ビール

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グラスに注がれたビール
ビールの
日本の缶ビール

ビール: bier, : beer)は麦芽由来の酵素(アミラーゼ)により、穀物に含まれるデンプン加水分解して糖化し、酵母により発酵させて作るアルコール飲料の一種。漢字で麦酒(ビール)と表記される場合もある。

現代のものは炭酸ガスに由来する清涼感とホップに由来する独特の苦みが特徴となっているが、起源が非常に古いこともあり、歴史的、地域的多様性は高い。

1990年代日本では、一番多く消費されているアルコール飲料である[1][note 1]。また、一年を通じて消費されている。特に枝豆冷奴とともにビアガーデンでよく冷えたビールを飲むことは風物詩ともなっている。日本ではビールは季節を問わず必ずよく冷やしてから飲むものとされている。

目次

[編集] 語源

[編集] 歴史

その歴史は古く、既にメソポタミア文明シュメール人により大麦を使い作られていた。ちなみにシュメール人はワインの製法も開発している。紀元前3000年頃に古代エジプトにビールの製法が伝わった。

これらの古代オリエントのビールは、麦芽を乾燥させて粉末にしたものを、水で練って焼き、一種のパンにしてからこれを水に浸してふやかし、麦芽の酵素で糖化を進行させてアルコール発酵させたものであった。大麦はそのままでは小麦のように製粉することは難しいが、いったん麦芽にしてから乾燥させると砕けやすくなり、また消化もよくなる。つまり、ビールは元来製粉が難しくて消化のよくない大麦を消化のよい麦芽パンにする技術から派生して誕生したものと考えられている。穀類を豊富に産したメソポタミアやエジプトでは、こうした背景を持つビールはパンから派生した、食物に非常に近い日常飲料であった。実際、古代エジプトのパピルス文書には、王墓建設の職人たちへの配給食糧として、ビールが記録されている。焼いてから時間のたった固いパンを液体でふやかすという発想は、ヨーロッパのスープの原型となった、だし汁でふやかしたパンとも共通しており、ふやかしたパンの料理という共通系譜上の食物ともいえる。

一方、麦芽の酵素によって大麦のデンプンを糖化させ、その糖液をアルコール発酵させるというビール製造の核心技術は、北方のケルト人ゲルマン人にも伝わったが、彼らの間では大麦麦芽をいったんパンにしてからビールを醸造するという形をとらず、麦芽の粉末をそのまま湯に浸して糖化、アルコール発酵させる醸造法が行われた。また日常の食物の派生形であった古代オリエントのビールと異なり、これらヨーロッパ北方種族のビールは、穀物の収穫祭に際してハレの行事の特別な飲料として醸造が行われる傾向が強かった。

ローマにはエジプトから伝えられたものがジトゥム (zythum) 、北方のケルト人経由で伝わったものがケルウィシア (cervisia) と呼ばれたが、ワインが盛んだったために野蛮人の飲み物視され、流布しなかった。ローマ人や古代ギリシア人の間では、大麦は砕いて粗挽きにしたものをにして食べるのが普通であったのである。またアルコール飲料として一般的だったワインも、固いパンを食べやすくするブドウのジュースを長期保存できる形にした日常の食卓の飲料としての性格が強く、酔うためにそのまま飲むのは野蛮人の作法とされ、水で割って飲むのが文明人の作法とされていた。それだけに、祝祭に際して醸造したビールを痛飲して泥酔する北方種族の習俗は、自らを文明人と自認するローマ人、ギリシア人の軽蔑の種にもなっていたのである。

16世紀の醸造所

ケルト人やゲルマン人の居住地域が表舞台となった中世ヨーロッパにおいては、ビールは盛んに作られ、その醸造技術の発展には修道院の醸造所が大きな役割を果たした。当時は、子供にもあった飲み物であると考えられていた。ヨーロッパのビール醸造において、古くから発酵を安定させるなどの目的でさまざまなハーブ類を添加する伝統があったが、11世紀のドイツにおいて、その抗菌作用と独特の苦みを利用するために、ホップが最も一般的なビール醸造用のハーブとなっていった。

現代ビールは19世紀後半のカールスバーグ研究所での酵母の純粋培養技術の開発をはじめとした科学技術の利用や缶やビン詰め製法の確立等の流通形態の改革、また、運輸・貯蔵技術の発達等にともなって、大企業が市場を占有するようになった。これらの技術体系の発達は、それまで本来主食とすべき麦をあえて酔うためのアルコール飲料とする、祝祭の飲料の性格が強かったビールが日常の飲料として浸透するという現象をもたらした。それまではむしろワインのほうが本来食事を食べやすくするための葡萄ジュースの保存食として、日常の飲料の性格が強かったが、近代的食品工業によって安価かつ大量に安定供給されるビールのほうが、肩のこらない日常の酒として普及し、ワインとビールの日常文化的位置の逆転を引き起こす結果となった。

その一方で、現在ではアメリカやヨーロッパでは伝統的製法への回帰や自然志向の流れの中で、クラフトビールマイクロブルワリーが注目されており、日本では法規制が緩和されたこともあり、地ビール醸造所が多く設立されてきている。

[編集] 製法

砕かれたホップ

多くの場合、大麦麦芽を原料とし、その他にはアサ科ホップトウモロコシ等が使われる(ただしドイツでは、1516年に施行された純正令(Reinheitsgebot)により、ラガービールには麦芽以外にはホップしか使えない。エールには規定はない)。 発芽の時にアミラーゼという酵素が作られ、その働きにより種子に貯えられていた高分子の多糖類であるデンプンが加水分解され、低分子の分(麦芽糖)に変わる。酵母は低酸素環境下で、この糖分を発酵によりエタノールに変える。酵母はデンプンを発酵できないが、糖分は発酵できるのである。

パスツール低温殺菌法を考案して以降、多くのビールは保存中の酵母などの活動を抑えるために熱処理を行ってきた。しかし、近年の日本では濾過技術や衛生管理技術が発達したため、熱処理されず生のまま供給されるビール(いわゆる生ビール)が主流になり、熱処理されたビールは少なくなっている。

[編集] 分類

その醸造法と酵母の種類によって、上面発酵エール下面発酵ラガーに大別される。但し、様々なスタイルが存在するため、特徴によって細かく明確に分類することは非常に困難であり、様々な分類がなされている。有名な分類方法としてマイケル・ジャクソンによる分類がある。詳しくはスタイルも参照。

ただし、元々エールという言葉は、上面発酵のビールを指していた言葉ではない。現在、ビールにはホップが使用されることが多いが、ホップがビールに広く使用されるようになったのは、12〜15世紀の間であり、その当時英語圏では、ホップ入りのものをビール(Beer)、ホップなしのものをエール(Ale)と呼んで区別していたが、その後、ビールは総称となり、上面発酵のものがエールと呼ばれるようになった [2]

[編集] エール

詳細は「エール (ビール)」を参照

上面発酵のビールを、エールと呼ぶ。Saccharomyces cerevisiae(サッカロマイセス・セルビシエ)という出芽酵母を用い、常温で短い時間で発酵を行う。盛んに炭酸ガスを出すために、最終的に酵母が浮かび上面で層を作るために上面発酵と呼ばれる。

一般に、上面発酵のほうが醸造は容易である。19世紀以降にラガーが爆発的に普及するまでは、ビールといえばエールであった。

複雑な香りと深いコクを特徴にしている。主なスタイルとしてペールエールスタウトアルトビールケルシュヴァイツェンなどがある。

[編集] ラガー

詳細は「ラガー (ビール)」を参照

下面(かめん)発酵のビールを、ラガーと呼ぶ。Saccharomyces carlsbergensis(サッカロマイセス・カールスベルゲンシス)という酵母を用い、低温(10℃以下)で長時間発酵を行う。酵母は最終的に下層に沈み込むため、下面発酵と呼ばれる。

元々は、バイエルンのローカルなビールであった。この土地の醸造師たちは、低温でも活動する酵母の存在に気づき、特別なビールを醸造していた。秋の終わりにビールを洞窟の中で氷と共に貯蔵し、翌年の春に取り出すのである。この貯蔵(ラガー)されたビールをラガービールと呼んだ。それが冷却機などの設備が発明された19世紀以降に世界中に普及し、瞬く間にビールの主流となった。

この方式は、大規模な設備を必要とするが大量生産に向いている。現代では、世界の大ビールメーカーの主流方式であり、ビール生産量の大部分を占める。

なめらかでマイルドな味を特徴としている。主なスタイルとして苦味の効いたピルスナー(ピス)、ボックなどがある。

[編集] 保存

ビールは酒としては味が変化しやすい部類に入る。品質が劣化する主な原因に、保管温度、日光、衝撃、酸化があげられる。また出荷から日数が経過するにしたがい味が劣化する。このような日数経過や味の変化は鮮度と表現される。ただし、酵母が殺菌・濾過されておらず瓶・樽内で再発酵を行う種類のビールは長期保存や「寝かせる」ことが可能で、マイルドで熟成された味わいへの変化を楽しめる銘柄もある。

  • 保管場所は暗所で低温、温度変化や振動のない環境が望ましい。
  • 開封後はなるべく早く飲みきってしまうことが推奨される。

劣化の原因は大麦由来の酵素LOX(リポキシゲナーゼ)の働きが大きい。醸造過程でLOXが劣化因子を作りこれがビールの成分と反応し脂質を酸化させることで渋みや臭みになり泡もちの低下が起きる。

温度
保管の適温は発酵温度と近い温度が最も品質変化しにくいとされ、これに従うとラガーは10℃以下、エールで15℃ - 25℃くらいが適温となるが、エールも10℃以下で保存しても問題ないとする意見もある。適温の範囲内でも、温度変化を繰り返す条件下では劣化が急激に進む。高温では劣化が早く進むが、低温にしすぎると成分の凝固や濁りが発生し泡もちが悪くなったりする。また容積増加で内圧が高まるため容器の破裂の恐れがある。
日光
紫外線によりホップに含まれる苦み成分イソフムロンが分解、同様にタンパク質に含まれる硫黄分が分解されて発生する硫化水素と合体し、悪臭を発する物質になる。臭いは「ゴムの焦げたような臭い」「スカンクの悪臭」とも例えられ、日光臭と呼ばれている。ビール瓶が茶色や緑に着色されているのは紫外線を防ぐためだが完全には防げない。また蛍光灯からは微量ながら紫外線が放射されているので、屋内でも陳列や保管条件によって劣化が起きる場合がある。
衝撃
ビール容器の中は炭酸が過飽和の状態にあり、衝撃が加えられるとバランスが崩れ分離や気泡を生じ味の劣化に繋がる。また開封時に激しく噴出する原因になる。
酸化
ビールは空気に触れると急激に酸化し風味が損なわれる。炭酸が抜けるせいもあるが、同じ発泡性酒類のスパークリングワインと比べると劣化は激しい。どうしても飲み残す場合はラップでの密封や、瓶ならばワインストッパーを使用すれば数日程度はもつ。ちなみに、ビールをグラスに注いだ際に生じる泡の層には、炭酸が抜けるのを抑え、ビールを空気から遮断し酸化を防ぐ効果があるとする説がある。

[編集] 注ぎ方

ビールは、注ぎ方によって、その味が変わる飲み物である。 ビールの泡は、ビールが空気に触れて酸化することにより味が変化することを防ぐ役割もある。 ビールの苦味成分は、液体中に拡散しているが、これは泡によって吸着される。 そのため、ビールの炭酸泡の形成過程をコントロールすることにより、ビールの苦味成分を液体上部に浮かぶ泡の層に閉じ込めることができる。

[編集] 注ぎ方の一例

  1. 最初はグラスの底にビールを叩きつけるようにして注ぎ、泡を形成する。これによりビールが空気に触れるのを防ぐことができる。
  2. グラスとビールの注ぎ口を近づけるなどして始めに形成した泡を壊さないように静かに注ぐ。これにより、均質な大きさの泡が液体中で均等に形成されるため壊れにくく、苦味成分も吸着させることができる。

[編集] 主なビール生産国と主要銘柄

世界のビール

キリンホールディングス集計によると、2004年の世界のビール総生産量は1億5475万klにのぼる。日本の大瓶(633ml入り)に換算すると2433億本となる。生産量のベスト10は、中国アメリカドイツブラジルロシアメキシコ日本(発泡酒等を含む)、イギリススペインポーランドの順。オランダは12位、チェコは15位、ベルギーは17位であった。

主な生産国の状況と銘柄は以下の通り。

[編集] ヨーロッパ

[編集] ドイツ

ドイツの歴史に残るミュンヘンビアホール・ホフブロイハウス。
ビールとワインで祝う収穫祭シュトゥットガルトのカンシュタッター・フォルクスフェストの巨大仮設ビアホールの内部。
生バンド演奏のもと椅子の上に立ち上がり盛り上がる。

ラガービールが大多数だが、アルトケルシュヴァイスなどのエールビールも多種造られている。 (ピルスナービールはチェコの発明。ラガービールはオーストリアの発明である。ただし、いずれもドイツ系による発明。)
ビールの新酒は秋初めに出回り、これにあわせて各地でビール祭りがある。もっとも有名かつ大規模なものはドイツミュンヘンオクトーバー・フェストである。また、オクトーバー・フェスト用に供されるメルツェンビール(3月に醸造される)、秋口に醸造され冬場に供されるウィンタービール等の季節ビールも多くのメーカーで作られている。なお、ドイツではビール法(ビール純粋令)によりビールを名乗る飲料には原材料の規制(水・麦芽・ホップのみを原料とする飲料物のみをビールとしてとりあつかう)があったが、非関税障壁として非難され、現在は輸入ビールについては廃止されている。ドイツのビールメーカーは、日本酒の地酒のように各地にあり、全国ブランドのビールメーカーは少ない。価格も安く、地ビールの缶ビールの価格は、コーラより安い。

ドイツのビールは大きく分けて大麦を原料とするピルスナータイプと小麦を原料とするヴァイスタイプ・ビールがある。小麦を原料とするビールでもミュンヘン近辺では白っぽいヴァイスビール (WeissBier) が有名。ドイツ南西部のバーデン=ヴュルテンベルク州近郊ではヴァイスビールでも透明なクリシュタール・ヴァイス、半透明なヘーフェ・ヴァイス、濁ったドゥンケル・ヴァイスがある。ヴァイス/ヴァイツェンの呼び名は、原料の麦芽の大麦・小麦の比率が小麦が50%以上であればヴァイツェン、以下の場合はヴァイスと呼ぶのが正式。 常温で飲むビールもあるが、ドイツでも一般的に冷やして飲まれる。

[編集] チェコ

ドイツのローカルビールだったラガーを世界的に広めたのは、この国で生まれたピルスナーのおかげである(日本で最も飲まれる黄金色のビールは、このピルスナー・タイプである)。ピルスナーは、ピルゼン(プルゼニュのドイツ名)で醸造されたビールの呼称から由来する。この事実により、中央ヨーロッパでは、ビールの醸造法についてはチェコをその本場として一目置く。

ピルスナーウルケル
ピルゼン市の地ビール。
ブドヴァル
チェスケー・ブデヨヴィツェ市の地ビールである。米バドワイザーとの商標権訴訟でも有名である。

[編集] イギリス

エールビールの本場。エールビールは冷やさずに供されるので、日本風のビールに馴れた人にはかなり違和感を覚えるかもしれない。かつては外国産ビールに押され気味だったが、1970年代、熱心なエールファンによるCAMRA(CAMpaign for Real Ale=真正エール(復活)運動)が起こった。しかし現在でも若者層を主流に多く飲まれているビールは冷やして供されるバドワイザー、ハイネケンなどの外国産ブランドのラガー、もしくは自国産のラガーであり、これらのビールは上記の真正エールなどをはるかに超えるシェアを持っている。エール復興運動は盛んであるが、あくまでも好事家向けのニッチ産業としての側面が強い。

  • バス・ペールエール - すっきりした味わいと、フルーツのようなほのかな甘みと香りをもつ。
  • ニューキャッスル・ブラウンエール

[編集] アイルランド

ギネスを始め、ビールの国、呑み助の国としてのイメージが強烈なアイルランドであるが、国内市場は事実上殆どギネス社(の母体であるDiageo社)の寡占市場にあり、パブでのタップからサーブされるビールの選択肢は多くない。だが近年では都市部を中心にベルギービールやチェコビールなどをタップからサーブするパブも増えてきつつある。近年では地ビールなども出現してきているが、上記のような寡占状態のためパブなどでタップからサーブするビールとして発見することは非常に難しい。いわゆるマイクロブルワリーの中でもっとも成功しているのがPorterhouseである。同名のパブ内で醸造を行っており、市内に数店の支店を持っている。

  • ギネス (Guinness) - もっとも有名なアイリッシュスタウト
  • マーフィーズ (Murphy's Irish Stout) - 代表的なアイリッシュスタウトの一つ。数少ない大規模生産を行っている独立ブランドで、アイルランド南西部のコーク地方を中心に飲まれている。
  • ビーミッシュ (Beamish) - マーフィーズと並んでコークで飲まれているスタウト。
  • キルケニー (Kilkenny) - エールの一種(アイリッシュレッドエール)。
  • スミディックス (Smithwicks) - アイルランドで年配層を中心に根強い人気があるエール。上記のキルケニーと似た製品。

[編集] ベルギー

詳細は「ベルギービール」を参照

世界でもっとも多様なビールを醸造するのは、おそらくベルギーである。マイケル・ジャクソンの精力的な活動によって、ベルギービールが世界に伝道されたといわれる[3]

ベルギービールの中でもっとも有名なのは、1966年にピエール・セリスが復活させた「ヒューガルデンホワイト (Hoegaarden White) 」であろう。これは、俗に「ブランシュ(白ビール)」と呼ばれるビールである。なお、ドイツで白ビール(ヴァイスビアヴァイツェン)といえば、まったく別物の小麦を原料とするビールを指すので注意を要する。ドイツのヴァイスビア、ヴァイツェンと区別するために、ベルギーのブランシュをベルジャンスタイルホワイトと称することもある。

また、トラピストビール(修道院ビール)、ブリュッセル近郊で製造される自然発酵を特徴とするランビックなど独特なビールが製造されている。

[編集] オランダ

隣国ベルギーとドイツの影響もありビール作りが盛んである。ラガータイプだけではなく多様なエールも醸造している。

  • グロールシュ (Grolsch)
  • ハイネケン (Heineken)
  • アムステル (Amstel)

[編集] フランス

フランスはヨーロッパ第5位のビール生産国である(fr:Biereより)。ほとんどはドイツ国境に近いアルザス地方および隣接のロレーヌ地方で生産されているほか、ベルギー国境に近いノール地方でも生産されている。代表的なものは以下の3つの銘柄だが、実際は全てクロナンブール社が製造している。

  • クロナンブール (Kronenbourg)
  • セーズ・ソワサンカトル (1664)
  • カンテールブロー (Kanterbrau)

[編集] スペイン

  • マオウ (Mahou)
  • クルスカンポ (Cruzcampo)
  • エストレージャ・ダム (Estrella Damm)
  • サン・ミゲル(San Miguel)
  • ヴォル・ダム(Voll Damm)

[編集] ポーランド

[編集] その他

[編集] 北米・南米

[編集] アメリカ

バドワイザーをはじめとして軽い飲み口のビールが代表であるかのように思われているが、西海岸を中心にクラフトビール、マイクロブリューワリーという小醸造所によるビールが多種あり、生産されるビアスタイル数は世界でも有数である。いろいろな文化が集まる場所だけに、ビールの種類も多い。ちなみに、アメリカビールの代表の1つとも思われるミラーは買収・合併されて、現在は南アフリカ籍の会社。

[編集] カナダ

カナダでもアメリカ同様、ビール消費は多く、モルソン、ラバットという二大全国ブランドが存在する。また、イギリスからの伝統も影響し、比較的小規模な地ビール醸造も多い。

[編集] メキシコ

[編集] その他

[編集] アジア

[編集] 日本

詳細は#日本のビール参照。

[編集] 中華人民共和国

中国での製造開始は欧米諸国に遅れるが、21世紀になって、生産量では世界一となっている。2004年の総生産量は2910万トンであり、対前年15.1%もの伸びを示している。

元々中国でのビール生産は、20世紀初頭より山東省青島ドイツ租借地とし、租借地経営の一環として、産業振興策のビール生産の技術移転を行ったところから始まる。その名残もあり、現在でも最も有名で生産量も最大なメーカーは、青島ビール (Tsingtao Beer) である。創業地の青島以外でも、中国各地の工場を買収して傘下に収めている。その他の大手グループとして北京燕京ビール広州珠江ビール香港資本の華潤ビールがあり、バドワイザーサントリーアサヒビールなどの海外のビールメーカーも多く進出している。流通と冷蔵が完備していないので、各地方都市に小規模なビール工場が多数あり、その地域用のビールを生産している。小規模工場の中には品質の悪いものを作っているところもあり、2004年の全国規模の抜き取り検査では13.8%もの銘柄が不合格となった。

[編集] タイ

冷たく冷やしたラガーが好まれる。ビールに氷を入れる事があるが、これはアルコール度数が高いため割っているというよりも、冷蔵設備が行き渡っていなかった時代のなごりである。ただし、タイのビールは味がやや濃いこともあり薄める目的で氷を入れる人はいる(氷を入れる事を前提に濃いめに作られている)。

[編集] その他

[編集] オセアニア

[編集] 世界的なビール製造企業・グループ

世界的な規模のビール製造会社は他国へ直接の資本進出を行ったり、各国の地場ビール会社を資本支配下に収め、あるいは資本提携を行う事で進出を行っている。また、世界的なブランドは直接ブランド所有会社との資本関係にはなくとも各国の企業によるライセンス製造が行われるケースもある。

単純に計算すると上位5グループで世界の生産量の50%近くを占める事になる。InBev社の主張によれば2005年には同社グループの生産量は世界のマーケットシェアの14パーセントの生産量を占めていると主張している。ただし、例えばカナダではInBev社系列のラバット社がバドワイザーを製造しているようにブランドと企業の入り繰りも存在している。また、オーストラリアや日本のように民族資本が強力な場合には進出の程度が輸出あるいはライセンス製造に留まっているケースもある。

世界的な大手ビール企業グループの上位5グループは以下の通り。

[編集] InBev(ベルギー・ブラジル)

InBev (インベブ)2004年ベルギーのInterBrew社とブラジルのAmBev社の合併により誕生。アジア・ヨーロッパ・南北アメリカに多くの系列企業を持つ。

主な所有ブランド

[編集] Anheuser-Busch(アメリカ)

アンハイザー・ブッシュは世界第三位の生産量を誇る。アメリカ国外の醸造所は他のグループと比較すると少ないが、バドワイザーブランドのビールは各国でライセンス生産が行われている。

主な所有ブランド

[編集] SABMiller(南アフリカ・アメリカ)

南アフリカビール社が2002年にミラー社を買収して誕生。アメリカ・アフリカに系列企業を持つ。

主な所有ブランド

[編集] Heineken(オランダ)

ヨーロッパ及び東南アジアのマーケットで強い。

主な所有ブランド

[編集] Carlsberg(デンマーク)

ヨーロッパ、特に北欧・東欧諸国で強い。

主な所有ブランド

[編集] 日本のビール

[編集] 歴史

日本においてビールは、1613年慶長18年)に長崎県平戸市に渡り、1724年享保9年)にオランダの商船使節団が江戸に入府した際には、8代将軍・徳川吉宗に献上された。

日本での外国人による醸造は、1812年長崎出島において、オランダ商館長のヘンドリック・ドゥーフの手によるものが最初である。開国後の1869年明治2年)には、横浜の外国人居留地、山手46番にウィーガントらによって、「ジャパン・ブルワリー」が設立され、翌年にはアメリカ人・コープランドが「スプリング・ヴァレー・ブルワリー」を設立。ビールの醸造製造を始め、主に居留地の外国人や上流階級の日本人向けに販売し、輸出もした(後に、ジャパン・ブルワリーは閉鎖、ウィーガントは別の工場ババリア・ブルワリーを興すが、最終的にはコープランドのスプリング・ヴァレー・ブルワリーと合併する)。

日本人による醸造は、1853年蘭学者川本幸民が、江戸で醸造実験を行ったのが最初とされる。産業としての醸造は、1869年明治2年)に、当時の品川県知事であった古賀一平土佐藩屋敷跡(現在の東京都品川区大井三丁目付近)にビール工場を建造し製造を開始したのが最初とされる。ただし、規模の大きさから、1872年に、大阪市渋谷庄三郎が「渋谷ビール」を販売したのが最初とする説もある。その後、1874年(同7年)には甲府で野口正章により「三ツ鱗ビール」が設立され、1876年(同9年)には北海道で官営ビール事業として、北海道開拓使札幌麦酒醸造所が中川清兵衛を中心に設立された(翌年「札幌ビール」を発売した。)。

1885年(明治18年)、グラバー三菱岩崎弥之助らにより、「スプリング・ヴァレー・ブルワリー」は「ジャパン・ブルワリー・リミテッド」に引き継がれ、1888年(同21年)には「キリンビール」が発売された。1886年(同19年)には、北海道開拓使の官有物払下により、札幌麦酒醸造所は北海道庁から大倉組に払い下げられ、1888年に「札幌麦酒会社」が設立された。1877年(同10年)には「日本麦酒株式会社」が設立され、1890年(同23年)に「ヱビスビール」を発売した。また、1889年(同22年)には「大阪麦酒株式会社」が設立され、1892年(同25年)に「アサヒビール」を発売した。

このように大資本から地方の中小醸造所まで、明治期には地ビールブームが起き、全国で100社近くの醸造所が設立された。しかし、1900年(明治33年)に北清事変(義和団の乱)が起き、軍備増強のため、翌年からビールに酒税が課せられることになると状況は一変する(それまで、酒税は清酒にのみ課されていた。)。中小の醸造所は、酒税法に定められた最低製造数量基準を満たすことができず、相次いで倒産、または大資本へと吸収され、ビール業界は再編された。1906年(同39年)には、日本麦酒、札幌麦酒、大阪麦酒が合併して「大日本麦酒」が設立され、また、1907年(同40年)には、三菱財閥がジャパン・ブルワリー・リミテッドを引き継いで「麒麟麦酒」(キリンビール)が設立される。その後、1928年(昭和3年)に「壽屋」(サントリー)が「日英醸造」を買収し、ビール業界に一時参入したものの、1934年(昭和9年)にはビール工場を「麦酒共同販売」に売却して、ビール業界から撤退した。

第二次世界大戦後、GHQは産業界の独占・寡占の一掃を図って集中排除法を制定させる。ビール業界も集中排除の対象となり、大日本麦酒は「日本麦酒」(サッポロビール)と「朝日麦酒」(アサヒビール)に分割された。1957年(昭和32年)には、沖縄県で「オリオンビール」が設立され、同年には宝酒造もビール業界に参入して「タカラビール」を発売した(宝酒造は1967年に撤退)[4]1963年(同38年)にはサントリー(壽屋から社名変更)がビール業界に再び参入した。こうして、いくつかの新規参入はあったものの、1967年の宝酒造撤退後は長らくビール業界はキリン・アサヒ・サッポロ・サントリー・オリオンによる5社(オリオンに対する各種優遇措置などの特殊事情のある沖縄以外では、事実上オリオンを除く4社)の寡占状態にある。

1967年(昭和42年)、新技術(精密濾過機を使用し熱処理を行わず酵母菌を除去)を用いた生ビール、サントリー「純生」[note 2][5]が発売されたが、生ビールの解釈(酵母菌の有無)を巡ってサントリーと競合他社が意見を対立させ『生ビール論争』が発生した[6]。この論争は1979年、公正取引委員会が生ビール、ドラフトビールの定義を(酵母菌の有無には関係無く)「熱処理をしないビール」と公示したことにより、結果的にサントリーの主張が認められた形で終末を迎えた[6]

1987年(昭和62年)に販売したアサヒスーパードライが多く売れ、日本国外では、中国、タイ、イギリス、チェコ、カナダで生産、販売されている。

この頃から暖房機能付きエアコン石油ファンヒーター等、一般家庭における冬場の暖房設備の充実により、それまでの「夏はビール、冬は日本酒や焼酎」といったスタイルから、冬場でもビールが売れていくように変化していった。この現象はアイスクリームでも見られた。

1994年(平成6年)、酒税法が改正されて最低製造数量基準が緩和された。これにより、一気に全国各地で地ビールが醸造され始め、地ビールブームが再現された。ただ、寡占5社が占めるシェアは依然大きく、2008年現在地ビール全体のビール業界におけるシェアは1%に満たない[7]

[編集] 主要銘柄

など

[編集] 日本における定義

日本には、ドイツのビール純粋令のような製造法に関した法律は無く、「酒税法[8]と「公正競争規約[9]にて定義されている。

  • 「酒税法」第3条 第12号[8]『ビール』次に掲げる酒類でアルコール分が20度未満のものをいう。
    • イ - 麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもの
    • ロ - 麦芽、ホップ、水及び麦その他の政令で定める物品を原料として発酵させたもの(その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の100分の50を超えないものに限る)。
  • 「ビールの表示に関する公正競争規約」(定義)第2条[9](内容は上記「酒税法」と同様)

分類については「公正競争規約」[9]にて定義されている。

  • 「ビールの表示に関する公正競争規約」(特定用語の表示基準)第4条 [9]
    • ラガービール - 貯蔵工程で熟成させたビール
    • 生ビール・ドラフトビール - 熱による処理(パストリゼーション)をしないビール
    • 黒ビール・ブラックビール - 濃色の麦芽を原料の一部に用いた色の濃いビール
    • スタウト - 濃色の麦芽を原料の一部に用い、色が濃く、香味の特に強いビール

[編集] 日本での飲まれ方

日本では、しっかり冷やしてコップやジョッキに注ぎ、そのまま飲むのが一般的。まれに砂糖を入れて飲む人もいる。しばしばビール愛好家向けの書籍などでは「イギリスでは常温・室温の状態で飲まれる」などと記載されるが、実際にはイギリスでもラガーを中心に冷やして飲まれるビールやパブが殆どであり、現在では常温で飲まれるエールなどは決して主流のものではなく、好事家向けのブランドである。ドイツやベルギーなどでは温めて飲まれることもある(温めて飲むためのビールも売られている)。また、常温でサーブされるビールとして有名なギネスであるが本国のアイルランドでも冷やしたギネスをサーブする設備がギネス社主導によってほとんどのパブに導入されており、「イギリス・アイルランドでは一般的に常温で飲む」と単純に断言することはできない。

また、アメリカでもビールを冷やして飲む習慣がある。日本ではビールに氷を入れることはないが、タイでは冷やした上に氷を入れるのも一般的である。

これは、気候・風土の違いやよく飲まれているビールのスタイルの違いに起因する。なお、中国でも常温のビールを飲む慣習があったが、日本のコンビニエンスストア系企業が進出に乗り出した際に冷蔵のビールを提供したところ人気となり、冷たいビールの需要が上がったという現象も起きている。特に日本系企業が多く・長く進出している上海においては他の地域と異なり、冷えたビールをどこでも買うことが可能。

日本のプロ野球では、公式戦や日本選手権シリーズで優勝したチームの監督・選手・コーチたちが、祝勝会でビールをかけ合う風習がある(→ビールかけ)。

日本の多くの料理店・居酒屋では、5社(事実上はキリン・アサヒ・サッポロ・サントリー4社)のうち1社(沖縄県では通常はオリオン)のビールが供された。そのため、「三菱系社員はキリンの出る店でしか飲まない」「サッポロ(或いはサントリー)の出る店は少ないので、三井系企業の接待の店選びは困る」など、企業グループとビール銘柄に関する噂もまことしやかに語られた。ホテルなどでの企業関係者の会合といった、大人数の集まるイベントなどでは、企業グループによって提供するビールのメーカーを変える(三菱系=キリン、芙蓉系=サッポロ、住友系=アサヒ、三和系=サントリー。ちなみに三井系はサッポロかサントリーのどちらか)ことも多い(ただ、2000年頃から、旧財閥といった従来的な企業グループを超えた企業再編も行われているため、当てはめにくくなっている可能性はある)。

[編集] ビール類似の飲料

[編集] 発泡酒

詳細は「発泡酒」を参照

日本の酒税法では、原料として規程されているもの以外を用いているものや麦芽以外の原料を多く使用したものを「発泡酒」として定義している。このため、海外産の輸入ビールの中にはこの基準に合致しないために、本国ではビールに分類されていても日本では発泡酒扱いとされる商品も存在する。

[編集] いわゆる第三のビール

詳細は「第三のビール」を参照

麦を使わないものは「その他の醸造酒(発泡性)(1)」(旧法では「その他の雑酒(2)」)、ビール、又は発泡酒に蒸留酒を組み合わせたものは「リキュール(発泡性)(1)」に属する[8]

[編集] ビアテイスト飲料

ノンアルコールビール」と呼ばれたもの。

詳細は「ビールテイスト飲料」を参照

運転をする者や大人たちがビールを飲んで祝い事をする時の子どもたちの飲み物としても需要がある。これらの中にはホップを含まない甘いものもある。 以前は「ノンアルコールビール」と呼ばれたが、アルコール含有量はゼロではない。酒類に分類されるアルコール1%という基準を下回ってはいるが、アルコール分を含んでいる。各メーカーとも未成年やアルコールに敏感な人の飲用や飲用後の運転は控えるよう呼びかけている。「ノンアルコール」という用語はこの点の誤解を招くという指摘があり、業界では名称を「ビアテイスト飲料」又は「ビールテイスト飲料」に改める動きが進んでおり、今後はこれらの名称が一般的になる模様である。

上記のとおりビアテイスト飲料はアルコール分を含んでいて、飲んだ量によっては飲酒運転となる可能性があるので、注意が必要である。

[編集] ビアカクテル

ヨーロッパではビールにソーダや果物ジュースといったソフトドリンクを組み合わせたカクテルも多く飲まれている。特にソーダ(レモネード)と割ったものは広く普及しており、ドイツではラドラー、イングランドではシャンディ、フランスではパナシェと呼ばれ、ほとんどのビアホール、パブで供せられる。 実際にビールを混ぜて飲む代表的なカクテルとしては、レッドアイシャンディ・ガフがある。

[編集] ビールとは別物の飲料

ビール、ビア、エールが付くがビールとは無関係の飲料

[編集] 注釈

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  1. ^ ハイパープレス『いらっしゃいませ! 雑学居酒屋 「酒」と「つまみ」のおいしいウンチク』77、78ページによれば、国税庁の『酒のしおり』では、日本の成人一人あたりの酒消費量のうち、1994年では73.2%、1999年では57.7%を占めているという。なお、5年で「ビール」が減少しているが、「発泡酒」を含む「その他」が増加している。
  2. ^ 現在の発泡酒「純生」とは別の製品

[編集] 出典

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  1. ^ ハイパープレス 「ビールについて」『いらっしゃいませ! 雑学居酒屋 「酒」と「つまみ」のおいしいウンチク』 PHP研究所〈PHP文庫〉、2002-06-17、第1版第3刷、77、78ページ。ISBN 4-569-57740-7
  2. ^ Tom Standsge 著、新井 崇嗣 訳 『世界を変えた6つの飲み物』 p.294、p.295 インターシフト 2007年3月20日発行 ISBN 978-4-7726-9507-7
  3. ^ 田村功 「1 ベルギービールを知る」『ベルギービールという芸術』 光文社〈光文社新書〉、2002-09-21、初版第1刷、16から19ページ(日本語)。ISBN 4-334-03161-7。2008-02-20閲覧。
  4. ^ ニッポンスタイル 第14回 黄金色に賭けた夢 ~「タカラビール」~より
  5. ^ 食品加工技術発達史 第5章 1961年~1975年「包装と流通の革新」テキスト版Flash版より
  6. ^ a b livedoorニュース2006年8月18日掲載「ジョッキ、ビン、缶…中身はぜ~んぶ同じ 生ビール=新鮮の嘘」[リンク切れ]より
  7. ^ "さあ夏本番、これば飲んどけ「激ウマ地ビール」番付". ZAKZAK (2008-07-22). 2008-07-23 閲覧。[リンク切れ]
  8. ^ a b c 法庫『酒税法』 より
  9. ^ a b c d ビールの表示に関する公正競争規約 (PDF)より

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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