信号機

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日本の信号機の一例(LED式)
信号機(縦型)
LED信号機 -北海道

信号機(しんごうき)とは、鉄道道路における交通の安全の確保、若しくは交通の流れを円滑にするために、進行許可・停止指示などの信号を示す装置である。本稿は道路の信号機(交通信号機)について記述する。

概要[編集]

道路の交差点などで、自動車自転車、歩行者の通行の優先権を伝えるための装置で、道路交通の安全を図りつつ、自動車を円滑に走行させることを目的に設置される道路の付属施設である[1]。交通事故の危険性が予測される交差点は優先道路一時停止などの規制を実施するが、多量な交通需要は交通信号を設置し、交互に通行権を割り振ることで積極的に交通を処理[2]し、交通流の安定、排気ガス騒音など交通公害の低減、交通環境の改善[3]、などを見込む。

識別は世界で共通して)・の三色を用いる。世界的に統一された基準として道路標識及び信号に関するウィーン条約が存在するが、日本アメリカ合衆国などは批准せずに独自に定めている。

内部に光源が収められて灯火を行う信号本体の装置を灯器と称する。

灯色について[編集]

国別で信号機の灯色の表現が異なる[4]

日本における呼称
中国
アメリカ green yellow red
イギリス green amber red

日本の法令は、進行許可の「」を「」としている。本項目は日本の法令に関して記述し、誤解のおそれが無い場合は「青」と記述する。

信号機の配列・意味・点灯パターン[編集]

ウィーン条約で定められている信号機の点灯パターン ウィーン条約で定められている信号機の点灯パターン
ウィーン条約で定められている信号機の点灯パターン

国際ルール[編集]

日本は批准していないウィーン条約で信号機に関する国際的基準が示されている。

日本[編集]

配列[編集]

信号機の配列は道路交通法施行令第3条に定めがある。

信号機の灯火の配列は、赤色、黄色及び青色の灯火を備えるものにあつては、その灯火を横に配列する場合は右から赤色、黄色及び青色の順、縦に配列する場合は上から赤色、黄色及び青色の順とし、赤色及び青色の灯火を備えるものにあつては、その灯火を横に配列する場合は右から赤色及び青色の順、縦に配列する場合は上から赤色及び青色の順とする。 — 道路交通法施行令第3条

意味[編集]

信号機が表示(現示)する信号の意味は道路交通法施行令第2条に定めがある。

信号の種類 信号の意味
青色の灯火 一 歩行者は、進行することができること。

二 自動車、原動機付自転車(右折につき原動機付自転車が法第三十四条第五項本文の規定によることとされる交差点を通行する原動機付自転車(以下この表において「多通行帯道路等通行原動機付自転車」という。)を除く。)、トロリーバス及び路面電車は、直進し、左折し、又は右折することができること。

三 多通行帯道路等通行原動機付自転車及び軽車両は、直進(右折しようとして右折する地点まで直進し、その地点において右折することを含む。青色の灯火の矢印の項を除き、以下この条において同じ。)をし、又は左折することができること。

黄色の灯火 一 歩行者は、道路の横断を始めてはならず、また、道路を横断している歩行者は、すみやかに、その横断を終わるか、又は横断をやめて引き返さなければならないこと。

二 車両及び路面電車(以下この表において「車両等」という。)は、停止位置をこえて進行してはならないこと。ただし、黄色の灯火の信号が表示された時において当該停止位置に近接しているため安全に停止することができない場合を除く。

赤色の灯火 一 歩行者は、道路を横断してはならないこと。

二 車両等は、停止位置を越えて進行してはならないこと。

三 交差点において既に左折している車両等は、そのまま進行することができること。

四 交差点において既に右折している車両等(多通行帯道路等通行原動機付自転車及び軽車両を除く。)は、そのまま進行することができること。この場合において、当該車両等は、青色の灯火により進行することができることとされている車両等の進行妨害をしてはならない。

五 交差点において既に右折している多通行帯道路等通行原動機付自転車及び軽車両は、その右折している地点において停止しなければならないこと。

人の形の記号を有する青色の灯火 一 歩行者は、進行することができること。

二 普通自転車(法第六十三条の三に規定する普通自転車をいう。以下この条及び第二十六条第三号において同じ。)は、横断歩道において直進をし、又は左折することができること。

人の形の記号を有する青色の灯火の点滅 一 歩行者は、道路の横断を始めてはならず、また、道路を横断している歩行者は、速やかに、その横断を終わるか、又は横断をやめて引き返さなければならないこと。

二 横断歩道を進行しようとする普通自転車は、道路の横断を始めてはならないこと。

人の形の記号を有する赤色の灯火 一 歩行者は、道路を横断してはならないこと。

二 横断歩道を進行しようとする普通自転車は、道路の横断を始めてはならないこと。

青色の灯火の矢印 車両は、黄色の灯火又は赤色の灯火の信号にかかわらず、矢印の方向に進行することができること。この場合において、交差点において右折する多通行帯道路等通行原動機付自転車及び軽車両は、直進する多通行帯道路等通行原動機付自転車及び軽車両とみなす。
黄色の灯火の矢印 路面電車は、黄色の灯火又は赤色の灯火の信号にかかわらず、矢印の方向に進行することができること。
黄色の灯火の点滅 歩行者及び車両等は、他の交通に注意して進行することができること。
赤色の灯火の点滅 一 歩行者は、他の交通に注意して進行することができること。

二 車両等は、停止位置において一時停止しなければならないこと。

備考 この表において「停止位置」とは、次に掲げる位置(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前)をいう。

一 交差点(交差点の直近に横断歩道等がある場合においては、その横断歩道等の外側までの道路の部分を含む。以下この表において同じ。)の手前の場所にあつては、交差点の直前

二 交差点以外の場所で横断歩道等又は踏切がある場所にあつては、横断歩道等又は踏切の直前

三 交差点以外の場所で横断歩道、自転車横断帯及び踏切がない場所にあつては、信号機の直前

歩行者用信号機に自転車も対象に含む旨の標示板がある場合、その歩行者用信号機の示す信号の意味は道路交通法施行令第2条第4項に定めがある。

信号の種類 信号の意味
人の形の記号を有する青色の灯火 一 歩行者は、進行することができること。

二 自転車は、直進をし、又は左折することができること。

人の形の記号を有する青色の灯火の点滅 一 歩行者は、道路の横断を始めてはならず、また、道路を横断している歩行者は、速やかに、その横断を終わるか、又は横断をやめて引き返さなければならないこと。

二 自転車は、道路の横断を始めてはならず、また、当該信号が表示された時において停止位置に近接しているため安全に停止することができない場合を除き、停止位置を越えて進行してはならないこと。

人の形の記号を有する赤色の灯火 一 歩行者は、道路を横断してはならないこと。

二 自転車は、道路の横断を始め、又は停止位置を越えて進行してはならないこと。

三 交差点において既に左折している自転車は、そのまま進行することができること。

四 交差点において既に右折している自転車は、その右折している地点において停止しなければならないこと。

備考 この表において「停止位置」とは、第一項の表の備考に規定する停止位置をいう。

「特定の交通に対する信号機の標示板」が取り付けられた信号機がある場合、その対象となる交通はその信号機の意味に従わなくてはならない(道路交通法施行令第2条第5項)。

1942年(昭和17年)5月から1947年(昭和22年)12月まで、赤色の灯火の点滅(赤点滅)は空襲警報を告げる表示として用いられた[5]

1953年(昭和28年)頃から関西地区で「注意信号の予告として車両に停止準備をさせ、黄信号時における交差点内の進入を抑制する」ことを目的に、車両用信号機に青色の灯火の点滅(青点滅)が導入された[6]。当時黄色の灯火(黄信号)は、交差点へ既に進入した車両等・歩行者は交差点の外に出なければならないこと以外は赤色の灯火(赤信号)と同じ意味であった[6]1970年(昭和45年)7月25日に道路交通法施行令が改正され、黄信号の意味が改正されて青点滅信号が廃止された[6]

点灯パターン[編集]

点灯パターンは道路交通法施行令第2条に定めがある。

信号機が表示する信号の順序は、次の各号に掲げる区分に従い、それぞれ当該各号に定めるとおりとする。

一 青色の灯火、黄色の灯火及び赤色の灯火の信号を連続して表示する場合 青色の灯火、黄色の灯火及び赤色の灯火の信号の順とすること。
二 人の形の記号を有する青色の灯火、人の形の記号を有する青色の灯火の点滅及び人の形の記号を有する赤色の灯火の信号を連続して表示する場合 人の形の記号を有する青色の灯火、人の形の記号を有する青色の灯火の点滅及び人の形の記号を有する赤色の灯火の信号の順とすること。

— 道路交通法施行令第2条

アメリカ[編集]

赤信号は安全を確認して右折が許容されている[7]が、「NO TURN ON RED」(赤信号で右折禁止)の標識が設置されている場合は赤信号時の右折が不可であり、赤信号時の右折が全く認められない地域も存在する[7]

青矢印信号と赤信号の間に黄矢印信号が設けることもある[8][9]

韓国[編集]

法律上の扱い[編集]

日本[編集]

道路交通法に信号機に関する定めがある。

  • 信号機の定義
電気により操作され、かつ、道路の交通に関し、灯火により交通整理等のための信号を表示する装置 — 道路交通法第2条第14項
  • 設置義務・権利
都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、又は交通公害その他の道路の交通に起因する障害を防止するため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、信号機又は道路標識等を設置し、及び管理して、交通整理、歩行者又は車両等の通行の禁止その他の道路における交通の規制をすることができる。この場合において、緊急を要するため道路標識等を設置するいとまがないとき、その他道路標識等による交通の規制をすることが困難であると認めるときは、公安委員会は、その管理に属する都道府県警察の警察官の現場における指示により、道路標識等の設置及び管理による交通の規制に相当する交通の規制をすることができる。 — 道路交通法第4条第1項
公安委員会は、交通の煩雑な交差点その他交通の危険を防止するために必要と認められる場所には、信号機を設置するようにつとめなければならない — 道路交通法第4条第3項
駒場車庫前における、北海道函館方面公安委員会より信号の委任を受けた旨の表示板(2017年4月撮影)

信号機の設置は公安委員会が行う。しかし、公安委員会が他の者に信号機の設置又は管理を委任することがある。

公安委員会は、信号機の設置又は管理に係る事務を政令で定める者に委任することができる。 — 道路交通法第5条第2項
法第5条第2項の政令で定める者は、道路に敷設する軌道に係る軌道経営者その他公安委員会が適当であると認める者とする。 — 道路交通法施行令第3条の2第2項
  • 遵守義務
道路を通行する歩行者又は車両等は、信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等に従わなければならない。 — 道路交通法第7条
  • 手信号
警察官又は第104条の4第1項に規定する交通巡視員(以下「警察官等」という。)は、手信号その他の信号(以下「手信号等」という。)により交通整理を行なうことができる。この場合において、警察官等は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため特に必要があると認めるときは、信号機の表示する信号にかかわらず、これと異なる意味を表示する手信号等をすることができる。

警察官交通巡視員手信号によって交通整理を行っている場合、信号表示より手信号の遵守が優先される。

  • 信号無視

信号無視をした車両等の運転者は、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金が罰則となる(道路交通法第119条)。歩行者の場合は、2万円以下の罰金又は科料に処される(同121条)。

制御システム[編集]

概要[編集]

交差点で交通流に対して同時に与えられる通行権またはその通行権が割り当てられている状態を、信号現示(現示)と言う[10]

信号交差点の制御対象範囲で3種類に分類される[11][12]

  • 地点制御(点制御):交差点ごとに単独で制御する方式。
  • 系統制御(線制御):連続して設置されている信号機を互いに制御する方式。車両の停止を減らし、交通の安全と円滑を図る。
  • 地域制御(面制御):面的に広がる道路網に設けられた多数の信号機を一括して制御する方式。

信号現示を切り替える条件で2種類に分類される[13][14]

  • 定周期制御:予め定められた現示構成、サイクル長、スプリット、オフセット(後述)によって制御する方式。
  • 交通感応制御:車両や歩行者などのセンサ情報によって制御する方式。

変数は以下の3種類である[12][15]

  • サイクル長:信号表示が一巡する時間
  • スプリット:各現示に割り当てられる時間または割合
  • オフセット:隣接する交差点どうしで系統制御するために、系統方向の各交差点における青の開始時間の差

「オフセット」設定は、1926年ドイツベルリンにあるライプツィヒ通りで「緑の波」として導入された[16]

日本[編集]

制御機[編集]

日本国内で現在多く使用されている制御機は

  • 警交仕規臨73号 U形集中制御用交通信号制御機
  • 警交仕規202号 U形集中制御用交通信号制御機
  • 警交仕規203号 UC形集中制御用交通信号制御機
  • 警交仕規231号 U形交通信号制御機
  • 警交仕規232号 UC形交通信号制御機
  • 警交仕規233号 UC形押しボタン式交通信号制御機

である。以前は

  • 警交仕規13号 定周期式交通信号制御機
  • 警交仕規14号 集中制御用交通信号制御機
  • 警交仕規16号 押しボタン式交通信号制御機
  • 警交仕規17号 定周期式交通信号連動制御機
  • 警交仕規18号 簡易半感応式交通信号制御機
  • 警交仕規26号 バス感応式交通信号制御機
  • 警交仕規28号 地点感応式交通信号制御機
  • 警交仕規38号 プログラム多段(多段系統)式交通信号制御機
  • 警交仕規43号 A形集中制御用交通信号制御機
  • 警交仕規45号 A形プログラム多段(多段系統)式交通信号制御機/A形地点感応式交通信号制御機
  • 警交仕規53号 A形押しボタン式交通信号制御機

の各種制御機が使用されていた。これら制御機の機能はU形、UC形制御機に標準機能で搭載されている。

警察庁によると、日本国内の制御機の約2割にあたる4万基超が更新時期を過ぎており、このままのペースで更新すると10年以内に3割を超える見通しで、警察庁は故障すると事故に繋がる恐れがあるとして、2020年度までに重点的に更新するよう各都道府県警に指示した[17]

信号機の制御の分類[編集]

標準的な信号機は青黄赤3色が予め定めた周期で切り替わるが、交通量の差が大きい道路の交差点で相互を円滑に交通させるために、交通量の変化に応じて青や赤の点灯時間を調整して自動制御する感応制御式が普及している[18]

警察による分類を下記する[19]

  • 定周期式
  • 押ボタン式
  • 半感応式
  • 全感応式
  • 一灯点滅式

標準機能により実現可能なもの

付加機能により実現可能なもの

イギリス[編集]

イギリスTRLが開発した「SCOOT」(Split Cycle Offset Optimization Technique)が、英国および国外の200以上の都市で運用されている[20]。停止線上流に設置された感知器で感知された車両は、一定の走行速度で停止線に至ると仮定し、車両の到着時間や渋滞長を推定して信号制御の変数を調整する[21]

オーストラリア[編集]

オーストラリアニューサウスウェールズ州RTAで開発された「SCATS」(Sydney Coordinated Adaptive Traffic System)が80以上の都市で運用されている[20]。停止線の直近にループ式車両感知器を設置して交通流を読み取り、サイクル長やスプリットのパターンを選択している[22]

車両用信号[編集]

歩行者用信号が存在しない場合は、歩行者もこの信号機に従わなくてはならないが、便宜上「車両用信号」として扱う。

車両用は横型と縦型があり、横型が主流となっている。縦型は横型に比べて雪の付着が少ないために積雪地で多く用いられ[注 1]、被視認性に優れるために狭隘地点や路地、陸橋、側道などに見られる。

台湾韓国も横型が多用され、欧米や中国は環境を問わず縦型が多用される。

日本[編集]

車両用交通信号灯器の表示面は丸型が採用され、大きさは一般道路用の250 mmと300 mm、高速道路用の450 mmが使用されている[23]。取り付ける際は地盤面から灯器底部まで5,100 mm以上とし、交差点進入方向から見やすい位置に設置しなければならない[24]

2017年(平成29年)度から幅が20cm短くなった信号機を設置していくと警察庁が発表した[25]。明るさはそのままに製造費用が17%削減できる。

他の流入路などの信号機を誤認するおそれがある場合は、方かくしフード・筒形のフード・ルーバーなどを取り付ける[26]2018年頃に、薄型四角形LEDタイプ信号機のレンズ部分に偏光フィルタを施して、正対する側の交通以外からは信号が視認出来ないようになっている物も登場している。[要出典]

日本の車両用信号の枠(灯器)は、1960年代までは四角形で、1970年代以降は縁が丸い形状のものに変わってきていたが、近年ではLEDの採用によって形を自由に作れるようになり、これまでの丸型のほかに、両端が円弧状・V字型・四角形のものなど、多様な形のものが作られている。

灯火の灯色については、1970年代以降のものは、色覚障害に配慮して緑色部分の色を国際基準から逸脱しない、ぎりぎりまで青色に近づけた色(おおむね波長が500 nm(ナノメートル)前後)に変更されている。さらに、赤信号に特殊なLEDで×印を表示し、信号機のLED化の影響で赤と黄信号の見分けがよりつきづらくなった色覚障害の人に配慮された信号機が開発され、2012年に東京や福岡で試験設置された[27][28]

信号機を支えるアーム部や信号機の上下に、交差点名(地名)表示板や時差式・押しボタン式・感応式の信号であることの表示板が設置されていることもある。アーム部は信号機によっては、正対する車との位置関係(交差点の形状・右折専用車線など)・狭い場所での設置・強風対策などで、短いアームを使ったり、アーム部を廃して信号柱に直接取り付けたりする事がある。信号柱の位置の都合で長いアームを取り付ける場合がある。[要出典]

予告信号は交差点の手前がカーブや坂になっているなどして交差点を見通す視距が十分に取れない場合に設置される[29]この場合は通常の信号機を使用し、「予告信号」等の標識板を併設する事が多いが、大阪府では「信号あり」のLED表示の下に2灯の黄色灯を交互に点滅させるタイプもある。[要出典]

一灯点滅式信号機は通常の信号機が設置できない細街路の交差点で、優先・非優先を明確にし出会い頭事故を防止するために設置される[30]。赤・黄が相互に点滅し、点滅周期は0.4 - 0.6 である[30]。 。1975年(昭和50年)に福岡県で導入されて以降、2012年(平成24年)度には全国で6,224基が設置された[31]。しかし、設置から数年で効果が薄れるなどの声があり、この信号機の効果は疑問視されている[31]。また、一時停止規制の方がかえって分かりやすいとの声があり、一時停止規制へ変更した場合はかえって人身事故が減少した事例が多い[32]。さらに、一時停止の標識の視認性も向上している[32]。そのため、一灯点滅式信号機は撤去が進んでおり、警察庁も撤去を促進している[32]

LEDのものは旧来の物に比べ発熱が少ない事から雪が解けずに付着し見づらい・見えないという問題も起こっている[33][34]。そのため、ロータス効果による撥水効果がある灯器の開発が進んでいる[35]また、薄型本体タイプ信号機を斜め下向きに設置する・薄型本体タイプ信号機の表面構造を緩い曲面とするなどして雪を付着しづらくしたり、防雪カバーを取り付けたものも作られてきている。[要出典]

アメリカ[編集]

アメリカの車両用信号は赤、黄、青、青矢印、黄矢印に追加して赤矢印も使用される[36]。黄矢印は青矢印から赤矢印になる間に挟まれる。

レンズのサイズは8インチまたは12インチが基本である[36]。舗装面から25.6フィート以上の高さに設置するよう定めらている[37]

自転車用信号[編集]

多くのヨーロッパの国では自転車用信号が採用され、自動車と自転車で動線が交錯しないようなされている[38]

日本[編集]

日本国内では基本的に自転車も原則としては車両用灯器に従って通行する[39]

日本における自転車用信号の運用は次の通り大きく3通りに分類される[39]

  • 1)「歩行者・自転車専用」の標示板を歩行者用灯器に設置したもの
  • 2)「自転車専用」等の標示板を車両用灯器に設置したもの
  • 3)一方通行の出口等で自転車等を対象に「自転車専用」の標示板を併設したもの

いずれも「自転車専用」と書かれた標示板が設置される[40]

自転車も法令上車両として扱われるため3色の車両用灯器を用いることになっているが、自動車向けに設置された灯器と区別するために2色の灯器を用いることもある[41]

イギリス[編集]

イギリスでは車両用灯器の黄・青の部分に自転車のピクトグラムを用いたものが採用されている[42]。横断歩道と自転車横断帯を併設した信号である「Toucan Crossing」場合、赤・青の2色の信号に歩行者と自転車のピクトグラムが用いられている[43]

歩行者用信号[編集]

日本[編集]

初期の信号機は車両用と歩行者用の区別がなく、同一の信号機によって交通整理が行われてきた[44]1936年(昭和11年)に五反田駅前交差点に車両用と区別するためレンズの直径が150mmの歩行者用信号機が設けられた[45]。その後、1963年(昭和38年)頃にレンズに人形を入れた歩行者用信号機が設置されたが、これらは青点滅しないものであった[46]。そして、1964年(昭和39年)12月15日に歩行者用信号灯器の研究開発することが決定した[46]1965年(昭和40年)に警視庁が新宿追分交差点に試験設置し、アンケートを実施した[46]。このアンケートの結果に基づき見当が加えられ、人形型の歩行者用信号灯器は1966年(昭和41年)2月9日に仕様書が作られ正式化された[46]。そして、1996年(平成8年)に「U型歩行者用交通信号灯器」としてLED式の仕様が制定された[47]。1996年制定の仕様では電球式とLED式で同じ寸法の筐体が用いられていた[48]。しかし、車両用灯器と同様に薄型化された[49]。薄型化によって軽量化や作業性向上の効果の他に歩行者用信号機においては車両との接触事故を防止する効果もある[49]

現在でも歩行者用信号機が設置されていない交差点では車両用信号機に従わなければならない。 歩行者用灯器の高さは地盤面から灯器底部までを2,500 mm以上とし、対岸の横断歩道の中央から見て正対するように設置される[50]。表示面は一辺の長さが200 - 250 mmの正方形である[51]

歩行者用のものは縦型で、下が青、上が赤の配置となっている物が多いが、横型のものも存在する。歩行者用のものは信号機の中にイラストが描かれていて、青は歩いている人、赤は立っている人のイラストとなっている。

表示は基本的に青→青点滅(車両用信号機の黄と同じ役割)→赤の順で切り替わる。車両用信号機と連動のものは基本的に先に歩行者信号機側から切り替わるが、一部例外として先に車両用信号から切り替わる所もある。

電球式では人形が白で、周囲が赤または青として全体が発光している[52]。その一方で、LED式は人形のみが赤または青に発光し、周囲は発光しない[52]。これに伴いLED式では発光面の面積が縮小したため、発光面積の確保のため人形の大型化が行われている[52]

歩行者用信号機の設置は、上下から伸びるアームで信号柱に取り付けるタイプと、上から懸垂するアームで信号柱に取り付けるタイプがある。

上下アームタイプの物で信号柱との位置関係から長いアームとしている場合は信号柱から1本~複数本の鋼棒を斜めに吊して支える事もある。[要出典]

懸垂アームタイプは信号機に衝突など何らかの衝撃が加わった時の破損を防ぐ目的で、取り付け部が可動する構造となっている物もある。[要出典]

歩行者用信号機が単独で設置されている場合は信号柱の上部に取り付けられているタイプの物もあるが、信号機の更新に伴って、上下アームや懸垂アームのタイプに順次取り替えられるようになり、現在はその数を減らしている。[要出典]

赤信号での横断を防ぐ目的として待時間表示装置を併設した歩行者用信号機が1996年(平成8年)から設置されてきた[53]。それに加え、2006年から赤信号・青信号の残り時間を同時に表示できる「経過時間表示付きLED式歩行者用交通信号灯器」の設置が開始された[54][55]。この信号は「ゆとりシグナル」とも呼ばれている[56]。歩行者の多くが赤信号開始までに横断完了できる効果があった[57]。青信号になる直前のフライング横断を抑止する効果も見られた[58][59]。その一方で、赤信号時の横断に対する抑制は見られなかった[58]

視覚障がい者が安全に横断歩道を横断するため音響式信号機が設置される[60]。この信号機は1976年(昭和51年)から設置されている[61]

他にも視覚障がい者や盲ろう者が安全に横断歩道を横断するための触知式信号機(振動ポール)が設置される[62]。昭和40年頃に三重県大阪府香川県で設置されていたが本格的な普及をせずに消滅した[62]。しかし、2006年(平成18年)に新しい装置として復活した[62]

PICS付信号機[63]と呼ばれる、視覚障がい者の持つ白杖に付けた反射シートや専用の発信器をセンサーや受信機が感知して、青信号となった時に「信号が青になりました」とアナウンスされる信号機も徐々に設置されるようになった。PICS付信号機は「歩行者支援信号」と書かれた表示板が併設されている事がある。

歩行者用信号機の表示パネルは、1975年頃までは合成樹脂製であったが、それ以降は経年劣化の起こりにくいガラス製に変更された。合成樹脂製のパネルは長い間使用しているうちに、紫外線や雨水、中の電球の発する熱により劣化し、図案が見えにくくなる。[要出典]

ドイツ[編集]

ドイツでは1933年コペンハーゲンで初めて導入されたが、この当時は自動車用信号機を小さくして緑と赤の灯火を設けたものだった[16]。その後、アメリカにならって「Warten」(待て)と「Gehen」(進め)の文字が光るタイプが取り入れられた[16]1961年東ドイツで歩行者用信号機の図柄に交通心理学者のカール・ペルラウが考案した「アンペルマン」が導入される[64]。東西ドイツの統一直後は旧東ドイツでも西ドイツで既に導入が進んでいた図柄に変更される予定であったが、デザイナーのマルコス・ハックハウゼンの運動により変更は中止となった[65]

路面電車用信号機[編集]

日本[編集]

日本の路面電車道路上では道路交通法施行令によって定められた信号機の意味に従い運転しなければならない。しかし、車両用信号機と共用では円滑な電車の運行が困難と判断されたため、1954年(昭和29年)4月1日より軌道運転規則によって定められた信号機も利用されている[66]。意味は以下の通りである(軌道運転規則第82条)。

方式 色灯式
信号の種類 停止信号 赤色の×印灯
進行信号 黄色の矢印灯

灯器は車両用交通信号灯器を使用することが一般的であるが、歩行者用交通信号灯器を利用することもある[67]。電球式交通信号灯器を使用する場合は黄色矢印と赤×印を施したレンズを取り付ける。LED式交通信号灯器の場合、最初から黄色のLEDを矢印形に、赤色のLEDを×印形に配置した専用の物と、一灯式のLED式信号灯器の黄色・赤にそれぞれ矢印形・×印形に切り抜いたレンズを取り付けた物とがある。

路面電車用信号機は道路上においては、通常は車両用信号機の下部に取り付ける事が多いが、青矢印信号がすでに設置されている場合などでは路面電車用信号機のみをアーム上の別の場所などに取り付ける事もあり、その場合「電車専用」等と書かれた表示板を合わせて取り付ける事もある。[要出典]

黄矢印信号によって進める路面電車は他の交通と交錯しないようにしなければならない[68]

路面電車の定時運航と速達性を確保するため、路面電車を優先する信号制御を行うことがある[69]。導入事例として広島市[70]熊本市[71]が挙げられる。

歴史[編集]

世界[編集]

灯火方式による世界初の信号機は、1868年ロンドン市内のウエストミンスターに設置された信号機である[72]。これは光源にガスを使い、緑色と赤色を手動で表示するものであった。この信号は馬車の交通整理のために置かれたが、起動から3週間後に爆発事故を起こし、撤去されている。1914年8月8日、オハイオ州クリーブランドに世界初の電気式信号機が設置された。1918年に黄色が加えられた3色灯式信号機がニューヨークで初めて設置された[72]

日本[編集]

道路用の信号機は、1919年大正8年)に、東京・上野広小路交差点に試験的に「信号標板」が設置されたのが日本初である[73]。このときは「進メ」「止レ」と書かれた板を警察官が操作する手動式であった[73]。この方式は多くの通行者が戸惑うこととなり、時期尚早として警察官による交通整理の方が良好と判断され本格採用は見送られた[73]。3年後の1922年(大正11年)に上野公園で開催された平和博覧会の会場入り口交差点付近に再登場した[74]。その後、「信号標板」は改良が重ねられ全国の都市に普及した[74]。普及の背景は、大都市での交通事故の増加が顕著であり、更に手信号での適切な交通整理が難しいと判断されていたことであった[74]

自動式信号機は、1930年(昭和5年)3月23日に東京市(当時)の日比谷交差点に設置されたものが最初である[75]。灯器は交差点の中央部に設置され、緑・黄・赤3色の意味を知らせるために、あえて信号灯のガラスの上から「ススメ」「チウイ」「トマレ」と文字が書かれていた[76]。これは米国のレイノルズ社製[75]で、同年に国産の信号機も製造開始されている[77]

太平洋戦争に入ると信号機も灯火管制の対象となり、空襲警報発令時はスイッチを切り換えて減光した[78]。常時は交通整理を行い、一方で赤点滅信号で空襲警報を知らせる役割も担った[78]。この役割のため、道路標識金属類回収令による回収の対象となったが、信号機は回収を免れた[78]。しかし、空襲に伴い大半の信号機は被害を受けた[79]

戦後は被災した信号機を修理するなどして応急処置を行ったが、手信号による交通整理に頼らざる得ない状態であった[80]光度が下がり視認性が悪い信号機が多かったため、鉄道信号に倣い背面板の設置が始められた[81]

戦災前まで東京、大阪、京都などの8府県でしか信号機は見られなかったが、自動車の普及などを背景に全国の地方都市でも信号機の導入が進んだ[82]

1961年に両面に信号機を取り付ける方式が国内で初めて導入され[83]、1966年(昭和41年)に歩行者用信号機が導入された[46]

1994年(平成6年)に日本初のLED式信号灯器が愛知県徳島県に設置された[84][85]。その後、2000年(平成12年)に正式に仕様化された[86]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 主に北海道、本州の日本海側では道幅の広い道路でも縦型が主流。庇は積雪で見えにくくならないよう一番上の赤部分だけ若干長めにしている灯器もある。

出典[編集]

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参考文献[編集]

書籍[編集]

  • 交通信号50年史編集委員会 『交通信号五十年史』 交通管制施設協会、1975年5月31日
  • 浅井建爾 『道と路がわかる辞典』 日本実業出版社2001年11月10日、初版。ISBN 4-534-03315-X
  • ロム・インターナショナル(編) 『道路地図 びっくり!博学知識』 河出書房新社〈KAWADE夢文庫〉、2005年2月1日ISBN 4-309-49566-4
  • 交通工学研究会(JSTE) 『改訂交通信号の手引き』 丸善出版、2006年7月
  • 交通工学研究会 『道路交通技術必携2007』 建設物価調査会、2007年8月
  • 施行ハンドブック編集委員会(編) 『交通信号工事施工ハンドブック』 全国交通信号工事普及協会、2015年4月、2版。
  • 交通信号工事士技能検定委員会ハンドブック編纂作業部会(編) 『交通信号施設保守点検ハンドブック』 全国交通信号工事普及協会、2016年2月
  • UTMS協会 『日本の交通信号史 : その後の40年』、2016年9月

記事[編集]

  • 宮城紘一「信号機による交通整理」、『月刊交通』第8巻第6号、1977年、 8-17頁。
  • 時崎賢二「信号機の灯色(2)」、『人と車』第36巻第10号、2000年、 29頁。
  • 梨森武志「路面電車の信号保安設備」、『鉄道ピクトリアル』第882巻、2013年、 56-67頁。
  • 吉崎昭彦「「信号機設置の指針」の改正,試行について」、『交通工学』第50巻第2号、2015年、 46-51頁。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]