オートミール

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オートミール
オートミール
オートミールとレーズン(調理前)
オートミールとレーズン(調理前)
レーズン入りオートミール(調理後)
レーズン入りオートミール(調理後)

オートミール(oatmeal)とは、籾殻を脱穀した燕麦(エンバク)を調理しやすく加工したものである。アングロアメリカでは燕麦を押しつぶすかカットした加工品をオートミールと呼ぶ。また、状に調理したものを指す。それ以外の英語圏では燕麦を挽いた粉製品を意味する。全粒穀物であるため栄養が豊富で、軽く煮るだけで粥状になり食べることができるので、朝食用のシリアルに用いられることも多い。

目次

[編集] 概要

牛乳で煮て粥状にして食べたり、料理の副材料として用いられることもある。 東欧北欧などヨーロッパの寒冷な地方では、 古くからオートミールのポリッジ(粥)が平民の主食とされた。 たとえば、東欧の家庭的な粥料理であるカーシャはしばしばオートミールで作られている。

粥状にして食べる場合は、好みで砂糖バタージャムなどを加える。 中華粥のように味をつけたり、具を混ぜ込んで調理することもある。梅干を加えるなど和風に味をつけてもいい。塩だけで調味する場合は、粘り気のある白粥のような味であるので、朝食に焼いたソーセージなどと一緒に食べられることが多い。

オートミールに、砂糖や蜂蜜などの甘味料と植物油をからめてオーブンで焼けば、グラノーラができる。オートミールを水またはでふやかし、果物やナッツを混ぜたシリアル食品ミューズリー (muesli) である。

菓子の材料として、パンクッキーケーキの生地に混ぜ込まれることも多く、オートミールが配合された生地は、しっとりとして歯ごたえのある食感を有する。オートミール・クッキーやオートミール・マフィンは、代表的なアメリカ合衆国の「おふくろの味」の一つである。

その他、ビール化粧品石鹸、外用薬品、缶詰などにオートミールを添加することがある。

オートミールから、特に水溶性食物繊維に富む外皮のみを取り出したものを「オートブラン」 (oat bran) といい、アメリカなどでは水溶性食物繊維の王様としてよくスーパーマーケットなどで販売されている。

[編集] 健康食品としてのオートミール

近年、オートミールは健康食品として注目されている。

オートミールは燕麦の胚芽など)の部分が無精製で含まれる全粒穀物であるため、精白した穀類よりも食物繊維ビタミンミネラルが豊富である。食物繊維が食品100g中10g前後と、他の穀物や野菜と比べても非常に豊富に含まれる[1]。水溶性食物繊維、不溶性食物繊維ともに豊富である。オートミールを食べることによって血中コレステロール濃度が低くなるという研究結果が数多く報告されている[2][3][4]。また、燕麦に含まれるβ1,3-グルカンは心臓病を発症するリスクを低くする。

アメリカ合衆国では、1980年に食生活指針が策定された前後で、健康への関心が高まっていた。

1984年10月にケロッグアメリカ国立癌研究所 (NCI) に認定を受け自社製品に食物繊維の多い食品はある種のがんを予防すると表示した[5]。その後、他のメーカーもこれに追従し、このような表示が氾濫していった[5]。結果として、食物繊維を多く含むシリアル食品を食べる家庭を200万世帯増やした[5]

1980年代後半、オートブランがコレステロール値を改善するとしてブームになり、1989年にピークを迎えた。ブームは1990年代初めには衰えたが、1997年1月にアメリカ食品医薬品局がオートブランやロールドオーツ(後述)を多く含む食品を低脂肪の食事と組み合わせて摂取すれば心臓病にかかる危険が低くなるという表示をつけることを許可した後、オートミールその他の燕麦製品の人気が再燃した。ロールドオーツは、食物繊維を多く含むため消化吸収を緩やかにし血糖値を安定させるはたらきを持つため、激しい運動をする人、特にウェートトレーニングをしている人に人気がある。ボディビルダーの中には、アミノ酸蛋白質サプリメントをオートミールに混ぜて摂取する人が少なくない。

[編集] スコットランドのオートミール

スコットランドの冷涼な気候と比較的短い日照時間は小麦よりも燕麦の栽培に適しており、スコットランドでは燕麦は小麦よりも健康的で栄養価が高いと広く考えられている。スコットランドでは、燕麦を粗い粉に挽いてオートミールが作られる。製品の挽き具合は、「粗挽き」 (coarse) 、「ピン」または「ピンヘッド」 (Pin (head)) 、「細挽き」 (Fine) に分けられる。

[編集] 主な用途

ポリッジ(粥、porridge)(あるいはポレージ、porage)
現在では調理時間の短縮のために、押し燕麦やつぶし燕麦、その他のインスタントオートミールでポリッジを作ることも多い。伝統的な料理法に比べると味や食感に劣る。
伝統的なオートミール・ポリッジの料理法 
  1. 1人あたり1/2パイント(約284ml)の水を鍋に入れて中火にかける。塩はいつ入れてもよい。
  2. 鍋を、木べらまたはスパートル (spurtle) という木の棒で時計回りにかき混ぜながら、中挽きのオートミールを一人あたり手のひらに1、2杯ずつ加える。
  3. ポリッジが粥状になるまでかき混ぜ続け、粥状に煮えたら火力を最弱にして、もう10分置く。
また、粗挽きのオートミールを塩を入れた水に一晩浸けてから、翌朝火にかけて粥状になるまで弱火で煮ることも多い。
ポリッジを小さめの器に盛り、冷たい乳を入れたカップを添え(アウターヘブリディーズ諸島式)、熱いポリッジをスプーンに半分ほどすくい、乳にひたして食べる。スコットランド本土ではポリッジは立って食べるべきであるという伝統があるため、上記のように乳に1さじずつ浸して食べるのが難しくなる。
グリュエル (gruel) 
オートミールを冷水と混ぜて濾し、加熱した重湯。幼児食や病人食とする。
ブローズ (brose) 
未調理のオートミールをバターまたはクリームと混ぜ、ポリッジのようにして食べる。
  • パン、バノック (bannock) 、オートケーキ (oatcake) などの材料。残ったオートミール・ポリッジに小麦粉を加えて捏ね、パンを作ることもある。
  • カボックチーズ (Caboc) の表面にまぶす。
  • 家禽のローストの詰め物
  • スコットランド料理「スカーリー」 (skirlie) やチップショップの「ミーリープディング」 (mealy pudding) の主な材料
  • 羊の血、塩、胡椒と混ぜてハイランド・ブラックプディングを作る。
  • アウターヘブリディーズ諸島では、オートミールを脂肪、水、玉葱、調味料と混ぜて羊の腸に詰めて茹でたホワイトプディングの一種、「マラグ・ギール」を作り、スライスして朝食の卵料理に添える。

アイルランドでも、オートケーキやブラックプディングを作る習慣がある。

[編集] アメリカ合衆国のオートミール

オートミールは以下の種類に分けられている。

インスタント・オートミール 
お湯を注ぐだけでポリッジになるようにアルファ化加工したもの。子供用に甘味や果物の風味などをつけ、ビタミン類を添加した商品も販売されている。
ロールド・オーツ (rolled oats
燕麦をローラーでつぶして押し麦状にしたもの。
スティール・カット・オーツ (steel-cut oats
燕麦の一粒を2つから3つにカットしたもの。ロールド・オーツよりも調理に時間がかかる。

アメリカ合衆国では、チリコンカーンにとろみをつけるのにオートミールを用いることがある。オハイオ州シンシナティとその周辺では、オートミールと豚の挽肉を混ぜたゲッタ (goetta) という食品がよく知られている。

ヴァーモント州は、一人あたりのオートミール(ポリッジ)の消費量が全国一である。ヴァーモント州の農家の伝統にもとづいたオートミールは、スティール・カット・オーツを用いることがほとんどであり、オートミールを煮る前の日の晩にオートミールを冷水、塩、メープルシロップに浸けてふやかしておき、朝の農作業が始まる前にナツメグシナモンを加えて(ショウガの粉末を加えることもある)とろ火にかけ、90分近く煮込み、農作業が一段落したところでクリーム、乳、バターを加えて食べた。農業人口が大幅に減少した現在では、調理時間は10分から30分に短縮されている。また、低温調理用家電のスロウクッカー (slow cooker) を使ってオートミールを一晩中煮込むこともある。

テキサス州バートラム市 (Bertram) の近くにはオートミールという名の小さな町があったため、毎年、労働者の日(9月の第一月曜)の週末にオートミール祭りが催される。

オートミールは、子供向け教育番組『セサミストリート』に登場するバートの好物である。

[編集] 脚注

  1. ^ 五訂増補 日本食品標準成分表 - 文部科学省
  2. ^ Davidson MH, Dugan LD, Burns JH et al "The hypocholesterolemic effects of beta-glucan in oatmeal and oat bran: a dose-controlled study." JAMA. 265(14), 1991, P1833-1839.
  3. ^ Shinnick FL, Mathews R, Ink S "Serum cholesterol reduction by oats and other fiber sources." Cereal-Foods-World, v.36(9),Sept 1991, p815-821
  4. ^ Marlett JA, Hosig KB, Vollendorf NW et arl."Mechanism of serum cholesterol reduction by oat bran." Hepatology,20(6),1994 Dec, P1450-7
  5. ^ a b c マイケル・ヒースマン、ジュリアン・メレンティン 『機能性食品革命』 講談社、2002年4月。ISBN 978-4062112673。172-173頁。原著 The functional foods revolution 2001

[編集] 関連項目