灯油
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灯油(とうゆ)とは、石油の分留成分の1つであるケロシンから作られる石油製品。言い換えるとケロシンを暖房あるいはランプ用の日用品等に利用するために調整した製品が灯油である[1]。広義には灯油の成分はほぼケロシンであるため、「ケロシン」の言い換えで「灯油」と呼ぶことがあるが、ここでは石油製品としての灯油について述べる。
灯油とは、元来はランプなど照明器具のための油のことであり、こうした用例ではともしびあぶらと読む。
現代日本の日常生活では単に「石油」と呼び表す場合は「灯油」を意味する場合が多い。また、その品質は日本工業規格で規定されている(後述)。
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[編集] 概要
灯油は、原油の常圧蒸留およびその後の精製によって得られる製品である。無色透明で特有の臭気を放つ液体で、炭素数9から15の炭化水素を主成分とする。硫黄分80ppm以下、引火性はあるが引火点は40℃以上と常温より高いため常温では引火しない。
取り扱いが容易であるため、家庭用の暖房機器や給湯器、燃料電池等の燃料に使われる。また工業用、産業用途として洗浄あるいは溶剤にも用いられる。
ただし、引火点以下の状態にあっても霧状の粒子となって空気中に浮遊することがあるため、この時はガソリンに匹敵する引火性を持つ。また、人体への影響としては皮膚炎や結膜炎を引き起こすことがある。
生活必需品の一つであり、石油製品の中でもガソリンと並んで価格動向に注意が払われる製品の一つである。[2]
[編集] 灯油(ともしあぶら)
古来より神事等に使用されてきた灯油(ともしびあぶら)としては、魚油、榛油、椿油、胡麻油等が使用されてきたが、9世紀後半に離宮八幡宮の宮司が荏胡麻(エゴマ)の搾油機を考案してからは荏胡麻油がその主流となった。17世紀以降は荏胡麻油に替わり菜種油や綿実油が灯油として主に用いられるようになった。
[編集] 品質
灯油の品質は日本工業規格 (JIS K 2203) で規定されている。
[編集] 1号灯油
一般に利用されるものは精製度が高く不純物(特に硫黄分)が少ないという意味で、「1号灯油」通称「白灯油」の名称が与えられている。1号灯油に要求される品質は、発煙性成分が少なく燃焼性がよいこと、燃えカスがでないこと、刺激臭等がないこと、適当な揮発性を有していることとされている。
[編集] 2号灯油
精製度が低く淡黄色をしており、主に石油発動機用の燃料であった。その色から「茶灯油」とも呼ばれる。2005年時点では日本国内で生産・流通されていない。
| 硫黄分 | 0.008質量%以下(80ppm以下)(1996年以前150ppm) 2号灯油は0.05質量%以下(500ppm以下) |
|---|---|
| 引火点 | 40℃以上 |
| 色 | +25以上(透明度 = セーボルト色) |
| 95%流出温度 | 270℃以下(2号灯油は300℃以下) |
| 煙点 | 23mm以上(11月~4月は21mm以上) |
| 銅板腐食 | 1以下(50℃で3時間測定法による) |
| 法定比重 | 0.80 |
[編集] 販売
灯油はガソリンスタンド(一部店舗と高速道路内のサービスエリア・パーキングエリアを除く)のほか、ホームセンター・ディスカウントストア・スーパーセンターなどの量販店、米穀店、生協、移動販売など広い販路で販売され、家庭への配達が行われる。近年(2004年の段階)では低価格のセルフ式ガソリンスタンドや、ホームセンターにおける持ち帰り購入が増えている。
持ち帰り容器としては1970年代までは一斗缶が広く用いられていたが、その後は軽量で気密性の高いポリタンクが広く使われている。
特に冬の寒さが厳しい北海道・東北地方では、一世帯あたり平均で年間約1,500から2,000リットル程度の灯油を消費することから、一軒家では500から1,000リットルクラスのホームタンクに灯油を備蓄し、家屋内の石油ストーブやボイラー等へ自動的に給油するシステムを持つことが一般的である。その他の地方に於いても、灯油を燃料にする給湯設備が普及しており、これらも、数百リットル単位のタンクを有している。 灯油が少なくなると軽トラックに計量器付きの小型タンクを設置したタンクローリー、もしくは規模によっては大型のタンクローリーを呼んで、ホームタンクに給油するか、ガソリンスタンドやホームセンターで購入する。
灯油の価格表示は1リットル当たりの表示と18リットル当たりの表示が混在する。[3] [4]これは灯油を一斗缶で販売していた頃の名残であり、約1斗に相当する18リットル単位での販売が一般化したためである。現在でも一般的なポリタンクの容量は18リットルである。
灯油の販売機会が少ないガソリンスタンドで、誤ってガソリンを販売するミスがまれに発生している。最近においては、セルフ式スタンドで本来軽油を給油すべきディーゼル自動車に価格の安い灯油を給油する行為があるが、これはディーゼルエンジンはもちろん環境にも悪影響を及ぼしかねないばかりか、軽油引取税上の脱税行為となる。
[編集] 不良灯油と不純灯油
灯油は長期間の保管や不純物の混入などによって品質に問題が生じることがある。こうした不良あるいは不純な灯油を利用すると、さまざまな問題が生じる。
[編集] 不良灯油
長時間放置あるいは寒暖差の激しい環境に置かれ、品質が劣化した灯油。一般的には使い残した灯油を1シーズン放置したものなどが該当する。良質の灯油は無色透明なのに対し、不良灯油は黄色く変色する。灯油自体の臭気にも変化があり、劣化すると「目にしみる」ような臭気を放つ。
こうした不良灯油を使用すると、黒煙・白煙や異臭が大量に出るほか、火力が安定せず、芯式石油ストーブの場合は芯が黒化し、ダイヤル、レバーなどが操作出来なくなる。
[編集] 不純灯油
不純物の入れ混じった灯油。特に水の混入が多く、ポリタンクのふたが閉まりきっていなかったり、ポリタンク内で霜が降りてしまうと、水分が混ざった不純灯油となってしまう。水は灯油より重くタンク下部に溜まってしまうため、水が入っていることに気付かずに使用したことで、機器を故障させてしまうことが多い。
こうした不純灯油を使用すると、火力が弱まり、着火されにくくなる。機器によっては給油警告も常に出るようになる。そのほか軽油やガソリンが混じった不純灯油も考えられ、これらをそのまま使用することで目やのどの痛みを訴えたりと人体に影響が出るほか、火災の原因になる。
[編集] 故障問題
石油ファンヒータおよび石油ストーブは灯油を気化して燃焼させるものであり、機械的な故障は少ない。しかし、ブンゼン式では不良灯油による故障が多く、1シーズン経過しただけの不良灯油で容易に壊れてしまうこともある。故障が疑われる場合、まず使用した灯油を疑うことである。石油ストーブメーカー各社とも不良・不純灯油の使用による故障は無償修理保証の適用外とされ、有償による修理の対応となる。
不良・不純灯油は石油ストーブメーカーが頭を抱えている問題であるが、一般利用者には広く認知されていない問題でもある。販売店から初期不良としてメーカーへ返品されてくる製品のほとんどが、こうした不良・不純灯油が原因とされるものである。対応した販売店の店員すらも不良・不純灯油に関する知識が不足し、利用者からのクレームを避けるため、そのまま新品と交換してしまうのである。
[編集] 取り扱い
- 入手
- 信頼のある回転の速い販売店(ガソリンスタンドなど)で灯油を購入をする。毎日のように新鮮な灯油が届けられ、保管状態も良いため。
- 保管
- 強酸化剤と一緒に貯蔵したり、過失・故意に関わらずガソリンや軽油、水などが混入することは避ける。換気に注意し、蒸気の発生に気を付ける。直射日光を避け、冷暗所に保存する。膨張による流出に注意する。長期保管は避け、特にシーズン越しの灯油は絶対に使用しない。
- 灯油の品質に異常が生じたとき
- 石油ストーブ等の精密燃焼器に利用する場合、不良・不純灯油は機器の故障の原因となることから、使用を中止し、ガソリンスタンドへ持ち寄り、回収を申し出る。
[編集] 注釈
- ^ ケロシンからはさらに高品質化することでジェット燃料やロケット燃料が作られる。灯油に利用されないケロシンは製油所で軽油の成分としても転用される。
- ^ 総務省統計局ホームページガソリン/灯油の価格動向(2008年12月3日閲覧)
- ^ 例えば北海道庁環境生活部生活局くらし安全課(2008年12月3日閲覧)では毎月の灯油価格を調査しているが1リットルと18リットルで価格を表示している
- ^ 総務省統計局による小売物価統計調査(PDF)(2008年12月3日閲覧)ではガソリンは1リットル当たりの価格であるのに対して、灯油は18リットル当たりの価格で調査されている。

