トマホーク (ミサイル)
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トマホーク (BGM-109 Tomahawk) は、アメリカ合衆国で開発された巡航ミサイル。
前史[編集]
トマホークの起源には幾つかの説があるが、もっとも有力と考えられているのは、1972年の第一次戦略兵器制限条約(SALT I)調印に前後して行われたアメリカ海軍の研究である。
当時の国家安全保障問題担当大統領補佐官ヘンリー・キッシンジャーは、SALT Iによって生じる制約の影響を最小限にとどめるべく、条約交渉では検討されなかったタイプの核兵器運搬手段の研究を国防総省に命じた。海軍が中心になって進められた研究の結果は、本質的には無人の有翼航空機である巡航ミサイルであれば、条約違反を犯すことなく、しかも極めて効果的であるとの結論であった。
開発[編集]
当初検討されたのは、ポラリス・ミサイルの発射筒を用いる大型のミサイルと、潜水艦の魚雷発射管を用いる小型のミサイルとの2つの案であった。この2案から翌1972年6月に後者の採用が最終的に決定され、11月には潜水艦発射巡航ミサイル(SLCM:Submarine Launched Cruising Missile)と呼ばれるようになった、このミサイルの設計のための契約が結ばれた。
1974年から、数社の設計案が競争試作にかけられ、1976年2月、ジェネラル・ダイナミクスの設計案が採用された。また、この時までに潜水艦だけでなく水上艦艇からも発射することができるように仕様が変更されたため、SLCMとは海洋発射巡航ミサイル(Sea Launched Cruising Missile)の頭文字とされるようになった。
1977年、カーター政権下で統合巡航ミサイル計画(JCMP:Joint Cruise Missile Program)が開始され、SLCMの開発をしていたアメリカ海軍と、巡航ミサイル(AGM-86)の開発を進めていたアメリカ空軍が共通の技術基盤を用いて巡航ミサイルを開発することになった。この計画のもと、空軍のAGM-86からは巡航ミサイルのターボファンエンジンが、海軍のBGM-109からは地形等高線照合(TERCOM:Terrain Contour Matching)システムが、それぞれ共通コンポーネントとして採用された。またこの計画では、BGM-109の空中発射用の派生型AGM-109も試作され、AGM-86と実飛行を含む競争にかけられたが、空軍はAGM-86を選択したため、AGM-109の開発は中止された。
1980年3月、量産型BGM-109Aが水上艦から、同年の6月には潜水艦から、それぞれ初めて発射された。試験評価はこの後も続けられ、1983年3月、実任務に就役可能であることが宣言された。こうして、熱核弾頭を搭載した対地攻撃型BGM-109A TLAM-N(Tomahawk Land-Attack Missile-Nuclear)および通常弾頭の対水上艦型BGM-109B TASM(Tomahawk Anti Ship Missile)の2つのタイプが任務に就くに至った。これら最も初期に配備されたトマホークは、まとめてブロックIと呼ばれる。
以下、トマホークについて記述をすすめるが、多くのバリエーションが登場するものの、基本的に、発射環境、ミッション、誘導システムや弾頭が改正された各種の発展型の3つの軸で分類可能である(表1および表2を参照)。
ミッション | 弾頭 | ブロック I | ブロック II / IIA / IIB | ブロック番号なし 開発中止 |
ブロック III | ブロック IV (開発中止) |
タクティカル トマホーク |
---|---|---|---|---|---|---|---|
対地 | 核 | BGM/RGM/UGM-109A TLAM-N | |||||
対地 | 通常 | BGM/RGM/UGM-109C TLAM-C (ブロック II/IIA) BGM/RGM/UGM-109D TLAM-D (ブロック IIB) |
BGM-109F | RGM/UGM-109C/D TLAM-C/D |
RGM/UGM-109H THTP | RGM/UGM-109E RGM/UGM-109H | |
対水上 | BGM/RGM/UGM-109B TASM | BGM-109E | |||||
汎用 | RGM/UGM-109E TMMM |
ミッション | 弾頭 | 地上発射型 | 空中発射型 |
---|---|---|---|
地対地 | 核 | BGM-109G | |
空対地 | 通常 | AGM-109 (開発中止) |
BGM-109という制式名称は、1986年にRGM-109(水上発射型)およびUGM-109(潜水艦発射型)の2つに改められた。そのため、BGM/RGM/UGMが混在することになる(1963年に原型が定められた米国防総省のミサイル命名規則によれば、同一のモデルのミサイルでも異なった目的もしくは発射手段を持つミサイルには、制式名称の先頭3ケタのローマ字を変更するものとされている)。それだけでなく、いくつかの接尾辞(xGM-109EおよびH)は全く異なるミサイルに何度も与えられているため、いっそう混乱しやすい。
そのため、以下の記述では制式名称は必要がない限り用いず、各バリエーションに与えられた(ミッションにもとづく)略字(TLAM-N、TASMなど)およびブロック名を主として用いる。
ミッション[編集]
多くのバリエーションが登場しているにもかかわらず、トマホークのミッションはただの2つしかない。すなわち、対地ミッションと対水上ミッションである。核弾頭か通常弾頭であるかによって一部違いがあり、また、後述の発展型では、新しい技術を取り入れるための改正がなされているが、ミッションの基本的なプロファイルは変わっていない。
対地ミッション[編集]
- 発射から中間誘導
- 水上艦であればMk143 装甲ボックスランチャーまたはMk41 VLSから、潜水艦であれば魚雷発射管またはVLSから射出された耐圧カプセルが水面付近に達したタイミングで、固体ロケットブースタで初期加速をされ、ターボファンエンジンで巡航する。発射にあたっては、トマホーク武器システムのサブシステムであるTWCS(トマホーク武器管制システム)が直接の発射管制を行う。また、攻撃計画は地上司令部のTMPC(戦域任務計画センター)、あるいは艦上のAPS(洋上計画システム)によって立案される。
- 誘導システムの中心であるTERCOMは、電波高度計から得た高度情報を、事前に入力されたレーダー地図と照合しつつ、計画された飛行経路に沿ってミサイルを飛翔させてゆく。この経路には中継点がいくつか含まれており、この地点に差し掛かる度に事前の計画に応じて高度と方位を変え、地形を利用して迎撃や探知を回避しつつ、目標へと迫ってゆく。
- ただ、速度はせいぜい亜音速であり回避機動を取るわけでもないので、発見されてしまえば迎撃は比較的容易である。そのため、探知がより難しい夜間の攻撃が望ましい。
- 終端誘導
- 中間誘導までの段階では、TLAM-Nでも通常弾頭のTLAMでも違いは全くない。両者の相違が現れるのは、その最終段階である終端誘導においてにある。
- TLAM-Nでは、最終段階までTERCOMのみによって誘導され、その平均誤差半径 (CEP)は80mであるが、搭載するW80 核弾頭(5-200kTの可変威力型)からすれば、これは充分な数字である。
- 通常弾頭のTLAMには、追加の誘導装置が加わる。この装置は、デジタル式情景照合装置(DSMAC:Digital Scene-Matching Area Correlation)と呼ばれ、電子光学センサーにより地上をスキャンし、事前に登録された情景と比較しながら進路を修正する。これら誘導システムによって得られる最終的な精度は、CEP 10mである。
対水上ミッション[編集]
- 発射から命中まで
- TASMの発射から巡航までの手順はTLAMのそれと変わらない。大きく異なるのは、誘導装置である。TASMには、ハープーン 対艦ミサイルの誘導システムの主要部分を流用したものが搭載されている。
- 敵艦のおおまかな方位を向けて発射されたTASMは、目標の推定位置が近づくと、捜索パターンを描きながら、目標からの電波放射を捕捉するパッシブ方式と自身のレーダーによるアクティブ捜索方式とを併用して捜索をはじめる。
- 一度敵艦を発見すると、TASMは海面近くを飛行し(シースキミング)、目標の側面もしくは上面から突入する。
- 対水上ミッションの必要性
- TASMはすでに退役している。ハープーンと比べると、TASMは射程でも弾頭量でも優れているが、価格が高い(1990年代初めの時点で1発あたり、トマホークは143万ドル、ハープーンは112万ドル)。それゆえ、価格に見合った射程と目標に対して使用するのでなければ見合わないが、同時に、この「相応な目標」は、捜索することそれ自体が困難な作業であるため、TASMは「使いにくい」ミサイルと見なされたのである。しかし、新型ブロックIVでは再び対艦攻撃能力が追加されており、海軍のピート・ファンタ少将は海軍が新型の対艦ミサイルを製造するのかという質問に対して、「トマホークに対艦能力を持たせる必要性を我々はまだ感じており、以前はトマホークの射程にセンサーが追いつかなかったため計画中止となったが、現在は解決されている」と述べている[1]。
発展型[編集]
ブロック I[編集]
ブロック Iに属する2つのバリエーション、すなわち対地核攻撃ミッション用のBGM/RGM/UGM-109A TLAM-Nおよび、対水上ミッション用のBGM/RGM/UGM-109B TASMはすでに退役している。TASMの退役により、トマホークのミッションは対地ミッションに限定されることになった。
BGM-109Aの退役は、中距離核戦力(INF)全廃条約に基づくもので、1991年まで撤去が完了している。
ブロック II / IIA / IIB[編集]
次の発展型であるブロック IIには、1986年から実戦配備されたBGM/RGM/UGM-109C TLAM-CおよびRGM/UGM109D TLAM-Dの2種類のバリエーションがある。
BGM/RGM/UGM-109Cは通常型の単弾頭を備えた基本的な型である。最初のブロック IIは、飛行の最終段階では目標側面に直進して突入するだけだったが、IIAではソフトウェアが変更され、目標上部からの突入および目標上空での弾頭爆破の2つのモードが追加された。
ブロック IIBは、RGM/UGM-109Dである。これは、RGM/UGM-109Cの単弾頭を子爆弾ディスペンサーに交換したもので、1988年から配備された。これは、兵員、非装甲車両、露天駐機中の航空機など、脆弱な目標を広範囲にわたって攻撃するのに適している。
ブロック III[編集]
1980年代、トマホークの2次供給契約者であるマクドネル・ダグラス(現在はボーイング)は、ブロック IIIと呼ばれる機能向上型を提案し、採用された。これには誘導装置(GPS受信機の追加、DSMAC2A)の更新、改良型のエンジンの他、より小型で同等の威力を持つ弾頭が含まれ、これらによって精度の向上と射程の延伸が目指された。
GPSは、TERCOMの限界、すなわち特徴の乏しい地形(砂漠・平原など)での精度の低下を補うものとなり、ミッションの柔軟性を増すことに役立っている。ブロック IIの全てのミサイルは、定期点検の機会を利用してブロック IIIへのアップグレードを受けた。
BGM-109E/F[編集]
BGM-109E/Fは、1980年代中頃に提案されたが採用されなかったプランである。BGM-109EはTASMの改良型、BGM-109Fは飛行場の攻撃に特化した型であった。
ブロック IV[編集]
1994年、ヒューズ(現レイセオン)は、ブロック IVまたはトマホーク・ベースライン改良計画(TBIP:Tomahawk Beseline Improvement Program)として知られるアップグレードの開発に着手した。
これには2つの計画が含まれており、ひとつはRGM/UGM-109E TMMM(Tomahawk Multi-Mode Missile)と呼ばれる、単一のミサイルで水上および地上の全ての目標に対応する型である。この型はエンジンを換装し、さらに、赤外線またはミリ波によるイメージング・シーカー、さらに飛行中の目標変更を可能にするデータリンクなどが提案されていた。
もう一方は、RGM/UGM-109H THTP(Tomahawk Hard Target Penetrator)と呼ばれる、防護を強化された目標に対応する強化型徹甲弾頭を備えた型である。しかしながらこの計画は、余りにも高価であることが判明したため、1996年に中止された[注 1]。
タクティカル・トマホーク[編集]
タクティカル・トマホークは、トマホークの最新発展型である。これは1998年に、計画中止されたブロックⅣのより廉価な代替案として提案され、当初はブロック Vと呼ばれていたが、後にブロック IVの名称が復活した。この計画では、生産段階におけるコストの削減が目指され、現行のTLAM-C/D(ブロック III)の半分の価格で、性能を損ねることなく調達することとされた。そのために軽量化とより安価なエンジンへの換装が行われた。
また、軽量化に伴う構造強度の低下により、潜水艦発射型は魚雷発射管からの発射ができなり、VLSから発射されることになった。2007年、魚雷発射管より発射できるタイプもテストされ、イギリス海軍はこれをトマホークBlock IVとして導入し、トラファルガー級原子力潜水艦やアスチュート級原子力潜水艦で運用されている[2]。
また、能力向上として、以下のような機軸が盛り込まれた。
- UHF周波帯の衛星リンクによる飛行中の再プログラム。これにより、事前に登録された15個までの代替目標のひとつ、または、GPSで指示される任意の座標に指向させることができるようになった。
- また、同じ衛星リンクを利用する、前方監視カメラ画像の発射母体への送信。損害評価または照準に利用することができる。
- (従来では不可能だった)搭載艦艇での飛行計画立案、具体的にはGPSを用いた目標座標指示による柔軟性の向上。
タクティカル・トマホークの試射は潜水艦発射型・水上発射型とも2002年に成功し、レイセオンと生産契約が結ばれた。2004年には、作戦可能状態に達し、実戦配備が開始された。
タクティカル・トマホークには2つのバリエーションが含まれる。RGM/UGM-109Eは、ブロック IIIと同じ軽量単弾頭を搭載し、RGM/UGM-109H TTPV(Tactical Tomahawk Penetrator Variant)は、防護強化もしくは地下の目標を攻撃する強化型徹甲弾頭を搭載する。どちらも軽量化に伴って燃料搭載量が増加し、射程が延伸した。
新型ブロック IV[編集]
海軍力を著しく増強し、A2/ADに対応した長距離対艦ミサイルの開発に取り組んでいる中国人民解放軍海軍を念頭に置いた水上艦艇攻撃力強化の一環として次世代対艦型トマホークの開発が行われており、2021年には運用に入るとみられている[3][4]。これは海軍攻撃対艦兵器(Navy’s Offensive Anti-Surface Warfare、OASuW)が運用に入るまでの繋ぎとみられており[5]、アップグレードされた通信システム、新しい多機能弾頭、マルチモードセンサスイートの挿入が計画されている[6]。センサーについては移動する目標を破壊するために新しいパッシブ・アクティブシーカーと高速プロセッサからなる統合スイートが開発されている[7]。同様の計画として、スタンダード艦対空ミサイルであるSM-6に対艦能力を付加する事も検討されている[8]。
2014年に、ソフトウェアアップグレード試験が行われており、前例のない高高度飛翔からの垂直突入や潜水艦から発射された飛行中のトマホークを別の管制センターからデータリンクで目標変更する等の試験が行われた[7]。2015年には、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「キッド」から発射された新型トマホークが、F/A-18E/Fから情報更新を受けつつ飛翔し、移動する標的艦に命中させることに成功している[9]。2016年、米国防省は対艦オプションの多様化を目標に、2017年度予算でLRASMやAARGM-ERの開発を加速させると共に、改良トマホークや対艦型SM-6への投資を重視していくと発表した[8]。他、貫通力をより高めるJMEWS(Joint Multiple Effects Warhead System)の開発計画もリスク精査を行っている段階である[7]。
要目一覧[編集]
以下の要目は実際に配備されたもののみを取り上げる。なお、いずれのタイプでも、本体サイズおよびロケットブースターは共通である。
- 本体
- 全長(ブースター除く):5.56m
- 翼幅:2.67m
- 直径:0.52m
- 速度:880km/h
- エンジン:ウィリアムズ F107-WR-400(ブロック IIまで)/ウィリアムズ F107-WR-402(ブロック III)/ウィリアムズ F415-WR-400/402(タクティカル・トマホーク)
- ブースター部分
- 型式:アトランティック・リサーチ Mk106 固体推進ロケット
- 全長:0.69m
- 直径:0.52m
- 重量:270kg
型式 | 重量 | 射程 | 弾頭 | 誘導方式 |
---|---|---|---|---|
RGM/UGM-109A TLAM-N | 1,180kg | 2,500km | 可変威力型熱核(5-200kT) | 慣性、TERCOM |
RGM/UGM-109B TASM | 460km | 通常単弾頭(454kg) | 慣性、アクティブレーダー、PF/DF(電波受聴・方位探索) | |
RGM/UGM-109C TLAM-C | 1,310kg | 1,250km(ブロック II) 1,650km(ブロック III) |
慣性、TERCOM、DSMAC (ブロック IIIはDSMACを新型に更新、GPS追加) | |
RGM/UGM-109D TLAM-D | 1,220kg | 1,250km | 子爆弾×166個 | |
RGM/UGM-109E/H タクティカル・トマホーク |
3,000km | 慣性、TERCOM、DSMAC2A、GPS、前方監視カメラ、衛星リンク |
地上発射型 / 空中発射型[編集]
トマホークには、ここまで述べてきた海洋発射型だけでなく、地上発射型および空中発射型がある。ただし、前者は既に退役し、後者は開発段階で計画中止となったため実戦配備されていない。
地上発射型 BGM-109G GLCM[編集]
1971年頃、アメリカ空軍は、MGM-13 メイスを近代的な地上発射巡航ミサイル(GLCM:Ground Launched Cruising Missile)で置換する計画を進めていた。この新ミサイルに求められていたのはTERCOMシステムによる精密誘導と小型で燃費の良いターボファンエンジンを用いることだった。
1977年、空軍は、海軍のBGM-109 トマホークSLCMの地上発射用の派生型であるBGM-109Gの開発と配備を許可し、1980年5月には最初のミサイルが試射された。このミサイルは、車両に搭載された4連装TEL(輸送起立発射機)容器内に格納されたかたちで配備された。なお、空軍ではトマホークではなく、グリフォン(グリフィン)と呼ばれた。
BGM-109Gは、1983年からヨーロッパのNATO諸国に配備されたが、1987年12月に米ソがINF全廃条約に調印すると、GLCMはまさにこの条約の規制対象であったため、1988年から撤去が開始された。1991年5月には撤去が完全に完了し、全数が保管中である。
BGM-109Gのミッションと性能は、地上から発射されることを除けば、同様に核攻撃ミッションに従事したBGM-109Aと同じである。ただし、核弾頭は別で、W84型を用いている。
空中発射型 AGM-109 MRASM(開発中止)[編集]
概要[編集]
空中発射型は中距離空対地ミサイル(MRASM:Medium-Range Air-to-Surface Missile)と呼ばれ、1970年代の海軍・空軍共同の巡航ミサイル開発計画(JCMP)のなかで開発が進められたが、最終的に中止となった。海軍・空軍のそれぞれ向けに、以下のようなバリエーションが考えられていた。
海軍用バリエーション[編集]
海軍用バリエーションは、航空母艦の弾薬エレベーターのサイズと搭載母機(A-6が予定されていた)の制約から、空軍向けのものにくらべて全長が短く、軽量だった。
- AGM-109C
- ブロック II / IIAとおなじ通常型弾頭による地上攻撃型。
- AGM-109J
- 上記の廉価版または子爆弾搭載型。
- AGM-109I
- 対地と対水上の兼用型。低価格版のTERCOMおよび赤外線イメージング方式による終端誘導のテストを行った(非公式)。
- AGM-109L
- 廉価な通常型弾頭を搭載。
空軍用バリエーション[編集]
要目一覧(MRASM、GLCM)[編集]
以下に空中発射型および地上発射型の本体要目を示す。なお、地上発射型はロケットブースターを用いるが、海洋発射型と同一のものであるので省略する。
型式 | 全長 | 直径 | 重量 | 射程 | エンジン | 弾頭 |
---|---|---|---|---|---|---|
AGM-109H/K | 5.84m | 53.1cm | 1,200kg | 2,500km | テレダインCAE J402-CA-401ターボジェット | AGM-109H:子爆弾(28個) AGM-109K:通常単弾頭(450kg) |
AGM-109L | 4.88m | 1,000kg | 不明 | 通常単弾頭(295kg) | ||
BGM-109G | 5.56m | 51.8cm | 1,200kg | 2,500km | ウイリアムズ F-107-WR-400ターボファン | 可変威力型熱核(0.2-150kT) |
LCMS-Fasthawk-[編集]
概要[編集]
LCMSは、ローコストミサイルシステム(Low Cost Missile System)の略であり、1993年3月にボーイングが、アメリカ海軍と契約し開発をおこなったものである。このプログラムは低コストの先端技術実証のデモンストレーターを開発することが目的であり、この開発ミサイルはファストホーク(Fasthawk)とも呼ばれた[10][11]。
ファストホークの呼ばれ方からも見て取れるように、海軍はこれを現在使用しているトマホークの代替用ミサイルとして開発を進めていた[11]。だが、トマホークを原型に開発されたものではなく、推進機関にはラムジェットエンジンを使用、ミサイル本体はフィンレスボディで作成され、後部のラムジェットエンジン部分を自由に曲げられることで、噴射方向を変えることができるという現在のロケット、ミサイルで使用されているTVCの先駆けともいえる技術が採用されている[10][11]。
しかし、LCMSは他の計画との選考の結果などの理由から、1999年に開発終了となった[10]。
要求されていたスペック[編集]
運用史[編集]
アメリカ合衆国[編集]
空軍[編集]
空軍はトマホークの地上発射型であり、長距離核攻撃バージョンであるBGM-109Gグリフォンを運用していた。中距離核戦力全廃条約(INF全廃条約)締結に伴い、1991年までに全て廃棄された[12][13][14]。
陸軍[編集]
陸軍は、トマホーク巡航ミサイルとSM-6艦対空ミサイル改造の攻撃型の2種類のミサイルを発射可能な中距離ミサイルシステム「MRCタイフォン」を2023年後半までに配備する予定である。[15][16]
海軍[編集]
- 1991年の湾岸戦争で、潜水艦から12発、水上艦から276発、計288発のトマホークが発射された[17]。1991年1月17日にスプルーアンス級駆逐艦「ポール・F・フォスター」 が最初のミサイルを発射、その後ロサンゼルス級原子力潜水艦「ピッツバーグ」と「ルイビル」が続いた[18][19]。
- 1993年1月17日、イラクが国連の軍縮査察団への協力を拒否したことを受け、バグダッド郊外の核関連施設ザーファラニエ工場に向けて46発のトマホークを発射した。1発のミサイルがアル・ラシード・ホテル付近に着弾し、民間人2名が死亡した[20]。
- 1993年6月26日、23発のトマホークをイラクの情報機関本部に向けて発射した[20]。
- 1995年9月10日、デリバリット・フォース作戦で、ミサイル巡洋艦「ノルマンディー」からセルビアの重要な防空無線中継塔に対して、アドリア海から13発のトマホークを発射した[21]。
- 1996年9月3日、イラク南部の防空システムの目標に向けて、艦載機からUGM-109が、B-52からAGM-86が計44発発射された[55][56]。
- 1998年8月20日、アルカイダによるアメリカ大使館爆破事件への報復として、アフガニスタンとスーダンの2つの標的にトマホーク79発を同時発射した[22]。
- 1998年12月16日、砂漠の狐作戦で、イラクの主要な標的に325発のトマホークを発射した[23]。
- 1999年のNATOによるユーゴスラビア爆撃(アライド・フォース作戦)で、ユーゴスラビアの目標に対して、アメリカ海軍艦とイギリスの潜水艦スプレンディッドから218発のトマホークを発射した[24]。
- 2001年10月、不朽の自由作戦の開始時刻に、約50発のトマホークでアフガニスタンの標的を攻撃した[25][26]。
- 2003年のイラク侵攻で、802発以上のトマホークをイラクの主要な標的に向けて発射した[27]。
- 2008年3月3日、ドブリー空爆で、アルカイダ過激派のサレハ・アリ・サレハ・ナバ 殺害を目的として、アメリカ海軍艦からトマホーク2発をソマリアの目標に発射した[28][29]。
- 2009年12月17日、イエメンの標的にトマホーク2発を発射した[30]。 TLAM-D1発はイエメンアビヤン県のアルカイダの訓練キャンプに着弾した。アムネスティ・インターナショナルは、この攻撃で民間人41人(子ども21人、女性14人、男性6人)を含む55人が死亡したと報告した。当初アメリカとイエメン政府は関与を明らかにしなかったが、のちに公開されたアメリカの外交文書では、ミサイルが米国海軍の艦船によって発射されたことが確認されている[31]。
- 2011年3月19日には、リビアトリポリとミスラタ周辺の少なくとも20の標的に対して、アメリカ軍とイギリス軍によって124発のトマホーク(アメリカ112発、イギリス12発)が発射された[32][33] [34] 。 2011年3月22日の時点で、リビアの標的に対して米英艦からUGM-109が159発発射されている[35]。
- 2014年9月23日、紅海とペルシャ湾の国際水域で活動していた「アーレイ・バーク」と「 フィリピン・シー」から、シリアのISILの標的に対して、ISKP(イスラム国ホラサン州)の標的に対して米国が47発のトマホークを発射した[36]。
- 2016年10月12日駆逐艦「メイソン」に向けて対艦ミサイルが発射されたことの報復として、同日、駆逐艦「ニッツェ」からイエメンのフーシ派支配地域にある3つのレーダーサイトに向けて、5発のトマホークを発射した[37][38]。
- 2017年4月6日、ミサイル駆逐艦「ロス」と「ポーター」から59発のトマホーク発射され、シリアホムス県にあるシェイラート空軍基地を標的とした。この攻撃は、シリアのバッシャール・アル・アサド大統領が行ったカーン・シェイクン化学兵器攻撃に対する措置である。
- 2018年4月13日、アメリカはシリアダマスカスとホムス付近の化学兵器関連施設に66発のトマホーク巡航ミサイルを発射した[39]。 これらの攻撃はドゥーマへの化学攻撃の疑いに対する報復として行われた。米国国防総省は、シリアが40発以上の地対空ミサイルを発射したが、どの目標にも命中せず、ロシアの防空システムは稼働しなかったとした[40]。 ロシア軍は、シリアが米英仏が発射した103発のミサイルのうち71発を撃墜したと述べたが、その主張を裏付ける証拠は示されていない[41]。
トマホークの発射数 | |||
---|---|---|---|
作戦 | 国 | 年月 | 発射数 |
湾岸戦争 | イラク | 1991-01-17 | 288 |
イラク攻撃 | イラク | 1993-01-17 | 46 |
イラク攻撃 | イラク | 1993-06-26 | 23 |
デリバリット・フォース作戦 | ボスニア・ヘルツェゴビナ | 1995-09-10 | 13 |
イラク攻撃 | イラク | 1996-09-03 | 44 |
インフィニット・リーチ作戦 | アフガニスタン・スーダン | 1998-08-20 | 79 |
砂漠の狐作戦 | イラク | 1998-12-16 | 325 |
アライド・フォース作戦 | ユーゴスラビア | 1999-03-24 | 218 |
不朽の自由作戦 | アフガニスタン | 2001-10-07 | 50 |
2003年イラク攻撃 | イラク | 2003-03-20 | 802 |
ドブリー空爆 | ソマリア | 2008-03-03 | 2 |
アルカイダの訓練キャンプに対する攻撃 | イエメン | 2009-12-17 | 2 |
リビア内戦 | リビア | 2011-03-19 | 124 |
生来の決意作戦 | イラク | 2014-09-23 | 47 |
イエメンフーシ派勢力に対する報復 | イエメン | 2016-10-13 | 5 |
シャイラト空軍基地攻撃 | シリア | 2017-04-06 | 59 |
2018年シリア攻撃 | シリア | 2018-04-13 | 66 |
潜水艦の魚雷発射管から発射可能という制約のもと開発されたことで、トマホークは極めてコンパクトなサイズとなり、アメリカ海軍の水上戦闘艦のかなりの部分と、スタージョン級以後のすべての攻撃型原子力潜水艦に搭載されるようになるほど普及した。また、湾岸戦争で初めて使用されて以降、シリア内戦やウクライナ戦争までの間は、世界においても、大国によって大量に使用され、かつ実戦経験のある巡航ミサイルの存在としてはほぼ希少であり、巡航ミサイルの代名詞的存在であった。
イギリス[編集]
1995年、アメリカ政府はイギリス海軍の核攻撃潜水艦のために65発のトマホークをイギリスに輸出することに同意した。最初のミサイルは1998年11月に取得され、イギリス海軍の潜水艦から試験発射が行われた。アスチュート級原子力潜水艦を含むすべてのイギリス海軍の潜水艦はトマホークの発射が可能。[42][43][44]
1999年のコソボ紛争では、スウィフトショア級攻撃原潜「スプレンディッド」が実戦ではイギリスの潜水艦として初めてトマホークを発射した。
2004年4月、イギリスとアメリカ両政府は、イギリスがブロックⅣ(タクティカル・トマホーク)を64発購入することで合意した。[45]2008年3月27日、当初の予定より3ヶ月早く運用を開始した。[46]さらに2014年7月、アメリカ政府は追加となるブッロクⅣを65発イギリスに売却することを承認した。[47]
2022年6月、イギリスはアメリカ政府と2億6500万ポンドの契約を締結し、トマホークミサイルをブロックⅤに改修すると発表。改修開始は2024年を予定している。[48]
カナダ[編集]
2020年にカナダ海軍が発表したインフォグラフィックによると、計画中のフリゲート(CSC計画艦)にトマホークミサイルを搭載する予定である。[49]
オーストラリア[編集]
2021年9月、オーストラリアのモリソン首相は、オーストラリアがホバート級駆逐艦に搭載するためトマホークを購入することを発表した。[50]
日本のトマホーク導入に関する検討[編集]
2004年の16大綱『中期防衛力整備計画 (2005)』策定時に、海上自衛隊は先制攻撃のためにトマホークの取得を要求していた[51][52]ほか、新大綱策定のために防衛庁に設置された「防衛力の在り方検討会議」でまとめられた論点整理において、弾道ミサイルに対処するための敵基地攻撃について「引き続き米軍に委ねつつ、日本も侵略事態の未然防止のため、能力の保有を検討する」として、ハープーン ブロックIIや軽空母と共に、トマホークの導入が検討対象に入っていた[53]。
2013年、日本国政府は25大綱『中期防衛力整備計画 (2014)』に敵基地攻撃能力を含む「弾道ミサイル発射手段等に対する対応能力」の検討が盛り込まれたことを受けてアメリカ政府にトマホークの購入を非公式に打診したが、アメリカ政府から「売却しない」との方針が伝えられ実現しなかった[54]。2022年10月28日付けの読売新聞によれば、当時のオバマ政権は中国や韓国の反発への懸念や、日本の機密情報の保全に対して不信感があったため、日本へのトマホークの販売に難色を示したとされる[55]。
2020年10月13日、自由民主党国防議員連盟は「敵基地反撃能力(ミサイル阻止能力)のアセット」をテーマに勉強会を実施し、村川豊元海上幕僚長からヒアリングを行った。村川元海幕長は「現状、5年以内の脅威としてとらえるならば、現在保有している装備品を活用すべきであり、トマホークの導入が有効であると考える」と発言し、「イージス艦等に発射装置を付加すれば使用可能であり、呉からなら北京、佐世保からであれば、更に南の広域までを射程範囲とすることができる。発射装置のVLSは弾の充填状況を外見から判断できないため、どこにどれだけ充填しているか知られることはない。大量の武器を運ぶことが可能であり、遠くから攻撃できる艦艇をミサイルプラットフォームとして敵基地攻撃能力を有することは実現可能で合理的な選択である」と提言していた[56]。また、同年10月16日には杉本正彦元海上幕僚長からもヒアリングを行っており、杉本元海幕長も村川元海幕長と同様に「VLSとトマホークによって、抑止力を向上させることが重要である」としていた[57]。
2022年10月28日付けの産経新聞は、日本国政府は反撃能力として使用することも念頭に開発を進めている国産の「12式地対艦誘導弾能力向上型」の運用開始が前倒しを図っても2026年度(令和8年度)以降となることから[54]、トマホークの導入を検討し、アメリカ政府に打診したと報じた[54]。中国の台頭など以前とは情勢が異なることから、アメリカ政府は日本の反撃能力保有に理解を示しているため、実現する可能性があるとしている[54]。また、同日付けの朝日新聞によれば、防衛省は国産ミサイルの長射程化を進めているが、本格的に運用を始めるまで時間がかかると判断し、実績のあるトマホークの導入に動いたとされ、トマホークが搭載できるように海上自衛隊のイージス艦の改修を検討していると報じている[58]。ほか、同日付けの読売新聞は、トマホークの導入は2022年8月に就任した浜田靖一防衛相が決断してアメリカ側との交渉を進め、アメリカ国防総省は同盟国との協力などで抑止力を高める「統合抑止」を重視する立場からおおむね了承し、アメリカ政府内で最終調整が行われている段階であり、日本国政府は海上自衛隊のイージス艦の迎撃ミサイル用の垂直発射装置を改修してトマホークを搭載することを想定していると報じている[55]。同新聞によれば、アメリカ政府が日本へのトマホークの売却に前向きな姿勢を見せているのは、安全保障関連法や特定秘密保護法などの制定により日本へのアメリカ政府の信頼度が高まったことや、バイデン政権が日本の打撃力向上に期待を寄せていることが挙げられている[55]。
2022年10月29日付けの読売新聞は、日本国政府は長射程ミサイルを発射可能な潜水艦の保有に向け、技術的課題を検証する「実験艦」を新造する方向で調整に入ったと報じた。次期防衛大綱に開発方針を盛り込む方針であり、実験艦は2024年度に設計に着手し、数年かけて建造する計画だとされる。トマホークの搭載を視野に入れており、ミサイル発射方式は、胴体からの垂直発射と、魚雷発射管からの水平方向への発射の両案を検討する。地上目標を攻撃可能な長射程ミサイルの発射機材は車両や水上艦、航空機を念頭に置いていたが、相手に反撃を警戒させ、抑止力を高めるには、より秘匿性の高い潜水艦を選択肢に加える必要があると判断したとされ、実験艦での試験後、10年以内に実用艦の導入を最終判断するという[59]。
2022年12月16日に閣議決定された防衛力整備計画において、トマホークの導入は「米国製のトマホークを始めとする外国製スタンド・オフ・ミサイルの着実な導入を実施・継続する」と明記されたほか、新聞報道にあった長射程ミサイルを発射可能な潜水艦の保有も「スタンド・オフ・ミサイルの運用能力向上を目的として、潜水艦に搭載可能な垂直ミサイル発射システム(VLS)、輸送機搭載システム等を開発・整備する」「水中優勢獲得のための能力強化として、潜水艦(SS)に垂直ミサイル発射システム(VLS)を搭載し、スタンド・オフ・ミサイルを搭載可能とする垂直発射型ミサイル搭載潜水艦の取得を目指し開発する」と明記された[60]。その後、防衛装備庁は2023年3月13日に「潜水艦用垂直誘導弾発射システムに関する技術検討役務」を公告した[61]。
海上自衛隊元潜水艦隊司令官の小林正男元海将は潜水艦からの巡航ミサイル発射方式について、魚雷管発射方式では万が一敵潜水艦等が出現した場合に備えて反撃用の魚雷を2発、最低でも1発は保有しておく必要があるため、発射できる巡航ミサイルの弾数は4発か5発に限定される。通常弾頭でこの弾数ではあまりにも少ないため複数回の発射が必要となるが、巡航ミサイル発射の際に魚雷発射管から海水を排水して次の巡航ミサイルを装填するのに相当の時間がかかることや、敵の対潜哨戒機等により再度の巡航ミサイル発射時の炎や大量の煙を探知される危険があると指摘し、魚雷管発射方式に否定的である。そのため小林元海将は垂直発射管方式を推しており、潜水艦に巡航ミサイルを同時に6発程度格納できる大型垂直発射管を3基か4基装備して、ある程度有効な数の巡航ミサイル(18発から24発)を同時に発射すれば、速やかに現場海域を離れることが可能であると指摘している。また、垂直発射管であれば射程や速力などに新たな要求が生じて搭載ミサイルのサイズが拡大しても、サイズ変更に対応可能であるとしている[62]。
運用国[編集]
現在の運用国[編集]
調達予定国[編集]
登場作品[編集]
映画[編集]
- 『シン・ゴジラ』
- 終盤の「ヤシオリ作戦」を支援する架空のアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「ヒューイ」に搭載されたものが、ゴジラの動きを封じるため、グラントウキョウなどの東京駅周辺の高層ビル群に向けて発射される。
- 『沈黙の戦艦』
- アイオワ級戦艦「ミズーリ」を乗っ取ったテロリストたちが、搭載されていた核弾頭搭載型トマホークをブラック・マーケットに売り飛ばそうとする。終盤では、主人公のケイシー・ライバックたちに計画を邪魔されたことで堪忍袋の緒が切れたテロリストのリーダーによって、核弾頭搭載型2発がホノルルに向けて発射されてしまう。
- 『トップガン マーヴェリック』
- タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦から多数が発射され、敵空軍基地を先制破壊する。
- 『バトルシップ』
- アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「ジョン・ポール・ジョーンズ」に搭載されたものが、エイリアンの侵略兵器に対して使用される。エイリアンの電波妨害によってレーダーやGPSが使えなくなったため、まっすぐ飛翔させることしかできなくなったが、津波ブイによって判明した目標の位置から未来位置を予測することで命中させることに成功する。
- 『ミッドナイト・イーグル』
- 核爆弾に近づく某国工作員たちを殲滅するため、日本国政府からの要請で、日本海にいる架空のロサンゼルス級原子力潜水艦「セント・バージニア」に搭載されたものが、日本アルプスに向けて発射される。
- 『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』
アニメ・漫画[編集]
- 『こちら葛飾区亀有公園前派出所』
- TVスペシャル「大ハード!両津勘吉は二度死ぬ」にて、ドルフィン刑事が使用する。
- 『ジパング』
- 第二次世界大戦時へタイムスリップした架空のイージス護衛艦「みらい」の搭載兵器として、BGM-109Bが登場。空母「ワスプ」と大和型戦艦「大和」に対して使用される。
- 『戦海の剣-死闘-』
- 海上自衛隊の架空潜水艦「くろしお」の搭載兵器として登場。空母「剣」や日本各地のコンビナート、都市に対して使用される。
- 『タイドライン・ブルー』
- 架空の戦略型原子力潜水艦「ユリシーズ」の搭載兵器として登場。ヤビツに対する攻撃に使用される。
- 『沈黙の艦隊』
- 第150話にて、架空のタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦「サン・シャントン」に搭載されたものが、日本の野党「鏡水会」党首と会談するため北極海に浮上する、原子力潜水艦「やまと」に対して使用するため、Mk.13に装填される。
- なお、実際のタイコンデロガ級はMk.13を装備しておらず、また、Mk.13でトマホークを運用することはできない。
- 『東のエデン』
- あたご型護衛艦の搭載兵器として登場。「60発のミサイル事件」において、あたご型4隻から日本の主要政令都市に向けて合計60発が発射されるが、航空自衛隊の地対空誘導弾ペトリオットやF-15Jによる迎撃で全弾撃墜された。
- 『魔法少女まどか☆マギカ』
- TV放送版第11話・劇場版後編にて、暁美ほむらが使用する[注 2]。
- 『まりかセヴン』
- 第14話で在日米軍が怪獣ガライバに対して相模湾から発射し、同時に出撃させた大量のMQ-1 プレデターとの併用で物量攻撃を仕掛けるが、岩石のような硬い皮膚を持つガライバには効かず反って怒らせてしまう。最終的には田子ノ浦の発案で怒ったことにより急激に上がった体温を湖で急激に冷やされ、皮膚が脆くなったところを第2陣で撃破した。
- 『ルパン三世 ナポレオンの辞書を奪え』
- ルパン一味を攻撃するCIAや多国籍軍が使用する。作中では、次元大介が性能について解説する場面があり、軍艦だけでなく車両に搭載されたランチャーからも発射されている。
小説[編集]
- 『ミッドナイトイーグル』
- 上記の映画『ミッドナイト・イーグル』の原作小説。架空型「BGM-109X」が登場。日本アルプスに墜落した架空の米軍爆撃機B-3Aミッドナイトイーグルに近づく工作員たちを殲滅するため、日本国政府からの要請で、日本海にいるロサンゼルス級原子力潜水艦「SSN-721 シカゴ」に搭載されたものが発射される。
- 『ルーントルーパーズ 自衛隊漂流戦記』
- 異世界へ飛ばされた架空のイージス護衛艦「いぶき」に搭載されていた極秘兵器として、タクティカル・トマホークが登場。内陸にある魔法陣地への攻撃に使用される。
ゲーム[編集]
- 『Modern Warships』
- プレイヤーが使用できる武装として登場。
- 『バトルフィールド4』
- 司令官モードのコマンドとして、指定座標にトマホークを発射できる。
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ なお、「BGM-109E」という制式名称は、1980年代に開発中止になったヴァリアントに次いで2度目の利用である。さらに、タクティカル・トマホークでは109Hの制式名称も再利用されるため、混乱しないよう注意を要する。
- ^ 『魔法少女まどか☆マギカ公式ガイドブック you are not alone.』 P.112-113より。ただし、実際のランチャーの形状は実物とは異なる。
出典[編集]
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- ^ Royal Navy Submarine Test Fires Block IV Tactical Tomahawk
- ^ Video: Tomahawk Strike Missile Punches Hole Through Moving Maritime Target
- ^ WEST: U.S. Navy Anti-Ship Tomahawk Set for Surface Ships, Subs Starting in 2021
- ^ Navy: Raytheon Tomahawk Likely to Compete in Next Generation Anti-Ship Missile Contest
- ^ Raytheon Working on Tomahawk With Seeker
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- ^ “[https://web.archive.org/web/20060217213553/http://www.hill.af.mil/museum/photos/coldwar/bgm-109.htm General Dynamics/McDonnell Douglas BGM-109G "Gryphon" Ground-launched Cruise Missile S/N 280]”. Hill Aerospace Museum. 2006年2月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月12日閲覧。
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- ^ 小林 2023, p. 135.
参考文献[編集]
- 小林正男「明日を担う自衛艦の動向 潜水艦 (特集 海上自衛隊 2023)」『世界の艦船』第987号、海人社、132-135頁、2023年1月。ASIN B009YZYKM6。
関連項目[編集]
- トマホーク武器システム - トマホーク・ミサイルを主要なサブシステムとする武器システム
- 中距離核戦力全廃条約
- アメリカ合衆国のミサイル一覧
- ロサンゼルス級原子力潜水艦 - 後期建造艦はトマホーク用VLSを装備
- 改オハイオ級原子力潜水艦 - 初期建造艦4隻が、トマホークを運用する巡航ミサイル原潜に改装
- 巡航ミサイル潜水艦
外部リンク[編集]
- Raytheon Company: Products & Services: tomahawk - 現在の主契約者レイセオンの公式サイト。
- BGM-109 Tomahawk - GlobalSecurity.org内の解説記事。