前駆体

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

化学における 前駆体(ぜんくたい)とは、ある化学物質について、その物質が生成する前の段階の物質のことを指す。有機合成化学生化学で用いられる用語。前駆物質プリカーサー (precursor) とも。

有機合成化学[編集]

有機合成化学では、全合成の標的化合物、あるいは重要な合成中間体について前の段階の化合物が前駆体とされる。半合成の場合は出発物質が前駆体と呼ばれる。

ある合成反応において、用いる試剤や触媒が不安定であるなどにより用時調製しなければならないとき、その調製のために用いる安定な試剤を前駆体と呼ぶ。例えば N-メチル-N-ニトロソ-4-トルエンスルホン酸アミド (Diazald) はジアゾメタンの前駆体として市販されている。遷移金属触媒を用時調製するときは元の金属化合物が前駆体と呼ばれる。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0) (Pd2(dba)3) は、さまざまな Pd(0) 錯体を調製するための前駆体として利用される。

生化学[編集]

生化学における前駆体は、生合成経路を説明する上で用いられる用語である。酵素について、活性型へ至る前の段階のタンパク質を酵素前駆体と呼ぶ。