ファナック

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ファナック株式会社
FANUC Corporation
Fanuc logo.svg
FANUC LTD. Tsukuba branch.jpg
筑波支社(茨城県つくば市)[注釈 1]
種類 株式会社
市場情報
東証1部 6954 1976年11月4日上場
本社所在地

日本の旗 日本
401-0597
山梨県南都留郡忍野村忍草字古馬場3580

北緯35度26分43.8秒東経138度50分34.1秒座標: 北緯35度26分43.8秒 東経138度50分34.1秒
設立 1972年5月12日
(富士通ファナック株式会社)
業種 電気機器
事業内容 工作機械用NC装置、多関節ロボット
代表者 代表取締役社長 稲葉善治
資本金 690億1495万円
発行済株式総数 2憶3950万8317株
売上高 連結:5385億円
単独:4462億円
営業利益 連結:2218億円
単独:1898億円
純利益 連結:1388億円
単独:1202億円
純資産 連結:9853億円
単独:8955億円
総資産 連結:1兆1306億円
単独:1兆0120億円
従業員数 連結:5060人
単独:2663人
決算期 3月末日
主要子会社 FANUC Robotics Corporation
ファナックサービス株式会社 ほか
関係する人物 稲葉清右衛門(創業者)
外部リンク www.fanuc.co.jp
特記事項:各種経営指標は2012年3月期、従業員数は2011年3月
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ファナック株式会社: FANUC Corporation)は、山梨県忍野村に本社を置く、日本の電気機器メーカー。社名のFANUCはFactory automation numerical control頭字語である[1]

2011年にTOPIX Core30銘柄の一社に選ばれた、日本を代表する企業の一つである。村の山奥に本社を置く日本では珍しい大企業であり、工作機械CNC装置で世界首位、国内シェア7割、多関節ロボットでも国内首位である。古河グループに属しているが、最近では独立性が高まっている。


特徴[編集]

高シェア・高利益率企業[編集]

ファナックは、主に工作機械用NC(Numerical Control、数値制御)と産業用の多関節ロボットで群を抜く企業である。工作機械用NCにおいては世界一、約50%のシェアを有すると言われ、国内シェアは実に70%にも達する。加えて、産業用多関節ロボットでも、世界で第3位、18.4%のシェアを握る[2]。そのため、競合他社に対して圧倒的競争優位を示しており、またCNCやサーボモータなどの内製化や、自社製の産業ロボットの効率的な活用により利益率が高い。2008年3月期の連結業績をみると、売上4684億円(対前年比11.16%増)、経常利益2100億円(対前年比17.03%増)、つまり、売上高経常利益率が44.83%であり、製造業では屈指の水準である[2]

2011年度業績は好調であった。山梨県の本社工場でほぼ全量製品生産し、海外への販売比率が8割である。中国や韓国への輸出が多いが、円建て決済を取り入れているため、為替の円高も問題にしていない。2012年3月期には過去最高の利益を予想している。

技術・製品[編集]

主力製品は、工作機械用FA装置や産業用ロボット。研究開発に力を入れており、特許競争力も高い[3][4][5]

特に、工作機械用CNC(コンピューター数値制御)装置は世界首位で世界市場の半数をおさえており、特許総合力でも2位に評価されている[3]。競合はドイツシーメンス三菱電機のメルダス、安川電機のヤスナックがある。

工作機械制御の中核を成すサーボモーターとCNCを一体で販売し、NCプログラミングにおいて日本国内のGコード[注釈 2]デファクトスタンダードを押さえたことが強みとなっている。近年従来のサーボモーターによる制御からリニアモーターへ主力モーターが変化する兆しがあり、これまでの強みを維持できるかどうか注目されている[誰によって?]

産業用ロボットにおいても高い技術力を持ち[6]、アーク溶接やスポット溶接、パレタイジングに用いられる垂直多関節ロボットに強く、大型の機種も揃える。特許競争力も垂直多関節ロボットではトップの実力を持つ[5]。2005年には視覚や力覚を持つ知能ロボットを投入し[7]、セル生産システム[8][9]等も実現している。近年はパラレルロボット『ゲンコツ・ロボット』[10]を投入しており、パラレルロボットの特許競争力も総合2位に評価されている[4]

ファナック学校[編集]

NC工作機械やロボットを扱うユーザー向けのトレーニング施設「ファナック学校」を本社敷地に設置しており、以下の3つの課がある[11]

  • FA課
  • ロボット課
  • ロボマシン課

2~5日間に及ぶ多くのコースが用意されており、宿泊施設も備える。現在は名古屋支店に名古屋分校がある[11]。また、以前はファナック・ロボット学校が大分県に設置されていた[12]

曙館[編集]

1986年10月13日に昭和天皇が行幸された際の記念碑[13]、及び近代化の歴史資料が収められている[14]

特記事項[編集]

関連会社[編集]

富士通が徐々に出資比率を低下させたことにより、同社関連会社ではなくなっていたが、2009年8月にファナックによる自己株式取得に応じて富士通保有の全株式(5%)が譲渡され、完全に独立することとなった。

富士通に次いで4.43%を有していた同じく古河グループの富士電機ホールディングスも2010年5月に大量に売却し、古河グループとの関係性が薄くなった。

会社カラー[編集]

会社カラーは黄色。商品、建物、会社の作業着、社宅、独身寮、ホームページの背景、営業車から原付、社有のバス、トラック、テーブルクロス、箸袋までが黄色になっている。黄色になった由来は、富士通の1事業部時代に、事業部ごとの報告書などを区別しやすいように黄色が割り当てられたためであり、稲葉清右衛門が黄色を「皇帝の色」「気遣いの色」「注意の色」と気に入ったため、徹底されて使われるようになった[15]

また、本社の建物は国立公園内にあるため、景観の保護等の制約で一部建物は黄色でないものもある[15]

ウェブサイト閉鎖・IRへの特異的姿勢[編集]

2011年1月から7月まで、日本語版(日本法人)のウェブサイトを閉鎖し、東証1部上場で2011年3月期に連結4,462億円を売り上げた大企業として異例ともいえる状況となっていた[16]。なお、現在はウェブサイトを見ることができる。また、証券アナリストや記者を対象とした2011年3月期決算説明会を中止にした[16]。こうした情報開示に対する姿勢の変化について、会社側は理由を明らかにしていない。

役員の変動と創業者の解任[編集]

2013年、社外取締役が導入された他、若干35歳の稲葉清典が取締役に就任した[17]。また、 創業者である稲葉清右衛門相談役名誉会長が経営本部長、研究本部長、及び関連会社の代表から“解任”されるというニュースが世間を騒がせた[18]

その他[編集]

沿革[編集]

事業所[編集]

  • 本社・支社
本社(山梨県忍野村)、日野支社(東京都日野市)
  • 工場
本社工場(山梨県忍野村)、筑波工場(茨城県筑西市)、隼人工場(鹿児島県霧島市)
  • テクニカルセンタ
中央テクニカルセンタ(山梨県南都留郡忍野村)
  • 支店
北海道支店(北海道江別市)、東北支店(宮城県仙台市)、筑波支店(茨城県つくば市)、前橋支店(群馬県前橋市)、越後支店(新潟県見附市)、白山支店(石川県白山市)、大阪支店(大阪府大阪市)、中国支店(岡山県岡山市)、広島支店(広島県広島市)、九州支店(熊本県菊池郡菊陽町)
  • サービスセンタ
浦和サービスセンタ(埼玉県さいたま市)、横浜サービスセンタ(神奈川県座間市)、長野サービスセンタ(長野県茅野市)、浜松サービスセンタ(静岡県浜松市)、名古屋サービスセンタ(愛知県小牧市)、安城サービスセンタ(愛知県安城市)、富山サービスセンタ(富山県射水市)、枚方サービスセンタ(大阪府枚方市)、小倉サービスセンタ(福岡県北九州市)

主要人物[編集]

  • 稲葉清右衛門 - 社長、会長を歴任し、名誉会長。工学博士[注釈 3]。富士通制御部からの事実上の創業者[19]
  • 稲葉善治 - 稲葉清右衛門の息子(長男)で、現社長、工学博士[注釈 4]いすゞ自動車出身[20]
  • 稲葉清典 - 稲葉清右衛門の孫で、稲葉善治の息子(長男)で、現取締役[20]2013年6月に35歳と最年少で同社取締役に就任した[17]
  • 榊原伸介 - 同社ロボット研究所名誉所長、工学博士[注釈 5]。日本機械学会フェロー、日本ロボット学会フェロー。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 壁も建物も車も会社カラーの黄色。
  2. ^ NC工作機械の制御コードの事であり、ビデオ予約のGコードとは別物
  3. ^ 稲葉清右衛門 『代数演算式、補間装置と電気油圧パルスモータを主体とする工作機械の連続切削数値制御系の研究』 東京工業大学〈博士論文(乙第96号)〉、1965年7月。
  4. ^ 稲葉善治 『電動サーボ式噴出成形機に関する研究』 東京大学〈博士論文(乙第14133号)〉、1999年1月。
  5. ^ 榊原伸介 『ロボットアームの自動キャリブレーション法の研究』 東京大学〈博士論文(乙第12099号)〉、1995年2月。

出典[編集]

  1. ^ FANUC Group - website”. Fanucrobotics.de. 2010年10月21日閲覧。
  2. ^ a b 利益率44.83%、最強のBtoB企業「ファナック」の秘密を分析する Business Media
  3. ^ a b 数値制御技術 特許総合力トップ3は三菱電機、ファナック、オークマ(2012年2月24日)、2014年2月12日閲覧。
  4. ^ a b パラレルリンク型産業用ロボット 特許総合力トップ3はジェイテクト、ファナック、村田機械(2012年2月20日)、2014年2月12日閲覧。
  5. ^ a b 垂直多関節型産業用ロボット 特許総合力トップ3はファナック、安川電機、パナソニック(2012年2月14日)、2014年2月12日閲覧。
  6. ^ 小鳥利夫『ロボット制御』1998。
  7. ^ 2005
  8. ^ 森岡昌宏 (2009). “人間・ロボット協調型セル生産組立システムの開発”. 日本ロボット学会誌 27 (10): pp.1088-1091. https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jrsj&noVol=27&noIssue=10&kijiCd=27_10_1088&screenID=AF06S010. 
  9. ^ 稲葉善治、二瓶亮、田村敏功、榑林秀倫、田中康好「(事例紹介)複数台のM-430iAのビジュアルトラッキングによる高速ハンドリング」、『日本ロボット学会誌』第27巻第1号、2009年、 pp.37-38。
  10. ^ 榊原伸介 (2012). “ゲンコツ・ロボットとその適用事例”. 日本ロボット学会誌 30 (2): pp.154-156. https://www.jstage.jst.go.jp/A_PRedirectJournalInit/-char/ja/?sryCd=jrsj&noVol=30&noIssue=2&kijiCd=30_2_154&screenID=AF06S010. 
  11. ^ a b ファナック学校, 2014年1月6日閲覧
  12. ^ 稲葉肇、小島利夫「ファナック・ロボット学校」、『日本ロボット学会誌』第16巻第4号、1998年、 pp.444-446。
  13. ^ ファナックの歴史、2014年1月6日閲覧。
  14. ^ ファナック曙館、2014年1月6日閲覧。
  15. ^ a b 貫井健、1982年、p.157-160
  16. ^ a b 会社四季報2011年3集(東洋経済新報社、2011年6月)1173頁、ホームページを閉鎖したファナックの超強気経営 ダイヤモンド・オンライン2011年6月7日付。
  17. ^ a b “ファナック、35歳取締役を起用 名誉会長の孫”. 日本経済新聞. (2013年6月7日). http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD07089_X00C13A6TJ1000/ 2013年12月14日閲覧。 
  18. ^ “ファナック“大異変”カリスマついに引退 ベールに包まれた超優良企業で、創業以来の変化”. 東洋経済オンライン. (2013年12月22日). http://toyokeizai.net/articles/-/26736 2013年12月23日閲覧。 
  19. ^ 貫井健、1982年
  20. ^ a b “事業リスクは露骨な世襲人事? あの世界のリーディングカンパニーに潜む懸念”. ビジネスジャーナル. (2013年7月10日). http://biz-journal.jp/2013/07/post_2478.html 2013年12月22日閲覧。 

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]