木質ペレット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
木質ペレット(写真はホワイトペレット)

木質ペレット(もくしつペレット)は、おが粉やかんな屑など製材副産物を圧縮成型した小粒の固形燃料のこと。ペレットストーブ、ペレットボイラー、吸収式冷凍機の燃料として用いられる。木質バイオマスペレットとも呼ばれる。

概要[編集]

木質ペレットの燃焼状態

木質ペレットは燃焼によってCO2を発生するが、化石燃料の燃焼とは異なり炭素循環の枠内でその総量を増加させるものではないため、統計上は排出しないものとして取り扱うことができる(詳しくはカーボンニュートラルを参照)、不要物を原料とするなどCO2排出量削減の観点と、近年の原油価格高騰に対抗するコスト削減の観点から急速に注目を浴びている。形状は直径6mm - 9mm程度、長さ10mm - 25mm程度の円筒形で、原料となる木材種や使用部位によりホワイトペレット、バークペレット、全木ペレットに分けられており、燃焼特性や製造コストに差がある。使用部位は木質部とは限らず樹皮もペレット化できるほか、樹木自体もさまざまである。木ではなくからつくることもできる。原料によって外観は異なるが、ほとんどの場合はかなり堅く、原料中のワックス成分によって表面の手触りはつるつるしている。

規格[編集]

木質ペレットの品質や成分などの基準について日本工業規格 (JIS) では定められていない。このため多くの製造業者・自治体は財団法人日本燃焼機器検査協会が定めた「木質系バイオマスペレットの基準 (JHIA N-5651) 」に沿って製造を行っている。この基準では原料、寸法、発熱量、水分・灰分・塩素・硫黄酸化物の各含有率などが定められている。またその第一項に「1、適用範囲・この基準は、有害物質に汚染されていない樹木を原料として生産された木質系バイオマスペレット(以下、ペレットという)でペレット燃焼機器に用いるものについて規定する。ただし、原料となる樹木が、海水中で貯蔵されたもの又は他の目的で使用され廃材となったものには適用しない。」との項目があるため、建築物解体廃材などの廃棄物を原料にせず、製材過程でできたおが粉や鉋くず・樹皮を原料にするケースが多い。

全木(混合)ペレット

おおまかに分けて以下の三つがある。

  • 木部ペレット(ホワイトペレット)
樹皮を含まない木質部を主体とした原料を用いて製造したペレット。火力が強く、灰が非常に少ない(1.0%未満)。
  • 全木(混合)ペレット
「全木ペレット」樹皮付丸太を原料として製造したペレット
「混合ペレット」樹皮と木部を任意の割合で混合した原料を用いて製造したペレット
灰分は1%〜2%となっており比較的少ない。
  • 樹皮ペレット(バークペレット)
樹皮を主体とした原料を用いて製造したペレット。比較的火力が弱く、灰が多い(8%未満)。頻繁に灰掃除する必要がある。

製造[編集]

ペレット成型の一例
(リング状金型プレスの断面)

現在普及している製造設備はペレット流通量の多いアメリカ合衆国ドイツ及び北欧諸国からもたらされたものが多く、大型機械による大量生産を主眼としているため、流通に消費されるエネルギーと経費を減らしたい、或いは地産地消を謳う日本の施策とは相容れない面がある。そのため日本の流通形態や地域の特色を生かした製造方法を確立する事が必要不可欠であり、自治体民間企業大学などの研究機関が連携し様々な方法が研究されている。近年は国産の製造設備が開発され、商業利用に堪えられる性能・価格を持つものが増えてきた事で、より一層の普及が期待される。

代表的な製造方法(国産機フラットダイ式生産設備の例)
固形や樹皮は粉砕し粉状にし含水量を調整する。次にペレタイザーと呼ばれる原料に圧力を加え固める装置で成型する。木にはリグニンという成分が含まれているが、これに圧力を加えるとリグニンが溶け接着剤の役割をし、同じく木に含まれるセルロースヘミセルロースが接着される事で成型できる。このとき含水量が20%を越えると固まらず、5%を下回ると固まりにくいため10%前後に調整される。
製造時のエネルギー消費(国産機フラットダイ式生産設備の例)
発熱量5,040kcal/kgのホワイトペレットを製造する際、ペレット1kg当たりに必要な電力量は0.1375kWh。ペレット発熱量の約2.35%となる。一方外国製大型機械では1.3 - 2%程度なので、まだ国産機の効率は良いとは言えない。

歴史[編集]

ペレット製造は間伐材や樹根の消費拡大のために何度か普及が試みられてきたが、いずれも失敗に終わってきた。しかし2000年代に入り、地球温暖化問題、原油価格高騰、廃棄物処理経費の増大などの背景もあり、徐々に普及が進み始めている。とりわけ寒冷地での普及が顕著で、日本のペレット先進地である岩手県原油価格高騰で痛手を喰う北海道でペレットストーブ販売量が急速に増えている。機器の購入に助成金を出す自治体が増え、一般家庭でも導入しやすくなった事も増加の一因とされる。本州以南の地域では家庭用よりも温室や乾燥用など農業用での大規模利用が多く、また自治体も支援をおこなっており、価格の低下が見込まれている。

課題[編集]

ペレットは木を原料とするため、寒帯林温帯林亜熱帯林、また針葉樹広葉樹かにより出来上がる製品の品質に差が出る。このためストーブメーカーなどが顧客の使用するペレットがどこで作られた物か聞き取りをし、空気量やペレット供給量などを設定しなければ想定通りの燃焼を得られないケースがある。

関連項目[編集]