HOゲージ

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HOゲージのレイアウト

HOゲージ (エイチオーゲージ、エッチオーゲージ) とは、鉄道模型縮尺軌間を示す呼称のひとつ。

概要[編集]

国際的には縮尺1/87(3.5mmスケール) ・軌間16.5mmの鉄道模型の規格を指す。日本ではHOゲージ (エイチオーゲージ、エッチオーゲージとも) 、アメリカではHO (エイチオー) 、HOスケール欧州大陸ではH0 (エイチゼロ) と呼ばれることが多い。HOとはハーフOゲージ[1]の略である。 細かい規格・規定は各々の愛好者団体・業界団体によって差異がある。

アメリカNMRA S-1.2 規格[2] (縮尺1/87.1)
呼称 軌間 実軌間 備考
HO (エイチオー) 16.5mm (16.50 - 17.07mm) 1435mm 標準軌
HOn3 10.5mm (10.49 - 10.77mm) 914mm 3フィートゲージ
HOn2 7mm (7.01 - 7.37mm) 610mm 2フィートゲージ
ヨーロッパNEM010 規格[3] (縮尺1/87)
呼称 軌間 実軌間 備考
H0 (エイチゼロ) 16.5mm 1250mm - 1700mm 標準軌
H0m 12.0mm 850mm - 1250mm 未満 メーター(1000mm)ゲージなど。
H0e 9.0mm 650mm - 850mm 未満 750mmゲージなど。軽便鉄道など
H0i 6.5mm 400mm - 650mm未満 600mmゲージなど。鉱山鉄道など
日本 (縮尺1/87)
呼称 模型の軌間 実物の軌間 備考・用例
HOゲージ (エイチオーゲージ) 16.5mm 1435mm 標準軌。新幹線や一部の私鉄など
HOn3-1/2[4] 12mm 1067mm 3フィート半ゲージ(ケープゲージ)。国鉄在来線や私鉄など
HOナロー(HOn2-1/2相当)[5] 9mm 762mm( - 914mm) 2フィート半ゲージ。軽便鉄道鉱山鉄道など

近年、日本ではNゲージの製品および愛好者の数が多く主流であるが、欧米では、HOゲージの製品および愛好者の数が最も多い。 日本においては、縮尺1/87 ・軌間16.5mmの正式なHOゲージは新幹線車輛が多く、他に一部メーカーが軌間1435mm (標準軌)の私鉄車輛を製品化している程度である。軌間16.5mmの鉄道模型では、多くの日本型車輛は縮尺1/80 ・軌間16.5mmの16番ゲージ規格で製作されていて、16番ゲージをHOゲージと呼ぶこともある [6]

むしろ日本では狭軌の1067mm軌間を正確に模型化できるHOn3-1/2や軽便鉄道の模型化にちょうどよいHOn2-1/2といった、HOゲージの縮尺1/87を利用したナローゲージ規格の方が製品数が多い。

歴史[編集]

1921年イギリスにおいて、それまで主流であった縮尺1/43.5 (7mmスケール) ・軌間1-1/4インチのOゲージの半分の大きさとして登場した、縮尺1/87 (3.5mmスケール) ・軌間5/8インチのOOゲージは、当時の加工技術では小さすぎて満足に模型化することが困難であったため、製品の軌間や縮尺はメーカーによってバラつきがあった。

軌間はOOゲージ登場当初はヤード・ポンド法で5/8インチ (≒16mm) であったが、後に16.5mmとなった。

実物の鉄道において小振りな車体が主流であったイギリスを中心に技術的な都合から当初の縮尺1/87 (3.5mmスケール) を縮尺1/76 (4mmスケール) とした製品が展開されるようになったが、そのほかの国では縮尺1/87製品が作られ続けた。名称についても1935年頃から縮尺1/87を採用する国では「HOゲージ」という名称も使われるようになった。1937年にはバセット・ロークにより「OOゲージ」への呼称統一が呼びかけられたが、アメリカではOOゲージが縮尺1/76、軌間19mmの規格で製品化されていたこともあり、結局縮尺1/76 ・軌間16.5mmの規格を「OOゲージ」、縮尺1/87 ・軌間16.5mm規格を「HOゲージ」と呼び分ける事が定着した。 その後イギリスではOOゲージが、アメリカやヨーロッパ大陸ではHOゲージが普及した。

日本では軌間16.5mmで日本型車輛の縮尺を1/80とした16番ゲージが提唱され、戦後普及した。そのため縮尺1/87 ・軌間16.5mmのHO規格の日本型車輛の鉄道模型は東海道新幹線を模型化したものが最初となった。 

一方、Nゲージの登場後、軌間9mmのナローゲージ「9mmナロー」が普及したが、縮尺1/87のHOナロー(HOn2-1/2 ) が主流となった。HOナローに対応して1980年代初頭からは縮尺1/87で日本の鉄道で主流の1067mmゲージ を正確に模型化したHOn3-1/2 (縮尺1/87・軌間12mm)も製品化され、縮尺1/87・軌間16.5mmでも標準軌の私鉄車輛など新幹線以外の車輛も製品化されるようになっている。

駆動・制御方式[編集]

当初はぜんまい駆動や手押しであり、電気モーターを使うようになってからは交流直巻モーターを用い三線式の線路を使った。後に直流モーターが開発されると直流三線式が登場し、現在は直流二線式が主流となっている。交流三線式はメルクリンが専業として残っているのみである。三線式では電源を片側のレールと中央レール (または架線) 、または反対側のレールと中央レール (または架線) のように分けることで多重制御が可能であった。デジタルコマンドコントロールの登場で二線式でも多重制御が容易にできるようになった。

製品[編集]

日本以外においては、車両から線路、電源装置、ストラクチャー、アクセサリー、シーナリー用品まで一手に生産する大手メーカーがある一方、車両やストラクチャー等、単一分野のみ生産する中小メーカーや個人が生産するガレージキットメーカーなど数多くのメーカーが存在する。大手メーカーからは初心者や入門者向けとして、車両、線路、電源装置等をまとめて入れたスタートセット (入門セット) が発売されており、初心者でも簡単にHOゲージを始められるようになっている。

これら海外メーカーの製品は、百貨店、量販店、模型店、玩具店、鉄道模型専門店や通信販売で日本でも購入することができる。

日本形車輛については新幹線車輛は16番ゲージの扱いのある百貨店、量販店、模型店、玩具店、鉄道模型専門店や通信販売で購入できるが、それ以外の製品は、鉄道模型専門店中心の販売となっている。線路・ストラクチャー・アクセサリーについては16番ゲージ用(縮尺1/80が多い)やOOゲージ用(縮尺1/76)も使用できる。

車両
HOゲージの完成品は、射出成形によるプラスチック製、プレスエッチングが施された真鍮製が主流である。特に重量が必要な機関車においてはダイキャスト成形による亜鉛合金製のものも製造されている。
また、プラモデル同様に自分で接着剤を使って組み立て、塗装するプラスチック製キットや真鍮製キット、ペーパー製キット、ホワイトメタル製キットなども発売されている。
動力は基本的にはモーターで、主に金属製の線路から電力を取得して動く。また架線から電力を取得するもの(架線集電システム)も存在し、専門メーカーも存在する。
線路
構造上では「道床付き線路」と、「道床無し線路」に分けられる。両者の違いは、「道床なし線路」がレール(軌条)とはしご状に作られた枕木部分だけで構成されているのに対し、「道床付き線路」は枕木の下の砂利部分も土台のような形で一体となっている点である。
使用上では、曲線半径と円弧の角度、および直線の長さがあらかじめ決まっている「組み立て式線路」と、水平方向へ自在に曲げることのできる「フレキシブル線路」に分けられる。日本においては「道床付き」の「組み立て式線路」が主流である。
発売メーカー:道床付き線路は、日本では関水金属が、日本以外ではアメリカのバックマン、ドイツのフライシュマンメルクリンなどが製造している。一方の道床なし線路は日本では篠原模型店が、日本以外ではイギリスのピィコ、アメリカのアトラス、ドイツのメルクリンなどが製造している。このほか、アメリカのマイクロエンジニアリング社からはレールと枕木が別々になった線路そのもののキットも発売されている。
電源装置
パワーパック、パワーユニット、トランスとも呼ばれる制御機器で、入門向けの低価格品から大容量の高級機種にいたるまで豊富な種類が発売されている。
近年、DCC用の機器も多く製品化されるようになってきている。
ストラクチャー
ジオラマ上に置く建築物を指す。射出成形によるプラスチック製完成品ではバックマン、アトラスなどが、プラモデル状のキットはファーラーキブリフォルマーウォルサーズなどが製造している。また、金属製キットやペーパー製キット(通称カードキット)、木製キット(通称割箸キット)、射出成形によらないウレタン樹脂成形のキットなどさまざまな素材で、さまざまな種類の建物が製品化されている。
アクセサリー
自動車、人形など鉄道車両・ストラクチャー以外の模型製品全般を指し、主にレイアウト・ジオラマの製作に使われる。自動車はバス、トラックから自転車まで、人形は鉄道員、一般の通行人から牛、犬など動物まで製品化されているほか、電柱、看板、ドラム缶、ポリバケツなど様々なものが模型化されている。
シーナリー用品
レイアウト・ジオラマ製作に使用する部材のことで、地形植生などのシーンを表現するために用いられる。木や草、芝生、ライケン、コルクブロックなどがウッドランドシーニックスノッホなどから発売されている。

楽しみ方[編集]

HOゲージには様々な楽しみ方があるが、大きく分けると次のようになる。

運転を楽しむ
鉄道模型を楽しむ上で外せないのが、運転する楽しみである。組み立て式線路では簡単に線路が敷設でき、安定した走行が得られる道床付き線路を使うことにより、テーブルの上や床の上でも手軽に運転を楽しむことができる。このようにテーブルや床の上に線路を仮設して楽しむ運転は「お座敷運転」等と呼ばれている。
情景のついたレイアウト上で車両を走らせれば、さらなる満足感を味わうことができる。レイアウトは愛好者自身が製作・保有する場合が多いが、特注により製作を代行する業者もある。日本の模型店の中には、サービスの一環として備え付けのレイアウトを来店客に開放している店もあり、レイアウトを有料で時間貸しするレンタルレイアウトもある。
車両を収集する
HOゲージで製品化された車両は、各国の製品を合わせると非常に数が多い。これをミニカーのように収集する楽しみ方もある。人によって集め方は様々で、自分の好きな国、地域、年代、鉄道会社、模型メーカー、車種、列車、形式などテーマを決めて車両を集める。収集やコレクションというと、完成品を購入して観賞するというイメージがあるが、鉄道模型の場合、欲しい車両を改造・自作する場合もあり、テーマにあわせたレイアウトを作り、コレクションを走らせる楽しみ方もある。
車両工作を楽しむ
鉄道模型も含めた模型趣味の楽しみ方の基本的なものとして、模型工作がある。HOゲージは誕生時から自作をおこなうが愛好者がも多く、鉄道模型雑誌には工作記事が数多く掲載された。
車両工作といっても多種多様であるが、模型車両をより実車に即した形態になるよう手を加える細密化加工、元の車両から別の形式や仕様を作り出す車両改造、素材と部品 (パーツ) から車両をつくりあげるスクラッチビルド (全自作) に大別される。
レイアウト・ジオラマを製作する
鉄道模型においてもう一つの模型工作として、レイアウト・ジオラマの製作がある。日本ではスペースの問題から、鉄道模型クラブにおいてメンバー共同で集合式 (モジュールレイアウト) や分割式のレイアウトを製作しているところがある。個人では実現が難しい長大編成の列車でも、このような方法をとれば実現が可能である。

このほかにも、メーカーやクラブなどが開催するイベントや運転会を見学したり、製品について出来栄えや使い勝手などの感想を交換したり、スワップミートと呼ばれる交換会・中古市に参加するといった楽しみ方もある。

ショーティー[編集]

メルクリンなど欧州のHOゲージの多くは最小通過曲線半径を360mmとして設計されており、省スペースで走行させる事ができる。また、車両の長さを短縮 (ショーティー) 化させたショートスケール車両がHOゲージ登場時から発売されている。短縮化することで、外輪差・内輪差を抑えることができ、編成も長くすることができるため、かつてはアメリカや欧州では一般的であった。現在では縮尺どおりのフルスケール車両が主流となっている。近年発売されはじめた細密成型のフルスケール車両では、最小半径 (360mm) を通過できない場合もある。 日本においてはフリーランス車両、バンダイリマから発売されたO系新幹線以外はほぼ縮尺どおりとなっている。

主なHOゲージメーカー・ブランド[編集]

日本国内は五十音順。詳しくは日本の鉄道模型メーカーの一覧を参照。

日本国外はアルファベット順。詳しくは日本国外の鉄道模型メーカーの一覧を参照。

日本
オーストリア
ドイツ
フランス
イタリア
スイス
アメリカ合衆国

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 軌間がOゲージ(32mm)の約半分であるため。
  2. ^ NMRA S-1.2規格表
  3. ^ NEM 010規格表
  4. ^ メーカーによりHOj、HOs、HO1067、HO12という呼称が提案されているが、意見の相違もあり日本型1/87・12mmに関する呼称は統一されていない。通称12mmゲージ
  5. ^ メーカーによってはHO762、H0eなどの呼称も使われる。
  6. ^ これは日本だけで使われる俗称であり、正式な規格ではない。

外部リンク[編集]