石炭

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石炭
石炭

石炭(せきたん、coal)とは、古代植物が完全に腐敗分解する前に地中に埋もれ、そこで長い期間地熱地圧を受けて変質(石炭化)したことにより生成した物質の総称。見方を変えれば植物化石でもある。

石炭は古くから燃料として使われてきており、特に産業革命以後20世紀初頭まで最重要の燃料として、また化学工業都市ガスの原料として「黒ダイヤ」と呼ばれていた。20世紀中旬以後西側先進国では取扱の便利な石油に燃料の主役の座を譲ったが、中国などでは現在も最も重要なエネルギー源である。他の化石燃料である石油や天然ガスに比べて、燃焼した際の二酸化炭素排出量が多いため地球温暖化問題の面からは不利であるが、石油と違い政情の安定している国の埋蔵量が多いので有事の際にも安定した供給が可能である。

目次

[編集] 石炭の成り立ち

現在の泥炭地 霧多布湿原
現在の泥炭地 霧多布湿原
石炭の化学構造の例:瀝青炭
石炭の化学構造の例:瀝青炭

現在の地球上では枯れて倒れた樹木は大半がシロアリキノコに代表される菌類微生物によって分解されてしまうが、石炭ができるためには完全に分解される前に地中に埋没することが必要である。植物の遺体が分解されずに堆積する場所として湿原や湿地帯が挙げられる。これらの場所においては植物の遺体は酸素の少ない水中に沈むことによって生物による分解が十分進まず、分解されずに残った組織が泥炭となって堆積する。泥炭は植物が石炭になる入り口とされている。他の成因として大規模な洪水で大量の樹木が湖底等の低地に流れ込んで土砂に埋まる事も考えられる。地中に埋まった植物は年代を経るに従って 泥炭褐炭瀝青炭無煙炭 に変わってゆく。この変化を石炭化と呼ぶ。

[編集] 石炭化

地中に埋まった植物が地圧や地熱を受けて石炭になる変化を総称して石炭化と呼ぶ。これは多様な化学反応を伴った変化である。セルロースリグニンを構成する元素は炭素酸素水素であるが、石炭化が進むに従って酸素や水素が減って炭素濃度が上がってゆき、外観は褐色から黒色に変わり、固くなってゆく。炭素の含有量は泥炭の70%以下から順次上昇して無煙炭の炭素濃度は90%以上に達する。化学的には植物生体由来の脂肪族炭化水素が脱水反応により泥炭・褐炭になり、次に脱炭酸反応により瀝青炭となり、最後に脱メタン反応により芳香族炭化水素主体の無煙炭に変わってゆく。植物が石炭化する速度は地中での圧力や温度の影響を受ける。日本は環太平洋造山帯に位置し地殻変動が盛んなため、諸外国の産地よりも高温・高圧にさらされて石炭化の進行が早いとする説もある。

[編集] 石炭が産出する地層

石炭は元となった植物が繁茂していた時代に相当する地層から産出される。

古生代の地層は石炭が産出する地層としては最も古く、産出は無煙炭が主体。古生代に繁茂していた植物は現在のシダ類やトクサ類の祖先に相当するが、当時の代表的な植物であるリンボクは高さ30mになる大木で、大森林を形成していたと考えられている。

  • 石炭紀(2億8千万年前頃): ヨーロッパ、北米
  • 二畳紀(2億2千万年前頃): 中国、インド、オーストラリア、アフリカ

中生代ソテツイチョウなどの裸子植物が優勢となった。この時代の地層から産出する石炭は海外では殆ど瀝青炭だが、日本で産出するのは無煙炭が主体である。

  • 三畳紀(1億9千万年前頃): ヨーロッパ中部、北米、中国南部、インドシナ
  • ジュラ紀(1億5千万年前頃): ヨーロッパ中南部、北米、アジア東部
  • 白亜紀(1億2千年万前頃): ヨーロッパ中部 北米、南米、アフリカ

新生代第三紀(7~2千万年前)の植物は、現在に近い樹種が主体。産出する石炭は、外国では石炭化の低い褐炭が主体だが、日本の炭鉱では瀝青炭が産出される。

  • ドイツ、北米、中米、オーストラリア、日本

植物の体はセルロースリグニンタンパク質樹脂などなどで構成されている。このうち古生代に繁茂したシダ類ではセルロースが40~50%リグニンが20~30%であり、中生代以後に主体となる針葉樹類ではセルロースが50%以上リグニンが30%である(何れも現生種のデータ)。これらの生体物質を元にしてが石炭が形成された。

石炭の成り立ちの主な参考文献 - 『石炭技術総覧』第2章石炭を採る、『太陽の化石:石炭』第1章石炭の生い立ち

[編集] 燃料としての特徴

石炭は燃料としては最も埋蔵量が多い地下資源である。しかし採掘・運搬・使用(燃焼)に際して不利な点も多い。

[編集] 豊富な埋蔵量

石炭は他の燃料に比べて埋蔵量が多く、かつ石油のように一地域に偏在することなく全世界で幅広く採掘が可能なエネルギー資源である。50年で枯渇が懸念されている石油に対し150年の採掘が可能と考えられている。2000年現在、世界の消費は約37億t、総一次エネルギー消費の27%を占める。確認可採埋蔵量は、世界で約9,800億t(2000年)(BP統計2005年版では約9,091億t)。1990年のデータでは ウランを含む燃料資源を石油に換算した確認可採埋蔵量の比率は石炭が61.9%に達し、オイルサンド類の16.1%、石油の10.8%、天然ガスの9.7%に比べて圧倒的に多い。また石油が世界の埋蔵量のうち中東地区に70%以上が偏在していることや(1999年のデータ)、天然ガスが旧ソ連と中東で70%以上の埋蔵量を占有する状況である(1999年のデータ)のに比べて 石炭は旧ソ連(23.4%)、アメリカ(25.1%)、中国(11.6%)、オーストラリア(9.2%)、インド(7.6%)、ドイツ(6.8%)と政情の安定している国の埋蔵量が大きいことが特徴(1999年のデータ)。

現在先進国と呼ばれる国々では、液体で扱いやすい石油が燃料の主流となっているが、自国内に豊富な石炭資源を有する中国は、全エネルギーのうち7割以上を石炭が占めている。

豊富な埋蔵量の主な参考文献 - 『エネルギー・セキュリティ』

[編集] 石炭の欠点

石炭は埋蔵量の大きい燃料であるが下記のような欠点がある。最近の日本での使用に際しては、環境に配慮して最新技術による対策が施されている。

  • 単位重量当りの発熱量が小さい。これは蒸気ボイラーで同じ出力を得ようとした場合、石油燃料を使用する場合よりも大きなボイラーが必要であることを意味する。同じ大きさのボイラーであれば石油焚きのほうが高馬力が得られる。
  • 固体であるため、採掘・運搬・貯蔵に際して液体の石油よりも手間がかかる。液体はポンプと配管で輸送できるが、石炭の輸送にはパワーショベルまたは人手による投炭、ホッパー、ベルトコンベア等が必要である。
  • 不純物が多い。特に硫黄が0.4~5%含まれているが、これは燃やすと酸性雨の主要因となる硫黄酸化物となる。窒素成分も他のエネルギー源より多く、やはり酸性雨の原因となる窒素酸化物の生成量も他の燃料より多い。これらの環境汚染物質については(日本では)国や地方自治体で排出基準が定められている。環境対策として 硫黄酸化物については湿式石灰石-石膏法による脱硫装置、窒素酸化物については燃焼方法の改善や排煙脱硝装置の稼動により排出基準を遵守している。また灰分を含んでいるため、燃焼後にその処分が必要。
  • 他の燃料に比べて煤塵発生が多い。蒸気機関車が黒煙を吐いて走っているのが典型例。火力発電所等では、排煙中の煤塵は集塵機により除去されている。
  • 二酸化炭素排出量が他の燃料よりも多い。石炭は高品位になるほど炭素含有量が増えて水素や酸素が減ってゆき、無煙炭の炭素含有量は90%以上に達する。他の燃料を燃焼すると二酸化炭素と水が出来るが、高品位の石炭を燃やすと燃焼生成物の大部分が二酸化炭素となる。二酸化炭素は地球温暖化に強い影響を与える物質として、排出量規制の動きも出ており(京都議定書)、その面では使いにくい燃料である。二酸化炭素を回収し地中に戻す技術が開発途上にある。
  • 単純に燃焼させた場合地球環境に負荷を与える燃料資源と見なされているが、硫黄酸化物、二酸化炭素などを除去する装置が完備した施設で管理された使用においては発電目的など将来的な可能性が見込める。
石炭の欠点の主な参考文献 - 『石炭技術総覧』第3章石炭を使う

[編集] 石炭の利用

石炭は暖房や煮炊きに使われるほか、蒸気ボイラー用燃料として発電・各種工場鉄道船舶などに使われる。また日本のセメント工業の燃料としては石油よりも多く使われている。製鉄用には瀝青炭を乾留したコークスが大量に使用されている。乾留の際の副生成物であるコールタールは化学薬品などの原料として重要であり、同じ副生成物のコークス炉ガスは過去に都市ガスとして使用された。また固体燃料の取扱の不便さ改善の為に石油と混合して液体燃料化したCOMや、水と混合した液体燃料CWMも実用化されている。別途 石炭を化学的に液化する方法として水素添加法や、石炭をガス化した一酸化炭素と水素を元にフィッシャー・トロプシュ反応により炭化水素を合成する方法(南アフリカで実用化)などが工業化された。以下に石炭利用の歴史を概説する。

石炭の利用この章の主な参考文献 - 『石炭技術総覧』第3章石炭を使う

[編集] 石炭使用の黎明期

古代ギリシアのテオフラスタスの記録(紀元前315年)に石炭が鍛冶屋の燃料として使われたと書かれている。ほぼ同年代の中国戦国時代でも石炭を使用した遺跡が見つかっている。代から大々的に燃料として用いられるようになり、その強い火力により中華料理の炒め物のメニューができた。日本での本格使用は江戸時代に九州筑豊の石炭が瀬戸内海の製塩に用いられた記録がある。イギリスは国内に豊富な石炭資源を有し、一部は地表に露出していたため700年以上前から燃料として使われていた。18世紀にイギリスで産業革命が始まり、製鉄業をはじめとした工業が大規模化した。燃料消費量が増え 従来の薪や木炭を使用した工業システムでは森林資源の回復が追いつかなくなる問題が持ち上がり、工業用燃料として石炭が注目され始めた。

[編集] 石炭の黄金時代

1904年製の蒸気機関車City of Truro
1904年製の蒸気機関車City of Truro

18世紀になってジェームズ・ワットによって蒸気機関が実用化され、燃料として石炭が大量に使用されるようになった。また同じ頃に石炭を乾留したコークスによる製鉄法が確立され、良質な鉄が安価に大量に生産できるようになり、産業革命を大きく推進させた。19世紀末になるとコークスを製造する際の副産物として出てきたドロドロの液体コールタールを原料として石炭化学工業が始まり、染料のインディゴ、薬品のアスピリンナフタリンなどが作られるようになった。石炭と石灰岩を高温(2,000℃)で反応させてできたカーバイドからアセチレンが作られ、有機化学工業の主原料となった(現在この地位は石油起源のナフサ/エチレンに替わっている)。燃料としての石炭は工場の動力に使われた他に、鉄道の蒸気機関の燃料として使われた。

都市の照明や暖房・調理用に石炭由来の合成ガスが使われた。これは石炭の熱分解から得られたガスで、最初はコークスを作る際に発生するメタン水素を主成分とするコークス炉ガスがロンドンのガス灯などに使われた。次にもっと大量に生産できる都市ガスが開発された。灼熱したコークスに水をかけて得られる一酸化炭素水素からなるガスで、大都市で1970年代まで使用されたが、便利ではあるが毒性が強いものであったため現在では毒性の少ない天然ガスに切り替わりつつある。19世紀末から20世紀中旬にかけて、先進各国の都市では工場や家庭で使用する石炭から出る煤煙による公害問題が大きくなっていった。

石炭の黄金時代の主な参考文献 - 『石炭技術総覧』第3章石炭を使う

[編集] 石炭から石油への移行

第一次大戦で活躍したドイツ巡洋艦エムデン、石炭燃焼による目立つ黒煙は敵に見つかりやすい。特にドイツにおいては地政学的な理由から英国のような高品質の火力の高い無煙炭の入手が困難であったため不利な条件が重なることになった。
第一次大戦で活躍したドイツ巡洋艦エムデン、石炭燃焼による目立つ黒煙は敵に見つかりやすい。
特にドイツにおいては地政学的な理由から英国のような高品質の火力の高い無煙炭の入手が困難であったため不利な条件が重なることになった。

20世紀にはいると石油の採掘技術が発展し、アメリカ国内、中東、インドネシアで大規模な油田が開発されて、大量に安価に入手できるようになった。石油は液体なので貯蔵・移送が便利な上、発熱量が大きく、ばい煙が少ないので石炭に代わる燃料として使われるようになった。1910年まで世界の海軍の主要艦艇の燃料は石炭であったが、イギリスでは1914年に竣工した軽巡洋艦アリシューザ級と1915年竣工の戦艦クイーン・エリザベス級以後の艦は、燃料を重油に切り替えた。日本などの国々でも1920年代以後に建造された艦の燃料はほとんど全て石油に切り替わった。他の分野では石油への切り替えは少し遅れた。鉄道分野では当初動力車として蒸気機関車のみしかなかったが、1940年代にはアメリカで高出力ディーゼル機関車の本格運用が始まった。ドイツは第二次世界大戦中にヨーロッパ内では入手しにくい石油の代替として、石炭を化学的に液化する技術を工業化した。これは高温(500℃以上)高圧(数十気圧以上)の条件下で石炭と水素を反応させて炭化水素を合成する方法であった。

第二次世界大戦で負けた日本は、疲弊した国内産業の建て直しの為に国策として石炭の増産を実施し(傾斜生産方式)、戦後の復興を遂げた。当時火力発電はほとんど石炭を燃料としていた。しかし 1960年から発電用燃料として石油の使用量が増大し、1970年代には石炭のみを使う火力発電所は新設されなくなった時期があった。また既設の石炭火力発電所も石油使用に改造された。しかし2度のオイルショックを経てエネルギー源を石油のみに依存する事は国家として危険性が大きいことを考慮し、1980年以降は石油と天然ガスと石炭をバランスよく使用するように方針転換されている。化学工業の原料としては、現在圧倒的に石油が使われている。現在の化学工業の基本となっているのは、石油の低沸点部分ナフサを原料としたエチレンである。

燃料や工業原料としての石炭使用は石油や天然ガスに切り変わった部分も多いが、鉄鉱石を精錬して鉄に変える高炉では、瀝青炭から作られたコークスを大量に使用している。日本の石炭使用量の大きな部分が製鉄業であることは変わっていない。

[編集] 石炭の種類

石炭はその産地(炭層)によって性質が大きく異なる。一般には石炭化度の指標である燃料比(固定炭素/揮発分)によって分類されている。石炭化度の進んだ無煙炭と瀝青炭は高品位炭、石炭化の進んでいない亜瀝青炭・褐炭・泥炭は低品位炭とも呼ばれる。

無煙炭(むえんたん、anthracite
炭素含有量90%以上。石炭化度が高く、燃やしても煙の少ない良質の石炭。家庭用の燃料やカーバイドの原料に使われる。ただし揮発分が低く、着火性に劣る。
瀝青炭(れきせいたん、bituminous coal
炭素含有量83~90%。粘結性が高く、コークス、製鉄用燃料に使われる。
亜瀝青炭(あれきせいたん、subbituminous coal
炭素含有量78~83%。瀝青炭に似た性質を持つが、水分を15~45%含むため扱いにくく、ボイラーなどに使われる程度。ただし豊富な埋蔵量を誇るため、現在効率的な利用への研究が進められる。日本で生産されていた石炭の多くも亜瀝青炭であった。
褐炭(かったん、brown coal)
炭素含有量70~78%。石炭化度は低く、水分・酸素の多い低品位な石炭。練炭・豆炭などの一般用の燃料として使用される。色はその名の示す通りの褐色。
亜炭(あたん、lignite
褐炭の質の悪いものに付けられた俗名。炭素含有量70%以下。褐炭も含めて亜炭と呼ぶ場合もあり、その基準は極めて曖昧である。学名は褐色褐炭。埋れ木も亜炭の一種である。日本では太平洋戦争大東亜戦争)中に燃料不足のため多く利用された。現在は肥料原料などとして極少量が利用されている。
泥炭(でいたん、peat
泥状の炭。石炭の成長過程にあるもので、品質が悪いため工業用燃料としての需要は少ない。また、ウイスキーに使用するピートは、大麦麦芽を乾燥させる燃料として香り付けを兼ねる。このほか、繊維質を保ち、保水性や通気性に富むことから、園芸用土として使用される。

[編集] 石炭の採掘

ワイオミング炭鉱の露天掘り
ワイオミング炭鉱の露天掘り
石炭の埋まっている地層まで縦坑を掘り、その後炭層に沿って掘り進む
石炭の埋まっている地層まで縦坑を掘り、その後炭層に沿って掘り進む

詳細は炭鉱を参照。

石炭は太古の植物の遺体が堆積したものであるため、地中には地層の形で存在する。石炭の鉱山を特に炭鉱と呼び、炭鉱が集中している地域を炭田と呼ぶ。石炭の層(炭層と言う)が地表または地表に近いところに存在する場合、地面から直接シャベル等で掘り進む露天掘りが行われる。アメリカやオーストラリアの大規模な炭鉱で多く見られる。中国の撫順炭鉱は、700年ほど前から露天掘りがなされたと言われており、当時は陶器製造のための燃料として用いられたとされる。その後、朝は「風水に害あり」との理由から採掘禁止としていたが、1901年、政府許可のもとで民族資本により採掘がはじまり、その後ロシア資本が進出、さらに日露戦争後は東清鉄道及びその付属地日本の手に渡ることとなり、1907年には南満州鉄道の管理下に移って、鞍山の鉄鋼業の発展に寄与した。

右図のように地下深いところに石炭がある場合、炭層まで縦坑を掘り、その後炭層に沿って水平または斜め(斜坑)に掘り進む。石炭は層状に存在するので採掘は広い面積で行われるため、放置すれば採掘現場の天井が崩れ落ちる危険性が非常に高い。石炭を採掘する際には、天井が崩れないように様々な対処を行いながら掘り進む。

石炭が他の鉱石と著しく異なる点は「石炭は良く燃える」ことであり、それによる大規模な炭鉱災害が度々発生している。炭層内に含まれるメタンガスが突然噴出し引火して爆発したり、炭鉱内に飛散した石炭の粉塵に引火して炭塵爆発を起こしたり等で多数の犠牲者が出た事故が過去何度も発生している。犠牲者が最も多かったのは日本統治下の満州本渓湖炭鉱で1943年に発生した炭塵爆発事故で、死者の数は1,527名に達した。日本国内の事故では1914年に方城炭鉱でのガス爆発事故が死者687名を出している。1910年頃までヨーロッパでも死者300人を越える事故があったが、1913年のイギリスのセングヘニス炭鉱事故(死者439名)以後、欧米では犠牲者300名以上の爆発事故は発生していない。それに対して日本では1963年の三池炭鉱盆踊り炭坑節で有名)炭塵爆発事故で458名の死者を出している。

炭鉱災害の参考文献 - 『太陽の化石:石炭』2.5炭鉱災害と保安の技術史について

[編集] 炭鉱

比較的埋蔵量の多い国はアメリカ合衆国ロシア連邦中華人民共和国古期造山帯で多く産出される。炭層が厚く、広範囲に分布することから、露天掘りが多い。輸出向けの実績はオーストラリア、インドネシアが堅調に推移。インドネシアは良質な瀝青炭の埋蔵量が減少傾向にあり、今後は亜瀝青炭の生産量が増加していくものと見られる。中国は石炭需給が逼迫している中、2007年にはついに石炭輸出国から輸入国へ転じる見込みとなっており[1]、石炭生産の安全対策の確保が急がれる。日本は、オーストラリア、インドネシア、中国、ロシアなどから年間約1億8千万トンもの石炭を輸入している。

ロシア西シベリアケメロボ州ノボクズネツク・ウリヤノフスカヤ炭鉱で2007年3月19日爆発事故が起きた。現場は深さ約270mの坑内。メタンガス濃度検出機の感度を下げて操業していたため、坑内にメタンガスが充満していたにもかかわらず安全装置が働かず、引火爆発して死者108人に達する大事故となった[1][2]

[編集] 主な産炭地

( )内は1980年からの産出量の割合(%)。年合計は38.34億トン。

参考資料:鉄鋼統計要覧など

[編集] 日本の炭鉱

日本の炭鉱はアメリカやオーストラリアの大規模炭鉱と比べて地層構成が複雑なため、石炭は地下の深部にある事が多い。そのため何kmにも及ぶ坑道を掘り採掘していたが、労働条件は悪く、上記のようにメタンガス粉塵による爆発事故・落盤などが多発し、多くの殉職者を出してきた。

明治維新以後 石炭は燃料や工業原料(特に製鉄業)として使用量が増大した。北海道福島県山口県福岡県佐賀県長崎県が主産地で、最盛期にはこれらの地域を中心に全国に800以上の炭鉱が開かれ、第二次世界大戦中に年間産出量は6,000万トンに達した。終戦後急激に減少しその後産業の回復につれて産出量は再度増加した。1950年以降ほぼ5,000万トンを超えるレベルに回復したが、石油の大量輸入(エネルギー革命)、コスト面で外国産のものに太刀打ちできないなどの問題で1961年をピークに徐々に衰退し、2002年以降は下記1炭鉱のみの釧路炭鉱となった。2007年度、年間60万トン体制での採炭を続けている。この炭鉱は、採炭技術の継承と海外技術者の研修受入先としても活用されている。

[編集] 主な日本の産炭地

Category:日本の炭田を参照。

  • 釧路炭田北海道釧路市 ※現在稼行中(釧路コールマイン)。採炭とベトナム・中国等への石炭技術の継承のため、国内唯一の坑内掘り炭鉱として稼行中。おもに発電用。近年の燃料費高騰を受けて採算が良くなった。

以下は全て閉山

現在でも細々と露天掘りによって採炭が行われているところもある(石狩炭田)。

[編集] 脚注

  1. ^ 108人死亡のロシア炭鉱事故 ガス検知装置の感度低下させた可能性 2007.04.17 NHKニュース
  2. ^ シベリア炭鉱爆発の犠牲者107人、ロシア史上最悪の炭鉱事故に - ロシアAFP通信 2007年03月21日

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ

[編集] 参考文献

[編集] 外部リンク

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