ライブスチーム

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2003年にフィンランドポルヴォーで開催されたイベントに展示中の実物大の可搬式蒸気機関

ライブスチーム (Live Steam) とは実際に稼動する蒸気機関の総称である。

概要[編集]

一般的に実際に蒸気を発生させて動く模型を『ライブスチーム』と呼ぶが、広義には模型だけではなく動態保存されている実物の蒸気機関車蒸気船トラクションエンジン (蒸気自動車) 、蒸気ポンプ蒸気クレーン蒸気ハンマなどを総称する言葉である。

鉄道模型[編集]

嘉永年間に伝来した蒸気車
走行中の機関車
加減弁、水面計が見える。

実物の蒸気機関車を小型化したもので、実際に石炭石油アルコールなどの燃料を使用した蒸気機関で稼動する。庭園鉄道で使用されることが多い。

その仕掛け上、車両は模型としては大型化せざるを得ず、一般的に軌間 (ゲージ) は32mm、45mm、89mm、127mmなどが使用されるが、小型のもので、軌間9mmや16.5mmを使用する製品も存在する[1]

製作には高度の技術力、工作設備を要し、運転する際は屋外に線路を敷設する必要がある場合が多い。しかし電動に比べ万人向けには高いハードルもライブスチームクラブのメンバーになれば個人所有の線路を拝借できるし、公共の土地にも線路を確保できる(もちろんメリットはそれだけではない)。

日本では、実物の蒸気機関車よりも早く模型の蒸気機関車が登場した。江戸時代末期の1853年ロシアエフィム・プチャーチン1854年アメリカマシュー・ペリーが江戸幕府の役人の前で模型蒸気機関車の走行を実演したのがはじまりといわれている。その後1855年佐賀藩田中久重中村奇輔石黒寛二らによって外国の文献を頼りに軌間130mmの蒸気機関車や蒸気船の雛型 (模型) が製作された。また、同時代に長州藩の中島治平が長崎で購入したか木戸孝允がパリで購入したと伝えられるナポレオン号が山口県立博物館に保存されている。加賀の大野弁吉が製作した記録もある。これらの機関車は2003年国立科学博物館で開催された江戸大博覧会[2]で展示された。蒸気船に関しては佐賀藩以外にも宇和島藩伊達宗城が軍学者である大村益次郎とちょうちん屋の嘉蔵に作らせた記録がある。

第二次世界大戦前には『子供の科学』や『科学と模型』などの工作雑誌に製作記事が連載され、朝日屋などから部品が販売されていたが、電気式のように手軽ではないライブスチーム特有の扱いにくさから、電動式の普及に伴い一時期廃れた。1960年代以降、渡辺精一、井上昭雄らが『模型とラジオ』に製作記事を執筆し、小川精機、末近などがキットを販売していたが、本格的な愛好者の拡大にはなかなか結びつかなかった。

1975年に『模型とラジオ』のスクールズ級の製作記事を読んだアスター精機 (現・アスターホビー) の社員達が、当時、主力商品だった機械式レジスタの電子化によって雇用の危機に陥っていた同社の精密機械部門の起死回生の一環として取り組んだ。その結果、誰でも組み立てができる1番ゲージの100%機械加工済みのキットを販売した。このキットの登場で、これまで機械設備を持たず欲しくても手に入れることのできなかった愛好者の拡大に繋がった。これ以降はライブスチームルネッサンスとも呼ばれ、その後新規参入・再参入によりメーカーは徐々に増えた。アメリカのRoundhouse、Chedder、Accucraftイギリスホーンビィバセット・ロークドイツメルクリンからもライブスチーム製品が発売されている。

生産に工数が掛かり構造が複雑なため、電気で蒸気を発生させる方式を採用している一部欧州メーカーの製品を除き、他の模型よりも遥かに高価で、日本円にして100万円台の製品もある。大型のものについては、後部に客車を連結し人間を乗せての走行も可能なことから、理系大学における学校祭鉄道会社保存施設などのイベントで走る姿を見かけることもある。

船舶模型[編集]

この分野では、購入後に機械加工などが要らない製品では日本の株式会社斎藤製作所が殆ど唯一の製品で、世界中のユーザーに広く用いられている。 船舶模型の場合無線操縦が必須と成るため、エンジンはサーボモーターで操作しやすい構造に、そして、走行中にボイラーの水位を確認する事が不可能なため、ボイラーは燃料が尽きる迄燃やしても空焚きに成らない構造と容量が求められる。

エンジン模型[編集]

エンジン模型では本体の造形美や、駆動の面白さを追求する事が目的とされており、必ずしも動力を何かに利用する訳では無い。 完成品ではWilesco、Stuartmodels等が有名であるが、鋳物素材から機械加工したり、図面から完全自作するユーザーも多い分野である。

取り扱い上の注意[編集]

  • 長期間使用しないボイラー安全弁はボイラー水に含まれるミネラルにより固着している場合があり、既定の圧力で作動しない場合がある。使用前に分解して整備する必要がある。
  • ボイラー水に水道水を使用すると、含まれるミネラルにより安全弁が固着する場合がある。なるべく蒸留水を使用する事が望ましい。
  • 古い製品には圧力計がついていないものもある。
  • 1970年代 - 1980年代以前の製品にはボイラー、バーナー周辺に石綿を使用しているものがある。

主なメーカー[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Hornby Live Steam forum
  2. ^ 江戸大博覧会

参考文献[編集]

外部リンク[編集]