ドイツ
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- ドイツ連邦共和国
- Bundesrepublik Deutschland
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(国旗) (国章) - 国の標語 : Einigkeit und Recht und Freiheit
(ドイツ語: 統一と正義と自由) - 国歌 : ドイツ国歌

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公用語 ドイツ語¹ 首都 ベルリン
北緯 52度30分
東経 13度22分最大の都市 ベルリン 形成
統一(ドイツ帝国)
連邦共和国成立
東西統一843年
1871年
1949年5月23日
1990年10月3日通貨 ユーロ ² (EUR, €)
※ドイツのユーロ硬貨(EUR)時間帯 UTC +1(DST: +2 UTC) ccTLD DE 国際電話番号 49 - 注1: デンマーク語、ソルブ語は公認され、少数言語として保護されている。低ザクセン語は欧州連合により保護されている。
注2: 1999年以前はドイツマルクを使用。
ドイツ連邦共和国(ドイツれんぽうきょうわこく、独:Bundesrepublik Deutschland)、通称ドイツは、ヨーロッパ中部にある連邦制の共和国である。首都ベルリン。北はデンマーク、東はポーランド、チェコ、南はオーストリア、スイス、西はフランス、ルクセンブルク、ベルギー、オランダと国境を接する。また、北部は、北西側が北海、北東側はバルト海に面する。
領域は1990年のドイツ再統一によって、ドイツ民主共和国(旧東ドイツ)を構成していた15県および東ベルリンが6州としてドイツ連邦共和国に編入されて、現在の16州となった。アメリカ合衆国、日本に次いで世界第3位(為替レート換算値による)のGDPを誇る経済大国であり、世界の先進7ヶ国(G7)の一つ。フランスと並ぶ欧州連合 (EU) の中核国でもある。
目次 |
国名
ドイツ語での正式名称は、Bundesrepublik Deutschland (ブンデスレプブリーク・ドイチュラント)。通称は、Deutschland。略称は、BRD(ベーエルデー)。Bundesは「連邦」の意、Republikは「共和国」の意である。Deutschの原義は「民衆、大衆」という意味で、フランク王国時代にラテン語系の言語ではなく、ゲルマン語系の語を用いるゲルマン人系一般大衆をこう呼んだことに由来する。
公式の英語表記はFederal Republic of Germany。通称はGermany。略称はFRG。Germanyは民族名の「ゲルマン」から来ている。 日本語表記はドイツ連邦共和国。通称はドイツ。独逸、獨乙などと表記され、独(獨)と略される。中国語では徳意思、徳国であり、日本にも独の字を忌避して徳国と表記する人がいる。「ドイツ」は原語(ドイチュラント)、若しくはオランダ語の「Duits」が起源だといわれている。 フランスやスペイン、ポルトガルではそれぞれアルマーニュ(Allemagne)、アレマニア(Alemania)、アレマーニャ(Alemanha)と呼ばれるが、これはゲルマン人の一派であるアレマン人に由来する。
歴史
詳細はドイツの歴史を参照。
現在のドイツを含む西ヨーロッパ地域に人類が居住を始めたのは石器などが発見された地層から約70万年前と考えられている。60万年から55万年前の地層ではハイデルベルク原人の化石が、4万年前の地層ではネアンデルタール人の化石が確認されている。新人は約35000年前から現れ、紀元前4000年頃の巨石文明を経て紀元前1800年頃までに青銅器文明に移行している。紀元前1000年頃にはケルト系民族によってドナウ川流域にハルシュタット文明と呼ばれる鉄器文明が栄えた。
紀元前58年から51年までのガイウス・ユリウス・カエサルのガリア遠征などを経てゲルマン人は傭兵や農民としてローマ帝国に溶け込んで行き、紀元後375年には西ゴート族の移動を初めとする大移動によって現在のヨーロッパに定着する。西ローマ帝国の滅亡後、ケルト系民族を北方に追いやったゲルマン人は各地に王国を建てたが、フランク王国が統一した。843年のヴェルダン条約によって三分割されたうちの1つである東フランク王国が現在のドイツの原型となった。
東フランク王国の国王オットー1世は962年アウグストゥス(古代ローマ帝国皇帝の称号)を得て、いわゆる神聖ローマ帝国と呼ばれるゆるやかな連合体を形成した。しかし中世におけるドイツには国家としての統一や民族意識はほとんどなく、各地に領邦国家が分立した歴史は現在に続く連邦主義の基盤となっている。各領邦は近隣諸国に比べて弱体で、また宗教改革では新旧両教に分かれて互いに争ったため三十年戦争ではドイツのほとんど全土が徹底的に破壊された。1600万人いたドイツの人口が戦火によって600万人に減少したと言われる。
北部の領邦君主ホーエンツォレルン家は17世紀半ばから勢力を拡大し、1701年にはプロイセン王国を形成した。ドイツ人はナポレオンによる侵略を経て民族意識と統一国家への志向を強め、19世紀前半にはプロイセンに主導的な役割を期待する機運が高まった。1806年まで神聖ローマ皇帝位を世襲していた「大ドイツ主義」派のオーストリアのハプスブルク家は、「小ドイツ主義」派のホーエンツォレルン家とドイツ統一の役割を争ったが、1871年、プロイセン国王ヴィルヘルム1世の戴冠によってドイツは、ドイツ系オーストリアを除く、小ドイツとしてのドイツ国(ドイツ帝国)として統一され、ベルリンを首都とした。
1918年、第一次世界大戦の敗北によってドイツは共和制に移行したが、ヴァイマル共和政は小党乱立により政局は不安定で、驚異的なインフレなど経て1931年には、アドルフ・ヒトラーの指導下で極右的民族主義やユダヤ人の排斥、再軍備を唱える国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス党)が選挙で国民からの支持を受け1933年に政権を握ると、ナチス・ドイツとなり、軍事力の増強や周辺諸国の併合などを行った。1939年9月に緊張関係にあった隣国ポーランドを攻略し、第二次世界大戦が始まった。
1945年、第二次世界大戦に敗北したドイツはオーデル・ナイセ線以東の、東プロイセンやシュレジェン地域を領土として完全に喪失。さらにはアメリカ、イギリス、フランス、ソビエト連邦の四カ国に分割占領され、1949年、ボンを暫定的な首都とするドイツ連邦共和国(西ドイツ)とベルリンの東部地区(東ベルリン)を首都とするドイツ民主共和国(東ドイツ)に分裂した。冷戦の時代を通じて東西ドイツは資本主義と共産主義が対立する最前線となったが、1989年ソビエト連邦のペレストロイカに端を発した東ドイツの民主化運動(東欧革命)をきっかけにベルリンの壁が崩壊し、翌1990年、再統一を達成し、再びベルリンを首都と定めた。以降、旧東ベルリンを中心とするベルリンの再開発・インフラ整備と、ボンからベルリンへの連邦政府機関移転による実質的な首都機能移転が順次進められ、2001年5月2日にベルリンへの首都機能移転が完了した。
ドイツは現在ではヨーロッパで最大の国家のひとつとなっているが、長期間の分裂を原因とする東西の経済格差がそれまでの順調な成長を妨げている。一方で、歴史的に統一されたドイツが周辺諸国に対して脅威となってきた問題を懸念する見方もあるが、反対に米ソによってドイツが冷戦後の強国の一つになることを容認されたとの分析もある。実際、統一ドイツはフランスと共に欧州連合の中核国として発言力を増し続けている。
政治
詳細はドイツの政治を参照。
国家元首は、連邦大統領で、その権能は儀礼的なものに限られる。任期5年で、ドイツ連邦議会(下院)の全議員と各州議会代表の選挙人とで構成される連邦会議において選出される。ドイツ連邦議会の解散権は連邦大統領にある。
行政府の長である連邦首相は、任期4年で、大統領の提案を受け連邦議会で選出され、下院の信任を必要とする議院内閣制を採用する。内閣の閣僚は、首相の指名に基づき、大統領が任命する。
議会は両院制。国民の直接選挙で選出される連邦議会と、上院に相当する州政府の代表の連邦参議院とで構成される。下院は、603議席(ただし小選挙区比例代表併用制の関係で超過議席(en)が出るため、選挙のたびに実際の議席数は変わる)で任期4年。上院は、69議席で各州政府が任命する。
州
詳細はドイツの地方行政区分を参照。
ドイツには16の連邦州がある。ベルリンとハンブルクは都市州と呼ばれ、各々単独で連邦州を形成する。ブレーメンとブレーマーハーフェンも合わせて都市州となる。
| 名称 | 人口(人) | 州都/主府/本部 | 備考 |
|---|---|---|---|
| バーデン=ヴュルテンベルク州 Baden-Württemberg |
10,717,419 | シュトゥットガルト Stuttgart |
■15 |
| バイエルン自由州 Freistaat Bayern |
12,443,893 | ミュンヘン München |
■16 |
| ベルリン Berlin |
3,387,828 | ■6 | |
| ブランデンブルク州 Brandenburg |
2,567,704 | ポツダム Potsdam |
■7 |
| 自由ハンザ都市ブレーメン Freie Hansestadt Bremen |
663,213 | ブレーメン Bremen |
■4 |
| 自由ハンザ都市ハンブルク Freie und Hansestadt Hamburg |
1,734,830 | ■3 | |
| ヘッセン州 Hessen |
6,097,765 | ヴィースバーデン Wiesbaden |
■12 |
| メクレンブルク=フォアポンメルン州 Mecklenburg-Vorpommern |
1,719,653 | シュヴェリン Schwerin |
■2 |
| ニーダーザクセン州 Niedersachsen |
8,000,909 | ハノーファー Hannover |
■5 |
| ノルトライン=ヴェストファーレン州 Nordrhein-Westfalen |
18,075,352 | デュッセルドルフ Düsseldorf |
■9 |
| ラインラント=プファルツ州 Rheinland-Pfalz |
4,061,105 | マインツ Mainz |
■13 |
| ザールラント州 Saarland |
1,056,417 | ザールブリュッケン Saarbrücken |
■14 |
| ザクセン自由州 Freistaat Sachsen |
4,296,284 | ドレスデン Dresden |
■11 |
| ザクセン=アンハルト州 Sachsen-Anhalt |
2,494,437 | マクデブルク Magdeburg |
■8 |
| シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州 Schleswig-Holstein |
2,828,760 | キール Kiel |
■1 |
| テューリンゲン自由州 Freistaat Thüringen |
2,355,280 | エアフルト Erfurt |
■10 |
主要都市
ドイツは地方分権の歴史が長いため、ロンドンやパリ、東京の様な首都への一極集中はしていない。
| 都市 | 州 | 人口 | |
|---|---|---|---|
| 1 | ベルリン | 3,404,037 | |
| 2 | ハンブルク | 1,754,182 | |
| 3 | ミュンヘン | バイエルン州 | 1,294,608 |
| 4 | ケルン | ノルトライン=ヴェストファーレン州 | 989,766 |
| 5 | フランクフルト | ヘッセン州 | 652,610 |
| 6 | シュトゥットガルト | バーデン=ヴュルテンベルク州 | 593,923 |
| 7 | ドルトムント | ノルトライン=ヴェストファーレン州 | 587,624 |
| 8 | エッセン | 583,198 | |
| 9 | デュッセルドルフ | 577,505 | |
| 10 | ブレーメン | ブレーメン州 | 547,934 |
- 人口は2006年のもの
地理
ドイツにおける火山活動は先カンブリア代に収束している。先カンブリア代末から始まったカレドニア変動や、後期古生代におこったバリスカン(ヘルシニアン)変動はいずれも主要活動帯がドイツを横切っているものの、地表には痕跡が残っていない。バリスカン変動は2000kmにおよぶ規模の大陸間の変動であった。
現在のドイツの地形を決定したのは新生代における褶曲運動である。アルプス変動帯の活動により、最南部は標高1200mにいたるまで隆起した。ドイツにおけるアルプス変動帯は東アルプスと呼ばれている。同時に西部フランス国境に近いライン川に相当する位置に、ライン地溝を形成する。ライン地溝は、約500kmに渡って南北に伸びる。
ドイツ北部の地表は氷河地形の典型例である。最終氷期においては北緯51度線に至るまで氷河が発達し、ヨーロッパを横切る数千km規模の末端堆石堤を残した。その100から200kmの海岸線方面にはモレーンが残る。末端堆石堤とモレーンの北側にそっていずれも氷食性のレスが堆積し、農業に適した肥沃な土壌が広がる。いっぽう、モレーンの南側は土地が痩せている。ドイツに残る長大な河川はいずれも最終氷期の河川に由来するが、ポーランドのヴィスワ川、ポーランド国境に伸びるオーデル川、エルベ川、ドイツ西部のヴェーザー川が互いに連結し、網目状の流路を形成するなど、現在とは異なる水系が広がっていた。
- 現在の国土は日本より約21000K㎡(四国程度)ほど狭い。
- デンマーク、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、フランス、スイス、オーストリア、チェコ、ポーランドと国境を接する。
- 海
- 湖
- 河川
- ライン川 (Rhein):カールスルーエ・マンハイム・マインツ・ヴィースバーデン・コブレンツ・ボン・ケルン・デュッセルドルフを流れる。オランダを経て北海へ注ぐ。
- ドナウ川 (Donau):レーゲンスブルクなどを流れる。オーストリア・スロバキア・ハンガリー・クロアチア・セルビア・モンテネグロ・ブルガリア・ルーマニアを経て黒海へ注ぐ。
- エムス川 (Ems):北海に注ぐ。
- ヴェーザー川 (Weser):カッセル・ブレーメンを経て北海へ注ぐ。
- エルベ川 (Elbe):ドレスデン・マクデブルク・ハンブルクを経て北海へ注ぐ。
- オーデル川(Oder):現在のポーランドとの国境線となっている。フランクフルト・アン・デア・オーデルなどを経てバルト海に注ぐ。
- 山
バイエルン州南部の山岳地方にある湖- ツークシュピッツェ山 (Zugspitze):ドイツの最高峰。
- ブロッケン山 (Brocken)
- シュヴァルツヴァルト 黒い森 (Schwarzwald)
- アルプス山脈 (Alpen)
- 島
経済
詳細はドイツの経済を参照。
対米ドル為替レートによる単純換算値では、ドイツはアメリカ合衆国・日本に続く世界第3位のGDPを誇る経済大国であり、EU加盟国第一の経済力を持つ。
主要な産業は自動車・鉄鋼・化学・機械などである。ドイツは戦前から科学技術に優れており、ガソリン自動車やディーゼルエンジンを発明したのはドイツ人であった。また現在見られる液体燃料ロケット(スペースシャトル、ソユーズ、アリアン、H-IIAなど、固体ロケットM-Vロケット等を除く)は戦時中にナチスが開発した技術が基礎となっている。現在でも技術力には定評があり、自動車はメルセデス・ベンツ、ポルシェ、BMW、アウディ、フォルクスワーゲンといったブランドが世界的に有名であり、人気も高い。その他、化学・薬品大手のバイエル、電機大手のシーメンス、ルフトハンザドイツ航空、ドイツ銀行、経営管理ソフトウェア大手のSAP、人工透析で世界シェア40%のフレゼニウスなど、世界的に活動している大企業は多い。
- 実質GDP: 1兆9,796億ユーロ(2001年)
- 一人当たりGDP: 2万5,000ユーロ(2001年)
- インフレ率: 2.5%(2001年)
- 失業率: 9.6%(2001年)
旧西ドイツは日本同様、第二次世界大戦後に急速な経済発展を成し遂げたが、1990年の東西統一以降旧東ドイツへの援助コストの増大、社会保障のためのコスト増大などが重荷となって経済が低迷。また旧東ドイツでは市場経済に適応できなかった旧国営企業の倒産などで失業が増え、旧東側では失業率が17.2%に達し、深刻な問題となっている。また最近では企業が人件費の安いポーランドやチェコなどへ生産拠点を移転させようとしているために、ますます失業が増えるのではないかと懸念されている。
交通
- 航空
- ルフトハンザドイツ航空が世界各国に航空路線を持っている。また、フランクフルト国際空港は欧州でも有数のハブ空港である。
- 鉄道
- ドイツ鉄道が全国に路線を張り巡らせ、超高速列車ICEや都市間を結ぶインターシティ、ヨーロッパ各国との間の国際列車が多数運行されている。また、都市部では近郊電車のSバーンや地下鉄(Uバーン)、路面電車の路線網が発達している。なおヴッパータールには、現在運行している世界最古のモノレールがある。
- 道路
- 自動車大国であるだけに道路網も発達しており、アウトバーンと呼ばれる高速道路が主要都市を結んでいる。
軍事
ドイツ連邦軍の構成は陸海空の3軍から成る。ドイツでは現在も徴兵制度が有り、健康な満18歳以上の男子には兵役義務が課せられる。(長男、次男は強制的義務だが、三男からは兵役か奉仕活動か選択することができる。)但し、所定の手続きを経れば良心的兵役拒否の扱いになり、定められた期間慈善活動に従事することで、その義務を回避できる。
軍当局は徴兵制を廃止したいと考えており、何度か徴兵制の廃止を政府に提案している。しかし、徴兵制を廃止すると、それまでボランティアとして慈善活動に従事させられた兵役拒否者がいなくなってしまう。それは、つまりは安い費用で賄えた福祉関係者がいなくなってしまうのと同義であり、老人介護などの福祉に多大な経済的負担が発生する懸念から、未だに徴兵制の廃止が実現できていない。
国民
民族構成
ゲルマン系・スラブ系・ラテン系・ケルト系などの混成民族で、ゲルマン系のドイツ語を母語とするドイツ人が多数を占め、他にバウツェンにはスラヴ系のソルブ人が、シュレースヴィヒにはゲルマン系のデンマーク人などがおり、帰化ポーランド人も多数居住している。また国籍は有していないが、トルコ人とクルド人も移民者とその子孫として存在している。経済情勢の悪化などから、ネオナチなどによる外国人襲撃など人種差別が深刻な問題となっている。
言語
公用語はドイツ語。地域によってはデンマーク語、ソルブ語なども使用されている。
宗教
REMID(ドイツ語)の2006年の統計によると、キリスト教徒(68%)のうち、プロテスタント(32.7%)、カトリック(31.4%)で、イスラム教(4.0%)、ユダヤ教(0.25%)、無宗教もしくは無神論(29.6%)等となっている。
教育
教育課程
初等教育4年、中等教育以降は職業人向けと高等教育向けの学校は厳格に分けられている。いわゆる「マイスター制」。12歳までは基礎学校(義務教育)で、子どもの能力の見極めが重要になる。13歳から15歳では、就職のための専門的な職業教育が行われる。大学への進学を希望する場合は、ギムナジウムという進学校に進学し、大学進学に必要なアビトゥア資格の取得を目指す。
日本においては、俗に「ドイツでは工業職人がマイスターと呼ばれ、尊敬を受けている」という話がまことしやかに語られているが、正確ではない。第二次世界大戦後の高度成長の過程においては確かに事実であったが、近年では多く子どもたちがギムナジウムに進学する傾向が見られ、これがドイツの財政(教育費)を圧迫する原因にもなっている。また、工業職人のイメージが強いマイスター制度だが、これも近年ではコンピュータ技術者といった従来のイメージとは異なる職種の学校が増えつつある。
近年、国際化によりマイスター制度が先進工業の発展に寄与しなくなったことや、12歳で人生が決まってしまう学校制度に疑問が上がり、近年は義務教育からアビトゥア資格取得までの義務教育から中等教育を一貫したシュタイナー学校や総合学校が広まっている。
ドイツの大学
近年、ドイツの大学は変革の時期を迎えている。ドイツの大学はほぼすべてが州立大学で、学費は基本的に納める必要がない。(ただし、ドイツは州により学費徴収を行うケースもある)しかし、近年のドイツの不況の影響を受け、大学は授業料を徴収するかどうか、検討を始めている。
かつてのドイツは大学卒業した者はエリートコースを歩み、大学卒業資格は社会で相当に高い評価を得ていたと言える。しかし、近年、ドイツの財政界からは、もっと柔軟な思考ができる学生が欲しいとの声が強まり、大学のカリキュラムも変革の時期を迎えている。
文化
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ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ、ドイツを代表する詩人
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- ドイツ人一覧・ドイツ人一覧 (分野別)も参照。
文学
哲学
クラシック音楽
ドイツは音楽史上に残る作曲家・演奏家を多数輩出している。またベルリン・フィルをはじめとする世界的レベルのオーケストラも多く、数多くの音楽祭も行なわれており、同じドイツ語圏のオーストリアと共にクラシック音楽大国とされている。 オペラ・コンサート・演劇への関心は強く、ある程度の規模の街には国立ないし州立の劇場・オーケストラがおかれている。各地の放送局が所有しているオーケストラも総じてレベルが高い。
- 指揮者(かつてのドイツ領出身者も含む)
ポピュラー音楽
ポピュラー音楽については、1979年、ジンギスカンの『Dschinghis Khan(ジンギスカン)』『めざせモスクワ(Moskau)』や、1980年代にNENA(ネーナ)がアメリカ合衆国などでもヒットさせた『99 Luftballons』(ロックバルーンは99)などが知られている。
また最近では、旧・東ドイツの都市ライプツィヒの聖トーマス教会の少年合唱団出身者などにより結成されたDie Prinzen(ディー・プリンツェン)が、2002年のサッカー「FIFAワールドカップ日韓大会」で活躍し、最優秀選手に選出されたドイツ代表のゴールキーパーであるオリバー・カーンをモチーフにした曲『OLLI KAHN』が話題を呼ぶ。
ロック音楽では、主なミュージシャンとしてプログレッシブロックのタンジェリン・ドリーム、テクノの元祖クラフトヴェルク、 ハードロックのスコーピオンズやマイケル・シェンカー・グループ、ヘヴィメタルのハロウィン、フェア・ウォーニング、ガンマ・レイのカイ・ハンセン、ラムシュタインなどの名が挙げられる。
テクノやトランスなどのクラブ系音楽では、野外レイヴ『ラブパレード』や屋内レイヴ『MAYDAY』が開催されるなど、ドイツ国内に広く普及している。テクノではベルリンのトレゾアやケルンのコンパクトなど優良なレーベルも多く、世界中から数多くのアーティストが曲をリリースしているほか、トランスの分野でも東ベルリン出身のDJ“Paul van Dyk”が「DJ Magazine」誌の人気投票で1位になるなど、隣国オランダと双璧を成すほどである。 また、エピックトランスにおいても、“Baracuda”“Cascada”“Groove Coverage”など、ドイツ人アーティストが多い。[1][2][3]。
美術
ドイツ・ロマン派のカスパー・ダーヴィト・フリードリヒ、フィリップ・オットー・ルンゲなどの画家名やドイツ表現主義などの項目を参照。
第一次世界大戦中から戦後、ドイツは表現主義や新即物主義を生み出し、デザインや建築でもバウハウスを中心に革新的な動きを起こした。しかしナチスの「退廃芸術」絶滅政策により主だった美術家・建築家はアメリカ合衆国に移民し、ドイツの芸術は打撃を受けた。1960年代以降、フルクサスの運動やヨゼフ・ボイス、アンゼルム・キーファー、ゲルハルト・リヒターなど、世界に影響を与える芸術家が多数登場し、ドイツの美術・建築・デザインなどは復興を遂げている。
デザイン
バウハウス、ヴァルター・グロピウス、ハンネスマイヤー、ミース・ファン・デル・ローエ、ヨハネス・イッテン、ピエト・モンドリアン、ヴァシリー・カンディンスキー、モホリ・ナギ、建築を中心とした美術観に基づく合理化された工業デザインのような図案など構成主義的制作物が数多くあり、今日のデザイン分野への影響は甚大である。既存のロマン派的流れを汲む美術団体との軋轢ないし、退廃芸術排除の向きから作家の多くは米国などに亡命。
世界遺産
ドイツ国内には、ユネスコの世界遺産リストに登録された文化遺産が28件、自然遺産が1件ある。さらにポーランドとにまたがって1件の文化遺産が登録されている。詳細は、