ゆべし
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ゆべし(柚餅子)とは、ユズを用いた加工食品のひとつ。源平の時代に生まれたとも伝えられ、菓子というよりも保存食・携帯食に近いものであったとされ、時代とともに現在のような菓子へ変化したといわれている。現在では珍味に分類されるものと、和菓子で蒸し菓子の一種に分類されるものに分けられる。
目次 |
[編集] 珍味のゆべし
ユズの上部を切り取った後、中身をくり抜き、この中に味噌、山椒、クルミなどを詰めて、切り取った上部で蓋をする。そして、これを藁等に巻いて日陰で1ヶ月〜半年ほど乾燥させる。食べる際には、藁を外して適宜に切り分け、酒の肴やご飯の副食物として用いる。
古来からある料理で、江戸時代の料理書『料理物語』には酒肴としてゆべしの製法が記されている。現在でも、愛媛県松山市や奈良県十津川村などで製造されている。
[編集] 和菓子のゆべし
[編集] 丸ゆべし
ユズの実の上部を切り取り、そこから中身をくり抜いて柚釜を作り、そこにユズの果肉、もち米粉、上新粉、白味噌、砂糖などを混ぜたものを入れて蒸したもの。
蒸しと乾燥を20〜30回、飴色になるまで繰り返す製法のため3〜4ヶ月の期間を要する。常温で比較的長期保存が可能なのは、この製法に起因する。また、柚釜に使用されるユズも傷のない、上質なものが必要とされるため、贅沢な茶菓として茶席で供される機会も多い。
丸ゆべしの代表的な産地として石川県輪島市が有名であるが、これは輪島塗の行商人が携行食として、また顧客への手土産として広まったとの説が有力である。
[編集] 棒ゆべし
ユズの皮を刻んだものともち米粉、上新粉、白味噌、醤油、砂糖などを混ぜて蒸し、竹の皮に包んだもの。棒ゆべしの産地には愛媛県西条市がある。
[編集] 香り付けとして
求肥や羊羹にユズの香りをつけたものを「ゆべし」と称する場合もある。
[編集] 東北地方のゆべし
仙台ゆべしなど、東北地方のゆべしにはユズが入っていない。ユズの産地から距離があり、材料として使われにくかったからである。また、クルミを入れるが、これはクルミが材料として入手しやすかったからである。
味付けは醤油ベースであり、砂糖・黒砂糖の甘みにより、甘じょっぱいものになっている。東北地方のゆべしは、本来のユズの菓子ではなく、餅菓子となっている。
東北地方のゆべしは、2種類に大別される。
- 棒型
- 三角型
[編集] その他のゆべし
長崎県の壱岐では、ユズの皮だけを煮たものをゆべしと呼ぶ。由来は不明である。薬味として用いる。
一般的な家伝壱岐ゆべしの製法は、まずユズの皮を薄く剥き、粉砕する。醤油を加え極弱火で加熱し1時間煮て、昆布の出汁と砂糖(ユズの皮2kgに対し三温糖10kgとザラメ1〜2kg)を加えさらに2時間煮る。仕上げにトウガラシを入れて30分ほど煮て完成する。

