太陽光発電

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太陽光発電(たいようこうはつでん、Photovoltaic power generation)は、太陽電池を利用し、太陽光エネルギーを直接的に電力に変換する発電方式である。ソーラー発電とも呼ばれる。再生可能エネルギーの1種であり、太陽エネルギーの利用の一形態である。導入費用が高めな代わりに、昼間の電力需要ピークを緩和し、温室効果ガス排出量を削減できるなどの特長を有する。近年の競争によって性能が向上し、設置や保守が容易である等の利点や産業としての将来性を買われ、需要が拡大している。

太陽光発電施設(愛・地球博長久手会場にて)
太陽光発電施設(愛・地球博長久手会場にて)
太陽光発電施設(愛・地球博長久手会場にて)
太陽光発電施設(愛・地球博長久手会場にて)

この項では、主に発電方式としての太陽光発電について述べる。発電の原理や太陽電池の種類などについては、「太陽電池」の項を併せて参照されたい。

目次

[編集] 特徴

太陽光発電は従来の集中型電源とは様々な点で異なる特徴を持つ。電源としては、昼間時のみに発電することが最大の特徴である。再生可能エネルギーの一種であり、二酸化炭素などの温室効果ガス(Greenhouse Effect Gas, GEG)の排出量削減に貢献し、運転用燃料の調達リスク(コスト)が無い。最大の欠点は商用電源として導入コストがまだ比較的高いことであり、価格低減や普及促進の政策を採る国が多い。一般に、下記のような長所や短所を有する。

利点・特長

  • 可動部分が無いものがほとんどで、機械的にメンテナンスフリーである。
  • 分散型電源のため、災害などの有事における影響範囲を小さく抑えられ、非常用の電源となりうる。
  • 輸出産業としての可能性があり、産業としての将来性が高い。
  • パネルに使われている素体の寿命は半永久的であり、機械・電機部品の交換によるリサイクルが容易である。
  • 小規模でも効率が低下しないため、任意の規模で利用できる。
  • 需要地に近接して設置できるため、送電のコストや損失を低減できる。
  • 水力・原子力・火力の各発電とくらべて、設置に必要な要件が少なく、設置可能面積が広い。
  • 原子力・火力等の発電と比較すると冷却水・廃棄物・排気など、各種副産物の発生がない。
  • 建築物の屋根・壁面に設置できるため、用地を占有しない。
  • 太陽光を利用する再生可能エネルギーであり、発電量と枯渇性燃料との関係がない。
  • 温室効果ガスを排出しない。
  • 出力のピークが昼間の電力需要ピークと重なっており、ピーク時の電力の削減に効果がある。
  • 設置国のエネルギー自給率を向上させる。

欠点・課題

  • 電気的・機械的部品の寿命と総発電量を用いて計算した場合、発電電力量当たりのコストが他の発電方法に比べて2〜3倍と割高。
  • 発電電力が天候に左右される(曇天・雨天時、パネルに積雪した場合は発電量が低下する)。
  • 夜間は発電できず、蓄電能力がない。
  • 設置面積当たりの発電電力量が既存の発電方式に比べ低い。

[編集] 発電可能な量

[編集] 資源量

地球上の太陽光エネルギー資源量の分布(1991-1993年の平均、昼夜の変化や天候の影響含む)。黒点は主要エネルギー源を太陽光に頼る必要のある地点を表す。(英語版"Solar power"より)
地球上の太陽光エネルギー資源量の分布(1991-1993年の平均、昼夜の変化や天候の影響含む)。黒点は主要エネルギー源を太陽光に頼る必要のある地点を表す。(英語版"Solar power"より)
ドイツ、EU25カ国および全世界の需要と等しい電力を太陽エネルギーで発電するのに必要な面積
ドイツ、EU25カ国および全世界の需要と等しい電力を太陽エネルギーで発電するのに必要な面積[1]

太陽光エネルギーは薄く広く分布するが、地球全体では膨大な量となる。太陽から地球全体に照射されている光エネルギーは、ワット数にして約180PW(P=ペタ=10の15乗)である。そのうち、地上で実際に利用可能な量は約1PWといわれる[2]。これは現在の人類のエネルギー消費量の約50倍である。またゴビ砂漠の半分に現在市販されている太陽電池を敷き詰めれば、全人類のエネルギー需要量に匹敵する発電量が得られる[3]。設置場所における年間の日射量は緯度や気候によって異なる。日本では約1200kWh/m2である。欧州では中部で約1000kWh/m2、南部で約1700kWh/m2である。また赤道付近の国々では最大約2600kWh/m2に達する[2]

太陽光発電システムの生産に必要な原料も基本的に豊富である。セルの主要原料であるシリコン(珪素)の資源量は事実上無限である。ただし、太陽光発電に用いられるシリコンの原料となるほどの高品質な珪素の量は有限である。それを精製した高純度シリコン原料は生産が需要に追いつかない状況であり、原料メーカーの増産が続いている([4] P.138, [5])。太陽電池の薄膜化と原料の増産で解消が見込まれている。なお太陽電池の生産には微細シリコン半導体デバイスほどの原料純度(11N~)は必要ない。そのため高純度原料製造工程で発生したオフグレード品や、リサイクル品のシリコンなどが原料として用いられていたが、生産量の増大に伴い、太陽電池専用の比較的純度の低い(7N程度)、ソーラーグレードシリコン(SOG-Si)原料の増産の動きが活発である([4] P.99)。

ただし、シリコン原料ではない資源を利用したパネルの開発も進んでいる。

[編集] 日本国内で導入可能な規模、導入効果の目安

設置に必要な条件が少ないため、潜在的に設置できる量は多い。 太陽光を十分に受けることができ、設置場所がその重量に耐えることができる場所であればほとんどの建造物に設置が可能である。 なお、太陽光発電は電力の消費地に直接設置するのが効率がよい設置方法である。

  • 日本国内の一戸建て(約2600万戸)の2割弱、500万戸に3kWのシステム(合計容量1500万kW)を設置した場合、昼間のピーク時の最大出力は天候や各種損失の影響を考慮して平均1000万kW前後と見積もられる。出力100万kWの発電所10基分以上の出力に相当し、需要ピーク時に多くなる化石燃料の使用量をその分削減できる。
  • 日本国内で導入できる量の目安として、利用可能な主な建屋の屋根や壁面、遊休地に設置したと仮定すると、設備容量にして約207GWが設置可能とされる[6]。この場合の年間総発電量は約217-228TWhとなり、日本の年間総発電量の約21-22%に相当すると計算される。またこの規模でのピーク出力は各種損失や天候の影響を見込んで平均138GW前後と計算される。これは日本の最大電力消費量(約164GW、平成15年実績)よりは小さいが、需要状況によっては他電源との負担割合の調整が必要になるほどの規模である。
  • 参考:日本の年間総発電量は約1028TWhである。これは日本の年間の一次エネルギー総供給量(TPES)の約16.5%(2004年、出典:IEA Statistics)である。従ってTPESと比較されている場合は比率の数字が約6分の1になる。またTPESベースでの比較の場合、太陽光発電では純粋な発電電力のみが算入されるのに対し、他電源の場合は冷却水などに廃熱として捨てられるエネルギーも含まれる場合があり、比較条件に注意が必要である。

[編集] 温室効果ガス(GHG)の排出量とエネルギー収支

太陽光発電のGHG排出量は化石燃料電源の排出量より格段に少なく、利用することでGHG排出量を削減できる。またEPT(後述)やエネルギー収支の点でも優秀な電源である。

[編集] 主な影響要因

太陽光発電の発電電力当たりのGHG排出量や投入エネルギー量は、システム製造工程と、設置環境において発電できる量でほぼ決まる。運転時は燃料を必要とせず、GHGを排出しない。メンテナンスや廃棄時に排出するGHGや投入エネルギー量も僅かである。

  • システム製造時のGHG排出量や投入エネルギー量は、システムに用いる太陽電池の型と、量産規模に大きく影響される。一般にシリコン系の中では、単結晶シリコン型が最も多く、薄膜型(アモルファス、リボン、積層型など)は少ない。単結晶シリコンに比較して、薄膜(リボン)型シリコンでは発電量あたりのGHG排出量も投入エネルギー量も半分以下になる。また生産規模の影響については、例えば10MWから1GWになると、投入エネルギー量がさらに半分以下になると計算されている[2]
  • 実際の設置地域で寿命までに発電できる量は日照時間や温度などの影響を受ける。緯度や気候のデータ、過去の実績などから大まかな予測が可能である。

[編集] 温室効果ガス(GHG)排出量

GHG排出量の計算は、ライフサイクルアセスメント (Life Cycle Assessment,LCA) に基づき、温室効果を持つ全てのガスについて、原料の採鉱精製、システムの製造から廃棄に至るまでの全過程におけるGHGの排出量を、二酸化炭素 (CO2) に換算した値で求められる。具体的な値は企業秘密に属するため、各工程について複数の生産企業における調査結果を平均して発表するなどの工夫が行われている。 ライフサイクル中のGHGの総排出量を総発電量で割ったものをCO2排出原単位と言い、発電量あたりの排出量の比較に用いられる。

CO2排出原単位は

  • 日本では、10年以上前(1996年時点)の技術に基づいた計算では41~53g-CO2/kWhとされている(電力中央研究所、2000年、寿命30年で計算)。2003年の推計では同様の条件で30g-CO2/kWh前後と算出されており、1996年時点の値に比して約3~4割の低減となっている。また薄膜シリコン型やCIGS型を用いた場合はさらに数割削減されると見積もられている。[[1]]
  • 欧州南部地域で利用した場合を2005年に解析した結果では30~46g-CO2/kWh、今後さらに4~5割程度の低下の余地ありと報告されている(E.Alsemaら、MRS Proceedings 0895-G03-05, 2006年、結晶シリコン型モジュールを利用、モジュール寿命30年で計算)。

補足:

  • g-CO2 は各種GHGの排出量を、相当するCO2のグラム数に換算した値である。他に炭素のみの重量を考慮したg-Cを用いる場合もある (12g-C = 44g-CO2) 。
  • 日本の電力の平均のGEG排出源単位は 約360g-CO2/kWh、化石燃料火力発電の平均は約690g-CO2/kWhと計算されている[[2]]。化石燃料を用いた火力発電は主に昼間に稼働するため、太陽光発電によるGEG排出量削減効果はこれら2つの中間の値との比較になる。
  • 上記より、日本の平均的環境で4kWシステムを設置した場合、一日あたりのGEG排出量削減効果は、二酸化炭素に換算して( 1000(kWh/年) * 4kW / 365日 ) * ( 0.33 ~ 0.66 (kg-CO2) ) = 3.6~7.2kg-CO2/日 と計算できる。

[編集] CO2ペイバックタイム

CO2ペイバックタイム(CO2 Payback Time, CO2PT, または二酸化炭素ペイバックタイム)とは、ライフサイクル中の生産などの過程で排出される温室効果ガス(GHG)の排出量を、排出量の削減効果によって取り戻すまでの時間を言う。名称には二酸化炭素(CO2)が用いられることが多いが、メタンなどCO2以外の温室効果ガスの排出についても、地球温暖化への影響力に見合った量のCO2に換算して合算される。ここで炭素に換算した場合は炭素ペイバックタイムと言い、CO2PTと同じ値となる。 CO2PT = (ライフサイクル中のGEG排出量)/(太陽光発電導入によって削減できた1年あたりのGHG排出量)で定義される。

この値は上記のCO2排出原単位と、寿命から逆算できる。例えばGHG排出量が45g-CO2/kWh、寿命20年で日本の平均的な電力と比較した場合は 20×(45/360)=2.5年、火力発電の平均との比較ならば1.4年と求められる。即ち、日本における太陽光発電のCO2ペイバックタイムは1~3年程度である。将来は1年以下にできると算出されている([2]P.174-177など)。

[編集] エネルギー収支またはEPT

エネルギーペイバックタイム(Energy Payback Time, EPT)とは、ライフサイクル中に投入したエネルギーを発電によって取り戻すまでの時間を言う。EPBTとも略す。欧米の複数メーカーを対象とした近年の調査結果では、欧州南部の場合で1.7-2.7年、欧州中部で2.8-4.6年である(E.Alsemaら、MRS Proceedings 0895-G03-05, 2006年)。日本での1999年頃の調査に基づく予測では年産100MW規模の場合、多結晶型で1.4 - 1.5 年とされている(NEDO 報告書No.010019372-1、2001年)。これは太陽電池グレード(SOG)シリコン原料を使用した場合の値であるが、他の半導体素子と共通の製法による多結晶シリコン原料を用いた場合についても、EPTは2年以下とされる[3][4]。また、アモルファス型のEPTは1.0 - 1.1 年、CIGS型の場合は1年未満とされている(NEDOによるまとめ)。 太陽追尾装置を備える集光型システムに於ける解析では、ドイツで稼働させた場合はEPTが12-16ヶ月、スペインで稼働させた場合はEPTが8-10ヶ月になるとの報告がある(Peharzら)。

エネルギー収支(Energy payback ratio, EPR)とは、生産から廃棄までのライフサイクル中に外部から投入するエネルギーと、発電により生み出すエネルギーの比を言う。寿命を上記のEPTで割って求めることができる。ここで寿命20年で年産規模を10MWと於いた場合のエネルギー収支は8~11程度となるが、日本の現在の量産規模(500MW以上、上記)に即していない。上記の1999年頃の調査結果に於いて年産規模を100MWと置き、30年の寿命を想定した場合、多結晶シリコン型で 15~21 、アモルファス型で 27~30 程度と算出される。これは海外における調査報告([5]など)、山田小宮山らの見積もり([2])とも整合する。

なお、日本ではエネルギー収支を「2」や「5~9」などとする文書が一部で散見されるが、これは12~16年以上前の見積もりに基づく値である(1995年3月の電力中央研究所の研究報告Y94009や、1991年の報告書Y90015)。生産方式や技術水準の設定条件が古く、太陽光発電の現在の性能と整合していない[6]。例えば上記の報告書Y90015で多結晶シリコンウエハ生産に必要な電力を設備容量1.1MW分で6250MWh(すなわち、約20MJ/W)と設定している(P.65)が、これは現在の技術による値([2]P.173など)よりも数倍大きい。

[編集] 補足

  • 送電網に接続する系統連系でなく、独立な電源として利用するために蓄電設備を追加する場合、蓄電池の製造などに要する分、GEG排出量と投入エネルギー量が大幅に増える。中国の砂漠地域に大規模システムを設置した場合のシミュレーションでは、例えば鉛蓄電池にて5日分の蓄電設備を追加した場合、EPTは1.5倍、GEG排出量は2倍に増えると計算されている([2]5.3章など)。
  • 日本では一部で「正味エネルギー収支」という指標が用いられる場合があるが、これは「設備利用率」と「所内率」のみで計算され、投入されるエネルギー量の差異は無視している。名称から誤解されやすいが、実際のエネルギー収支を比較する指標としては不適切である。
  • 一戸建ての屋根に沿って(もしくは建材の一部として)設置するような場合、設置~廃棄(もしくはリサイクル用に解体)に伴うGEG排出量およびエネルギー投入量が小さくなり、エネルギー収支の観点からも効率が良い。大がかりな専用架台を造り、廃棄時に再利用困難な廃材が出るような場合などは、設置~廃棄に伴うGEG排出量および投入エネルギーがその分大きくなる。
  • 家庭用の太陽光発電システムはその重量の6~7割以上がリサイクル可能とされ、実際にリサイクル技術も開発されている(メーカーによる開発例)。太陽電池素子(セル)に関しては性能劣化が比較的少ないため、素子のままモジュールから取り外して再利用する技術も開発されている。リサイクルにより、原料を一から調達して精製するよりも使用エネルギーやGEG排出量が大幅に削減できる。結晶シリコン太陽電池モジュールパイロットプラントで処理した実例の解析では、原料を新規に調達して製造する場合に比較して半分以下のエネルギーで済んだと報告されている([7])。近年の製品では将来のリサイクルがしやすいように材料段階から工夫を加える例もある()。
  • 需要地近辺で発電することにより、送電網全体の変圧器や送電線の温度を下げ、遠隔地の電源からの送電損失を減少させる追加的な効果が期待できる([8]P.285など)。
  • 現在の日本国内での生産規模は一工場で500MW(シャープ葛城工場、2005年)以上に達している[[7]]。

[編集] 発電コスト

[編集] 概要

電源としてみた時の太陽光発電のコストは、下記のような要因に影響される。

  • 導入費用(システムの値段、工事費等)
  • 緯度や気候による年間日射量の違い
  • 気温、放熱状況(モジュール温度によって出力が変化する;温度の影響の項を参照)
  • 積雪の有無、設置角度、周囲の障害物など
  • 機器の性能(発電モジュールパワーコンディショナー
  • 電力会社による買い取り価格
  • 公的補助(助成策の項を参照)
  • 事前の調査に要する期間や工期は概して短く、その間の利子は無視できる場合が多い。
  • 保守・管理費用は比較的小さい(たとえば日本の一般家庭用のシステムの場合、約10年ごとの機器のメンテナンスなどが主)。
  • 設置や廃棄に要する費用は設置形態に依存する。平成17年度の日本におけるデータでは、設置工事費用は平均約8万円である。
  • 建築物の構造(面や屋根等)を兼ねる場合など、純粋に発電部のコストだけを分けて見積もるのが難しいケースもある。

一般に、太陽光発電のコストは機器の導入費用でほぼ決まる。運転に燃料費は不要であり、保守管理費用も比較的小さい。開発当初は非常に高価であり用途が限られたが、現在では一般家庭で導入可能な水準に低減してきている。普及と技術的改良に伴って今後も低減が見込まれており、将来の主要な電源の1つとして政策で普及拡大と価格低減を促進する国が増えている。エネルギーセキュリティ向上などの付加的なコスト上のメリットも有するが、特に昼間の需要ピークカットのコスト的メリットが大きく、ピークロード電源に適する([8]P.131-132, [9]P.131など)。一方、途上国で送電網が未整備な場合、消費電力に比して燃料輸送費や保守費が高い場所など(山地、離島、砂漠、宇宙等)では、現段階でも他方式に比較して最も安価な電源となることが多い。

[編集] 先進国におけるコスト

一般に、送電網の整った国に於いて他電源と比較した際には、下記のように特徴的なコスト上のメリットが生じる。このような付加的なメリットは大きく、単純な発電量あたりでみたコストが従来型電源の数倍であっても、なお電力網全体のコスト低減に寄与し得る([8]P.192など)。

  • GEG排出量の削減効果
  • 昼夜の電力需要の変化への追従効果(昼間の需要ピークのカット、夜間余剰電力の削減など)
  • 他の電源からの送電損失の削減(太陽光発電の発電量がその分増えたのと同じ効果を持つ)
  • 他電源の燃料調達リスクの緩和(燃料価格変動の不規則性、資源確保に関する不安が無い)
  • 災害など有事におけるセキュリティの向上(影響範囲や期間が限定的)

欧米における太陽光発電のコストの相場は、2007年5月の時点の平均で設備容量1Wあたり5ドル弱、発電量1kWh当たり21セント程度である[8]。安価な製品では設備容量1W当たり4.5ドルを切る。発電電力量あたりで見るとまだ比較的高いが、普及に伴い、さらに低減が見込まれている。2012年頃には4ドルを切り、世界の6割以上の地域で補助金なしで発電事業として経済的に成立するようになると予測されている(PV News Vol.26, No.5, May 2007)。

[編集] 日本におけるコスト

日本における太陽光発電のコストは、開発が本格化する1970年代まで、住宅一軒分(通常2~5kW程度)に一億円前後の導入費用がかかる水準(数千万円/kW)であった([10],P.82など)。現在はその数%程度に低下しており、平成17年度におけるシステム導入費用は、新エネルギー財団による集計では、平均価格で68.4万円/kWと報告されている。 平成17年度における設備容量1kWあたりの平均価格(税抜68.4万円/kW:参考データ参照)を用いて償却年数20年で計算した場合、利子や保守費用まで含めた発電量あたりのコストは47~63円/kWh程度と算出される(参考:NEDOによる算出法)。また寿命を25年、30年と置いた場合はその分数割安くなる(31~50円/kWh)。これは現在の一般家庭向けの電気料金(15~35円/kWh程度)と一部重なるが、まだ割高である。このためコスト低減の技術開発が進められており、NEDOのロードマップでは将来的にピークロード電源だけでなく、ベースロード電源としても競争力を持つ水準の目標が設定されている[9]。最大手企業のシャープも、2010年にはコストが現在の半分程度(23円/kWh)には圧縮可能との見通しを示している[10]。また同年2010年稼働予定の堺工場で太陽電池の大量生産を始めるため、さらなる発電コストの低下が期待されている。

その一方、日本の普及促進・価格低減政策は近年の欧米諸国に比して貧弱となっている。feed-in tariff制を柱とする諸国の制度下では導入時点で金銭的利回りの目処が立つのに対し、日本の現行制度下では電力会社以外の設置者にとって採算性が不確実であり、導入者にとってコスト面でのリスクとなっている。一般家庭で金銭的に元が取れるかどうかは、個々の家庭の電力消費のパターンや利用する電力料金メニューなどの条件に大きく影響を受ける(家庭での利用を参照のこと)。

なお、日本で現在用いられているコスト比較例には、下記のような欠点を含むものが多い。これらが原因で、他電源との比較において、太陽光発電のコストが不必要に高く見積もられていることがある。たとえば燃料費や解体費などの差を無視して建設費だけを比べているケースなどがあり、注意が必要である。

  • 現在よりも高いシステム価格(設備容量1kWあたり90万円など)を仮定している。
  • 生産量拡大や技術開発による価格下落を考慮していない。
  • (他の発電方式では必要な)燃料代や人件費などの運転費用や、廃棄・解体費用などの差を含めていない。
  • 時間帯による電力需要の差を考慮していない(参考:2006年1月現在、電力会社の料金体系によっては昼間と夜間で約4倍の価格差がある)。
  • 利用可能な年数を20年と比較的短く想定している。
  • 他方式に対して、金利の設定などのコストの計算条件が揃っていない。
  • 温暖化ガスの排出量削減効果を考慮していない。
  • 設備容量当たりの発電量を実際の平均値(約1000kWh/kW/年)より低く見積もっている。

[編集] コスト低減策

太陽光発電のコスト低減の方策には、量産規模の拡大と、薄型化などのコスト低減技術の実用化がある。欧米で行われている固定価格制では、早期に設置された設備ほど高額で電力を買い取り、後になるほど漸減させることで、急速な普及(=量産規模の拡大)を図ると同時にコスト低減圧力をかけている。

[編集] 参考データ

  • 太陽光発電モジュールの寿命は技術改良によって延びており、現在では30年以上の寿命も期待できるとされる。経年劣化と寿命の項を参照。
  • 日本国内においては、製品の最大出力1kW当たりの年間発電量は平均約1000kWh/kWである。設置地域によって異なり、1995~2003年度までの8年間に亘る調査例では、最も少ないのは秋田県で平均795kWh/kW/年、最も多いのは高知県で平均1116kWh/kW/年と報告されている。天候による年ごとの変動量は、全国平均で最大1割程度である(新エネルギー財団による集計)。
  • パワーコンディショナーの性能は発電量に直結するため、高性能化が進められてきた。現在ではパネルからの直流電力の95%前後を交流電力に変換できる(近年の開発例1例2)。
  • kW当たりの設置費用は、1994年度から2003年度までの10年間で、半額以下になっている(新エネルギー財団による集計)。近年の需要の急拡大により原料シリコンの供給が不足して勢いが鈍ったりはしたが、長期的には価格の低減が続いている[11]。専用シリコン原料の増産、量産規模の拡大、シリコン使用量の削減や新材料の実用化()により、今後も価格低減が続くと見込まれている。
  • 設置後の保守は、日本の家庭用システムの場合、約10年ごとのパワーコンディショナのメンテナンスが必要な場合がある(例:4万円/回)。近年は部品の定期交換を不要とし、メンテナンスコストの削減を図ったものも登場している()。保証期間を過ぎてから故障した場合は、パワーコンディショナ全体の交換費用がかかる場合もあり得る。このほか、モジュールの架台などの定期点検が推奨されている(#経年劣化と寿命を参照)。
  • 日本の一般的な一戸建ての住宅に設置される太陽光発電システムの規模は、設備容量にして通常2~5kW/軒程度である。
  • 日本の動力の電力(200V受電)はもともと単価が安いため、電灯(100V)に比較して、「元を取る」にはより長い年数がかかることが多い。今後費用の削減が進めば、業務用にも爆発的な需要が考えられる。
  • 日本での太陽光発電による電力の買い取り価格は、現在は電力会社が自主的に電力料金に近い価格で購入しているのに依存している。価格は電力会社や契約条件によって異なる。
  • 電力会社にとっての太陽光発電はピーク削減効果を持つ事は確かだが、そのピーク発電原価は揚水発電所の稼働率などから計算できる。東京電力が試算したと見られる数字で、「2000年運転開始・利用率10%、今後10年に運転開始する揚水式水力の平均的モデルとされているものの発電原価は33.4円」、また関西電力では「1999年運転開始・利用率70%の火力発電所の加重平均をベース電源として挙げていてこれから換算したピーク対応の電源コストを31.96円」としている。揚水発電所の平均的な稼働率は3%以下なので単純に計算すればピーク発電原価は1kWhで100円を超えていることになる。当然、この部分に電力を供給する太陽光発電はその時点ではその価値を持つ電力を電力会社に発電量の全量貢献している事になるが、現時点ではそうした経済的評価を受けていない。

[編集] 利用形態

[編集] 独立蓄電

街路灯で風力発電と併用される。
街路灯風力発電と併用される。

発電した電力を二次電池に蓄電してその場で利用し、外部送電網に接続しない形態。蓄電設備によって夜間や悪天候時の発電量低下時も太陽光発電にて電力を供給したい場合に利用される。後述の系統連系に比して、蓄電設備のコスト(金銭・エネルギー・CO2排出量)が増えるため、外部からの送電コストが上回る場合や、移動式や非常用の電源システムなどに用いられる。一般に消費電力が比較的少なく、送電網から遠い場合にメリットが大きくなる。また送電網にごく近い場合でも、送電電圧が高い場合はやはり太陽光発電による独立電源システムが安くなることがある。一般向けに、手の平程度の大きさの制御回路に自動車用バッテリーを組み合わせる製品なども市販されている()。以下、利用例を幾つか列挙する。

  • 携帯用小型機器
携帯用小型機器では、電卓・ライト・腕時計など、消費電力の少ない携帯機器を一次電池や商用電源による充電不要で利用するために超小型のものが使用される。小型一次電池による電力が比較的高価なためコストの面でも効果がある。電気二重層コンデンサによる蓄電も行われる。
  • 送電網が未熟な国々や地域で民生用電化製品の電源として利用
  • 無線通信網の中継局や航空管制局(
  • 燃料の輸送や冷却水の確保が難しい地域の電源として利用
  • 庭園灯や街路灯、駐車券発行機などでメンテナンスや配線のコスト削減のために利用
  • 非常時の電源確保
  • 軍用、キャンプ用(可搬式)
  • 自動車のバッテリー補助
  • 宇宙空間での利用
地球を回る人工衛星や、太陽に近い所を飛ぶ惑星探査機などに使われている。なお木星など遠距離の惑星へ行く惑星探査機は、太陽からのエネルギーが小さくなってしまうため太陽光発電は通常使われないが、ミッション内容次第では利用の可能性がある(計画例)。

[編集] 系統連系

集合住宅での利用例
集合住宅での利用例

太陽光発電システムを、電力会社の送電網に繋げる形態を系統連系という。太陽電池モジュール→パワーコンディショナー→商用電源という接続形態を取る。発電量が設置場所での利用量を上回る分は電力会社に買い取って貰う(売電)。また、売電電力を送電網に送ることを逆潮流と呼ぶ。夜間や悪天候時など、発電量を利用量が上回る時は系統側からの電力供給で補う。独立蓄電形態のような大容量の蓄電設備が不要なため、コスト・GEG排出量・ライフサイクル中の投入エネルギーが最小限で済む。近くに送電網が来ている場合は、通常この形態で利用する。

[編集] 出力変動

太陽光発電は天候によって出力が変動し、曇天時や雨天時は晴天時に比較して大幅に発電量が低下する。また夜間は発電しない。系統連系においては、変動が速すぎると他の電源による調整が追いつかなくなるおそれがある。太陽光発電のような分散型電源に於いては、規模が大きくなり、設置場所が分散するほど速い変動成分が平滑化され、電源網側での対処が容易となる。このことは1990年代前半から既に明らかとなっており、特別な対策をしなくても系統負荷の3割以上の容量の導入が可能とされる([8]P.261)。過去の大規模な実証試験においても、変動は電力網側の調整余力で対応可能であり、送電網全体では送電コスト低減などによるメリットが上回ると報告されている([8],P.300など)。また、独立形のシステムなどで電力の殆どを太陽光発電に頼る場合などは、何らかの蓄電装置を追加して需給の差を埋めることが多い。

モジュールに雪が多量に積もると発電できないため、豪雪地帯では雪が滑り落ちるような角度で設置し、かつ雪面よりも上になる位置に設置するなどの工夫を施す。少量の積雪ならば、設置環境にも依るが、透過した太陽光によってモジュールが暖められることで自然に雪が溶ける。多量に積雪した場合は通常の建築物同様に除雪が必要な場合もある。

電力需要は、通常午前よりも午後の方が大きい。このため固定式のモジュールの場合、電力需要との整合性を取る観点からは、真南よりも多少西向きに設置するのが好ましい。米国サクラメント市における解析例では、20度の傾斜を持たせて設置する場合、真南から30度西にずらすと、総発電量は約1%減少するが、容量が系統に貢献する度合いは25%近く増加し、全体では経済的価値が大きくなると報告されているH.Wengerら,1996年。また冷房需要の多い地域では、日照と電力需要の相関関係が高くなるため、太陽光発電の価値は高くなる([8],P.231など)。

モジュールを様々な方向に向けて設置している場合、個々の方向で出力が最大になる時間帯がずれるため、正午の瞬間最大出力が低くなる代わりに、他の時間帯の出力が増加する。

[編集] 発電部の解説

[編集] セル、モジュール、アレイ

結晶シリコン型太陽電池セルの代表的構造
結晶シリコン型太陽電池セルの代表的構造
多結晶シリコン型太陽電池(セル)
多結晶シリコン型太陽電池(セル)
セル
太陽電池素子そのものをセル(cell)と呼ぶ。素子中の電子に光エネルギーを吸収させ、光起電力効果によって直接的に電気エネルギーに変換する(詳しくは太陽電池の原理を参照)。1セルの出力電圧は通常0.5~1.0V程度である。複数の太陽電池を積層したハイブリッド型や多接合型では1セルの出力電圧そのものが高くなる。必要な電圧を得られるよう、通常は複数のセルを直列接続して用いる。また幾つかの薄膜型太陽電池では、複数の直列接続されたセルを一枚の基板に作り込むことで、小型でも高電圧を発生でき、セルを直列接続する結線工程も省力化できる。
太陽光発電パネル群
太陽光発電パネル群
モジュール
セルを必要枚数まとめて、樹脂や強化ガラス、金属枠で保護したものをモジュール(module, またはパネル panel)と呼ぶ。モジュール化により取り扱いや設置を容易にするほか、湿気や汚れ、紫外線や物理的な応力からセルを保護する。モジュールの重量は通常、屋根瓦の1/4~1/5程度である。なお、太陽光発電モジュールはソーラーパネル(solar panel)と呼ばれることもあるが、この名称は太陽熱利用システム(太陽熱温水器など)の集熱器に対しても用いられる。
ストリング
モジュールを複数枚数並べて直列接続したものをストリング(string)と呼ぶ。
アレイ
ストリングを並列接続したものをアレイ(array)と呼ぶ。

[編集] 特に工夫したモジュール製品の例

用途や環境に応じて、下記のように様々な種類の製品が市販されている。

  • 高効率で、より少ない設置面積で済むもの
  • 高温環境でも性能の落ちにくいもの(温度の影響の項を参照)
  • 強風対策品
  • 塩害対策品
  • 低角度設置に対応して、特に汚れが落ちやすくしたもの
  • 反射光を軽減して周囲に配慮したもの
  • 網目状のセルを使用し、ある程度の光を透過させるもの(半透過型;窓やビル壁面などに利用)
  • 着色して意匠性を持たせたもの
  • 軽量にして屋根への負担を特に軽減したもの
  • 裏面からも光を取り入れ、周囲からの反射散乱光も利用して発電するもの
  • フレキシブルで持ち歩きが容易なもの
  • 建造物の平面や曲面に接着剤で貼り付けるだけで設置できるもの

[編集] 経年劣化と寿命

太陽光発電システムには大部分の製品が稼働できると推測される「期待寿命」と、メーカーが性能を保証する「保証期間」がある。いずれも技術開発により伸びつつある。

  • 屋外用大型モジュールの場合、通常の期待寿命は20~35年以上である。現在、10~25年間程度の性能を保証する製品が市販されている。
  • モジュールは年月と共にゆっくりと性能が低下する。低下量は結晶シリコン等の場合、多くの製品は20年間で1割未満と報告されている(E.D.Dunlop他、Prog.Photovolt.Res.Appl.14,p.53,2006年)。
  • モジュールの強化ガラスとセルとの間には通常EVA等の樹脂が充填される。昔の製品ではこの樹脂が紫外線で黄変(browning)して性能が急速に劣化する場合があったが、ガラスにCeを添加するなどの対策で解決された。
  • アモルファスシリコンを用いたモジュールは屋外光で劣化しやすかったが、これも現在では長寿命化され、20年以上の性能を保証する製品も出現している()。太陽電池の項も参照。
  • 太陽電池の型式によっては、使用開始時に数%程度性能が低下し、その後安定する挙動を示す(初期劣化)。定格値としては初期劣化後の値が用いられている。
  • 製品の寿命を予測するための加速試験手法としては塩水噴霧や紫外線照射、高温多湿(Damp Heat)環境試験などが用いられる。検証手段としては実際に屋外の環境に晒すフィールドテストが1980年代から大規模に行われ、現在20数年分のデータが蓄積されている(Dunlopら)。
  • パワーコンディショナーなどの周辺機器にも寿命(10年~)があり、部品交換などのメンテナンスが必要である。参考データの項も参照。
  • 人工衛星の電源など宇宙空間での利用においては、-120~+120℃程度の範囲に及ぶ周期的な温度変化、打ち上げ時の振動、放射線による劣化などに対応できる必要がある。このためモジュールの構造、セルの材料や構造など各部に亘って対策が施される。
  • 太陽光発電モジュールは長寿命であるため、それを取り付ける架台および施工部分にも長寿命が求められる。また一般の建築物同様に数年ごとの保守点検が推奨され、メーカーや代理店によっては定期保守点検のプランを用意している場合もある。点検項目のガイドラインとしては日本電機工業会が定めたものなどがある(技術資料JEM-TR228、小出力太陽光発電システムの保守・点検ガイドライン、平成15年12月)。

[編集] 日本の状況

太陽光発電システムは、オイルショック以降、「サンシャインプロジェクト」等によって技術開発が進められた。1992年に日本初の個人住宅における逆潮流有りの設備が導入され([10]P.11)、以降NEDONEF地方公共団体等の助成、および各電力会社の自主的な支援プログラム等により普及して来ている。累計導入量は2005年末時点で約1.4GW(=1400MW)である新エネルギー部会資料JPEA資料。国内出荷量の9割近くが住宅向けである。個人宅向けが中心であるが、近年は集合住宅での導入例も見られる([10]P.18など)。

[編集] 助成策

日本での公的助成策には2005年9月現在で下記のようなものがある。

  • 新エネルギー財団(NEF)住宅用太陽光発電導入促進事業(平成17年度で終了)
  • 住宅金融公庫による200万円までの融資枠(省エネルギー型設備設置工事(太陽光発電設備設置型))
  • 各地方公共団体による助成(補助金、低利融資、利子補填など)
  • NEDO「太陽光発電新技術等フィールドテスト事業」「地域新エネルギー導入促進事業」100億円の予算で設置された総量は2004年で3万kW。終了した1kWあたり2万円の補助のNEFのスキームでなら50万kWの設備が設置できた事になる。
  • 経済産業省 資源エネルギー庁管轄「新エネルギー事業者支援対策事業」
  • 文部科学省・経済産業省資源エネルギー庁・農林水産省 林野庁管轄「環境を考慮した学校施設(エコスクール)の整備推進に関するパイロット・モデル事業
  • 環境省管轄「地方公共団体率先対策補助事業」「対策技術率先導入事業」
なお環境省による「ソーラー大作戦」が新たに開始される予定になっており、集団的に導入する個人宅も対象とする予定である。
設置費用を環境保護に興味のある人からファンドとして集め、それをもとに、大規模な発電システムを設置する。
  • 各電力会社による購入メニュー
自主的に電力料金より少し割高の価格で購入している。法的にはRPS法が一定比率での再生可能エネルギーの調達を義務づけるのみで、買い取り価格に法的な保証は無い。
電力の側の買い取り価格が揚水発電所とほぼ同じコストで購入されるならば多くのケースで投資費用が回収可能となり、一気に普及すると考えている人たちもいる[12]

[編集] 家庭での利用

日本の環境では2006年現在、金利無しの計算では補助金を受けている場合は、15~45年程度で設置費用が回収できると言われている。諸条件によって変化し、買い取り価格などの状況によっては寿命内の費用回収が難しい場合も考えられるが、料金プランによる夜間電力料金の削減などにより、比較的短期間で投資コストの回収ができる場合もある。日本においては環境意識の発露や非常用電源の確保など、費用以外の利点も導入の動機になっていると考えられているが、システム価格の低下によって投資コストを回収できる場合も増えつつある。ただし、エネルギー収支やGEG排出量の面では通常1~数年で元が取れる(エネルギー収支またはEPT参照)。

[編集] 公共施設での利用

施設の通常電源としての利用、また商用電源停電時の電源の確保・環境保護のために、災害の際の避難場所に指定されている公共またはそれに準じた施設に太陽光発電装置を設置することが行なわれている。導入時の負荷軽減のため、各省庁による各種の補助策も実施されている。

[編集] 産業を取り巻く状況

  • 日本全体での生産量は2006年現在、輸出を含めて年間約927MW(=93万kW)である。
  • 太陽光発電関係の事業者の団体JPEA太陽光発電協会)が纏めた2005年の総出荷量は81万9169kW(対前年比139.4%)で800MWの大台を突破、昨年の【平成16年(暦年)】における前年比は159.4%で伸び率は鈍化。国内出荷は29万1114kW(前年比108%)うち輸入分は7569kW、一方 輸出は52万8055kW(対前年比165.7%)となっていてほぼ3分の2が輸出されている。
  • 太陽電池の生産シェアは日本が世界一であるが、他国の追撃を受けて低下傾向にある。企業別ではシャープが世界一位である(世界シェア&生産量の推移)。
  • 2005年末の国内生産能力は126万4000kW(1264MW)、一年後の計画値で137万kW(1,370MW)である。これが全量国内に設置されればほぼ毎年ピーク対応の揚水発電所を設置するのと同等の発電容量になる。設備容量1kWあたり、1000kWh/年の電力量が20~30年生産できる。
  • 日本国内での太陽電池の生産額は約2700億円(H16年度見込み)と推定される([13])。
  • 日本は原料シリコンの不足から生産量が伸び悩み、また新エネルギー財団による一般住宅向け助成の終了を受けて、国内設置量が初めてマイナスとなった。年間設置容量は28万kW程度、総設備容量は170万kWほどに止まった。これについて国内のNPO・NGOからは政策的措置の欠如を指摘する声が出ており、東京都など自治体ベースで独自の支援策を導入する動きも見られる[14]
  • 日本企業が海外の需要増加地域に生産工場を建設する動きも活発である。しかし太陽光発電システムの価格競争力は量産規模に大きく依存するため、国内産業の競争力維持の観点からも法的環境整備の強化を求める意見が出ている。

[編集] 日本の主な太陽光発電システムメーカー

大手メーカーではセルから施工まで手がける場合も多いが、太陽電池(セル)製造・モジュール製造・建物への組み込みなど各分野で企業が分業して供給する場合もある。後者は海外で良く見られ、日本企業はセルやモジュールをOEM供給することが多い。

以下に主なセル・モジュールメーカーを列挙する。

[編集] 制度面での課題

  • 日本のRPS法においては現在、電力供給者に一定比率の再生可能エネルギーの供給を義務づける「固定枠(quota;クォータ)制」が採られている。この固定枠制では、義務枠達成を理由に再生可能エネルギーの購入を拒否する事例が現実に発生するなど、逆に普及の妨げになる場合がある。近年の欧米各国での実績からは、電気料金から明示的に資金を振り向けて購入価格を法的に優遇し、導入を利益で誘導する「固定価格(feed-in tariff)制」が再生可能エネルギーの普及とコスト低減により有効とされており(例1 例2)、固定枠制から固定価格制へ切り替える国も現れている2004年時点での導入状況のまとめ。また固定価格制を積極的に導入しているドイツでは、これによって導入コストを許容範囲に抑えつつ、2020年までに電力の25%を再生可能エネルギーだけで供給可能になる見込みである(ドイツ環境省による報告)。このため日本でも同様の制度を導入すべきとの意見が出されている()。
  • 日本の新エネ特措法では電力が買い取った電力量だけしか公式にはカウントできないので、太陽光発電によって削減されている温暖化ガスの量が少なく見積もられるおそれがある。その点からもドイツの様に全量評価(買い取り)が望ましいとの意見も出されている。
  • 売電によって太陽光発電による電力を送電網側へ送り出す際、たまたま送電線側の電圧が法定上限一杯に設定されていると、太陽光発電機器側の安全装置により売電が止まる場合がある。これが発生すると、最も電力需要の高い昼間の時間帯に、発電した電力が無駄になる。これを解決するために個別に電力会社と交渉して、調整して貰わねばならない事例も発生している。そこで法的制度や設備の改善により、こうした問題の発生を防ごうという意見が出されている。

[編集] 世界の状況

  • 世界全体の生産量は2006年で約2.5GW/年である。これは前年に比べて約40%の伸びであり、特に中国(176%)や台湾(102%)の伸びが目立っている(PV News Vol.26(3), 2007年3月)。今後も年率3~5割の速度で拡大し、2030年には関連市場規模が約2000億ユーロ(約30兆円)に達すると予測されている([17])。
  • 年間導入量では2004年分でドイツが39%で1位、日本が30%で2位である(導入量の推移)。
  • 2005年はドイツが60万kWを一年で導入し、総設備容量を累積157万kWとして世界一となった。日本は29万kWを加えて累積では141万kWで此れまでの導入量世界一の座をドイツに明け渡した。また一人当たり導入量では2004年に抜かれている。2006年は欧州でさらに普及が進んだ。特にドイツは前年をさらに上回り総設備容量では304万kWとなった。年間生産量では日本が世界一を保っている。
  • 法的に売電価格を保証する国が増加している。このため特に海外における需要の増加が顕著である。ドイツの場合、2004年の太陽光発電からの電力買い取り価格は1kWh日本円換算で80円~100円程度(20年間固定)となる(設置が後になるほど買い取り価格が漸減する)[18]
  • 2020年までに太陽光発電のコストは半減すると予想され、欧州(EU)では電力の34%程度が風力や太陽光などを含む再生可能エネルギーで賄われる可能性があると予測されている[19]。また2020年までにEU域内の全エネルギー消費の20%にするという法的拘束力のある目標が達成可能であるとされており、そのために「いかなる不合理な障壁も取り除く」ための法的措置が検討されている。

[編集] 太陽光発電に関する誤解例

太陽光発電に関しては、下記のような意見が見られることがある。いずれも誤りである。

  • 「太陽光発電は、製造~設置・運転~廃棄までのライフサイクル中に投入する以上のエネルギーを発電できない。」
→一般に太陽光発電のエネルギー収支がマイナスになるのは、配線の省力化などを主目的として極端に日照条件が悪い場所に設置する場合に限られる。たとえ独立電源として運用するために蓄電設備を付加する場合でも、投入するエネルギーは蓄電設備なしの場合の2~3倍程度であるため、現在の技術ならば投入エネルギーに対してなお10倍以上のエネルギーを得ることが可能である。また系統連系する場合においては蓄電設備も必要なく、通常は原料採鉱から廃棄までのライフサイクル中に必要とする全エネルギーの10~30倍程度のエネルギーを供給できると見積もられる。温室効果ガス(GHG)の排出量とエネルギー収支を参照のこと。
  • 「太陽光発電は、温室効果ガス排出量削減に貢献できない。」
→これも上記の項目同様である。太陽光発電は日本の現在の電力あたりの平均排出量よりも遙かに少ないGHG排出量で電力を供給することができる。温室効果ガス(GHG)の排出量とエネルギー収支を参照のこと。
  • 「太陽光発電は、GHG排出量やエネルギー収支で、既存のどの発電方式にも劣る。」
  • 「太陽光発電は、生産に必要なエネルギーやCO2の元を取るのに10年ぐらいかかる。」
→現状と大きく異なる条件(量産規模が小さい、性能の低い製品を想定、蓄電設備を必要以上に付加、どこまでも仮定な計算手法など)を設定して計算しているためである。現在の日本の平均的環境で送電網に繋ぐ系統連系を行った場合、エネルギーペイバックタイム(EPT)やCO2ペイバックタイム(CO2PT)は3年未満、エネルギー収支は13以上となる。これより悪い場合は、何か現在一般的でない条件がついていると見てよい。また今後も大幅な性能向上が見込まれているが、仮に現在の技術水準のままでも、今後の量産規模の拡大だけでEPTは1年程度、エネルギー収支は30程度、CO2PTは1~2年程度が可能とされ、多くの電源の性能を越えられると見込まれる。温室効果ガス(GHG)の排出量とエネルギー収支、および太陽電池の項などを参照のこと。

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ

[編集] 参考文献

  1. ^ http://www.dlr.de/tt/Portaldata/41/Resources/dokumente/institut/system/projects/Ecobalance_of_a_Solar_Electricity_Transmission.pdf
  2. ^ a b c d e f g 山田興一小宮山宏「太陽光発電工学」ISBN 4-8222-8148-5
  3. ^