発泡酒

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発泡酒(はっぽうしゅ)とは、日本酒税法で定義されている酒類の一つ。日本の酒税法では、ビールと発泡酒は区別されており、例えば定められた副原料以外を用いた場合はビールとは認められずに発泡酒になる。詳細は定義を参照のこと。本項では、日本でビールより低税率となる節税型発泡酒を中心に解説する。

目次

[編集] 定義

酒税法第3条によると、酒類は「雑酒」のほか、「ビール」「リキュール」など17種類に分類され、それぞれ以下の定義が与えられている。

  • ビール
    • 麦芽ホップ及びを原料として発酵させたもの。
    • 麦芽、ホップ、水及び麦その他の政令で定める物品を原料として発酵させたもの。ただし、その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の100分の50を超えないものに限る。
  • 発泡酒
    • 麦芽又は麦を原料の一部とした酒類(同法第3条第7号から第17号までに掲げる酒類及び麦芽又は麦を原料の一部としたアルコール含有物を蒸留したものを原料の一部としたものを除く)で発泡性を有するものをいう。
      • 麦芽比率が、50%以上のもの、50%未満~25%以上のもの、25%以下の3種に税制上区分されている。この項目では25%以下の発泡酒についてとり扱う。
  • リキュール
    • 酒類と糖類その他の物品(酒類を含む)を原料とした酒類でエキス分が2度以上のもの(酒税法第3条第7号から第19号までに掲げる酒類、同法第2条第1項に規定する溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のもの及びその性状がみりんに類似する酒類として政令で定めるものを除く)をいう。
  • その他の醸造酒
    • 穀類、糖類その他の物品を原料として発酵させた酒類(同法第3条第7号から第18号までに掲げる酒類その他政令で定めるものを除く)でアルコール分が20度未満のもの(エキス分が2度以上のものに限る)をいう。
  • 雑酒

[編集] 概要

1990年代中盤以降日本で親しまれている発泡酒は、主に麦芽比率の低いビール(ローモルトビール)の一種、またはビール風アルコール飲料である。 通常のビールに比べると低価格だが、味が薄い、苦みが足りない等の、「ひと味足りない」といった評価が多い。一方、女性やアルコールを嗜まない層ではビールほど重くなくあっさりしていて飲みやすいという評価もされている。

ビールの売り上げが減少傾向にあるのに対し、発泡酒市場は登場以来拡大しアルコール飲料の売れ筋商品でもあったが、2度の酒税改正により、チューハイなどに比べ、割安感があまり感じられなくなってきたのが実情となっている。

2003年頃から登場した、ビールでも発泡酒でもない『第三のビール』と呼ばれる「ビール風味アルコール飲料」がサッポロビール(ドラフトワン)やサントリー(スーパーブルー)から発売されており、発泡酒よりも350ml缶で10円以上も安い。アサヒビールも「新生(しんなま)」(のちに「新生3(しんなまスリー)」に改名)という新商品を2005年4月20日に発売、キリンビールも同年4月6日に「のどごし<生>」を発売することになり、「第三のビール」と呼ばれるアルコール飲料は大手メーカー4社全てが出すことになる。さらに、「第三のビール」の最後発としてサントリーが2005年7月26日に「キレ味<生>」を発売した。

なお、サントリー「スーパーブルー」および「金麦」やアサヒ「極旨(ゴクうま)」、キリン「良質素材」、サッポロ「W-DRY(ダブルドライ)」、オリオン「サザンスター」は発泡酒とスピリッツを原料としているため「リキュール」に分類(このタイプは「第四のビール」とも呼ばれる)。サッポロ「ドラフトワン」および「うまい生」は麦も麦芽も一切使用せず、麦芽の代わりに「エンドウたんぱく」を使用。アサヒ「新生(しんなま)」(現・「新生3(しんなまスリー)」)および「ぐびなま。」は麦と麦芽の代わりに「大豆ペプチド」を使用している。キリン「のどごし<生>」は「大豆たんぱく」を使用。サントリー「キレ味<生>」および「ジョッキ<生>」(オリジナル)は「とうもろこし」を使用している。麦や麦芽を一切使用しない発泡酒は「その他の醸造酒(1)」に分類する。

なお、麦、水、ホップと定められた副原料以外のものを使用したビールも発泡酒に分類される。そのため、スパイスやハーブを用いたビールや、果実や果汁を用いるフルーツビールも「発泡酒」と区分される。

日本独自のジャンルではあるが、海外メディアでは low malt beerhapposhu と紹介されることもある。

発泡酒にて「生」の定義は、ビールの「生」(生ビール)の定義と同様に『熱処理をしていないもの』が該当する[1][2]

[編集] 歴史・背景

日本での発泡酒の誕生には、時代背景による一種の対処法、参入障壁の高いビール製造、高いビールの税率、1989年以来のビールの低価格競争が主な要因としてあげられる。

太平洋戦争中は食糧不足によりビールの原材料となる大麦や米の供給不足にビール製造会社は悩むことになった。このような時代背景もあって大麦の使用量を減らした、もしくは使用しないビール風飲料「合成麦酒」の製造開発を目指し大日本麦酒などを中心に研究が行われた。この原材料は甘藷(サツマイモ)とホップであり、現在でいう「第三のビール」に相当するものであった[3]

戦後、発泡酒に一定量までの麦芽の使用が認められるようになったことや、ビールよりも参入コストと税金が少なく抑えられる利点があった事により、参入障壁の高いビールを避けて発泡酒に参入する企業が現れた[3]。1950年代には数社から、この種の酒が製造・販売されていた。しかし、多くの会社は数年で撤退し、ライナービヤーは既存ビール会社からビールと紛らわしいと不正競争防止法で訴えられ、事実上販売を差し止められた[4]。また、1957年(昭和32年)にビール業界に宝酒造が参入したが苦戦、1967年にビール事業から撤退[5]。これらの要因などから発泡酒で成功を収めるのは難しいと考えられ、発泡酒は酒税法で定義されているものの長期間参入する企業が無い状況が続き、休眠状態のジャンルとなってしまう[3]

1983年アサヒビールが発売した「Be」はビールとジュースを混合した発泡酒で、カクテルの様に色がついていたことや、アルコール度数が2%だったこともあり「ビールタイプのライトカクテル」として発売された。ピンク・グリーン・パープルの3色に染められたネコが白いグランドピアノの前で戯れるCMが当時話題を呼んだ。

1984年にサントリーが発売した「ビーハイ」はその名の通りビールを焼酎(小麦からつくったスピリッツ)で割ったもので、今日でいう「第三のビール:リキュール(発泡性)(1)」のルーツ的な商品であった。

1989年の酒類販売免許が緩和され、大型ディスカウント店でビールを扱うことができるようになった。これによりこれまでの小売店での希望小売価格での購入が減り、大店舗間での低価格競争が起こった。それらの競争は、卸売業者や生産メーカーへの値下げ要望となったのだが、そもそもビールはその小売価格のうち46.5%が税金で占められ、値下げは難しい商品であった。 また、国産ビールの値下げが難しいため、海外の安い輸入ビールを取り扱う店が急増し、大手ビール企業は危機感を募らせていた。

ここでビールを値下げする可能性の一つとして、各社で研究が進められていた(とされる)のが発泡酒である。 当時の酒税法では麦芽の比率が67%(3分の2)以上のものをビール、それ未満は発泡酒とし、ビールと比べると税率が大幅に安く定められていた。

その流れの中で、1994年サントリーが麦芽率を65%におさえた発泡酒「ホップス」を販売し、低価格を実現させた。翌年には サッポロビールが麦芽比率25%未満の「ドラフティー」を発売、さらなる低価格に設定したことで、発泡酒は本格的な競争が開始されることになる。

味はビールに劣ると評されながらも低価格が功を奏し、発泡酒の売り上げは好調だったが、ビールの売り上げが低下したため、政府は1996年秋、酒税を改訂、麦芽率50%以上の発泡酒の税率をビールと同じとした。発泡酒をねらい打ちにした改訂で、商品開発を行う企業努力を無視した行為だと大手ビールメーカーは反発した。

サントリーは秋の酒税法変更に対し、麦芽使用率を25%未満にした「スーパーホップス」を同年5月から市場に投入している。

1998年には、キリンビールの発泡酒初参入となる「麒麟淡麗〈生〉」を発売、同年の発泡酒市場のシェア50%を占める大ヒット商品となり、同時に発泡酒市場は大きく拡大した。

2001年アサヒビールが発泡酒市場初参入となる「本生」(現本生ドラフト)を発売。アサヒビールはこれまで、「ビールのまがいものである発泡酒は発売しない」としてきたが、「発泡酒カテゴリーが成立したから」と説明している。

2003年、酒税法がさらに改正され発泡酒は10円の値上げとなる。この改正が要因となり、さらなる安い税率のアルコール飲料の研究から第3のビールが開発される事となる。その第3のビールも2006年に税率を上げられている。

2008年12月に、第3のビールに出荷量で抜かれる見通しが報じられている[1]

[編集] 税率

2006年5月1日以降のもの。金額は1リットルあたり。

  • 発泡酒
    • 麦芽比率50%以上 - 222円
    • 50%未満 25%以上 - 178.125円
    • 25%未満 - 134.25円

(参考:ビール - 222円)

[編集] 主要銘柄

2009年(平成21年)10月1日現在(発売予定を含む)。

メーカー 商品名 原料 アルコール分 備考
キリンビール 麒麟淡麗〈生〉[6] 麦芽、ホップ、大麦、米、コーン、スターチ、糖類 5.5%
淡麗グリーンラベル[7] 麦芽、ホップ、大麦、糖類 4.5%
淡麗W[8] 麦芽、ホップ、大麦、米、コーン、スターチ、糖類、赤ワインエキス、香料、カラメル色素 5.5% 旧・淡麗アルファ
麒麟ZERO[9] 麦芽、ホップ、糖類、大豆たんぱく、酵母エキス 3%
円熟[10] 麦芽(大麦麦芽、小麦麦芽)、ホップ、大麦、小麦、米、コーン、スターチ、糖類 6%
白麒麟[11] 麦芽、ホップ、大麦、米、コーン、スターチ、糖類 5.5% 冬季限定
アサヒビール アサヒ本生ドラフト[12] 麦芽、ホップ、大麦、大麦エキス、米、コーン、スターチ、糖類 5.5%
アサヒ本生アクアブルー[13] 麦芽、ホップ、大麦、大麦エキス、スターチ、糖類、酵母エキス、海藻エキス 5%
アサヒスタイルフリー[14] 麦芽、ホップ、糖類、カラメル色素、酵母エキス、大豆ペプチド 4%
アサヒクールドラフト[15] 麦芽、ホップ、大麦、コーン、スターチ、糖類 5.5%
アサヒジンジャードラフト[16] 麦芽、ホップ、大麦、大麦エキス、米、コーン、スターチ、糖類、ジンジャーエキス、香料 5.5%
サッポロビール  サッポロ北海道生搾りみがき麦[17] 麦芽、ホップ、大麦、糖類 5.5%
サッポロ 道産素材[18] 麦芽、ホップ、大麦、糖類 5%
サッポロ ショコラブルワリー<ビター>[19] 麦芽、ホップ、糖類、カカオニブ、香料 5% 2010年1月13日、数量限定発売。
サントリー MDゴールデンドライ[20] 麦芽、ホップ、大麦、糖類 6%
ダイエット<生>クリアテイスト[20] 麦芽、ホップ、大麦、糖類、酸味料、クエン酸K、甘味料(アセスルファムK、スクラロース)、苦味料 3.5%
旨味たっぷり 秋生[20] 麦芽、ホップ、大麦、糖類 6.5%
オリオンビール オリオン南国物語[21] 麦芽、ホップ、大麦、スターチ、糖類、大豆ペプチド 5.5%
麦職人[22] 麦芽、ホップ、大麦、米、コーン、スターチ、糖類 5.5%
オリオンスペシャル[23] 麦芽、ホップ、大麦、米、コーン、スターチ、糖類 5.5%

[編集] 脚注

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  1. ^ エキサイトニュース2006年6月7日掲載 そもそも生ビールの「生」って何?より
  2. ^ 日本商標協会 > 判決研究部会 > 商標法第3条第2項についての判断 「本生事件」 (PDF)報告資料 2007年7月18日より
  3. ^ a b c 神奈川における酒造の歴史「戦後の神奈川の酒造」発泡酒より
  4. ^ 特許ニュース 昭和40年6月分目次(IP&Sニューズ)より
  5. ^ ニッポンスタイル 第14回 黄金色に賭けた夢 ~「タカラビール」~より
  6. ^ 麒麟淡麗〈生〉、キリンビール。
  7. ^ 淡麗グリーンラベル、キリンビール。
  8. ^ 淡麗W、キリンビール。
  9. ^ 麒麟ZERO、キリンビール。
  10. ^ 円熟、キリンビール。
  11. ^ 白麒麟、キリンビール。
  12. ^ アサヒ本生ドラフト、アサヒビール。
  13. ^ アサヒ本生アクアブルー、アサヒビール。
  14. ^ アサヒスタイルフリー、アサヒビール。
  15. ^ アサヒクールドラフト、アサヒビール。
  16. ^ アサヒジンジャードラフト、アサヒビール。
  17. ^ サッポロ北海道生搾りみがき麦、サッポロビール。
  18. ^ サッポロ 道産素材、サッポロビール。
  19. ^ サッポロ ショコラブルワリー<ビター>、サッポロビール。
  20. ^ a b c 栄養成分一覧、サントリー。
  21. ^ おいしさにこだわる糖質オフ「オリオン南国物語」新発売、オリオンビール。
  22. ^ 麦職人、オリオンビール。
  23. ^ オリオンスペシャル、オリオンビール。

[編集] 外部リンク

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