徳川美術館

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Japanese Map symbol (Museum) w.svg 徳川美術館
The Tokugawa Art Museum
Tokugawabijutsukan1.JPG
徳川美術館の位置(愛知県内)
徳川美術館
愛知県内の位置
施設情報
専門分野 尾張徳川家伝来の道具類
館長 徳川義崇[1]
管理運営 公益財団法人徳川黎明会
建物設計 吉本与志雄[2]
開館 1935(昭和10)年11月10日[3]
所在地 461-0023
愛知県名古屋市東区徳川町1017
位置 北緯35度11分1.92秒 東経136度55分59.67秒 / 北緯35.1838667度 東経136.9332417度 / 35.1838667; 136.9332417
公式サイト 徳川美術館 公式サイト (日本語)
プロジェクト:GLAM
源氏物語絵巻 竹河二

徳川美術館(とくがわびじゅつかん)は、愛知県名古屋市東区徳川町の徳川園内にある、公益財団法人 徳川黎明会が運営する私立美術館1935年に開設された。収蔵品は駿府御分物徳川家康の遺品)など尾張徳川家伝来の大名道具や他の大名家の売立てでの購入品、名古屋の豪商らからの寄贈品など。2016年現在で、国宝9件、重要文化財59件を収蔵する。国宝・源氏物語絵巻のほか、西行物語絵巻豊国祭図屏風、「初音の調度」などの所蔵品で知られる。

沿革[編集]

前史・尾張徳川家の什宝[編集]

1910(明治43)年は「名古屋開府300年」にあたり、祝賀行事の一環として、尾張徳川家は同年4月9日から3日間、名古屋で、初代・義直ゆかりの品を中心とした什器の展覧会を開催し[4]、また同年3月-6月に名古屋市門前町の愛知県商品陳列館で開催された新古美術展覧会に書画や器物を出品した[5]。それ以降、尾張徳川家の什宝は『国華』誌でたびたび取り上げられるようになった[6]

1912(明治45)年4月には、東京帝国大学・京都帝国大学の文科大学の教授・講師が名古屋・大曽根邸を訪問して什宝を観覧、同行した国華社が什宝の写真を撮影し[7]、同年5月18日に東京帝国大学文科大学の集会所でこの写真の展示会が行なわれ、反響を呼んだ[7]

また1915年5月29日には、東京帝国大学の山上御殿で源氏物語絵巻3巻など尾張徳川家所蔵の絵巻物6点の展覧が行なわれ、約700人が観覧に訪れた[8][9]

こうして什宝の展覧会がたびたび話題を呼んだことで、尾張徳川家第19代当主・義親は、什宝の保存や公開の必要性を感じるようになり、美術館の設立を構想したとみられている[9]

1910年代後半に尾張徳川家は拠点を名古屋から東京に移して、名古屋の土地家屋を処分、拠点・事業の整理・縮小を進め、名古屋における同家の拠点は大曽根の別邸に集約されることになった[10]。同家御相談人片桐助作は、1910年から1915年にかけて未鑑定品を中心に同家の什宝の整理を進めた[11]

1920年1月12日に義親は新聞を通じて大曽根邸の敷地に尾張徳川家の宝物を公開する博物館を設立する構想を発表[12][13]。予算は50-100万円で、収蔵点数は約1万点、刀剣が多いと見積もられていた[14]。1921年には、片桐の整理の結果を基に、重複品・不要品とされた什宝(全体の10-15%)が競売に出され、売上総額約57万円は博物館の設立準備金として運用された[15]

美術館の開設[編集]

1929年に鈴木信吉が尾張徳川家の家令となると、博物館構想は急速に具体化し[16]、1931年12月、財団法人尾張徳川黎明会が設立され、尾張徳川家伝来の什宝・書籍類のほとんどが同財団に寄付された[17][18]。1932年9月には大曽根で美術館建設が着工した[19]

義親は、1933年に、蜂須賀正氏の「豊国祭礼図屏風」、紀伊徳川家徳川頼貞の「清正公兜」など、他の華族が経済的に逼迫して競売に出した家宝を落札、1935年には近衛文麿から「侍中群要」を交換で入手するなどして、開館準備を進めた[20]。また義親は、源氏物語絵巻の一般公開に際して、長年絵巻の開巻を繰り返したことにより劣化が進んでいたため、田中親美に絵巻を切断させた[21]

1935年に美術館の建物が竣工し、同年11月10日に一般公開を開始[3][18][22][23][24]

その後の沿革[編集]

建物[編集]

徳川美術館本館と南収蔵庫の建物は、吉本与志雄の設計により1935年に竣工した帝冠様式(和風の屋根や外観をもった洋式建築)のデザインの建物で、造形の規範となっているものとしてそれ自体が1997年6月12日に国の登録有形文化財(建造物)に登録されている[25][22]

主な収蔵品[編集]

収蔵品は駿府御分物徳川家康の遺品)など尾張徳川家伝来の大名道具や徳川将軍家や一橋徳川家、蜂須賀家など他の大名家の売立てでの購入品、名古屋の豪商であった岡谷家や大脇家、高松家をはじめとする篤志家らからの寄贈品など。2016年現在で、国宝9件、重要文化財59件、重要美術品46件[要出典]を収蔵し[26][27][28]総収蔵点数は、1万数千件にのぼる[要出典]。国宝・源氏物語絵巻のほか、西行物語絵巻豊国祭図屏風、「初音の調度」などの所蔵品で知られる[29]

なお、本美術館所蔵の国宝・重要文化財の所有者は公益財団法人 徳川黎明会(法人所在地は東京都豊島区)とされているため、統計上は美術館所在地の愛知県ではなく、法人所在地の東京都の文化財としてカウントされており、美術館の建物は名古屋市の文化財としてカウントされている[30]

垂迹画[編集]

大和絵・絵巻[編集]

  • はいすみ物語絵巻 紙本著色 重要文化財[31]
  • はつきの物語絵巻 紙本著色 12面(絵6面詞6面) 重要文化財[31]
  • 西行物語絵巻 紙本著色 重要文化財[31]
  • 天皇摂関影図 紙本著色 2巻 重要文化財[31]
  • 破来頓等絵巻 紙本著色 重要文化財[31][32]

源氏物語絵巻[編集]

水墨画[編集]

近世絵画[編集]

風俗図屏風(伝・本多平八郎姿絵、部分図)重要文化財

渡来画[編集]

  • 柳燕図 絹本墨画 重要文化財[31]
  • 竜図 絹本墨画 陳容筆 重要文化財[31]
  • 遠浦帰帆図 紙本墨画 玉澗筆 自賛がある 重要文化財[31]
  • 布袋図(1幅)・ 朝陽対月図(2幅) 紙本墨画(布袋図は伝・胡直夫筆、偃渓広聞賛。朝陽対月図は無住子筆、元貞元年の自賛) 重要文化財[31]

刀剣[編集]

山城国[編集]

  • 太刀 菊御作 重要文化財[31]
  • 太刀 銘国綱 重要文化財[31]
  • 短刀 銘吉光(名物後藤藤四郎) 国宝[31][34]
  • 太刀 銘国行 重要文化財[31]
  • 太刀 銘来国光 重要文化財[31]
  • 太刀 銘来国俊 正和二二年十月廿三日□□歳七十五 重要文化財[31]
  • 太刀 銘来孫太郎作(花押)正応五□辰八月十三日以下不明 国宝[31][35]

備前国[編集]

  • 太刀 銘光忠 国宝[31][36]
  • 太刀 銘光忠 重要文化財[31]
  • 太刀 銘長光(名物遠江長光) 国宝[31][37]
  • 太刀 銘国宗 国宝[31][38]
  • 太刀 銘正恒 国宝[31][39]
  • 太刀 銘備前国長船長光造 重要文化財[31]
  • 太刀 銘備州長船住兼光 重要文化財[31]
  • 太刀 銘備前国長船住守家 重要文化財[31]
  • 刀 銘本作長義天正十八年庚寅五月三日ニ九州日向住国広 銘打長尾新五郎平朝臣顕長所持云々 重要文化財[31]
  • 刀 無銘一文字(名物南泉一文字) 重要文化財[31]
  • 刀 無銘助真 重要文化財[31]

相模国[編集]

  • 短刀 無銘正宗(名物庖丁正宗) 国宝[31][40]
  • 短刀 無銘伝正宗(名物一庵正宗) 重要文化財[31]
  • 短刀 銘正宗(名物不動正宗) 重要文化財[31]
  • 刀 金象嵌銘正宗磨上 本阿弥花押(名物池田正宗) 重要文化財[31]
  • 刀 無銘正宗 重要文化財[31]
  • 短刀 無銘貞宗(名物物吉貞宗) 重要文化財[31]

その他の刀剣[編集]

  • 刀 折返銘備中国住次直 重要文化財[31]
  • 刀 無銘義弘(名物五月雨江) 重要文化財[31]

陶磁器[編集]

染織[編集]

  • 白地葵紋紫腰替辻が花染小袖 重要文化財[43]
  • 辻が花染小袖(槍梅葵紋散小袖 1領、地紙形散葵紋小袖 1領、楓文散葵紋小袖 2領、雪持笹文散小袖 1領) 重要文化財[31]
  • 紫地葵紋付葵葉文様辻が花染羽織・浅葱地葵紋散文様辻が花染小袖 重要文化財[31]
  • 刺繍阿弥陀三尊来迎図 重要文化財[31]

書跡典籍[編集]

その他工芸品[編集]

  • 長生殿蒔絵手箱 重要文化財[31]
  • 朱漆七宝繋沈金花鳥漆絵御供飯(うくふぁん)(琉球漆器) 重要文化財[31]

日本最古の望遠鏡[編集]

オランダより伝来した徳川義直望遠鏡は、現存する日本最古の望遠鏡である。17世紀の望遠鏡は、世界でも希少価値が高い。[要出典]

婚礼調度類[編集]

3代将軍徳川家光の長女千代姫(当時2歳)が、尾張家2代藩主徳川光友に嫁いだ際の婚礼調度類[29]源氏物語』の「初音」「胡蝶」の巻にちなんだ蒔絵を施した、棚、化粧道具、文房具、香道具などの一揃いである。室町時代以来、代々皇室将軍、大名などの調度を手がけてきた蒔絵師・幸阿弥家の10代長重が寛永14年(1637年)から3年をかけて制作したものであることが知られ、当代最高の蒔絵師が、あらゆる技法を駆使して制作した名品である。[要出典]

  • 婚礼調度類(徳川光友夫人千代姫所用) 国宝[31]
    • 初音蒔絵調度 47種
    • 胡蝶蒔絵調度 10種
    • 蒔絵香箱 5合
    • 蒔絵伽羅割道具 一対
    • 長持 2棹
    • 長袴 2腰
    • 長刀 中身共 一対
    • 糸巻太刀 中身、袋共 1口
    • 脇指拵 1口
    • (以下、附指定)
    • 油箪 2枚
    • 文箱袋 11口
    • 詰物 4本
    • 霊仙院道具目録 1巻
    • 建中寺霊仙院道具目録 3冊
  • 金銀調度類 34種 重要文化財[31]

常設展[編集]

常設展示室には、藩主の公的生活の場であった、名古屋城二の丸御殿の一部を時代考証に基づいて復元してある。こうした展示方法により、道具類(現代の言葉でいう「美術品」「文化財」)が、床の間、茶室、能舞台といった実際の場面で、どのように飾られ、使われたのかが理解できるように工夫されている。[要出典]

企画展・展覧会[編集]

イメージキャラクター[編集]

トクさん[編集]

松井玲奈[編集]

  • 2015年度に、女優で元SKE48松井玲奈が徳川美術館・蓬左文庫の開館80周年ビジュアルキャラクターに起用された[53][54]

交通手段[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 徳川黎明会 2016, p. 4.
  2. ^ 愛知県 (2011年). “文化財ナビ愛知 > 徳川美術館本館・南収蔵庫”. 愛知県. 2016年9月29日閲覧。
  3. ^ a b 香山 2014, p. 1.
  4. ^ 香山 2014, pp. 3-6.
  5. ^ 香山 2014, pp. 7-8.
  6. ^ 香山 2014, p. 16.
  7. ^ a b 香山 2014, p. 15.
  8. ^ 香山 2015, p. 28.
  9. ^ a b 香山 2014, p. 20.
  10. ^ 香山 2015, pp. 27-28,31-32.
  11. ^ 香山 2014, p. 11.
  12. ^ 香山 2015, pp. 28,32-33.
  13. ^ 香山 (2014, p. 2)では、1919(大正8)年に美術館建設計画を発表した、としている。
  14. ^ 香山 2015, p. 32-33.
  15. ^ 香山 2015, pp. 28,32-36.
  16. ^ 香山 2016, p. 104.
  17. ^ 小田部 1988, pp. 18,46-47.
  18. ^ a b 林政研 2013.
  19. ^ 香山 2016, p. 121.
  20. ^ 小田部 1988, pp. 47-49.
  21. ^ 小田部 (1988, p. 30)、義親の日記による。当初周囲の猛反対にあって切断が実行されるまでに3年を要したとされる(同)。
  22. ^ a b 愛知県 2011.
  23. ^ 小田部 1988, p. 29.
  24. ^ なお、文献資料約10万冊は1932年に東京府高田町雑司ヶ谷に設置された蓬左文庫で保存・一般公開され、うち約6.4万冊は1950年に名古屋市に譲渡されて、2013年現在、徳川美術館に隣接する[要出典]名古屋市博物館分館となった蓬左文庫で保存・公開されている(林政研 2013)。藩政に関する文献資料は、別途、1950年に蓬左文庫から分離独立した徳川林政史研究所で保存・研究・公開されている(同)。同研究所は財団法人徳川黎明会の本部と同じ東京都豊島区目白に置かれている(同)。
  25. ^ 文化庁 (2016年). “国指定文化財等データベース > 徳川美術館本館”. 文化庁. 2016年9月30日閲覧。
  26. ^ 「代表的収蔵品」(美術館公式サイト)、2016年11月5日閲覧
  27. ^ 2000年時点では、国宝9点、重要文化財52点を収蔵(毎日新聞社 2000, p. 要ページ番号)
  28. ^ 1988年時点では、国宝8点、重要文化財50点、重要美術品37点を収蔵(小田部 1988, pp. 29-30)
  29. ^ a b 小田部 1988, pp. 29-30.
  30. ^ 名古屋市 (2010年). “指定文化財等目録一覧”. 名古屋市. 2016年11月1日閲覧。
  31. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar as at au av aw ax ay az ba bb bc bd be bf bg bh bi 毎日新聞社 2000, p. 要ページ番号.
  32. ^ 破来頓等絵巻 - 文化遺産オンライン(文化庁) 2016年11月7日閲覧。
  33. ^ 平成16年6月8日文部科学省告示第111号
  34. ^ 短刀 銘吉光 - 文化遺産オンライン(文化庁
  35. ^ 太刀 銘来孫太郎作 - 文化遺産オンライン(文化庁
  36. ^ 太刀 銘光忠 - 文化遺産オンライン(文化庁
  37. ^ 太刀 銘長光 - 文化遺産オンライン(文化庁
  38. ^ 太刀 銘国宗 - 文化遺産オンライン(文化庁
  39. ^ 太刀 銘正恒 - 文化遺産オンライン(文化庁
  40. ^ 短刀無銘正宗 - 文化遺産オンライン(文化庁
  41. ^ 平成13年6月22日文部科学省告示第109号
  42. ^ 平成17年6月9日文部科学省告示第87号
  43. ^ 平成15年5月29日文部科学省告示第104号
  44. ^ 平成23年6月27日文部科学省告示第103号
  45. ^ 平成22年6月29日文部科学省告示第100号
  46. ^ 平成17年6月9日文部科学省告示第87号
  47. ^ 徳川黎明会 2016, pp. 16,17.
  48. ^ ミュージアム キャラクター アワード 2015 結果発表
  49. ^ ミュージアム キャラクター アワード 2015”. Internet Museum Office. 2015年閲覧。...
  50. ^ AIVA Academy of Interactive and Visual Arts 2016年11月11日閲覧。
  51. ^ [ http://simpleshow.com/jp/ simpleshow - the explanation experts] 2016年11月11日閲覧。
  52. ^ 徳川美術館の解説動画がNYにて賞を受賞 インバウンドナビ2016年5月7日 インバウンドナビ
  53. ^ 徳川黎明会 2016, pp. 16,17,19.
  54. ^ 元SKE48・松井玲奈、“国宝”とともに…徳川美術館イメージキャラクター就任2015年10月23日 RBB TODAY
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参考文献[編集]

外部リンク[編集]