葉酸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

葉酸
葉酸の構造式
IUPAC名 N-[4(2-アミノ-4-ヒドロキシ-

プテリジン-6-イル メチルアミノ)-

ベンゾイル]-L(+)-グルタミン酸
別名 プテロイル-L-グルタミン酸
ビタミンB9
ビタミンM
分子式 C19H19N7O6
分子量 441.1396 g/mol
CAS登録番号 [59-30-3]
融点 250 °C
比旋光度 [α]D +23°
0.5% in 0.1 M NaOH
SMILES C1=CC(=CC=C1C(=O)NC

(CCC(=O)O)C(=O)O) NCC2=CN=C3C(=N2)

C(=O)N=C(N3)N

葉酸(ようさん)はビタミンMビタミンB9プテロイルグルタミン酸とも呼ばれ、水溶性ビタミンに分類される生理活性物質である。プテリジンパラアミノ安息香酸グルタミン酸が結合した構造を持つ。1941年乳酸菌増殖因子としてホウレンソウの葉から発見された。ホウレンソウの葉はラテン語で folium と呼ばれることから葉酸 (folic acid) と名付けられた。葉酸は体内で還元を受け、ジヒドロ葉酸を経てテトラヒドロ葉酸に変換された後に補酵素としてはたらく。

目次

機能

テトラヒドロ葉酸は、ホルミル基 (−CHO)、ホルムイムノ基 (−CHNH)、メチレン基 (>CH2)、メチル基 (−CH3) など1つの炭素原子を含む断片をドナー分子から受け取り、それをアミノ酸核酸合成の中間体へ渡す役割を担うなど、アミノ酸および核酸の代謝に用いられている。不足すると赤血球障害悪性貧血などの症状を生じる。

二分脊椎の発症リスクを低下させる効果があるとされる、ビタミンB類の一つ。

厚生労働省は2000年、妊娠を計画している女性に対し、1日当たり0.4mg以上の摂取を推奨している。

栄養

葉酸の栄養所要量は、推定平均必要量が 200 μg、推奨量が 240 μg、上限量が 1,000 μg(いずれも成人男女)とされている。ただし、妊娠期および授乳期にはさらに推定平均必要量として +170 μg、+80 μgを、推奨量として +200 μg、+100 μg を付加する。また、妊娠を計画している、あるいは妊娠の可能性のある女性は、一日あたり 400μg の摂取が望ましいとされる。

葉酸を多く含む食品は、レバー緑黄色野菜果物である。ただし、調理や長期間保存による酸化によって葉酸は壊れるため、新鮮な生野菜や果物が良い供給源となる。

なお、大量の飲酒は葉酸の吸収および代謝を妨げる。

欠乏症

妊娠や授乳による要求量の増加、小腸の病理的変化、アルコール中毒メトトレキサートなどの薬剤投与によって引き起こされる。葉酸はアミノ酸や核酸の合成に必要となる補酵素であるため、細胞分裂の盛んな箇所において欠乏症が現れやすい。症状は、貧血、免疫機能減衰、消化管機能異常などが見られる。また、心臓病大腸ガン子宮頸ガンのリスクがあるとの報告がある。また、妊娠期に葉酸が欠乏すると、神経管閉鎖障害が起こり、重度の場合は死に至る。また、無脳児の発生のリスクが高まる。

貧血に関しては、葉酸は造血作用に対しビタミンB12と協調してはたらき、いずれのビタミンの欠乏も巨赤芽球性貧血を引き起こす。

神経管閉鎖障害に対しては、妊娠初期が重要で、特に通常まだ妊娠に気付かない第一週が最も葉酸を必要とする期間であると考えられている。

過剰症

過剰症はビタミンB12の欠乏を隠すため、悪性貧血が潜在化する危険性が指摘されている。また、ガン治療に用いられる抗葉酸剤に対して、過剰な葉酸は薬効を低減させる。

医薬品との関係

葉酸は制酸剤アスピリンおよびその関連物質と相互作用し、これらの薬剤は葉酸のはたらきを阻害することが知られている。また、抗けいれん薬(フェニトインフェノバルビタール等)や潰瘍性大腸炎治療薬(スルファサラジン等)は葉酸の吸収を低下させる。さらに、ガンやリウマチの治療に用いられるメトトレキサートなどの抗葉酸剤、あるいは抗生物質のトリメトプリム‐スルファメトキサゾール(ST合剤)は葉酸の代謝を阻害する。したがって、これらの薬剤を頻繁に服用する人は葉酸欠乏に気を配る必要がある。

関連項目

外部リンク