Peco

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Peco (ピィコ、ピコまたはペコ) はイギリス鉄道模型メーカー。


概要[編集]

社名の読みは「ピコ」が一番近いが、同業メーカーでドイツに「PIKO (ピコ) 」があることからそれと区別するため、また日本においては輸入元の機芸出版社が「ピィコ」と表記しているため、日本では「ピィコ」と発音・表記することが多い。以下、この項では「ピィコ」で統一する。

1946年、イギリス南西部デヴォン州シートンにてシドニー・プリチャード (Sydney Pritchard ) により創業。鉄道模型用の線路、ストラクチャーなどの製造、および鉄道模型雑誌の発行などを行っている。

「ピィコ」は、製造部門のプリチャード・パテントプロダクト社 (Pritchard Patent Product Company Ltd ) 、出版部門のピィコ・パブリケーション & パブリシティ社 (Peco Publications and Publicity Ltd ) 、庭園のピィコラマ (Pecorama ) からなるグループの総称である。

線路は小さいものはZゲージから、大きいものは1番ゲージ、2番ゲージナロー (Gゲージ) まで幅広く展開する。車両は、Nゲージの貨車、蒸気機関車などを製造している。また、キット形式のストラクチャーを手がけている。鉄道模型雑誌は、月刊誌のレールウェイ・モデラー (Railway Modeller ) とコンチネンタル・モデラー (Continental Modeller ) の2種を発行している。

グループ傘下にストラクチャーメーカーのレイショ (Ratio Plastic Models ) 、ウィリス (Wills Kits ) 、K & M TREES があり、ペーパー製ストラクチャーメーカーのメトカリフ (Metcalfe Models ) や、動力車用下回りキットを製造するロムフォード (Romford Models ) などの販売代理店となっている。

ピィコラマと呼ばれる庭園がデヴォン州シートンにあるピィコ本社に隣接して設置されており、その中でビールハイツ小型鉄道がミニSL列車を運行している。

製品[編集]

線路[編集]

  • レールの下に枕木のみが付いている「道床なし」タイプの線路を製造している。また、自社製品用としてスポンジタイプの道床が製品化されている。線路にスポンジ道床を組み合わせた状態で接着剤で土台に固定する方法が推奨されているが、スポンジ道床無しに線路を直接土台に釘などで固定する愛好者もいる。走行音はスポンジの吸音効果によって静かに感じられる。
  • 製品は、あらかじめ円弧の角度と曲線半径、または長さの基準が決められた「組み立て式線路」と、水平方向へ自在に曲げる事のできる「フレキシブル線路」の二つに分けられる。
日本の鉄道模型では「道床つき」の「組み立て式線路」が主流であるが、欧米では「道床なし」が主流であり、「フレキシブル線路」も広く使用されているため需要が高い。
  • 分岐器は、通電方法によっては選択式と非選択式に分かれる。前者の場合商品コード「SL」の後に「E」が付き区別できる (ピィコのカタログ及び機芸出版社社の広告より) 。選択式の場合、トングレールが向いている側の線路 (分岐側) にしか通電されない。
  • 絶縁ジョイナーなどを使用して「ギャップ」と呼ばれる通電境界を設定する必要があるが、ピィコではリバース配線など、どうしても電気的に分離しなければならない場合以外は、ギャップの設定は不要である。
  • トングレール部分が左右で独立しており、壊れやすいので、扱いには若干注意を要する。

Setruck (セットラック)

名称はSet + Truck (線路) の造語で、品番には「ST」が付く。「道床なし」で、レールの長さや半径があらかじめ決められた、「組み立て式線路」 (Rigid Unit Trackage ) で、一部のターンアウト(分岐器)も含まれる。

Streamline (ストリームライン)

品番が「SL」で始まる、主にレイアウト製作向けの製品群である。「道床なし」の「フレキシブル線路」や、中型や大型の実感的なターンアウトのほか、ジョイナーや枕木単体などの補給・補修部品、電源フィーダー、車止めプラットホームなども含まれる。

Peco Lectrics (ピィコ・レクトリクス)

電気関連製品で、品番には「PL」が付く。
電磁石を用いたターンアウトモーター (ポイントマシン) やその切り替えスイッチが代表的。ピィコのポイントマシンは埋設型のため、床置きで使う場合、線路脇にポイントマシンを設置できるモーターアダプターが用意されている。

ストラクチャー[編集]

  • HO / OOゲージ用は「LK」、Nゲージ用は「NB」で始まる品番を持つ。
基本的にはヨーロッパ各国向けのものが多い。プラットホームエッジング (プラットホームの土台部分) は曲げやすい構造のプラスチック製で、S字に曲がったプラットホームの再現にも適している。レンガ積みからコンクリート製のものまであり、線路と同様にレイアウトのシチュエーションによって選択することになる。ホーム上面についてはプラスチック板や厚紙から自分で切り出して作成する。

車両[編集]

OゲージOOゲージNゲージの車両を完成品 (Nゲージのみ) やキットで展開している。

  • 完成品
NL」シリーズで0-6-0テンダー式蒸気機関車を製品化しているほか、「NR」、「NRP」シリーズで各種二軸貨車を展開している。
かつて発売されていたLMS鉄道の4-6-0蒸気機関車「ジュビリー」はイタリアのリバロッシで製造されていた。
  • キット
KNR」で始まる品番でイギリス型の古典的な二軸貨車を各種製品化しているほか、自作愛好者向けにその足回りを分売している。足回りキットに含まれるのは、台枠、車輪 (プラスチック製) 、軸受、カプラー、ウエイトのみで、バッファを除いた台枠寸法はNゲージでは長さ35mm程度で、かなり小型の車両になる。カプラーは復元用スプリングを使用しない方式で、他の方式のカプラーに交換するには、工夫が必要となる。

書籍・雑誌[編集]

月刊の鉄道模型雑誌を2種発行している他、各種レイアウトジオラマ製作に関する書籍もそろえている。

  • レールウェイ・モデラー
通称 RM 誌。イギリスおよびアイルランドの鉄道・鉄道模型を題材としている。OOゲージやEMゲージ、Oゲージ、Nゲージを扱う。
  • コンチネンタル・モデラー
通称 CM 誌。コンチネンタルとあるように、イギリスおよびアイルランド以外のヨーロッパ大陸の鉄道・鉄道模型を題材としている。

線路[編集]

Zゲージ用[編集]

#60 = コード60 (レール高さの区分。100番がスタンダードで、60番は60%の高さ。) の洋白レールを使用した木製枕木表現、長さ609 mm (24インチ) のフレキシブル線路をはじめ、メルクリンミニクラブの分岐器に長さを合わせた製品も用意されている。

Nゲージ用[編集]

  • セットラック (ST) は#80 = コード80の洋白レールを用い、木製枕木の表現がなされている。
直線は58、87、174 mm の三種、曲線はNo.1 = R (半径) 228、No.2 = 263.5、No.3 = 298.5 mm の三種で、角度はスタンダード (22.5°:16本で円になる) とダブル (45°:同様に8本で円になる) の2種があり、No.1のみにハーフ (11.25°) の設定がある。
分岐側曲線がNo.1スタンダード (R 228 mm、22.5°) のカーブレールと揃えられているベーシックなST-5、6の小型ポイントのほか、Electrofrog(通電式フログ)の中型 (SL-E395 / 右分岐、SL-E396 / 左分岐) 、大型 (SL-E388 / 右、SL-E389 / 左) 、ダブルカーブ (SL-E386 / 右、SL-E387 / 左) 、中型Y字 (SL-E397) の各製品がある。
  • ストリームライン (SL) にはフレキシブル線路があり、長さ914 mm (36インチ) の#80 = コード80洋白レールを用い、これのみ、枕木の表現に木製タイプ (SL-300) とPCタイプ (SL-302) の2種類がある。
そのほかストリームラインには、ジョイナーや、木とPC、2種類のばら売り枕木のほか、アクセサリーとして、レール組みの車止めや、ダミーAWSランプ (自動列車警報装置地上子) がある。

ピィコNファイン[編集]

  • 特筆すべきものとしては「ピィコNファイン」と呼ばれる製品がある。枕木部分にレールの下部を埋め込み、見た目の高さを#55 = コード55相当に低く見せるようにしたもので、枕木上のレール高さは#80に比べ1 mm 程度低くなっている。わずか1 mm の低減であるが、実物換算では150 - 160 mm に相当するため、その視覚効果は大きい。
レール断面は、通常の「I」字形に対し、「土」の字に近いものとなっており、枕木のモールドに隠れている部分を含めたレール自体の高さは#55と変わらず、それによって強度を確保し、ジョイナーも通常のものがそのまま利用できる。さらに、より細く見えるよう、レール頭部も小振りにされている。
他のレールと接続する際には、道床厚の調整によるレール上面の高さ合わせが必要となる。また、線路終端などでは、実物のレールからかけ離れているレール断面が見え、実感が損なわれるため、ある程度の工作や他種のレールとの併用を検討するなどの工夫が必要になる。
このレールだけで敷設している限りは実感的に見えるが、日本の国鉄形車両などとの組み合わせでは、枕木が短いこともあり、より狭軌感は削がれる。
なお、HO / OOより縮尺の大きいスケールでは、通常のレール保持方法のままで細いレールの使用が可能であるため、特殊断面の半埋め込みレールは「ピィコNファイン」だけの特徴である。


HO / OOゲージ用[編集]

  • 洋白レールで、#100、#83、#75の3種類がある。
Nゲージとほぼ同様の商品構成で、固定式線路群のセットラック (ST) と、木製、PC枕木の2種のフレキシブル線路、絶縁式フログのターンアウトがストリームライン (SL) に分類される。HO / OO用ではSTシリーズにもターンアウトの種類が多い。そのほか導通式フログの中型・大型、小型Y字・中型Y字、中型3ウェイ (3分岐) の各ターンアウトがストリームライン・エレクトロフログ (SLE) となっている。

関連項目[編集]

  • 機芸出版社 - 鉄道模型雑誌の出版社だが、ピィコの日本総代理店でもある。

外部リンク[編集]