梅酒

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梅酒(うめしゅ)は、一般的に6月頃に収穫される青を、蒸留酒ホワイトリカー焼酎が一般的)に漬け込むことで作られる混成酒アルコール飲料)である。

概要[編集]

家庭でも作れることから、古来より民間で健康に良い酒として親しまれており[1]、近年では食前酒としても飲まれている。

日本では、果実酒である事から酒税法によって、日本酒みりんなどのアルコール度数が20度未満の酒で作る事は違法であり禁止されている。また、同様に個人が営利目的で製造・提供することも禁止されている。

製造法[編集]

梅の実を砂糖などと共にに漬けて保存する事によって作られる。

一般的には、梅の実1kgに対して砂糖0.2–1kg、ホワイトリカー1.8リットル程度の割合で作成する。梅の実に付いている茎は竹串などで取り除き、傷のある実があれば除く。よく洗ったのち念入りに拭いて水分を取り、1時間ほど天日で干す(時々ひっくり返し完全に乾燥させ、雑菌の繁殖を防ぐ)。梅と砂糖を交互にビンに詰める。この際、梅が浮いてこないよう砂糖を一番上にすることが多い。これにゆっくりと酒を注いで密栓し、冷暗所で保存する。

梅酒に使われる梅には、南高梅のほか、古城、白加賀、鶯宿、豊後、竜峽小梅、林州、玉英、梅郷など、果肉が厚く種の小さい酸味高い品種が多く用いられる。黄色く色づき熟した物ではなく、青梅が良いとされるが、熟した梅を使用しても独特の香りが得られる。

砂糖は一般的に氷砂糖が使われるが、蜂蜜黒糖果糖なども使用される。溶解が比較的ゆるやかなものが好ましいとされる。その理由については、糖が溶け出す前に浸透圧差によって酒(エタノール)を吸った梅から、糖が溶けた後に浸透圧が高まった酒にその成分を放出するためと説明されている。梅が酒を吸う前に急速に糖が溶解すると、浸透圧によって梅の水分だけが抽出され、含まれる成分は放出されないとされる[2]。また、大粒の氷砂糖は粉体のものよりも徐々に溶解することから、撹拌の必要なく糖の濃厚部分が底部に滞留することを避ける効果もある[3]。徐々に砂糖を加えていくことにより、氷砂糖を用いた場合と同様な効果が得られるとされる[4]。また、最初から砂糖を溶かした酒を使うと、梅の実が硬くなる。

酒は無味無臭のホワイトリカー(甲類焼酎)を用いるのが一般的である(同じような製法で作られ、同じく無味無臭のウォッカでも代用出来る)。また、ブランデーウイスキージンラム酒本格焼酎泡盛などの無味無臭ではない蒸留酒でも同じように作る事が出来るが、この場合は、使用する酒の種類によって当然ながら異なった味わいになる。旨味を出すには長期の熟成が必要となるため、アルコール度数の低い酒を使う場合は腐敗やカビの発生に注意を払わなければならないし、特に醸造酒を使う場合は、そもそも醸造酒自体が変質しやすい物であるため、厳重な管理が必要となる。一般的には、35度以上の酒が望ましいとされている。また、自宅で漬け込む場合には、アルコール度数が20度未満の酒を使うと違法である。なお、日本で市販されている梅酒の多くは、アルコール度数8–15度である。

長期間漬け込む事で「こく」が出るとされ、10年以上熟成させたものも存在する。それぞれ、違う素材を使用し違う環境で漬け込む事から、それぞれの独自の味わいがあり、また長く貯蔵すればおいしくなるというものでは無い。嗜好度を調べたら2年目の梅酒が人気が一番高かったという研究もある[5]。貯蔵で品質が低下する要因のひとつに「澱」(沈殿物)の発生が挙げられる。これは梅由来のポリフェノールが液中のタンパク質と結合し不溶化することが原因と考えられている。梅酒を製造するメーカーはその澱の発生防止のため、ポリフェノールを選択的に吸着するポリビニルポリピロリドン(PVPP)やタンパク吸着材ベントナイトを用いてあらかじめ処理を行うことが多い。不要となった梅の実を取り出し、その取り出した梅を食用としたり[6]、家畜の餌とする事もある[7]

日本の法律の例外規定[編集]

1962年に改正された酒税法では、自分で飲むためであれば、アルコール度数が20度以上の酒類に、下記の物品以外のものを混和する事を「製造行為」と見なさないとする規定を、例外的に設けている。

  • 米・麦・あわ・とうもろこし・こうりゃん・きび・ひえ・でんぷんまたはこれらのこうじ
  • ぶどう(やまぶどうも含む)
  • アミノ酸もしくはその塩類、ビタミン類、核酸分解物もしくはその塩類、有機酸もしくはその塩類、無機塩類、色素、香料又は酒類のかす(酒税法第7条、第43条第11項、同法施行令第50条、同法施行規則第13条第3項)

アルコール度数が20度以下の場合、上記の物品を混和した場合は、漬け込む過程で醗酵が生じ、アルコールが生成される可能性がある。つまり上記は、漬け込む過程で絶対にアルコールが生成しないという条件に基づいて設けられた規定である。従って10〜14度の一般的なみりんなどで漬け込む場合は、腐敗の可能性だけでなく法律違反となる(酒税法施行令第50条第10項の1)。

2007年6月14日テレビ番組きょうの料理』(日本放送協会)の「特集★わが家に伝わる漬け物・保存食~梅酒~」にて梅酒のつくり方[8]放送したが、そのレシピに従い個人が梅酒をつくると違法となることがわかり、後日、謝罪放送がされる[9]という事態が発生した。また、2012年6月24日及び6月30日(但し放送時間が25:30-26:00の為実際の暦日は翌7月1日)に放送された『アニメ女子 おうちカフェ部♪ #2』(AT-X)では、これと同様の理由に加えて番組内でゲストに提供することが営利目的とみなされたため、後日内容修正版が放送された[10]

なお1962年の改正以前は、家庭で梅酒を作る事は酒税法違反行為であった。ただし現実には一般家庭において梅酒を作る事は普通に行われており[11]、酒税法の改正は現実にそぐわない法律の改正という意味合いがあった。決め手となったのは1961年、当時の石橋内閣の下で広報参与を務めていた読売新聞出身の石田穣が、日本経済新聞紙上に梅酒に関連した随筆を寄稿した事から酒税法を巡る騒動が発生した事によるとされている[12][13]

その後、2008年4月30日に酒造法における租税特別措置法が制定・施行され、酒場、料理店等については、申請をすることによって一定の要件の下に酒類の製造免許を受けることなく、その営業場において自家製梅酒等を提供することができるようになった。

申請については国税庁ホームページで指定様式の申告書『特例適用混和の開始・休止・終了申告書』をダウンロード〈申請・届出様式→酒税関係→38.特例適用混和の開始・休止・終了申告書〉し、所轄の税務署に郵送または持参する。 みなし製造適用除外・条件は次の通り

  1. 酒場、料飲店が自分の店で販売(飲酒)することを目的に蒸留酒類と酒以外の物品(梅など)を混和する場合および焼酎と水を事前に割っておいたものを提供するいわゆる前割りには酒税法に定められているみなし製造の規定を適用しない ※他者への譲渡や店外飲酒を目的に販売することはできない
  2. 酒場、料飲店が自分の店で販売できる量は1年度(4月1日~翌年3月31日)当り1kl(1000L)以内に止めなければならない
  3. みなし製造を行う場合、事前に税務署へ届け出なければならない

脚注[編集]

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  1. ^ アルコールを含む事から吸収を良くし、梅の効用を高める
  2. ^ 杉山美次・岩瀬充璋 『図解 化学のウンチクがたちまち身に付く本―即効!化学ツウになれるQ&A80テーマ』 秀和システム、2006年、12頁。
  3. ^ 鳳氷糖 氷砂糖Q&A
  4. ^ 神奈川県農業技術センター 農産物の上手な利用法(梅酒/材料)
  5. ^ 「梅酒の香気成分と貯蔵による変化」
  6. ^ CHOYA 「梅酒の梅」「梅ゼリー」
  7. ^ 全国農業新聞『家畜も大喜び「エコフィード」--食品残さをリサイクル飼料に』
  8. ^ くらしのパートナー:きょうの料理』日本放送協会。
  9. ^ 「お詫びと訂正」『くらしのパートナー:きょうの料理』日本放送協会。
  10. ^ 緊急:「アニメ女子おうちカフェ部♪」について、お詫びと番組内容変更のお知らせ(AT-Xホームページ)
  11. ^ チョーヤ梅酒が梅酒の製造販売を開始したのは1959年であるが、社内からも「梅酒は家庭で普通に作っているから、売れないのではないか?」という反対意見が多かったという。
  12. ^ 本郷明美『どはどぶろくのど 失われた酒を訪ねて』講談社
  13. ^ MSN産経ニュース - 産経抄 - 2011年12月5日

外部リンク[編集]