日本の地下鉄

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この項では日本の地下鉄について解説する。日本においては以下のような定義がある。

  1. 主に地下を走る鉄道路線 - 広義。防災や設備面での定義。
  2. 主に大都市内の地下を通り、「地下鉄」と称して地方公共団体等が事業を行っている鉄道路線網(狭義。日本で一般利用者が認識している「地下鉄」の定義)
  3. 上記 (2) の路線に、「交通網整備計画」の策定で盛り込まれた地下鉄でない鉄道路線を主体とする鉄道網を持つ鉄道事業者の地下路線(東急田園都市線渋谷 - 二子玉川間(旧新玉川線)、京急本線泉岳寺 - 品川間、西武有楽町線小竹向原 - 練馬間など)を加えたもの(行政上での地下鉄の定義、都市計画法に定める都市施設の一つである「都市高速鉄道」として)

ここでは、主に (2) の一般利用者が認識している「地下鉄」の定義に基づいて記述する。

目次

[編集] 概要

東京都区部大阪市名古屋市札幌市福岡市を初めとして大都市と政令指定都市の一部に存在し、多くは公営である。当該都市においては都市内交通の中心的存在となっている事例が多い。通勤・通学など日常用から観光用途まで広く一般に利用されている。東京都区部と大阪市においては特に地上の鉄道と併せて都市内の有力移動手段となっている。

[編集] 歴史

[編集] 黎明期

[編集] 東京

浅草上野間開業時に用いられた1000形電車

日本に地下鉄を敷設する計画は、1906年に東京地下電気鉄道が高輪-浅草間及び銀座-新宿間の免許を申請したのが初見である。これは実際に建設する事を目的にしたというよりも、欧米の地下鉄敷設状況を知り、先行して鉄道免許を取得しようとしたものであり、また東京市の反対もあり却下されてしまった。

その中の1915年(大正4年)、東京駅の地下を走行する郵便物貨物専用の地下鉄が開通している。

建設を前提としての免許申請は1917年早川徳次によって申請されたものである。1914年ロンドンの地下鉄を見学した早川は東京への地下鉄導入の必要性を痛感、東京軽便地下鉄道を設立し、高輪~浅草及び車坂(上野)~南千住間で軽便鉄道法による敷設免許を申請した。計画によれば総延長15.3キロ、軌間は1372ミリ、電気は第三軌条式である。

この免許申請を受け、他の地下鉄も免許出願が相次いだ。1918年、武蔵野電気鉄道が上目黒-有楽町間を、1919年には東京高速鉄道は日比谷-渋谷、霞ヶ関-新宿、日比谷-池袋、日比谷-上野間を、東京鉄道は五反田-向島、渋谷-南千住、原宿-巣鴨、新宿-洲崎、目白-池袋間で申請が出願されている。

これらの申請に対し1919年11月17日に東京地下軽便鉄道に、1920年3月17日には、将来東京市が買収する可能性を提示した上で下記区間の免許が交付された。

  • 東京軽便地下鉄道:15.3キロ(高輪南町~浅草公園広小路、車坂町~南千住町)
  • 武蔵電気鉄道:8.0キロ(目黒~有楽町)
  • 東京高速鉄道:14.1キロ(内藤新宿~大塚)
  • 東京鉄道:33.4キロ(目黒~押上、池袋~洲崎、巣鴨~万世橋)

東京市より免許交付を受けた早川は、1920年東京地下鉄道会社を設立、1919年に軽便鉄道法から地方鉄道法に従い計画軌間も1435ミリへと変更した。そして地質調査を進めた結果、1923年に新橋~上野間の工事施行認可を受ける。しかし同年発生した関東大震災の影響で施行区間を上野-浅草に変更して1925年9月27日に着工された。

東京地下鉄道によるオープンカット工法を採用した深度1.5メートルの路下式地下鉄は、着工から2年後の1927年12月30日に開業した。車両は1000型と呼ばれる全鋼製車両であり、日本初のドア・エンジンを採用した。安全面ではニューヨークの地下鉄同様、打子式の自動列車停止装置を採用、また安全畳垣も装備している。

1930年1月1日には万世橋、1931年11月21日には神田までと順調に伸延され、1934年6月21日には新橋までの路線が完成した。

1935年東京高速鉄道により東京に2本目の地下鉄建設工事が開始された。着工区間は渋谷~新橋であり、1938年11月18日最初の青山六丁目~虎ノ門が開通したのを皮切りに、1939年までに渋谷~新橋間の6.3キロを営業供用した。

第二次世界大戦の予感が国民経済に影響を与え始めた1930年代、交通機関の間に適当な競争関係、分担関係を確立させるための交通統制の必要性が提言されるようになった。また空襲被害を受けた際の防空壕としての用途も考慮され、1941年3月7日に帝都高速度交通営団法を制定、同年7月4日帝都高速度交通営団が設立された。空襲の際には地下鉄が唯一の交通機関になることから、防空上の要請から資金と資材が許す限り推進することと定められたが、現実には戦時経済下での建設は殆ど進まなかった。

[編集] 大阪

保存されている開業時の車両・100形

大阪の地下鉄は東京の民間主導と対照的に、大阪市が事業主体になって計画が推進された。1920年に大阪市が地下鉄網の調査を委託し、その報告書が提出された4年後の1926年に下記路線が「大阪都市計画高速度交通機関路線」として認可された。

  • 1号線:江坂~梅田~難波~大国町~天王寺~我孫子(19.9キロ)
  • 2号線:森小路~天六~梅田~天神橋~天王寺(13.7キロ)
  • 3号線:大国町~玉出(3.7キロ)
  • 4号線:築港~花園橋~大今里~平野(17.1キロ)

上記計画に基づき、1930年に第一期事業として梅田天王寺間の工事を開始した。資金調達で受益者負担制度を採用したこの路線は1933年5月20日に梅田~心斎橋間が開業した。打子式の自動列車停止装置を備え、安全畳垣も備えたのは東京と同じであるが、駅設備において自然換気でなく送風装置を使用したこと、ホームまでエスカレーターが設置されていたこと、そして何よりも天井が高く将来の12両運行(当時の車両の大きさで)を見越した長さのプラットホームが特徴である。

大阪では、戦時下でも大国町で1号線と分岐する3号線の建設が進められた。それでも鋼材を使用しない無筋コンクリートアーチ構造を採用するなどの工法上の工夫も加え、1942年5月10日には大国町~花園町間の1.3キロを完成させている。しかしその後は鋼材のみならずセメントの入手も困難となり、トンネルの上部を石積アーチ式にするなどの苦心の工法が採用されたが、その後工事は凍結された。

[編集] その他の都市

東京・大阪以外では純然たる地下鉄の建設は行われていないが、同じ時期に建設された私鉄の中には一部区間を地下線として開業したものがいくつかある。

[編集] 年表

第二次世界大戦の終戦時まで。

[編集] 第二次世界大戦後

終戦時の日本の地下鉄は東京が14.3キロ、大阪が8.8キロという状況であった。空襲で壊滅的な被害を受けた両都市は人口が激減した。

[編集] 東京

東京大空襲により人口が激減した東京では、末広町~稲荷町間が乗客減少を理由に一時運行停止になるほどであった。

戦後の混乱が収まるにつれて、東京では1946年に新たな高速鉄道網を下記の通り決定した。

  • 1号線:武蔵小山~板橋一丁目(23.9キロ)
  • 2号線:祐天寺~北千住(23.8キロ)
  • 3号線:大橋~雷門(16.1キロ)
  • 4号線:富士見町~向原町(22.3キロ)
  • 5号線:中野~東陽町(15.7キロ)

都市計画でいうターナー式を念頭において立案された路線網は1950年代から着工されることになる。最初の着工路線に選ばれたのは4号線(後の丸ノ内線)であり、住宅地と急速に発展した池袋方面への交通網整備と、混雑の著しい山手線中央線を救済する目的が定められた。そして1954年1月29日より順次丸ノ内線が開通することになる。

戦前から都市交通を市営と主張してきた東京市は、戦後東京都と改称してからも営団の解体を主張し、都市交通の一元化を主張していた。そうした中、昭和20年代終盤に営団とは別に都営地下鉄の建設へと目標を転換した。また、政府による統制が緩和されたと判断した郊外私鉄は1948年小田急電鉄を皮切りに西武鉄道を除く全社が1955年までに都心部への乗り入れ路線の申請を出願した。この動きを見た政府は1955年に都市交通審議会が設けられ、翌年にはその答申に従い、郊外私鉄との乗り入れ直通運転を盛り込んだ地下鉄計画が発表された。これにより陸上交通事業調整法で営団による地下鉄一元化を方針転換することになる。以来、東京の地下鉄路線は、営団(現東京メトロ)と東京都交通局の2つの経営体によって整備されることになる。

1956年、東京都は軌道法による免許申請を行い、翌年には営団が保有する1号線が東京都に委譲され、下記内容での計画が策定された。

  • 1号線:品川~五反田~新橋~浅草橋~押上(17.3キロ)
  • 2号線:中目黒~恵比寿~日比谷~秋葉原~上野~北千住(20.9キロ)
  • 3号線:大橋~渋谷~浅草(16.1キロ)
  • 4号線:荻窪・方南町~新宿~東京~御茶ノ水~池袋~向原(30.1キロ)
  • 5号線:中野~高田馬場~飯田橋~大手町~東陽町(15.8キロ)
  • 5~2号線:下板橋~巣鴨~水道橋~大手町

郊外私鉄の相互乗り入れも計画に組み込まれ、1号線は標準軌、架空線式を採用、京急京成が乗り入れることが計画され、同時に1372ミリ軌間の京成は全線で改軌を行い、また京急も品川~泉岳寺間の路線を建設することとなった。

都営地下鉄は1号線(現浅草線)から工事が開始され、隅田川横断工事などに難航したが、1960年12月4日の午後に浅草橋~押上間が初めて開業した。

一方、営団も翌1961年に、東武鉄道東京急行電鉄の乗り入れを予定して、架空線式を採用した2号線(現日比谷線)を開業、以後の東京の地下鉄は、既存郊外路線との乗り入れを前提にした架空線式が主流になる。

[編集] 大阪

大阪では1948年に新たに都市計画が立案され、戦前の1号線から3号線は戦前の計画を踏襲したが、4号線で大阪港~放出、5号線で神崎川~平野間の東西路線が計画され、都市計画の基本であるペーターゼン式の路線網が計画された。

大阪の場合、東京と異なり堺筋線を除いては戦前の第三軌条式を踏襲したため、車両の共通化の利点はあるものの、既存他社路線との乗り入れが不可能で、高度成長期に梅田や難波など主要ターミナル駅の混雑を増大させる結果となった。→#集電方式参照。

[編集] その他の都市

1960年代以降のモータリゼーションの発展に伴い、1970年代に入ると地方都市でも近距離の公共交通機関が路面電車から乗合バスとなる所が多くなり、大都市では路面電車の代わりとして高速かつ大量輸送をおこなえる地下鉄が建設されるようになった。

[編集] 日本の地下鉄路線

公営地下鉄
名称 事業者 路線数 同左
未開業
総延長
(km)
同左
未開業
駅数※2 同左
未開業
摘要
札幌市営地下鉄 札幌市交通局 3   48.0   46  
仙台市地下鉄 仙台市交通局 1 1 14.8 13.9 17 12  
都営地下鉄 東京都交通局 4   109.0   98   このうち三田線の白金高輪~目黒間2.3kmは第二種鉄道事業者
川崎縦貫高速鉄道 川崎市交通局
(計画中)
  1   16.7   11 2005年度見直し案による第1期整備区間のもの
横浜市営地下鉄 横浜市交通局 3   53.5   40   1・3号線(ブルーライン)は一体的に運行しているので実質は路線数2
名古屋市営地下鉄 名古屋市交通局 6   89.1 4.1 83 4 このうち上飯田線全線(0.8km)は第二種鉄道事業者、未開業分のデータは桜通線延伸着工分のみ
京都市営地下鉄 京都市交通局 2   31.2   31    
大阪市営地下鉄 大阪市交通局 8 1 129.9 23.1 100   未開業分の駅数は未定のため不明
神戸市営地下鉄 神戸市交通局 4   30.6   25   西神延伸・西神・山手線は一体的に運行しているので実質は路線数2
福岡市地下鉄 福岡市交通局 3   29.8   35    
民営・準公営(第三セクター)地下鉄
名称 事業者 路線数 同左
未開業
総延長
(km)
同左
未開業
駅数※2 同左
未開業
摘要
東京メトロ 東京地下鉄 9   195.1   141   副都心線と有楽町線との共用区間は重複計上せず
埼玉高速鉄道線 埼玉高速鉄道 1   14.6   8    
りんかい線 東京臨海高速鉄道 1   12.2   8    
みなとみらい線 横浜高速鉄道 1   4.1   6    
神戸高速鉄道 神戸高速鉄道 2   7.6   10    
アストラムライン 広島高速交通 1   0.3   2   地下鉄扱いの区間である本通~県庁前間についてのみ
未開業区間については外数。
※2 駅数には同一名称の駅を重複計上していない。

[編集] 構造

[編集] 集電方式

世界的に地下鉄では主流とされる第三軌条方式(サードレール方式)は、日本では札幌市営地下鉄南北線東京メトロ銀座線丸ノ内線横浜市営地下鉄ブルーライン名古屋市営地下鉄東山線名城線名港線大阪市営地下鉄御堂筋線谷町線四つ橋線中央線千日前線で採用されており、これ以外の路線は剛体架線またはカテナリ吊架式による架線集電方式を採用している。

これは日本では郊外路線との相互直通運転を前提として建設される路線が多いため、既存路線と規格を合わせる必要があることによる。逆に大阪市営地下鉄の御堂筋線と相互直通をする北大阪急行電鉄、中央線と相互直通する近鉄けいはんな線は新規に第三軌条方式で建設された郊外路線である。

[編集] 地下鉄駅

日本の地下鉄駅の災害などに備えての対策は、世界的に見ても非常に盛んである。その背景には地下鉄サリン事件が関係している。

東京では墨田区江東区江戸川区などの海抜がマイナスのいわゆるゼロメートル地帯を走行する、東京地下鉄東西線都営地下鉄新宿線などに、防水扉が設けられている。

東海豪雨のときは名古屋市営地下鉄名城線平安通駅が冠水したため、名城線市役所駅砂田橋駅間(当時は砂田橋行)で代行バス運転を行った。そのほかにも、名古屋市営地下鉄鶴舞線の一部駅や名古屋市営地下鉄名港線名古屋港駅では防水扉を設置している。

また、著しく利用客の多い駅では、島式のホームを方向別に千鳥状に分けることによって、利用者の混雑を抑えるところもある。例として名古屋市営地下鉄東山線名古屋駅が挙げられる。

[編集] 車両

車両は古い路線(特に他社との乗り入れを前提に作られた路線)では、地上の鉄道と同様の大型の車両を用いるのが一般的であったが、2000年代以降ではミニ地下鉄が用いられることが増えた。

[編集] ミニ地下鉄

大阪市営地下鉄長堀鶴見緑地線

ミニ地下鉄とは、一般的な地下鉄のように大量人員輸送を担うシステムと、モノレールバスのような少量人員輸送を担うシステムの中間部分を担うために研究・開発された日本独自の地下鉄システムである。

地下鉄の工費は莫大になるため、輸送需要の少ないところでは小さな車体の車両を使うことでトンネル断面を小さくして、できるだけそれを抑えようとしたことから生まれた。車両を低床化してトンネル断面を縮小するため、鉄輪式リニアモーターカー(浮上はせず、鉄車輪で走行)を使用することが多い。非粘着のリニアモーター駆動のため、急勾配や急曲線にも対応できるという特徴を持つ。これらは、リニアメトロまたはリニア地下鉄などと呼ばれるが、リニアモーターカーではなくても小断面トンネル・小型車体を採用していれば「ミニ地下鉄」といえる。ただし、東京地下鉄銀座線名古屋市営地下鉄東山線名城線名港線ではJRや一般の私鉄等の車両と比較して小型な車両を使用しているが、これらをミニ地下鉄と呼ぶことはない。

リニア式ミニ地下鉄は、大阪市交通局鶴見緑地線(現・長堀鶴見緑地線)で、初めて実用化された[1]。輸送需要が少ない路線では、建設費削減のために小断面トンネル・小型車両によるミニ地下鉄が採用されている。現在、営業中および建設中のミニ地下鉄は下記の通り。

※の路線はリニア式ではないが、小型サイズの車両を使ったミニ地下鉄である。

リニア誘導モータを使用した場合、確かに建設費は安くなるが、消費電力が増える。これは従来型のモーターに比べ、リニア誘導モータは損失が多いためである。損失が従来の回転式電動機に比べ多い理由はリニア誘導モータ特有の損失と一次側とリアクションプレートとの隙間が多いことが挙げられる。開発されていた1980年代においては小断面の地下鉄には非粘着のため、急勾配や急曲線にも対応できるというリニア誘導モータの採用が最適であるとされてきたが、近年、推進効率の高い低床LRT向けの台車が普及しつつあり、リニア誘導モータの優位性は徐々に減りつつある。

[編集] 日本の地下鉄の現況

日本の法規上では、大阪市営地下鉄を除き鉄道事業法に基づいている。

東京の東京地下鉄東西線都営地下鉄三田線、大阪の大阪市営地下鉄御堂筋線・中央線、神戸の神戸市営地下鉄西神・山手線、横浜の横浜市営地下鉄ブルーラインなどは、都心から外れた郊外の区間を中心にして広範囲に地上や掘割、高架を走っている場合もある。世界的に見ても、一部路線が地上や高架を走る路線は存在する(河川を跨ぐ前後などにもみられる)。中には高速道路と一体構造で建設されている路線もある。

一方、地下鉄でない京王新線は都営地下鉄新宿線と、西武有楽町線東京地下鉄有楽町線と連絡している。近鉄難波線JR東西線京阪中之島線は地下鉄と直通しないが、それ自体がほぼ全て地下を走っているというような場合もある。

日本の大手私鉄のうち、地下線や地下駅、地下鉄などに直通運転するための車両を全く持たないのは南海電気鉄道西日本鉄道の2社のみである。

日本で一般に認識されている地下鉄の印象は、一般に公営交通として、自治体(地方公営企業である交通局)が直接経営している公営地下鉄か、旧・営団地下鉄の東京メトロのみで、私鉄や都市型第三セクター鉄道の路線はたとえ地下を走っている場合でも地下鉄ではないという認識があり、埼玉高速鉄道横浜高速鉄道東京臨海高速鉄道神戸高速鉄道などは第三セクターであるということから地下鉄に含む場合と含まない場合がある。

  • また地下鉄とは認められていないが長野電鉄は地方私鉄としては珍しく長野市中心部の4駅が地下駅である。

[編集] 東京都心

東京都心は山手線内一帯に拠点が散在しているが、地下鉄より早く完成した中央線など、JR線が速達性を持っていて、地下鉄やバスはその補完的な存在となっている[要出典]

  • 銀座線のバイパス路線である半蔵門線は駅間距離を広げて速達性を持たせている。また、副都心線の急行・通勤急行、都営新宿線の急行、都営浅草線のエアポート快特は都心の駅を通過する。東西線の快速・通勤快速は都心では各駅に停車する。
  • 皇居の下を通しても途中駅が造りようがなく、皇居の周りに広がっている各拠点を迂回して通った方が、多くの人が乗って収益が見込める(実際、大きな拠点を外して敷設された路線ほど赤字の傾向がある)。その上、皇居は天皇の住まいであるという観点から、警備上の問題なども有り、皇居の地下に地下鉄を通すことを今まで認められた事は無い。結果として、地下鉄は全て皇居の下を避けるように周囲に迂回して建設されている(但し、江戸城の堀の下を通る路線は複数存在する)。

[編集] 大阪都心

大阪では、大阪城跡が現在の業務中心地からややはずれた一角にあることと、地下鉄各路線が網の目にむらがあるペーターゼン式であるため、東京のような問題は殆ど無い。各路線は大阪環状線(同記事も参照)の内側では、ほぼ南北の筋と東西の通りに沿って建設され、かつて存在した市営モンロー主義の名残もあり、市内交通の主力になっている。ただし、各大手私鉄とJRのターミナルはキタミナミの周辺に集中しており、私鉄やJRとの相互乗り入れが活発でないことや、ペーターゼン式の弊害で、大黒字なのはキタ・梅田とミナミ・難波の西日本の業務中枢地区を貫通して直結する御堂筋線だけであるという問題、目的地に到着するまでの、乗換え回数が必然的に多くなるという問題がある。

御堂筋線梅田駅の乗降客数は、日本の地下鉄で単一路線の駅としては第1位である(2007年11月13日の梅田駅での乗降客数は460,859人となっている[2])。

[編集] 他路線の延長としての地下鉄

JR・私鉄と相互直通または接続している地下鉄路線の中には、既設の地上路線の延長や廃止区間の代替として事実上一体的に作られたものもある。路線としては事実上一体化していても、接続先の会社線で運賃体系が変わり、接続路線・地下鉄にまたがっての利用数者は伸び悩んでいる事例も多い。乗継割引を適用して対処している路線もあるが、根本的な解決には至っていない。

この逆で、地下鉄の延長として作られた北大阪急行南北線名鉄豊田線北神急行北神線近鉄けいはんな線埼玉高速鉄道線東葉高速鉄道線などの路線もあるが、運賃体系については同じ問題を抱えている。さらに新線区間では加算運賃や、既設線より割高な運賃体系が適用されていることもある。

[編集] 日本の地下鉄における優等列車

基本的に、地下鉄は以下に挙げる理由

  1. 道路の下に沿っているうえ、既存の地下鉄や地下街の間を網の目を縫うように掘られるため、結果多くの区間でアップダウンやカーブが激しくなり、高速運転に不向き。
  2. 地下鉄は建設費が莫大でさらに近隣の地下の使用状況を考えると、優等列車の待避設備などを設けるだけの予算や場所の捻出が困難。
  3. 地下鉄は普通、都市の都心部に建設されるためどの駅も利用者が多く、こまめに停車した方が多くの収益が見込める。また、多くの駅で乗り換え路線が何線かあり旅客の流動性が激しいことから、優等種別の停車駅設定が困難かつ優等種別の存在意義が薄い。

などから、各駅停車のみの運転を行っている路線が多い。他社線と直通運転していて、他社線内では優等種別として運転していても地下鉄線内では各駅に止まる場合も多々あり例として挙げられるのが東京地下鉄半蔵門線であろう。また、地下鉄ではない路線でも、地下区間(京王新線JR東西線など)は原則全ての優等列車を各駅に止めている路線例もある。

[編集] 優等列車導入の歴史

[編集] 日本の地下鉄の経営状況

日本の公営地下鉄は、地方自治体経営における交通部門の施策の一つとして、鉄道単体の収支以外に地下鉄建設による環境負荷軽減効果、渋滞緩和効果、地価上昇効果、税の増収効果、住民の便益向上効果などを、総合的に判断して経営されている。

民鉄やJRの経営状況を鉄道事業以外の小売事業やカード事業など母体会社の連結対象となる事業を含めた決算資料で判断しなければ、適正な経営状況を把握できないのと同様、地方自治体の地下鉄事業による総合的な収支の把握は、その連結対象となる経済効果の経済価値を含めて判断しなければならない。

しかし、現状では、地下鉄事業によって波及して発生している経済効果を把握していく適切かつ統一した会計基準がないばかりか、地下鉄事業本体の会計に至っても適切かつ統一した会計基準がない状況である。

例を挙げれば、減価償却費を各自治体が、どのように計上していくかによって決算の数字が大きくブレる可能性がある。以下に示すのは、自治体によって公表されている「地下鉄決算」の断片を拾ったデータだが、通常、よく目にする企業会計原則によって出された連結決算とは意味が大きく異なる資料であることを認識して取り扱わなければ地下鉄事業の意義を見誤ることになる。

▲は赤字を示す。

公営地下鉄
名称 会計年度 純損益 累積欠損金 出典
札幌市営地下鉄 平成19年度 約13億5,531万円 約3,398億6,790万円 [3]
仙台市地下鉄 平成19年度 ▲約3億8,667万円 約1,099億5,183万円 [4]
都営地下鉄 平成19年度 約109億8,031万円 約4,636億2,758万円 [5]
横浜市営地下鉄 平成20年度 ▲約21億2,000万円 約2,447億0,000万円 [6]
名古屋市営地下鉄 平成19年度 ▲約16億円 約3,204億円 [7]
京都市営地下鉄 平成20年度 ▲約144億2,000万円 約3,042億9,200万円 [8]
大阪市営地下鉄 平成20年度 約124億1,800万円 約341億6,100万円 [9]
神戸市営地下鉄 平成19年度 ▲約29億5,593万円 約1,182億1,388万円 [10]
福岡市地下鉄 平成19年度 ▲約20億0,875万円 約1,384億9,336万円 [11]


民営・準公営(第三セクター)地下鉄(連結決算)
事業者名 会計年度 純損益 負債合計 出典
東京地下鉄 平成20年度 約406億8,100万円 約7,526億6,500万円 [12]
埼玉高速鉄道 平成20年度 ▲約38億7,900万円 約513億6,800万円 [13]
東京臨海高速鉄道 平成20年度 ▲約18億1,200万円 約536億3,600万円 [14]
横浜高速鉄道 平成20年度 ▲約18億6,889万円 約76億4,035万円 [15]
神戸高速鉄道 平成20年度 ▲約3億0,800万円 約15億3,800万円 [16]

[編集] 路線別

全国の公営地下鉄(東京地下鉄・高速鉄道除く)で黒字の路線は、黒字額が大きい順に示すと以下のようになる。

路線名 会計年度 純利益 出典
大阪市営地下鉄御堂筋線 平成19年度 約351億2,100万円 [9]の11ページ目
名古屋市営地下鉄東山線 平成19年度 約119億6,000万円 [17]の36ページ目
都営地下鉄新宿線 平成19年度 約111億9,338万円 [5]の5ページ目
都営地下鉄浅草線 平成19年度 約88億4,907万円 [5]の5ページ目
大阪市営地下鉄谷町線 平成19年度 約46億6,100万円 [9]の11ページ目
神戸市営地下鉄西神・山手線 平成17年度 約39億0,500万円 [18]
大阪市営地下鉄中央線 平成19年度 約38億8,800万円 [9]の11ページ目
札幌市営地下鉄南北線 平成19年度 約38億7,600万円 [19]
都営地下鉄三田線 平成19年度 約33億3,548万円 [5]の5ページ目
名古屋市営地下鉄鶴舞線 平成19年度 約29億5,100万円 [17]の9ページ目

以上の10路線が黒字を示している。また、各路線の黒字額は不明だが、平成18年度の福岡市地下鉄空港線福岡市地下鉄箱崎線両線の黒字額は合わせて約39億1,000万円となっている[20]

逆に、赤字額が大きい路線を順に示すと以下のようになる。

路線名 会計年度 純損失 出典
京都市営地下鉄東西線 平成19年度 約158億2,700万円 [21]
名古屋市営地下鉄桜通線 平成19年度 約129億1,000万円 [17]の9ページ目
都営地下鉄大江戸線 平成19年度 約123億9,762万円 [5]の5ページ目
大阪市営地下鉄今里筋線 平成19年度 約107億8,600万円 [9]の11ページ目
札幌市営地下鉄東豊線 平成19年度 約95億6,600円 [19]
大阪市営地下鉄長堀鶴見緑地線 平成19年度 約81億3,600万円 [9]の11ページ目
神戸市営地下鉄海岸線 平成19年度 約66億円 [22]
福岡市地下鉄七隈線 平成18年度 約62億円 [20]

の順で赤字が大きくなっている。(減価償却費も含むので収入に対する営業支出が多い路線を意味するとは限らない。)

[編集] 輸送状況

日本全国の市営・都営地下鉄と東京メトロの各路線の1日平均輸送人員を、下記に表す。数字は全て、2005年度(平成17年度)現在の数値(日本地下鉄協会ホームページより)。

事業者名 路線名 一日平均輸送人員
(2005年度/千人)
札幌市交通局 全線 570
南北線 237
東西線 206
東豊線 127
仙台市交通局 南北線 161
東京メトロ 全線 5,759
銀座線 1,016
丸ノ内線 1,067
日比谷線 1,063
東西線 1,218
千代田線 1,050
有楽町線 779
半蔵門線 753
南北線 382
副都心線  
東京都交通局 全線 2,086
浅草線 583
新宿線 593
三田線 513
大江戸線 682
横浜市交通局 全線  
ブルーライン 459
グリーンライン  
名古屋市交通局 全線 1,149
東山線 544
名城・名港線 527
鶴舞線 278
桜通線 227
上飯田線 28
京都市交通局 全線 315
烏丸線 228
東西線 128
大阪市交通局 全線 2,277
御堂筋線 1,055
谷町線 394
四つ橋線 224
千日前線 120
中央線 163
堺筋線 233
長堀鶴見緑地線 88
今里筋線  
神戸市交通局 全線 303
山手・西神線 264
海岸線 39
福岡市交通局 全線 323
空港・箱崎線 279
七隈線 44

[編集] 脚注

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  1. ^ 地下鉄ではないが、同様のシステムの鉄道は、1986年カナダバンクーバーに開業した高架鉄道スカイトレインがあり、1988年さいたま博覧会で展示走行した地上線リムトレンがある
  2. ^ 大阪市交通局 (2008). 平成19年度 地下鉄・ニュートラム 交通調査の結果について. 
  3. ^ 札幌市 (2008). 平成19年度 高速電車事業会計決算. 
  4. ^ 仙台市交通局 (2008). 平成19年度高速鉄道事業会計決算. 
  5. ^ a b c d e 東京都監査事務局 (2008). 平成19年度東京都高速電車事業会計決算審査意見書. 
  6. ^ 横浜市交通局 (2009). 平成19年度 高速鉄道事業会計及び自動車事業会計決算(速報)について. 
  7. ^ 名古屋市交通局 (2008). 平成19年度の決算の概要. 
  8. ^ 京都市交通局 (2009). 交通局の財政状況について. 
  9. ^ a b c d e f 大阪市交通局 (2008). 平成20年度 決算の概要(速報). 
  10. ^ 神戸市交通局 (2008). 交通局の財政状況. 
  11. ^ 福岡市交通局 (2008). 平成19年度 交通局所管決算の概要. 
  12. ^ 東京メトロ (2009). 決算情報. 
  13. ^ 埼玉高速鉄道 (2009). 平成20年度決算の概要について. 
  14. ^ 東京臨海高速鉄道 (2009). りんかい線営業概要). 
  15. ^ 横浜高速鉄道 (2008). 横浜高速鉄道(株)の平成19年度決算の概要. 
  16. ^ 神戸高速鉄道 (2009). (平成20年度決算). 
  17. ^ a b c 名古屋市交通事業経営健全化検討委員会 (2009). 名古屋市交通事業経営健全化検討委員会第 3 回資料. 
  18. ^ 神戸市 (2006). 平成17年度 神戸市交通局の決算の状況. の2ページ目
  19. ^ a b 札幌市 (2008). 札幌市決算監査高速電車事業会計. 、P114路線別営業路線1km当たり収支から算出
  20. ^ a b 西日本新聞 (2007). 福岡市営地下鉄 七隈線 62億円の赤字 06年度 乗客、計画の5割未満. 
  21. ^ 京都市 (2009). 京都市高速鉄道事業経営健全化計画案. の2ページ目
  22. ^ 神戸新聞 (2008). 利用低迷、累積赤字583億 地下鉄海岸線開業7周年. 

[編集] 関連項目

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