トウモロコシ

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?トウモロコシ

トウモロコシ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 単子葉植物綱 Liliopsida
: イネ目 Poales
: イネ科 Poaceae
: トウモロコシ属 Zea
: トウモロコシ Z. mays
学名
Zea mays L.
和名
トウモロコシ(玉蜀黍)
英名
: corn、: maize

トウモロコシ(玉蜀黍、学名 Zea mays )は、イネ科一年生植物穀物として人間の食料や家畜飼料となるほか、デンプンコーンスターチ)やバイオエタノールの原料としても重要で、年間世界生産量は6億トンに達する。そのうち約4億トンが飼料、約2億トンが人間の主食として利用される。

日本語では地方により様々な呼び名があり、トウキビ(唐黍)ナンバトウミギ、などと呼ぶ地域もある(詳しくは後述)。

コーン (corn) ともいう。英語圏ではこの語は本来穀物全般を指したが、現在の北米オーストラリアなどの多くの国では、特に断らなければトウモロコシを指す。ただし、イギリスではトウモロコシを maize と呼び、穀物全般を指して corn と呼ぶことがある。

目次

[編集] 植物の特徴

雄花は茎の先端にススキ状に生じる
雌花(穂)は茎の中ほどにたくさんつく

イネ科一年草で、高さは 2m に達する。イネ科としては幅の広い葉をつける。

発芽から3ヶ月程度で雄花(雄小穂)と雌花(雌小穂)が別々に生じる。雄小穂は茎の先端から葉より高く伸び出し、ススキの穂のような姿になる。雌小穂は分枝しない太い軸に一面につき、包葉に包まれて顔を出さず、長い雌蕊だけが束になって包葉の先から顔を出す。トウモロコシのひげはこの雌しべにあたる。

花粉風媒され、受粉すると雌花の付け根が膨らみ可食部が形成される。イネ科では珍しく、種子(果実)が熟すと穎の中から顔をだす。種子の色は黄・白・赤茶・紫・青・濃青など。

熱帯起源のため、薄い二酸化炭素を濃縮するC4型光合成植物である。

[編集] 品種分類

トウモロコシは長い栽培の歴史の中で世界各地の品種を交配し、用途に合わせて種々の品種が開発されている。雑種強勢(異なる品種同士を交配するとその子供の生育が非常に盛んとなること)を利用したハイブリッド品種が1920年頃からアメリカで開発され、以後収量が飛躍的に増加した。また、近年では遺伝子組換えされた品種も広がりつつある。以下に示すスイートコーンやポップコーンとは種子の性質による分類であり、品種名とは異なる。従ってスイートコーンという品種は存在しない。

  • スイートコーン(甘味種)- 食用。茹でる焼く(焼きトウモロコシ)、蒸すなどの調理方法がある。また、加工食品用の材料でもあり、例えばコーンフレークコーンミールなどの材料にもなる。種子に含まれる糖分が多く強い甘味を感じるが、収穫後の変質や呼吸による消耗が激しく、夏季の室温では数時間で食味が落ちる。対策は低温管理の徹底か、収穫後直ぐに加熱して呼吸を止めるなどである。
  • ポップコーン(爆裂種)- 菓子ポップコーンを作るのに使用する。
  • デントコーン(馬歯種)- 主に家畜用飼料デンプンコーンスターチ)の原料として使用。
  • フリントコーン(硬粒種)- 食用・家畜用飼料・工業用原料に主に使用される。
  • ワキシーコーン(もち種)- 完熟種子表面がワックスしたようにツルツルしているので、この名が付けられた。モチトウモロコシの名のとおり、若いトウモロコシを蒸して食べるとモチモチする。東アジアに多く、日本在来種には白、黄、赤紫(紫モチトウモロコシ:下記外部リンク参照)、黒色などの7種類のモチトウモロコシがある。若いモチトウモロコシの実は蒸して食べると美味だが、完熟させると固くなるので注意。
  • ソフトコーン(軟粒種)- 子実が軟質澱粉により形成されている。
  • ポッドコーン - 粒がひとつずつ頴に包まれている。
  • ジャイアントコーン
  • 味来 - 読み方(みらい)。1990年代から出回った生食可能品種の先駆け、糖度平均12度。
  • サニーショコラ - 糖度15度以上さらに生食可能な品種として、注目を浴びている。

[編集] 歴史

[編集] 起源

トウモロコシは他のイネ科穀物と違い、祖先野生種が見つかっていない。トウモロコシの起源には2つの主要な説があるが、どちらにせよ、作物化は他のイネ科穀物よりは困難だったと思われる。

  • メキシコからグアテマラにかけての地域に自生していたテオシント(テオシンテ、英語(スペイン語由来):teosinte、トウモロコシの亜種とされる Zea mays mexicana または Euchlaena mexicana、和名ブタモロコシ)が起源だとする説。ただし、テオシントは食用にならない小さな実が10個程度生るのみで、外見もトウモロコシとは明らかに違う。
  • 2つの種を交配させて作り出されたとする説。祖先の候補としては、絶滅した祖先野生種とトリプサクム属 (Tripsacum)、トリプサクム属とテオシントなどがある。

紀元前5000年ごろまでには大規模に栽培されるようになり、南北アメリカ大陸の主要農産物となっていた(ただし、キャッサバを主食としたアマゾンを除く)。マヤ文明アステカ文明でもトウモロコシが栽培されていたことが知られている。

[編集] 伝来

ヨーロッパには大航海時代に伝わり、アフリカ大陸には16~17世紀に伝わった。また、アジアには16世紀初めに伝わった。

日本には1579年ポルトガル人から長崎または四国にフリント種が伝わった。本格的に栽培されるようになったのは、明治初期にアメリカから北海道にスイートコーン、デントコーンが導入されてからである。

[編集] 生産と流通

トウモロコシの世界全体の生産量は、近年6億トン前後で、うち米国が4割程度を占め世界最大の生産国となっている。またアメリカは世界最大の輸出国でもあり、シェアは6割を越える。このため、アメリカの主要生産地帯の天候により世界の在庫量・価格が左右される。先物取引の対象ともされている。近年では、病虫害に強くなるように遺伝子組換えを行った品種が広がっている。

日本はトウモロコシのほとんどを輸入に依存している。その量は年間約1600万tで、これは日本のコメの年間生産量の約2倍である。日本は世界最大のトウモロコシ輸入国であり、その輸入量の9割をアメリカに依存している。また、日本国内で消費される75%は家畜の飼料用として使用されている。国内で生産されているものは、缶詰めやそのまま食用にされるものがある。遺伝子組換えトウモロコシは、スーパーなどで一般的に市販されている食品に含まれる、植物性油脂、異性化液糖、アルコール、香料、デンプン、果糖などの原料として日本国内で流通している。(表示義務はない)

[編集] 用途

収穫されたトウモロコシ
干したトウモロコシ
スイートコーン(種子のみ)
100グラム(3.5オンス)当たりの栄養価
エネルギー 90キロカロリー   360 kJ
炭水化物    19 g
- 糖分  3.2 g
- 食物繊維  2.7 g  
脂肪 1.2 g
タンパク質 3.2 g
ビタミンA相当量  10 μg  1%
ビタミンB1  0.2 mg   15%
ビタミンB3  1.7 mg   11%
葉酸(ビタミンB9) 46 μg  12%
ビタミンC  7 mg 12%
鉄分  0.5 mg 4%
マグネシウム  37 mg 10% 
カリウム  270 mg   6%
 %はアメリカにおける成人向けの
栄養摂取目標 (RDIの割合
出典: USDA栄養データベース(英語)

[編集] 食用

[編集] 料理法

トウモロコシは、日本では甘味種のスイートコーンを未熟な時期に収穫して食べる野菜という印象が強く、それ以外の品種群の完熟した種子は飼料用、工業原料といった感覚で受け止められることが多い。しかし、原産地の中南米のみならず、トウモロコシが導入された旧世界の多くの地域において、成熟したものを収穫して利用する穀物としての地位こそが、重要なものである。また、他の多くの穀物と同様に、成熟した種子は乾燥させて長期間保存することができる。

トウモロコシの栽培化が行われた中米では、トウモロコシは古来重要な主食作物であった。乾燥した種子は石灰を加えた水で煮てアルカリ処理してからすり潰し、マサという一種のパン生地に加工して、各種の調理に用いられた。代表的なものが、薄く延ばして焼いたメキシコトルティーヤである。南米アンデス地域では、アルカリ処理せずに粒のまま煮て食べることが多いが、この地域での主食作物はジャガイモなどの各種類がより重要で、トウモロコシは先述したような煮て食べる以外に、発芽させたものを煮て糖化させ、さらに発酵させてチチャというにすることが多い。

古くから小麦雑穀などを製粉して利用してきたヨーロッパアジアアフリカなどにトウモロコシが導入されると、やはり製粉して調理されるようになった。米国コーンブレッドのように水でこねて焼くもの、イタリアポレンタ東欧ママリガ東アフリカウガリなどのように煮立った湯の中に入れて煮ながらこねあげ、状にするもの、中国のウォートウ(窩頭)のように蒸しパン状にするものなどがある。現代の日本ではこうした穀物としての利用はあまりなじみがないが、高度経済成長以前には、米の収穫量の少ない寒冷地や山間地では、硬粒種のトウモロコシの完熟粒を粒のまま、あるいは粗挽きにしたものを煮て粥にしたり、石臼で製粉して利用していた地域も少なくなかった。ただ、各種製菓会社の販売するスナック菓子には生地にトウモロコシ粉を用いているものがいくつもある。

未熟な穂は、焼いたり茹でたりすることで野菜として利用される。こうした用途には甘味種のスイートコーンが供されることが多い。収穫時の新鮮な味わいは、収穫後数時間しかもたないともいわれる。NHKで2005年に放送されたためしてガッテンによれば、水の状態でトウモロコシを入れて加熱し沸騰後3分から5分茹でるのがもっともおいしいゆで方とされている。

生食については、近年にいたるまで、非常に新鮮な場合に稀に食べることができるという状況であって、それも人が食べて大変おいしいとされる味をだすにいたる品種はなかった。しかし、1990年代後半に現れたパイオニアエコサイエンス味来(みらい)は糖度が当時の平均的なメロンと同じ12度と同等かそれ以上をあるという品種であり、生で食べることが可能のうえ甘くおいしく当時、TVなどで取り上げられた。その後さらに甘いサニーショコラなどが話題を呼びネットの力もあり日本などにおいてはとうもろこしを生食するということも一般家庭に定着しつつある。

野菜として少々特殊なものにベビーコーンがある。これは雌花の穂を茹でたもので、サラダや煮込み料理などに用いられる。

そのほか、食材としての利用は多岐にわたり、コーンスープ(西洋料理のコーンポタージュ・中華料理の玉米羹粟米羹)、バターコーン、ポップコーンコーンフレークなどにする。またコーンパフとしてスナック菓子の原料としても多く用いられている。韓国では コーン茶(オクススチャ)にする。

トウモロコシの種実には、体内で合成できない必須アミノ酸のひとつトリプトファンが少ない。そのため、古来よりトウモロコシを主食とする地域の南アメリカ、米国南部、ヨーロッパの山間地、アフリカの一部などでは、トリプトファンから体内で合成されるビタミンB群のひとつナイアシンの欠乏症であるペラグラpellagra、俗にイタリア癩病)が蔓延し、現在でもこれが続いている地域がある。

[編集] 食用外

[編集] 果実(種子・胚芽)

トウモロコシの実は、人間の食用としての他、畜産業での飼料として大量に消費されている。そのほか、デンプン(コーンスターチ)や、サラダオイルなどに用いられるコーン油の供給源としても利用されている。

トウモロコシからは効率よく純度の高いデンプンが得られるため、工業作物としても重要な位置を占める。胚乳から得られるデンプンは製紙などに使用される他、発酵によってエタノールなど、様々な化学物質へ転化されている。近年では環境問題持続的社会への関心から、生分解性プラスチックであるポリ乳酸や、バイオマスエタノールとして自動車燃料などへの用途も広がりつつある。

アメリカではバイオマスエタノール用に注目されて価格が急騰し、大豆からの転作も進んでいるが、大豆や小麦に比べて成長に水を消費するため、一部の地域で水資源の不足が問題になりつつある。

[編集]

実を取ったあとの軸(コブ)は、樹脂材料のフルフラールフルフリルアルコール甘味料キシリトールなどの製造原料となる。粉砕した粉はコブミールと呼び、きのこ培地建材原料、研磨材などにも利用されている。 芯が柔らかく円筒形に加工しやすいことから、喫煙具(コーンパイプ)として用いられたことがある。第二次世界大戦戦後処理で連合国軍最高司令官総司令部総司令官の任についたダグラス・マッカーサーの写真でしはしばコーンパイプを手にした姿を見ることができる。

[編集] 茎・葉

イネ科の植物に言えることであるが、トウモロコシも茎や葉は堆肥の材料に適している。抜いた後放置し、枯れたものを裁断して土にすき込み、肥料として利用することもできる。

種子が硬く色彩の美しいものは包葉を取り除くかバナナ皮のように剥いて乾燥し、観賞用とする。取り除いた包葉も繊維、あるいは布の代用とされる事がある(包葉を使ったバスケットなど)。

[編集] 花柱

めしべの花柱(ひげ)は、南蛮毛(なんばんもう、なんばんげ)という生薬利尿作用がある。この利尿作用は、南蛮毛に含まれるカリウム塩による。南蛮毛は、初版の日本薬局方に収載されていた利尿薬「酢酸カリウム」の代用として考え出された[1]

[編集] 名称

日本語で標準的に用いられている呼称の「トウモロコシ」という名称は、トウは中国の国家に、モロコシは、唐土(もろこし)から伝来した植物の「モロコシ」に由来する。関西などの方言でいう「なんば」は南蛮黍(なんばんきび)の略称であり、高麗(こうらい)または高麗黍と呼ぶ地域もあるが、これらはいずれも外来植物であることを言い表している。

『日本方言大辞典』には267種もの呼び方が載っており、主な呼び方には下記のものがある。

[編集] 脚注

  1. ^ 伊沢凡人ほか「中国医学の生薬療法と混同されやすいわが国・固有の生薬療法」『保健の科学』2001年、43巻、8号、p607

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ