軌間
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軌間(きかん)は、鉄道の線路を構成する左右のレールの間隔である。ゲージ (gauge) ともいう。レールには太さがあるため、レール頭部の内側どうしの最短距離と規定される。
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概要 [編集]
鉄道の草創期には、双頭レールなどレールの断面形状が現代のそれと異なる事もあり、レールの中心間寸法を軌間とした例も多数存在する。これらは、現代の測定法に変更する際に、車両設備に一切手を加えることなく、公称する軌間を変更することにより対応している。またフィートインチ法から、メートル法へ単位系の切り替えの際の四捨五入の考え方の違いで、派生した軌間も存在する。
軌間の変更、すなわちレールの間隔を変更することは改軌(かいき)と呼ばれる。
軌間の広狭による性質 [編集]
車体の大きさ(特に重心高)を同じもので比較すれば、軌間が広いものでは、一般的に、車両の安定性が増して横風などの外乱に対する抗力も向上し、高速化が相対的に容易になる。ただし、軌間が広がると曲線部での内外の車輪の回転差が大きくなるため、最小曲線半径を大きくとる必要が生じる。軌間が狭い場合はそれぞれが逆になる[1]。このため、最小曲線半径について特段の要求が無いのであれば、軌間を広げるほうが高速化により輸送力を増大させやすい。加えて、軌間が広いものでは車体サイズも拡張しやすいため、輸送力の面ではさらに有利である。
なお、蒸気機関車の時代には、広い軌間にさらなる利点があった。つまり、蒸気機関車では、火室面積やボイラー・動輪の大型化が性能(出力、速度)に直結した。このため同じ技術水準であれば、軌間を増せば機関車性能を高めやすくなるという関係があった。ただし現代では、車両の動力装置の性能が十二分に高くなり速度も高まっていることから、高速化や輸送力増大により大きく影響するのは軌間の広狭から、軌道・路盤の整備状況、線形の良し悪し、および車両・台車の走行性能に移っている。
建設コストについては、土地の収用・建材費を考慮した場合、軌間の広狭にそれぞれメリット、デメリットが存在する。比較のため車体の大きさが変わらないとする。このとき、土地の収用に関しては、同じ距離かつ直線であれば軌間の広狭に関わらずほとんど同じ収用コストとなる。土地の面積が変わらないためである。しかし曲線まで考慮すれば、軌間が広い場合、路線が直線的になるため、最小曲線半径までの範囲でカーブを作る必要性からより直線的な土地を確保する必要が増して用地取得が難しくなり、特に都市部において土地代が高くなる。ただし、路線が直線的になると総延長が短くなって収容面積が小さくなる点は土地代を低減させる効果がある。建材費から見れば、軌間が広い場合、レールの高さ、枕木の長さ等から費用が高くなり、敷設のコストが増す。一般には建設コストの面では軌間が広いとデメリットが多くなり、鉱山や工場敷地内などの場合は車体の大きさに対する特別な要求は無いため、狭軌の敷設のしやすさが大きなメリットとなる。
鉄道が軍隊の兵站の大部分を担っていた時代には、自国の鉄道が敵国に鹵獲されても容易には使用されないように、防衛上の観点からあえて違う軌間を採用する事例が見られた。この場合、広軌から狭軌へ改軌するほうが相対的に楽であるため、相手国(敵国)よりも幅の狭い規格であることが、防衛の目的では有利に働いた。
軌間の種類 [編集]
詳細は「軌間の一覧」を参照
代表的な軌間の例を挙げる。
- 標準軌は、1,435 mm(4 ft 8.5 in)で、欧米および中国、韓国では標準規格が採用されている。日本では新幹線、主に関西の私鉄、路面電車、多くの地下鉄路線で採用。
- 広軌 標準軌より広い軌間。非標準軌あるいは「ブロードゲージ(Broad Gauge)」とも呼ばれる。現在、日本の営業用路線には存在しない。特殊用途の鉄道では、巨大な積載物を移動する必要性などから広軌が採用される場合もある。
- 1,524(1,520) mm (5 ft 0 in = 60 in) - 旧ソ連各国、フィンランド、モンゴル
- 1,600 mm (5 ft 3 in = 63 in) - アイルランド、オーストラリア一部
- 1,668(1,665) mm - スペイン、ポルトガル
- 1,676 mm (5 ft 6 in = 66 in) - インド、パキスタン、アメリカのバート
- 2,130 mm (6 ft 11.9 in) - 鉄道草創期のイギリスなどにあった。
- 2,743 mm (9 ft 0 in = 108 in) - 琵琶湖疏水のインクライン(廃止)
- 3,000 mm (9 ft 10.125 in = 118.110236220472 in) - ナチス・ドイツでは、ブライトスプールバーンと呼ばれる巨大列車計画があった。
- 9,000 mm - クラスノヤルスク(ロシア)のインクライン
- 狭軌 標準軌より狭い軌間。「ナローゲージ (Narrow Gauge)」とも呼ばれるが、日本においては1067mm・1,372mmの軌間を「ナローゲージ」と呼ぶことは少ない(後述)。
- 1,372 mm(4 ft 6 in) - 京王線、都営地下鉄新宿線、都電、東急世田谷線、函館市電、1959年までの京成線および新京成線 - 偏軌。東京の馬車鉄道に由来することから馬車軌間と呼ばれる。
- 1,067(1,065) mm(3 ft 6 in) - JR在来線、多くの私鉄およびこれらの路線に乗り入れる地下鉄、台湾、フィリピン、インドネシア、南部アフリカ(ケープ軌間)、中南米の一部、オーストラリアクイーンズランド州、ニュージーランド。3フィート6インチから、日本では三六軌間、サブロクとも呼ばれる。
- 1,000 mm(メーターゲージ) - 東南アジア(大陸部分)、ヨーロッパ(ドイツ、スイスなど)・アフリカ、南アメリカの一部。日本ではケーブルカーではあるが、1995年まで箱根登山鉄道鋼索線で使用されていた。
- 950mm - イタリアの狭軌鉄道。(例:サルデーニャ鉄道)
- 914(912) mm(3 ft) - アメリカ合衆国の狭軌鉄道、中南米の一部の簡易鉄道。日本ではかつて福岡県を中心とした九州北部と岡山県の西大寺鉄道での採用例があったが改軌または路線廃止により現在では営業用普通鉄道での採用例はない。ケーブルカーでは青函トンネル竜飛斜坑線に日本で唯一使用されている。
- 800 mm - スイスを中心としたヨーロッパのナローゲージの登山鉄道(例:ブリエンツ・ロートホルン鉄道、ピラトゥス鉄道)に見られるゲージである。
- 762 mm(2 ft 6 in) - 世界の多くの軽便鉄道・森林鉄道。日本では三岐鉄道北勢線、近鉄内部・八王子線、黒部峡谷鉄道。 日本で「ナローゲージ」と呼ばれる鉄道の多くがこの軌間である。2フィート6インチから、ニロク、ニブロクと呼ばれる。
- 609(610) mm -アジアなどの軽便鉄道(例・インドのダージリン・ヒマラヤ鉄道)、アメリカ合衆国、ヨーロッパの一部保存鉄道等、世界各地のそれほど輸送力を必要としない路線。また鉱山などの産業用鉄道(例・立山砂防工事専用軌道)など。日本においては産業用鉄道の他、人車軌道などに採用例がある。
- 600 mm - 日本ではかつて千葉県営鉄道の一部路線に採用例があった。
- 597 mm - 英国ヴェール・オヴ・レイドール鉄道などの一部の鉄道
- 381 mm(15 in) - 英国ロムニー・ハイス&ディムチャーチ鉄道など一部の鉄道(ロムニー鉄道と同規格のものが伊豆修善寺の「虹の郷」園内にあり)、鉱山などのトロッコ、遊園地の豆汽車やお猿電車などの遊戯物、個人や小団体が保有する庭園鉄道(例:桜谷軽便鉄道)など
ここまでが、実際の交通機関(輸送手段)として使われている(または過去に使われた)軌間である。これより狭いものはライブスチーム(イベントなどのミニSLなど)による庭園鉄道や、鉄道模型などで使われる。
「鉄道模型#軌間(ゲージ)」も参照
- 127 mm - 5インチゲージ
- 89 mm - 3.5インチゲージ
- 45 mm - 1番ゲージ、Gゲージ
- 32 mm - Oゲージ
- 16.5 mm - HOゲージ、OOゲージ
- 9 mm - Nゲージ
- 6.5 mm - Zゲージ
- 3 mm - Tゲージ
1435mmはあくまでも欧米における標準であり、日本においては1067mmが圧倒的多数を占める。そのため、古い資料では「1435mm=広軌、1067mm=標準軌」と記されているケースもあり、注意が必要である。この場合、京王線、函館市電などが採用する1372mmは広軌の扱いを受けることが多い。
軌間の異なる路線への乗り入れ [編集]
三線軌・四線軌などレールの追加による対応 [編集]
車両側に何も手を加える必要がないため、各地でこのような対応がとられることが多い。保守、特に分岐器などで手間とコストがかかること、三線軌では列車の中心位置がずれるため建築限界への制約、レールの扁磨耗という欠点がある。
- 奥羽本線/秋田新幹線 神宮寺 - 峰吉川間など
- 箱根登山鉄道 入生田 - 箱根湯本間(過去:小田原 - 箱根湯本間)
- 京急逗子線上り線(過去:大師線)
- 北海道新幹線開通後の青函トンネル内とその前後では、新幹線用の標準軌とJR在来線用(主に貨物列車)の狭軌の3線軌になる予定である。
台車交換による対応 [編集]
旧ソ連やスペインなど広軌鉄道となっている区間に、標準軌の客車・貨車を乗り入れさせるために、接続駅で台車の交換が行われる。日本では機関車牽引の旅客列車が少なく、貨物列車のほぼ全てが狭軌区間を走行するためなじみが薄いが、ミニ新幹線車両や1067mm軌間でない民鉄の鉄道車両をJR在来線を介して輸送する場合などには、台車交換が行われることがある(車両輸送を参照)。近畿日本鉄道では車両工場が標準軌線内にあるため、1,067mm軌間車両が入場する際は境界駅で仮台車に交換している。日本国内での営業用旅客列車の例としては、1988年に標準軌のオリエント急行 (NIOE) 客車を、狭軌のJR在来線で走行させるために台車交換を行ったことがある。しかし、台車交換に時間がかかること、動力分散型車両への適応が難しいことなどの欠点がある。
類例としては、ナローゲージ用の貨車を標準軌用の専用貨車に積載して、そのまま直通させる例がある。
車両側による対応 [編集]
軌間可変車軸を備えた車両によるもので、スペインのタルゴ客車やAlvia電車、日本のフリーゲージトレイン(試験中)などが挙げられる。いずれも台車の脱着をすることなく、専用の軌間変更装置の上を走行することで迅速に標準軌と非標準軌の転換が可能。
軌間の比較画像 [編集]
三重県桑名市の桑名駅近くの踏切では、近鉄名古屋線 (1435mm)・JR東海関西本線 (1067mm)・三岐鉄道北勢線 (762mm)と、3種の軌間が並ぶ姿が見られる。(地理座標)
近鉄名古屋線 |
JR関西線 |
三岐鉄道北勢線 |