どぶろく

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どぶろく(酒税法に基く届出醸造品)

どぶろく濁酒)とは炊いたに米酒粕等に残る酵母などを加えて作るである。濁り酒にごりざけ)とも言われることがある[1]

非常に簡単な道具を用いて家庭で作ることも可能だが、日本では酒税法において濁酒(だくしゅ)と呼び、許可無く作ると酒税法違反に問われることになる。

目次

[編集] 概要

この酒は米を使った酒類では最も素朴な形態の物と言われ、一般の酒店でも購入可能な濁り酒に近い。これを沈殿濾過することで清酒を作ることも可能だが、清酒になる程には漉さずに飲用する。清酒に比べ濾過が不十分であるため、未発酵の米に含まれる澱粉や、澱粉が分解したにより、ほんのり甘い風味であるが、アルコール度は清酒と同程度の14 - 17度にもなるため、口当たりのよさがあだとなってつい飲み過ごして悪酔いしやすい。現在は酒税法に基く酒類となっているため、醸造にあたっては関係当局への許可申請が必要となっており、許可を得られれば、どぶろくの醸造を行うことが出来る(詳細は下記)。

どぶろくの語源は定かではない。平安時代以前から米で作るの混じった状態の濁酒のことを濁醪(だくらう)と呼んでいたのが訛って、今日のどぶろくになったと言われる[2]。また、どぶろくの起源についても諸説あり、中国揚子江/黄河流域の稲作文化の直接伝播(紀元前3500年ごろ)に伴って伝わったという説や自然発酵による独自の発生説など諸説ある。どちらにせよ、3世紀後半の魏志倭人伝には倭人は酒を嗜むといった記述があり、どぶろくの歴史は長い。

[編集] 「密造酒」としてのどぶろく

どぶろくは家庭でも簡単に作ることが出来るが、違法行為(酒税法違反)であるため、転じて密造酒の別名としてこの言葉が用いられることもある。このことから隠語で呼ばれることも多くどぶ白馬しろうま)、溷六どぶろくまたはずぶろく)といった呼び方も地方によっては残されている。なお溷六と書くと、泥酔状態にある酔っ払いのことを指す別の言葉にもなる。

日本におけるどぶろく作りの歴史は米作とほぼ同起源であると云われるが、明治時代においては政府の主要な収源であった酒造税1940年以後、酒税)の収入を減らす要因であるとして、農家などで自家生産・自家消費されていたどぶろく作りが酒税法により禁止され、現在に至っている。しかし家庭内で作ることの出来る密造酒でもあるため摘発は非常に難しく、米どころと呼ばれる地域や、酒を取り扱う商店等の少ない農村などで、相当量が日常的に作られ消費されていたとする話もある。むしろ、実際の禁止理由は日清日露戦争で酒税の大増税を繰り返した際にその負担に耐え切れないとする醸造業者に増税を許容してもらうための一種の保護策であったと考えられている。

一部では自家生産・自家消費に限ってどぶろく作りを解禁しようという動きもあるものの、解禁には至っていないのが現状である。なお、酒税法上の罰則規定に拠れば、製造するだけでも5年以下の懲役または50万円以下の罰金となっている。

だが、日本では古来より、収穫された米をに捧げる際に、このどぶろくを作って供えることで、来期の豊穣を祈願する伝統を残す地域があり、この風習は現代でも日本各地のどぶろく祭等により伝えられている。このため宗教的行事におけるどぶろくの製造と飲用は、濁酒の製造免許を受ければ製造可能である(酒税は課税され、各種の申告義務を課される)となる。この場合、神社の境内等の一定の敷地内で飲用するものとする。

また酒造の制限は税制上の理由であり、所得税などは申告税制になっていることから家庭内酒造についても申告納税さえすれば自由に認めるべきであり、脱税酒についてのみ取締りをするべきであるという根強い意見もある。

[編集] 製造方法

日本国内にて、家庭で製造・自家消費する場合でも、無免許製造に該当し、酒税法により処罰されます

  1. 良く研いだ白米を水に浸し、少量の飯を布袋に包み同じ容器に浸す
  2. 一日一回浸けた袋を揉む
  3. 三日程度置き、甘酸っぱい香りがしてきたら、水(菩提酛)と米を分け、米を蒸す
  4. 蒸した米を30度程度に冷やしてから米麹を混ぜ、取り置いた菩提酛と水を加える(初添え)
  5. 一日一回かき混ぜ、二日程度置く
  6. 白米を蒸し、30度程度に冷やしてから麹と水を混ぜ、加える(中添え)
  7. 翌日も同様に仕込む(留添え)
  8. 一日一回かき混ぜ、一、二週間発酵させたる。(布巾などで漉した場合は、酒税法上「清酒」に該当する。)

菩提酛には乳酸菌と酵母が含まれ、乳酸菌の生成する乳酸が雑菌の発生を抑え、麹の分解酵素により生成された糖を酵母が分解しアルコールが生成される(並行発酵)。また、米・麹の投入を複数回に分けることにより、糖度及びアルコール度数の高さによる酵母への影響を抑えて、度数の高い酒の製造を可能にしている(複発酵)。一部では、発酵を安定促進させるためにイーストを加えたり、少量のヨーグルトを加えることもある。(ヨーグルトを加えた場合は酒税法上、「その他の醸造酒」の「濁酒」以外の酒類に該当する場合がある。)イーストは市販のパン用ドライイーストでも構わないが、辛口の酒を造るには耐アルコール性の高い清酒用の乾燥酵母(商品名マウリアケなど)が適している。なお発酵途中には炭酸ガスが発生するため、密閉容器で作る場合は時折ガス抜きするにしても耐圧性のある容器が望ましい。密閉できない容器の場合は雑菌が入ると腐敗するため注意を要する。使用する水は一度沸騰させた湯冷まし井戸水(ミネラルウォーターも可)を使用する。

加熱殺菌処理されていない生酒であるため、保存は難しいとされ、もろみを濾した後は冷蔵し、早めに消費しないと、雑菌が繁殖するなど、すぐ飲用に適さない状態になると言われている。

なお、濾した物を暫く沈殿させ、上澄み、中澄みと分けてくみ取る場合があり、上澄みで透明感があるほど良いともいわれている。 (濾した場合は酒税法上「清酒」に該当します。

[編集] どぶろくと祭(どぶろく特区)

豊穣祈願などの宗教行事や地域産品としてのどぶろくを製造する地域は日本各地に存在する。このようなどぶろく作りでは、地域振興の関係から、2002年の行政構造改革によって、構造改革特別区域が設けられ、同特別区内でのどぶろく製造と、飲食店民宿等で、その場で消費される場合に限り、販売も許可されている(通称「どぶろく特区」と呼ばれる)。

しかし同特別区外へ持ち出すことになる「みやげ物としての販売」に関しては、酒税法が適用されるため、酒類製造と販売の許可が必要となる。また、実際には酒税法にて最低醸造量として定められている年間6キロリットル一升瓶にして約3,326本)という制限を撤廃したのみで、アルコール度数の検査等々、酒税法に記される検査はあまり変わっていない。

なお、どぶろく特区となっている地域は、以下列記しているように主に祭などのいわゆる行事に使う目的で製造している地域と、山形県飯豊町のように特定の箇所で常飲させる地域に分けることが出来ると考えられるが、どちらも最大の目的は地域振興である。

また、このどぶろく特区には課題があると考える人もおり、

  • 特区認定に関して、地域限定等が無く、その方面でのハードルが低い。そのため多くのどぶろく特区ができ、あまり差別化が図れない
  • 前述したように検査が煩雑で、小規模製造とするにはハードルが高い。
  • 許可の公布については酒税法に準じているため縛りが多い。

などと、特区として未成熟であるという意見もある。

[編集] どぶろく特区である区域の例

[編集] 全国どぶろく研究大会

 全国の特定酒類の製造者及び関係者等が一堂に会し、各特区認定地区の特定酒類製造の状況、活用方法、地域への波及効果等について意見・情報交換を行い相互の理解を深め、都市と農山漁村の交流を活発にすると共に更なる地域の活発化を図るために、平成18年から毎年一回開催される。  また、第2回大会からどぶろくコンテストも同時開催され、濃醇の部、淡麗の部にて審査表彰されている。

[編集] 日本のどぶろく祭

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[編集] どぶろく裁判

どぶろくの製造と自家消費に関しては、『ドブロクをつくろう』(農文協)の著者である前田俊彦が興した、通称どぶろく裁判が知られている。裁判では、食文化の一つである(と主張する)どぶろくを、憲法で保障された人権における幸福追求の権利において、自家生産・自家消費することの是非に始まって、「酒税法上で設けられた様々な制限が、事実上において大量生産が可能な設備を保有出来る大資本による酒類製造のみを優遇し、小規模の酒類製造業が育たないようにしている」という前田側の主張がクローズアップされている。

同裁判は最高裁判所にまで持ち込まれ、1989年12月14日に「製造理由の如何を問わず、自家生産の禁止は、税収確保の見地より行政の裁量内にある」として、酒税法の合憲判断と前田の有罪判決が出た。

[編集] 関連項目

[編集] 脚注

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  1. ^ ただし、清酒メーカーが販売している「にごりざけ」は通常のを粗漉しするといった濾過などの工程が必ず入るので、別物である。
  2. ^ 11世紀半ば成立と考えられる藤原明衡の著書『新猿楽記』のある写本に濁醪の語が見える。
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