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ロックンロール・エクスプレス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ザ・ロックンロール・エクスプレス
 
モートン(左)&ギブソン(右)
(1985年)
タッグチーム
メンバー リッキー・モートン
ロバート・ギブソン
名称
  • ザ・ロックンロール・エクスプレス
デビュー 1983年
団体

ザ・ロックンロール・エクスプレスThe Rock 'n' Roll Express)は、プロレスラーリッキー・モートンロバート・ギブソンによって結成されたプロレスタッグチームである。1980年代を絶頂期に活躍したアイドル系タッグチームの代表的存在であり、ティーンエイジャーの少女たちから熱狂的な人気を獲得した[1]

後進のタッグチームにも多大な影響を与え、ショーン・マイケルズマーティ・ジャネッティザ・ロッカーズをはじめ、数々のフォロワーやイミテーションを生み出した。

メンバー

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両選手ともレスラーとしては小柄で軽量だったものの、機動力を活かした空中技と合体攻撃を武器に、大型のタッグチームとも好勝負を繰り広げた。なお、モートンとリッキー・フジ1997年FMWニュー・ロックンロール・エクスプレスを、ギブソンとマーティ・ジャネッティ2004年IWAジャパンロックン・ロッカーズを一時的に結成しており、モートンの従兄弟のトッド・モートンも含め、彼らがサブメンバーとしてカウントされる場合もある。

来歴

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ミッドサウス時代

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1983年、当時テネシー州メンフィスCWAにてアイドル人気を博していたファビュラス・ワンズスティーブ・カーン&スタン・レーン)に次ぐ第2のチームとして、CWAブッカーのジェリー・ローラーの発案によって結成された[2]。モートンとギブソンは1970年代末からCWAで活動しており、結成以前の1981年にはトミー・リッチ&ビル・ダンディーからCWA世界タッグ王座を奪取したこともある[2][3]

本格的なタッグ結成にあたり、チーム名はリッキー&ロバートの頭文字 "R&R" と音楽の"Rock & Roll" のダブルミーニングからロックンロール・エクスプレスと名付けられ、グラム・メタル系のコスチュームと空中戦主体のスピーディーな試合スタイルをセールスポイントに売り出された。CWAではランディ・サベージラニー・ポッフォの兄弟チームやジミー・ハート率いるブルーズ・ブラザーズ(ポークチョップ・キャッシュ&トロイ・グラハム)、覆面タッグチームのザ・グラップラーズ(レン・デントン&トニー・アンソニー)などと抗争。AWA南部タッグ王座も2回獲得したが[4]、先達のファビュラス・ワンズが健在だったこともあり、大きな活躍を果たすには至らなかった。

1984年、ミッドサウス地区の団体間における選手トレードにより、ビル・ワットの主宰するルイジアナのMSWAに移籍。同じくCWAからトレードされたボビー・イートンデニス・コンドリーミッドナイト・エクスプレスとのミッドサウス・タッグ王座を巡る抗争劇が人気を呼び[5]、新世代のタッグチームとして注目を集めることになる。MSWAではテッド・デビアススティーブ・ウィリアムスヘラクレス・ヘルナンデスの大型ユニットともミッドサウス・タッグ王座を争った[6][7]

ジム・クロケット・プロモーションズ

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ギブソン(左)&モートン(右)
(1987年)

1985年下期より、ジム・クロケット・ジュニアの運営するNWAミッドアトランティック地区(ジム・クロケット・プロモーションズ)に移籍。7月9日のノースカロライナ州シェルビーにおけるデビュー戦でイワン・コロフ&クラッシャー・クルスチェフを破り、参戦早々にNWA世界タッグ王座を獲得[8][9]。以降、同地区のタッグマッチ戦線においてロード・ウォリアーズと並ぶベビーフェイス陣営の要となる。主に男性層の人気を集めていたウォリアーズに対し、女性や子供の観客からの絶大な支持に支えられ[1]1986年には専門誌『プロレスリング・イラストレーテッド』の "Tag Team of the Year" を受賞するなど[2]1980年代を代表するデュオとして成功を掴んだ。

年間最大のイベントである『スターケード』には1985年の第3回大会から3年連続で出場し、ザ・ラシアンズ(イワン&ニキタ・コロフ)、ミネソタ・レッキング・クルーオレイ&アーン・アンダーソン)、そして因縁のミッドナイト・エクスプレスと激闘を展開[2]リック・フレアー率いるフォー・ホースメンとも抗争し、それぞれフレアーのNWA世界ヘビー級王座に挑戦している[10]

1987年4月に開催されたタッグチーム・トーナメント "Crockett Cup" では、日本から遠征してきたジャイアント馬場高木功のチームと準々決勝で対戦[2]。翌1988年5月には、全日本プロレスの『スーパー・パワー・シリーズ』前半戦への特別参加で初来日が実現[11]。初戦の土浦市大会ではタイガーマスク&仲野信市から勝利を収めた[12]。同年秋の『ジャイアント・シリーズ』への再来日では、シリーズ最終戦の10月28日に横浜文化体育館において、サムソン冬木川田利明フットルースが保持していたアジアタッグ王座に挑戦した[13]

末期AWA〜初期WCW

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1988年にジム・クロケット・プロモーションズを離脱し、フリーランサーとなって末期のAWAに出場。ナスティ・ボーイズブライアン・ノッブス&ジェリー・サッグス)やバッド・カンパニー(ポール・ダイヤモンド&パット・タナカ)と対戦した[14]1989年2月12日には、カンザスシティWWAが全日本プロレスと合同で開催したイベント "International Bash" に参加、ブリティッシュ・ブルドッグスダイナマイト・キッド&デイビーボーイ・スミス)とのドリームマッチが行われた[15]

その後は古巣のCWAを経て1990年テッド・ターナーのクロケット・プロ買収により発足した初期のWCWに登場。ファビュラス・フリーバーズマイケル・ヘイズ&ジミー・ガービン)やドゥーム(ブッチ・リード&ロン・シモンズ)と対戦したが、当時のWCWはリックスコットスタイナー・ブラザーズなど新しいベビーフェイスのチームが台頭しており、ロックンロール・エクスプレスはミッドカードに降格。ギブソンは一時戦線を離脱し、モートンはトミー・リッチダスティン・ローデスと新コンビを組むが、1991年6月よりヒールに転向し、女性マネージャーのアレキサンドラ・ヨーク率いるヨーク・ファウンデーションに加入[16]。復帰したギブソンとの因縁の対決をスタートさせた。

SMW〜USWA

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WCW離脱後の1992年ジム・コルネットが設立したテネシー州ノックスビルのスモーキー・マウンテン・レスリング(SMW)にてチームを再結成。スタン・レーントム・プリチャードのヘブンリー・ボディーズとSMWタッグ王座を巡る抗争を繰り広げた。1993年11月24日には、当時SMWと提携していたWWFサバイバー・シリーズ1993にゲスト出場し、第2期ヘブンリー・ボディーズ(プリチャード&ジミー・デル・レイ)と王座戦を行っている。SMWタッグ王座には1994年末まで10回に渡って戴冠しており[17]、挑戦者チームには後にECWで活躍するニュー・ジャックムスタファ・サイードのギャングスターズや、アル・スノーユナボムのダイナミック・デュオなどがいた。

また、1994年から1995年にかけてはSMWでの活動と並行して、CWAの後継団体であるUSWAにも参戦。ブルーズ・ブラザーズザ・ムーンドッグス、PG-13(J・C・アイス&ウルフィー・D)などのチームとUSWA世界タッグ王座を争い[18]、1995年4月11日に行われた復活版NWA世界タッグ王座の争奪トーナメントでは、決勝でディック・マードック&ランディ・ローズを破りチャンピオン・チームとなっている[19]1996年5月にはFMWに来日、彼らの影響下にあったリッキー・フジともトリオを組んだ[20]

WWF〜解散

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1996年はWCWに復帰したがジョバーのポジションに甘んじ、1998年1月よりWWFに登場。当時WWFのブッカーを担当していたコルネットの「NWA対WWF」というアングルのもと、ジェフ・ジャレットバリー・ウインダムとヒールのユニットを結成、NWA世界タッグ王座の防衛戦も行った[21]

このアングルは不発に終わり、フェイスターンしてボンバスティック・ボブ&ボディシャス・バートのニュー・ミッドナイト・エクスプレスと抗争するも観客の反応は鈍く、5月いっぱいでWWFを離脱[2]。その後はWCWへの単発出場を経てコンビを一旦解消し、以降はフリーランスのシングル・プレイヤーとして各々活動した。

リユニオン

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2000年代に入ってモートンとギブソンはロックンロール・エクスプレスを再結成しており、2003年にはTNAに登場。2004年からは本格的にリユニオン・ツアーを開始し、各地のインディー団体に出場している。2005年1月29日の "WrestleReunion" では、同じく往年のアイドル系タッグチームだったザ・ファンタスティックスボビー・フルトン&トミー・ロジャース)とカルテットを組み、双方にとっての宿敵ミッドナイト・エクスプレス(コンドリー、イートン、レーン)と対戦した[22]2008年6月7日にジョージア州アトランタで行われた "NWA Anniversary Show" では、モートン&ギブソン対コンドリー&イートンという1980年代の黄金カードが再現された[23]

モートン(左)&ギブソン(右)
(2012年)

それぞれセミリタイアの状態ながら、2010年代も精力的にリングに上がっており、2010年4月10日には、かつて主戦場としていたクロケット・プロのブランドネームと同名義のインディー団体 "Mid-Atlantic Championship Wrestling" において、バフ・バグウェル&リッキー・ネルソンからタッグ王座を奪取している[2]2013年8月3日にはトリビュート・イベントの "Mid-Atlantic Wrestling Legends Fanfest" に出場し、ディーロ・ブラウン&ルーク・ギャローズに勝利[24]2015年1月10日にはサウスカロライナのビッグタイム・レスリングにて、NWA時代の盟友リッキー・スティムボートジミー・バリアントセコンドに迎え、ローズ&プリチャード(セコンドはコルネット&イートン)を下した[25]

2017年2月、WWE殿堂に迎えられることが発表された[26]。3月31日にフロリダ州オーランドアムウェイ・センターで行われた殿堂入り式典では、コルネットがインダクターを務めた[27]

合体攻撃

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獲得タイトル

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コンチネンタル・レスリング・アソシエーション
  • AWA南部タッグ王座:2回[4]
  • CWAタッグ王座:1回[28]
  • CWA世界タッグ王座:1回[2]
ミッドサウス・レスリング・アソシエーション
  • ミッドサウス・タッグ王座:3回[6]
ミッドアトランティック・チャンピオンシップ・レスリング
スモーキー・マウンテン・レスリング
  • SMWタッグ王座:10回[17]
ユナイテッド・ステーツ・レスリング・アソシエーション
  • USWA世界タッグ王座:2回[18]
ナショナル・レスリング・アライアンス
ミッドアトランティック・チャンピオンシップ・レスリング(インディー)
  • MACWタッグ王座:1回[2]
トラディショナル・チャンピオンシップ・レスリング
  • TCWタッグ王座:1回[2]
ワールド・レスリング・エンターテインメント

影響下のタッグチーム

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脚注

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  1. ^ a b リック・フレアー、キース・エリオット・グリーンバーグ共著『リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン』P225-226(2004年、エンターブレインISBN 4757721536
  2. ^ a b c d e f g h i j Rock 'n' Roll Express”. Online World of Wrestling. 2010年9月13日閲覧。
  3. ^ Ricky Morton & Robert Gibson The Early Years”. The Official Rock and Roll Express Fan Website. 2010年9月13日閲覧。
  4. ^ a b AWA Southern Tag Team Title”. Wrestling-Titles.com. 2010年9月13日閲覧。
  5. ^ Jim Cornette Biography”. Jim Cornette.com. 2010年9月13日閲覧。
  6. ^ a b Mid-South Tag Team Title”. Wrestling-Titles.com. 2010年9月13日閲覧。
  7. ^ Rock 'n' Roll Express 1984”. The Official Rock and Roll Express Fan Website. 2010年9月13日閲覧。
  8. ^ Rock 'n' Roll Express 1985”. The Official Rock and Roll Express Fan Website. 2010年9月13日閲覧。
  9. ^ a b NWA World Tag Team Title”. Wrestling-Titles.com. 2015年10月24日閲覧。
  10. ^ The Records of NWA World Heavyweight Championship Matches 1986”. Wrestling-Titles.com. 2010年9月13日閲覧。
  11. ^ 『全日本プロレス 来日外国人選手 PERFECTカタログ』P47(2002年、日本スポーツ出版社
  12. ^ AJPW Super Power Series 1988 - Tag 1”. Cagematch.net. 2024年1月2日閲覧。
  13. ^ AJPW Giant Series 1988 - Tag 19”. Cagematch.net. 2022年5月6日閲覧。
  14. ^ Rock 'n' Roll Express 1988”. The Official Rock and Roll Express Fan Website. 2010年9月13日閲覧。
  15. ^ WWA International Bash”. Cagematch.net. 2023年11月11日閲覧。
  16. ^ Rock 'n' Roll Express 1991”. The Official Rock and Roll Express Fan Website. 2010年9月13日閲覧。
  17. ^ a b Smoky Mountain Wrestling Tag Team Title”. Wrestling-Titles.com. 2010年9月13日閲覧。
  18. ^ a b USWA World Tag Team Title”. Wrestling-Titles.com. 2015年10月24日閲覧。
  19. ^ a b Revived NWA World Tag Team Title”. Wrestling-Titles.com. 2010年9月13日閲覧。
  20. ^ The FMW matches fought by Ricky Morton in 1996”. Wrestlingdata.com. 2015年10月25日閲覧。
  21. ^ Rock 'n' Roll Express 1994-98”. The Official Rock and Roll Express Fan Website. 2010年9月13日閲覧。
  22. ^ WrestleReunion”. Cagematch.net. 2023年9月16日閲覧。
  23. ^ NWA 60th Anniversary Show”. Cagematch.net. 2010年9月13日閲覧。
  24. ^ Mid-Atlantic Wrestling Legends Fanfest - Tag 1”. Cagematch.net. 2015年10月24日閲覧。
  25. ^ Big Time Wrestling”. Cagematch.net. 2015年10月24日閲覧。
  26. ^ a b The Rock ’n’ Roll Express to be inducted into the WWE Hall of Fame”. WWE.com (February 6, 2017). 2017年2月23日閲覧。
  27. ^ The Rock ‘n’ Roll Express ride high into Hall of Fame glory”. WWE.com (March 31, 2017). 2017年4月1日閲覧。
  28. ^ CWA Tag Team Title”. Wrestling-Titles.com. 2015年10月24日閲覧。
  29. ^ National Wrestling Alliance Hall of Fame”. Wrestling-Titles.com. 2017年4月1日閲覧。
  30. ^ Rockers”. Online World of Wrestling. 2023年6月23日閲覧。
  31. ^ Well Dunn”. Online World of Wrestling. 2023年6月23日閲覧。
  32. ^ Rock’n’Roll RPMs”. Online World of Wrestling. 2023年6月23日閲覧。
  33. ^ Dynamic Dudes”. Online World of Wrestling. 2023年6月23日閲覧。

外部リンク

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