ネコ

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?ネコ
イエネコ
イエネコ
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
亜綱 : 獣亜綱 Theria
下綱 : 真獣下綱 Eutheria
(階級なし)
北方真獣類 Boreoeutheria
上目 : ローラシア獣上目 Laurasiatheria
(階級なし)
ペガサス野獣類 Pegasoferae
(階級なし)
友獣類 Zooamata
(階級なし)
野獣類 Ferae
(階級なし)
食肉形類 Carnivoramorpha
: ネコ目(食肉目) Carnivora
亜目 : ネコ亜目 Feliformia
: ネコ科 Felidae
: ネコ属 Felis
: ヤマネコ種 F. silvestris
亜種 : イエネコ亜種 F. s. catus
または F. s. domesticus
学名
Felis silvestris catus
(Linnaeus, 1758)
シノニム
Felis silvestris domesticus
Felis catus domestica
和名
イエネコ
英名
Cat, Domestic cat
イエネコ。ヤマネコの亜種のひとつリビアヤマネコが家畜化されたもの

ネコ学名Felis silvestris catus)は、世界中で広く飼われているネコ目(食肉目)の小型動物である。元来、ネズミを捕獲させる目的で飼われ始めた(狭義の)ヤマネコFelis silvestris)の家畜化されたものといわれ、分類学上はヤマネコの1亜種とされる。人によくなつくため、多くが愛玩用のペットとして飼育されている。本項ではこれについて解説する。

また「ネコ」は、ネコ類(ネコ科動物)の一部、あるいはその全ての獣を指す包括的名称でもある。しばしば、家畜種の「イエネコ」に加えて広義のヤマネコ類を含み、特に学術用語としては、英語の「cat」と同様、トラライオンなどといった大型種を含む全てのネコ科動物を指すことがある。

目次

[編集] 起源

イエネコの原種とされるリビアヤマネコ
家畜化以前の特徴を維持している。
南アフリカ共和国ハウテン州ヨハネスブルグ動物園

イエネコは、形態学的分析を主とする伝統的な生物学的知見によって、以前からリビアヤマネコFelis silvestris lybicaが原種とされてきた。 また、20世紀後半から発展した分子系統学等による新たな知見も、従来説を裏付ける形となった。 米英独等の国際チームによる2007年6月29日の『サイエンス』誌(電子版)への発表では、世界のイエネコ計979匹をサンプルとしたミトコンドリアDNAの解析結果により、イエネコの祖先は約13万1000年前に中東の砂漠などに生息していたリビアヤマネコであることが判明した[1]

愛玩用家畜として同じく一般的なイヌCanis lupus familiaris)に比して、ネコは飼育開始の時期が遅いが、これは家畜化の経緯の相違による。イヌは狩猟採集民に必要とされたため、早い時期から人の社会に組み込まれ、狩りの伴侶、外敵への備え、幼子の保護者となった。しかしネコは、農耕の開始に伴い鼠害(ネズミの害)が深刻にならない限り有用性が無く、むしろ狩猟者にとっては競合者ですらあった。その競合的捕食動物が人のパートナーとなり得たのは、穀物という「一定期間の保管を要する食害を受けやすい財産」を人類が保有するようになり、財産の番人としてのネコの役割が登場した事による。また、伝染病を媒介する鼠を駆除する事は、結果的に疫病の予防にもなった。さらに、記録媒体としてなど食害されやすい材料が現れると、これを守る事も期待された。日本へは、仏典の番人役として渡来した。

農耕が開始され集落が出現した時期、中近東周辺で、山野でネズミノウサギを追っていたネコがネズミが数多く集まる穀物の貯蔵場所に現れ、中には棲みつくものもいたのが始まりと考えられている(リビアヤマネコの生息地と農耕文化圏が重なった地域で、複数回起こっていたと考えられる。時期は特定されていない。「#猫と人間の歴史」節も参照)。 穀物には手を出さず、それを食害する害獣のみを捕食する事から、双方の利益が一致。穀物を守るネコは益獣として大切にされるようになり、やがて餌付けから家畜化に繋がった。

初めて人に飼われたネコから現在のイエネコに直接血統が連続しているかは不明確。最古の飼育の例は、キプロス島の約9500年前の遺跡から見出される。 また、今日のイエネコの直接的・系統的起源は詳らかではないが、紀元前3000年ごろ古代エジプトで固定化されたものと言われている。

[編集] 身体的特徴

[編集] 概要

ネコ(オス)の体の構造
赤=主に呼吸器系 緑=主に消化器系 金色=神経系とその他

体の大きさは現生するネコ科の他のほとんどの動物に比べて小さく、体重は2.5 - 7.5kgの範囲に収まるものが多いものの、大型のものでは、体長(頭胴長)75cm(比較資料:「長さの比較」)、尾長40cm、肩高35cmに達する。

樹上生の傾向が強く、また、不意打ちによって捕らえるという、身体能力に大きく依存した狩りを行う待ち伏せ型捕食者の典型であるネコは、それらのためのさまざまな能力に長けており、身体的特徴として見ることができる。非常に優れた平衡感覚に、柔軟性と瞬発力のきわめて高い体の構造、鋭い鉤爪(かぎ-づめ)やなどがそれであり、足音が非常に小さく、体臭が少ないことも挙げられる。 また、爪を自由に出し入れできることはその鋭さを常に保持できることを意味し、ほとんどのネコ科動物に共通する特徴である。距離的・時間的に長く追うことで疲弊させる、あるいは、組織的な罠によって追い詰める狩りを行う追跡型捕食者であるイヌ科動物にそれができないのとは対照的である。

吻部(眼窩下部から口先もしくは鼻先までの部位)が突出していない丸い頭部を持ち、正対視するのに有利な前面に眼窩(がん-か)が開いている。このことはネコとヒトに共通の身体的特徴であり、眼による感情表現が豊かであることもそこから生み出される共通の特徴である。そして、この共通性ゆえにヒトはネコに対して本能的な親近感を抱くのではないかと考える向きもある。その通りであるとするなら、ネコもヒトに対して同じ感覚を抱いている可能性を考えられるが、これは確かめようが無い。あるいはまた、知能の差もこれに大いに関わるなら、ヒトのみが強く感じているということもあり得る。

他のネコ科動物にも見られる「ゴロゴロ(purr)」と(のど)を振動させて鳴らす音が、どのようなメカニズムによるものなのかは複数の説があり、いまだにはっきりとは分かっていない。「ゴロゴロ」という音は、親子間のコミュニケーションにも用いられるが、骨折などのの損傷が治癒するのを早める効果があるという説もある。ヒトの場合も、超音波を用いた骨折の治療法が研究されており、それと同じものと考えられている。後述の「#喉鳴らし」も参照。

[編集] 体の柔軟性

ネコの体は非常に柔軟であり、頭の周り以外は体のほぼすべての場所を自分で舐めることができる。関節が緩やかで、筋肉靭帯も柔らかいためである。特に肩の関節は可動性が高く、鎖骨は小さく退化しており、代わりに筋肉でつながっている。高い所から着地した場合の衝撃を吸収することに役立っている。

[編集] 瞬発力

瞬発力が高く、跳躍力にも長けている。跳躍力は、おおむね体高の5倍程度(約1.5m程度)の所に飛び上がることができる。持久力には欠けており、長時間追いかけるような狩りは行わない。走るスピードはおおよそ時速60km程度と言われ、瞬間的に最高速に達する代わりに長くは続かない。

[編集] 運動能力

待ち伏せ型の肉食獣である猫は俊敏な運動能力をもっている。 やって来た獲物をひと息に捕らえる瞬発力を持つ為、 一般的な人間の運動能力では逃げ回る猫を捕まえることは不可能である。

にもかかわらず猫が自動車に轢かれることは多いが、それは運動能力の問題ではなく、想像を超える大きさの物体(自動車)に突然遭遇してしまったとき、判断力を失ってその場で体の動きを止めてしまうからであるとされる (異説あり、#眼を参照のこと)。

また、猫を逆さにして高い所から落としても、着地まである程度の距離さえあれば、上手に体をひねり、足から降り立つことができる。 平衡感覚をつかさどる三半規管の能力とは別に、猫には小脳の視覚による優れた水平線検出能力が備わっており、これによって、どんなに振り回されて三半規管が失調した状態でも、空中で正しく上下を判断することができる。 むろん動物愛護の観点からも、むやみに猫を投げ上げるなどして能力を試すようなことはすべきでない。

[編集] 被毛

被毛は品種により、さまざまな毛色や毛質のパターンを持つ。同品種でも多様な色彩や模様を持つ珍しい動物である。毛色や毛質の決定には遺伝子の働きに因るところが大きいことが分かっているが、遺伝子がどのように活性化、不活性化するかなど、不明な点も多い。毛色は子宮内の状態にも影響を受けるとも言われる。例えば、世界初のクローンネコ「CC」の毛色は、遺伝子が全く同じにもかかわらず、クローン親のものと異なっていることが知られている。

毛色を司る遺伝子は、すでにいくつか解明されており、色を薄めるダイリュート遺伝子や、被毛に縞模様を描くタビー遺伝子などの存在が知られている。品種によっては、突然変異体の遺伝子や、伴性遺伝子の存在もあることから、生まれてくる子猫の毛色・毛質等をおおよそ判定することは可能であるが、不明な部分も多い。

以下に、現在解明されている主要な遺伝子を例示する。

優性
遺伝子
役割 対立(劣性)
遺伝子
役割
A アグーティ a ノン・アグーティ(単色)
B b 茶色(チョコレート)
bl 薄茶(シナモン)
C 単色(濃淡なし) cb セピア(バーミーズ)
cs ポインテッド(シャム模様)
D 濃暗色 d 淡明色(ダイリュート)
I 抑圧(銀化) i 基底に及ぶ色素沈着
L 短毛 l 長毛
O オレンジ(または伴性遺伝の赤) o 黒味を帯びた非赤色
S 白の斑 s ソリッドカラー(体全体)
T 縞(マッカレルタビー) ta アビシニアン(ティックドタビー)
tb ブロッチド(クラシックタビー)
W 体全体が白 w 白以外

これらの遺伝子の組み合わせによって、複雑な模様を形作る。これら以外にも毛色を決定する遺伝子もあり、解明されていない遺伝子も多数存在する。

O遺伝子及び対立遺伝子o遺伝子はX染色体上にあることが分かっており、このため両方の遺伝子を持つネコは通常メスであり、オスでは染色体異常(X染色体過剰、ヒトでいうクラインフェルター症候群相当)またはモザイク染色体のネコだけである。両方の遺伝子を持つネコはトーティシェル(いわゆるサビネコ)あるいはトーティ・アンド・ホワイト(いわゆる三毛猫)と呼ばれるが、これらのネコにオスネコが珍しいのは、染色体異常のネコが珍しいためである。

ノン・アグーティ遺伝子はタビー遺伝子よりも上位であるため、ノン・アグーティを2つ(aa)持つネコ(黒猫など)には通常、縞模様は見られない。タビー遺伝子を持つネコには、子猫のときなどにうっすらと縞模様が現れることがあり、ゴースト・マーキングと言われる。

cs遺伝子(サイアミーズ)は独特の遺伝子で、本来は色素の出現を抑える役割を持つが、温度が低いとその働きが抑制される。そのため、これを持つネコは温度の低い体の末端部(鼻、耳、足先など)のみに色素が出現し、シャムネコのようなポイント模様が現れる。温度が低い環境でも色素が出現し、色が濃くなる。

ホワイトの遺伝子(W)はすべての色に対して優性であるため、これを持つネコは他の遺伝子にかかわらず、白ネコになる。

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ネコの眼。顔の大きさの割りに大きい。

顔の大きさの割りに、かなり大きなを持っている。他の動物における子供の眼の大きさの比率に近く、これがネコを「可愛い」と思わせる一因にもなっている。視覚については、特に対象の動きを捉えることを得意とする。動かないものやゆっくりとした動きのものを捉えるのはあまり得意でない。明視距離はおよそ2 - 6mといわれ、これより距離が短いものや、長いものはあまりよく見えないと言われる。20m以内のものであれば、じっと見ることによって距離感をかなり正確に測ることができる。

瞳孔は、人間と違い、縦に細長くなっている。瞬時に瞳孔の大きさを変えることに有利と見られている。野生状態で(くさむら)のような縦長の視界で視覚を働かせるのに有利ともされる。瞳孔は調整の範囲が広く、明るい所では細長く、暗い所では目一杯開いて光の入る量を多くする。暗い所での視力は良い。時計が一般的でなかった時代、猫の眼の瞳孔の広さは時間帯によって変わるため、忍者が概略の現在時刻を知るのに活用したともいわれている。時間が真昼に近づけば近づくほど瞳孔の広さは狭くなり、逆に真夜中に近づくほど広くなる。

他の多くの夜行性動物と同様、ネコの眼には輝板(タペタム)と呼ばれる層が網膜の下に具わっている。この層が光を反射するため、入射光と反射光の両方の光が網膜を通過することになり、わずかな光でも物を見ることができる。この反射光のため、暗所で観察者側から照明を当てたとき眼が光って見えることがある。この現象はシカなどの野生動物でも同様であり、ライトで照らして光って見えた眼の数で個体数を割り出す「ライトセンサス」にも利用されている。なお、「ネコの眼が光を増幅する原理は暗視鏡(ナイトビジョン)に活用されている」と言われることがあるが、実際の暗視装置ではマイクロチャンネルプレートで電気的に増幅している。については、光の三原色のうちを認識できるが、は認識できないと言われている。

ネコが自動車に轢かれる事故が夜間に多いのは、車のライトを見てしまってショックで動きが止まるせいとも言われている(異説→「#運動能力」)。夜でもよく見えるネコの眼は非常に敏感で、ライトなどの強烈な光に弱く、真っ暗闇で突然フラッシュ撮影をしたりすると失明の危険がある。

[編集] 眼の色

オッドアイ。この個体では、左眼が暗色、右眼が青になっている。

虹彩が大きな割合を占めており、人間でいう「白目」(球結膜)は通常見られない。ネコの眼の色、といった場合、虹彩の色を指す。眼の色は、色の濃淡などの違いがあるものの、おおむね以下の4種類に分けられる。

  • カッパー(銅)
  • ヘーゼル(薄茶)

青い眼は白猫シャム系のネコ(ポイントのあるネコ)に多く、白猫の場合は高い割合で聴覚障害を持っている。白猫の場合はオッドアイと言われる、左右の眼の色が違う場合も多い。この場合、青い眼の側の耳に聴覚障害を抱えると言われる。シャム系のネコの場合、立体視力に問題がある場合があるが、品種改良の結果、このようなネコは多くない。

これらの眼の色の違いは、虹彩におけるメラニン色素の量で決まり、色素が多い順にカッパー、ヘーゼル、緑、青となる。人間など他の哺乳類の眼でも同様である。色素の量の違いは、元々生息していた地域の日光量の違いに由来すると言われる(日光量が多い地域では色素が多くなる)が、交雑の結果、現在では地域による違いはほとんど無くなっている。シャムネコの青い眼は北アジア由来と言われ、熱帯タイ原産のシャムネコであるが、先祖の眼の色に由来するらしい。

生まれて間もない子猫の場合、虹彩に色素が沈着していない場合が多く、青目に見えることが多い。これを「キトゥン・ブルー」(Kitten Blue、「子猫の青」の意)と言う。生後7週間くらいから虹彩に色素がつき始め、徐々に本来の眼の色になっていく。

ネコの鼻

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は、他の動物に比べてそれほど優れているわけでもないが、ヒトと比べれば数万から数十万倍と言われる嗅覚を持つ。体のバランスに比べて小さくできているが、鼻腔内部は凸凹に富み、大きな表面積を生み出しているため、小さな鼻の外観だけからは予想できない優れた嗅覚がある。 また、ネコの鼻は個体によって異なる紋様を持っている。これは「鼻紋」と呼ばれ、人でいうところの指紋と同じものであり、個体の識別の際に用いられる。

[編集] 鼻の使い方

イヌと違って嗅覚を狩りに利用することはほとんどない。イヌとネコの狩りの仕方の違いによる。ネコは、嗅覚を「これは食べられるものかどうか」ということと、縄張りの確認に主に使うと言われる。ネコは頬腺などから出る分泌物尿などによって自分の臭いを付け、そこを縄張りとする。そのほかにも、仲間同士のコミュニケーションのために臭い付けをし、飼い主やほかのネコに対して行われる。例えば、ネコが飼い主の足に顔をすり寄せるのは、頬腺などから出る分泌物を付け、「自分の物」というマーキングをしているわけである。

[編集] フレーメン反応

フェロモンを感じる器官が口内の上顎にあり、ヤコブソン器官(鋤鼻〈じょび〉器官)と言う。フェロモンを感じると口を半開きにし、目を半分閉じて笑っているような表情をする。これをフレーメン反応といい、フェロモンを分析している行動である。これにより、主に相手のネコがどういう状態にあるかを分析する。

マタタビの果実やイヌハッカの匂いを嗅ぐと、ネコは恍惚として身悶えるような反応を示す。これは匂いに含まれるマタタビラクトンネペタラクトンなどの物質にヤコブソン器官が反応し、ネコに陶酔感をもたらすためと言われている。これは、ネコ科全般の動物に起こる反応である。

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ネコの五感で最も優れているのは聴覚である。可聴周波数は60Hz - 65kHzとされ(10MHzという説もある)、イヌの40Hz - 47kHz、ヒトの20Hz - 20kHz に比べて高音域に強い。これはネズミなどが発する高音に反応するためと言われている。尖ったアンテナのようなは片方ずつ別々に動かすことができ、異なる方向の音を聞き分けることができる。そのため、指向性が強く、音源の場所をかなり正確に特定することができる。音の聞き分けの能力も高く、例えば飼い主が帰ってきた足音を判別することは簡単にできる。これらの能力は、夜間に待ち伏せ型の狩りをするために発達したものと言われる。

[編集]

は薄く締まっており、表の面には多数の状突起があってザラザラしているが、これは骨に付いた肉をしゃぶりとるのに適応したものである。この突起は毛繕いや水を飲む際に役立つ。この特質と形状を模してパソコンのポインティング・スティックには猫の舌状のものが製品化されている。

熱い食べ物が苦手な人を「猫舌」と俗称するが、ネコのみが特に熱いものを嫌うというわけではない。野生動物は全般的に加熱調理した食物を食べることがほとんど無いので、熱いものに慣れていないためである。山火事などの後に屍肉を漁るくらいしか、熱を持った食物を口にする機会は無い。

家の中や自分の縄張りなどでリラックスしているネコは、しばしば舌をしまい忘れることがある。舌を指で触れるとネコはしまい忘れていることに気づくが、たいていの場合はからからに乾いているので、思うようにしまうことができない。そのような場合には水を与えてやるとよい。

ネコ科の動物に共通する特徴であるが、味蕾が他の哺乳類とは異なっており、甘味を認識することができない。その一方でアミノ酸に対する反応は強く、特に苦味を認識する味蕾は多くある。これはアミノ酸が腐敗したときの苦味を強く感じることによって、腐肉を食べることを避ける役割を担っていると考えられている。ネコの食物に対する嗜好は、これらの味蕾の構成の違いが要因の一つと考えられている。

ひげ(洞毛)
襟首は痛みが伝わりにくくなっている。

[編集] ひげ

哺乳類のひげ(ひげ)は、正確には「洞毛」と呼ぶ。ネコのひげは毛根部分に感覚神経血管が密に分布しており、非常に鋭敏で、先端に何かが少し触れても感じ取れる。口の周りだけでなく、眼の上、の横にもあり、それらの先端を結ぶと顔を一周する大きなになり、これで狭い通路を通り抜け得るか否かを判断できるので、獲物の追跡、敵からの逃走に重要な役割を果たす(ただし、一部に否定説あり)。顔以外では、前脚の関節付近の裏側にも生えている。長さは若いほど長く、歳をとったものほど短い。ひげは生え変わるが、無理矢理抜くと酷い場合はストレスで死んでしまうこともある。

[編集] 襟首

首(えり-くび)と呼ばれる頸(首)の後ろの皮膜は痛点が鈍化しており、親猫が子猫を運ぶときここをくわえる。この特徴は成猫になっても残るため、成猫でもヒトがここをつかんで持ち上げることができる。持ち上げなくとも襟頸を掴むだけでおとなしくなる傾向があるため、気性の荒い猫や野良猫を扱う際に有効である。

母猫が子猫の襟首をくわえて持ち運ぶことがあるが、これはくわえても子猫に悪影響のない場所を母猫は本能的に知っているからできることであり、人間はその場所を知らないため、むやみに襟首を掴んで持ち上げると猫の頸を絞めてしまうことになりかねない。また、筋肉に悪い影響を与えるという説もあるので、襟首だけ掴んで成猫を持ち上げることは避けるほうがよい。

[編集]

尾はおおむねその胴体ほどの長さであるが、ジャパニーズボブテイルなどのように極端に短いものや、マンクスのように尾が無い個体もある。尾の役割は、感情を表すほか、走行時や跳躍・着地の際に体のバランスを取る役割がある。イエネコについては尾が無くても行動にほとんど支障は無いと考えられている。

従来の日本産のネコは、世界に現存するほとんどの猫に比べ、ジャパニーズボブテイルのように尾は半分以下も無いことが普通だったが、戦後(太平洋戦争終了後)以来日本在来のネコに海外のネコの血統が混入し続けた結果、一部地域を除くほとんどの場所で尾の長い個体が大半を占めるようになっている。

脊髄と直結しているため、非常に痛覚が強い。切断されると四肢を切断されるよりも痛がるほどである。よって、尾を持って引っ張ったりすると温厚な個体でも抵抗することがある。

尾の付け根の部分には性感帯があるという噂があるが、今のところ不明である。

[編集] 尾による感情の表現

尾によって表す感情は以下のようなものである。

立てている
比較的機嫌の良いとき。歩くときは立てていることが多い。個体によっては立てながらくねくねと動かしている場合もある。
横に振っている
不快なとき。イヌから類推して「喜んでいる」とするのは誤解である。飼い主に呼ばれると数回振って応えることもある。また、狩りや遊びなどで興奮しているときも横に振ることがある。
後肢の間に巻き込んでいる
おびえているとき。通常、耳を後ろに伏せていることを伴う。
大きく膨らませている
威嚇しているとき、または、驚いたとき。威嚇しているときは全身の毛を逆立てることを伴う。
他のネコや、人間に巻きつける
相手に親愛の情を持っている。

[編集]

ネコの指の数は、通常前足が5本、後ろ足が4本であるが、多指症という奇形が頻繁に見られ、後ろ足に5本、あるいは前足に6本というようなネコも少なくない。前足、後ろ足に各7本、合計28本の指を持つネコがギネスブックに記載されている。

[編集] 肛門嚢

不意打ちを食らうと、肛門嚢から臭いにおいを発することがある。

[編集] 鳴き声

日本ではネコの鳴き声は「ニャー」、「ミャー」などの擬音語を用いるのが一般的。アメリカでは「meow」、イギリスでは「miaow」、ドイツでは「miau」、フランスでは「miaou」、中国では「miāo(wikt:en:喵)」と表す。

「ニャー」とは異なるものとしては、以下のようなものがある。

  • 警戒時の唸り声。「フーッ」「ハーッ」「シャーッ」など
  • 発情期における、赤ちゃんのような独特の声。「オアーン」「オギャー」「アーウ」など
  • 鳥が目の前に来たとき、CDや鏡等の反射光に反応したとき、思うように獲物を捕れないなどストレスを感じたときに発する、「クラッキング」と呼ばれる声。まだ十分に解明されていない。「クケケケケ」「カカカカカ」など

カモメの鳴き声はしばしばネコのそれに喩えられ、英語では「mew」というネコの鳴き声を表す単語は「カモメ」という意味も持つ。日本語でもカモメの一種にウミネコ(海猫)と名付けられた鳥がいる。

 ネコの鳴き声ヘルプファイル

[編集] 喉鳴らし

ネコやネコ科の動物は喉をゴロゴロと鳴らすことで知られており、一般的には飼い主や懐いた人に愛撫されるなどリラックスしている時が知られるが、体調が悪い時や出産時(陣痛中)、死ぬ直前にも喉を鳴らすと言う。これらの行動の意味は未だにはっきり解明されていないが、普段から低周波の音を発生させることで骨格を丈夫にする、苦しいときに痛みを緩和し呼吸を楽にしている、などの説が存在する[2]

[編集] 繁殖

種類および地域により差はあるが、だいたい春季ならびに夏季前期において発情、交尾を行うようである。 よく知られているように、オスはその際、「さかり声」と呼ばれるけたたましい鳴き声を挙げる(挙げない種類もいる)。 この習性は、その声を騒音と感じて迷惑に思う人間も多く、飼い主との間で問題に発展することもある。

[編集] 発情

[編集] メスの発情

個体差もあるが、おおむね生後6ヶ月から12ヶ月で性的に成熟し、その後、定期的に発情する。発情の周期についてはいくつかの説がある。

  • 周期はおおむね3ヶ月。完全室内飼育の場合など、周辺の環境によっては周期が早まることがある。
  • 冬から春の始まりごろと、春の終わりごろから夏の終わりごろの2シーズン。一つのシーズンの間に数回発情する。
  • 1 - 2月ごろ、5 - 6月ごろ、8 - 9月ごろに発情する。

発情期間は3 - 6日程度であるが、その間に交尾が行われない場合、10日ほどになることもある。

発情すると、地面や柱、時には人間の膝等に体をこすり付けるなど行動に変化が現れ、ときには意地でも外に出ようと暴れることもある。

[編集] オスの発情

メスよりやや2、3ヶ月程度遅れて成熟するが、これも個体差が大きい。定期的な発情期はなく、メスの発情に誘発されて発情する。

発情すると、スプレー(尿マーキング)と呼ばれる特徴的な行動を行うようになる。オス同士の喧嘩も多くなる。また、まれにメスでもスプレーをすることがある。

[編集] 交尾

交尾は両性の合意によって行われ、メスがオスを気に入らなければ、オスが無理に交尾をすることはないとされている[要出典]。通常、交尾はオスがメスの背中に乗り、オスがメスの首筋を噛んでメスが逃げないようにして行う。ネコの交尾は相手が1匹に限定されるものではなく、機会があればオス・メスともに複数の異性と行う。よって、同時に生まれた子猫の父猫が別のネコであることはよくあることである。ネコは交尾の刺激によって排卵が行われるため、妊娠率は比較的高い。オスの陰茎には棘(とげ)状の突起があることが知られているが、これは刺激によって排卵を誘発するため、と考えられている。去勢したオスでは、この突起が消滅する。

[編集] 妊娠・出産

授乳中のネコ

メスネコは、おおむね2 - 6匹程度の子を妊娠する。妊娠期間は60日程度である。

出産は一般的に軽く、人や獣医師が手を貸す必要のないケースがほとんどである。子猫は出産直後は羊水で濡れているが、母猫が舐めて乾かし、数時間でふわっとした毛並みになる。母猫は出産当日は授乳に専念し、食事はあまり摂らないようである。代わりに後産で出た胎盤を栄養分として食べることが多い。

メスネコは年3 - 4回の出産が可能であり、年2回の出産は珍しくない。授乳期間中であっても交尾・妊娠する。

[編集] 習性

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[編集] 睡眠

家ネコの睡眠時間は人間に比べて長い。それは、ネコの語源が「寝子」であるという説があることからも分かる。一般的に、ネコは一日の大半を寝て過ごすと言われている。ネコの飼い方の本(獣医師による解説)などでは、一般に「14時間程度」とか「16時間程度」と解説されていることが多い。また「長いネコでは20時間程度眠る」といった解説も多い[3]。外からの訪問者が少ない住宅で、家族や近隣にかわいがられ、餌が十分に与えられている安心できる環境だと、ネコは長いものでは1日あたり20時間ほどひたすら眠り続ける。ペットとして飼われているネコは餌を探しにいく必要がなく、安全な寝場所も確保されており、特に何をする必要もないため安心して眠り続ける。寝ている時に時折、痙攣したり鳴き声を漏らしたりするが、夢を見ているせいである。主に子猫の頃の夢(母猫の乳首を吸っている場面)や、狩りをしているときの夢を見ると言われている。

子猫(家ネコの子猫)は、平均的に睡眠時間が長く、ネコの飼い方の本などでは「20時間程度眠る」と解説されていることが多い。ほとんど眠っていて、たまに眼を醒ますと母猫のお乳を吸い、その後ちょっと遊んでいたかと思うと、またすぐ眠ってしまう、というような状態である。また、子猫ではほとんどがレム睡眠であると言われている。そのため、呼びかけたり触れたりすると目を醒ます場合がある。

ただし、野良猫に限れば、睡眠時間は家ネコよりかなり短めになる。眠っている時も眠りが浅い傾向がある。ネコに限らず動物全般に、外敵がいつやってくるか分からない環境では安心して眠っているわけにはいかず、眠りが短く、浅くなる。野良猫が、全ての脚を体の内側に入れうずくまって目を閉じている状態は「香箱(こう-ばこ)座り」または「箱座り」と呼ばれることがあり、周りを半ば警戒したまま、いつでも動ける体勢を保ちつつ浅い眠りをとっている状態と考えられる。なお、「香箱座り」で座ることを「香箱を組む」「香箱を作る」と表現することもある。

[編集] 爪とぎ

放し飼いの地域猫野良猫の場合は太い木の幹で、飼い猫の場合は壁や柱を使って爪研ぎをする。ネコに限らず、狩りをする動物の多くに見られる行動である。

古い爪を研いで鋭くし、いつでも狩りに使えるようにしておく手入れの意味、縄張りを示す意味があると言われている。転位行動として行うこともある。

習性としての爪研ぎを防止する目的で爪を切ってしまう場合があるが、ネコの爪の根元部分は肉・神経・血管が通っており、先端部分だけを丁寧に切らなければならない。大変割れやすく、出血・苦痛を伴う場合がある。

なお、ネコの爪研ぎの習性は爪が無いネコでも同じ仕草をすることがあり、何かを始める際の合図とも言われている。ちなみに人に爪を立てる事があるが動くとさらに食い込む為動かず離すのを待つほうが良い。

家庭で飼っているネコの場合、ネコタワーがあれば、ネコタワーで爪とぎさせるか、代替の爪とぎしてもよい壁を用意しておくとよい。また、ネコに爪とぎする場所も教えておく必要がある。

[編集] 体を舐める

いわゆる毛繕い。全身をくまなく舐める。舌の届かない部位(顔・首・頭など)については前足に唾液を含ませて拭くように動かす。また、足を舐める際に爪を噛んで引っ張ったりもする。

[編集] 水を舐める

乾燥した地域を進化上の故郷とすると思われるネコ科は元来、飲水量が少ない動物で、体内で水を有効に使うために尿の濃縮率が高く、濃い尿を出す。そのため、腎臓への負荷が高く、ネコの病気の7- 8割は腎臓の病気である。特に塩分の摂りすぎには注意が必要である。また、水は水道水がベストであり、ミネラルウォーターは飲ませないようにすること。

[編集] 顔を物にこすりつける

俗に「すりすり」と呼ばれる。フェロモンを物体に付着させ、縄張りを示すためと言われる。飼い主など、人に対して行われる場合は、親愛の情を示す意味や、餌などをねだる意味があると言われる。

[編集] 獲物を持ち帰る

ネズミスズメなどの獲物を捕まえた際、その場で食べずに安全な場所まで運んでから食べる習性がある。母猫の場合は子猫に獲物を与える事で何が食べられるのかを教える。特に生きたまま与える事で狩りの訓練をさせるという側面がある。飼い猫や地域猫の場合も、よく懐いた人の元に獲物を持ち帰ったところを発見される事がある。

飼い主の所まで持ってくる理由は定かではなく推測の域を出ない。飼い主が狩りを下手だと思って餌を分け与えているとも考えられるし、よく懐いた人間を家族と見なしているゆえの行動かもしれない。前述のようにネコは家族に餌を運ぶ習性がある。そうであるとするなら、一種の家族愛と言い換えられもしよう。

実際に持ってこられた場合、たいていの人は驚くと思うが、ネコは善かれと思ってやっている事なので、無碍に扱うとショックを受けてストレスを溜めてしまう事がある。よって、冷静に対応し、獲物の処分はネコが見ていないところでそっと済ませるのがよいとされる。

[編集] 草食・穀物食

ネコは肉食動物であるが、日本の家庭では人間の残飯の冷や飯に残り汁をかけた「ねこまんま」をネコの飼料として与えることが普通だった。コメなど植物性の餌を主に与えてネコを飼育することは世界にもあまり例がない。

またネコは燕麦など背の低い草を食べる習性がある。理由は未だ明らかでないが、毛繕いのときにどうしても呑み込んでしまい蓄積した体毛を、草の繊維に引っかけて、まとめて排泄するためとする説や、植物性のビタミンや葉酸を草から直接摂取しているなどの説が有力である。どのネコにも共通しているのが、イネ科植物を好んで食べるということである。ペットショップでは飼い猫用に「猫草」として種や栽培キットなどが売られている。

[編集] 蛇を食べる

野生に近いネコはヘビを捕食する能力がある。基本的にヘビより敏捷であるため、咬まれるケースはほとんど無く、また、ヘビの毒に対する耐性も強い。日本猫の場合、成猫がマムシの毒で死ぬ事は無く、獲物を家屋に生きたまま持ち帰るケースも見受けられる。

ただし、敏捷性や毒への耐性はネコによって個体差がある。

[編集] 見つめる

危険を感じると一目散に逃げ出すが、そのまま逃げ切らずに安全な間合いになったら一度立ち止まり、振り向いて様子をじっと観察する習性がある。相手と目が合うと、自分から目線を外そうとせずにらみ合いになる。ネコ同士でにらみ合いになると喧嘩の原因になることがあり、外猫を飼っている場合は家で人間と目を合わせる癖がつくと他の外猫と目を合わせるようになり喧嘩の原因を作ることにもなるので、なるべく癖をつけさせないのがよいともされている。

[編集] 相手に向かって両目を閉じる

親愛の情を持っている相手と目が合うと、両目を閉じることがある。ときに、そっぽを向く行為を伴う。ネコにとって目を合わせる行為は敵意を意味するので、これは逆に友好をアピールしていると言える。

ネコの習性をよく知らない人間から見ると無視されたように感じる仕草であるが、実際には両目でウインクしているようなものと思えば分かりやすい。猫に慣れた人は見知らぬ猫に近づくとき、この性質を利用して、自らの目を閉じて、猫を警戒させないようにする(この場合、視線は猫の目の高さまで落とすこと)。

[編集] 愛情があるのに噛む

本当に噛み切るつもりではなく、甘えて飼い主や他のネコを興奮して噛む事がある。これは手のような手ごろな接触手段を持たない動物によく見られる習性である。また、親猫は子猫の頸(くび)の付け根をくわえて携行し、ネコはその場所を噛まれるとおとなしくなる(この事を利用して交尾の際にオスがメスを噛んだりする)。ネコの習性をよく知らない人間から見るとなぜ噛み付かれたのか判らず、戸惑う行動であるが、ただ甘えているにすぎず、噛んでも相手が反撃しないのを確認して自分に対する愛情を確かめているだけである。「痛い」と口に出して伝えたり、大げさに痛がる仕草をして見せれば、徐々に力を抜いた甘噛みを覚えていく。痛いからといって叩くなどして叱責すると、自分に対する愛情を疑うようになり、すねてしまう場合もある。

[編集] 母親の乳房に見立てて吸い付く

幼いうちに母猫と引き離された場合など、毛布や飼い主の唇を母猫の乳房に見立てて吸い付くことがある。両前足を周囲を揉むように動かす。うっとりとした表情をし、放っておくと30分くらい続ける場合もある。その動きから、日本語では「フミフミ」「チュパチュパ」等、英語では「ウールサッキング」などとも呼ばれる。

[編集] トイレの所作

ネコの最も象徴的な行動で、「ねこばば」の語源にもなっている。用を足す前に砂を掘ってくぼみを作り、用を足した後、砂をかける。初めのうちどこがトイレか認識できない場合があるが、そういったときはネコの様子を見て催しているなと思ったら、すばやくトイレに移してやり、用が済んだら大げさに褒めてやることが大事である。(しつけ)をする事でネコも人間用のトイレを使用させる事ができる。しかし、年をとるとトイレにのぼることがつらくなるので、人間用のトイレでなく、ネコ用のトイレを使用させた方が良い。

[編集] 臭い物に砂をかける仕草をする

用を足す場合でなくても、臭い物を見つけたとき、実際に砂が無くても砂をかける仕草をする。

[編集] 喧嘩

長い口喧嘩を経てから、格闘になる。口喧嘩は、一方が低音で唸ると他方は高音で返すなどの特徴が窺える。通常は1対1の喧嘩であるため、人間が喧嘩の声に似せて横槍を入れると、気味悪がって喧嘩を中止することもある。喧嘩・格闘は、跳びかかりやすく有利な高所を制した側が優勢で、そのため、戦略的ポジションを探りながらの口喧嘩が長時間続く。格闘になるとほんの数秒で決着する。


[編集] ネコと自然生態系

現代においてほぼ世界中に存在するイエネコであるが、これは人為的に広まったのであり、それぞれの地域の生態系にとっては外来種である。

イエネコは優秀なハンターとしての能力と本能を持っている。非常に狩りを好む気性は欲求と言っても差支えないぐらいである。古来、人に飼われてきた理由もネズミ等の駆除能力によるところが大きかった。野生化したネコはもちろん、十分に餌を与えられている飼い猫も野外の鳥類や小型哺乳類、爬虫類、両生類などの小動物を捕殺してしまう。その事が生態系に深刻な影響を与えてしまうこともある。

日本での代表的な例としては、沖縄県において、野生化したイエネコが地域固有種のヤンバルクイナを捕食したり、イリオモテヤマネコとの交雑や猫エイズの感染によって、イリオモテヤマネコの生息数減少を引き起こしているケース、鹿児島県奄美大島においてアマミノクロウサギが捕食されるケースがある。

人間に飼われ十分に餌を与えられているイエネコでも狩りを行うことはよく知られており、飼い主が居住する地域によってはやはり、生態系に影響を及ぼすケースがある。例を挙げれば、ニュージーランドのスティーブンズ島における固有種スティーブンイワサザイは、灯台守が飼育していた1匹のイエネコによって絶滅に追い込まれたと見られている。ただし、スティーブンイワサザイはイエネコが駆逐した15羽しか確認されなかった。

イエネコは国際自然保護連合がリストアップした「世界の侵略的外来種ワースト100」にもランクインしており、固有種の多い地域では戸外に出さない必要がある。ましてや、脱走や飼育放棄など野生化につながるような事態は絶対に避けるべきである。

[編集] 猫と人間の歴史

[編集] 古代

古代エジプトのネコの像(ルーヴル美術館所蔵)

新石器時代、中近東地域から農耕が広まり始め、穀物が保管されるようになるにつれて、ネズミが爆発的に増加したために、穀物庫の番人役としてネコが村の中で重宝されるようになったといわれる。

現在世界最古のものとしては、キプロス島のシロウロカンボス遺跡(en:Shillourokambos)で約9500年前の飼い猫の化石が発見されており、新石器時代もしくは石器時代後期から人類がすでにネコをペットとして手なずけていたことを示唆している。このネコの骨は人骨が埋葬されていた場所からおよそ40cm離れた場所に埋葬されていたが、遺体の保存状況、位置関係などから、高位の人物が飼い猫を一緒に埋葬したものと考えられる。発掘されたネコが年齢およそ8ヶ月であることから、その人物が死亡した際、一緒に殺されて埋められたとも推測できる。さらには、キプロスの同遺跡においてネコが何らかの宗教的重要性を持つ存在だった可能性も示唆されている。遺骸からは屠殺された形跡が見られないため、埋められていたネコはおそらく人間と同様に扱われていたと考えられるという。ただし、同時代の同地域の遺跡からは、人間がネコ科の動物を食用にしていた跡も発見されているという。

古代エジプトでは、ネコがライオンの代わりとして崇拝されていたし、バステト女神として神格化もされていた。そのため敵側がネコの顔を自らの盾に描いてエジプト兵を追い払ったという。ジェームズ・フレイザーの『金枝篇』によると、中世ヨーロッパでもネコは麦穂の精霊と同一視され、中国でも、獣偏に苗(正字では貉偏に苗「貓」)と書くように、稲穂の精霊とされていたという。ただし、の時代には「猫」の字はまだ無く、ネコには「狸」の字が当てられている。

[編集] 日本

日本においてネコが考古学上の登場は、読売新聞(2007年09月01日)の記事によると、兵庫県姫路市四郷町の見野古墳群(六世紀末から七世紀中ごろ)の横穴式石室から、猫の足跡(肉球)のついた古墳時代の須恵器が出土したとあり、また、文献に登場するのは、『日本霊異記』に、705年慶雲2年)に豊前国福岡県東部)の膳臣広国(かしわで-の-おみ-ひろくに)が、死後、ネコに転生し、息子に飼われたとあるのが最初である。

愛玩動物として飼われるようになったのは、『枕草子』や『源氏物語』にも登場する平安時代からとされ、宇多天皇日記である『寛平御記』(889年寛平元年〉)2月6日条には、宇多天皇が父の光孝天皇より譲られた黒猫を飼っていた、という記述がある。愛玩用以外としては、壱岐市にある弥生時代中期のカラカミ遺跡から出土された骨が日本人とネコとの関わりを示す最古の資料である。奈良時代ごろに、経典などをネズミの害から守るために中国から輸入され、鎌倉時代には金沢文庫が、南宋から輸入したネコによって典籍をネズミから守っていたと伝えられている。『日本釋名』では、ネズミを好むの意でネコの名となったとされ、『本草和名』では、古名を「禰古末(ネコマ)」とすることから、「鼠子(ねこ=ネズミ)待ち」の略であるとも推定される。他の説として「ネコ」は「寝子」、すなわち「ね」は「寝る」の意味で、「こ」は「小さいもの、身近なもの」の意味であるという解釈もある。このように、蓄えられた穀物や織物用のを喰うネズミを駆除する益獣として古代から農家に親しまれていたとおぼしく、ヘビオオカミキツネなどとともに、豊穣や富のシンボルとして扱われていた。

ただし日本に伝来してから長きにわたってネコは貴重な愛玩動物扱いであり、鼠害防止の益獣としての使用は限定された。貴重なネコを失わないために首輪につないで飼っている家庭が多かったため、豊臣秀吉はわざわざネコをつなぐ事を禁止したという逸話がある。ただしその禁令はかなりの効果があり、鼠害が激減したと言われる。

稀代の猫好きとして知られる浮世絵師・歌川国芳による1図 『其のまま地口 猫飼好五十三疋』。詳しくは「歌川国芳#国芳画廊」の画像-10を参照のこと。

江戸時代には、本物のネコが貴重であるため、ネズミを駆除するための呪具として、猫絵を描いて養蚕農家に売り歩く者もいた。絵に描かれたネコが古寺で大ネズミに襲われた主人の命を救う『猫寺』は、ネコの効用を説く猫絵師などが深く関わって流布した説話であると考えられている。ネコの穀物霊としての特質は時代を追って失われ、わずかに『今昔物語』「加賀国の蛇と蜈蚣(むかで)と争ふ島にいける人 蛇を助けて島に住みし話」における「猫の島」や、ネコが人々を病から救う薬師(くす-し)になったと語る『猫薬師』に、その性格が見えるのみである。

日本の平安時代には位階を授けられたネコもいた。『枕草子』第六段「上にさぶらふ御猫」によると、一条天皇定子は非常な愛猫家で、愛猫に「命婦のおとど」と名付け位階を与えていた。ある日このネコが翁丸というイヌに追いかけられ天皇の懐に逃げ込み、怒った天皇は翁丸に折檻を加えさせた上で島流しにするが、翁丸はボロボロになった姿で再び朝廷に舞い戻ってきて、人々はそのけなげさに涙し、天皇も深く感動した、という話である。ネコに位階を与えたのは、従五位下以上でなければ昇殿が許されないためであるとされ、「命婦のおとど」の「命婦」には「五位以上の女官」という意味がある。

[編集] 家畜・食材としての猫

ネコがはたして家畜であるのかという問題に関しては、現在も議論が続いている。家畜の定義は「その繁殖に関して人間が決定的に関与する動物」というものだが、現在世界に分布するイエネコの繁殖に関してはその大部分がその管理外あるいは放し飼いと推測され、ネコ自身による自由な繁殖に任されている。イヌと異なり、人に直接的に危害を加える危険性は低いため「野良猫」は「野良犬」ほど社会問題視されることは少ない。

ネコを家畜として見た場合の利用例としては三味線を挙げられる。16世紀末に中国より日本本土に伝わった三弦の楽器が、猫皮を使用するようになり、これが三味線へと変化した。

同じ日本においては江戸時代、食用すべきでない獣肉の一つとしてネコが記録されているが、明治期の夏目漱石が著した『吾輩は猫である』の冒頭などには、貧乏書生が捕まえて煮て食ったなどの話も見られる。昭和初期までは困窮層に「おしゃます鍋」(「猫じゃ猫じゃ」の歌詞に由来、つまり「猫鍋」)なる言葉も残っていた。猫鍋は泡が立ち、味がよくないと言い伝えられている。食糧不足の太平洋戦争中、ネコは日本人の捕食対象だった。

琉球(現・沖縄)では近年まで猫食が残っており、1999年には無許可で猫肉を販売していた業者が摘発を受けている。一般に肉食性の哺乳類は肉が臭く、脂肪分が少ないため食用に適さず、後述のように薬膳などに限られていた。中国やその影響を受けた一部の国では、滋養強壮等の薬膳として食べることもある。中国や朝鮮では、イヌやハクビシンなどとともに食材として日常的に市場で売られている地域もあるほか、寅年縁起物としてトラの代わりにネコを食べる地域もある。中国のある地域では、人間に食べられないよう、ペットの猫も日本での屋外イヌ同様、鎖につないで飼うことが普通であると言う。また、一部のフランス人もネコを食す。

[編集] 猫嫌いを生む背景

  • ネコ好きな人間がいる一方でいわゆるネコ嫌いもまた多く、世論調査でも約半数がネコが嫌いと回答したこともある[4]。その理由の一つに野良猫の存在がある。ネコは体が小さく動きも敏捷で捕まえにくいため、野良犬のような完全駆除が難しい。そのため、糞尿、飼っている小鳥や魚が殺されるなど小動物への被害、爪を研ぐ、ネコの習性であるマーキング、台所を荒らされる、発情期の雄叫びなどの害に悩まされることがある。
  • 飼い猫でも、飼い主の家族の中にネコ嫌いを生むきっかけを作ってしまう事がある。日本では、衛生面のインフラ整備が行き届かず食料事情も悪かった昭和30年代ごろまでは、野生ネズミ駆除に飼い猫を活用する家庭が多かった。特に漁師の場合は死活問題であり、住宅に隣接する漁獲倉庫番を任せるなどするほどだった。
    • ネズミは多種多量の病原菌を保菌しているため、ネズミによる噛み傷や保管食料の汚染によって、ペストやコレラなどの重病に罹り、命を落とす者も多かった。そういった病原菌の塊として世間に知れわたっているネズミを頻繁、日常的にじかに体に触れ(引っかきや噛み行為)、大量に捕獲行為を行う(家長に褒められ、ますます精勤に励む)存在だった飼い猫を、不潔と疎んじてネコ嫌いになる者も少なからず存在した。
    • 躾(しつけ)をすれば人間のトイレで用を足す事が可能なほど知能の高いネコにとって、褒められ続ける事により、わざわざ捕まえたネズミなどを人間の目に見える場所に放置し披露するなどといった、極端な行為も起こす場合がある。
    • 前述以外の理由では、自分の尻を舐めるネコを不潔と嫌悪するなど、様々な理由が存在する。
  • ネコ好きにとっては魅力的である鳴き声、仕草、人間に媚びない習性に嫌悪感を抱く人もいる。

[編集] 猫と文化

画家ルイス・ウェインは擬人化したネコを多く描いたことで知られる。

ネコの性格は気まぐれとされ、行動・習慣はむしろ頑固で多分に自己中心的であり、イヌが飼い主のしつけによく反応し強い忠誠心を示すのとは対照的であるとされている。これは、イヌが元来群れをつくる動物であり、飼い主を群れの仲間(多くの場合は自分よりも上位)と認識するのに対して、元来単独で行動するネコでは、そのようなことがないのが原因であると言われる。もちろん全てのネコがそうであるわけではない。例えばロシアンブルーは人見知りではあるが飼い主に忠実であり、アビシニアンソマリは人と遊ぶことを非常に好むなど、ネコの品種によっては、人間の生活様式に順応した性格を生まれ持って具えていることも多い。

ネコはイヌと同様に、人間に身近な動物であることや、擬人化しやすいことから、漫画・文学作品等のフィクションのキャラクターとしても数多く登場する。 これについては、他項「ネコを主題とする作品一覧」、および、カテゴリ「架空のネコ」を参照のこと。 また、ネコの飄々とした性質や姿形から、幻想的な象徴として描かれることも多い。

農家にとってネズミを捕るネコは豊穰と富を象徴する生き物だったが、豊穰というものは連続する再生(生産)であり、そのための死(消費)をも意味する。ネコの特徴として、光の量によって大きさの変化する瞳が挙げられるが、これはの満ち欠けに擬えられた。月もやはり死と再生を繰り返すと考えられていた存在である。後世では、この死を司るという特質が強調されるようになり、中世ヨーロッパでは魔女使い魔と見做されるようになった。

イスラム世界では、預言者ムハンマドがネコを可愛がっていたと伝えられており、現在でもネコは好まれる。

なお、現代では野猫(ノラネコ)は野生化したイエネコそのものを指しているが、『和漢三才図会』でタヌキを「野猫」としているように、古くはタヌキをネコと呼んでいることから、ネコとタヌキは民俗学的には同一の存在である。中国では「狸」の字でタヌキのほかにヤマネコの類をも指したので、イエネコを「家狸」とも称した。

[編集] 伝説・伝承の中の猫

[編集] 猫年・猫座

ネコは、東洋では十二支の動物になり損ねた動物の一つということになっている。ただ、十二支の選に洩れた理由として広く語られるネズミの計略による遅延との逸話は後世の創作で、12種の動物が選ばれた時代の中国においてはネコがまだ一部の貴人に飼われ始めたばかりの、庶民には全く馴染みが無かったことが本当の理由であるとされている。対して、が選出されているが、これは、架空の動物であっても皇帝の象徴としてこれを知らない者などいなかった。

なお、中国の影響を受けつつ、しかし中国より遅れて十二支を整えたタイベトナムでは、もうそのころには一般的になっていたネコを選び出している(主にウサギに代えて「」に当てる)。

西洋の星座にも、ねこ座は見当たらない。なぜか、古代ギリシア人は天の星々にネコの姿を見なかったらしい。ただし、17世紀になってポーランドの天文学者ヨハネス・ヘヴェリウスが「やまねこ座」を、18世紀には猫好きだった天文学者のジェローム・ラランドが「ねこ座」をそれぞれ作成している。しかしねこ座についてはあまり認められず、現在では残っていない。

[編集] 猫の神様・猫妖怪

化け猫 歌川国芳

昔から日本では、ネコが50年を経ると尾が分かれ、霊力を身につけて猫又になると言われている。それを妖怪と捉えたり、家の護り神となると考えたり、解釈はさまざまである。 この「尾が分かれる」という言い伝えがあるのは、ネコが非常な老齢に達すると背の皮がむけて尾の方へと垂れ下がり、そのように見えることが元になっている。この、尾が数本に見えるネコは、実際に朝のテレビ番組(TBS)で紹介されたことがある。

猫又に代表されるように、日本において、「3年、または13年飼った古猫は化ける」、あるいは「1、もしくは2貫を超すと化ける」などと言われるのは、付喪神(つくも-がみ)になるからと考えられている。 『鍋島の猫騒動』を始め、『有馬の猫騒動』など講談で語られる化け猫、山中で狩人の飼い猫が主人の命を狙う『猫と茶釜のふた』や、鍛治屋の飼い猫が老婆になりすまし、夜になると山中で旅人を喰い殺す『鍛治屋の婆』、歌い踊る姿を飼い主に目撃されてしまう『猫のおどり』、盗みを見つけられて殺されたネコが自分の死骸から毒カボチャを生じて怨みを果たそうとする『猫と南瓜』などは、こういった付喪神となったネコの話である。

ほかにも日本人は「招き猫」がそうであるように、ネコには特別な力が具わっていると考え、人の側から願い事をするという習俗があるが、これらも民俗としては同根、あるいは類似したものと考えられる。

以下、ネコにまつわる日本の妖怪変化の数々を紹介していく。これらの話は、ネコが死と再生のシンボルでもあったことの名残りであろう。

死者に猫が憑く(岐阜県)
美濃国大野郡丹生川村(現・岐阜県高山市丹生川町)では、ネコが死者をまたぐと「ムネンコ」が乗り移り、死人が踊り出すと言われ、ネコを避けるために死者の枕元に刃物を置く、葬式のときにはネコを人に預ける、蔵に閉じ込める、といった風習があった。今日もなお、この言い伝えは廃れていない。
死者に猫が憑く(佐賀県)
佐賀県東松浦郡でも、死者にネコの霊が憑くと言われ、これを避けるために死者を北枕に寝かせた上でやはり枕元に刃物を置き、着物を逆さにかけるという[5]
死者の骸(むくろ)を盗む猫(愛知県)
尾張国知多郡(現・愛知県知多郡)の日間賀島に伝わる話では、百年以上も歳経たネコの妖怪を「マドウクシャ」と呼び、死者の骸を盗りにくるため、死人の上に筬(おさ、機織機の部品)を置いてこの怪を防ぐという。これと同じく、火葬場や葬列を襲って屍を奪う妖怪は「火車」と呼ばれるが、その正体はネコであることが多い。
生者にも猫は憑く
生きている人間にネコの霊が憑くという伝承もある。
  • 伊予国(現・愛媛県)での話によると、飼い猫を殺した者が、のち精神に異常を来たし、「猫が取り憑いた」と言いながら徘徊するようになったという[6]
  • 山口県大島郡では、死んだネコのそばを通ると犬神蛇神に加えて「猫神」に憑かれると言われ、これを避けるために「猫神うつんな、親子じゃないぞ」と唱えるという[5]
猫の恩返し
貧乏な寺に飼われていたネコが、世話になった恩返しのため、野辺送りの棺を空に上げて、飼い主の和尚に手柄を立てさせる『猫檀家』という説話がある[7]

一方、ネコを大事にする風習からネコを神として祀る地域もある。

猫神養蚕との関連)
宮城県の村田町歴史みらい館の調査によると、猫の石碑が宮城県に51基(特に仙南丸森町に多く分布)、岩手県に8基、福島県長野県に6基ずつ存在することが確認された。さらに、宮城県には猫神社が10カ所あることも確認された。これは、江戸時代に養蚕が盛んだった宮城県南部で、蚕の害獣だったネズミを駆除してくれるネコに対して興った信仰だったようだと同館は見ている。ただし、養蚕が盛んだった群馬県では1基も見つかっていない。
猫神漁業との関連)
宮城県の仙台湾(石巻湾)に浮かぶ田代島では、「猫神様」が島内の猫神社に祀られている。島では漁業稲作と並んで、かつて仙南と同様に養蚕が盛んだったためネコを大事にする習慣があったが、猫神は大漁の守護神とみなされており、養蚕との直接的な関係は見られない。同島には昔からイヌはおらず、島内へのイヌの持ち込みも島民から拒否されるほどの「ネコの島」が現在も維持されている。

[編集] 言い伝え・俗信・迷信・トリビア

黒猫が通る
日本では、ネコに道を横切られると縁起が悪いとも良いとも言われる。黒猫に前を横切られることを不吉として忌むのは、おそらくアメリカから伝わった迷信であり、イギリスではむしろこれを幸運の印とすることが多い。また、黒猫を飼うと商売が巧くいくとも言われ(福猫と呼ばれた)、店舗などを営む自営業者が好んで飼う場合もある。
同情するなかれ
道端などで見かけた猫の死体に対して「かわいそう」といった同情の気持ちを起こすと猫の霊に取り憑かれる、という俗信が日本にはある。
嵐を呼ぶ
英語では「土砂降りの雨」を指して「cats and dogs」という。これは猫が雨を、犬が風を起こすという言い伝えに基づくものである。
日本と欧米での相違
猫の好物は、日本ではかつお節だが、欧米ではミルクとされる。また、欧米では猫と犬は仲が悪いとされる。
猫の埋葬
沖縄では猫の死骸は地面から離しておかなければ災いを招くという迷信があり、木に首を吊るしたり、ビニール袋に入れて袋ごと吊るす習慣があった。

[編集] オスの三毛猫はほとんどいない

遺伝上、三毛猫のほとんど全てがメス猫である。ところがごくまれ(3万分の1の確率とも)にオスの三毛猫が生まれる。この猫は海運業や漁業から海での危難を救う力があると江戸時代から信じられており、最近まで高値で取引されることもあったという。

[編集] 猫の死に場所

死を悟ると死に場所を求めて姿を消すと言われるが、実際にはネコには「死」という抽象的概念を認識することは出来ないと考えられる。体調が悪化したり、致命的な傷を負ったときなどは、本能的な防御反応として危険な場所から移動して安全な場所に身を隠そうとし、場合によってはそのまま死んでしまうと考えられている。しかし、飼い主への依存度の高いネコの場合、心細くなって主の近くに寄ってくる、あるいは、近くにいてくれるよう求め、結果的に飼い主の目の前で死ぬことになる。

[編集] 猫は家に付く

「犬は人に付き、猫は家に付く」これはイヌとネコの性質を表す上で最も分かりやすい喩えである。 飼い主がペットを置き去りにして転居したとする。両者とも初めのうちは飼い主の帰りを待つが、一定の期間が過ぎるとイヌは飼い主を探すためその場を離れるのに対し、ネコは今までと変わらずテリトリー内で平然と暮らし続ける。 このような性質のため、ネコはイヌに比べて環境の変化に敏感であり、転居の際には十分に気を遣わなければならない。

引っ越しをする際、連れていこうとすると嫌がることから、「猫は家に付く」と言われ、そのまま置いてけぼりにされることがあるが、実際には単に「引っ越し」の概念を理解できず、テリトリーを離れることに不安を持っているだけである。元々捨て猫だった場合など、再度捨てられる不安から泣き喚く場合もある。無理やりにでも新居に連れていってやれば、家具についた匂いや飼い主がそこで暮らしていることを確認して、自分の新しい居場所であることを理解し、何の問題もなく飼い主と暮らす。この迷信を真に受けて置き去りにすれば、たいていの場合野良猫として暮らすしかなく、環境にもよるが平均余命は極めて短くなるとされる。

日本では「ネコは自由気ままな動物」だからつなぎ止めるようなことをせず、家(敷地)の出入りも自由にさせておくことを普通と考えている人が多い。確かに法的にもイヌに関しての規制は多いが、ネコに関しては(ほとんど)無い。

[編集] 猫水

日本の住宅街では、水の入ったペットボトルが通り沿いに並べてあるのを見ることがある。これは、「水に反射した光をネコが嫌う」と言われる迷信、もしくは、ネコがの上を歩くのを妨害するために置かれていたものが形骸化したものとされ、俗に「猫水」とも呼ばれている。しかし実際にこれを嫌うネコは少なく、設置しても初めの数分を警戒するだけで、その後は全く気にしないことが多い。猫のような大脳の発達した動物は学習能力に優れ、このような単純な反射行動を反復し続けることはない。但しペットボトルに対し不快な情報がリンクして記憶されると、条件反射としてこれを忌避する行動を取ることは考えられる。なお、日なたに置いた猫水によって収れん火災が発生した事例がある。

[編集] 猫は肉より魚が好物

日本のテレビ番組『トリビアの泉』(フジテレビ)による検証で、ネコに魚と肉の両方を自由に食べられる状態にして選ばせたとき、被験対象の全てのネコが肉のほうを選択した。 解説担当の学者の言によると、ネコが何よりも魚を好むというのは全く根拠の無い話であり、魚食中心で肉食が禁じられていたころの日本で飼い猫が広まったことや漁業従事者が好んで飼っていたことが、こういった間違った情報を定着させた理由と述べている。 ドッグフードも躊躇せず好んで食べるが、猫にとっての必須栄養素であるタウリンはドッグフードにはあまり多く配合されていないので、キャットフードを与えるのが無難とされる。

そもそもネコ(ここでは語義的にリビアヤマネコ)は、野生の状態で魚を獲ることはほとんど不可能であり、魚を食べるようになったのは人間と暮らすようになってからと考えられる。

[編集] 人獣共通感染症

ネコから人に伝染する病気には、トキソプラズマ症パスツレラ症、および、バルトネラ菌の感染症である猫ひっかき病がある。

[編集] 猫に特有の感染症

猫に特有の猫エイズと呼ばれる感染症が報告されている。

[編集] ネコに与えてはいけない食べ物

ユリ・タマネギ

詳細は「タマネギ中毒」を参照

ネコやイヌにとってネギタマネギニンニクなどといったユリ科の植物は極めて有毒であり、飼育時にはネコなどが誤って口にしないよう注意が必要である。多少は個体差もあるのでごく少量の場合は異常が見られないこともあるが、ひとかけら食べただけでも死に至る場合がある。毒性は加熱によっても消えず、だし汁などにも含まれる。また、ユリ属の植物は特に有害であり、全ての部位に毒性があり、体毛に付着した花粉を舐めただけで死亡した例も報告されている。アメリカの愛猫団体であるCFAは、これらの植物をネコに近づけないように勧告している。
アルカロイド類
アルカロイドを含む多くの植物は中毒の原因となる。また、種子類・球根は全て有害と考えられている。カフェインを含む、コーヒーや紅茶等を飲ませてはならない。
イカ、タコ、エビ、カニ、貝類
イカタコを与えてはいけないとされるが、これにはある程度誤解も含まれている。イカなどに含まれる酵素であるチアミナーゼ(サイアミナーゼ)はビタミンB1を破壊するため、長期にわたって摂取した場合、背骨の変形を引き起こすなどし、寿命も短縮される。これが「イカを食べると腰を抜かす」と言われる所以である。チアミナーゼは、イカ・タコ・貝類といった軟体動物のほか、エビカニなど甲殻類コイワカサギなどの淡水魚にも含まれている。しかし、チアミナーゼは熱によって失活するため加熱すれば問題は無く、イカ・タコなどはネコにとっての必須栄養素であるタウリンを豊富に含むため、ネコには好まれ、イカ入りのキャットフードも存在する。ただし、イカ・タコなどは消化があまりよくないため、多量に摂取すると消化不良を起こす。
なお、魚には基本的にビタミンB1が含まれていないため、肉を与えず魚だけで育てた場合も、寿命が短縮する。市販のキャットフードなどはビタミンB1を添加してあるため、魚が主原料であっても気にする必要はない。
アワビ、サザエなど
死亡する危険はないが、アワビサザエを食べさせると耳が腐れ落ちると言われる。これは、アワビやサザエが餌としている海藻に含まれるクロロフィルが、動物の体内に摂り込まれた状態で日光に当たると化学変化を起こしてピロフェオホルバイド a という毒成分に変質することに基づいている。アワビなどはクロロフィルを内臓に溜め込んでいるので、これを食べると成分も体内に入る。ネコの体は被毛で覆われているため、たとえ日に当たっても光は皮膚までは届かず問題無い、がしかし、耳だけは被毛が薄く、毛細血管にまで日光が届く。そのため、化学変化で毒成分が造られ、炎症を起こして激しい痒みを生じる。ネコは耳を激しく掻きむしり、取れるまでそれを続けてしまう。あるいは、毒成分によって耳の組織が壊死してしまい、取れてしまう[8]
カカオ、チョコレート
グルクロン酸抱合能力が低いなど、ヒトとネコの違いゆえに、風邪薬(鎮痛解熱剤)に代表される家庭薬での中毒事故にも注意が必要である。カカオに含まれるテオブロミンもネコは代謝できないため、チョコレートを与えてはいけない。大量に与えたり、長期にわたって与え続けると、腎臓肝臓に障害の出るチョコレート中毒になる。なお、ネコは甘味を感じないため、基本的にチョコレートを好まない。
アルコール
好んでアルコールを摂取することはないが、に浸した食物を与えると酩酊(めい-てい)状態になって運動能力を低下させる。しかし、酔いが醒めれば元に戻る。
塩分
分は生体機能を維持するために必要であるが、腎機能がヒトに比べて劣っているため、人間の嗜好に合った食物を与えることは望ましくない。
その他
「子猫にミルク」は定番のイメージがあるが、成長したネコは乳糖を代謝できないため、牛乳や乳児用の粉ミルクを与えると下痢をする。猫用のミルクを与えなければならない。

[編集] ネコの品種一覧

略号 : en は、英語版ウィキペディアの記事へのリンクを示す。

アビシニアン
アメリカンカール
スコティッシュフォールド
デヴォンレックス
ノルウェージャンフォレスト
バーマン
ヒマラヤン

[編集] 猫の別称

漢字
  • 狸、貍:古代中国においてタヌキキツネ、ネコ程度の体格の持った人里近くにいる四足を指した文字。「狸」は正字体、「貍」は異体字である。今では「タヌキ」だけを意味しているが、かつてはタヌキもネコも狸だった。
  • 狸奴(りと・りど)
  • 家狸(かり)
  • :正字体「猫」に対する異体字。
日本語
その他

[編集] 脚注・出典

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  1. ^ Science Magazine Japan (2007年06月29日). "イエネコの祖先は近東出身 // Tabby’s Ancestors Traced to the Near East(今週のハイライト)". 2008年4月19日 閲覧。[リンク切れ]
  2. ^ ネコの「ゴロゴロ声」に秘められた能力を探れ!
  3. ^ ネットでも見られる参考情報。 睡眠時間については、「ネコの飼い方」を教授した書籍にたいてい書かれているので参照のこと。
  4. ^ 「動物の保護及び管理に関する世論調査」 内閣府政府広報室
  5. ^ a b 鈴木棠三 『日本俗信辞典 動・植物編』 角川書店、1982年、448-457頁。ISBN 978-4-04-031100-5
  6. ^ 水木しげる 『水木しげるの憑物百怪』下、小学館小学館文庫〉、2005年、112-115頁。ISBN 978-4-09-404703-5
  7. ^ 福田晃 「猫檀家」『日本昔話事典』 稲田浩二他編、弘文堂、1977年、704-706頁。ISBN 978-4-335-95002-5
  8. ^ 塩見一雄・長島祐二共著『海洋動物の毒』成山堂書店。

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ
ウィクショナリー
ウィクショナリーの項目があります。
ウィキクォート
ウィキクォートに関する引用句集があります。

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