タタ・グループ

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本社ビル
ナノ自動車

タタ・グループ英語: Tata Groupヒンディー語: टाटाタタ財閥とも)は、インド西部、マハーラーシュトラ州の州都ムンバイを拠点とするインドの企業グループである。

ビルラリライアンスと並び、インド3大財閥(インドの財閥参照)のひとつであり、サブグループに分かれていない単一の財閥としてはインド最大である。インドにおける産業や商業に幅広く関与しており、ほとんどの領域で上位の勢力になっている[1]。現在、会長を務めるのはラタン・タタ

ラタン・タタは2012年12月28日、副会長のサイラス・ミストリー氏(44)に各社の会長を譲ったが、慈善団体の長はそのままである。

構成企業100社、人員45万人、2012年3月期売上高4.7兆ルピー(7.2兆円)。車(タタ・モータース)、鉄(タタ製鉄)、IT、電力で売り上げの8割を占める。

概要[編集]

インド最大の財閥であり、ペルシア一帯(現在のイラン)からインドに渡ってきたパールシーゾロアスター教徒)の子孫であるジャムシェトジー・タタ1839年-1904年)が、1868年にボンベイ(ムンバイ)で設立した綿貿易会社をその始まりとする。1870年代には綿紡績工場を建ててインド有数の民族資本家となった。彼は大きな製鉄所、世界的な教育機関、大ホテル、水力発電所をインドに建設することを夢見たが、そのうち生前に実現したのは1903年に建てられたタージマハル・ホテルのみであった。しかし彼の残した構想は、タタ・スチールインド理科大学院タージ・ホテルズ・リゾーツ&パレスタタ・パワー英語版として結実した。

彼の後継者らは植民地下において、また独立後のインドにおいて次々と業容を拡大した。経済だけではなく、政治的にも大きな影響力を持ち、綿紡績、鉄鋼、電力、金融、不動産、自動車(商用車の国内シェアは5割以上)食品、レジャー、通信、IT、小売、持ち株会社タタ・サンズ、タタ・インダストリーズを通して、7つの本業セクターで91の会社を経営している。

おもなグループ企業には、自動車メーカーのタタ・モーターズ、製鉄会社のタタ・スチール、電力会社のタタ・パワー英語版、ソフトウェア会社のタタ・コンサルタンシー・サービシズ (TCS)、紅茶を製造・販売するタタ・ティー英語版などがある。2006年の連結売上高は288億ドル(約3兆円)であり、インドのGDPの約3.2%に相当した。従業員数は、2006年時点で約29万人。

タタグループは積極的なM&A(合併・買収)で事業分野や規模拡大を進めている。グループ中核企業のひとつ、タタ・スチールは、2007年に粗鋼生産量世界第8位の鉄鋼メーカーであったコーラス社(本社イギリス、オランダ)を買収して、世界第5位相当の規模に成長した。他に傘下のインド最大手のタタ自動車は、約27万円の超低価格自動車「ナノ」を2009年に発売し、2008年6月には米フォード・モーター傘下だった英高級車ブランドの「ジャガー」と「ランドローバー」ブランドを米フォードから23億ドルで買収している[2]

また、タタグループの移動体通信事業者であるタタ・テレサービシズ リミテッドはNTTドコモより約2500億円の出資を受け、現在はタタドコモとして事業を行っている。[3]

タタ・グループの企業倫理は厳しく、汚職の多いインドにあっては異色であり、日本企業など海外の企業がインドに進出する際にタタ・グループを提携先に選ぶ要因になっている[4]。また、パールシーの一族が経営してきたためカースト制度とも無縁で、実力主義を貫き優れた人材を出自を問わず抜擢してきた[4]。社会貢献や労働者への適正な待遇も特徴で、タタ・スチールの工場のあるジャムシェードプルでのあらゆる公共サービスの提供、1912年のタタ・スチール工場設立以来の8時間労働採用、インド国内での財団の社会福祉事業など、その方針は古く分野も多岐にわたる[4]。こうしたことからスチールをはじめとしたタタ・グループは、政府による国有化を住民の反対運動で免れ、左翼ゲリラの攻撃の対象にもならずにきた[4]

複数の慈善団体が、持ち株会社タタ・サンズの株式の66%を所有し、慈善事業と各社の統制、相続税負担の免除をしている[5]

参照[編集]

  1. ^ http://www.indokeizai.com/Z-Tata.htm
  2. ^ インド自動車大手タタ・モーターズ、ジャガーとランドローバーを買収 AFPBB 2008年6月3日
  3. ^ NTTドコモによるインド タタ・グループの株式取得について
  4. ^ a b c d タタ財閥 悩む代替わり 朝日新聞 2010.09.19
  5. ^ 「ラタン・タタ氏」アジアを拓く人 日本経済新聞2013年1月14日6面

関連項目[編集]

外部リンク[編集]