カクテル

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カクテル(マティーニの一種)

カクテル: cocktail)とは、ベース(基酒)となるに、他の酒またはジュースなどを混ぜて作るアルコール飲料のこと。混酒。(ただし、アルコール分を含まないか、1%未満程度のノンアルコールカクテルもある。)

カクテルを具体的に表現したとき、しばしば「酒+何か」と表現される[1][2][3]。例えば、スタンダードなカクテルとして紹介される「スクリュー・ドライバー」というカクテルは、「ウォッカオレンジ・ジュース」で構成されており、この表現に当てはまる。しかし、「マティーニ」というカクテルは「ジンドライ・ベルモット」、つまり「酒+酒」ということになる。

ここから、カクテルをより正確に定義づけるには「酒+その他の酒 and/or その他の副材料」と考えることができる[1][注 1]

歴史[編集]

Pacific Standard owner preparing Santorum cocktail drink 07.JPG

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原始的なカクテルが作られはじめたのは、古代ローマ古代ギリシャ古代エジプトの時代だったと考えられている。これは、当時のアルコール飲料(ワインビールであった)の質が現代に比べてはるかに劣るものであり、その味を補正するための手段であった。

古代ローマ、古代ギリシャでは、そのまま保存したのでは劣化・酸化してしまうワインに熱を加え、凝縮したうえで副材料(草根木皮や粘土など[7])を混ぜたものを保存していた。それを水で割って飲むことが一般的なワインの飲み方とされており[6][8][注 2]、これは「酒+何か」の定義に当てはまる。

また、古代エジプトではビールにさまざまな副材料を加えたものが飲用されており、これには、カルミ(calmi、蜂蜜を加えたもの)、チズム(zythum、ういきょうサフランなどを加えたもの)、コルマ(korma、生姜蜂蜜を加えたもの)があった。こちらも「酒+何か」の定義に当てはまる。

他にも、原始的なカクテルとしては、で作られていた「ワイン+馬乳」というものがある。

このように、「常温」で飲まれていたカクテルであった[注 3]が、中世の時代になると、寒い冬の時期に「カクテルを温めて飲む」という習慣が生まれていく。その名残として、現代でもフランスヴァン・ショー: vin chaud)、ドイツグリューヴァイン: Gluhwein)、北欧グレッグ: Gløgg: Gløgg)といったものが飲用されている[9]。さらに、中世は蒸留酒錬金術師たちによって作り出された時代でもあり、様々なカクテルが誕生した時代でもある。この時代に生まれたものとして特筆されるのはイギリス陸軍大佐フランシス・ニーガス: Francis Negus)が考案したニーガス: Negusポート・ワイン+湯+砂糖+レモンナツメグブランデー)、インドが発祥といわれる「パンチ・スタイル」(後述)がある[注 4]

近年では、を用いた「コールド・ドリンク」が主流であるが、そうしたカクテルが登場するのはずっと後、19世紀末から20世紀初頭になってからのことである。「氷は近代になるまで貴重品であったから」というのがその理由であった[10]が、1876年にカール・フォン・リンデ製氷機を開発したことによって、一年を通していつでも氷を入手できるようになった。これにより、「マティーニ」や「マンハッタン」といった、新しいジャンルの、現在ではカクテルの代表格とされるレシピが発案されていったのである。

それらの新しいカクテルはアメリカで生まれたものであったが、第一次世界大戦禁酒法により職を失ったバーテンダーヨーロッパへ移っていったことによって、全世界に広がっていくことになったのである。

語源[編集]

「酒+その他の酒 and/or その他の副材料」を指して「カクテル」と呼ぶようになったのは、1700年代[注 5]とも1800年代に入りすぐ[注 6]とも言われている。前者の説を「イギリス説」、後者の説を「アメリカ説」と言う[11]

その語源については諸説あり、例えばバーテンダーの団体間で統一するといったことはなされていない。以下にいくつかの説を示す。

「メキシコ王の娘」説[編集]


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サヴォイ・カクテルブック」で、「カクテルという言葉の起源」として特に紹介されている説[13]

19世紀のはじめ、アメリカ合衆国南部陸軍とアホロートル8世率いるメキシコ軍の間には小競り合いが絶えなかった。しかしある時、休戦協定が結ばれることとなった。
休戦協定交渉にあたり、まず最初に酒が供された。自身が調合したらしき飲み物を満たした杯を持ち、美女がその場に現れたが、その杯がひとつしかなかったことで、その場の雰囲気が不穏なものとなる。杯がひとつだけということは、アメリカ軍の将軍かメキシコ王か、どちらかが先に飲むことを意味しており、後に回された方が「自らを侮辱している」と感じるのではないかという懸念があったからである。
しかし、その美女は不穏な空気を察し、微笑みうやうやしく頭を垂れると、自らその杯の酒を飲み干した。これにより、その場の緊張が解け、交渉は成功に終わる。
協定交渉の最後、将軍が機転の利くその美女についてたずねると、王は自らもその美女に会ったことはなかったにもかかわらず、自慢げに答えた。「あれは自分の娘で、コクテル(Coctel)という。」

サヴォイ・カクテルブックに示された説はこのとおりであるが、他の文献にも類似の説が示されている[14][注 7]。ただし、19世紀はじめのメキシコにはすでに王はおらず、アホロートル8世という名の王も存在していない。

「コーラ・デ・ガジョ(木の名前)」説[編集]


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国際バーテンダー協会が、カクテルの語源として採用している説。

メキシコのユカタン半島にあるカンペチェという港町にイギリス船が入港したときのこと[注 8]、船員達は町の居酒屋に立ち寄り、渇きを癒していた。
当時、イギリス人たちが酒を飲むときには、ほぼストレートでしか飲んでいなかった。しかし、カンペチェでは「ブランデー、もしくはラムに砂糖などをミックスした飲み物(ドラック・drac)」が流行していた。この飲み物は、酒をストレートで飲む習慣しかなかったイギリス人の興味を引くものだった。
ドラックは、厚手のグラスに材料を入れ、スティックやスプーンで攪拌して作られるものであったが、金属製のスティックを使うと不快な臭いがドラックに移ると嫌われていたため、木製のスティックを使うことが多かった。ある店の少年もそうであった。
あるとき、船員は少年に「それはなんだ?」とたずねた。船員は「その飲み物の名(ドラック)」をたずねたのであるが、少年は攪拌に使用したスティックのことをたずねられたと思い、「これはコーラ・デ・ガジョ(cola de gallo スペイン語で「雄鶏の尻尾」の意)です」と答えた。その道具の形が雄鶏の尻尾に似ていたからである。
ともあれ、船員はその飲み物を「コーラ・デ・ガジョ」を英語に訳した「テール・オブ・コック」と言う名で呼ぶようになった。このエピソードはカンペチェに入港する船員たちに広まり、次第に他の地域の酒場でもこの名を使用するようになっていく。そのうちに、「テール・オブ・コック」を1語とした「カクテル」という語句が生まれ、それがミクスト・ドリンク全般を指すようになっていった。

この説を最初に提唱したのはハリー・クラドックである。1936年1月に発行されたイギリスバーテンダー協会(United Kingdom Bartender's Guild、U.K.B.G.)の機関誌「ザ・バーテンダー(The Bartender)」に、「ルーカス・デ・パラシオという人物から聞いた話」として掲載された。後に、イギリスバーテンダー協会が監修したカクテルブック「UKBG インターナショナル・ガイド・トゥ・ドリンクス(U.K.B.G. International Guide to Drinks)」に掲載、1967年に発行された「ザ・バーテンダー」でも再掲されている。

日本でも1967年の「ザ・バーテンダー」再掲を期として、1969年10月に発行された全日本バーテンダー協会(All Nippon Bartenders Association)の機関誌によって、この説が紹介されている。

「四角軒」説[編集]


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「ベッチー・フラナガン(ベッツィー・フラグナンとも、Betsy Flanagan)」説や「雄鶏」説などとも呼ばれているが、いずれにしても「四角軒」という名のバーが舞台であることから、「四角軒」説として記述する。

アメリカ独立戦争の折、ニューヨークの北にイギリスの植民地があった。町の名はエムスフォードといった。戦争で、騎兵隊員であった夫を亡くしたベッチー・フラナガン(ベッツィー・フラグナンとも、Betsy Flanagan)が、この町で「四角軒」というバーを経営していた。彼女は独立派側に与しており、独立軍にオリジナルのミクスト・ドリンク[注 9]を振舞っていた。
あるとき、彼女は反独立派側に属する人間の屋敷に忍び込み、立派な尻尾を持つ雄鶏を盗み出す。盗んだ雄鶏はローストチキンに、その尻尾は酒壷に飾られた。
その夜も、独立軍の兵士達は四角軒で、ローストチキンをつまみに酒を飲んでいた。ある将校がおかわりをしようとし、酒壷に飾られた雄鶏の尻尾に気付く。「ずいぶん立派な雄鶏の尻尾じゃないか。一体どこから手に入れたんだ?」すると彼女はこう答えた。「失敬したのよ。イギリス男の家からね。」
自分たちが口にしていたローストチキンの正体を知った兵士達は、高らかに叫んだ。「Viva cock's tail!(コックテール、万歳!)」
以来四角軒で振舞われるミクスト・ドリンクには「コックテール」の名が与えられ、その名が広まっていった。

その他の説[編集]

「雄鶏の尻尾(コックス・テール)」説
飾りのため、あるいはグラスの中身にアルコールが含まれていることを示すために、羽根をグラスに差す風習があったとされる。この羽根は雄鶏の尻尾(cock tail)からとったもので、そこからカクテルの名がついたとの説がある。
なお、中国語ではカクテルを「鶏尾酒」(繁体字雞尾酒/鷄尾酒簡体字鸡尾酒拼音: jī wěi jiǔ)と呼ぶが、この説とは関係はない。
また、「雄鶏の尻尾」説には以下のような諸説あるが、決定的なものはない。
  • 飲料を攪拌するために雄鶏の尻尾が使われていたことが由来であるとの説
  • 雄鶏の尻尾がカクテルのように七色に変化することが由来であるとの説
  • 闘鶏の盛んだった頃、試合の結果、尻尾に羽を一番多く残した雄鶏を祝福して乾杯した故事が由来であるとの説
  • 闘鶏の際に鶏を興奮させるために使用された火酒「コケール」あるいは「コックズ・エール(cock's ale)」が由来であるとの説
「ニューオリンズの薬屋」説
1775年ごろ、アメリカのニューオリンズに移住してきた薬屋アントワーヌ・アメデス・ペリシコーがブランデーに卵を混ぜたもの(いわゆる卵酒)を売っていたが、これが評判になり、彼はフランス系アメリカ人の間でコクティエ(coquetier、フランス語で鶏肉鶏卵卸商、もしくはエッグスタンド)と呼ばれた。これが後にカクテルとなったという説。「ビターとコニャックをコクティニと呼ばれる器で混ぜて売っていたのが好評で」との異説もある。

カクテルの作成技法[編集]

シェイク、または、シェーク
シェイカー(シェーカー)にと共に材料を入れ、シェイカーを振ることにより材料を混ぜる技法。(ただし、非常に混ざりにくい材料を混合する場合は、氷を入れる前に、予めシェイカーの中でバー・スプーンなどを使ってステアすることで、材料を溶いてしまう場合もある。)この技法は、材料を混合することと冷却することを、主な目的としている。
ステア、または、ステアー
混ざりやすい幾つかの材料を、氷を入れたミキシング・グラスに注ぎ、バー・スプーンなどで手早くかき混ぜる技法。この技法は、材料を混合することと冷却することを目的としている。
なお、撹拌することを指す用語でもある。
ビルド
直接グラスに氷や酒類などの材料を注いで作る技法。なお、この方法で冷たいロングドリンク(ロングカクテル)を作る場合で、氷を使用する時は、予めグラスに氷を入れた上で、その他の材料を入れる。この方法で作った場合、グラスに材料を注いだ後で、しばしばステアが行われる。ただし、ステアする場合でも、ステアの前に炭酸を含む材料を加えた場合、炭酸が二酸化炭素となって逃げてしまい、味が悪くならないように注意する必要がある。
ブレンド
ブレンダー(ミキサー)を使い、材料とクラッシュド・アイスを細かく混ぜる技法。フローズン・スタイルのカクテルはこの技法で作られる。
フロート
比重の違う液体を混ざらないように静かに注ぎ、重ねる技法。
なお、カクテルのスタイルを指す場合は、2種類の液体を使って作ったプース・カフェ・スタイルのカクテルのことを言う。

カクテルの用語[編集]

カクテルで用いられる単位[編集]

1drop(ドロップ)
ごく少量しか用いない場合に使われる単位。1dropは約5分の1ml程度。一滴分。日本語では「1滴」と書く。
1ml(ミリリットル)
1l(リットル)に1000分1を表すm(ミリ)が付いた単位。
1dash(ダッシュ)
約1ml程度の少量用いる際に使われる用語。5、6滴(5、6drop)ほど。日本語では「1振」と書く。
1tsp(ティースプーン)
バー・スプーン1杯分程。小さじ1杯。約5ml程度。日本語では「茶匙1」または「茶匙1杯」と書く。
1cl(センチリットル
1l(リットル)に100分1を表すc(センチ)が付いた単位。10mlのこと。日本ではあまり一般的な単位ではなく、clを使うのであれば、mlの単位を使用するのが普通。
1oz(オンス
約30mlのこと。

カクテルの用具[編集]

カップ、バースプーン、シェーカー
アイス・ペール
氷を入れておく容器。
カクテル・ピン
一部のカクテルで使用される、チェリーオリーブを飾り付ける際に使用するピン。様々な形状や色のカクテル・ピンが存在している。
シェイカー
トップ、ストレーナ、ボディーの3つのパーツからなる、混ざりにくい物を混ぜ合わせ、冷やしにくいものを強制的に冷やすために作られた道具(写真右上)。大抵はステンレス製。またボストンシェイカーというステンレスの容器とガラスの容器の二つのパーツからなるシェイカーも存在する。
ストロー
通常のストローと同じ物。ただし、飲みやすくするために、1つのグラスに2本のストローが使用される。
バー・スプーン
攪拌するために用いる長柄のスプーン。反対側はフォーク状になっており、瓶に入っているマラスキーノ・チェリーなどを取り出すために使われる(写真下方)。
ブレンダー
ミキサーのこと。
ただし、カクテルの用語で「ミキサー」と言うと「割る物」を意味する点に注意。すなわち、水、炭酸水、トニック・ウォーター、ジンジャー・エール、コーラ、オレンジ・ジュース、トマト・ジュースなど、割るために用いる飲料の総称が「ミキサー」である。(よって、グレナディン・シロップ、シュガー・シロップのようなものは、液体ではあっても、甘味を付けるためなどに用いられているのであって、割るために用いているわけではないので、ミキサーに含まれない。)
マドラー
撹拌するために用いる棒。バー・スプーンとは違い、カクテルに添えられることがある。
ミキシング・グラス
シェイカーと同じように、混合と冷却を目的として使用されるグラス。このため、カクテルの中には、このミキシング・グラスで作ってもシェイカーで作っても構わないというものもある。一方で、混ざりにくいものを混合する場合は、基本的にシェイカーしか用いられないなど、一定の住み分けがなされている。
メジャー・カップ
バー・スプーンよりも多い量の液体を、量り取るために使用される金属製の容器(写真左上)。サイズの異なるカップが背中合せの状態となっている。したがって、上側を使用している時は下側を使用できないし、その逆もまた然りだが、この背中合せになっている部分に出来ているくびれを持って使用するため、背中合せの構造にすることが不可欠なのである。

カクテルの分類[編集]

アペリティフ
フランス語で「食前酒」の意味。
コールドドリンク
完成時の温度が低いカクテル。対義語はホットドリンク。なお、常温で飲まれるカクテルの分類名は特にない。
ショートドリンク (ショートカクテル)
短時間で飲み干すのに適したカクテル。対義語はロングドリンク。
ディジェスティフ
フランス語で「食後酒」の意味。
ホットドリンク
完成時の温度が高いカクテル。
ロングドリンク (ロングカクテル)
のんびりと時間をかけて味わうのに適したカクテル。しかし、ゆっくりと飲むのにも限度はある。

カクテルのスタイル[編集]

トム・コリンズ
エッグノッグ、または、エッグ・ノッグ
酒と(鶏)卵とミルクと甘味料を使ったカクテル。シェークで卵を混ぜるのは、やや難易度が高い。フリップとは違い、ミルクも入っている。ホットで作る場合とコールドで作る場合とがある。ブランデー・エッグノッグ、ワイン・エッグノッグなどが、このスタイルのカクテル。
クーラー
蒸留酒に、酸味(レモンやライムの果汁)と甘味料を加え、炭酸飲料炭酸水も含む)で割ったカクテル。ボストン・クーラーモスコー・ミュールなどが、このスタイルのカクテル。
コリンズ
蒸留酒にレモンジュースと砂糖などの甘味料を加え、炭酸水で割ったカクテル。フィズより甘く、量はとても多い。サワーよりも酸味は少ない。トム・コリンズなどが、このスタイルのカクテル。
サワー
蒸留酒にレモンジュースと砂糖などの甘味料を加え、炭酸水で割ったカクテル。場合によっては、炭酸水の代わりにスパークリング・ワインで割ることもある。フィズよりも、コリンズよりも、酸味が強い。なお、アメリカだけは、蒸留酒にレモンジュースと甘味料だけで、炭酸水などでは割らない。また、アメリカ以外でも、炭酸水などで割らないこともある。ブランデー・サワーなどが、このスタイルのカクテル。
ジュレップ
酒にミントの葉(若芽など茎を含む場合もあり)と甘味料を加え、多量の氷で満たしたカクテル。氷は、クラッシュド・アイスを使用する。ミント・ジュレップ、ラム・ジュレップなどが、このスタイルのカクテル。
スリング
蒸留酒にレモンジュースと甘味料を加え、それを、水(冷水か、お湯)や炭酸水やジンジャー・エールなどで割ったカクテル。したがって、ホットで作る場合とコールドで作る場合とがある。シンガポール・スリングなどが、このスタイルのカクテル。
トデー、または、トディー
蒸留酒に甘味料を加え、それを熱湯で割ったカクテル。したがって、ホットドリンクである。ウィスキー・トデーなどが、このスタイルのカクテル。
ハーフ・アンド・ハーフ
2種類の材料を、等量ずつ混ぜて作るカクテル。ブラック・ベルベットなどが、このスタイルのカクテル。
ただし、日本では、スタウト(黒ビール)と黒ビール以外のビール(主にピルスナー)を、半々で混ぜたカクテルのことを、ハーフ・アンド・ハーフと呼ぶこともある。しかし、本来、ハーフ・アンド・ハーフとは、カクテルのスタイルの1種を指す語である。
フィズ
蒸留酒にレモンジュースと砂糖などの甘味料を加え、炭酸水で割ったカクテル。コリンズより甘くなく、量は少ない。サワーよりも酸味は少ない。ジン・フィズなどが、このスタイルのカクテル。
プース・カフェ
2種類以上の比重が違う飲料(蒸留酒、リキュール、シロップなど)を、比重の重い順から、混ざらないようにそっとグラスに注ぎ、グラスの中で層状になっているもの。「プース・カフェ」とはフランス語で「コーヒーを押しやる」という意味で、食後のコーヒーの後や代わりとして飲むカクテルという意味合いがある。
フリップ
酒に(鶏)卵と甘味料を加えたカクテル。ホットで作る場合とコールドで作る場合とがある。エッグノッグとは違い、ミルクが入らない。ラム・フリップ、ワイン・フリップなどが、このスタイルのカクテル。
フローズン
氷と共にミキサー(バー・ブレンダー)にかけてしまうことで、シャーベット状に仕上げたカクテル。氷は通常、クラッシュド・アイスを使用する。フローズン・ダイキリなどが、このスタイルのカクテル。
フロート
比重の違う液体を混ざらないように静かにそそぎ、重ねたカクテル。プース・カフェとは違って、3種類以上の材料は使用しない。(カクテルの作成技法も参照)
リッキー
蒸留酒にライムジュースを加え、炭酸水で割ったカクテル。日本ではレモンジュースを用いることもあるが、ライムを使うのが正式。コリンズ、サワー、フィズと違って、甘味料が入らない。なお、マドラーが添えられ、ライムを潰しながら好みの味にできるようになっていることもある。ジン・リッキー、ウォッカ・リッキーなどが、このスタイルのカクテル。

関連用語[編集]

クラッシュド・アイス
細かく砕いた氷のこと。日本語では「砕氷」と書かれる。
スノースタイル
グラスの縁をレモン汁で濡らし、食塩や砂糖を付着させるデコレーション技法。なお、スノースタイルという呼称は和製英語である。英語では、rimmed with salt または、rimmed with sugar つまり、縁に食塩、縁に砂糖と言う。
チェイサー
口直し用ののこと。特にバーで蒸留酒をストレートで飲む時などは、客が何も言わなくても、もう1つグラスが用意され、チェイサーが出される。
ピール
柑橘類果皮のこと。果皮の油分をカクテルに香り付けするために吹き付ける技法のことも指す。

カクテルに用いられるリキュールなど[編集]

アドヴォカート
アドヴォカート
ブランデーがベースになっており、卵黄バニラが配合されている。オランダ原産。
アマレット・ディザローノ(アマレット・ディ・サロンノ)
アンズの核のエキスに、多数のハーブをブレンドして作ったリキュール。イタリア原産。アーモンドの風味が特徴で、アーモンドリキュールと言われる場合もある。わかりやすく表現すると杏仁豆腐(杏の仁)の香りがする。
カシス(クレーム・ド・カシス
クロスグリを原料の1つとして使用した、甘い深紅のリキュール。ルジェの製品が有名。
ガリアーノ
バニラや薬草を使ったリキュール。
カルーア
焙煎したコーヒー豆を蒸留酒に漬け込んだ甘いリキュール。バニラ風味。
カンパリ
少し苦めのリキュール。製法は秘密とされている。
キュラソー
オレンジの果皮を使用して作られた甘めのリキュール。色により味がやや違う。
グレナデン・シロップ
ザクロのシロップ。甘味付けの目的でも使用されるが、カクテルに赤系統の色を付けるためにも使用される。なお、これは酒ではない。
ココモ
ラム酒ココナッツで作られたリキュール。
シトロン・ジェネヴァ
レモンのリキュール。
シャルトリューズ・ヴェール
フランス、シャルトリューズ修道院に伝わる薬草リキュール。ジョーヌ(黄色)、ヴェール(緑)、エリクシル・ヴェジェタルの三種類が存在する。これらの正確な製法はシャルトリューズ修道院の修道士3人しか知らない。
チェリー・ヒーリング
デンマーク原産のチェリー・ブランデーの製品名。
ディタ
ライチのリキュール。日本では商標登録の都合上「DITA」であるが、日本以外では「SOHO」という名で流通している。
ドランブイ
モルトウィスキーの15年以上の物をベースにヒースの花の蜂蜜や香草を使って作られたリキュール。
パッシモ
ブランデーパッションフルーツなどを用いたリキュール。
ビターズ
苦味のある酒で、元々は薬用酒だったもの。アンゴスチュラ・ビターズオレンジ・ビターズなどがある。
ピムス
イングランド原産の柑橘類のエキスやハーブ等を加えたリキュール。
ブラック・サンブーカ
黒色のリキュール。黒色のカクテルを作る時などに用いられる。
ベルモット
白ワインベースの、多数の香草などを用いて作る混成酒。一般的にイタリアン・ベルモットは甘口で、フレンチ・ベルモットは辛口。なお、甘口のものはスイート・ベルモット、辛口のものはドライ・ベルモットなどとも呼ばれる。
ミドリ
日本産のメロン・リキュール。

カクテルの種類[編集]

カクテルの種類は、書籍などに収録されて名前が知られているものだけでも数百種のオーダーではなく、少なくとも数千種存在する。これだけ多いのは、使用される材料が多岐に渡る上に、わずかにレシピが変わっただけで別なカクテルだと区別されるケースがあるためだ。さらに、オリジナルカクテルと呼ばれる、独自に創作されたものの有名にはなっていないカクテルも数多く存在するため、その総数は誰にも判らない。

なお、個々のカクテルについては、カクテルの一覧50音順)を参照のこと。

関連事項[編集]

カクテル禁止[編集]

1951年に北海道の税務関係の役所が、「酒類に種類の異なる酒類を混和した時は、新たに酒類を製造したものと見なされるため、酒税法の適用を受ける。したがって、もしもカクテルを作るのであれば、カクテル1杯ごとに酒税を支払わなければならず、そうでなければカクテルは禁止である。」として、摘発を行ったことがある。無論、後日、この酒税法の解釈は誤りであったとして取り消されており、カクテルの禁止は解除された[20]

カクテルの街[編集]

近年、日本では「カクテルの街」として町おこしをはかっているところがいくつかある。栃木県宇都宮市北海道旭川市が特に有名で、カクテルの国内大会で優勝経験を持つバーテンダーを中心に、観光協会などがイメージ作りを進めている。他には、神奈川県横浜市(理由は同様)などもカクテルの街を名乗っている。

脚注[編集]

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  1. ^ 「新版バーテンダーズマニュアル(p218)」では、「酒と何らかの材料を混ぜた飲料=ミクスト・ドリンク」と定義し、「酒+something=カクテル=ミクスト・ドリンク」であるという解説を行っている。
  2. ^ そうしない者は酒に耽溺する者、つまり現在におけるアルコール依存症患者として扱われ、非難を受けていたことが参考文献「読むカクテル百科(p48)」や「新版バーテンダーズマニュアル(p221)」によって紹介されている。
  3. ^ 福西英三は、参考文献「読むカクテル百科(p48-49)」の中で、「従来行なわれている「ホット」「コールド」の分類に「常温」を加えるのが妥当」と述べている。
  4. ^ (2007新版 HBAバーテンダーズオフィシャルブック p189、読むカクテル百科 p56)。
  5. ^ 1748年にイギリスで発行された「ザ・スクイア・レシピズ(The Squire Recipes)」という小冊子に、「酒+その他の酒 and/or その他の副材料=カクテル」と記されている(読むカクテル百科 p28)。
  6. ^ 「サヴォイ・カクテルブック(p13)」は、1806年5月に発行されたアメリカの雑誌『ザ・バランス』の文章を引用し、少なくとも1806年には「カクテル」という言葉が「酒+その他の酒 and/or その他の副材料」を指していたとしている。『ザ・バランス』で言及されたカクテルは、ビタード・スリング(苦い飲み物。酒+砂糖や水+ビターズという構成)であった。
  7. ^ 「読むカクテル百科(p31-32)」に示された説では、「乾杯の音頭をどちらがとるかでもたもたしていた将軍と王を、「自らが先んじて杯を掲げ飲み干す」という機転により救った少女「ホキトル(X'ochitl)」の名をその飲料につけた」としている。
  8. ^ 「読むカクテル百科(p35)」では、福西英三の注釈として、18世紀ごろのことだろうとしている。
  9. ^ 「2007新版 HBAバーテンダーズオフィシャルブック(p187)」ではラム・パンチとされている。

出典[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ a b 2007新版 HBAバーテンダーズオフィシャルブック p188
  2. ^ 読むカクテル百科 p17
  3. ^ 新版バーテンダーズマニュアル p218
  4. ^ 2007新版 HBAバーテンダーズオフィシャルブック p189 ~ p190
  5. ^ 読むカクテル百科 p43
  6. ^ a b 新版バーテンダーズマニュアル p221
  7. ^ 読むカクテル百科 p46
  8. ^ 読むカクテル百科 p47-48
  9. ^ 読むカクテル百科 p55
  10. ^ 読むカクテル百科 p52
  11. ^ a b 読むカクテル百科 p28
  12. ^ サヴォイ・カクテルブック p13
  13. ^ サヴォイ・カクテルブック p13-15
  14. ^ 読むカクテル百科 p31-32
  15. ^ 読むカクテル百科 p34-40
  16. ^ 新版バーテンダーズマニュアル p218-219
  17. ^ 読むカクテル百科 p30-31
  18. ^ 新版バーテンダーズマニュアル p219
  19. ^ 2007新版 HBAバーテンダーズオフィシャルブック p186-187
  20. ^ 福西(1996)p136

参考文献[編集]


関連項目[編集]

外部リンク[編集]