望遠鏡

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ニース天文台の 50cm 屈折式望遠鏡
シュミット望遠鏡 2m(ドイツ)
アメリカ海軍の双眼鏡(望遠鏡には双眼鏡も含まれる)

望遠鏡(ぼうえんきょう)とは、遠くにある物体を可視光線赤外線X線電波などの電磁波を捕えて観測する装置である。古くは「遠眼鏡(とおめがね)」とも呼ばれた。

観測に用いられる電磁波の波長により、光学望遠鏡と電波望遠鏡に大別される。電磁波を捕える方式による分類では反射望遠鏡(: reflecting telescope)と屈折望遠鏡(: refracting telescope)がある。

概論[編集]

光子ニュートリノ重力子としての粒子及び電磁波ニュートリノ重力波の波長領域を観測する装置全体を一般には望遠鏡と呼ぶ。特に、遠くにある物体が放つ、それらの粒子・波長を用いて物体像を拡大して観測を行うことを目的に、設計・製造された装置を狭義の望遠鏡とする。また、粒子の検出装置も狭義の望遠鏡とすることがある。

基本[編集]

望遠鏡とは、カメラのレンズと同じようなものであると思えば分かりやすい。ただし口径の大きな対物レンズ(反射式においては反射鏡)と口径が小さい接眼レンズに分かれる。対物レンズは凸レンズであり、接眼レンズが凹レンズであれば正立像が得られる(ガリレオ型望遠鏡)。これは一眼レフ方式のカメラのファインダーと同じ構造である。望遠レンズのように焦点距離が長い対物レンズを使うと、大きな像が得られる。接眼レンズを凸レンズにすれば倒立像となる(ケプラー型望遠鏡)が、さらに大きな倍率が容易に得られる。これをそのまま天体に向ければ天体望遠鏡となる。

望遠鏡を望遠鏡たらしめているメインパーツはその光学系である。光学系の個々のパーツ(光学素子:レンズや反射鏡など)を支える機構を「光学系支持機構」と呼ぶ。光学系支持機構には、望遠鏡の姿勢変化、温度変化、風向・風速の変化などが起こっても光学素子にゆがみを与えないことが求められる。望遠鏡光学系をその支持機構ごと支え、天球上の任意の位置に向ける装置を「架台」と呼ぶ。架台はスムーズに駆動し、長時間にわたって高精度で天体を追尾できなければならない。天体が発する光は、一般に非常に弱く、詳しい分析に耐えるほどの光量を集めようとすれば、大望遠鏡を持ってしても何時間の露出が必要となることが珍しくないからである。近年、より深く宇宙を探査するために、ますます大型の望遠鏡や観測装置が必要とされるようになってきている。

大望遠鏡においては、巨大な光学素子をいかにコンパクトで軽量かつ堅牢な架台で支えるかが重要となってくる。架台がコンパクトで軽量になるほど、その駆動機構への負担が軽減され、望遠鏡全体を覆うドームや建物などの建設コストも下げられる。また、架台の堅牢性の向上にも繋がり、指向・追尾性能を向上させることにもなる。架台のコンパクト化を図るためには、反射望遠鏡においては、その主鏡の焦点口径比(F比)を小さくし、明るい光学系とすることが肝要である。近年の大望遠鏡は、F比の小さい主鏡を製作する技術が進歩したことによって、建設が可能となったとも言える。

歴史[編集]

ナポリジャンバッティスタ・デッラ・ポルタの『博学史』(1589年、20巻)の17巻の10章が望遠鏡についての記述がある(ヨハネス・ケプラーの『屈折光学』(1611年)にもデラ・ポルタが20年前に望遠鏡を発明したと記述されている)。ネーデルラント連邦共和国のベックマン(ヤンセンの息子サカリアセンからレンズ研磨を習った)の日誌によると、1604年ミデルブルフの眼鏡職人サハリアス・ヤンセンがイタリア人の所有の1590年と書かれた望遠鏡を真似て作ったという。シルトリによると自分の客から作り方をならったオランダ、ミッテルブルフの眼鏡職人ハンス・リッペルスハイが「kijker」と命名した2枚のレンズ組み合わせた望遠鏡について1608年10月2日特許申請をオランダ総督にした。10月14日にはAlkmaarのJ.アドリアンスゾーン・メチウス(Adriaanszoon Metius 1571年 - 1635年 1598年からフラネカー大学教授)が特許申請を行なった(2年間改良していたという)。この同時申請のため特許はどちらにもおりなかった。リッペルスハイは双眼望遠鏡も作り、またマウリッツ総督の命により900フローリンで軍用望遠鏡を作った。日本においては近藤正斉の『外藩通書』によれば1613年慶長18年8月4日)に「慶長十八年八月四日、インカラティラ国王ノ使者於駿城御礼申上ル…長一間程之遠眼鏡六里見之ト見ユ」とあり、イギリスのジェームズ1世の使いジョン・セーリス徳川家康に献上のもの(現徳川美術館所蔵)が最古とされる。[1]

天体観測[編集]

1672年アイザック・ニュートンが王立協会に提供した望遠鏡の複製品。

ガリレオ・ガリレイはハンス・リッペルスハイの発明を知った後、1609年5月に1日で作った望遠鏡を初めて天体に向けた[2]。そのころの接眼レンズは凹レンズで正立像だが、倍率は低いものであった。その後は、目の能力を拡大するために、様々な光学の要素技術開発にともない、様々な種類の天体望遠鏡フィールドスコープ双眼鏡等が開発された。19世紀から20世紀にかけて発達した写真技術を使い、肉眼での観察から、より客観的な測定ができる天体観測が行われるようになった。20世紀に入って、電子工学の発展に伴い、光学系としての望遠鏡に附属する観測装置の開発が進んだ。光電効果を利用した光電測光器による光電測光技術が発達し、マイクロチャンネルプレートなどを使ったイメージインテンシファイアが誕生した。現在ではCCDイメージセンサを冷却して撮像する冷却CCDカメラによって100%近い光子を検出できるようになった。また、電磁波領域におけるレーダー宇宙通信等の測定装置開発から、電波望遠鏡が誕生した。そして、宇宙技術の進展に伴い、人工衛星として宇宙空間に設置する宇宙望遠鏡へと発展を遂げた。それらの要素技術との組み合わせによって、ニュートリノ望遠鏡重力波望遠鏡等も生まれ、21世紀初頭の現在、全ての波長に対する観測装置が出揃うことになった。

通信手段[編集]

文字コードを表示する信号機を遠方から望遠鏡で読み取る腕木通信に代表される欧米式通信方法、日本で江戸時代に始まり大正初期まで用いられた旗振り通信は、望遠鏡の発明と普及を前提とした通信における過去技術であった。

種類[編集]

天体望遠鏡
天体を観察・観測するために作られた望遠鏡。分解能と集光力の両方の性能が重視される。おおまかに分けて屈折式と反射式の2種類があるが、それぞれ一長一短がある。
地上望遠鏡
小型の望遠鏡に正立プリズムを付け、鳥や動物、地上風景などを主に観察・観測する物。軽量で防水設計になっていたり、機種によっては手持ちでの使用を考慮してあったりと、取り扱いが簡単になっていることが多い。
ナイトビジョン
淡い光を電気信号などにて増強するもの。軍事用などで使われる、ほぼ等倍率のものから、天体望遠鏡に取り付けて使うカメラタイプのものまで各種ある。
双眼鏡
基本的にはフィールドスコープを2つ並べて立体視できるようにしたものと考えて良いが、天体望遠鏡を2つ並べて、天体を見ることを前提に作られたものもある(双眼望遠鏡と呼ぶことが多い)。
単眼鏡
片手サイズの小さな望遠鏡。
電波望遠鏡
宇宙からやってくる微弱な電波を捉える望遠鏡。多くはパラボラアンテナの形をしている。
宇宙望遠鏡
軌道上に打ち上げられた望遠鏡。地球大気による電磁波の吸収や像の揺らぎがない。

組み立て式望遠鏡[編集]

天文教具として、誰でも手軽に組み立てられる望遠鏡が考案されている。レンズや反射鏡の研磨には、高度な熟練の技術が必要なため[3]、レンズ・反射鏡・アイピース(接眼鏡)・鏡筒をセットにした教材が販売されている。 趣味用だけではなく、天体観望用の解説書や星座早見環(鏡筒部に印刷された星図に、時刻や日付を合わせると、天の子午線上にある天体を見つけやすくするための、簡易星座早見盤)などもあるので、初めて天体観測天体観望を行う人にもわかりやすい製品。

国内での主な初心者向けの、組み立て式望遠鏡を製造・販売している会社のリンクを参考までに示す。

  • オルビィス株式会社テレスコハウス(望遠鏡ショップ)。コルキット。屈折式天体望遠鏡と反射式天体望遠鏡。以前はキング商会(キングジム=キング事務機器とは別会社)として事業を営んでいた頃からの製品で、口径は5cmの屈折式と10cmの反射式のキットからなる。解説書が添付されているので、小学校高学年以上の人には組み立てられるはずということで、1970年代には雑誌『子供の科学』などでも紹介されていた。
  • 大人の科学.net学習研究社刊、大人の科学マガジン。Vol.11及びVol.19が天体望遠鏡。
  • 星の手帖社世界天文年日本委員会と共同開発したケプラー式屈折天体望遠鏡。15倍と35倍の2種類。団体販売を目的にしているため、団体では20ドルで購入できるようにして開発された。最大の目的は、途上国などで理科教育支援などを行う青年海外協力隊や国内の科学館で行う天体教室向けの製品である。個人での購入は星の手帖社他科学館売店やインターネット通販や書店を通じて購入可能である。

オルビィス製のコルキットは、『大人の科学』は出版社が異なり、以前は学校などで教材販売として、その後教具販売として行われてきた学習研究社の「科学と学習」誌からの延長線上に存在するマガジン。それこそ、10分程度で製作できる科学実験器具から1時間程度の製作時間を要するキット群からなる。「星の手帖社」の場合には、

脚注[編集]

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  1. ^ 齋藤隆一 「望遠鏡は1537年にあったか」(参考文献 斉田博「望遠鏡の発明前後」『星の手帖』(1982年冬号 河手書房新社)他) 季刊『邪馬台国』1993年秋号52号 梓書院 p200-
  2. ^ 齋藤隆一 「望遠鏡は1537年にあったか」(参考文献 斉田博「望遠鏡の発明前後」『星の手帖』(1982年冬号 河手書房新社)他) 季刊『邪馬台国』1993年秋号52号 梓書院 p200-
  3. ^ ガラスの研磨による反射鏡の自作はアマチュアで何とか可能なレベルであり、材料や解説書の販売が行われている

参考文献[編集]

関連項目[編集]

光学の要素技術[編集]

外部リンク[編集]

  • ^ 主に淡い光を捉えて、その光のエネルギーによって生じる光電効果を活用して、電極から生じる電子を増幅して像を鮮明に捉える装置のこと。撮像管を数段並べて、電子を加速すれば作れる装置である。なお、マイクロチャンネルプレートとは、電極間に小さな光を通る穴を開けて、そこへ照射されるフォトンによって生じる光電子効果を増幅させる装置である。
  • ^ すだれコリメータは、小田稔により発明されたエックス線天体の精密位置観測が可能な観測装置。エックス線検出器の前に金属製の「すだれ」を間隔を置いて複数配置した構造で、装置の回転にともない「すだれ」に邪魔されずに通過するエックス線の強度が変化する様子を捕らえて、エックス線源の位置を決定する。
  • ^ 超伝導薄膜技術によって開発されたセンサーであり、超伝導技術を用いているために、超低温(液体ヘリウムもしくはネオン冷却装置を使用。温度にして、-270℃=3K程度)が必要とされる。なお、赤外線観測でも、同じように超低温を用いてCCDイメージセンサを冷却するが、これは装置自身の熱雑音を減らして、精度の高い観測を行うために必要とされているからである。