衆国政治家バーモント州選出の無所属(2015年から後述のとおり民主党)の上院議員ユダヤ系不可知論者である。 2016年アメリカ合衆国大統領選挙の民主党候補者の一人である。

生い立ち[編集]

ニューヨーク州ニューヨーク市ブルックリンポーランド系ユダヤ人移民の息子として生まれた。ブルックリンのジェームズ・マディソン高校を卒業、シカゴ大学に進学し、1964年に政治学の学位を取得[1]。卒業後はイスラエルキブツで過ごし、政治的見解を形成した[2]。1963年にシカゴ大学の学生で当時21歳だったサンダースは、人種隔離政策に反対して警察官に両腕を掴まれ逮捕された[3]アメリカ社会党の社会主義青年同盟(YPSL)に所属し、民主社会主義者としての活動も始めた[4]。1964年にバーモント州に住まいを移し、大工、ドキュメンタリー製作者などの職を経験した[1]。1981年、バーモント州で最大の市、バーリントン市の市長に選出される。 現在は、バーモント州バーリントンの自宅にて、妻ジェーンと暮らしている。4人の子供、7人の孫を持つ[5]。 兄はイギリス在住で緑の党所属の政治家ラリー・サンダース

政治経歴[編集]

2007年以来、上院議員を務めている。その前は下院議員(1991年 - 2007年、通算8期16年)、バーモント州バーリントン市長1981年 - 1989年)を務めた。サンダースが市長を務めた時期、バーリントン市は米国で最も住みやすい街に選出された。市政では、価格を抑えた住宅の供給、累進課税制度の導入、環境保護、児童ケア、女性の権利、若者のための施策等を推し進めた。

2006年の下院から上院への鞍替え立候補では、民主党はじめバーモント進歩党アメリカ民主社会主義者などから支援を受ける無所属候補として選挙を戦い、議席を得た。サンダースは自ら民主社会主義者であるとしているため、合衆国上院初の社会主義者の議員となった(下院では過去にサンダース自身をはじめ、アメリカ社会党ヴィクター・L・バーガーなどの例がある)。議員となってからは、ワーキングクラス家庭に焦点を当て、縮小する中産階級と富裕層の格差縮小に力を尽くした。

2010年12月13日、ブッシュ政権から続いていた減税措置の延長をめぐって8時間半に及ぶフィリバスターを行った。通常、フィリバスターはシェイクスピア合衆国憲法を意味もなく朗読するものであるが、サンダースのフィリバスターは減税措置をはじめとする行き過ぎた自由市場主義によってもたらされた貧富の格差の拡大や国内産業の衰退について強い批判の態度を持って行われ、本人も「2時間あれば言い終わると思っていた」と話している。このフィリバスターはインターネット上で話題になり、その様子がTwitterで中継された[6]

左翼系無所属の議員であるが、アメリカ合衆国第112議会の上院では同じく無所属のアンガス・キング英語版とともに、民主党と院内会派を組んでいる。

2015年4月30日、2016年アメリカ合衆国大統領選挙に民主党から出馬することを表明した[7]。 同年、出馬表明と前後して民主党に入党した。

主張・政策[編集]

高等教育の学費など[編集]

サンダースが大統領になれば公立大学の学費をゼロにするだろう[8]。1965年では4年制公立大学の平均の学費は243ドルであり、例えばニューヨーク市立大学では学費は無料だった。1980年代までカリフォルニア大学は学費無しの大学運営だった。公立大学の学費をゼロにすることは過激な考えではない。

政府は今後10年間で学資ローンプログラムで1100億ドルの利益をあげると見込まれている。これは悪い経済であり倫理上問題がある。サンダースが大統領になればこれを止め、代わりに学資ローンの金利を下げることにそのお金を費やすだろう。サンダースは大学の学資ローンの金利を4.29%から2.37%に下げるだろう。低所得者層の学生には部屋・食事・教科書・住居代などの公的経済援助を受けられるようにする。また、学生のうちから価値あるキャリアのための経験を積めるように公的パートタイムワーク事業の数を3倍にする。

これらの政策を実現するために必要な年間750億ドルについてはウォール街に負担させる。1000人以上の経済学者らがウォール街への課税に賛同している。2008年の世界金融危機の際には米国の納税者がウォール街に金銭支援可能だったわけであるから、公立大学の学費ゼロと学生の債務ゼロは達成可能だろう[8]

最低賃金[編集]

サンダースは、2020年までに米国の最低賃金を時給15ドルに引き上げる法案を米国議会に提出した[9]

TPP[編集]

バーニー・サンダースのTPPについての主張は次のとおり。

まずサンダースは米国が締結したNAFTAの現実を指摘する。

1990年代前半、米国・メキシコ間の貿易はNAFTA以前では均衡していた。1994にNAFTAが発効して以降、米国のメキシコへの輸出は伸びたがメキシコからの輸入はそれを上回った。以降米国のメキシコに対する貿易赤字は拡大を続けた。

米国のメキシコとの貿易(額単位、10億ドル)
  メキシコからの輸入
  メキシコへの輸出

NAFTAで実際に起こったことは企業が米国内での生産を止め賃金が低い国へ仕事をオフショアすることであり、労働者階級の家庭にとっては大きな痛手だった。米国は2001年から既に約6万もの工場が移転してしまっている。 1993年にビル・クリントンNAFTAによって2年間で20万人分もの雇用が米国内で創出されると主張した。だが現実は約68万人以上の雇用が失われた[10]

そのNAFTAをさらに悪くしたものがTPPである。TPPは貿易協定と呼ばれてはいるが実質は究極の構造改革であり労働者にも厳しい協定である。TPPは大企業やウォール街のためにはなるが労働者には厳しい。TPPによって企業側が従業員の賃金を下げやすくできるようになる、もしくはアメリカの雇用をよりオフショアしやすくするだろう[11]ベトナムマレーシアをみてみよう。ベトナムの最低賃金は1時間あたり56セントであり、労働組合結成は法で禁じられている。 マレーシアでは移民労働者は奴隷のように扱われ祖国にも帰ることはできない。 米国はこれらの国々と競争させられるべきではない。これらの国々と競争することは自由貿易ではなく底辺への競争であるからだ[10]

食品安全のスタンダードも下げられてしまう懸念がある。アメリカ食品医薬品局(FDA)はベトナムなどからの何百もの海産物の輸入を禁じている。それらの輸入品海産物に含まれるサルモネラ大腸菌メチル水銀、残留薬物のためだ。FDAは輸入海産物の1から2パーセント程度しか検査していないが、もしTPPでベトナムなどからの海産物輸入が増加すれば(大きな変更を加えない限りは)FDAによる検査体制は盤石ではなくなるだろう[12]

薬価も上がるだろう。特許の存続期間を長くすることによって大規模製薬会社の独占を許すだろう。大規模製薬会社は薬価をつり上げることで大きな利潤を得るが、薬価高騰によって人々が必要な薬剤にアクセスできなくなるだろう[12]。TPPによってジェネリック医薬品へのアクセスも阻害されるため、とりわけ貧しい国の薬価は上昇するだろう。

TPPは企業側の特権について何百ページも費やし、基本的な消費者や環境の安全基準を下げる。気候変動への対処も難しくなるだろう。

TPPに含まれるISDS条項は米国の主権に脅威となる。ISDS条項によって企業側は主権国家を訴える権力を得る。例えば環境保護のために政府がかけた規制が石油・ガス関連企業の収益に不利に働く場合、主権国家を相手に訴訟をおこし大きな賠償金を得ることも可能になる[11]。子供や妊婦を喫煙から守るための法律がタバコ会社の収益を損ねるとして主権国家を訴える権限が企業に与えられるようになるだろう。フィリップ・モリスウルグアイ政府を訴えているように。そしてISDSを用いて大企業が主権国家を訴えた後に、特別法廷で出された決定に従い、国家と納税者がその大企業に賠償金を支払う可能性もあるだろう[12]

「私たちが本気で中間層を建て直し何百万もの雇用をうみだそうと考えるのなら、私たちの貿易政策を根本から見直すべきです」とサンダースは述べる。 サンダースはTPPを葬るためには何でもする決意を示している[10]。 以上のとおり、バーニー・サンダースはTPPに反対しており、サンダースが大統領になれば米国議会へTPP法案を送ることはないと見られる[11]

インフラへの投資[編集]

橋の9分の1が構造的に欠陥あり、4分の1が機能的に問題あり。道路の3分の1が劣悪な状態、都市高速道路の42パーセント以上が渋滞する道路。公共交通機関はメンテナンス延期の対処に苦しんでいる。インフラストラクチャーの老朽化は米国国民の認めるところである[13]

サンダースによるRebuild America Actでは5年間で1兆ドルをインフラの最新化のために投資する。サンダースは高速道路や交通機関のための(現在の)投資額を倍にし、インフラのための投資銀行を設立して新規事業に1250億ドル以上を拠出する。

列車の客・貨物輸送をより速く効率にするため750億ドルを費やす。空港整備に125億ドル、21世紀型の安全な航空交通管制システムの構築に175億ドル費やす。5年間で150億ドルを内陸水路や湾口整備に費やす。年間120億ドルをダムや堤防の補修・強化に費やす[13]。上水道システムの整備のため、そして水道水を安全に保つために年間60億ドルを費やす。年間60億ドルを廃水プラントや雨水インフラ整備に費やす。高速ブロードバンドネットワークが未整備の地域まで拡大するために、またインターネットのアクセスのスピードを上げるために年間50億ドルの投資を行う。

インフラへの投資は安定給料の職をつくりだすためには最適な方法の一つである。これによって1300万人の米国国民がしっかりした収入の職につく。オフショアされるような職ではない[13]

反応[編集]

英国の元首相トニー・ブレアにとってバーニー・サンダースやジェレミー・コービンの人気は理解に苦しむものだという[14]。ブレアは、学費のような件についてサンダースはコービンと非常に似たようなことを言っているとし、それば凄いことだが、だれかがそれを払わなければならないと述べた。(サンダースやコービンの台頭は)部分的にはエリートへの怒りであり、檻を揺さぶる人を選びたい欲求であり、部分的にはソーシャルメディアという大きな熱意を生み出す革命的現象のためだろう。ブレアは強い前衛的中道を自認しており、バーニー・サンダースやジェレミー・コービンが台頭してきた理由は、そのような中道への忠誠心が欠けているからだと主張している[14]

参照[編集]

  1. ^ a b Leibovich, Mark (2007年1月21日). “The Socialist Senator”. The New York Times Magazine (The New York Times). http://www.nytimes.com/2007/01/21/magazine/21Sanders.t.html 2007年7月18日閲覧。 
  2. ^ Greaff, Christopher (1991年9月8日). “Socialist in Congress Goes Where Democrats, Republicans Fear to Tread”. Associated Press. The Los Angeles Times. http://articles.latimes.com/1991-09-08/news/mn-2854_1_major-party/2 2010年9月2日閲覧。 
  3. ^ http://www.chicagotribune.com/news/local/breaking/ct-bernie-sanders-1963-chicago-arrest-20160219-story.html ,Chicago Tribune, 25 Feb 2016
  4. ^ Kruse, Michael (July 9, 2015). "Bernie Sanders Has a Secret: Vermont, his son and the hungry early years that made him the surging socialist he is today". Politico. Retrieved July 18, 2015. "After he graduated from James Madison High School in 1959, he went to Brooklyn College for a year before transferring to the University of Chicago, where he joined the Congress of Racial Equality, the Student Nonviolent Coordinating Committee, the Student Peace Union and the Young People's Socialist League."
  5. ^ https://berniesanders.com/about/
  6. ^ http://archive.is/20130330225601/http://www.sanders.senate.gov/newsroom/news/?id=e35eddb4-0d83-4c55-92c0-e448c55526ff
  7. ^ “米大統領選、無所属のサンダース上院議員が民主党候補に名乗り”. ロイター. (2015年4月30日). http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0NL03020150430 2015年5月5日閲覧。 
  8. ^ a b It’s Time to Make College Tuition Free and Debt FreeBernie2016, Issues
  9. ^ The rapid success of Fight for $15: 'This is a trend that cannot be stopped'S. Greenhouse, The Guardian, US-News, 24 Jul 2015
  10. ^ a b c So-called 'free trade' policies hurt US workers every time we pass themB. Sanders, The Guardian, 29 Apr 2015
  11. ^ a b c Hilary Should Catch up to Bernie on the TPPL. Cohen, The Huffington Post, 12 Feb 2016
  12. ^ a b c Senator Bernie Sanders: The Trans-Pacific Trade (TPP) Agreement must be defeatedB. Sanders, Speech
  13. ^ a b c Creating Jobs Rebuilding AmericaBernie2016, Issues
  14. ^ a b Tony Blair admits he can't understand the popularity of Jeremy Corbyn and Bernie SandersL. Hughes, The Daily Telegraph, 24 Feb 2016

外部リンク[編集]


公職
先代:
ゴードン・パケット
バーリントン市長
1981年 - 1989年
次代:
ピーター・クラヴェール
議会
先代:
ピーター・P・スミス
パーモント州選出下院議員
パーモント州大選挙区

1991年1月3日 - 2007年1月3日
次代:
ピーター・ウェルチ
議会
先代:
ジム・ジェフォーズ
バーモント州選出上院議員(第1部)
2007年1月4日 - 現在
同職:パトリック・リーヒ
現職
儀礼席次
先代:
ベン・カーディン
D-メリーランド州
アメリカ合衆国上院議員序列
61位
次代:
シェロッド・ブラウン
D-オハイオ州