Peco

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

Peco(ピィコゥ、ピコまたはペコ)はイギリス鉄道模型メーカー。

社名の読みは「ピコ」が一番近いが、同業他社でドイツに「Piko(ピコ)」があることから区別するため、また輸入元の機芸出版社が「ピィコ」と表記しているため、日本では「ピィコ」と発音・表記することが多い。以下、この項では「ピィコ」で統一する。

目次

[編集] 概説

鉄道模型用の線路を主に供給しており、Zゲージから1番ゲージ、2番ゲージナロー(Gゲージ)まで幅広いラインナップを誇る。いずれも道床が付かないタイプであり、その固定方法は特徴的で、通常は木やコルクの道床などに釘で固定するが、ピィコでは自社のレールに適合したスポンジ道床を製品化している。これを接着剤で固定する方法が推奨されているが、レール交換の際には道床ごとの交換になることもあり、この点では面倒であることから、他社のレールと同様に釘で固定しているユーザーも多い。走行音はスポンジの吸音効果により静かに感じられる。

現在、日本のNゲージでは道床付レールが一般的となっているが、レイアウトジオラマなどでは、依然として自由なカーブが設定できるフレキシブルレールを使用することも多い。国内メーカーから市販されているフレキシブルレールのほとんどは木枕木であり、幹線などで主流のプレストレスト・コンクリート(PC)枕木の製品は、「KATOユニトラック」、TOMIXの複線レールしかなく、いずれも道床付レールである。ピィコでは以前からPC枕木モールドのフレキシブルレールを製品化しており、この用途での需要は高い。『鉄道模型趣味』や『Nゲージマガジン』の編集部執筆の記事で、車両の撮影に使われているPC枕木レールも同社の製品である。

分岐器の通電方法は選択式となっており、トングレールが向いている側の線路(分岐側)にしか通電されない(前述のユニトラックやTOMIXのレールも同様の方式)。無道床レールの分岐器では、分岐方向に関係無く、常時両方向ともに通電される「非選択式」が多く(日本のメーカーでもKATOの道床なし分岐器がこの方式である)、絶縁ジョイナーなどを使用して「ギャップ」と呼ばれる通電境界を設定する必要があるが、ピィコではリバース配線など、どうしても電気的に分離しなければならない場合以外は、ギャップの設定は不要である。

トングレール部分が左右で独立しており、壊れやすいので、扱いには若干注意を要する(通常の車両走行程度では問題ない)。

平面交差用にダイヤモンドクロッシングがあり、自社製分岐器やスタンダードカーブレールとの組み合わせを考慮した交差角度となっている。

日本国内でも入手が容易(後述の関連項目の通り、出版社が日本総代理店のため、書籍も扱う模型店なら取り寄せ可能)なことから、HONゲージ用を中心に多くの愛用者がいる。

そのほか、車両ストラクチャーも手がけており、その多くはキット形式をとる。

[編集] 製品

[編集] Setruck (セットラック)

名称はSet + Truck(線路)の造語で、品番には「ST」が付く。道床がなく、レールの長さや半径があらかじめ決められた、いわゆる固定式レール(Rigid Unit Trackage)で、一部のターンアウト(分岐器)も含まれる。

[編集] Streamline (ストリームライン)

品番が「SL」で始まる、主にレイアウト製作向けの製品群である。フレキシブルレールや、中型や大型の実感的なターンアウトのほか、ジョイナーや枕木単体などの補給・補修部品、電源フィーダー、車止めプラットホームなども含まれる。

[編集] Peco Lectrics (ピィコ・レクトリクス)

電気関連製品で、品番には「PL」が付く。

電磁石を用いたターンアウトモーター(ポイントマシン)やその切り替えスイッチが代表的。ピィコのポイントマシンは埋設型のため、床置きで使う場合、線路脇にポイントマシンを設置できるモーターアダプターが用意されている。

[編集] ストラクチャー

HO / OOゲージ用はLK、Nゲージ用はNBで始まる品番を持つ。

基本的にはヨーロッパ各国向けのものが多いが、トンネルマウス(トンネルポータル)やプラットフォームエッジング(ホーム側壁)は、日本型レイアウトでも利用可能である。プラットフォームエッジングは曲げやすい素材を使用しており、S字に曲がったホームの再現にも適している。レンガ積みからコンクリート製のものまであり、レールと同様にレイアウトのシチュエーションによって選択することになる。ホーム上面についてはプラ板から自分で切り出して作成する。

[編集] 車両

[編集] 完成品

「NL」シリーズで英国型0-6-0テンダー式蒸気機関車を製品化しているほか、「NR」、「NRP」シリーズで各種二軸貨車をラインナップしている。

[編集] キット

「KNR」で始まる品番で英国型の古典的な二軸貨車を各種製品化しているほか、自作向けにその足回りを分売している。足回りキットに含まれるのは、台枠、車輪(プラスチック製)、軸受、アーノルトカプラー、ウエイトのみで、バッファを除いた台枠寸法は長さ35mm程度で、かなり小型の車両になる。カプラーは復元用スプリングを使用しない方式で、他の方式のカプラーに交換するには、工夫が必要となる。

[編集] ゲージ別

[編集] Zゲージ用

#60 = コード60(レール高さの区分。100番がスタンダードで、60番は60%の高さ。)の洋白レールを使用した木製枕木表現、長さ609 mm (24インチ)のフレキシブルレールをはじめ、メルクリンミニクラブの分岐器に長さを合わせた製品も用意されている。

[編集] Nゲージ用

セットラック(ST)は#80 = コード80の洋白レールを用い、木製枕木の表現がなされている。

直線は58、87、174 mm の三種、曲線はNo.1 = R(半径)228、No.2 = 263.5、No.3 = 298.5 mm の三種で、角度はスタンダード(22.5°:16本で円になる)とダブル(45°:同様に8本で円になる)の2種があり、No.1のみにハーフ(11.25°)の設定がある。

分岐側曲線がNo.1スタンダード(R 228 mm、22.5°)のカーブレールと揃えられているベーシックなST-5、6の小型ポイントのほか、Electrofrog(通電式フログ)の中型(SL-E395 / 右分岐、SL-E396 / 左分岐)、大型(SL-E388 / 右、SL-E389 / 左)、ダブルカーブ(SL-E386 / 右、SL-E387 / 左)、中型Y字(SL-E397)の各製品がある。

ストリームライン(SL)にはフレキシブルレールがあり、長さ914 mm (36インチ)の#80 = コード80洋白レールを用い、これのみ、枕木の表現に、木製タイプ(SL-300)とPCタイプ(SL-302)の2種類がある。

そのほかストリームラインには、ジョイナーや、木とPC、2種類のばら売り枕木のほか、アクセサリーとして、レール組みの車止めや、ダミーAWSランプ(自動列車警報装置地上子)がある。

[編集] ピィコNファイン

特筆すべきものとしては「ピィコNファイン」と呼ばれる製品がある。枕木部分にレールの下部を埋め込み、見た目の高さを#55 = コード55相当に低く見せるようにしたもので、枕木上のレール高さは#80に比べ1 mm 程度低くなっている。わずか1 mm の低減であるが、実物換算では150 - 160 mm に相当するため、その視覚効果は大きい。

レール断面は、通常の「I」字形に対し、「土」の字に近いものとなっており、枕木のモールドに隠れている部分を含めたレール自体の高さは#55と変わらず、それによって強度を確保し、ジョイナーも通常のものがそのまま利用できる。さらに、より細く見えるよう、レール頭部も小振りにされている。

他のレールと接続する際には、道床厚の調整によるレール上面の高さ合わせが必要となる。また、線路終端などでは、実物のレールからかけ離れているレール断面が見え、実感が損なわれるため、ある程度の工作や他種のレールとの併用を検討するなどの工夫が必要になる。

このレールだけで敷設している限りは実感的に見えるが、日本の国鉄形車両などとの組み合わせでは、枕木が短いこともあり、より狭軌感は削がれる。

なお、HOゲージより縮尺の大きいスケールでは、通常のレール保持方法のままで細いレールの使用が可能であるため、特殊断面の半埋め込みレールは「ピィコNファイン」だけの特徴である。


[編集] HO / OOゲージ用

洋白レールで、#100、#83、#75の3種類がある。

Nゲージとほぼ同様の商品構成で、固定式線路群のセットラック(ST)と、木製、PC枕木の2種のフレキシブルレールと絶縁式フログのターンアウトがストリームライン(SL)に分類される。HO / OO用ではSTシリーズにもターンアウトの種類が多い。そのほか導通式フログの中型・大型、小型Y字・中型Y字、中型3ウェイ(3分岐)の各ターンアウトがストリームライン・エレクトロフログ(SLE)となっている。

[編集] 関連項目

  • 機芸出版社 - 鉄道模型雑誌の出版社だが、ピィコの日本総代理店でもある。

[編集] 外部リンク

他の言語