レモン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
レモン
Citrus x limon - Köhler–s Medizinal-Pflanzen-041.jpg
レモン
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : バラ亜綱 Rosidae
: ムクロジ目 Sapindales
: ミカン科 Rutaceae
: ミカン属 Citrus
: レモン C. limon
学名
Citrus limon
(L.) Burm.f.
和名
レモン
英名
lemon
レモンの蕾と花
レモン、生、皮なし
100 g (3.5 oz)   あたりの栄養価
エネルギー 121 kJ (29 kcal)
炭水化物 9.32 g
- 糖分 2.50 g
- 食物繊維 2.8 g
脂肪 0.30 g
タンパク質 1.10 g
チアミン (B1) 0.040 mg (3%)
リボフラビン (B2) 0.020 mg (1%)
ナイアシン (B3) 0.100 mg (1%)
パントテン酸 (B5) 0.190 mg (4%)
ビタミンB6 0.080 mg (6%)
葉酸 (B9) 11 μg (3%)
ビタミンC 53.0 mg (64%)
カルシウム 26 mg (3%)
鉄分 0.60 mg (5%)
マグネシウム 8 mg (2%)
リン 16 mg (2%)
カリウム 138 mg (3%)
亜鉛 0.06 mg (1%)
 %はアメリカにおける成人向けの
栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)

レモン(檸檬、英語: lemon、学名: Citrus limon)は、ミカン科ミカン属常緑低木、またはその果実のこと。柑橘類のひとつである。

レモンの近縁種の一つ、シトロンの別名がクエン(枸櫞)で、クエン酸の名はこれに由来する。

特徴[編集]

原産地はインド北部(ヒマラヤ)。樹高は3mほどになる。にはがある。には厚みがあり菱形、もしくは楕円形で縁は鋸歯状。紫色を付け、ないしピンクで強い香りのする5花弁の花を咲かせる。果実は紡錘形(ラグビーボール形)で、先端に乳頭と呼ばれる突起がある。最初は緑色をしているが、熟すと黄色になり、ライムにもよく似ている。

ただし、レモンと名は付いていても他の柑橘類と交雑した品種(マイヤーレモンやサイパンレモンなど)では栽培環境で果実の形が変わり易く球形に近いものや、熟すとオレンジ色になるものもある。

主な品種[編集]

レモンは柑橘類の中では四季咲き性の強い品種である。鉢植え・露地植えのいずれでも栽培が可能であるが、早期の収穫を目指す場合は鉢植えの方が早く開花結実する。栽培品種の増殖は主に接木・挿し木で行なわれる。

リスボン
主力品種の1つ。樹勢が強く、豊産性の品種。トゲがやや多い。
ユーレカ
主力品種の1つ。樹勢はレモンの中ではやや弱い方。開張性でトゲは比較的少ない。リスボンより耐寒性がやや弱いとされている。
ビアフランカ(ビラフランカ)
トゲなしレモンとして苗が売られている。果実の品種特性はユーレカに近い。他の柑橘類でよく見られる晩秋の異常落葉が少ない品種である。ユーレカが開張性で枝が横に広がる性質があるのと比べてビアフランカでは枝は垂直方向に延び易くなる性質がある。
ジェノバ
日本では知名度の低い品種であるがチリで主に栽培されている品種。日本に輸入されるレモンのうち6割程度がアメリカ産だが、チリ産レモンは約3割を占める。
ポンテローザ
普通サイズの3倍の大きさのジャンボレモン。ごく僅かであるが日本国内でも流通するようになった。酸味はややマイルド。

雑種[編集]

マイヤーレモン
オレンジとレモンの自然交雑で誕生したといわれる品種。栽培環境によっては果実の形状が丸みを帯び、完熟すると果皮の色がオレンジがかってくる。酸味が弱いが香りが良いとされている。
サイパンレモン
マイヤーレモンの系統で「菊地レモン」「島レモン」とも呼ばれる。北マリアナ諸島のテニアン島から小笠原諸島に導入された品種。果実は一般的なレモンよりやや大きく丸みを帯びている。
スイートレモネード
オレンジとレモンの交配種として売られている。果実は丸みを帯び、一般的なレモンにある乳頭の突起がほとんどなく酸味が弱く糖度が高いとされる。マイヤーレモンと同じ系統かどうかは情報量が少なく不明。

別種[編集]

チャイナリトルレモン
レモンと名前は付いているが東南アジアで栽培されている四季橘(しききつ、カラマンシー)である。沖縄に自生するシークヮーサーと似ているが果汁にはノビレチンが含まれていない。

レモンの香りを有する植物の名前に、「レモン~」と付けられる事がある。

日本での栽培[編集]

日本での栽培地は主に、蜜柑などの柑橘類の栽培地と同じである。耐寒性は-2~-4度までだが、風の強い地域や霜の降りる地域では防寒対策が必要となる。トゲの多い品種ではかいよう病の原因となり易いので風の少ないところで栽培するか長いトゲを切ってしまう必要がある。潮風に強いため、海岸沿いでの栽培も可能となっている(広島県愛媛県で生産量が多い。温州みかんの生産量が多い和歌山県でも栽培されている)。国内での生産量1位は、広島県であり、国内生産シェアの51%を有する。しかし、全国的には、あまり知られてないため、県では各企業とのコラボ商品開発等に力を入れている。瀬戸内・広島レモンとして、全国に出荷されている[1]

1本で100個から150個ほどの果実が採れる。栽培される種類も比較的豊富である。栽培本数が少ないため、日本国産のほとんどは地産地消されている。日本国産は日本国外産のようにポストハーベスト農薬の心配がなく、特に無農薬物は日本国外産に比べて2倍から4倍の高値で取引される。

レモンは本来、気候や場所により短径が10cmを超える大きさに成長する大型の果実である。ただし、日本の場合、大半がレモンティーなど生食に用いられることもあり、ティーカップの大きさを超えるような大きさの果実は調整、選別されており、大型のレモンが流通することはあまりないが、日本国外では、ジュースなどの加工用途も多いことから、大きさが不揃いのまま出荷され、流通している。

日本の主な輸入国はアメリカ合衆国であり、アメリカとチリの2国からの輸入が97%を占める[2]。果実として輸入されるほか、レモン汁という形での輸入もある。柑橘類であるためポストハーベスト農薬が問題視されている。


食材利用[編集]

果実[編集]

レモンの果実

主に果汁を食用に利用する。非常に酸っぱく、pHは2を示す。レモンを絞るには専用のレモン絞り(スクイザー)が用いられることが多く、山型のほか末広型(扇型)やウグイス型などの種類がある。また、てこの原理を応用しハンドルを握って果汁を絞るレモンプレスが用いられることもある。果汁を絞ってジュースレモネードレモンスカッシュなどの清涼飲料水に加工したり、味に強みを持たせる目的で調理製菓に使われる。果実のまま料理に添えて、食べる際に果汁を絞り、豚カツなどの揚げ物生ガキにかけたりされる。近年の研究でレモン果汁中に豊富に含まれるフラボノイド、特にエリオシトリンが食後の脂質代謝に非常に有効にかかわることが明らかになっており[3]、油ものに添えることの意義がはっきりしてきた。

薄く輪切りにした果実は、紅茶の風味付けにしたり(レモンティー)、切り込みを入れてグラスの縁に差し、コーラなどの炭酸飲料カクテルの飾りにされる(ただしコカ・コーラ社のコカコーラレモンは無果汁である)。

レモンは香りの強い果実のように思われがちだが、香りそのものは皮の部分に大きく依存しており、皮を充分に除去してから得た果汁は純粋な酸味料として利用できる。これを生かして、クワ酒やバナナ酒のように酸味を持たない果実を用いた果実酒の製造の際に、皮むきレモンの輪切りを添加して酸味を加える。

ビタミンCを含んでいる。飲料水や菓子、サプリメントなどでレモン何個分のビタミンC含有などと単位のように使われることがある。「レモン1個分のビタミンC」は20mgを基準とするよう1987年に農林水産省の「ビタミンC含有菓子の品質表示ガイドライン」によって定められたが、このガイドラインは2008年に廃止され現在では効力を持たない。

[編集]

カプリピゥ社のリモンチェッロ
レモンピール
レモンの皮を砂糖で煮つけ、グラニュー糖をまぶしたものはレモンピールと呼ばれ、ケーキなどの洋菓子に使用される製菓材料となる。また、カクテルに風味をつけるため、すりおろしたレモンの皮を絞りかけることも同じくレモンピールと呼ばれる。ただし、輸入されたレモンには輸出時に発癌性のあるポストハーベスト農薬をかけられる。
リモンチェッロ
レモンの皮を使ったリキュールで、レモンの果皮を純アルコールに浸漬した後取り出し、砂糖水を加えて1週間~1ヶ月ほど置く製法が一般的である。色はレモンの黄色である。


[編集]

調味料として用いられることがある。広東料理蛇スープでは定番の薬味となっている。

レモンの葉はやわらかいので虫がつきやすい。アゲハなどの幼虫はレモンの葉が大好物である。

成分利用[編集]

果汁[編集]

酸性を示すことと、還元作用のあるビタミンCを多く含むことから美白、美顔用の材料にも用いられることがあるが、効果は不明である。むしろ、皮膚炎を起こすリスクもある。

リモネン[編集]

レモンの皮にはd-リモネン (limonene) というテルペン系炭化水素が含まれており、レモンの香りの重要な成分となっている。レモン以外にも、温州みかんオレンジなど他の柑橘類の皮からもとることができ、香料や天然物由来の溶剤として利用されている。具体的には、油汚れを落とすための洗浄剤や、ガム剥がし用の溶剤の成分として使用されるほか、発泡スチロールをよく溶かすため、発泡スチロールのリサイクルに利用される。

レモンを題材とした作品[編集]

シンボリズム[編集]

  • 日本などでは強い酸味の中のほのかな甘さが恋愛、とくに初恋と関連づけられることが多く、ファーストキスはレモンの味などと言われることがある。
  • フレッシュなイメージがあり、雑誌ザテレビジョン』の表紙に登場する人物が必ずレモンを持っているのも、フレッシュなイメージを表現するためだと思われる。
  • 食物のビタミンC含有量を宣伝する際には、「レモン○個分」などと表示されることが多い。
  • レモンの花言葉は、愛に忠実または情熱など。
  • 英語圏でのイメージは悪く、「無価値」、「不完全」を示す言葉になっている。
  • レモンは玉石混淆の中古車レモンカー)を指すアメリカの隠語でもある。この隠語のよく知られる利用例として、情報の非対称性がもたらす中古車市場(レモン市場)の経済構造についての論文がある。

脚注[編集]

[ヘルプ]