投資信託

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
投信から転送)
移動先: 案内検索

投資信託(とうししんたく)は、多数の投資家から販売会社を通じて出資・拠出されてプールされた資金を、運用会社に属する資産運用の専門家(ファンドマネージャー、ポートフォリオマネージャー)が、株式債券金融派生商品などの金融資産、あるいは不動産などに投資するよう指図し、運用成果を投資家に分配する金融商品[1]。運用による利益・損失は投資家に帰属する。投資信託は流動性のある一項有価証券である[※ 1]。戦前から独占手段として利用されている。

広義の(投資)ファンド

  1. 組合型ファンド(投資事業組合):任意組合リミテッド・パートナーシップなど
  2. 本項の説明する投資信託
    1. 会社型投資信託:投資法人インベストメント・トラストREITなど
    2. 契約型投資信託:投信法上の投資信託[※ 2]ユニット・トラストなど

一方的な市場拡大[編集]

1907年恐慌以来、アメリカの投資信託は国際金融市場の重要なプレイヤーである。アレゲーニー・スキャンダルセントラル投信ピラミッド世界恐慌で白日に晒されたとき、そしてバーナード・コーンフェルド(Bernard Cornfeld)が最初につくったファンド・オブ・ファンズ(FOF)の破綻したとき、それは厳しく批判された。FOFが増えてゆくなか、日本では投信が証券不況の原因となった。連邦準備制度がインフレ政策をとった1970年代を除いて、2014年現在まで世界の投信残高は単調増加傾向にある[2]プラザ合意が成立してから、日本の投信残高も国民総生産の10%前後にまで増加した[3]。1990年代からボストン発のミューチュアル・ファンドが一般投資家の膨大な資金を吸い上げ、多国籍企業などへ投じている。手堅いとされてきた公社債投資信託は、2000年前後のエンロン破綻等一連の事件により元本割れした[4]フランスの投信市場も注目される。2007年現在でクレディ・アグリコルが運用資産残高の首位を維持し、国内では主にFOFとマネー・マーケット・ファンドが取引され、個人は相続税などが優遇されている保険を通して保有することが多い[5]。もっとも、個人金融資産に占める投信の割合はスウェーデンの方が高い(26.1%)。世界金融危機では、資産構成にサブプライムローン等の劣位証券を組み込んでいた年金基金・保険会社・投信会社が損害を加入者と顧客へ転嫁した。事件の進行中も世界の投信残高は単調増加を続けた。2013年から日本では信金中央金庫が唐突に投信保有残高を増やしてきている[6]。2017年7月以降、ゆうちょ銀行が投資信託を取り扱う拠点を急ピッチで増設している[7]。ところでアベノミクスビットコインに対し寛容である。しかしビットコインから上場投資信託の認可を申請された米証券取引委員会は、2017年3月にそれを拒否した[8]

商品としての位置づけ[編集]

投資信託は、株式債券CPなどの金融商品を主体として投資をし、個別に決算をする。日本で飛ばしの流行った時代に行われたような元本保証は行われない。銀行などの普通預金定期預金よりも良い投資益が期待されるが、これは相当するリスクを取ったことに対するリスク・プレミアムを受取っていると解釈できる。特にペイオフが解禁され、低金利ゼロ金利政策)による預金での利息収入がほぼ見込めない現状では、資産運用のための一手段として注目されている。

どの程度のリスクを取ってどの程度のリターンが得られるかは、投資信託の投資対象によって千差万別である。たとえば、株式は債券よりリスクが大きく、リターンも大きいとされる。また、国内を投資対象としているものよりも、海外を投資対象としているもののほうが為替レートの影響も受けるためリスクやリターンが大きいとされる[※ 3]

いつでも購入・解約できる追加型投資信託などでは、保有する資産の評価額の変動に対応して、基準価額[※ 4]が計算されている。運用の利益は、一定期間ごとに払出される分配金の他、基準価額の値上がり益があれば、解約・売却時に受取ることができる。

信託財産の運用により大幅な収益が上がり基準価額が上昇すると、口数単位で購入する場合に購入単価が上昇し購入しづらくなるため、基準価額を下げるために受益権の再分割をすることがある[※ 5]。1999年-2000年のITバブルの頃に流行した。そこで振替制度が必要になった。すべての投資信託ファンドの受益権は、2007年1月4日より証券保管振替制度[※ 6]に移行された(有価証券のペーパーレス化)。そのため、現在は受益証券が発行されていない。

従来はある証券会社や銀行にある口座ではその会社系列のファンドしか購入できなかったが、近年の自由化と競争のため他社のファンドも購入できるようになる傾向にある[9]。たとえば預金供託金庫が比較的早くから中立的だった。

受益者がファンドを購入すると、販売した金融機関は購入手数料(フロントロード、front load)を得る。購入者がそのファンドを保有している間も、その投資信託を販売した金融機関は信託報酬の一部を受託者から間接的に受け取ることができる。信託報酬は一定率(通常年間0.2~3%程度)がファンドの純資産から日々差し引かれている。証券会社以外にも銀行などの金融機関各社がこぞって投資信託の販売に力を入れるのは、購入手数料と信託報酬間接取得分が非常に高額なためであると言われる[10]。現在の日本の投資信託では購入額の3%前後が多数だが、アメリカのミューチュアルファンドでは販売手数料を一切徴収しないノーロードファンドが一般的である。この原資も普通、ファンドの純資産である。

利点・欠点[編集]

一般に、投資信託は個別株式などに比べ一般大衆投資家にとって左段以下5点の利点があるといわれる。

損害回避のため投信設定のできない普通の投資家にとっては、右段以下5つの欠点があるといわれる。

  • タイミングをはかり辛い[※ 10]
  • 各種費用[※ 11]
  • 必ずしも高収益を期待できない[※ 12]
  • 危険分散の対価[※ 13]
  • 信託されたプロの資金運用故のジレンマ[※ 14]


分類[編集]

そもそも金融商品は私的自治の原則に従い開発されるので、市場開拓を目的に投資信託の性格もひたすら多様化する。いくらでも増える分類軸を整理すること自体には大した意味がない。しかし、投資を契約で信託するのと資本金を運用する会社の株を買うのとでは運用成果がそれぞれの場合で帰属の仕方を異にする。前者の契約型では契約内容によるし、後者の会社型では純資産を基準とする。償還自由性の違いは帰属のタイミングだけでなく、歴史的な開発勢力の違いでもある。帰属のあり方に関係が薄い用語も、実際に投信を購入するときは知っていると窓口で受ける説明が分かりやすい。

応募期間による分類[編集]

オープンファンド
買い付け停止の措置がなされた時以外は、基本的にいつでも買い付け自由。また、いつでも解約・売却も可能。追加型投資信託とも言う。基本的に、購入時に代金とは別に買付手数料を支払う必要がある。
クローズドファンド
買い付け期間が定められており、その期間が過ぎれば追加買い付けは一切出来ない。ファンドによっては解約・売却が一定期間制限されるものもある。単位型とも言う。買付手数料は購入代金に含まれているものが殆ど。

SPVの形態による分類[編集]

資金や投資先商品を保有するためのSPVの形態により、契約型と会社型に分類される。前者は信託を用いたものであり、後者は株式会社類似の法人を用いたものである。

契約型投資信託
日本の投資信託及び投資法人に関する法律に基づく投資信託英国等のユニット・トラスト (unit trust) など。
会社型投資信託
日本の投資法人や英国のインベストメント・トラスト(investment trust)、米国のミューチュアル・ファンド(mutual fund)など。

投資家が自由に償還を求めることの可否による分類[編集]

投資信託には、オープンエンド型投資信託とクローズドエンド型投資信託がある。前者は投資家がいつでも自由に償還を求めることができるものであり、後者はそれができないものである。

オープンエンド型投資信託
投資家はいつでも自由に償還を求めることができる。投資家は売却だけでなく償還によって換価を行うことができる。償還により払い戻される金額は、一般に、一口当たり純資産額(基準価額と呼ばれる)に償還口数を乗じた金額となる。米国ミューチュアル・ファンド(mutual fund)や英国等のユニット・トラストなど。
クローズドエンド型
投資家は自由に償還を求めることができない。投資家は換価を行うには売却を行うのが基本となる。売却価額と純資産額は必ずしも一致しない。上場される場合にはこのタイプが用いられる。英国のインベストメント・トラストなど。

投信法上の分類[編集]

  • 投資信託:日本法上の契約型投資信託
    • 委託者指図型投資信託:委託者の指図により資産運用が行われるもの。「委託者」、「受託者」、「受益者」の三者で構成される。信託財産の運用は委託者である投資信託会社が受託者である信託銀行に株式売買等の運用の指図を行う。
      • 証券投資信託:主として第一項有価証券への投資がなされるもの。投資信託財産の総額2分の1を超える額を有価証券に対する投資として運用することを目的とする委託者指図型投資信託。
    • 委託者非指図型投資信託:委託者の指図によらずに受託者(又はその委託する第三者)によって資産運用が行われるもの。「委託者兼受益者」と「受託者」の二者で構成される。あらかじめ定められた1つの信託約款にもとづいて受託者である信託銀行が運用し、委託者である個々の投資家は運用の指図を行うことはできない。
  • 外国投資信託:外国法上の契約型投資信託
  • 投資法人:日本法上の会社型投資信託
  • 外国投資法人:外国法上の会社型投資信託

運用方法による分類[編集]

運用期間による分類[編集]

無期限ファンド
運用期間が定められていないもの。約款で定められた最低総資産を下回らない限り、半永久的に運用を継続する。
有限ファンド
「20**年3月31日まで」のように運用期間が定められているもの。期間満了とともに運用を終了し、預託者に対し償還が行われる。
ただし、有限といっても必ず運用を終えるとは限らず、運用成績次第では運用期間、償還日の延長が行われることも多い。

投資対象による分類[編集]

収益分配方式による分類[編集]

  • 毎月分配型
  • 年複数回分配型(2~6ヶ月に1回)
  • 年1回分配型
  • 無分配型(分配を出さずに再投資を行うことを基本とするもの)

販売手数料による分類[編集]

  • フロントロード(投信購入時に一定割合(1~5%程度)の手数料があらかじめ徴収され、実質的に元金が目減りした状態で始まるもの)
  • バックロード、エグジットロード(売却時に手数料が徴収される)
  • ノーロード(販売手数料を一切徴収しない。アメリカでは最近はノーロードファンドが一般的)

経済分析方法[編集]

投資信託にかかるコスト[編集]

投資信託は、運用を外部に委託する仕組みであるため、購入時、運用期間中、解約・買取請求時に所定の手数料(コスト)がかかる。主な手数料は下の通りである。

販売手数料
投資家が投資信託を購入する時に販売会社が徴収するもの。同じ投資信託であっても、購入金額や取り扱い金融機関により手数料額が異なる場合がある。またこれを徴収しない販売会社もあり、そのような投資信託は「ノーロードファンド」と呼ばれている。「販売」ではない分配金の自動再投資の場合は無手数料で購入できる場合がほとんどである。また、販売手数料が必要な投資信託であっても、後日手数料をキャッシュバックすることで実質的な手数料の割引や無料化を行っている販売会社もある。
信託報酬
投資信託の運用期間中、運用会社と販売会社が徴収するもの。年間の徴収率(0.5%~2%が一般的)があらかじめ定めてあり、信託財産の純資産総額から毎日差し引く形で徴収される。販売手数料と違い、所有額や販売会社による差異は生じない。基本的に、投資対象が債券より株式、日本よりも海外(特に新興国)に投資するもの、投資対象を長期に渡って保有するパッシブ型・インデックス型より投資先を頻繁に変えるアクティブ型の方が、信託報酬が高くなる傾向がある。基準価額は信託報酬を差し引いた後の価額で表示されるため、受益者が意識する事は少ない。
信託財産留保額
投資信託の売却・解約時に徴収される費用。信託財産留保額がかからないものも多く存在する。信託財産留保額は信託財産の中に残り投資信託を保有している受益者に還元されるため、販売会社や運用会社に支払う手数料ではない。これは、解約に伴い信託財産の一部である株式や債権などの原資産を売却するときの費用を信託財産から支払うことになるので、他の受益者に対する迷惑料として説明される[16]
解約手数料
ほとんどの投資信託では、解約時に手数料を徴収されることはないが、ごく一部(公社債投資信託など)の投資信託では手数料が発生する場合がある。

分配金[編集]

投資信託の分配金とは、投資信託の決算時に信託財産の一部から受益者に還元されるものである。信託財産の還元なので、定期預金の利子や株式の配当金とは性質が異なり、分配金が出るとその金額だけ基準価額が下がる。 基準価額が個別元本を上回る部分の分配金は普通分配金となり課税扱い、基準価額が個別元本を下回る場合は特別分配金(元本払戻金、元本の一部払戻しに相当する部分)として非課税扱いになる。 なお、自動再投資を選択しても普通分配金は課税され、課税後の金額が再投資される。

一般に多くの日本の個人投資家は(元本保証と)分配金にこだわり、投資信託を販売する側も分配金の多寡や予定・頻度を強調するが、特に「特別分配金(元本払戻金)」は自分で拠出した投資資産から払い戻す「タコ足配当」に他ならず、その投資資産も投資信託購入時の販売手数料と信託報酬が差し引かれた後の残金であり、拠出額から既に目減りしていることには関心を払わない傾向がある。このような分配金を再投資しても、普通分配金なら分配時点で課税され、例えて言えば銀行のATMで出金した現金をそのまま再預金するようなもので、時間外引き出しの手数料が徴収されることが普通分配金に課税されることに相当し、その分複利効果が薄れるので実質的には損をすることになる。一般に、定期的な分配金による生活費の安定した確保などが目的でなく、長期的な資産額の増大を目的とするならばむしろ分配金などなしでひたすら基準価格の上昇に注目するなど、投資の目的に応じて分配金と基準価格の値上がりを総合して評価するべきであると言われる[17][18]

日本における投資信託の歩み[編集]

日本においては、証券投資信託法が1951年に施行された。株式投信で始まった投資信託は、日本の経済成長とともに浮き沈みを繰り返しながら、成長してきた。昭和30年代には好景気を背景に、銀行預金よりはるかに高収益を得られたことから、株式投信が人気を呼び、投信の購入増加が株式の需要を喚起し、株価の上昇をもたらすという循環がみられた。1961年には公社債投信が発売され、株式や株式投信に距離をおいていた人たちにも購入層が広がった。1963年には当時大蔵大臣だった田中角栄もこれを後押し。ある証券会社の支店は懸垂幕で「銀行よさようなら、証券よこんにちは」なる文句を掲げた[19]

その後証券会社は、支店網が少ない中、一ヶ月据え置き後出し入れ自由(正確には30日未満の解約には信託財産留保金が必要)、銀行預金を上回る実質金利で一ヶ月複利などの商品性を持つことから人気商品となった中期国債ファンドといった預金類似商品の開発などにより投資信託の大衆化を図った。

その後、バブル景気には株式投信が著しく増加を示し、1989年には58兆円(公社債投信含む)に上った。しかしながら、バブル崩壊、その後の金融不安、低成長が続く中、株式投信は運用難で基準価額は低迷し、多くの投資家が損失をこうむった。1991年頃から公社債投信がじわりと増加し始めた。さらにゼロ金利政策で預貯金ではきわめてわずかの利息収入しか得られないこと、2002年の定期性預金についてのペイオフ解禁、2005年の全面解禁により大口預金者の金融資産の見直しの動きが広がり、預金者も少々のリスクは取っても少しでも高い収益を得たいという心理から、投資信託が注目されるようになった。

投資信託の選択の難しさは、評価会社へのニーズにつながり、1996年には藤沢久美によって日本初の投資信託評価会社(アイフィス(1999年にスタンダード&プアーズ社に売却))が設立される。

従来、投資信託は、リスク商品の取り扱いを禁じられていた銀行生命保険会社では販売が認められず、事実上証券会社の専売特許であった。その後、金融ビッグバンの流れで、最初期の1997年に系列の証券会社や投信運用会社が銀行の一部スペースを借りて販売窓口となる形(店舗貸し方式)で投資信託の販売が解禁された。

1998年12月から銀行窓口での投資信託販売が解禁された。これを皮切りに、銀行生命保険損害保険会社、信用金庫、信用組合、農業協同組合郵便局などが参入し、販売競争が激化している。ただ、投資信託ではないが商品性が投資信託に似た商品(変額保険変額年金保険など)を扱う日本生命のように、投信販売の取り扱いを中止する企業も現れている。

投資信託と退職者[編集]

現在、多額の金融資産を有しているのは預貯金を中心に運用していた60歳以上の人々である[20]。こうした資金を取り込むため、年金が主たる収入という生活実態に配慮し、分散投資することにより安全性に留意しつつ、毎月ないしは年金の受け取り月以外の月に分配のある商品も開発されており、これらの商品は投資信託の純資産残高の上位にランキングされている(2006年7月の純資産増加ランキングのうち、毎月分配型が8本、年6回配当型が2本入っている)。

ただし、独立系FP(ファイナンシャルプランナー)の多くは、勤労者が退職時に退職金を基に生まれて初めての投資信託購入などの投資を始める際には、事前に十分研究してから、できれば損失が所得で補える現役時代(退職以前)から、小額で始めて投資経験を積むように警告している[21][22]。理由は

  • 退職金のようにそれまでに手にしたことのない多額の金を手にして気分が高揚しているので、冷静な判断がしにくい可能性がある
  • 投資信託は安全性が高いとは言え、投資は常にリスクを伴うものであり、その仕組みや市場の傾向、投資技術などよく理解するには一定の経験が必要
  • 今まで給与振り込みなどをしており退職金も振り込まれた口座のある銀行は、退職者の財政状況(それまでの収入や金融資産額など)をよく知っており、そのような銀行の窓口で言われるままに投資信託を購入することは、退職者の利益よりも銀行の利益を優先した勧誘になる可能性がある[23]

などである。

注釈[編集]

  1. ^ 集団投資スキーム(collective investment scheme)は二項有価証券という別物に分類される。投資事業組合や、ファンドないし投資ファンドは多くの場合二項有価証券である。
  2. ^ 日本で「投資信託」を名乗るものは投資信託及び投資法人に関する法律(投信法)に基づく投資信託だけである。
  3. ^ リスクとリターンの程度を標準化した尺度の一つに、経済学ノーベル賞を受けたウィリアム・フォーサイス・シャープの開発したシャープ・レシオがある。これは、期待されるリターンから無リスク資産の利回りをマイナスし、引き受けているリスク(標準偏差)で割ったものであり、正で大きな値をもつものほど、運用が効率的であることになる。また、分母をベータリスクとするとトレイナーの測度となる。投資信託の場合、評価指数はシャープ・レシオが使われるケースが多い。
  4. ^ NAV、Net Asset Value、よく価格と誤記される。基準価額は、ファンドに組み入れられている株式や債券などの資産の時価総額を合計した純資産総額(資産-負債)を投資信託の受益権総口数で割り計算される一種の指数であり、純資産に連動しているが、後述のように分配金を配当すれば基準価格は下落し、収益を内部留保すれば上昇するものであり、「高基準価格=成績の良いファンド」と言う判断にはそぐわない。1口1円で設定された投資信託は、1万口あたりで公表されている。追加型投資信託の基準価額については、運用会社・販売会社のウェブサイトや窓口に掲示されている他、日本経済新聞朝刊(1/1-1/4と祝祭日の翌日を除く火-土曜)に全銘柄が、大手全国紙朝刊では一部銘柄が掲載されている。運用会社のサイトでは、一番情報が早く得られ、その日の内に当日の基準価額を知ることが出来る。単位型投資信託の基準価額については、購入した販売窓口(証券会社など)に問い合わせが必要である。
  5. ^ たとえば、基準価額が2万円で1:2の受益権の再分割を行った場合、基準価額が1万円になり保有口数は2倍になる。
  6. ^ ファンドの受益権の発生、消滅、移転をコンピュータシステムにて管理する
  7. ^ 投資にかかわる情報の迅速な入手およびその解析・対応行動に必要な手間隙を肩代わりしてくれる。
  8. ^ 個別株式では原則として売買単位株数が決められており、例えば時価310円の株でも1,000株が売買単位なら31万円ないと投資できない[11]が、オープン型の投資信託では端数の口数を購入(売却)可能で、例えば基準価格が1,200円なら1万円で8.333口、基準価格が1,250円に値上がりしたら同じく1万円で8口,、1,500円なら1万円で6.667口というように柔軟に購入でき、比較的小額の一定金額を定期的に拠出する長期の積立型貯蓄・投資に適しており[12]ドル・コスト平均法による危険低減とも相性が良い。さらに、個人の零細な資金では、単位株数程度を頻繁に売り買いすると証券会社の売買手数料負担が馬鹿にならなくなってくるが、投資信託ではものによっては数十万人の投資家から巨額の資金を集めて大きな単位で投資を行うので、相対的に費用が少なくてすむ。
  9. ^ 日本で上場されていない外国会社の株式などを購入するには原則としてその会社が上場している国の証券会社などに口座を持たねばならない。その口座開設のための手間や資格(居住者・非居住者など)、送金、税務処理等一切をプロへ一任できる。勉強・資金・費用・危険などの負担がなくなるだけでなく、分散投資にもなる。
  10. ^ 個別株式などが買った1分後に売れるのとは異なり、オープン型の投資信託でも毎日市場終了後に計算されるその日の基準価格が決定されるまで売買できない。また、多くのオープンエンド型ファンドでは最低保有日数(例えば30日)を定めており、これより少ない期間で売却すると罰金を課せられる。これは、短期間の売買を繰り替えされると、その支払いのための現金を常に確保しておかねばならず、多くの投資家から資金を集めて投資するという本来の目的が損なわれ、またその手続きの費用が投資資金から支払われるために投資資金が無意味に目減りして行くのを防止するためである。
  11. ^ 世の中に「タダめし(free lunch)」は存在せず、金融機関は販売手数料が入るから投資信託を販売し、運営会社・ファンドマネージャは信託報酬が入るから投資信託を運営・運用することは明らかで、これらの費用の源泉は投資家の拠出する投資資金である。投資家は、投資信託の購入に当たって、すべての商品購入と同様、その効果と費用・価格を比べて判断しなければならない。
  12. ^ 通常、投資信託を購入するのは、投資を本業としない一般大衆投資家や年金組合などの団体である(投資家の年齢や投資スタイルを基にして、個別銘柄ではなく推奨する複数の投資信託の組み合わせに投資する「投資信託の投資信託(Fund of Funds)」すなわち「複数の投資信託を組み合わせた定食型投資信託」も存在する[13])が、「プロのファンドマネージャに信託するのだから高収益だろう」と言う期待に反して、例えば市場の状況を分析するための種々のインデックスがあるが、インデックスを上回る高収益を出している投資信託はまれであり、むしろ多くの投資信託はインデックスに届かない収益しか実現できていない[14]。これは過去から証券取引委員会が指摘している事実だが、投信業界は個人投資家の運用成績と比べるべきだと反論している。
  13. ^ 危険分散とは、色々な方面に分散して投資することであり、その中の一つの投資先が大儲けになっても、他の投資先が追従しなければ全体としてその大儲けは薄まってしまうことは明らかであり、その逆に大損も薄めるのが危険分散の目的であるから当然である。
  14. ^ 一般に投資に初心者が投資を始めるときは長期の投資、例えば優良株を買って数年から10年単位で保有することを勧められる。しかし投資信託で働くプロの投資家(ファンドマネージャ)はこれができない。「信託報酬だけ受け取って何もしないでいる」という潜在的または顕在的な批判を避けるため、ファンドマネージャ(運用責任者)はデイトレーディングのような投機的売買を実行する傾向があると言われる。投資対象の売買に関わる費用は投資家から集めた運用資金から拠出され、結果的にその投資信託の基準価格を押し下げる。投資信託の中には、積極的な(短期売買が多い)運用を表明する「アクティブ型」と消極的運用(長期保有傾向)を表明する「パッシブ型」を標榜するものがあり、一見「アクティブ型」の方が高収益を期待できるように感じられるが、実態は同じ分野の投資先を持つ投資信託を比べるとパッシブ型の方が結果的に高収益である例が少なくない(アクティブ型の方が信託報酬も高めの傾向がある)[15]

出典[編集]

  1. ^ 金融広報中央委員会 - 投資信託とは、2008年5月11日閲覧。
  2. ^ 杉田浩治 米国投信4分の3世紀の歴史から何を学ぶか 日本証券経済研究所 p.3. 図表1
  3. ^ 杉田浩治 発足から満60年を迎える日本の投資信託 日本証券経済研究所 平成23年5月28日 p.3. 図表1
  4. ^ 福光寛 公社債投資信託の元本割れをめぐって 成城大学経済研究所研究報告第31巻 2002年3月
  5. ^ 井上武 世界第二の規模を誇るフランス投資信託市場 資本市場クォータリー 2008年4月
  6. ^ 天尾久夫 信金中央金庫の研究―信用金庫と信金中央金庫の抱える諸問題― 作大論集7号 177頁 図1-19 全信用金庫の国債と投資信託の資産運用の動向 2017年3月15日
  7. ^ 女性自身 保険・投信…“郵便局のサービス”拡大も専門家が注意点指摘 2017年6月29日
  8. ^ 日経新聞電子版 米SECビットコインETFを認可せず投資家保護が不十分として 2017年3月11日
  9. ^ 日本経済新聞 なぜ投信だけが購入時手数料を払うのか2012年2月26日記事 2014年1月10日閲覧
  10. ^ インデックス投資でラクラク投資信託生活 銀行は信用するなという話 2014年1月9日閲覧
  11. ^ 株初心者のためのやさしい用語集 売買単位とは(ばいばいたんい)2014年1月9日閲覧
  12. ^ 日本経済新聞 投信積み立てのメリット8カ条 2012年4月29日記事 2014年1月9日閲覧
  13. ^ 日本経済新聞 「幕の内弁当」バランス型投信でお任せ投資もアリ2014年1月15日閲覧
  14. ^ インデックス投資でラクラク投資信託生活 市場平均に勝ち続けることは難しい 2014年1月9日閲覧
  15. ^ 日本経済新聞 投信が売買し過ぎていないか、チェックしよう2013年4月7日記事 2014年1月10日閲覧
  16. ^ 投信に学ぶ タダでも喜んではいけない費用あり 投資教育アドバイザー 大江英樹2014年11月25日 2014年11月25日閲覧
  17. ^ 投信の落とし穴 「分配金=もうけ」とは限らない、2012年12月15日記事、2014年1月3日閲覧
  18. ^ インデックス投資でラクラク投資信託生活 毎月分配型投資信託の落とし穴 2014年1月9日閲覧
  19. ^ 「貯蓄から投資へ」の今昔 日向野幹也・立教大学経営学部教授
  20. ^ わが国の資産保有の実態と資産活性化プラン中央三井トラスト・ホールディングス 2008年夏調査報告 2014年1月8日閲覧
  21. ^ まとまったお金があると発病!?「退職金運用病」に要注意! 2014年1月3日閲覧
  22. ^ 退職貧乏父さんにならない方法日本経済新聞 2012年5月16日記事 2014年1月8日閲覧
  23. ^ 山崎元 退職金が振り込まれた銀行では資産運用しない! 2014年1月3日閲覧

参考文献[編集]

田村威、杉田浩治、林皓二、青山直子 『十二訂 プロフェッショナル投資信託実務』 経済法令研究会、2016年11月30日ISBN 978-4-7668-2394-3

関連項目[編集]

外部リンク[編集]